がんばれゴエモン ~宇宙海賊アコギング~

【がんばれごえもん うちゅうかいぞくあこぎんぐ】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 コナミ
発売日 1996年3月22日
定価 5,800円(税抜)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1ブロック使用
レーティング CERO:全年齢対象
※PS one Books版から記載
廉価版(税抜) PlayStation the Best for Family
1997年3月20日/2,800円
PS one Books
2002年12月12日/1,800円
配信 ゲームアーカイブス
2007年9月27日/600円(税込)
判定 なし
ポイント シリーズ最高クラスの難易度
ゲーム性とBGMは良好
がんばれゴエモンシリーズリンク

概要

プレイステーション版「がんばれゴエモン」シリーズの第1作目。シリーズ10周年記念作品。
SFCシリーズと同じくドットグラフィックによる2Dアクションだが、一部のボス戦などで3Dグラフィックによる演出を取り入れているのが特徴。
システム面ではSFC版『3』を踏襲している。


ストーリー

ある真夜中のはぐれ町。
何故か素っ裸で眠りこけていたゴエモンは、駆けつけてきたエビス丸に叩き起こされる。
彼が言うにはどうやら裏山で山火事が起きているらしい。
様子を見に行ったうらら山で、山賊ゴロクと出会い彼を仲間に加えたゴエモン達は探索の末、大破した謎の宇宙船と、
その持ち主である宇宙警察銀河大隊の女刑事ババンと出会う。
彼女が言うには、宇宙中の宝を我がものにしようと企む宇宙海賊アコギングの船との交戦の末、船が大破し地球に流れ着いてきたという。
アコギングの魔の手が地球に及んでいるらしいと知ったゴエモンたちは、ババンも仲間に加え、新たな冒険の旅に出るのであった。


特徴・ゲームシステム

  • 町を拠点に各地を回りながらステージに入りボスを倒していく、SFC版『3』を踏襲したアドベンチャー要素の強い内容となっている。
  • プレイヤーキャラはシリーズお馴染みのゴエモンとエビス丸に加え、サスケとヤエに代わり、新キャラの山賊・ゴロク、宇宙刑事の老婆・ババンが登場。
    • 各キャラを切り替えつつ固有の能力を生かして進んでいく。
  • 本作での近接武器は経験値(EXP)取得によるレベルアップ方式で強化されていく。
    • 各キャラの武器は初期状態ではレベル1だが、敵を倒す、または雑魚敵が落とす「巻物」を取得することで経験値が蓄えられ、一定値に達するとレベルアップとなり攻撃力と武器性能がアップする。
    • 現在のレベルと取得した経験値は、次回レベルアップに要する必要経験値と共に常に画面下部に表示される。
    • 獲得経験値は仲間4キャラ全員共有であり、レベルが上がれば全員の武器が一律に強化されていく。
      レベル 必要経験値 累計経験値
      1 (初期) 0  0 
      2 1000 1000
      3 3000 4000
      4 (最大) 6000 10000
  • 様々な場所に隠された「招き猫」を4つ集めるたびに体力の最大値がハートひとつ分増える。
  • インパクト戦
    • 本作は『3』を踏襲した二部構成となっており、前哨戦の「激震インパクトステージ」とボス戦の「巨大メカ戦ステージ」からなる。
    • ボスのグラフィックこそ3Dだがコックピットの視点移動の要素はなく、『マッギネス』『3』と同様に近づいてきたボスメカへの迎撃がメインとなる。
    • コマンド入力で発動する技構成などの大部分も『3』を踏襲している。

キャラクター

従来作同様、各キャラクターに性能差と能力差が付加されており、状況に応じて使い分けながら進んでいく。
また、本作ではダンジョンを除くフィールド上では4人全員が隊列を組んで歩くようになっており、そのままボス戦に突入する場合もある。

