La-Mulana

【ら・むらーな】

ジャンル 遺跡探検考古学アクションADV
対応機種 Wii(Wiiウェア)
Windows XP/Vista/7
プレイステーション・ヴィータ
Nintendo Switch
プレイステーション4
Xbox One
メディア ダウンロード専売ソフト
Switch版のみ『2』とセットになったパッケージ版あり
発売・販売元 【Wii】アスタリズム
【Win】AGM PLAYISM
【PSV】ピグミースタジオ
【Switch/PS4/One】PLAYISM
開発元 NIGORO
発売日 【Wii】2011年6月21日
【Win】2012年7月13日
【PSV】2014年12月17日
【Switch/PS4/One】2020年8月6日
定価 【Wii】1,200Wiiポイント
【Win】Playsm:1,234円、Steam:1,480円
【PSV】1,500円
【Switch/PS4/One】1,480円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
備考 2019年1月31日にWiiウェアの購入期間は終了済み
判定 なし
ポイント レトロ調のインディ・ジョーンズ風ゲーム
謎解き重視のメトロイドヴァニア
元同人フリーソフトのリメイク作品



汝は賢者か          

        それとも愚者か

汝が賢者であることを祈る

                        ――公式PV(2011/07/03)より抜粋



概要

オーパーツだらけの古代遺跡をインディ・ジョーンズのように解き進む、謎解き要素強めのメトロイドヴァニア。
2006年にMSXファンの同人グループ「GR3プロジェクト(現NIGORO)」がインターネット上で公開した同名のフリーゲームをリメイクした作品。
日本に「インディーゲーム」の概念が普及する以前に販売されたインディー作品の一つである。
往年のMSXファン以外にも、国内外のコアなゲーマーから高い評価を得ている。
※前述のフリーゲーム版は個人制作であり、当wikiのルールに抵触するため本記事は取り扱っておりません。

多数のハードに移植されているが、内容はほぼ変更されていないため全て一つの記事として扱う。
各ハードの概要や差異については後述「各ハードについて」を参照されたし。


ストーリー

私の名はルエミーザ・小杉。大学で考古学を教えている。教授じゃない、助教授だ。
大学での講義の傍ら、休暇となればまだ見ぬ古代遺跡を探して世界中を飛び回っている。
その日、講義を終えて自分の研究室に戻ると机の上に小汚い封筒が置いてあった。

『ついに見つけたぞ。私の勝ちだ。』

見覚えのある手帳の切れ端に書かれた見慣れた文字が俺を笑っているようだ。
裏には「遠い昔の伝説」という題名の詩が書かれている。
封筒の奥には今まで見た事もない文様の入った金貨。しかしこの金貨に刻まれた文字はよく知っている。
親父はついに見つけたらしい。
全ての文明の起源となった、未だ知られぬ古代文明遺跡。
親父のライフワークとも言える研究が実を結んだらしい。

この短い勝ち誇った子供のような手紙がいつものスタートの合図だ。
私に来いと言っているのだ。また私を利用しながら目当てのお宝だけは自分が持っていくつもりだろうが、それももう終わりだ。
500年生きても拝めないかもしれないこんな素晴らしい研究対象を前に出されたら、今度こそ親父を出し抜こうと言う気も失せてしまいそうだ。

私は愛用の考古学研究専用のノートパソコンを始め、何かと便利な相棒のムチと銃、あらゆるヤバめの機材を大量にカバンに詰めて空港へ向かった。
行き先は、全ての文明、全ての生命の起源と言われる伝説の地、「LA-MULANA(ラ・ムラーナ)」

もっとも、「これはお土産だ」とゴネて持ち込めたムチとパソコン以外は空港で全て没収される事になったのだが・・・・
帰りの便ではそれ以上の荷物を持って帰るのだから、良しとしよう。

