.hack//感染拡大 Vol.1/悪性変異 Vol.2/侵食汚染 Vol.3/絶対包囲 Vol.4

【どっとはっく かんせんかくだいぼりゅーむわん あくせいへんいぼりゅーむつー しんしょくおせん ぼりゅーむすりー ぜったいほうい ぼりゅーむふぉー】

ジャンル アクションRPG




対応機種 プレイステーション2
発売元 バンダイ
開発元 サイバーコネクトツー
発売日 Vol.1感染拡大:2002年6月20日
Vol.2悪性変異:2002年9月19日
Vol.3侵食汚染:2002年12月12日
Vol.4絶対包囲:2003年4月10日
定価 各5,800円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:全年齢(全年齢対象)
※Best版のレーティングを記載
廉価版 PlayStation2 the Best(Vol.1・2及び3・4のセット)
2006年3月2日/各2,800円
判定 なし
ポイント 前代未聞の4分割販売
ストーリーとキャラクターの完成度は高い
アクション面では微妙
あまりにカオスなクリア後のお楽しみ

※ページ名に/を連続して使えないため、ページ名を『.hack/感染拡大 Vol.1/悪性変異 Vol.2/侵食汚染 Vol.3/絶対包囲 Vol.4』としています。


概要

架空のオンラインゲーム『The World』を軸にゲーム世界の内外で起きる事件の謎に立ち向かうプレイヤーと人々の姿を描くメディアミックスプロジェクト、
「.hackプロジェクト」の中心となったゲームで、オンラインゲームをモチーフとしたアクションRPGとなっている。

メディアミックスは伊達ではなく、OVA、小説、コミックスと様々な媒体で本作は展開された。一般的なメディアミックスと異なるのは、これら一連の媒体で繰り広げられる物語はそれぞれ異なり、全てを見ることで初めて『.hack』という物語全体の構造を知ることができる点にある。
本作にも「.hack//liminality」という、本編と同時期に現実世界で起きた事件を描くOVAが付属している。*1

前代未聞の3か月の間をおいての、4作品連続発売が話題を呼んだ。

海外版も発売されており、サブタイトルはそれぞれ『感染拡大』→『INFECTION(感染)』、『悪性変異』→『MUTATION(突然変異)』、『浸食汚染』→『OUTBREAK(増加)』、『絶対包囲』→『QUARANTINE(隔離)』と原題の一部を訳した物になっている。


物語

ごく普通の中学生である主人公は友人に誘われ「The World」という有名なネットゲームに参加することになる。
友人のPC(プレイヤーキャラ)、「オルカ」に導かれつつ初めてのネットゲームを楽しむ主人公だったが、謎のモンスターに追われる少女に遭遇する。
ゲーム内のイベントと思っていた主人公たちだったが謎のモンスターにオルカは襲われてしまう。
その後友人が意識不明になったことを知った主人公は、真相を探るため「The World」をプレイしていくことになる…。


