エルファリア
【えるふぁりあ】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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12MbitROMカートリッジ
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発売元
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ハドソン
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開発元
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ハドソン、レッドカンパニー
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発売日
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1993年1月3日
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定価
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9,975円
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判定
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なし
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ポイント
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とにかくシステムのクセが強い ストーリーの良さ等評価点あり
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概要
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田舎町で暮らす主人公の元にある日突然謎のエルフの少女が現れ、更に近隣の王国の兵士が町に助けを求めに来ることで、旅に出ることを決意する、といったオーソドックスな物語のRPG。
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基本的にはモンスターに占領された町や砦などを一つ一つ開放していき、その国の城に住むボスを倒せば章クリアとなって次の章へ進む。
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町や砦内では、一般的なRPG同様の操作とランダムエンカウントで進行していく。
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キャラクターデザインは、ファミ通の表紙でおなじみの松下進氏が担当。
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ファミコンで出たARPG『ファリア』の続編では無い。開発元やストーリーなどは全く異なり、名前が似ているのは偶然と思われる。
ストーリー
(説明書2・3ページより引用)
水は清らか 火は輝き 土は緑に 風は歌う
うるわしのエルファリア 祝福されし緑の園
うるわしのエルファリア 思い出のエルフの国
世界は4つの国からなっていた。風の国エルファリア、火の国ムーラニア、土の国フォレスチナ、そして水の国カナーナ。
4つの国はそれぞれに「ラ」の力を象徴とし、栄えていた。わずか15年前まで…。
ムーラニアの将軍シーラルがクーデターを起こし、あっという間に政権を奪取。続いて、隣国エルファリアを陥落させムーラニア帝国を築いたのだ。
歳月が流れ、シーラルは、フォレスチナ、カナーナにも侵略の手を延ばしてきた。いま、シーラルの支配が及んでいない場所は、カナーナの辺境の地ロマの村のみ。
そこには、自らの手で魔物たちを倒すと誓う少年、パインがいた。パインは古代に起こった<魔法戦争>について研究していた。
魔物を造り、武器にアイテムをメルドさせて争った人間とエルフの戦いの一部始終が、シーラルの操る魔物たちを倒すヒントになる信じているからだ。
ある日、パインの前に不思議な少女が現れた。グリフを従えた少女、エルルはパインに向かい「旅立つ時がやってきた」と告げる。
3人の仲間と共に、打倒シーラルに立ち上がったパインは、戦いをともにする多くの仲間に出逢う。
そんな16人の勇者たちを待ち構えているのは、手強い魔物たち、裏切り者のダルカン、そして、謎の人物ゾーラ。
平和への旅を続けるうちにパインは、やがて自分自身の数奇なおいたちと、運命を知る事になる。
システム
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経験値がない
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ただしレベルの概念はあり、町などを占領している魔物の隊長を倒し、その場所を開放することによりレベルアップする。
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同じ町で戦えば少しずつ与えるダメージは大きくなる。但し、その町のボスを倒すとリセットされる。
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ただし一度開放しても、マップ上では再占領を目的に魔物が侵攻してくる場合があり、待機パーティが不在or敗北するなどして再占領を許すとレベルが戻ってしまう。
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お金とお店の概念がなく、敵を倒すことでドロップするアイテムを集めていく。
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バトルはオートで進み、プレイヤーは後列の回復魔法、攻撃魔法、ステータス上昇・下降魔法の使用の選択だけしか指令できない。
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各キャラのスピードと行動順を覚え、効率的にステータス魔法を使っていくことが攻略の鍵となるので戦闘の戦略性は無いわけではない。
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最初は1つのパーティで進行していくがストーリーを進めるごとに水・火・土・風の最大4パーティを操作していく。
1パーティは前列の戦士2人、後列の僧侶、魔法使いの4人構成。
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敵側にも天魔(風)・地魔(水)・人魔(火・土)の区別があり、パーティごとに敵との相性が決まっていて相性が有利なパーティを使い分ける必要がある。
メルドシステム
本作最大の特徴。
経験値もお金も無く戦闘にもあまり介入できない仕様の中で、キャラを能動的に育成する唯一の要素である。