  • ゴエモン
    • お馴染み正義の義賊。
    • 近接武器:黄金キセル。リーチはやや短めだが、レベルが上がると炎が出るようになり持続に優れる。
    • サブウェポン:小判(一両)、溜め攻撃:貫通小判(五両)
    • ジャンプ力は2番目に高い。
  • エビス丸
    • ご存知「自称:正義の忍者」。
    • 近接武器:マジックハンド。レベルが上がるとリーチと攻撃力が増す。
      また、『3』のチェーンキセルのように特定のフックに引っ掛けることができ、長さを調節してワイヤーアクションのように移動に利用できる。
    • サブウェポン:手裏剣(二両)、溜め攻撃:反射手裏剣(四両)
    • ジャンプ力はゴロクに次いで低い。
  • ゴロク
    • うらら山のけわし谷に根城を持つ山賊一味の頭。ゴエモン同様、私腹を肥やす悪人しか狙わぬ義賊であり庶民の味方。アジトの近辺が宇宙海賊に襲われたのを機に、憧れのゴエモンと行動を共にする。シリーズ中でも珍しい、武器を一切使わず素手で戦うキャラ。
    • 口調が少し荒いが、仲間思いの優しい心の持ち主。また、図体は大きいが実は高所恐怖症だったり、ヤエの従姉妹であるおゆきに一目惚れしたりするなど、中々個性的なキャラでもある。
    • 近接武器:武器はなく空手(パンチとキック)で攻撃。一部障害物も破壊可能。
    • サブウェポン:あっぱれ岩の術(三両消費)*1、溜め攻撃:爆発岩(六両消費)*2
      • ジャンプ力はメンバーの中で1番低いが、力を活かして特定のブロックを動かすことができる。
  • ババン
    • 宇宙警察銀河大隊に所属する宇宙刑事。パワードスーツに身を包みサングラスを身に着けたターミネーター風の面持ちの老婆。アコギングとの戦闘で乗ってきた宇宙船「イチバンブロ号」が大破し、地球へと漂着してきた。アコギングを逮捕するべくゴエモン一行に加わり、老婆とは思えぬスタイリッシュな戦い方を披露する。
    • 性格は真面目で、責任感が強く物知りなキャラだが、からくり大介(ボスキャラ)を騙す為のゴエモンの悪戯作戦にノってくれたり、自分が物知りなのを調子に乗って1回だけ嘘を言ったりするなど、お茶目な一面もある。
    • 近接武器:ステッキ*3。レベルが上がるとステッキから衝撃波が出るようになり、攻撃範囲が広がる。
    • サブウェポン:エネルギーウェーブ(一両消費)*4、溜め攻撃:エネルギーウェーブ(射程長。四両消費)*5
      • ジャンプ力は最も高く、ホバリングによる短時間の滞空で遠い足場にも移動が出来る。

評価点

  • 場に応じてキャラを変更しながら進んでいくアクションゲーム性、随所に含まれるギャグなど、シリーズ特有の面白さは健在。
    • 独自のステージとして、上下の操作が逆転する「川下り」と、同社制作のシューティングゲームのオマージュステージ「カメディウス」が用意されている。
    • 中盤に出てくる妖怪山姥は演出もあって非常に怖いと好評である
  • BGMは過去作のアレンジ曲が多数を占めているが、いずれも良アレンジ曲が揃っている。
    • 特に「キンカクギンカクの塔」(『からくり道中』のステージ曲アレンジ)や「亀神殿」(『ゆき姫救出絵巻』の琉球城アレンジ)などのステージBGMは全体的に高評価。
    • 心が洗われるようなメロディの「竜の宮」(『ゆき姫救出絵巻』の曲「ネコがおんねん」のアレンジ)など、ステージBGM以外も人気。
    • 無論、新規曲も過去曲に劣らず良曲揃いである。本作のイメージに見事にマッチングしたメインテーマ、コミカルな和風ロックかと思いきやヘビメタ全開のボス曲など、他のシリーズ作品にも引けを取らない。
    • 作曲陣は山根ミチル氏、山岡晃氏、古川もとあき氏と言った大御所が名を連ねている。
  • CD-ROM媒体になり容量の増加のおかげでアニメーションが滑らかになった。
    • オープニングではPCEのCD-ROM2のような2Dアニメーションムービーが流れる。音声は無いがクオリティはなかなか。
    • 一部のシーンでは3DCGムービーも流れる。インパクトに搭乗するシーンはCGとアニメ絵を融合させたような演出である。
  • 旧作に回帰したインパクト戦。
    • 構成自体は完全な2Dで敵への迎撃がメインなので視点移動の要素がある3D作品に比べて迫力はやや落ちるが、戦闘自体は3D化されており、旧作同様の迫力でバトルが楽しめる。
    • コクピット画面自体は2Dで描かれているため、3D作品におけるインパクト戦で削除されたコクピット側のパイロット描写や戦闘開始前の敵とのやりとりが復活しており、『3』同様ににぎやかになった。
    • 搭乗デモ時の演出やBGM、激震インパクト時のBGMも『3』を踏襲しているので、プレイ済みの人はニヤリとできるだろう。
  • 恒例のゲスト出演
    • SFC版『3』のラスボスだった獅子重禄兵衛が再登場し、意外な形でゴエモン一行を助けてくれる。

