鉄1 ~電車でバトル~
【てつわん でんしゃでばとる】
ジャンル
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レースゲーム
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対応機種
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プレイステーション2
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発売・開発元
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シスコンエンタテイメント
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発売日
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2001年7月5日
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定価
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5,980円
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判定
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バカゲー
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ポイント
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"史上初"の電車レース ぶつかり合い、脱線しながら走る電車たち ゴール前の熱い攻防 豊富な車両数、少ないコース数 実在する電車・建物・団体とは関係ありません 関西私鉄の並走区間から生まれた逸話アリ
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概要
PS2初期に発売された鉄道車両でレースする、いわゆるバカゲー。
仮想ネットワークゲーム「HOME NETWORK TRAIN」を利用し、電車日本一を決める「鉄1」が開催されるという設定でレースが繰り広げられる。
特徴
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ゲーム開始時にもあるように、すべてフィクションであるため実名は一切使われず、ヤマノーテ(山手線)と変えられたり、JRを.jr(ジュニア)と変えられているが、元の路線や車両を推測できるようになっている。
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車両は単に同じ箱のテクスチャを変えただけでなく、路面電車型や、1種類のみだが特急も。ただしすべて1両編成にアレンジされている。
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一部車両には車両番号が描かれているが、元になった形式にかかわらず0000または2001(ゲームの発売年)になっている。
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トーホク、カントー、チューブ、キンキー、チューゴク、キューシューの6種類の地域があり、隠しステージでサンフランシスコ、インド、フランス、ニューヨークの4種類がある。
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ゲームモードでは6地域の大会に出た後に決勝の海外に出る鉄1モード、特定の条件で走るツアーモード、そして敵車両のありなしや天候や時間を自由に選んで走るフリーモードがある。
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レースはホームから始まり、ポイントを自ら切り替えて線路を変えたり、それを利用して相手を脱線させることが可能。また、カーブを高速で走りすぎた際も脱線する。カーブを高速で走る際は速度を下げたり重心を操作することによって脱線を防ぐ。
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当然線路から外れると速度が下がる。脱線した際はスティックをレバカチャして自ら線路に戻る。またはポイント通過時に自動的にその線路に乗る。
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ホームに近づいた際は非常ブレーキをかけて止まる。オーバーランするとホームまで無理矢理戻される。
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ホーム1つにつき1両しか入線できず、同じホームに入った場合はその時点でリタイア扱いになる。
評価点
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車両の多さ。初期車両が50種類に加えて隠し車両が30種類。これらはツアーモードや規定回数以上鉄1モードをクリアすると増える。
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コースの完成度も高く、カントーなら地下から見える成田空港、チューゴクなら瀬戸大橋を再現した長い橋など、作り込まれた背景となっている。さらにコースごとの個性もしっかり出ており、似たようなコースを走っているということはない。
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対戦が熱く、2つの車両がポイント切り替えをした際に最初にポイントを切り替え脱線しようとした側を返り討ちにするクロスカウンター、最後のホームの取り合いなどは燃える。
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当時の公式サイトにはこのゲームを思いついた経緯と、1人でも白熱した大戦ができるようにテストプレイ・コースの修正(デバッグ)をやりまくったといった趣旨が書かれていた。
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BGMが全体的に良い。特に海外ステージのBGMの評価が高い。サウンドトラックは発売されてなく、本作にもサウンドテストがないのが残念である。
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実はwave形式なので、ディスクをパソコンにセットして中身をのぞくだけで聞くことができる。
