D.C.II To You ~ダ・カーポII~ トゥーユー

【だかーぽつーとぅーゆー】

ジャンル こそばゆい学園恋愛アドベンチャー(サイドエピソード集)

対応機種 Windows 2000~Vista
発売・開発元 CIRCUS NORTHERN
発売日 2009年6月26日
定価 5,800円
レーティング アダルトゲーム
配信 2016年9月7日/2,980円
判定 なし
ポイント サイドストーリー集
梅雨に関連したストーリーが主体
ボリュームは少なめ
本編プレイ推奨
D.C. ~ダ・カーポ~シリーズリンク


概要

D.C.II ~ダ・カーポII~』の前日談及びアナザーストーリー集。
梅雨に発売され、『雨』をモチーフにしたこそばゆくて切ないストーリーが多い。 尚、決してダジャレではない *1
本編では明かされなかった過去ストーリーを垣間見ることができる。そのためか、分岐する選択肢は(無駄な物を除いて)一切ない。

シナリオ

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紫陽花
あじさい。朝倉姉妹の実母である由姫と、朝倉家に世話になった幼い義之のストーリー。
回顧録である上、回顧する時系列が本編の2年前であるため、過去における回顧録である。
音姫と由夢の性格が本編とは全く異なるため、新鮮味はあるかもしれない。
HなCGはあるものの、子供時代のストーリーのため、18禁シーンはない。

雪月花
小恋シナリオの後日談にて、杏と茜との出会い、そして渉と杉並との出会いを回顧するストーリー。
何かと不遇だった小恋に焦点があてられているため、ある意味小恋救済ストーリー。
シリアスな場面こそあるが、ほとんどが日常的なシーンで占められている、本作の中では異色の物語。
本シナリオのみ、義之にボイスがあてられている。

まひるに降る雨
まひると、その友達であるミキの話。時系列的には10年ほど前。
まひるとの出会い、そして別れを回顧したストーリー。
本編のまひるシナリオをやっていれば結末は容易に想像はつくが、わかっていても涙溢れる泣きシナリオである。
義之が全く関わらない回顧録なので、当然18禁シーンはない。

機械の心
唯一の外伝。時系列は本編よりやや前の梅雨時。雨降りしきる中、義之は一体のμを拾う。
しかし、そのμは他のμとはどこか雰囲気が違っていた。(詳細は後述)
やがて、感情豊で、ドジでお茶目なμに、義之は段々と心惹かれていくが…。

キャラクター

既存キャラはコチラを参考のこと。

以下は本作のみ登場するキャラ、または本作で特筆すべきキャラの紹介となる。

朝倉由姫
朝倉姉妹の母で。ある理由から不治の病に冒されている。
正に理想的な母という言葉がぴったりの女性。幼い義之の良き義母でもある。
ただ、三咲里奈氏の演技もあってか、少しだけお茶目な面もある。

朝倉音姫(幼少)
朝倉家の長女。まだ幼いのに、料理が得意。性格はよそよそしく、義之には特に冷たく接している。
由夢にはお姉さんっぽい面を見せるが、本編とは違い呼び捨てで呼ぶ。
後半になると、本編における「世話焼きお姉さん」という一面を垣間見ることができる。

朝倉由夢(幼少)
朝倉家の次女。会って間もない義之のことをすんなり「お兄ちゃん」と呼び、慕う。
甘えん坊で、よく音姫に注意される。お調子者の節があり、やっぱり姉に突っ込まれる。
義之とは非常に仲が良く、音姫のことをどうにかできないかと一緒に相談したりもする。

高松久美子
義之が付属1年のときに赴任した教育実習生。分け隔てない爽やかな笑顔と口調が特徴。
スタイルも良く、あることがきっかけで義之と接点が生まれる。
小恋の恋のライバルになるかと思われていたが、別にそんなことはなかった。

朝比奈ミキ
まひるの親友で、ブラザー。それまでは卒のない学級委員長で、誰とでも仲良くする模範的な生徒。
かなり押しの強い世話焼きな少女だが、実際は家庭の環境から、友達と呼べる人はいないと自負している。
まひると出会うことで、本当の親友を作ることができ、看護師となる決意が出来た。ちなみに回顧録では陸上部。