問題点

難易度の高さ
今作はゴエモンシリーズでも屈指の高難度を誇っているが、いずれも調整不足に起因するバランスの悪さやシステム上の不備がその要因のほとんどを占めている。

  • 敵を倒しても回復アイテムやお金が出にくい。
  • ボスにたどり着くまでのステージの道のりが長く厳しい。
    • 失敗するとダメージを受けたりミスになる、やり直しになる等面倒なギミックが多い。
      • 特に中盤の「マグマ採掘工場」のエレベーターで下降していく強制スクロールは多くのプレイヤーにトラウマを与えた*6
      • 穴に落ちても残機が減らず体力が減るだけなのは唯一の救いといえる。
  • ボスが非常に堅く、強い。
    • 適正レベルで挑んだ場合少なくとも数十回程度、高耐久のボスならば百回以上の攻撃を撃破に要する。また、単に攻撃するだけでは倒せないボスもいる*7
    • さらにボスの多くがダメージの度合いで攻撃パターンを変えてくるため苦戦を強いられる。
    • その長期戦の中でダメージを受け続けることになるので、招き猫で体力を増やしていても足りなくなることもしばしば。戦闘中に回復アイテムは供給されない。
    • 解析によりボスの体力が異常なまでに多いということが判明。少なくても1万。多いと3万もの膨大な体力を持っているのだが、対するゴエモン達の攻撃力が1ヒットで100から150程度と、雀の涙に等しいダメージ量。これでは時間がかかって当たり前である。
  • セーブ・コンテニュー周りの不便さ
    • SFC版『3』ではボス撃破時の会話イベント後などの節目節目でセーブの機会が設けられていたのだが、今作ではそうした配慮がなく、ボス戦終了後には毎回自力でセーブポイントまで帰還しなくてはならない。
      その上苦労してボスを倒した後、消耗したままの状態で自力でステージから脱出しなければならないシチュエーションも存在し、せっかくボスを倒したのに帰り道でゲームオーバーといった事態も起きかねない。
    • また、「コンティニュー」とは名ばかりのもので、再開する度にセーブデータを読み込まなければならないため、タイトル画面に戻って「つづきから」を選択するのと大差無い。
  • 次の地域に進むと前の地域には二度と戻れない。
    • 招き猫集めをしたり、クリアしたダンジョンや通過した町に遊びに行く事など全く出来ない。その時点で町が利用できるならまだマシだが…。
    • 終盤でミニゲーム「カメディウス」に突入すると後戻りができず、ボスやイベントを挟んでラストダンジョンへと強制的に進まされる。当然、ラストダンジョン内に店や宿屋など無く、準備を怠るとここで詰んでしまう可能性も。
    • しかもラストダンジョン内にも複数の一方通行地形が配置され、もと来た道が塞がれ前のエリアには戻れない。最終セーブポイントでセーブするとラスボスと戦う以外の事が何も出来なくなってしまう。
  • 招き猫を取り逃した場合取り返しがつかなくなる。
    • 高難度の今作において招き猫集めは非常に重要なのだが、上記の通り取り逃してしまうと低体力での進行が余儀なくされ、後々の難易度にも大きく響く。
      • 今現在もネット上で情報がほとんど出回ってない事もあって、招き猫回収の難易度も歴代屈指と言われている。
      • また、往年のシリーズのように招き猫をすべて集めてもおまけの要素が無いため、収集意欲も湧きにくい。
