スーパースラムズ -FROM TV ANIMATION SLAM DUNK-
【すーぱーすらむずふろむてれびあにめーしょんすらむだんく】
ジャンル
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スポーツゲーム
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対応機種
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アーケード
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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ビデオシステム
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稼動開始日
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1995年
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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なし
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ポイント
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ご存知スラムダンク原作。 簡単操作で爽快ダンク
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少年ジャンプシリーズリンク
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概要
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週刊少年ジャンプで90年代に連載され、国民的人気を博した井上雄彦によるバスケットボール漫画『スラムダンク』のアーケードゲーム化。
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タイトルを見ればわかるとおり、正確にはテレビ朝日系列で放送されたアニメ版が元。
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既にコナミからACにて「SLAM DUNK」「SLAM DUNK2」が出ているが、全くの無関係である。
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バスケットボールをモチーフとした、2Dスポーツアクションである。
ゲーム内容・操作
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レバーとボタンで直にキャラクターを操作するスポーツアクションゲーム。
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画面向かって左に1P側の、右に2P側のゴールを配し(つまり1P側のプレイヤーは右を目指すこととなる)、キャラクターの移動は左右+上下の奥行きが可能。左右にのみ画面がスクロール。
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試合はバスケットボールのルールどおり、5人対5人のチーム戦。最初に全4チームの中から1チームを選び、他のチームと戦ってゆくこととなる。一試合は2分、同点の場合は延長1分。これもバスケットボールのルールどおり1ゴールで2点、遠くからシュートを決めるとスリーポイントシュートとなり3点。オフェンス側は30秒以内にシュートを撃たなければ自動的に相手側とボールとなる。なお乱入による二人対戦も可能。
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全部で6試合勝ち抜けばゲームクリア。つまり自分が選んだチーム以外の3チームとそれぞれ二回ずつ戦うこととなる。2試合ごとにボーナスゲーム「フリースローコンテスト」及び「スラムダンクコンテスト」が挟まれる。
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フリースローコンテストは30秒の制限時間内に何度もフリースローを投げ、得点を競うというもの。スラムダンクコンテストは一回勝負でダンクを決め、その華麗さを5人の審査員に評価してもらう。
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ゲーム中のキャラクターは漫画と同じ頭身で描かれる。
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試合中はボールを持った選手やボールに近いキャラクターにつねに操作が割り振られ、それ以外のキャラクターの移動は自動でおこなわれる
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バスケットボールらしくゴール下の攻防がメインで、展開が非常に早い。またボタンひとつでキャラクターをジャンプさせることができ、この「高さ」の概念が非常に大切になる。
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使用するのはレバーによる8方向移動+3ボタン。
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Aボタンはオフェンス(ボールを所持している)時はパス、ディフェンス(ボールを所持していない)時はスティールとなる。
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パスは味方の方向に自動的に投げてくれる。左右で方向をある程度選べるが、誰もいない方向に投げるとパスミスが発生。後述するシュートのためのジャンプ中もパス可能である。パスが途中で止められる(スティールされる)ことはない。
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スティールはボールを持った相手に対し、ボールを叩き落とす。ボタンを押すとワンテンポ遅れてキャラクターがスティールの動作をするため、うまくタイミングをあわせることが重要。全体的にスティールできる相手との位置取りが少々わかりづらく、慣れが必要な操作ではある。また当たり前だがボールを「奪う」のではなく向こうへ「弾き飛ばす」テクニックのため、敵がいる方向へボールが飛ぶ可能性も。
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Bボタンはオフェンス時はシュート、ディフェンス時はシュートブロック。このゲームの肝となるボタン。
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シュートはすべて一度ボタンを押すとキャラクターがその場でジャンプをし、もう一度押すことでボールを放る。ゴールとの位置関係、現在ボールを持っているキャラクター、同時に入力しているレバーやボタン等によって、自動的にシュートの種類が変化する。
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ゴールから一定以上離れている場合、その場で垂直にジャンプするジャンプシュート。ゴールに近い場合はゴールの方向に飛ぶレイアップ。味方がシュートを外した場合リバウンドシュート。ダンクシュートが使えるキャラクターはゴール近くでレバーを前(ゴール方向。1Pは右)に入れながらBを押すことでダンクシュート。後述するテクニカルボタンによるテクニカルダンクにも用いる。
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シュートは2回目のBボタンを押すタイミング(キャラクターが光ることによりある程度プレイヤーにはわかる)によって成功失敗が決まる。3ポイントシュートなどは成功タイミングがシビア(得意なキャラだと、成功タイミングが少しだけ伸びる)。
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シュートブロックは一度ボタンを押すとその場でキャラクターがジャンプし、もう一度押すと手を振り相手のシュートを弾く。相手がシュートを外した場合、オフェンス時と同様にリバウンドとなり、ジャンプすれば自動的にボールを掴んでくれる(この場合はもういちどBボタンを押す必要はない)。
