ラチェット&クランク5 激突!ドデカ銀河のミリミリ軍団
【らちぇっとあんどくらんくふぁいぶ げきとつ!どでかぎんがのみりみりぐんだん】
ジャンル
|
アクション
|
|
対応機種
|
プレイステーション・ポータブル プレイステーション2
|
発売元
|
ソニー・コンピュータエンタテインメント
|
開発元
|
ハイインパクトゲームズ
|
発売日
|
【PSP】2007年6月28日 【PS2】2008年7月3日
|
定価
|
4,980円(税込)
|
廉価版
|
PSP the Best:2009年1月22日 パッケージ:2,800円 / ダウンロード:2,200円 PSP the Best:2012年7月5日 パッケージ:1,800円 / ダウンロード:1,400円
|
判定
|
なし
|
ラチェット&クランクシリーズ
|
SIEワールドワイド・スタジオ作品
|
概要
PS2で好評を博した『ラチェット&クランク』シリーズの5作目。シリーズでは初めて携帯機での発売となった。
開発はInsomniac GamesとNaughty Dogsの元社員によって立ち上げられたハイインパクトゲームズが担当している。
前作『4』が「バトル中心の展開でステージの探索要素がほぼない」「主人公・ラチェットの相棒・クランクが背中にいない」といった点から『1』~『3』の持ち味である探索要素やコミカルなキャラの掛け合いなどが薄くなっており難色を示すファンもいた。
その点で今作では「ラチェットの背中にクランクがいる」「惑星を移動して物語を進める」という要素が復活し、雰囲気的にも原点回帰を意識して作られている。
主な新要素・変更点
操作性
PSPはPS2と違い右スティックとL2R2ボタンがないため、操作性が多少変わっている。
まずR1やR2ボタンでできた「しゃがむ」という動作はLボタンとRボタンの同時押しで行うようになっており、視点変更はLボタンで左へ、Rボタンで右へカメラが回転する。
新アーマーシステム
従来の防具の発展形であり、頭・胸・腕・足の4つの部位それぞれに装備することのできるアーマーが用意されている。
アーマーは基本的にステージに落ちているが、一部ちょっとした手順を踏んで手に入れたり、ミニゲームの景品として入手していく。
アーマーには「ワイルドファイヤー」「エレクトロショック」といった部位それぞれに名称があり、防御力などの違いがあるが、今回はそれ以外にアーマーの種類の組み合わせによるスキルが発動する。
アーマーを同じ種類に統一しなければ発動しないスキルや、違う種類のアーマーの組み合わせで発動する隠しスキルもある。
評価点
-
従来作品同様の爽快感
-
多数のガラメカ(武器)を使い分けての敵の撃破、さまざまなオブジェクトの破壊による爽快感は、PSPという作品ながらサウンドエフェクトなども従来の作品と同様のものでしっかりと再現されており、据え置き機と変わりない爽快感を携帯機で手軽に味わうことができる。
-
グラフィック
-
プレイ中やムービーなどのグラフィックはPS2作品と比較してもほとんど変わりなく美麗。
-
アーマーシステム
-
「近接攻撃時に炎がついて追加ダメージをあたえる」「近接攻撃で敵を凍らせて無防備にする」「移動中に敵に狙われにくくなる」などアーマーの種類ごとにいろいろな効果がある。
-
そういったアーマースキルは「アーマーセット」に登録されていくのでそれを集める要素もある。
-
やりこみ要素
-
ステージに隠された「チタニウムボルト」集めとそれを消費した衣装購入、特定条件を満たして手に入るスキルポイント、多数のミニゲームのクリア、アーマー集めとアーマーセットの発見、武器のアップグレード(成長)や強化パーツの購入による改造など、後述の短いシナリオの中でもやりこみ要素自体は多く詰め込まれてあるので、これらを全てクリアするとなるとなかなか長い時間プレイできる。
-
これら要素を全て達成すると、前作ではカットされていた開発陣の没キャラ、没アイデアなどを閲覧できるモードが開放されるというご褒美が用意されている。