  • レベルアップ要素があるが、レベル4で成長は頭打ちとなる。
    • ザコ敵が落とす経験値アイテム「巻物」は、成長限界のレベル4に達した時点でお役御免となり不要となるのだが、この巻物はレベル4に達した後も引き続きドロップし続ける。巻物以外のアイテムの出現率も上がることが無く、ただでさえ低い回復アイテムの出現率が一層下がる弊害を生んでいる。
      • しかも、累計経験値10000を得てレベル4に達すると、表記上は次回レベルアップ累計経験値99999と表示され、あたかもレベル5が存在するかのようにプレイヤーには見えてしまうが、実際は99998でカウントがストップする
        この紛らわしい表記方法のせいで、経験値カンストまで稼ぎを行い時間を無駄にしたと泣きを見たプレイヤーも少なくない。
    • ちなみに経験値は普通にプレイしていると、ラストダンジョン直前ぐらいでやっと累計10000に達する。これをカンストまで溜める事が如何に時間の無駄か判るだろう。
    • 一応、集めた経験値はラスボス戦でインパクトのHPに変換されるので全く無駄と言う訳でもないのだが、大して稼がなくても十分なHPは確保できる。
  • 粗の多いインパクト戦
    • せっかく3Dになったインパクト戦のボスも、ラスボスを含めて三回と少なめ。しかも一回目と二回目は同じメカが相手なので、登場敵メカは二体のみ(一応、戦法は違う。)それに加え、激震インパクトステージはたった一回のみと、あまりに味気ない。
      「ボス戦同様のコクピット視点で、視界に現れる敵を蹴散らしながら進む」という新しい試みが終盤にあるものの、どうにもやっつけ感が否めない。
    • ちなみにその二回目のボス戦は、非常に特殊且つ、歴代全シリーズのインパクト戦の中でも屈指の高難度となっている。
      ボスHPは1戦目の時よりも100下がって400になっているものの、インパクトに張り付くという超接近戦によりキセルボムを完全に無効化する作戦をとってくる。
      ならばキセルボムが効かない分、攻撃が甘いのかというと、全くそんなことはない。至近距離から繰り出されるために敵本体の攻撃の予備動作が一切無く、敵のハンマーが画面に現れてから振り下ろされるまでの約1秒で、的確にパンチで打ち返す反射神経が試される。その苛烈さはラスボス以上であり、敵本体のたった400の体力すら削りきるのもままならない。
      ボスを追ってパンチした直後に視界外から攻撃されることもしばしば。モーションの大きい強パンチを打った直後は回避不能である。
      • ダメージ量に関しては小パンチ16、ゲージマックス強パンチでも32ダメージに対し、相手の攻撃は30ダメージ。相手の攻撃時はこちらの攻撃があたらない位置にいることが多く、かつ攻撃も9回しか耐えられないためダメージ覚悟の強行突破も不可。
      • ボス撃破後のこともあわせて、本作全体に漂う「マゾゲー」感が端的に現れている。
    • また、前述の通り、ゲージMAX時のパンチが通常の強パンチのダメージと同じでわずか32ダメージしかない。
      • ゲージが溜まっているとモーションが大振りに変化し隙が増すため回避が困難になってしまい、コマンド技を使わない場合はゲージが溜まるほうが不利という本末転倒な状況になってしまう。