キャラクター

+ 詳細
  • 主人公(デフォルトネーム「カイト」):双剣士(CV:相田さやか)
    • 名前は自由に変更可能。前述の通りネットゲームは初体験。意識不明になった友人を救うべく「The World」の闇を調べていくことになる。
    • あまり自己主張の強い性格ではなく、どちらかと言えば引っ張られていくタイプ。しかし物語の進行に伴い、主人公らしく成長していく。
  • ブラックローズ:重剣士(CV:浅野真澄)
    • 本作のヒロイン。カイトと同じく、「The World」になにかを感じているらしい。「The World」について調べているのは理由があるようだが…?
    • 出会ったばかりの主人公を怒鳴りつけるなど気の強い性格。だがストーリーが進むと時には女の子らしい表情を見せることも。
      • また彼女の性格を反映してか、このキャラクターのパラメーターは攻撃力にやたら特化している。
  • オルカ:剣士(CV:増谷康紀)
    • 主人公の友人。リアルの名前は「ヤスヒコ」。二つ名を「蒼海のオルカ」という凄腕のプレイヤー。
    • 初心者である主人公のためにわざわざ簡単なダンジョンを探しておくなど気の利く人物。しかしそれが仇となり謎のモンスターに襲撃され、意識不明となる。
  • アウラ:?(CV:坂本真綾)
    • オルカが探しておいた簡単なダンジョンの中で謎のモンスターに襲われていた少女。
    • その正体については本作では詳しく明かされない。メディアミックス作品を見ることでより深く理解できるだろう。
  • バルムンク:剣士(CV:檜山修之)
    • 二つ名は「蒼天のバルムンク」。その名の通りオルカの相棒であったハイレベルなプレイヤーである。背中の翼は高難易度ミッションクリアの報酬。空も飛べるがなぜか戦闘では使わない。
    • 主人公を危険な存在とみなしているが、それも「The World」を愛しているため。不正を嫌う潔癖症な一面もある。
  • ヘルバ:呪紋使い(CV:冬馬由美)
    • 度々主人公の前に姿を見せ、力を貸す謎の女性PC。どうやらプレイヤー側ではなく、開発側に近い人間のようだが…。
      • クリア後のおまけで彼女を仲間にすることもできるが、全パラメーターカンストの完全チートキャラである。
  • ミア:剣士(CV:高山みなみ)
    • 本来なら存在しないはずの猫のような外見のアバターをしたPC。それ以外にもカイトの能力を知っているなど明らかに普通のPCとは異なる。
    • 外見通り猫のように気まぐれでいたずら好きな性格をしている。彼女のいたずらが元になるサブイベントもある。
  • エルク:呪紋使い(CV:斎賀みつき)
    • ミアを慕う少年。ミアがいなくなると途端に不安になる。心優しく回復アイテムと回復スキルは欠かさない。
    • 引っ込み思案な性格。ミアに対する好意は憧れを通り越して依存心にまでなっている。
  • ミストラル:呪紋使い(CV:榎本温子)
    • とあるダンジョンで主人公に遭遇し、その不思議な力を見たプレイヤー。