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いわゆる「装備」にあたるわけだが、本作では「そのキャラの武器に素材を合成していく」という解釈をもって、5つの欄に武器でも防具でも本でも回復アイテムでもなんでも装備出来る。
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それぞれのアイテムには「攻撃・防御・魔力」の3つのパラメーターが設定されている。
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攻撃・防御は従来のRPG同様の概念であり、前衛の戦士はその2種を強化していけばよい。
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魔力については、それを強化することで僧侶は「より少量のMP消費で多くのHP回復」、魔法使いは「全体魔法のダメージが増えるが多量のMP消費」になる。
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特定のアイテムを組み合わせて装備する事により、特殊能力が生まれる事がある。ステータスの低下やマヒ効果など効果的なものが多く、状況によっては単純な攻撃力防御力の上昇よりも、特殊能力の発生を狙うような装備が重要になる。
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ただし装備したアイテムを外す事は出来ず、新しい装備に変更すると上書きされ消滅してしまう。全部攻撃力アップ装備や全部防御力アップ装備など極端な装備の仕方もできる反面それによって詰む可能性がある。
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攻撃力不足の場合は敵を倒し続ければ与ダメが少しずつ増えるので何とかなる場合も。
評価点
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アイテムさえ揃えれば戦闘によるレベル上げの概念が無いのでテンポよく進める。
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戦闘スピードを最大にして攻撃力を上げれば戦闘はすぐ終わる。魔法1発で敵がぶっ飛んでいく姿は爽快。
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ただ攻撃力の低いパーティだと戦闘がダラダラ続いて見ているだけの状態となる。
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当時としては珍しいタイムトラベルネタや後半からの急展開があるせいかストーリーは好評。
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パッケージに描かれる悪役たちのうち(上部)一番目立つやつがちゃんとラスボスになるが初見では「あれ?」と思うような扱いを受けるようなひねりがある。
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よく見ると赤い鎧の見慣れないキャラと、その後ろに目立たないように青い鎧のキャラも描かれているが、こいつは恐らく3章で登場するダジオン兄弟だと思われる。他のキャラに比べると脇役感はある(コイツだけイベントザコ扱い、ほかの五人は章ボス)。
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システム面においてもダッシュは標準装備、頻繁に使うメルド画面やパーティー全員のHPを全快するハーブ使用へのショートカットボタンありなど快適。
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作曲家の三枝成彰氏が担当したBGMも評価はよい。
賛否両論点
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パーティの格差
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4つのパーティはキャラクターごとに固有の魔法や専用メルド、能力値をしているがパーティメンバーを自由に編成はできない。
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中でも専用メルドが充実していて強化魔法のクイックとサンダーの魔法が強烈な土のパーティが強い反面、
攻撃補助魔法が弱い上、運(命中回避)が低く有利相性のテンマにも苦戦する事がある火のパーティが一歩劣る。
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しかし敵との相性や特定のパーティでしか開けられない門などがあるため、能力的に全く出番がないパーティというのは存在しない。マップ攻略中に待機している他パーティと交代するシステムもある。
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松下進氏によるアメコミをデフォルメ化したような独特のデザインで癖が強い。雑魚敵も含めゲーム内のドット絵にも踏襲されており、好みが分かれやすい。
問題点
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この時期のハドソンRPGの例にもれずエンカウント率が高い。
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逃走はしやすいが、逃走した際に次のエンカウントまでの猶予歩数がリセットされないため連続でエンカウントしてしまう現象が多発する。
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アイテムドロップ率が高いわけではないのでアイテム稼ぎの為に何度も戦闘する事が必須。
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最大4人×4パーティを管理していく事になるので上記のアイテム稼ぎが面倒になってくる。
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特定のパーティの装備をおろそかにしているとつまずきやすい。特に火のパーティは各章の序盤で強化されていないと詰みに近い状態になる。
総評
RPGとしては異色のシステムを持つため、当時はクソゲー扱いされた。しかしシステムを理解すれば、操作も快適で十分楽しめる作品である。
その後の展開
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続編として『エルファリアII ザ・クエスト・オブ・ザ・メルド』も出ているが、経験値をためてレベルアップ、メルドシステムが武器合成的なものになり、独特の癖が薄れて普通のRPGに近くなった。そのため、「IIよりもIの方が好き」という人も多い。
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後の1997年9月30日に開始されたニンテンドウパワーでは本作は採用されず、この続編の方のみがローンチとしてラインナップ入りした。
最終更新:2023年08月15日 19:14