課長 島耕作

【かちょうしまこうさく】

ジャンル スーパービジネスアドベンチャー
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 ユタカ
開発元 トムクリエイト、ピクセル
発売日 1993年9月17日
定価 9,800円
セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ)
判定 なし
ポイント 原作初期を再現
選択肢の意味は…


概要

1983年に連載が開始し、現在も『会長 島耕作』として続いている人気青年コミックのゲーム版。
まだゲームが子供のものとして扱われた時代にも拘らず、かなり大人向けのタイトルになっている。
原作初期の鳥海赫子のエピソードから始まり、基本的には原作をなぞる形で進んでいく。失敗していきなり京都に左遷されたりもするが。

システム

  • 基本的な部分はサウンドノベルに近く、画面は基本黒一色。ストーリーの中で、バックに背景となる『ビル街』や『オフィス』が描画されたり会話している人物の顔グラフィックが出たりする。
    • 形は異なるが、漫画のコマ割を感じさせる演出になっている。
  • 物語の中で四択の選択肢が何度も提示され、それを選ぶことで展開が変化する。
    • ストーリー的にはあまり変わらなくても、エンディングで表示される「島耕作度」に影響していたりする。

評価点

  • SFCながらもしっかり『島耕作』
    • 企業内でのドロドロとした人間関係や醜い派閥抗争など、原作で描かれた会社組織の暗部もできる限り入れられている。
    • また、さすがに直接的なシーンはないものの濡れ場もある。ベッドに横たわるアイリーンの姿も拝める。
    • 各章最後の「課長 島耕作のビジネス方程式」も良い感じ。「会社と家庭、どっちをとるのか?」「友人が背任行為をしていると知ってしまったら…」など本編に絡めたものである。
  • 漢字を多用し、字が大きく読みやすい
    • 原作での表記をそのまま使っていたりもするので、それこそ大人にとってはこの方が読みやすくていい。
  • 場面にマッチしたBGM
    • ジャズバーの場面ではちゃんとジャズが流れ、バリ島のエピソードではケチャックダンスに合わせてケチャが流れる*1など、その場に合ったBGMを使って雰囲気をうまく作り出している。

問題点

  • オリジナル要素が薄い
    • 基本的にも応用的にも原作に忠実で、選択肢で行動を左右できないこともある。というか、わざわざゲームを遊ばずとも原作を読めば事足りてしまう。
    • 評価点と矛盾するかもしれないが、ゲームとしてプレイする以上「ゲームオリジナルの要素」も入れてほしかったのがユーザーの本音だろう。
  • 倫理上の問題?
    • さすがに青年誌の作品をそのまま出すのは無理だったようで、濡れ場以外にもあちこち修正されている。「ウタマロ」が「何か」になっていたり。
    • そのせいもあって、ニューヨーク編は中盤以降がカットされている。不倫や妊娠、人種偏見などゲームで扱うには重すぎたか。
    • 水口氏の件も、原作での「共産主義的な内容で批判され、十日で打ち切られる」というものではなく「社会的弱者への差別表現が原因で批判される」というものになっている。こちらの方が危ない気もするが…。

総評

SFCとしては珍しい大人向けADVで、出来自体は悪くない。
が、原作を知っていると展開が全部わかってしまい、未読だと話のつながりがわかりにくいというジレンマがあり、あまりゲーム化した意味はなかったかもしれない。

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最終更新:2021年11月07日 11:09

*1 原作では「アレ」なシーンだったが、当然ゲームでは別の表現に変更されている。