    • 当初は主人公の周りで起きる不思議な現象をゲーム内のイベントと考えていたが、後にある程度の真相に近づく。その後彼女はある決断を下すことになる。
  • リョース:管理者(CV:西村知道)
    • 「The World」の管理を任されている人物。アイテムショップの店員の姿でよく現れるが、姿は固定ではなく頻繁に変わる。
    • 管理者と言ってもさほど立場が上なわけではなく、中間管理職に近い。そのため「The World」内の真実も知らされていなかった。
  • ワイズマン:呪紋使い(CV:山崎たくみ)
    • 「ワイズマン(賢人)」の名の通り様々な事情に通じた情報屋。多数のプレイヤーに尊敬される存在。
    • 主人公たちに興味を抱き協力を申し出、以降は参謀的な立場になる。メールなどからするとリアルの年齢は意外に幼いようだ。


特徴

  • 本作の主な舞台は前述の通り「The World」というネットゲームになる。
    • このため作中に登場するキャラクターは全て現実に存在する(という設定の)人間が操作しているキャラである(一部例外あり)。
  • 基本的なジャンルを言うならば「アクションRPG」だろう。
    • 現在の装備品によって使えるスキル(技や魔法)は変わってくるシステムになっている。
  • 特徴としては固定のダンジョンが存在せず、「カオスゲート」という街の施設に3つのエリアワードを打ち込むことによりフィールドやダンジョンが生成される独特のシステムがある。
  • 以上はネットゲーム「The World」の特徴。以下主人公が取れる独自の行動について述べる。
    • 主人公は謎の少女「アウラ」により「黄昏の書」という開発者が本来想定していないデータ(簡単にいうとチートファイル)をインストールされている。それにより「データドレイン」と「ゲートハッキング」という特殊な行動ができるようになっている。
    • データドレイン
      • 一定以上体力を削った敵に対して使用できる。データをドレイン(吸収)することで装備品やウイルスコア(後述)を手に入れ敵を大幅に弱体化できる。
      • ここでしか入手できない装備品は多い。また弱体化は本当に半端でなく弱体化するため、手強い敵も簡単に倒せる(獲得経験値が少なくなるデメリットもあるが)。
      • ただリスクも当然あり、使えば使うほど「浸食度」というパラメーターが上がっていき様々な害悪が生じる。最大まで高まると「システムエラー」が発生し、強制ゲームオーバーとなってしまう事も。
      • データドレインを使わずに敵を倒せば浸食度は下がるが、後半はデータドレインなしでは倒せない敵も増えるので常に気を配る必要がある。
    • ゲートハッキング
      • ウイルスコアを使いプロテクトされたエリアに無理矢理侵入する技術。
      • プロテクトされたエリアは「開発者にとって見られたくないエリア」=「事件の真相が隠されたエリア」なので後半は主にプロテクトされたエリアを中心に探っていくことになる。


