本項目ではSFC用ソフト『魔女たちの眠り』と、移植版であるPS用ソフト『復活祭』及びWin用ソフト『完全版』の紹介をしています。
『完全版』に「修正依頼」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。依頼内容は「追加要素の加筆」です。
魔女たちの眠り
【まじょたちのねむり】
ジャンル
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サウンドノベル
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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パック・イン・ビデオ
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開発元
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港技研
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発売日
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1995年11月24日
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定価
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10,800円(税抜)
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書換
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ニンテンドウパワー 1997年12月1日/1,000円/F×6・B×4
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判定
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なし
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ポイント
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今夜は寝かさんぞ!!
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ビクターサウンドノベルシリーズ
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その峠を越えると、そこは……
暗い秘密に閉ざされた恐怖の村……
概要
人気作家・赤川次郎氏の小説『魔女たちのたそがれ』『魔女たちの長い眠り』を原作としたサウンドノベル。
ストーリー
会社員・津田(名前は変更可)は、幼馴染の依子(同じく変更可)が分校教師をしていた山奥の村を訪れた。
しかしその夜、村の実力者の娘が行方不明になり、死体となって発見される。
村人達は、山奥にある「谷」の住人達の仕業と口を揃えるが…。
特徴
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プレイヤーはまず『たそがれ』を原作とした「第一幕」と呼ばれるシナリオをプレイする。結末は複数あるが、その中には事件が未解決のまま終わるものが4種類存在し、それに辿り着くと、それぞれ違った「第二幕」へと進める。
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4種類ある第二幕のうち1つは、『長い眠り』を下敷きとしているが大幅にアレンジされており、主人公も第一幕と共通である。
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原作の『長い眠り』では、『たそがれ』の主人公は存在自体がスカッと忘れ去られていた。
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登場したキャラクターが登録される「登場人物表」というものが有る。コンプリートすると、隠し要素の「完結編」を読む事ができる。
評価点
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人気作家の作品が原作なだけあり、物語としての面白さは保証されている。
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どんでん返しも多く、またルートによって展開がガラリと変わるため、後述の問題もあるが新鮮な気持ちでプレイできる。
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物語も大分アレンジされている上、『長い眠り』の新キャラ達も意外な形で登場してくるので原作読者でも楽しめる。
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特に原作があまりにも救いの無い結末であったため、救われるエンディングが存在するのは嬉しいところ。
問題点
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冒頭、1/2の確率でヒロインが殺害される。主人公の回想での「津田さんのお嫁さんになるんだ!」はもう死亡フラグにしか聞こえない。
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生存ルートでも、ハッピーエンドと呼べるものはほとんどない。とは言っても原作のオチがオチだから生還できる可能性があるだけマシか?
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第一幕は、ルート分岐にかかわる重要なものは数える程しかなく、それ以外はどれを選んでも殆ど展開は同じ。
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もっとも、前述の登場人物表を埋める上では色々選んでみる必要があるので、似た様な問題を抱えた『夜光虫』よりは意味が有るが。
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エンディングの1つに「主要キャラの1人が魔物に記憶を全て奪われる」というものがある。
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しかし、その人物は記憶を消された直後に、自分の祖父を「じっちゃん」と当たり前のように呼ぶ。
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序盤の「村の入り口」で現在位置図を呼び出すと、何故か現在位置が山のテッペンになっているというミスがある。
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『かまいたちの夜』『月面のアヌビス』の様な章単位の読み返し機能は無い。
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第二幕まで読み進んでいた場合のみ、第一幕と二幕の好きな方の冒頭から読み返せるが、第一幕から読み返すと二幕にはまた読み進み直さなくてはいけなくなる。
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エンディングリストは無いので、二幕のエンディングを揃えずに一幕をやり直すと、非常に手間がかかることになる。第一幕はやたらと長いので…。
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さらに完結編は、第二幕の特定の結末から読み進まなくてはいけないので、これまた手間がかかる。
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しかもこの完結編、登場キャラがプレイヤーの質問に答えてくれるだけで、「物語上の完結編」ではまったくない。当時のスタッフのコメントによると容量の都合で削られたとのこと。
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そのためか、攻略本の初版では書かれていた完結編に関する記述が、第2版以降は消されている。
魔女たちの眠り 復活祭
【まじょたちのねむり ふっかつさい】
ジャンル
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サウンドノベル
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ビクターインタラクティブソフトウェア
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開発元
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チームクレイズ
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発売日
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1999年4月15日
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定価
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3,800円(税抜)
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レーティング
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CERO:D(17才以上対象) |
配信
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ゲームアーカイブス:2010年12月22日/600円
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判定
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なし
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ポイント
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多恵、女に見える様になったねぇ
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概要(復活祭)
同じ赤川次郎氏原作のサウンドノベル『赤川次郎 夜想曲』の発売に合わせて作られたリメイク版。
『夜想曲』に準じた仕様になっており、便利機能や新シナリオが追加された。
主な変更点
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背景、イベントスチルなどのグラフィックは基本的に総入れ替え。
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一部シーンにはムービーによる演出が追加されている。
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冒頭でヒロインが助けを求めるシーンなど、僅かながらボイスも収録されている。
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一度辿り着いた第二幕・完結編は、自由に読み直せるようになった。
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前述のSFC版では削られた「物語上の完結編」や、『夜想曲』の予告編に当たるシナリオが追加された。
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「のどかなシーンで緊迫した曲が流れる」「村を案内されているシーンの背景が何故か月夜」など、理解に苦しむ変更もある。
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「頭が痛いのよーん!!」「お前は新妻か!!」「んな事は聞いてねえよ!!」と言ったギャグ系の台詞が、なぜか毒にも薬にもならない台詞に差し替えられた。
魔女たちの眠り 完全版
【まじょたちのねむり かんぜんばん】
ジャンル
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サウンドノベル
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対応機種
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Windoows
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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発売日
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1996年11月22日
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定価
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6,800円(税抜)
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判定
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なし
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ポイント
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何故か退化している完全版
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概要(完全版)
1996年に発売されたWin版。
「完全版」と銘打っている割には発売時期の関係上SFC版に毛が生えた程度で、当然ながら後発のPS版の要素は一切無し(バックログすら無い)であった。
PS版発売後にこの内容のままで2001年に廉価版として「完全版」を名乗ったまま再発売したことを考えると、明らかに詐欺といわざるを得ない。こちらを購入するくらいならPS版を購入する方が質的にも値段的にもお得であった。
解像度が640x480で固定されていて変更不可のため、昨今のディスプレイでフルスクリーンで画面一杯に表示したい場合、ゲーム側に合わせてデスクトップ解像度を下げるかディスプレイ側で引き延ばし機能のある機種を使わないと非常に小さく表示されてしまう。
総評
色々と不便な所はあるが物語の出来は折り紙付きで、原作よりも救いのある結末、アレンジの大きさなどから原作読者なら特に楽しめるだろう。
逆にゲームを先にプレイした人は、原作を読んでショックを受けることが多いようだが…。
原作者の赤川氏は「この小説をゲーム化したい」と言われて驚き、さらに実際にプレイしてみて「スタッフは原作者以上に原作を愛してくれている」と語ったというエピソードがある。
これを切っ掛けに、同じ制作元による赤川氏原作のサウンドノベル『夜想曲』『月の光 沈める鐘の殺人』が作られていく事になる。
最終更新:2024年04月14日 14:00