魔法陣グルグル2
【まほうじんぐるぐる ぱーとつー】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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24MbitROMカートリッジ
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発売元
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エニックス
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開発元
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タムタム
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発売日
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1996年4月12日
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定価
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8,000円
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判定
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良作
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少年ガンガンシリーズ
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概要
人気漫画『魔法陣グルグル』をもとにしたキャラゲーのSFCでは第2弾、全体では第3弾となる作品。
タイトルの「2」はゲーム中のボイスで「パートツー」と発音している。
勇者ニケ・魔法使いククリは、世界の平和を守るため、打倒・魔王ギリを目指して冒険の旅に出る。
完全オリジナルだった前作とは異なり、原作に沿ったストーリーが繰り広げられ、後半はゲームオリジナルの展開に移り変わる。
始めに文章の理解を円滑にするために説明しておくと、「グルグル」とはククリが操る魔法のこと。魔法陣を描いて、召喚するように発動させる。
ちなみに本作はあくまでSFCソフト『魔法陣グルグル』の続編であり、原作漫画の続編『魔法陣グルグル2』とは一切関係ない。
特徴・システム・評価点
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ストーリーは原作で起こった出来事を追うかたちのシンプルな一本道。
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フィールドマップは移動に使うのみで、各町のイベントをクリアするとまた新しい場所が出現していく。
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ローグ系に近かった前作とは異なり、戦闘システムはアクションRPGに変化。
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ニケが戦っている横で、ククリがグルグルで援護をするシステムは前作と同じだが、今回はククリを戦闘中に移動させることができるようになり、敵の攻撃を回避できるようになっている。これによりかなりアグレッシブな戦闘が可能で、魔法使いが敵の攻撃をかいくぐりながら戦士系をフォローするという、まるで原作及びRPGの戦い方を体現しているかのような臨場感を味わうことができる。
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ククリはイベントが進むごとに異なる「シンボル」を習得していき、それぞれを組み合わせることで新しいグルグルを生み出すことができる。
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本作では前作と比べて消費MPが控えめに設定されており、魔法自体は簡単に使うことができるようになった。しかしククリは魔法を扱うには熟練が足りず、強力なグルグルを発動しようとしても「しっぱい」してしまう。つまり魔法は覚えているがレベルが足りずに失敗するという、より原作に近い仕様に変更されているのである。
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グルグルは戦闘シーンに切り替わる前に敵に当てることができ、事前に相手を弱らせておくことができる。ただし遠距離攻撃だけで倒しても経験値は入らない。
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魔法陣の性能も見直され、バランスブレイカーや役に立たないグルグルがほとんどなくなった。
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「べつべつ」は敵に当たるまでが遅くかわされる可能性がある。「ぜんたい」の魔法はニケもダメージを受けるようになり使いどころが限定的に。「なかま」はダメージが大きいが発動時間も長いなど差別化が図られ、状況に応じての使い分けが重要になってくる。
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ククリの武器に「魔法陣を描くスピード」が追加し、アクション要素もあいまって戦闘の楽しみも大幅に増した。
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町の中でもグルグルが描けるようになった。必ず失敗してしまうが、気軽に練習ができるようになっている。
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前作ではひたすら戦うのみの存在だったニケが「光魔法・キラキラ」を習得。また一部の場所でプレイヤーが操作することができるようになり、個性を発揮できるようになった。
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前作ではニケの武器の種類による攻撃モーション速度の違いしかなかった装備品が、ニケの武器と防具にそれぞれ「攻撃スピード」と「防御率」が追加された。攻撃する頻度と防御する確率に影響するので、前作と同じくAIに任せる設計でありながら、魔法による敵の行動妨害やAI指示と併せるとプレイヤーのニケへの介入・連携・必要性が大きく広がった。
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登場人物やモンスター、アイテムが原作を反映したものになった。また今の場所を記録して再び戻ることができる「きおくそう」「もどりそう」というアイテムが新たに登場した。
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ニケとククリにはアニメ版準拠の声が付いていて、またも要所で喋ってくれる。
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グラフィックはより描き込まれ、綺麗になった。また、大きなアニメーションと魔法陣の鮮烈なエフェクトも特徴的。
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大きなドット絵がグリグリと動くさまは必見。また「しっぱい」のグルグルにも種類が多く、変な魔法が飛び出してくる。
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原作さながらのナイスなツッコミや、いちいち出てくるキタキタオヤジといった、原作の雰囲気をそのままにかもし出すストーリー。
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特にナレーターのセリフが良い味を演出していて、出てくる度に腹筋崩壊ものになっている。これを原作者ではなくスタッフが考えているのだから素晴らしい。
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BGMにも良曲多し。グルグルらしくコミカルで明るい曲が多いが、緊迫感のある曲やかなりおどろおどろしい曲もありバラエティに富んでいる。
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拠点となる町は10以上登場するが、それらのBGMは全て固有のもの。いずれも町の雰囲気を上手く表現しており、印象を深めてくれる。
