ZOIDS VS.

【ぞいどばーさす】

ジャンル 3D対戦アクション
対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
発売元 トミー
開発元 翔泳社
発売日 2002年9月6日
定価 7,140円(税込)
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 10ブロック使用
「ゾイドバトル」「ミッションモード」のセーブはそれぞれ4つまで
備考 初回生産分に組み立てキット「スナイプマスター ブルーユニコン小隊仕様」付属
判定 なし
ポイント 「VS.」シリーズの初作
ゾイドゲーム初の本格アクションと期待されたが…
ゲームバランス、プレイの快適さに大きな難
ゾイドシリーズリンク

概要

トミー(現タカラトミー)より発売され、アニメなどのメディアミックスでも展開した組み立て玩具・ゾイドを原案とした3D対戦アクション。
動物や恐竜をモチーフとした機動兵器をカスタマイズし、荒野や前線基地、市街地などのステージで格闘や射撃を駆使してバトルを行う。
本作はゲームキューブで展開された「VS.」シリーズ3作の1作目となっている。


特徴・システム

基本操作

  • コントロールスティックで移動、Bボタンでジャンプ、Cスティックで短距離のサイドステップ。
    • ジャンプ力の高い一部の小型機は、ステージの建造物を登っていくことも可能。高所からの一方的な射撃戦法も取れる。
    • また、ステップ幅の広い機体は、障害物に機体を押し付けるようにステップすることで三角跳びのような動きができる。工夫すれば一部の壁を超えることも。
  • Aボタンで武器攻撃、Yボタンで武器選択。
    • 武器は基本的にビーム砲やミサイルポッドといった射撃武器が中心だが、ブレードなどの近接武器もある。
  • Xボタンで格闘攻撃。ジャンプ中にXではジャンプ格闘、ダウン中にXでは起き上がり格闘が発生。
  • 機体HPが30%以下の場合、A+Xボタンで超必殺技のタメに入り、放すと発動する。
  • Zボタンで装備したオプション兵装を使用。ブースター・Eシールド・光学迷彩・地雷・煙幕発生装置が存在する。
  • L・Rトリガーでエネミーロック/ロックの解除。十字キーで僚機への指示が出せる。

使用可能機体

  • 全34種(内4種が隠し機体)が使用可能。
  • 「VS.」シリーズはゾイドのアクションゲームとしては参戦数が多い傾向だが、アニメ登場ゾイドや当時の最新キットを中心に、本作の時点でまずまずのラインナップが揃っている。
    • …が、アニメ第1作「ゾイド」の前半で主役を務め人気・知名度とも高いシールドライガーがなぜか未参戦。発売当時ファンからは大きな疑問と落胆の声が上がった。
  • 性能を調整しただけのいわゆるバリエーション違いは34種中6種。安易な水増しと取る向きもあるが、アイアンコングPKなどは原作でも元機体の上位性能機という位置づけで、設定通りではある。
  • パッケージ裏面や公式サイトなどで登場機体数を「80種類以上」と表記しているが、これは「カスタマイズで再現可能な専用機などのバリエーション」を含めているようだ。

カスタマイズ

  • 機体に装備できる武器は、原案となった組み立て玩具に付属のものやカスタマイズパーツを再現。プレイ中のグラフィックにもしっかりと反映される。
    • 玩具に忠実な一方で、武器毎に搭載できるゾイドとそのスロットがかなり限定されており、自由度は低め。中には武器の選択肢がほとんどない機体もある。
  • また、ブースターなどのオプション兵装から1つ、攻撃力や装甲、レーダー範囲、機動性に影響を与えるサブパーツを3つまでセッティングできる。
  • 登場ゾイドにはそれぞれ数種類のカラーパターンが用意されており、武器の変更と合わせてアニメなどに登場した機体を再現可能。
  • パイロットとしてゲームオリジナルキャラやアニメ版のキャラが使用できる。キャラ毎に格闘・射撃・旋回性能の値にボーナスが乗るほか、攻撃・被弾などの際に原作キャストによるボイス演出がある。