μ(後、咲夜)
本作の舞台では商品化されているアンドロイド。ただし、感情が非常に豊で、他のμとは異なる印象。
奉仕用メカなのに、家事はダメダメで、由夢も真っ青なほど台所を荒らして回る。
HMシリーズの系譜の例にもれず、バナナが大好物。

評価点

  • シナリオ
    • 泣き系が多いものの、シナリオ各所は良くまとまっている。日常シーンも何気ないシーンに重要な要素があるなど、無駄といえるシーンはほとんどない。
      • 「紫陽花」は本編ではほとんど見られなかった純一とさくらのやり取りが多いのが魅力。さくらの外見はほぼ変わっていないが、月日が経っても二人の間柄が変わらないことを感じさせる。
      • 「まひるに降る雨」は前述通り義之が関わらない回顧録なので、ミキが事実上の主人公になっている。本シリーズでは非常に珍しい形式のシナリオで非常に新鮮。
      • 外伝である「機械の心」はIの美春シナリオ、本編の美夏シナリオ同様に別離へと至るのだが、その原因は「ロボットであること」が理由の前二つとは違ったもので、二番煎じ的にはなっていない*2
      • 泣き系に唯一該当しない「雪月花」はどのようにしていつもの六人になったのかが見られる。本編の日常シーンではこのいつもの六人が占めるウェイトが大きいため、その原点はある意味で必見。
  • ボーカル曲
    • 主題歌である『レンブラントの光』を始め、名曲の宝庫といえる。
    • また、本編の楽曲から唯一『cloudy』が再登場し、まひるシナリオで幾人もの涙腺を崩壊させた*3

賛否両論点

  • ボリューム不足
    • シナリオが4つというのもそうだが、各シナリオはあまり長くない。それでミドルプライスはやや対価に見合わない。
  • シナリオの一部消化不良
    • 挙げられるのが、朝倉姉妹のこと。結局、いつ本編における『世話焼きお姉さん』『ツンデレだらだら妹』になったのかが不明瞭*4
      • もっとも、音姫に関しては本編内の回想で、間違いなくその切っ掛けとなった出来事が描かれている。由夢も設定を考えれば、切っ掛けは容易に推察できる。それは裏を返せば本作だけでは結局分からないということだが…
    • 久美子に関しても、「延長された実習期間に何があったのか?」という謎が残ったまま。本筋とは特に関係ないと言ってしまえばそれまでだが…
    • 「雪月花」は小恋と杏、茜がどのように仲良くなったのかがよく描かれる反面、義之・杉並・渉の三人ついては「いつの間にか仲良くなってた」と言う義之のセリフ通り、仲良くなるまでの描写はほぼ皆無。
      • シナリオタイトル的に雪月花の三人の方を優先するのは間違っていないのだが、いくらなんでも適当すぎである。

問題点

  • シーンにそぐわない演出
    • クライマックスのある1シーンのスチル(一枚CG)とテキストの整合性が合っていない。
+ ネタバレ注意

音姫と由夢の母親である由姫が、前作の主人公、かつ義父である純一の腕の中で息絶えるという話なのだが、スチルは「純一に抱かれておらず由夢に泣かれながら亡くなっている」というチグハグな構図となっている。
むしろ未プレイヤーからすると「純一の手が置かれている音姫が死んでいる」という風にも受け取られてしまう、なんともシュールな光景と化してしまっている。

泣きゲーの泣きシーンでこれは致命的すぎる不具合となってしまった。


総評

DCシリーズにおけるシナリオと曲のクオリティは健在だが、ボリュームが決定的に不足しているのが目立った。
本編プレイ推奨なので、本作自体の需要が多いかというと、そうでもないのが救いか。
一応、中古であればかなり値崩れしているため、本編を攻略したプレイヤーなら、購入を薦めたい。

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最終更新:2023年04月20日 15:47

*1 to you→トゥーユー→ツーユー→梅雨。

*2 美夏シナリオはエピローグで帰って来るが、ロボットであることが原因で別離に至っている点については美春シナリオと同様。

*3 一応μシナリオでも使われるが、使い方が半端なため、まひる専用BGMという認識が大きい。

*4 ゲーム内でも突っ込まれているため、その辺は各々の脳内補完に任せる、という意味合いが強いと思われる。