F-1スピリット
【えふわんすぴりっと】
ジャンル
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レーシング
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対応機種
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MSX
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1987年10月
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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なし
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概要
ロードファイターのシステムを改良発展させた見下ろし型2Dレーシングゲーム。
上下以外に左右にも画面がスクロールするなど、制約の多いハードながらコースに広がりを持たせるといった工夫がなされている。
パーツをカスタマイズするシミュレーション要素もある。
システム
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各種レースに出場し、ライバル車を抜いてクオリファイポイントを稼ぎ、ドライバーの夢であるF1グランプリで全勝優勝することが目的。
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ストックカー(市販車改造の競技用自動車)から始まり、一定以上ポイントを稼ぐ事でラリー・F3・F1の上位レースへと出場できる。
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F1の最終レースであるオーストラリアGPに出場可能となるにはポイントが180必要。つまり、それまでに出場可能な下位カテゴリ5レースおよびF1の15戦全てで一度は1位を取らねばならない。F1オーストラリアGPでトップでゴールインするとエンディングとなる。
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クオリファイポイントの取得状況はパスワード(英字24文字)でコンティニュー可能。
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各種レース毎に自車のパーツをカスタマイズする事ができる。コースに合ったカスタマイズをする事で、自車はカタログスペック以上の性能を発揮する。予めパーツの決められた3種類のセッティングに加え、各パーツを自由に設定してオリジナルマシンを組む事も可能。
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ENGINE
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燃費と最高速度を左右する車両の命。が、コース中のピットで燃料補給することはできる。
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BODY
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重量と硬度を左右する外装。硬度があれば多少障害物にぶつかっても走行不可能になるようなことはない(その代わり重量が重く加速が鈍る)。
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BRAKE
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制動力を決定付けるパーツ。実際の車のブレーキ同様、使い続けると利きが悪くなる。上級者向けはポンピングブレーキのテクニックが必要。
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SUSPENSION
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わかり易く言えばタイヤの軸。コーナリング性能とグリップに影響する。上級者向けはコーナリング性能が高い代わりにスピンしやすくなる。
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GEAR
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ギアチェンジ操作の不要なオートマチックと、ギア比の異なるマニュアル2種類(低速での加速重視、高速での伸び重視)を選択可能。
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レースそのものは『ロードファイター』同様にライバル車をかわしながらゴールを目指すというもの。
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ガードレールや敵車両と接触すると一定の確率でパーツが破損し、走行が困難になる。走行やクラッシュにより燃料が無くなった場合はリタイアとなる。
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スタートライン前後に設置されているピットに入る事で燃料補給や修理が行える。ただしその間にもライバル車両はプレイヤーを追い抜いていくため、安易なピットインは避けなくてはならない。
評価点
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シミュレーションゲームとしての側面もあった事
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当時のレースゲームと言えば、「F1」という単一のテーマのみを取り上げたものや、「カーレース」という抽象的な内容であるものが大半を占めていた。
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対してこの作品は、きちんと一ドライバーからの成り上がりを描いており、他のレースゲームとは一線を画する内容であった。単純にバリエーションも多い。
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「ストックカー」という明確な名称を用いていた事も大きい。他にもF3やF3000という、F1の影に隠れがちなクラスも扱っている。
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一応ではあるが、耐久レースの存在もある。ただしゲームのため周回制にはなっている。
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レース部分の設計も綿密
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「周回遅れ」の概念があり、基準タイムよりも早く走っていると雑魚ライバル車を抜いても2分の1の確率で順位が上がらなくなっており、単純なゲーム性にありながらも忠実再現を試みている。
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雑魚ライバル車とは別に、車両性能が拮抗していて抜きづらい青いライバル車が存在し、それを抜かないと決して1位になれない。
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パーツセッティングの自由度
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複数のレースが存在するが故に、それに合わせたパーツを組む楽しみがあった。
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グラフィック・サウンドの評価が非常に高い
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ピットイン時には自車が拡大され、コンマ単位で刻まれるタイムとピットから出て整備を行うメカニック達の様子までもが映し出される。この画面に限りスピードに合わせてスクロール速度が細かく変わるため、ピットから発進する様子もかなりの疾走感があった。
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タイトルからゲームスタートする際も、チェッカーフラッグとその合間に描かれるレースやドライバーの一枚絵がとても秀逸。
