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西遊記 金角・銀角の陰謀

【さいゆうき きんかくぎんかくのいんぼう】

ジャンル アクションゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 D3パブリッシャー
開発元 シンクアーツ
発売日 2007年7月12日
価格 3,990円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3箇所
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 同年公開の映画をゲーム化
ゲームバランスは極めて悪し
なまかは使い捨てるもの


概要

D3パブリッシャーからリリースされたニンテンドーDSソフトの1つであり、同年に公開された映画『西遊記』(テレビドラマの映画化作品)のアクションゲーム化でもある。
牛魔王一味にさらわれた三蔵法師を助ける為、孫悟空・沙悟浄・猪八戒の3人が救出に向かうというストーリー設定。
映画版の主要キャストである香取慎吾・内村光良・伊藤淳史・各氏らがキャラのボイスを演じており、その事はジャケット裏で大々的にアピールされている。
横スクロールアクションとしては至ってオーソドックスな内容となっている。


特徴

メインゲーム

  • 難易度は「かんたん」「ふつう」「むずかしい」の3段階。ゲームを最初から始める時に選択し、途中で変更することはできない。
  • 全9ステージ構成。各ステージには4つのエリアに分かれている。
    • 各ステージのエリア1~3は道中戦であり、スクロールの奥まで進んだ先に設置されている「蓮華座」に乗ればクリアとなる。
    • 各ステージのエリア4はボス戦であり、ボスを倒した後に出現する蓮華座に乗ればそのステージがクリアとなる。
    • 最終ステージのみ3エリア構造になっており、各エリアの最後にボスが待ち構えている。
  • どのエリアにも制限時間が設定されており、これが0になると即ゲームオーバーとなってしまう。
    • 制限時間は次のエリアに進んでもそのまま引き継がれた状態でのスタートとなるので、あまり寄り道をしているとゲームオーバーに近づきやすくなる。
    • 蓮華座に乗ると制限時間が一定量回復する。また、エリア内に設置されたアイテムの「ふしぎな時計」を取得する事でも同様の効果がある。
  • ゲーム表示はほぼ下画面オンリーで表示され、上画面にはライフゲージなどの表示がされている。

エリア内の操作方法

  • 一般的な横スクロールアクションと同じ感覚の操作となる。
    • 十字キー左右で孫悟空達の左右移動。キー下でしゃがみ動作。
    • 特定の地形が下にある状態で十字キー下を入れながらBボタンを押すとそこに降りられる。
    • Bボタンでジャンプ動作。
    • Yボタンで通常攻撃。十字キー上を入れながらボタンを押せば上攻撃。キー下だとしゃがみ攻撃。
    • LボタンかRボタンで術の選択。Aボタンで術を使用する。術の詳細は後述。
    • Xボタンでキャラチェンジ。十字キー下を入れながらボタンを押せばキャラチェンジの順番が逆になる。
    • 特定の壁にジャンプで近づくとそこにしがみつける。その状態でBボタンを押せばしがみつきながらのジャンプ動作。
    • エリアによっては水中戦や空中戦に発展する場面があり、上記の操作系統が変化する。それに関しての詳細は割愛する。

キャラチェンジ

  • エリア内では使用キャラを孫悟空・沙悟浄・猪八戒の誰かにチェンジさせて使い分けることができる。
    • 3人には「孫悟空はバランス重視」「沙悟浄はスピード重視」「猪八戒は通常攻撃のリーチが長い」といった性能差が図られている。
    • 使用キャラを1人操作し、使用していない他2人は待機中という形となっている。なお、ステージ開始時は必ず孫悟空が使用キャラとなる。
    • キャラチェンジは使用したその場で、シームレスに待機中のキャラへと操作交代が行われる。
    • 待機中のキャラがミスしている状態では、そのキャラをチェンジする事はできない。
  • 使用キャラ3人は個別でライフゲージを持っている。
    • 使用キャラのライフがダメージで0になったり、落とし穴に転落してしまうとそのキャラはミスとなってしまう。
    • 使用キャラのミス後は、待機中の生き残っているキャラが自動的に使用キャラへとチェンジされる。
    • ミス後のチェンジ場所は、落とし穴ミスではエリア最初からの再開となり、ライフ消滅ではその場復活となる。
    • 3人全員がミスするとゲームオーバーとなる。
    • ミスしたキャラを復活させるには、アイテムの「復活の実」を取得するか、ステージをクリアする以外に方法はない。

経験値

  • 使用キャラ3人は「経験値」を取得する事によりレベルアップする。
    • 敵を倒す事によって使用キャラの経験値が溜まり、一定値まで溜まればレベルが1ずつ上がる。
    • レベルが上がると、最大ライフ値の増加や術使用時における闘魂ゲージ消費の現象の恩恵が受けられる。
    • 経験値は各キャラ別々で溜まるので、同じキャラばかりを使用しているとそのキャラしか経験値が得られない。
    • レベルの最大値は「5」までとなっている。