その他の短所

  • レベルアップした瞬間を喜びづらい。
    • 経験値を得て成長というシリーズ内でも珍しい仕様の本作だが、肝心のレベルアップした瞬間に、
      「レベルアップ」の文字表示や、いわゆる「レベルアップ音」といったプレイヤーへのお知らせ演出が存在しない。
    • 経験値の表示を注視していないプレイヤーからすれば「いつの間にかレベルが上がっていた」という感想になるだろう。
  • フィールドグラフィックはSFC時代に比べて描き込みが緻密で立体感あるものになったが、そのせいで距離感が掴みづらい場面がある。
    序盤のジャンプで飛び石を渡る場面で落下した人は多いのではないだろうか。
  • 仲間4キャラのゲーム中の新規アクション追加は無い。
    • 『3』を始め探索要素の強いタイトルにおいては、探索・イベントで獲得する新武器や新アクションが、封鎖・足止めギミック開通の鍵となるシチュエーションが多く盛り込まれ、ゲーム進行と共に新アクションが追加されることでメリハリがつけられているのだが、本作ではその手の要素がほぼ存在しない*8
      • これは、あらゆる謎解き用アクションがチュートリアルも無く初期状態から全て会得済という状態に等しい。
    • LVアップで強化こそされるもののアクションの幅という点では終始変化が無く、アドベンチャーゲームにありがちな「今は手が届かないが、新能力獲得後に入手可能となるアイテム」といった類も本作には登場しない。
  • ステージ中の特殊ギミックについてのゲーム内解説が一切ない。
    • 「貫通小判を駆使して作動するスイッチ」や「エビス丸のマジックハンドで引っかかるフック」など、最序盤から登場するものにすらゲーム内でのヒントは一切無い。
      • 説明書を読めと言われたらそれまでだが、『3』で貫通小判のギミックに初めて遭遇した場合は、ヒントとなるゴエモンのセリフが用意されており、ゲーム内にも初見プレイヤーへの配慮があった。
    • SFCの横スクロールアクション系列のゴエモン作品における、一見乗れるか曖昧な足場に対する「のる+下矢印」のガイドも今作には登場しない。
    • 仕組みを理解しておかないとダメージを受けたり、ものによっては即死する場合すらあるギミックも解説やヒント無しで唐突に登場するなど、やたらと意地の悪い作りになっている。
  • 最序盤のシナリオ進行の誘導が弱い 
    • システム踏襲元のSFC版『3』が本編開始前のストーリーデモの時点で冒険の目的と最初の行先を明示していたのに対し、本作は「本編開始からある程度進んでから旅の目的が明確になる」という流れになっており、最序盤の目的も明確でないままに進むため、最初のステージまでたどり着く手順が解りづらい。
  • 伝説の秘宝「たーとるおれ」について作中では会話内でさんざん言及されるが、そのものは影も形も出てこず、終盤には忘れ去られる。
    • その正体は特殊な鉱石であり、ラスボスがそれを使って強力な兵器を作ろうとしているとも語られるが、その兵器も結局出て来る事は無く思わせぶりのまま終わってしまい、肩透かし感が否めない。
  • エンディングが味気ない。
    + ネタバレ
  • 本作ではエピローグ的なシーンが存在せず、最後のインパクト戦が終わった後はコクピット画面内での会話シーンを挟んだ後、そのままスタッフロールが始まって終わりになってしまう。ゲーム中のキャラクターによるエピローグシーンや、オープニングと同様のアニメシーンによるビジュアルデモなども無いので、締めくくり方としては非常に味気ない。
    • スタッフロール時も『からくり道中』の面クリア時の小判をばらまくデモシーンが延々と背景に映し出されるという、ファンサービスを狙ったにしても脈絡なくいまいち意義が不明な演出が挿入される。
  • ゲームプレイ中のキャラボイスがなく寂しい。
    • SFC版『きらきら道中』でサブキャラのみについていたのだが、今作はメイン・サブ含め一切存在しない。
  • サスケとヤエがNPC扱いで、プレイヤーとして使用出来ない。
    • 今作におけるストーリー展開上、メインキャラが変わること自体は不自然ではなく、「たまには違うキャラでプレイできるのも新鮮でいい」と肯定的に受け取る声もあるが、双方とも人気の高いレギュラーキャラだけに、一時的に使用できる局面を設けるなどの配慮がないのはやはりいただけないだろう。
      • ヤエは中盤のステージでゴエモン達と再会し、会話を交わして別れた後はほぼ出番の無いチョイ役程度の扱い。一応、オリジナルキャラの従姉妹が登場したり、本人も終盤に僅かながら活躍シーンはあるが、出番が少ない事に変わりは無い。
        サスケは展開上、ゴエモンと同行する機会が存在するのでヤエよりも露出は多いが、ストーリー上のキャラの扱いに難色を示す声も聴かれる*9
    • 本作にはこの2人の代打として潜水能力を持つキャラがいない都合で水中ステージ自体が存在しないため、ステージのバリエーションが乏しくなっている面も否めない。
  • 『3』のネタバレを含む会話がある
    • 今作は時間軸的に『3』本編終了後のエピソードとなっており、その前提でゲストの獅子重禄兵衛との会話シーン*10があるのだが、その会話の内容に『3』のエンディングで明かされる核心部分のネタが含まれている。
      『3』をクリア済のプレイヤーには問題ないファンサービスではあるものの、『3』を未クリアのプレイヤーには重大なネタバレとなってしまう。