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コースも大きくうねるカーブが取り入れられており、それに合わせて大きくスクロールする事でコースの幅広さを見せている。
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コナミMSX作品に用いられる拡張音源「SCC」を採用しており、豪華な音源と曲自体の評価が合わさってユーザーの熱い支持を集めている。
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2人プレイも可能で、裏技として最初から全コースがプレイ可能なパスワードも出回っていたため、ちょっとした接待ゲームとしても重宝した。
問題点
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若干ハードルは高め。
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パーツのセッティングが存在するため、ある程度の知識が必要。
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プリセットがあるとはいえ、セッティングがレースの有利不利に直結してしまうため、知識があるに越したことはない。
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ほとんどのエンジンは燃費が悪いだけのハズレで、ピットイン無しでゴール可能な2種(低速域重視の左から4番目か、高速域重視の一番右)に事実上絞られた。残りのパーツはプレイヤーの腕に応じたセレクトとなり殆どのプレイヤーは中級者向けの真ん中のパーツを選択していたため、実質的にセッティングのバリエーションは限られた。
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実際のレース同様、順位によるポイント制を採用しているため、完走だけでなく上位を狙わなくてはならない事も拍車をかけている。
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レース中の動作が重い。
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特にスクロールに弱いMSXであったために、スクロールが数ドットずつ飛んでおり、ガタガタとした重い挙動と体感しやすい。
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PCGと呼ばれる8x8ピクセル単位で画像描画を扱う画面モードしか持たないMSX1のため、割り切って8ドット単位でスクロールしているためである。なおハードウェア的に縦スクロール機能がサポートされたのはMSX2から、縦に加えて横スクロールもサポートされたのはMSX2+からである。
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コースのバリエーションが案外少ない。
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F1のコースはゲーム発売年である1987年のF1グランプリ16戦のコースを模している。とはいえ、個性ある下位カテゴリのレース、低速コーナーが初登場して初心者殺しのF1第3戦サンマリノGP、縁石のゼブラがトリコロールで印象的なフランスGPやゼブラが青い西ドイツGP、といった個性的なコースが続出していた前半をクリアした後、途端に没個性なコースが続くためダレてゆくのは否めない。対戦プレイでもたいていはラリーかせいぜい日本GPぐらいしか遊ばれていなかった。
総評
古くから続く見下ろし型レーシングゲームを順調に進化させ、自車カスタマイズシステムを搭載した2Dレーシングゲーム。
現代の3Dレーシングゲームでは標準搭載されることの多くなった自車カスタマイズシステムがこの頃に実装されていたのは特筆すべき事項だろう。
当時のMSXレーシングゲームとしては、グラフィックやサウンド、雰囲気が大人びており、大変評判のよろしい物だった。
余談
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続編として「F-1スピリット 3Dスペシャル」がリリースされている。
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MSX2+の本体発売に合わせたローンチタイトルのひとつだった。ハードウェア横スクロールが可能となったことに伴い、タイトルの通りバックビューによる擬似3Dとなっている。
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ROMカートリッジではなくフロッピーディスクでの供給となったためSCCは搭載できず、コナミMSXゲームで唯一のFM音源対応ゲームとなった。
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当時F-1スピリットとのカップリングで発売されたサントラのライナーノーツに、(他機種と比べ貧弱なFM音源のせいで)曲想が制限された旨の愚痴とも取れる記述がある。
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パナソニックからMSX用の操縦桿コントローラー「ジョイハンドル」が発売された際、本作の内容を改変した「A-1スピリット」が同梱されていた。
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基本的なゲーム内容は同じだが、マシンが飛行機のような三角形のものになる、500km/hものスピードが出せるといった変更点がある。ある意味『F-ZERO』の先駆けである。
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ただし、スピードが速過ぎてゲームにならないといった問題もあり、あくまでもコントローラーのテスト用ソフトと見た方が良い。
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「A-1」とはパナソニックが販売していたMSX機種のシリーズ名から採られたもの。
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本作のストックカー戦とF-3戦で流れるBGM、「Hot Summer Riding」は同社のアーケードゲーム『A-JAX』の没曲を流用したもの。
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2014年に本作と「3Dスペシャル」の2作品を収録したサウンドトラックがEGG MUSIC RECORDSより発売された。
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ライセンスの関係上、「MSX RACING SPIRIT」に改題の上で発売されている。
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本作の開発が始まった頃はまだSCC音源ができていなかったため、音楽担当の古川元亮氏は2台のMSXに半分ずつ曲データを入れて同時に鳴らして曲を作っていた。その後、SCC音源ができあがると「何かサンプル曲を作ってくれ」との依頼があり『A-JAX』で没になった曲を移植した。結局その曲も本作で正式に採用されたことで日の目を見ている。ちなみにサウンドドライバはモアイ佐々木氏が作ったとのこと。
移植
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1991年にゲームボーイに移植されている。
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原作とは異なりF1・F3・F3000のみが舞台となった。
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サウンドを変更しており『Over Drive』の物を使用、ライバル車両との接触判定が消滅している等の差異がある。
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後にコナミGBコレクションVol.1に『コナミレーシング』とタイトルを変えて収録される。こちらは対戦機能が削除され、コース名が一部変更されている。
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1988年に稼働したアーケードゲームの「チェッカーフラッグ」はゲームシステムに本作との共通点が多く、事実上の本作のアーケード版といえる。
最終更新:2023年06月22日 20:25