評価点

  • ネットゲームという雰囲気はかなり再現されている。
    • 登場人物のうち実際になんらかの事件が起きていることを認識しているものは意外に少なく、多くのキャラクターは純粋に「The World」というゲームを楽しんでいる。
      • このため主人公の周りで様々な現象がおきるのも「ゲームのイベント」と考えている者、なにかあるだろうと感じても深くは聞かない者、おそらくなにも考えていない者まで様々。このあたりも「色々な楽しみ方がある」というネットゲームらしさがある。
      • 「使い道のないアイテムを集めるとレアアイテムと交換してくれる」というRPGらしいイベントもそういう変なアイテムのコレクションをしているプレイヤーという形で登場している。
    • キャラクターの名前に統一感はない。そこが逆に「らしい」というか。
      • ちゃんとした理由があるキャラもいれば、多分その場の勢いで決めたであろうキャラまで。中には「ネットに不慣れだからキャラクターに本名を付けてしまった」という誰でも経験があるようなミスを再現しているキャラもいる。
      • 例を挙げると「レイチェル」「なつめ」「ぴろし」「ニューク兎丸」「砂嵐三十朗」「寺島良子」「月長石」など。これらは全てパーティメンバーに加えられるキャラである。
    • 仲よくなればメールで連絡をとってくるようになる。そこからリアルの人物像をある程度推察できるのが面白い。
    • 本作の説明書は「The World 日本語版」の説明書という体裁をとっており、その巻末にデータドレインを初めとする「.hack」の説明が載っている、という形になっている。
  • 「RPG」としては及第点の出来。
    • 装備品の数は一般的なRPGに比べて多彩であり、しかもそれぞれに固有のグラフィックが存在する。
      • 本作のスキルは全て装備品依存となる。使いたいスキルと装備品自体のスペックの兼ね合いが重要になる。
    • 本作のダンジョンは、エリア侵入前にプレイヤーが複数のワードを組み合わせ、ワードに応じたダンジョンが生成される、という「エリアワードシステム」を採用している。ワードはかなりの数が揃っている為、ダンジョン数は天文学的数字となる。
      • エリアワードは非常に多彩。中には「不倶戴天の」「猫市場」「禁断の」など中二心をくすぐり、思わず「なんじゃこりゃ」といいたくなるものも多い。
  • ストーリーの評価は高い。
    • 設定は異色だが流れは王道と言える、「特殊な力を持った主人公が仲間と力を合わせて友を救うべく隠された謎を追う」というもの。
      • しかし演出や個々のキャラクターの個性の強さにより「ありきたり感」はほとんど感じられない。
      • 「特殊能力を持つがゆえに狙われる」というありがちな展開もあるがここでの敵は「The World」の管理人。つまりこの世界において絶対の権限を持つ人物であり、その管理人に歯向かわざるを得なくなった主人公はどうするのか…?という形でうまくオンラインゲームという形式を活かしている。
  • キャラクターデザインや演出も高評価。
    • 総監督に「NOIR」や後に放送開始した「ツバサクロニクル」をはじめ多数のアニメ監督を担当した真下耕一、脚本は「うる星やつら」「機動警察パトレイバー」等を手掛けた伊藤和典、キャラクターデザインは「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な貞本義之と、メンバーも去ることながらプロモーションでも大々的に名前を載せるほど開発スタッフの本気ぶりが見て取れる。特に貞本氏の描くキャラクター絵はプレイヤーからは非常に高い評価を受けた。
      • 当初貞本氏はプロジェクト参加に消極的であったが、開発スタッフがPS2で動く綾波レイのポリゴンモデルをわざわざ製作してまで貞本氏に依頼を持ちかけ、半年をかけて口説き落とす三顧の礼を持って迎えられた逸話がある(4gamers.net 2011/10/31記事より)。
    • 特にボス敵にあたる「八相」は生物性を排した無機的なデザインといい、バグを思わせる登場時の演出といい非常にカッコよく仕上がっている。
    • 演出の徹底ぶりはゲームのみならず公式HPにも表れており、実際にThe Worldをこれからプレイするかのようにパソコンが立ち上がりゲーム内で使用されるOS「ALTIMIT」のデスクトップ画面が表示される演出が施されている。
  • サブイベントが豊富。
    • 仲間を増やすイベント、特殊なアイテムがもらえるイベント、プチグソという謎の生き物を餌を集めて育てるイベント、また前述の通りメディアミックス作品に隠されたワードを使ったイベントもある。
      • 各ボリュームクリア後にはここでしか手に入らないアイテムを入手するためのオマケダンジョンがある。ここのボスはいずれも一筋縄では行かず、アイテムの入手は楽ではない。
  • 豪華声優陣。
    • ベテランの有名声優がそろっている。しかもイベントはフルボイス。
    • 主人公の名前は変更可能。通常このような場合、主人公の名前が入るところはボイスがなくなるが本作では巧みな台詞回しにより、主人公の名前を一度も呼ばせることなくストーリーを成り立たせている。
      • このため本当に全編に渡ってフルボイス。しかも主人公が名前を一切呼ばれないのに違和感を感じさせないのも素晴らしい。
  • クリア後のおまけ、パロディモード。
    • 本編をクリアすると選べる。選ぶとストーリーをやり直す事になるが………
      • その内容がとにかく濃い。このゲームを語るに当たってある意味欠かせない要素。
+ パロディモードの詳細