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その他ニケ・ククリ単騎で挑むことになる塔のBGMはそれぞれ原作における光と闇のイメージを巧みに描いており、非常に聴き応えがある。
問題点
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前作と比べて戦闘の難易度が高くなった。決してバランス不安定ではないが、シビアな要素がある。
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敵の中にはククリに回避不能な技を放ってくる。ここでククリの最大HPが低いと死亡確定。これにはレベルを上げて最大HPと防御力を増やす・その時点での最強防具を装備する・防御力を上げる魔法を使うしか対策が無く、ゲームの壁のような存在になっている。
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バグか仕様かは不明だが、魔法陣を描いている(ボタン押しっぱなし)状態にするとボスが必殺技を使ってこなくなる。ニケだけで戦うことになるが、これを利用すればククリのレベルが低くてもボスと戦っていける。
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一部のダンジョンは、画面端に行くと画面スクロールする。スクロール先のすぐそばに敵がいると、ククリが魔法陣を描いてから飛び退くことにより魔法が発動する仕様からか、ククリが敵と画面端に挟まれてしまい、飛び退くことができなくなって、魔法が絶対に使えなくなる。
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というか、敵に触れただけでダメージという謎の仕様のせいで、魔法を詠唱するアクションを永遠に遮断され続ける。そしてHPをゴリゴリと削られ続けて詰む。もちろん隣のエリアを確認する術は無い。
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あくまで「前作と比べて難しくなっている」というだけであり、「アクションRPGとしてのゲームバランスや難易度」はキャラゲーとしては上手くまとまっている方である。
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防御力によるダメージ幅が大きいらしく、上記回避不能技であるレベルだとククリが即死したはずが、数レベル上げたら半分も減らなかったなどはざら。かなり大味なバランス。
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このために、レベル上げを行わないと序盤からボスに確実に勝てない。どんなに工夫しようと、低レベルでの攻略は不可能である。
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回避不能の攻撃・画面全体への攻撃・敵の攻撃エフェクトで画面がいちいち止まる・敵に触れただけで理不尽なダメージ という、ARPGではあってはならない要素がてんこもり。
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ボスの中でも特に3番目のダンジョンのボス『ヤンバン』が非常にタフ。いくら攻撃してもHPゲージがまったく減らずにそのまま諦めてしまったユーザーも多いのではないだろうか。
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このヤンバン、なんとHP13000と前のダンジョンのボス『トンガラ』3匹(HP270×3)の
16倍ほど
の異常までの耐久力を誇る。こちらの火力はそこまで上がらないのに……。
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ちなみに次のボスである『ゴーレム』(HP8800)よりも高い。なぜこんな数値になってしまったのか。原作のヤンバンはそこまで耐久力がある訳でもないのだが……。
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エニックスの公式ガイドブックにはHP2600と書かれているため開発後期で数値を変えた可能性が高い。以降のボスのHPもガイドブックの2倍に設定されている者が殆どだが、5倍になっているのはヤンバンのみである。
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ストーリーや演出について
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状況の説明や次の行動までの示唆がとても淡白。
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起こるイベントはグルグルワールド全開のシュールな出来事や超展開ばかりなので、原作を知らないと流れが急すぎて置いてけぼりになりがち。
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たとえば町に辿り着いたら村人全員が踊り続けていたり、パワーアップのための前金を用意するために店を経営するはめになったりする。
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ただし、村人全員が踊り続けているのは原作通りである(モンスターの呪いという設定で)
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原作が完結していないため、ストーリーの終わり方が非常に中途半端。
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始まりからして原作途中からの町であり、また物語がクライマックスを迎えたところで「ここで終わりかよ!」とばかりに唐突にエンディングを迎えてしまう(いわゆる「俺たちの戦いはこれからだ!」エンド)。
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これだけの完成度を誇っているだけになんとも勿体無い点である。これでストーリーが原作を最後まで完璧に再現しているか、オリジナル展開で綺麗に物語が完結していたらさらに評価は高かっただろう。
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ただしこれにはいかにも原作らしいオチをつけてごまかしている。
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移動中、ククリがニケよりも前を歩いている。
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これは原作を考慮すればまずあり得ない状況。とことんまで再現に拘っているタムタムらしくない仕様である。
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もちろん制作スタッフも知らなかったわけではない。現に前作ではククリがニケの前に乗り出さないように徹底的に工夫されていたし、本作でもイベント中はニケが先頭を歩いている。
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おそらく敵に魔法弾を当てたり歩きながらグルグルを発動させる仕様上、ククリに先陣を切らせざるをえなかったのだと思われる。
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ゲーム内でまとめ買いとまとめ売りのやり方が説明されない。これに気付かなければ買い物が不便どころか、ゲーム中屈指の名ゼリフを聞き逃すことになる。
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ギップルが乱暴な口調で話すシーンが何度かある。原作では終始敬語を崩さない紳士的なキャラであったので激しく違和感を感じる。
総評
作りがとても丁寧で、ゲームが原作愛に満ち溢れている。
前作よりもさらに丁寧な作りでとっつきやすさも増しており、全体としての完成度はとても高い。
とにかく遊んでいて、制作スタッフが『魔法陣グルグル』を愛し徹底的に拘った様子が容易に想像できる。まさしくキャラゲーの鑑である。
余談
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ゲーム本編で前作『魔法陣グルグル』とのつながりを示唆する、嬉しいファンサービスがある。
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オリジナルの敵の中に「ミッタン」というモンスターがいるのだが、外見が非常に特徴的であり他の敵と見比べてもひときわ異彩を放っている。一体何者なのか、正体が気になるところである。
最終更新:2022年04月17日 18:22