モード

「ゾイドバトル」と「ミッションモード」の2種類の1人用モードと、対戦用の「VSモード」が存在する。

  • ゾイドバトル
    • ストーリーの存在しないシンプルな対CPUバトルモード。アニメやゲームに登場したキャラクターたちとの戦闘を勝ち抜いていく。全12ステージ。
    • 基本的に2対2のタッグマッチとなり、プレイヤーはCPUの僚機を従えることができる。あえて1人で戦うことも可能。
    • このモードで獲得できるポイント(BP)を使用して新たな機体や装備を購入していくのが、1人用モードの主な目的となる。
  • ミッションモード
    • ゲームオリジナルシナリオのストーリーモード。2つのストーリーが用意されており、それぞれ「ヘリック共和国軍 ブルーユニコン小隊」と「ガイロス帝国軍 ロットティガー隊」の視点で進む。
    • ストーリーを進めていくと、補給というかたちで自動的に使用可能機体・装備が増える。「ゾイドバトル」モードとはセーブデータを共有せず、BPの概念もない。
    • オリジナルキャラクターのデザインは、アニメ「ゾイド」「ゾイド新世紀/ゼロ」の2作と同じく坂崎忠氏が担当した。
  • VSモード
    • 最大対戦人数は2人。「ゾイドバトル」モードで集めた機体や装備が使用できる。
      • プレイヤー対CPU、CPU対CPUの対戦は不可能。

評価点

  • ゾイドを自在に操作できる
    • 好きなゾイドを自由にカスタマイズし広大なフィールドを駆け回る、というファンの夢が実現した。
  • 当時の据え置き機として及第点のグラフィック
    • 機体のモデリングは良くできており、モーションもやや粗さはあるものの各ゾイドの特徴が出ている。
      • カスタマイズ通りに外観が変わるのも嬉しい。
    • その他、夜間ステージの星空の描写やライティングを評価する声もある。

賛否両論点

  • 新型・大型という設定の機体ほど数値上の性能も高い
    • 原案の玩具で新型・大型と設定されている機体は、HPや装甲、移動速度といったパラメータが高くなる傾向がある。
      • 原作再現ではあるのだが、このゲームはルールにコスト制なども採用していないため、バランスの面では問題が残った。
    • ただし、あくまで数値上の話である。問題点の項目でも触れるが、このゲームは使用できる武器や攻撃の性質が機体の能力を大きく左右するため、低価格・低性能だが強い機体や、逆に高性能機のはずが使い心地はイマイチな機体も存在する。
  • 超高性能サブパーツ「ULTRA-Z」の存在
    • 攻撃力・装甲・レーダー範囲・機動性すべてを大幅にアップするサブパーツ「ULTRA-Z」が990000BPで購入できる*1
      • サブパーツなので、もちろん1機体に3つまで装備できる。1個でも相当な性能アップが実感できるのだが、3個装備となると操作感がもはや別ゲームとなる。
    • ただでさえ雑なゲームバランスを崩壊させかねない要素である。ULTRA-Zを3つ揃えた時点で、「ゾイドバトル」モードの攻略は機体のカスタマイズなど関係ない、適当に攻撃するだけの完全な作業になる。
      • とはいえ、後述するように面白みの少ない「ゾイドバトル」モードでのBP稼ぎが楽になるのは大きなメリット。
      • また、対人戦でのバランスにはほとんど影響しない。プレイヤー間であらかじめ話し合うことで使用を制限できるし、制限しなくても互いに「ULTRA-Z」装備の対等の条件になるからだ。
    • 手放しで評価はできないものの、桁外れの性能でCPUを蹂躙するのは一種の爽快感がある。問題点の項目で述べるような「使い道に困る武器・攻撃」を簡単かつ無理やり実用段階まで持っていけるのも、この「ULTRA-Z」である。

問題点

武器・技の性能差が極端

全体的に武器と攻撃の調整が甘く、以下で詳述するように使える・使えないの差がハッキリとしすぎている。
弱い攻撃手段は「弱い」を通り越し「まともに当たらない」「かなり努力すれば使い道がある」レベルの、操作しているだけで不快さを感じるようなものも多い。
そのため、一部の扱い易い武装やそれを使える機体にプレイヤーの需要が集中してしまう。
豊富なカスタマイズが可能なはずなのだが、機体と武器の実用的な組み合わせ・有効な戦闘スタイルは限られている。