-
通信対戦
-
従来は据え置き機であるために画面を分割しての対戦であったが、通信対戦となったので敵の画面が見えなくなったので、敵の行動の読みあいといった要素がより強化され緊張感のある対戦ができる。
-
また現在ならアドホックパーティーを使ってのオンライン対戦も可能となった。
賛否両論点
-
ガラメカのアップグレード数
-
4はレベル99まで強化できたのだが、今作は1周目は4段階、2周目からボルト(お金)を支払って上位版に変換しさらに3段階と合計7段階になっている。
-
ただ前作が「多すぎる」という否定的な意見もあり、これくらいがちょうどいいという声もあるのでやや賛否両論といったところ。
問題点
-
シナリオの短さ
-
ゲームを1周するのなら初めてなら平均して15時間、慣れればムービーなどイベントを飛ばして5時間を切ることができる。このためシナリオが従来よりも薄く感じてしまう。
-
今までの作品は惑星(ステージ)が15以上あったのだが、今作では8つで全体的にマップも狭いため従来の作品にある「広大なステージの探索」といった要素が多少減少している。
-
とはいえ上記のようなボルト集めなどがあるので探索要素がまったく無いわけではない。
-
ロード時間がやや長め
-
ステージ移動やミニゲームへの切り替えをする際に10秒以上のロード時間がかかる。
-
主人公ラチェットのプレイ中の声が日本語に吹きかえられていない。
-
イベントシーンなどは当然ながら日本語に吹きかえられている。日本語では少年のような声なのだが、プレイ中の声は青年に近い声なので違和感を覚えやすい。
-
先に進めなくなるバグがある。
-
デイニームーンと呼ばれるステージに初めて訪れ、オートセーブ後にゲームを終了し再スタートすると、前のステージからスタートし、デイニームーンが移動先に存在しなくなってしまいボスを倒しても先に進めなくなってしまう。
-
中盤のあるボス戦の難易度が高い。
-
戦闘開始前にボスの攻撃を回避しつつ逃げ回るイベントがあるが、これがやたらと長い。
-
絨毯爆撃>ブルドーザーもどきで追跡>落石攻撃の三段構え。もちろん攻撃を食らえば大ダメージとなる。
-
その後ようやく戦闘開始になるが、こいつも他のボスと同様固い上に攻撃力が高い。
-
ここでやられてしまうとコンティニューポイント、つまり逃走イベントの前からやり直しとなる。
-
シナリオ進行上クリア必須のミニゲームが多い。
-
レース、シューティング、パズルのような物などジャンルも無駄に多彩。
-
しかも増やせば良いと思っているらしく、全クリを目指すならかなり多い。例えばクランクチャレンジだけでも30問クリアしなければならない。内容は似たり寄ったりで敵の撃破数や必要点数が増えていくだけでかなり面倒。
全クリを目指さなければ無視出来るが、その場合でもアーマーなどを見逃す事になるのでゲームに実害が出ている。
後述の様に敵の攻撃が激しいのでアーマーは是非欲しいところだが、ここまで多いと単純に飽きるし面倒。
-
一番最後のデストラクションダービー、ボスとの一騎討ちなのだが、回復アイテム無しで戦わなければならない上にこちらの攻撃方法は攻撃力、リーチ共に貧弱なのに相手のハンマー攻撃は見た目と攻撃判定が合っておらず、かなり範囲が広く避けにくい。その上、こちらの機体は小回りがきかず
カメラだけを回す事も出来ない(こちらのカメラ移動は機体の移動と同期している、機体自体を動かさないとカメラも移動しない)ため敵の正確な位置を把握出来ない。レーダーはあるが、肝心の「敵が今どちらを向いているか」が分からないため全く役に立たない。明らかに調整不足の難易度であり理不尽。せめて攻撃方法くらい選ばせてくれても良かったのでは?
全クリを目指しているので無ければ無視できるのが不幸中の幸いか。ただ、全クリが目標で無かったとしても、ガラメカが一つ入手出来なくなる事は良いのだろうか?
-
ただ、レミングスの様なミニゲームはよく出来ているので、これだけで良かったのでは?