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Bボタンを軽く一瞬だけ押すと、ジャンプせずシュートをしそうなポーズだけ取るシュートフェイクがだせる。地味ながら重要テクニックで、CPUも引っかかってジャンプする。
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なお試合開始時のジャンプボールもこのボタンを使用する。ジャンプボールに限ってはボタンを3回押す必要があり、最初に構え、次にジャンプ、最後に弾きである。
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Cボタンはテクニカルボタン。基本的にはオフェンス時、これを押しながら何かをすることで特殊な行動が可能。
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押しながらパスをすることで、バックパスなど特殊なパスがでる。
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押しながら移動するとテクニカルドリブル。自動で相手をかわしてくれる(ことがある)。
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キャラクターがボールをキャッチ~少し移動した辺りでCボタンを押しっ放しにしていると、まれに(一定条件で?)その場にとどまり軸足を固定する、いわゆるピボットという状態になる。この時Cボタンを押しているあいだ移動することができない。
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押しながら前述したダンクシュートをすることで、このゲームの華ともいえるテクニカルダンクが決められる。
原作要素
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登場する以下の4チーム。原作のインターハイ予選がモティーフとなっている。
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湘北高校
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スタメン 赤木・桜木・流川・宮城・三井
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陵南高校
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スタメン 魚住・仙道・福田・池上・越野
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海南大附属高校
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スタメン 牧・清田・神・高砂・宮益
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翔陽高校
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スタメン 藤真・花形・長谷川・長野・高野
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またCPU限定だが湘北の小暮など控えのメンバーも登場する。
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試合中は原作の台詞をボイス付きである程度再現してくれる。
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桜木の「庶民シュート!」や仙道の「さあいこうか」など。ただしメインキャラ数名の短いボイスがいくつか、という程度であり、掛け声などはある程度べつのキャラクターにも使いまわされている(例えば赤木・魚住・牧の巨漢系は共通のボイスが多いなど)。
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またボイスではなく原作の歓声を再現したものとして、翔陽の花形がゴールを決めたときのレアボイス「花形!花形!花形!」があり、数少ないキャラクターの名前が呼ばれる(それも連呼される)ボイスとしてインパクト抜群。花形本人は特に重要人物でもなく脇役なのだが、スタッフにファンでもいたのだろうか……。
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試合終了後にはランダムで勝ちチームの選手が勝ち台詞を言うのだが、これも一部キャラのみボイスが当てられている。
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キャラクターの個性もある程度は原作に忠実。
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桜木はジャンプ力とスピードに長け、流川は華麗なダンクが強み。赤木などの巨漢キャラはゴール下でジャンプすると相手を吹き飛ばしてゴールを決めることができ、三井や神といったスリーポイントシューターは他キャラより大幅にスリーポイントシュートが決めやすい。
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試合前やゴールを決めたときなど、美麗とまでは言わないが原作(およびアニメ)に忠実なキャラクターカットが表示される。
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CPU戦は選択した高校以外を2周勝ち抜く形式。1周目はCPUチームのメンバーがスタメンではなく、一部のキャラは控えと入れ替わっている(先述の小暮など)。6試合勝ち抜くとチームごとに固有エンディングがある。
特徴・評価点
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簡単な操作で派手な「テクニカルダンク」が決められる。
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前述したとおり複雑な操作を一切必要とせず、Cを押しながらレバーとBのみである。テクニカルダンクの種類や発動するか否かは、ボールを所持しているキャラクターやゴールとの位置によって決まる。ただしテクニカルダンクが使用不能なキャラクターもいる。
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ボールを高く掲げたまま空中で回転してダンクする、一度ボードに投げて跳ね返ってきたところを決める、など見た目の派手さ+効果音によって爽快感抜群。なお一部ダンクではないシュートもある。
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仙道のダブルクラッチ、花形のフェイダウェイショットといった原作再現のテクニカルダンクも。
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またテクニカルダンクとは別に、通常のBボタンのみのダンクの重たさもなかなか気持ちよい。ダンクを何度も繰り返したあとに、一部のダンクをもう一度決めるとゴールが粉砕されるという演出も。
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基本的に点数などに加算要素がないためテクニカルダンクは「魅せ」の要素が強いが、一部の技はダンク時にボール持っている位置の関係上ブロックしづらかったり(ブロックはボール目掛けてジャンプして手をふらないといけないため)、ダンクの種類によってスピードが違うため相手がジャンプのタイミングを逸したりと、実戦的な意味もある。
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「ダンクの爽快感」及び「高さの攻防」に的を絞ったスピーディかつシンプルなゲーム性。
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スピード感を重視し、バスケットボールのルールの多くがオミットされている。