  • 射撃武器
    • 原案である玩具を忠実に再現しすぎた影響か、射角が極めて狭くほとんど真正面にしか撃てないような射撃武器が多い。
    • そのうえ、照準がゾイド特有の躍動感ある走行モーションによって激しく上下する。それに合わせて弾も散乱する。地形に高低差のあるステージだと非常に厄介。
    • 一方で、広い射角が取れる旋回砲塔の射撃武器や、十分なホーミング性能を持つミサイル系や一部のビーム系武器は命中させやすい。
  • ブレード系武器
    • 一部機体の固定装備であるブレード系武器は使用すると機体両側面に展開され、ボタンを押している間は攻撃判定が出っ放しになり多段ヒットする。非常に強力で使いやすい。
      • 射撃系武器と異なり弾数制限もなく、使用時間の制限などもない。
    • 結果、展開して敵機の周囲を回っているだけで、至近距離戦闘ではまず勝てる。本作の射撃武器にはノックバックがないので、普通にやっても速度差が大きくない限り1対1ではまず負けることはない。
    • 装備機体は、武器スロットが少なめで射撃戦に弱い傾向があるのが救いではある。
  • 格闘攻撃
    • ブレード系武器が強力な一方、共通システムである格闘攻撃は追尾性能がかなり悪くなかなか当たらない。ロックオンの概念はあるのだが、判定が曖昧であまり機能していない。
      • 突進距離の短い体当たりや腕・アームを使用した広範囲の格闘はまだ使用に耐えうる。
      • もっとも被害を被ったのは、踏み込みが高く距離も伸びるライガーやウルフ系機体の格闘で、非常に当てにくくなっている。本来は格闘が得意な高速機のはずなのだが…
    • 後述する格闘攻撃と関連した武器切り替わりバグも、格闘を使いにくくする要因のひとつとなっている。
  • 超必殺技
    • 慣性が切れた完全停止状態でなければ超必殺技のタメに移行しない。HPが減った状態から一発逆転を狙う技なのに、一度止まらなければならない。
    • さらにタメ中はA+Xを押しっぱなしなので、当然武器攻撃も格闘も使えない。
      • 一応、行動キャンセルや特殊な操作を駆使することで、完全停止までの隙を減らしたりタメ中に攻撃したりすることは(一部バグじみた挙動だが)可能ではある。
      • とはいえ、そういった操作を修得するほどこのゲームに情熱を注げるプレイヤーは珍しいだろう。
    • 突進タイプの必殺技は、やはり通常の格闘攻撃と同様に当てにくい。攻撃判定は比較的大きいので多少マシではある。
    • 荷電粒子砲や全弾発射などの射撃タイプは、発射時にも静止する必要がある。
      • このタイプには、目安となる照準マーカーなしで機体の向きと姿勢を調整し、完全手動で射線を敵に合わせなければならない技もある。
    • 以上のように、発動させるのにかなりのリスクを背負う必要があり、使いにくいものが目立つ。うまく当てられれば1発で敵HPを削りきる技もあることはあるのだが…

その他戦闘面

  • カメラワーク
    • 基本はオーソドックスな三人称視点のアングルなのだが、妙な角度の付いた左右斜め後方からのカメラに切り替わってしまうことがある。
  • オプション兵装
    • 特徴・システムで先述したように、機体に装備させられるのは1つだけである。
      • 本作でオプション兵装となっている装備を標準搭載している設定の機体は多い。そういった機体は、見方によってはスロットを1つ損しているとも考えられるだろう。
      • 更に問題なのは、オプション兵装に含まれる装備を2つ以上搭載している設定(特にブースターとEシールドの組み合わせはよく見られる)の機体。原作でのアクションを再現できなくなっている。
    • 性能自体が不満な兵装もある。
      • 射撃攻撃を防ぐEシールドは自分の射撃にも反応するため、攻撃との併用がしづらい。
      • 煙に巻き込んだ相手のロックオン機能を無効化する煙幕発生装置は、アニメでの描写と比較して煙の量が少ない。「ゾイド新世紀/ゼロ」での印象が強いだけに残念。
  • CPUのAIが弱い
    • 基本的に、搭載されている武器を一つずつ撃ちながらウロウロしているだけ。ダウンさせられているのに射撃を続けて弾を無駄にすることもしばしば。
    • 敵だけならまだしも、味方もこの調子で戦力として頼りない。
  • 処理落ち
    • 描画機体数やエフェクトの派手さ次第では処理落ちが発生する。
      • GCとの互換性を持つWiiでプレイした場合は改善される。
  • バグ
    • 格闘攻撃中にAボタンを押していると、選択中の武器が装備している他の武器に勝手に切り替わってしまう。
      • 押さなければ回避できるバグとはいえ、Aボタンはもっとも使用頻度の高い武器攻撃ボタン。押さないように気をつけるのは無駄に神経を使う。格闘→武器攻撃のコンボも非常にやりづらい。
      • 戦闘の要である武器攻撃に大きな影響を与えるバグであり、ただでさえ使いにくい格闘攻撃をさらに敬遠させる要素となった。
    • 使用時に機体が静止する一部の超必殺技や狙撃系武器と特殊な操作によって、機体を大きくジャンプさせることができる。
    • 芋虫型の機体・モルガが、特定の地形で空中無限ジャンプできる。
      • 上記2つは、超高所からの一方的な攻撃を可能にしゲームバランスを大きく崩しかねないバグだが、見た目の面白さからかネタとして受け入れたプレイヤーも多かった。