-
相変わらず敵の攻撃力が異常に高い上体力も多い。
-
防御力と体力を最大にしても3、4回の被弾でやられてしまう。
-
特に中盤辺りは、「威力が高く、真っ直ぐ飛び、それなりに弾数がある」ガラメカの不足により、苦戦を強いられる。
-
根本的に、今作のガラメカは使いづらい物が多い。「使ってすぐにダメージを稼げる」系の速攻性のあるガラメカが少なく、ドクダングラブ、アクマングラブ、ビークイングラブなど敵にダメージ与えるまでにタイムラグがある物、吸い込める敵がかなり少ないサックキャノンなど使い所が限られる物が多い上に、何よりどれもこれも威力が全く足りておらず、撃っても撃っても敵が死なずストレス。ガラメカを撃ちまくって敵を吹っ飛ばしまくるラチェット&クランクの持ち味を潰してしまっている。
-
アーマーの強化が不可能。
-
前半に手に入れるアーマーは、1周目後半及び2周目以降はほぼ役立たず。ザコ敵の攻撃でも瀕死か、一撃で死ぬようになる。せっかく多彩な特殊能力があるのに、最終的に実戦で使えるのは、ザコ戦なら「エレクトロショック」セット以上の防御力のアーマーセット、ボスに至ってはほぼ「カメレオーン」セット一択となる。
-
一応、任意のアーマーセットを付ける ⇒ 特殊能力を発動 ⇒ すぐ防御力の高いアーマーに戻す ということは可能だが、「アーマーセット」の項目を開くにはSTARTボタン ⇒ スペシャル ⇒ アーマーセット としなければならないので、戦闘中に行うのは非常に面倒。せめてワンボタンで任意のアーマーセットに切り替えられる機能がついていれば良かったのだが。
-
ヘリブースターのロングジャンプの性能を考慮していない難易度の部分がある。
-
今作でもクランクには、プロペラを生やして飛行する「ヘリブースター」が搭載されており、アクションも過去のシリーズと同じく、高く飛び上がる「ハイジャンプ」や、前方に大きく幅跳びのように飛ぶ「ロングジャンプ」に加え、落下速度を抑えて空中での対空時間や移動距離を稼ぐ「ホバリング」が可能である。特に今作もラチェットは鈍足のため、ロングジャンプを連続で出して高速移動する技術は、過去作と同様に移動においての重要なテクニックである。
-
が、この技術を使うと非常に簡単にクリア出来てしまう難易度の部分がゲーム後半に複数ある。ゲーム前半の慣れていない頃ならともかく、ゲーム終盤に出られても正直時間の無駄でしかない。
-
難易度を上げたければ歩けばいいが、今度は鈍足過ぎてストレスが溜まるという八方塞がりである。
-
異常に強いラスボス。
-
一定まで体力を減らすまでは常にバリアに守られており、ただでさえこちらは攻撃力、弾数不足に悩まされているのにまずバリアを剥がさなくてはならない。
これと言って弱点と呼べるガラメカもなく、ビーマイングラブでバリアを剥がし、バズーカで撃つ以外に攻略法が無い。
一応、レーザーが弱点ではあるらしいが、このレーザーが手動で敵を追いかけなければ当てられず、またその挙動も妙に扱い辛い上に何故か動かせる範囲に限界があるため敵がその範囲外まで逃げてしまうとダメージを稼げなくなり、弱点とまでは言い難い。
総評
爽快感ややりこみ要素などの『ラチェット&クランク』の根本部分は変化していない。
PS2作品と比較するとシナリオの短さなど劣る部分は否めないが、携帯機で手軽にシリーズの魅力を堪能できる。
シリーズの入門など初めてプレイするのにもお勧めといえるだろう。
ただ、全体的に調整不足であり、やや雑な作りなのは否めない。
PS2版について
-
今作から1年後にPS2版が発売された。
-
変更点は「ラチェットのプレイ中の声が日本語に吹き替えられた」「チタニウムボルトを消費して手に入れる衣装が2つ追加」のみで、シナリオのボリュームなどに変化は無いベタ移植である。
-
一方で、ソフトの問題で発生していたUMDのロード時間は、5秒程度といままでのPS2作品と同様のロード時間となる。
余談
-
本作品の制作中の2006年に『ラチェット&クランク』シリーズの制作会社であるインソムニアックゲームズのスタッフの1人、ダン・ジョンソン氏が逝去したため、エンディングのクレジット後は彼の生前の写真とともに彼を偲ぶ追悼メッセージが表示される。
最終更新:2023年10月28日 10:39