PRAJATOR

【ぷらじぇーたー】

ジャンル 格闘ACT
対応機種 PC-8801FH以降
発売・開発元 エニックス
発売日 1989年12月
定価 7,800円
判定 なし


概要

PC向けには珍しい格闘アクションゲームである。
PC-8801FH以降(PC-8801シリーズの中では高スペック)というアクションゲームをするにはスペック十分とは言えない機種で、大型キャラを動かしている。
元々、本作は発表当時流行した『プラレス三四郎』、近年なら『ダンボール戦機』風のゲームであり、ジャンルはACT&RPG&AVGという意欲的なものになるはずだった。しかし1987年末に発売予定だったものが、スタッフ間のイザコザから延期に継ぐ延期。ついには意欲的な要素はかなり削られ、設定まで変わってしまう有様*1*2
結局残ったのはACT要素だけとなってしまった。しかも、その残ったACT要素さえ大して褒められるようなものではなかった。

ストーリー

1995年、コンピューターネットワークの急激な発展はウィルスやハッカーの跋扈を招いた。
それらはやがて「ラウンド・ギア」というネットワーク侵入システムを生み出す。
事態を重く見た情報管理局MAIは、防衛用ラウンド・ギア「プラジェーター」を開発したのだった。


特徴

  • 元々、手の平ロボットバトルだったのだが、紆余曲折の果てに、ロボットの形をしたハッキングツール同士がネットワーク上で対戦するものに変わっていた。いずれにしてもロボット格闘アクションである。プレイ画面を静止画で見ると、『イーアルカンフー』『ストリートファイター』のような、よくある1対1形式の2D格闘ゲームのようだが、そこまでゲーム性は深くない。
  • 主人公機の行動は四種類。前進、後退、垂直ジャンプ、しゃがみ。攻撃も四種類。立ちパンチ&キック、ジャンプキック、しゃがみキック。必殺技もガードもない*3
    • ダメージは、根元で当たった場合と先端で当たった場合とで大きく違う。
    • 敵はヒットバックがないので、当たっても押し返せない。一方、自機はヒットバックもふっ飛ばしも受ける。
  • 敵の種類は様々。人型からただのボールのようなもの、地上を軽快に動くものや宙に浮きっぱなしのもの等、ロボットらしくいろいろとある。
  • ステージは全部で6。一つのステージには前座に2体、ボスキャラとして1体。計3体と戦う事になる。
  • ステージ終了後、ポイントが与えられ、ボディとパンチ、キックを自由に強化できる。
    • ただ分配方はほとんど選択の余地がなく、雰囲気だけというレベル。元のRPG要素の名残りかもしれない。

評価点

  • 家庭で格闘ゲームができる。
    • 格闘ゲームとして一応遊べる。お互い動きは乏しいながらも、攻略方法は考える必要がある。
    • 様々な敵がいるが、初動のハッキリした攻撃を出す敵、接近戦を挑んでくる敵、ヒットアンドウェイの敵、飛び道具を使う敵など、ある程度の種類がある。攻撃ポイントがハッキリしている敵も少なくない。それに合わせ、攻撃を組み立てる事になる。敵によっては誘いが有効な場合もある。
    • 難易度もほどほど。
  • デザインは全体的になかなかいい。
    • 本作にはテッカマンブレードなどのメカデザインをした佐山善則が参加している*4
  • グラフィック、BGMなどはかなり高いレベル。当時のエニックスのPCゲームの品質は高く、本作も製品としての出来はいい。

問題点

  • 寂しい主人公機のアクション。
    • 前述の通りできる事の限られる主人公機。さらにガードもないので、敵の攻撃はかわすしかない。しかも挙動がやや重い。
    • この重い動きのため、敵に対応しきれなくなることもままある。このため、たまたま当たった・たまたまかわせたという運の面があり、それに期待せざるを得ない相手もいる。特にごり押しで対処せざるを得ない敵は、かなり運に左右される。
  • 敵も動きが乏しい。
    • マシンスペックの問題か、攻撃も動きもそうバリエーションはない。

総評

PC-8801FHでストIIクラスの大型キャラを動かした技術は見事。
だが、だからと言ってゲームの面白さとは別の話。むしろ低スペックのマシンでせいで、動きの乏しいキャラ同士の慎ましい格闘ゲームとなってしまっている。さらに運の要素がやや目立つのも残念な所。
当初の予定通りRPGやAVG部分があれば、それらゲーム性の乏しい部分を補完できたのかもしれないが、後の祭。
一方で、ゲーム性以外の面、メカデザインやグラフィック、BGMはかなり良くこの点は評価できる。
全体的に微妙な出来なゲームだが、全く遊べないという訳でもない。また、このサイズのキャラを動かすゲームは当時アーケード以外になく、単純に家庭で大型キャラを動かす喜びがあった。


余談

  • 本作は同社作のAVG『ザース ~人工頭脳オリオンの奪還~』に関連するシリーズ『ネクサス・リーダー・シリーズ』のひとつに数えられる作品となっている。
    • シリーズとしては4部作の予定で本作は第2部に相当。ただし実際に製品化されたのは本作と第4部に相当する『ザース』のみ。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2018年05月16日 11:50

*1 プラジェーターの設定が「ベースキットに規定のパーツを組み合わせて作成された小型ロボット」から「対コンピュータウィルス用のバーチャル戦闘兵器」に変更された。

*2 それに伴いサブタイトルも「マルスへの挑戦」(マルスはプラジェーター全国大会チャンピオンの少女。広告でも彼女のビジュアルを前面に押し出す構成になっていた。)から「IMAGE RANGER」に変更された。

*3 まだこの頃はストIIも出ておらず、格闘ゲームはマイナージャンル。イーアルカンフーのようにガードのない格闘ゲームもあったため、格闘ゲームに必ずしもガードが付きもの、という訳でもなかった。

*4 氏が『機動警察パトレイバー』のアニメに携わっていた影響もあってか、キャラクターのコスチュームにその影響が見受けられる。