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車両性能は元になった路線の特色を活かしている。具体的には環状線故にカーブ能力の高いヤマノーテJr.や直線で特急が早いことから高速一点集中のホクホークトレインなど。
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EASYではタイムこそは記録されなくなるものの、脱線しなくなる初心者には易しい仕様。
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かといってHARDも普通に手強く、鉄1モードのHARDサンフランシスコやインドは相当な難易度を誇る。
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万が一勝てない救済策として、一定数リトライすると、自分の車両が大幅に強化される。
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このリトライに、スタートメニューからのRESTARTでのやり直しは含まれない。
問題点
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ステータスが全く同じの所謂コンパチ車両がある。具体的にはケーヒントーホークJr.とサイキョーJr.など。しかし性能差は若干ある。
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それ抜きにしてもケーヒントーホークの完全上位互換のケッキュートレインなどもある。
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2P対戦で同じ列車が選べないので、そのために用意されていると解釈できないこともないが。
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コース自体は作りこまれているとはいえ、6種類+海外4種類の合計10種類と若干少なめ。
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一応、上り下りで1路線辺り2種類ということになるが、それにしても少ない。
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路線ごとの最速記録が残るのだが、この記録は鉄1モードとフリーモードで共有してるため、「鉄1モードで相手にひたすら押してもらったらフリーモードの最高記録を超えた」「鉄1モードで負け続けて性能が上がったために、以後塗り替えることがまず不可能な記録を叩き出した」ということが起こる。
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車両のステータスには最高速度、加速度、カーブ、ブレーキ、坂道がそれぞれ1~5の能力で設定されてるのだが、坂道の概念が全くと言っていいほど意味を成していない。よって坂道が高いだけの車両は存在意義が薄い。
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ただし一応性能差はスタート直後に坂道があるキンキーで実感できる。
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各車両は路線の特徴こそ掴んでいるものの、車両の特徴を掴んでいないものがほとんどである。以下にいくらか例を挙げる。
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京急2100形が元になっているケッキュートレインは最高速度のみが高いが、実車は阪神ジェットカー・札幌市営地下鉄に次ぐ加速力と、ブレーキの強さも持ち合わせており、ケッセーイトレインの元である京成3700形とほぼ同じ性能である。
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このゲームで唯一特急型が元になっているシコークJr.は、特急型らしく最高速度がやや高い。しかし元になったJR四国2000系は振り子装置を搭載しており、カーブを高速で通過できることを考えると、カーブ性能が普通なのはどこか物足りない。
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なお、カントーに3車両、チューブに1車両、キンキーに2車両だが、この車両よりも最高速度の高いものが存在する。
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このほか、ATCにより90km/hしか出すことのできない京浜東北線の209系が元のケーヒントーホークJr.の最高速度が高かったり、山岳地帯をゆっくり抜けていく肥薩線のキハ31が元のヒッサツJr.の最高速度と坂道性能が普通だったりと、路線の特徴すらまともにつかめていない車両もある。
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夜のステージやトンネル内ではヘッドライトが付くが、このヘッドライトが2種類しかなく、路面電車の多くやミドースージトレインなどはあり得ないところで点灯している。またセットオーハシJr.のように物理的にドアが開く構造になっていないものもある。
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ハーンキュートレインなどのように、ヘッドライトではなく急行灯(種別によって点灯させるか否かが変わってくるもので、ヘッドライトとは別物)だけが点灯しているものもある。
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後述するWORLD GRAND PRIX版ではこの反省を生かし、ヘッドライトの種類が増加している。
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地方私鉄を優先して収録した結果、横須賀線などの知名度のあるJR路線の車両が収録されていなかったりする。また、東京の地下鉄車両も一切収録されていない。
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カントートレインでの鉄1モードのセーブデータや公式ページの標記から考えると、ここに営団(現:東京メトロ)千代田線が元になる車両が入る予定だったと考えられる。
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ただしゲーム内の車両数ではカントーエリアが圧倒しており、隠し車両の数だけでも他の地域を圧倒している。