総評

過去作の良点の踏襲と上質なBGMは十分に及第点と言えるレベルであったが、不安定なゲームバランスと難易度の高さがネックとなってしまい、難易度以外の細かい点でも不備が多いことも相まって、名作と呼ぶには今一歩足りない、惜しい出来栄えに落ち着いてしまった。
またお馴染みのレギュラーキャラクター4人のうち、トップクラスの人気を誇っているサスケとヤエ双方が使えないというのも、シリーズファンにとっては大きなマイナスポイントとなってしまったのは否めないだろう。

悪評不評がほとんどを占めているPS版シリーズの作品の中では辛うじてシリーズらしい作風はキープできており、根本的なゲーム性と面白さも旧作からしっかりと引き継いでいる。それだけに、このバランスの悪さが惜しいところであった。


余談

  • 本作で登場したゴロクとババンは、その後のシリーズには登場していない。
  • 後に徳間書店より攻略本が発行された。本作の唯一の攻略本であるが、冒頭に操作テクニックやアイテムの説明などがなく、いきなりストーリー攻略から始まるという妙な内容で、町や草原のマップも載っておらず、他のゴエモンの攻略本と比べても手抜き感漂う内容となっている。
  • 『コミックボンボン』で連載されていた帯ひろ志氏による漫画版でも「アコギング編」にて本作を扱っている。全1巻。
    • しかし全4話という同漫画の中でも最も短いエピソードであり、かなり端折った内容となっている。例として第一話を挙げると、「夜中のうちうらら山に向かい、焼け跡で倒れていたゴロクと合流」「そのままイチバンブロ号を発見して乗り込み、番車を倒してババンを仲間に」「番車の転送に巻き込まれて海上へ」と言った具合で、本編プレイヤーは相当早いペースなのが判るだろう。第二話についてもシーワールドから亀神殿に直行するハイペースぶりである。
    • 一方、ババンが若作りをして登場し、ゴエモンと恋愛関係になりかけるというオリジナルのエピソードも存在する。
      • 普段は化粧で美少女の顔になっているが、事ある毎に化粧が崩れたり腰を痛めるなどして元の婆さんに戻ってしまうという、漫画ならではのギャグとなっている。
    • 2024年のシリーズ電子書籍化によって「アコギング編」も配信開始された。
      • 基本当時のままなのだが、第一話にてゴロクが「仲間」と「おかま」を聞き間違えるギャグがあったのだが、電子書籍版では昨今のポリコレの波か台詞が改変されており、ほとんど意味の通らないシーンになってしまっている*11

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  • コナミ
  • がんばれゴエモン

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最終更新:2024年02月11日 16:37

*1 岩を投げて攻撃。

*2 投げた岩が爆発する。サスケの花火爆弾と同様に爆発で壊せるものもあるが、こちらは放物線を描かず真下に落ちる。

*3 ステッキで敵を打って攻撃。

*4 エネルギー波を発射。火を消すことも可能。

*5 チャージ攻撃には相手を追尾するホーミング機能があり、接近攻撃が当てにくい敵にはかなり便利。

*6 下降していくエレベーターを左右の壁にあたらないようにコントロールしながら進んでいくのだが、スクロールが速いうえに微妙なコントロールが難しく、壁に5回当たると爆発して即死する。

*7 「亀神殿」のボス「がんちょき」がこの対象で、倒し方もノーヒントな上に攻撃すると無意味な被弾リアクションがあるので、初見では倒し方が分からなかったプレイヤーも多い。

*8 加入直後のゴロクにおける飛び道具使用不可という制限がごく短時間で解消される程度

*9 「頭部をインパクトの強化に利用するため、頭部を外されて持ち運ばれることになり、その道中でボスに頭を奪われ弄ばれてしまう」という展開。

*10 厳密にはビデオメッセージという体裁で、ゴエモン自身と会話を交わすことはない。

*11 「子分にしてほしい」⇒「子分は取らないが仲間ならいい」と来て「わし、おかまはちょっと…」⇒「おかまじゃなくて仲間!」となるネタだったのだが、「やっぱり子分がいい」⇒「子分じゃなくて仲間!」というギャグでもなんでもない流れになっている。