とりあえず見てもらった方が早い

本編未プレイの人にも、明らかにヤバイと感じさせるぐらいのカオスなストーリーになっており、それ以上にキャラクターの性格改変、電波っぷりがすさまじい。

以下パロディモードのキャラクター紹介。(長いので格納)

+...
  • 主人公(デフォルトネーム「カイト」):双剣士(CV:相田さやか)
    • 重篤な中二病患者。どれぐらいかというと自分の技、「データドレイン」に「奥義暗黒吸魂輪掌破」という名前をつけるぐらい。しかも、年齢はリアルに中二である。
      • それでも登場人物の中では、まだしも常識人でツッコミ役に回ることも多い。というか他の連中がひどすぎるだけなのだが。
  • ブラックローズ:重剣士(CV:浅野真澄)
    • 記憶喪失で常に自分に自信がない。歴史をごちゃまぜにしたデタラメな発言が特徴。「いけません、いけません」は彼女の象徴とも言える台詞だろう。
      • ネットゲームに自分の記憶の手掛かりがあると思っている。その正体は…。
  • オルカ:剣士(CV:増谷康紀)
    • 主人公の友人。リアルの名前は「田中わび助」。二つ名の「蒼海のオルカ」には重要な意味がある。
      • ネットゲームにおけるカッコイイ自分に陶酔している。ちらりと見たアウラに一目ぼれし、彼女を守るために戦うもあえなく昇天。なぜか彼を知るほとんど全ての人から「足が臭いバカ」呼ばわりされている。初対面のはずのアウラにもそう呼ばれているので実際臭いのかもしれない。
  • アウラ:?(CV:坂本真綾)
    • オルカをおちょくるような発言をするなど妙に無邪気な性格。「ガッツ石松」と実在の人物名を出しているが、いいのだろうか。
      • 主人公は彼女を昔飼っていたハムスターの「たまみ」だと信じており、そのことについてメールで文句をつけてくることも。本編では彼女から来るメールは文字化けしてまともに読めないのだが、このモードでは文字化けしているように見せかけて普通に読めるが内容は普通じゃない
  • バルムンク:剣士(CV:檜山修之)
    • SFを愛し、オカルトを嫌っている。科学用語を散りばめた本筋に関係ありそうで関係ない発言が多い。
      • 主人公は彼を「タカラヅカモドキ」と呼んで嫌っている。見るだけで無性に腹が立つらしい。
  • ヘルバ:呪紋使い(CV:冬馬由美)
    • 一見詩的で謎めいた発言を繰り返す。しかしその意味を裏読みすると、全年齢対象どころか18禁でもおかしくないほどヤバイことを言っている。
      • 主人公、ブラックローズ、バルムンクといった面々となにか因縁があるらしい。
  • ミア:剣士(CV:高山みなみ)
    • 電波その一。どこからか高濃度の電波を受信しており、台詞も支離滅裂である。それだけでなく「霊が見える」などの発言も。
      • ゲートハッキングを「超次元霊界航法」と呼ぶなどこちらも病気をこじらせている。
  • エルク:呪紋使い(CV:斎賀みつき)
    • 電波その二。ミアに比べると言ってることの前後はまだ整っている。その代り、擬音をやたら多用して話す。
      • 電波を受信できない主人公を馬鹿にしたりもする。本作の電波発言の8割方はこの2名によるものである。
  • ミストラル:呪紋使い(CV:榎本温子)
    • 多重人格者。彼女の肉体は普通ではないらしいが…。
      • 謎の方言を多用する人格、やたら子供っぽい人格などどのキャラクターも普通ではない。
  • リョース:管理者(CV:西村知道)
    • やたら渋味のある発言が多く、ハードボイルドかつダンディ。芝居臭いとも言う。
      • 主人公に試練を与え続けるが、単に管理者という立場からいじめている、というわけでもない様子。
  • ワイズマン:呪紋使い(CV:山崎たくみ)
    • 全身に多数の病を抱えた身。主人公に「ゲームなんかやってていいのか?」と心配されている。
      • 「動け…僕の心臓…」などどこか切なさと悲壮感を感じさせる発言や、細菌の名前を乱発する傾向がある。
  • 本編が比較的シリアスに進むため、そのギャップで酷さが二乗になっている。
    • あろうことか本編と同じ声優によるフルボイス。下ネタ・電波発言もきっちり言ってくれる。
      • そのカオスさから、タイトル・キーワードになぞらえて「公式が悪性変異」「公式が未帰還者」などと言われてしまう。しかもこれで「全年齢対象」である。
    • 主人公が最初から高レベル、かつウイルスコアを大量に持っているので、詰まることなくサクサク進む。無駄な所で気を使っている。
      • こんな代物が全ボリュームに用意してあるのだからたまらない。しかも伏線を全て回収しきる(伏線じゃない場所は大抵その場限りのギャグである)、本編にも劣らないクオリティのシナリオである。
  • いわゆる「公式が病気」系のゲームだが、ここまで酷い(褒め言葉)作品もそうそうないだろう。というか、一度パロディモードをプレイすると、製作者はこれがやりたいがために本編を作ったんじゃないのかと疑いたくなる。
  • なお、本作には続編『G.U.』が存在する。こちらはアクション性などが強化されているが、ファンが一様に漏らす不満が「パロディモードがない!」である。