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鉄1モードが条件になる車両が面倒。5周目以降の海外戦クリアごとに隠し車両が1両出るのだが、普通にやるとそれをさらに4周やることになる。
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さらに、1地域辺り2種類(カントーとキンキーは4種類)あるので、単純計算で4地域分やることになる。これらの車両はサンフランシスコクリアで隠しを出した後にセーブせずロードで海外を繰り返す方が手っ取り早い。
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一部ツアーモードが鬼畜。
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オンリーレールは一度も脱線せずに1位になるのが条件なのだが、脱線しやすい路線でもないキンキーとはいえ、一度も脱線しないで1位は難しい。
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仮にテクニックで脱線しないにしても相手のサイドアタックなどで脱線したらおしまいである。EASYにすれば相手車両による脱線以外はないので、一応強引にクリアできる。
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DON`T TOUCH ME ! は他車に一度も接触せずに1位でゴールすることが条件なのだが、これも相手車両次第では即終了である。さらに、スタート直後は同速の車両がポイントを切り替えて脱線させにかかるため、かなり厳しい。
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なお、このミッションはキューシューで行われるが、キューシューはカゴシーマトレインとシマバーラトレイン以外は隠し車両を含めてすべて加速性能が同じ。シマバーラトレインは加速が悪いため、カゴシーマトレイン以外でクリアするのは非常に難しい。
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暴走トレインは2種類あり、I(カントー)では相手車両(自分と同一)の背後からゆっくり近づき非常ブレーキをかけるというもの。II(キンキー)では相手(ランダム)の前に回りこみ強引に押さえ込むというもの。しかしスタートは相手車両の方が先であり、おまけにこの2路線は分岐が多いので、相手車両を追うだけでも難しい。
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ただしどちらも車両によっては非常に簡単であり、30秒ほどでクリアすることも容易である。
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非常一発!は高速で走ってる車両を非常ブレーキボタン1回で電車を止めるのだが、合格判定が100cm以内と鬼畜。幸いすぐに終わるツアーなのでリトライはしやすいが、難易度的には相当高い。
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最高速度が低くブレーキが強いヒロシーマトレインなどを使えば若干楽にはなる。
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バックアタック!は相手車両5両全てに追突するという内容なのだが、追突した反動で自車も後退する。しかも、それを5両もこなさねばならないため、最高難易度ミッションとも言われる。
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似たようなミッションでサイドアタック!という相手車両の横っ腹に衝突するものがあるが、こちらはスタート直後に3両は撃沈できるためまだマシ。
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コース自体は2分強で走り切る上に、ポイントがない区間が非常に長いので、相手の動きを見ないとクリアできない。
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相手を同じ車両を選ぶには裏技が必要と、やや不親切。一応性能が同じ車両もあるので裏技なしでもどうにかできなくはないが、同性能がいないホクホークトレインなどは裏技を使わざるを得ない。
賛否両論点
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ある隠し車両がロード画面で見られてしまう。ヒントは隠し車両が2種類しかいないエリア。
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おそらくそのエリアでは(ゲーム内にいる車両の中では)最も一般的な車両なので、最初から選べるようにするつもりが、高性能なために隠し車種になったものと思われる。
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もっとも、一般的に隠し要素はロード画面などから排除されがちなのは人によってはうれしくないのでこれで良かったのかもしれない…。
総評
コンセプト的にはバカゲー臭が漂うが、内容自体は割と作りこまれている。
『電車でGO!』シリーズのようにキッチリ運転したい人にはオススメできないが、自由に飛ばしたい人にはオススメできるゲーム。
余談
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最初はホームで止まるか突っ切るかで開発スタッフで相当揉めたらしく、ロード画面のスキーをする電車や海や火山を突っ切る電車がその名残を残している。
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1年後の2002年2月21日に車両のデザインを完全新規にした『鉄1 ~電車でバトル~ WORLD GRAND PRIX』が発売。
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ネコや歌舞伎デザインの電車など色物があるほか、実際に各国で走っている車両の塗装を国旗モチーフの物に変更されている。これは前作で鉄道会社から抗議があったためと言われている。ちなみにこの作品は海外でも発売されている。
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マップは名前が変わっているものの同一(予選と決勝の順番が違うなどの違いはある)。
最終更新:2024年01月20日 16:30