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コートの周りには見えない壁があってボールが外にでることがない(つまり誰もいないところにボールを投げてしまっても、試合が一時中断することがない)。
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前述したとおりパスがカットされることもなく、その辺りに心を砕く必要はない。
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このあたりは面倒な要素を削り爽快感を重視したであろうビデオシステムの「スーパーバレー'91」に通じるものがある。
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バスケットボールのルールに則って一度シュートするためにジャンプをしてからそのまま着地した場合ボールを手放してしまい、シュートフェイクをかけた場合=ボールを両手で掴んだ場合は一度パスしないとドリブルができないが、それ以外では立ち止まったりしてもドリブルを自動的に続けてくれるため、ボールを保持したまま動き回るのは容易。
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このゲームはファールの概念がなく、例えば身体接触などをしてもファールをとられて試合が止まることはない。
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逆に高さの駆け引きが重要である。
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リバウンド時の高いところにあるボール目掛けてや、シュートブロック時に相手に合わせてなど、ジャンプのタイミングが勝負を制する。
問題点
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ゲーム部分で釈然としない点がいくつか存在する。前述したシンプルな操作の裏返しになるが、ゴールや相手との位置関係・状況によって行動が決まるため、「これといったタイミングで狙った行動ができない」「なぜかさっきはできたのに今はでなかった」という状況が多い。
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例えばテクニカルダンクを狙ってCを押しっ放しにしたのに普通のシュートがでた、Cを押して相手に突っ込んだのにテクニカルドリブルが発動しなかった――など。
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またこれもCボタン絡みになるがその場に軸足を固定してとどまるピボットは、どうにもでたりでなかったりで行動の利点もいまひとつわからず、さらにこれがでてしまうとキャラクターがその場に立ち止まってしまうので、例えば「相手のディフェンスを置き去りにしてゴールに一直線し、華麗なテクニカルダンクを決めようとCを押したらピボットしてキャラが停止。その間に相手の守備が戻ってきてしまった」などという状況がよくある(そうならないこともある)
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恐らく内部では何らかの条件があるのだろうが、わかりづらさや釈然としなささは否めない。
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中途半端なキャラ性能再現。キャラクターの性能はある程度再現されていると前述したが、逆に言うとある程度でそう細かくはない。例えば背の高さが3段階程度でどれぐらいか、足は速いか遅いか、ジャンプ力はあるかないか、ぐらいなどである。
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特に赤木・魚住・牧の巨漢キャラはこれも前述したとおりボイスの共通も多いため、かなり個性が見出しづらい。
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また細かい話になるが少々違和感のある設定のキャラクターもいる。例えば桜木花道は原作では初心者でシュートもおぼつかず、ダンクは身体能力によって可能なもののそこまで派手なことはできないはずである。が、本作ではテクニカルダンク対応キャラなので華麗なダンクの数々を披露することができる、等。
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これも「タイプ:テクニカルダンク対応キャラ」などわりとキャラクターのテンプレートが大雑把で、そこに桜木が当てはまっているためだと思われる。例えば本当に細かい話だが、桜木は「普通のダンクはできるが、テクニカルダンクはできない」などにすれば原作再現になるのだが……。
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高さの攻防を軸にシンプルに刈り込んだゲーム性が本作の特徴だが、これによって活躍しづらいキャラクターがでてしまうという弊害が。
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例えば湘北の宮城。彼は原作では背が低いがスピードがはやく小回りによって活躍する、というキャラであった。しかし本作ではスピードは「足が『タイプ:速い』です」としか再現されず(背が高くて「タイプ:速い」はたくさんいる)、もちろんダンクもできないので結局他キャラクターに比べいいところがなくなってしまっている。
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また背が低くジャンプ力もないキャラクターと背が高いキャラクターがマッチングすると、どんなに頑張っても前者がシュートブロックすることができない、という極端な状況も。確かにバスケにおいて背の高さは有利不利に大きく直結するのだが…。
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とにかく背の高さ、ジャンプの高さのあるキャラクター(花形など)に勝利への貢献が偏重してしまう。
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その他細かい微妙点、不満点
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なんと試合中のBGMがない。OPやチーム選択時などはあるのだが……。リアルな臨場感を志したのだろうか?
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前述のとおりインターハイ予選がモティーフだが、この辺りの原作を再現したデモなどはない。エンディングはボイスつきのちょっとした小芝居。
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ふたつのボーナスゲームのうち「スラムダンクコンテスト」は一回のダンクで終わるからいいのだが、「フリースローコンテスト」は飛ばせずに30秒かかる。ハイスコアに興味がなければ特に試合には関わらず、正直やっていて単調で面白みのあるものでもないため、「30秒の休憩タイム」となりがち。
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CPU戦でのみでてくる控え選手は、プレイヤーが使うことはできない。おれの湘北の眼鏡君は控えなんかじゃねえぜ、というひとには少々悲しい仕様。
総評
なにか驚くような斬新さや、眼を見張るような完成度、原作への溢れる愛といったものがあるゲームではない。
しかしシンプルな操作やルールによってダンクの爽快さに重きが置かれた一種の潔さがあり、これが非常にスマートなプレイ感覚に結実している。客観的にみて佳作の称号はじゅうにぶんに与えられるべきであろうし、いわゆる「キャラゲー」としてむしろゲーム部分にこそ見るべきものが多いという意味で珍しい一作かもしれない。
その後の展開
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アーケードから家庭用への移植は存在しない。
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三十年近く前のゲームであり、ゲームセンターで見かける機会もあまり多くはないであろう。実のところそのあたりが本作最大の欠点といえなくもない。
最終更新:2023年12月04日 13:55