問題点

  • 4作品分割販売について。
    • やはり「1本のゲームを無理やり4つに分けただけ」のような批判は存在する。
      • 例としてはレベルキャップ。Vol.1では25レベル、Vol.2では50、Vol.3では75、Vol.4では100という具合にレベルキャップが設定されており、どう見ても100レベルまであるゲームを4つに割っただけである。ちなみにこれらは普通にプレイしていてもクリア前に限界に到達してしまう程度のレベルなので、余計に「分割商法に付き合わされている」感が強い。
      • 一本一本がフルプライスなのも問題だった。当時は全て買うとかなりの値段になってしまっていた。
    • 作り込みの甘さを分割商法で誤魔化している部分も感じられる。
      • 例えばVol.2に移行するとキャラの走る標準速度が上がる。1では移動速度があまりに遅かったので、2から上昇させたのだろう。アップデートと言えば聞こえは良いが、後付けで改善していることには変わりない。
      • 逆に金のゴブリンを撃破する際などに重要となるアイテム「巻物」が、Vol.3からは魔法屋で購入できなくなる等、Vol.を進めると改悪されるシステムも存在する。
    • そもそもVol.1から通してプレイしないとストーリーが訳がわからなくなる。
      • 最新版と思い込んでVol.4からやると悲惨。一応最初に簡単な解説はあるものの、到底カバーしきれるものではない。
      • 本作のストーリーは王道だが、単純ではない。様々な勢力の思惑が絡み合い、ネット上と現実世界が相関する中で、仲間たちとの絆とともに主人公は成長していく。最初からストーリーを追っていないと、置き去りにされることは請け合いである。
      • にもかかわらず本作のパッケージは「生まれるには、一度死ななければならなかったのかもしれない」等やたらと抽象的な文言ばかりが並んでおり、外面からゲーム内容を把握することが困難である。せめて引き継ぎ作品だという旨は記載しておくべきだろう。
  • アクションRPGのアクション部分の不出来さ。
    • 通常攻撃一種類、ガードや緊急回避なし、スキルの使用にいちいちメニュー画面を開く必要がある(その間時間が止まってしまう)…など、テンポを悪くする要素が盛りだくさん。というか、誰かがメニューを開くたびに戦闘が止まっては、オンラインゲームとしては完全失格である。
      • 戦闘バランスとしては物理スキルが弱く、対して魔法スキルは非常に強い。よって戦法としては、敵が近付いてくる前に魔法スキルを連発して倒すのが最も確実なのだが、困ったことに主人公の職業は双剣士で固定されている。双剣士は最大魔力の伸びが悪いので、最悪の場合主人公が最大のお荷物となる。
      • しかもAIがあまり賢くないので、主人公が死亡すると命令系統が無くなりほぼ詰む。その為主人公が前に出て戦う訳にもいかない。何の為の双剣士だ。
    • せっかくキャラが立っており、ロールプレイに入り込めるにもかかわらず、肝心の戦闘がこれでは台無しである。いっそのことアクション要素を抜いた方がマシだったのではないか?(確かにオンラインゲームの多くはアクションRPGだが)
  • 実はダンジョンのバリエーションは決して多くない。
    • フィールドの方は6属性各2種類の合計12種類とそれなりに見た目の違いはある。
    • しかしメインとなるダンジョンはなぜか4種類しか内装の違いがなく、同じようなダンジョンをひたすら攻略させられる。
      • 構造もそこまで奇抜ではなく、内装ごとに仕掛けが違うということもない。
  • 難易度が歪。
    • 一部のザコ敵の攻撃力が高く、油断すると死にかねない。しかも前述の通りガードや回避がないため、攻撃をかわす手段は距離を取ることのみ。
    • 普段の難易度はそこまででもないが、主人公一人での攻略が強制されるダンジョンは途端に難しくなってしまう。
    • ボスである八相にも問題があり、多くのプレイヤーの一致した意見として、最も強いのは「第一相・死の恐怖・スケィス」。一番最初に戦う八相である。
      • 初戦ということもありレベルや装備品が整っていないこともあるが、それを差し引いても強すぎる。