戦闘面以外について

  • システム・インターフェイス面での不親切さ
    • スティック・十字キー入れっぱなしではメニューのカーソルが動かない。カスタマイズ時など、スティックかボタンをチマチマ傾けたり連打する必要がある。
    • カスタマイズ画面で機体が無意味に格納庫を出入りする。非常にテンポが悪い。
    • カスタマイズで武器やサブパーツのスロットを「装備なし」にしたい場合、機体の装備すべてを一度外さなければならない。
    • 装備購入時に所持済みかどうか確認できない。
    • 機体・装備の並び替えができない。
    • 登場機体34種に対し所持機体上限がなぜか30体。
    • 周回プレイを前提とした「ゾイドバトル」、中断からの再開が多い「ミッションモード」選択時に、カーソル初期位置がNEW GAMEになっている。
    • 「ゾイドバトル」「ミッションモード」からは、ソフトリセットを使わないとタイトル画面に戻れない。
    • スタッフロールが飛ばせない。
      • データをセーブできるのはスタッフロール終了後である。
      • そのセーブ後もソフトリセットをしないとタイトル画面に戻れない。
  • 1人用モードのボリュームの無さ
    • 「ゾイドバトル」モードは登場敵・ステージともに固定。難易度調整などもない。
      • 変化のないこのモードを、機体とカスタマイズ用の武器・パーツ(特に、購入に大量のBPを必要とするサブパーツ「ULTRA-Z」)を揃えるために何周もすることになる。
      • 新しく購入した機体や武器の練習にはなるが、やはりつらい…
    • 「ミッションモード」はステージ間に大まかな状況説明とキャラクターの会話がいくらか挟まれるだけで、これといった盛り上がりもなく淡々と進んでいく。ストーリー未満のプロットのレベルと言っていい。
    • 「VSモード」で対CPU戦ができず、思い通りのカスタマイズの敵と戦えないのも、1人プレイ時の遊びの幅を狭めている。
  • 隠し機体
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    • 「VOICE TEST」でコマンドを入力することにより、『サイバードライブゾイド 機獣の戦士ヒュウ』に登場のサイバードライブゾイド4種が使用できる。
      • 内2種は性能調整によるバリエーション違いである。
    • 当時発売前のゲーム機体という予想外かつまったく馴染みのないゲスト参戦に、ファンは大きく困惑。
      • デススティンガーやデスザウラーといったCPU専用超大型ゾイドの解禁、パイロットが参戦済みだった『ZOIDS SAGA』オリジナルゾイドの追加、なぜか登場しなかったシールドライガーへの淡い希望…などなど、願望と期待を膨らませていたファンの心は見事に打ち砕かれた。

総評

それまでシミュレーションかRPGのみだったゾイドゲーム待望のアクションと期待されたものの、バランスや快適さ、ボリュームに大きな難点を抱えてしまった。
作り込み不足で痒いところにはまったく手が届いておらず、単体のゲームとしては満足できるものではない。
しかし、「3Dアクションでゾイドを動かしたい」というファンの願いをある程度叶えたのも事実である。
本作以降、もっと優れたゾイドの3Dアクションは複数発売されているが、当時はオンリーワンの存在と言えた。
お気に入りの機体を好きなようにカスタマイズし、ステージを走り回ったり適当に攻撃を出したり建造物に登ったりするだけでも、ファンはそこそこ楽しかった。
また、バランスや操作感の劣悪さは目立つもののゲームとしての奥深さも多少はあり、Eシールドの攻撃判定などを利用した複雑なコンボを編み出す猛者も当時存在した。
対戦アクションとしての完成度は非常に低いが、ファンアイテムとして光るものはあった。



続編

ゲームキューブで続編となる『II』『III』が発売された。
登場機体数が増え新要素が追加されているほか、バランスや操作性もいくらか改善されている。
今あえて本作を購入する意味はほとんどないだろう。
『II』『III』の主な追加要素は以下の通り。

  • 『II』の主な追加要素
    • フィストモード
      • リング上で戦闘を行う1対1のバトルモード。
  • 『III』の主な追加要素
    • フライングユニット
      • 飛行ゾイドの参戦に伴って追加された、一部ゾイドに装備可能なユニット。これにより一定時間の飛行が可能となった。
    • スライディングターン
      • 方向転換の際スライディングする、いわばドリフトのような機能。これにより反転時の射撃攻撃が行い易くなり、アクションゲームとしての戦略の幅が広まった。
    • ブレード系武器に他の武器と同じく回数制限が設けられた。

余談

本シリーズの制作元である翔泳社は、後に『ゾイドオルタナティブ』を発表している。
それが何をもたらしたかは周知の通り。