  • 使用キャラ3人は「術」という特殊な行動ができる。
    • 術の効果は「飛び道具が放てる」「使用キャラの性能を強化できる」などがある。
    • ゲーム開始時は各キャラが所持している術は1種類ずつしかない。
    • 新たな術を取得するには、ステージを始める前に老子の部屋の特訓を受けなければならない(下記の寄り道の項参照)。
    • 術は各キャラ最大で5種類取得できる。2種類以上術を取得している場合、L/Rボタンで使いたい術を切り替える事ができる。
    • 術を使用する度に「闘魂ゲージ」が減少し、それがなくなると術が使用できなくなってしまう。
    • 闘魂ゲージは3人一括での消費となっており、キャラチェンジをしてもゲージの増減はしない。

アイテム

  • 「特定場所に放置」「敵を倒す」などの方法で以下のアイテムが入手できる。
    • 「イモ」「肉まん」「桃まん」…使用キャラのライフゲージが回復する。後者は回復量が多い。
    • 「闘魂玉」「大闘魂玉」…闘魂ゲージが回復する。後者は回復量が多い。
    • 「復活の実」…ミスしたキャラを1人復活させる。
    • 「幸せの壷」…使用キャラのライフゲージ最大値が増える。
    • 「宝石」「大宝石」…宝石のストックが増える。後者はストック量が多い。宝石に関しては下記の寄り道の項参照。
    • 「ふしぎな時計」…制限時間が延長される。
    • 「デンデンだいこ」…画面内の敵を全滅させる。
    • 「不気味なお札」…一定時間使用キャラの動きが混乱するマイナスアイテム。
    • 「爆竹」…触れた使用キャラにダメージをあたえてしまうマイナスアイテム。

やり込み・クリア特典

  • 制限時間を多く残した状態でステージクリアすると、ロード画面のデータに「★」のマークが付く。
  • ステージをすべてクリアすると、3人のレベルと所持している術を引き継いだままで、最初のステージからの周回プレイが続けられる。
  • 一度ゲームをクリアすると、ロード画面のデータに「ミニゲームであそぶ」と「おはなしをみる」という項目が追加される。
    • 前者は老子の部屋で成功した修行を自由にプレイできる。後者はゲーム内で発生したイベントを自由に観覧できる。
  • 同じく一度ゲームをクリアすると、イベントをすべてSTARTボタンでスキップ可能となる(初回プレイではスキップ不可)。

寄り道

  • ステージが始まる前に必ず「寄り道」という選択肢が表示される。以下その内容。
  • 凛凛の部屋
    • 店の主である凛凛に話しかけると、ステージ内で入手した宝石と引き換えに「迦乳果」と交換ができる。迦乳果には3種類あり、それぞれ消費する宝石の数に相違がある。
    • 交換の他にも「使用キャラ3人のステータス状況」と「全ステージで稼いだスコアのベストランキング5」の表示が鑑賞できる。
  • 老子の部屋
    • 天空の使者である老子に話しかけると、凛凛の部屋で入手した迦乳果と引き換えに修行に挑める。修行は使用キャラ個別で行われ、成功すればそのキャラが専用の術を取得できる。
    • 修行には「制限時間以内にすべての敵を倒せ」などの条件があり、それをクリアすれば成功となる。クリア失敗になっても迦乳果が無駄になる以外でのペナルティはない。
    • 修行の他に「次ステージの情報」を聞く事ができる。最終ステージの情報は「無闇に武器を振り回すな、長い武器も同様」とあまり役に立たないが。
  • セーブ
    • 現状のデータをセーブする。
  • 次のステージへ
    • イベントを挟んだ後に次のステージが始まる。

対戦プレイ

  • タイトル画面の「二人で遊ぶ」を選ぶと、二人対戦型のミニアクションゲームがプレイできる。
    • プレイするにはDS本体と本ソフトが2つずつ必要である。
    • お互いのプレイヤーを同じステージ内で同時に操作し、ボスを倒すまでにどれだけの宝石を稼げるかを競う。終了時点で宝石が多い側が勝者となる。