      • ただし、ストーリー面では非常に重要な位置を占めるキャラクターであり、「オルカとアウラをデータドレインした主人公にとっての因縁の相手」、「戦う時期がVol.1のクライマックス」と盛り上がる場面での勝負である。「弱すぎて拍子抜け」よりはよほど演出としては正解だろう。
    • 逆にその次に戦う「第二相・惑乱の蜃気楼・イニス」はスケィスを倒せたプレイヤーなら楽勝とは行かずとも、ほとんど苦労しないほど弱い。
      • その外観から「地図」「スケィスの外枠」などと言われる始末。
  • 職業間の扱いの格差。
    • 本作に登場する職業は、「双剣士」「剣士」「重剣士」「重斧使い」「重槍使い」「呪紋使い」の6種類。このうちVol.4終了までに仲間に加わる17名(主人公含む)の構成は双剣士3名、剣士5名、重剣士2名、重斧使い2名、重槍使い2名、呪紋使い3名とやたら剣士に偏っている。
    • しかも上のキャラクター紹介を見ればわかる通り、ストーリーに絡むのはほとんどが剣士か呪紋使い。呪紋使いに至っては仲間に加わる3名全員がシナリオに関わってくる。
    • 一方、割を食っているのが重斧使い。なんとVol.1で1人目が加入した後、Vol.3まで2人目が加わらない。そこまでの間、重斧使いが使いたければこいつ1人でやりくりするしかない。
      • ただし、この1人目、「ぴろし」はやたらキャラクターが濃く、コメディリリーフとしての人気は高い。完全に冷遇されているわけではない。
    • 使える時期で言うならば呪紋使いも若干扱いが悪い。
      • 比較的早い段階で3人全員がメンバーになるものの、シナリオの関係上内2人がほぼ常に連れていけない状態にある。3人全員を自由に使用できるようになるのはほぼクライマックスである。
  • 武器の外見が詳細に設定されているのに、実際に装備しないとデザインがわからない。
    • ついでにムービーでは装備が反映されず、常に初期装備で表示される。
  • ストーリーの問題点。
    • 前述の通り完成度は高い。しかしメディアミックスの関係上、本作とliminalityだけでは補完しきれない面が多く、もやもやしたところが残ってしまう。
      • 特に終盤の展開はアニメ「.hack//SIGN」に密接に関係している為、ゲームだけをプレイしていると突然登場するキャラクターや敵の意味が全く分からない。
  • 終盤アイテムが余り気味になる。
    • 特にイベントでしか使わないウイルスコアと、全てのプチグソを育てると不要になるプチグソの餌が余ってしまう。
      • どちらも重要アイテム扱いなので換金不可。ますます役に立たない。
  • クリア後ダンジョンの仕様。
    • クリア後に行くことが可能となるダンジョン「Ω隠されし 月の裏の 聖域」が、あまりにも理不尽な難易度。
    • まず本作のダンジョンは部屋の連続で構成されており、部屋の中に敵が発生した場合撃破しない限り先には進めないシステムとなっている。
    • そして本ダンジョンでは「ウイルスバグ」と呼ばれる、データドレインを使用しない限り倒す事が不可能な敵が恒常的に登場する。上述されているが、データドレインはリスクを伴うもので、連続で使用し続けると最悪、一定確率で即ゲームオーバーとなる。
    • つまり、ウイルスバグが延々と登場する本ダンジョンではデータドレインを連続で使用し続けざるを得ず、即死リスクを回避することが出来ないのである。
    • よって本ダンジョンを攻略する為にはかなりのリアルラックが必要。データドレインを行う度にGAMEOVERの表示が出ないことを祈りながら、ビクビクと最奥を目指すしかないのである。「難しい」ではなく「理不尽」と上述したのはこの為*2


総評

前代未聞の4作品分割販売は大きな波紋を呼んだが、ゲーム自体の完成度は決して低くない。
シナリオ、キャラクター重視でゲームを遊ぶ人間には特に楽しめるだろう。
本作のキャラクター人気は後に外部出演として、『PROJECT X ZONE』にバンナム枠の一角として参戦していることからも窺えるだろう。
それだけにアクション面の不出来さ、ダンジョンバリエーションの少なさなどの欠点が目立ってしまう残念な点もある。
.hackプロジェクトの中心核を担うことはできたが、評価としては「良作になりきれなかった佳作」といったところか。