問題点

ゲームバランスの悪さ。
本作における最大の問題点がこれで、どうみても難易度がおかしい。具体的な問題点は以下の通り。

  • ちょっとした事でもダメージ確定な使用キャラの小回りのききにくさ。
    • 使用キャラのやられ判定がやたらと大きく、敵などに数ドットかすっただけでダメージをもらう事態多数
    • しかも使用キャラの通常攻撃の出が遅いので、最悪の場合は敵に打ち負け、良くても相打ちになることが多い。
  • やたらと粘着質に襲い掛かる敵達。
    • 一画面に出現する敵の数は他の同系統のアクションゲームと比べても大差ないのだが、敵の動きがストーカーの如くまとわり付いてくる状況が多い
    • 上記の使用キャラの件も相まって、まともに相手するとこちら側にめりこんできて何もできずにダメージ確定なんてのは当たり前。
      • よって本作における道中戦は必然的に「できるだけの雑魚を相手にせずスルー特攻する」という戦法が最も有効な攻略という事になる。
    • ただしスルーしすぎると当然経験値が入らないので、後半のステージやボスで詰む可能性がある。
      • このゲームは一度ステージをクリアするとその周では二度と前のステージに戻る事ができず、「このステージで詰んだので、簡単なステージに戻り味方のレベルを上げる」といったことが不可能。
  • 孫悟空以外の使用キャラが空気。
    • 説明書には「困った時には3人の"なまか"*1をチェンジして使い分けろ」と表記されているが、実際は孫悟空以外の性能が微妙すぎて大した戦力にならない
    • 「すべてにおいて性能の高い孫悟空」に比べると、「リーチが短くて打たれ弱い沙悟浄」「動きが深刻なまでに遅い猪八戒」とイマイチな性能になっている。
      その為、大方のプレイヤーは孫悟空だけでゲームを進めてしまい、他2人はほぼ待機状態というプレイスタイルになるのは必至だと思われる。
    • 他2人の出番があるとするならば「孫悟空のライフを温存させる為の捨て駒要因」位しかない。まさに「なまかは使い捨てるもの」 という有様である。
  • 術が大して使えない。
    • 闘魂ゲージを多く消費する割にはその使い勝手がいまいちで、「無理に術を使う位なら通常攻撃で攻めた方が無難」という結論に至ってしまう。
  • 落とし穴の恐怖。
    • このゲームにおいて一番の脅威がこれであろう。穴に落ちるだけで使用キャラの1人消え、エリアの最初に戻されるのがかなり痛い。
    • ましてや、その落ちた使用キャラが孫悟空だった場合はもう…。
    • 終盤ステージに至っては、「陰湿な敵の集団と落とし穴のダブルコンボ」という場面に遭遇し、プレイヤーをいらつかせる可能性が高い。
      • このコンボにより終盤ステージのボスにたどり着けず、クリアを投げた人も多いだろう。
  • コンティニューできない謎仕様。
    • 上記のゲームバランスの悪さの件があるにもかかわらず、本作にはコンティニュー機能が全く搭載されていない
      • ゲームオーバー後はロード画面直行であり、やり直しの負担が極めて大きい。

その他の問題点

  • 否めないボリューム不足感。
    • 一周あたりのプレイは、ゲームバランスの悪さによる苦戦を想定してもクリアにさほど時間はかからない。
      • 全9ステージ構成とそれなりにボリュームがありそうに思えるが、各ステージにおけるボスの道のりは同系統のアクションゲームに比べても大分短い。
      • 制限時間の概念や逃げプレイ前提のバランスの件もあって、嫌でも急ぎ足プレイを余儀なくされる。
      • 一通りゲームをクリアしてしまうと、後は周回プレイや残った修行に挑戦する位しかやり込む部分がないのも物足りなさに拍車をかける。
  • ラスボス・金角のポッと出感。
    • 前述の通り、ストーリーは「牛魔王一味にさらわれた三蔵法師を助ける」というものだが、ゲームのタイトル通り金角と銀角が登場する。
      • 銀角は序盤のステージのボスとして登場するが*2、金角は最終ステージにしか登場しない。一応中盤あたりにシルエットでの会話シーンがあるのだが、一言程度しか喋っていないので印象に残りづらい。
  • キャラクターボイスについて。
    • タレントが声優を勤めるゲームにありがちな「棒読み演技」は残念ながら本作にも当てはまっている。
    • それ以前にボイスの収録量が少なく、別にあってもなくてもいい存在でしかないのも残念どころ。

評価点

  • アクションゲームとしては無難な作り。
    • ゲームバランスの悪さはいかんともし難いが、根本的にアクションゲームとして破綻している部分は特にない。
    • 複数の難易度が用意され、使用キャラのレベルを上げる事で多少のごり押しクリアが効く様になっている。
    • 逃げ足プレイを逆に解釈すると「無駄な足止めをさせずにレースゲームの如く進める」ともとれる。
  • グラフィックの書き込みは悪くない。
    • 少々チープ感が漂う面はあれど、方向性の違うとんでもアレンジを入れずに、西遊記という題材をポップに描いている外観は評価できる。
      • 多少クセの強さを持っているが、コミカルデザインの孫悟空達の姿も可愛らしくてかっこいい。

総評

とりあえずアクションゲームとしては体を成しているが、ゲームバランスが悪く、ボリュームもさほど多くない。
流石にファミコンの西遊記クソゲー程ではないものの、西遊記ファンにお勧めできる出来とは言えない。


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最終更新:2022年11月12日 13:31

*1 「なまか」とはドラマ・映画版『西遊記』で孫悟空が使っていた、「仲間」を表すスラング。

*2 そのステージが始まる際、本来登場するはずだった牛魔王の一人が倒れている描写が映る。なお、その牛魔王は結局最後まで登場せず終わる。