――2011年公式サイト「ゲーム紹介」ページより


本作の特徴

  • レトロチックなドット絵で構成された、ビューチェンジ型2D横スクロールACT。公式曰く「遺跡探検考古学アクションADV」。
    • MSXファンであるスタッフ達の拘りにより、全体的なゲームデザインはMSXの名作探索ゲーム『ガリウスの迷宮』をベースとしている*1
    • 舞台は実在のトンデモ学説*2に基づいた、「世界の全ての古代文明の共通の起源、人類発祥の地」とされる巨大遺跡ラ・ムラーナ。
      古代アステカ遺跡、古代エジプト文明、古代ヨーロッパ遺跡、古代日本遺跡など独立したコンセプトで構成された16種類の遺跡群を探索する。
    • 主人公のルエミーザ・小杉は、忍者の末裔で日系三世の大学助教授という設定。洋画「インディ・ジョーンズ」さながら、遺跡で大冒険と戦闘を繰り広げる。
      • 作中でも背景を調べると「〇〇を模したレリーフ。××地方の△△遺跡に残されたものと酷似している」等の現実に則した考古学情報を披露してくれる。
  • 基本的なルールは「往来自由の広大なダンジョンを探索する」「アイテムを集めて新たな探索先を開拓する」、
    「立ちふさがる敵を倒して探索先を開拓する」「頭を使い仕掛けを解いて探索先を開拓する」という典型的なメトロイドヴァニアを踏襲している。
    • 中でも本作の特徴として「探索する」「仕掛けを解く」に重点が置かれている。
  • 基本操作は移動(方向キー)と、メインウェポン/サブウェポン/ユーザブルアイテム/ジャンプの4ボタン。
    • メインウェポン(一例)
      主に近接武器。ムチ以外は遺跡の謎を解くことで解禁される。
       ムチ :初期装備。リーチも振りの速さも攻撃力も標準的で、前方と上方に攻撃判定がある。
       ナイフ:遺跡で入手。リーチは短いが振りが非常に早く、前方と下方に攻撃判定がある。
       オノ :遺跡で入手。リーチは長いが振りが非常に遅く、前方と上方と下方に攻撃判定がある。
    • サブウェポン(一例)
      主に遠距離武器。どれも所持弾数に限りがある消耗品。遺跡の謎を解くことで解禁される。
       手裏剣 :初期に入手できる、標準的な飛び道具。前方へ水平に投げる。
       発弾筒 :上方へ垂直へ撃つ飛び道具。照明などギミックへの点火も可能。
       まきびし:3発1セットを後方の床に撒く設置武器。数少ない後方攻撃武器でもある。
       銃   :圧倒的な火力・リーチ・弾速を備えた、最強の武器。本作の救済措置。
    • ユーザブルアイテム(一例)
      主に「調べる」「鍵をはめる」などの探索行動。
       ハンディスキャナ:石碑や遺骨を調べて文字や絵を表示する。本作の基本動作の一つ。
       ポシェットキー :古代の鍵。遺跡各所のオーパーツを起動させる。
       コショウ    :調味料。とある人物がくしゃみをする。
  • 聖杯、聖杯石碑、聖杯ワープ、クイックセーブ
    • 最序盤に入手できる重要アイテム「聖杯」。各遺跡に1つずつ設置された「聖杯石碑」。
      聖杯石碑を調べると聖杯に情報が記録され、その後はいつでもどこでも何度でもその聖杯石碑までワープできる。
      回復スポットのあるスタート地点にも聖杯石碑が設置されており、体力回復や消耗品補充に簡単に帰還できる。
      • 聖杯石碑は手動セーブポイントの役目を持つだけでなく、目の前を通過しただけでクイックセーブされる。
  • フィールド、ルーム、ビュー
    • 遺跡1つ単位を「フィールド」と呼び、一画面に表示される範囲を「ビュー」、複数のビューの繋がりを「ルーム」と呼ぶ。
      MSX等のレトロゲームで使われた「マップデータを長方形に収める」手法の再現で、ビューを切り貼りすると1フィールドあたり「4×5」の長方形に収まる。
    • 同ルーム内のビューを切り替えても雑魚モンスターや障害物は復活しないが、ルームを切り替えると復活する。
    • マップ画面で現在ビューの属するルーム名を確認することができる。このルーム名は謎解きに密接に関連している。
  • 各遺跡に設定された、「2つの大きな謎」と「多数の小さな謎」
    • 大きな謎とは「アンク(墓標)への道を開くための謎」と「アンクジュエル(宝石)を入手するための謎」のこと。
      その2つの謎を解き、アンクの前に立ちアンクジュエルを使用することで、ガーディアン(ボス)戦が開始される。
    • 小さな謎とはガーディアン戦とは直接関係の無い謎解きのこと。
      • 全てが必須という訳では無いが、冒険を助ける武器やアイテムの取得、ならびに遺跡のショートカット開通などが散らばっている。
    • 遺跡各所に意味ありげに設置された宝箱や特徴的な地形・壁画・石碑がヒントとなっており、遺跡を跨いで活用される事も多々ある。
      • 地図を入手することで判明するルーム名も謎解きのヒントとなることが多い。
    • 謎解きの要所には攻撃すると割合ダメージを受ける「天罰」というトラップが設置されており、安易な総当たりでは解けないようになっている。
      逆に言えばこのトラップがある=重要な場所であるため、謎解きの順序を考えたり一旦退いて、その謎のために準備を整える指標となる。
    • また、謎解きにはスイッチにあたる「台座」に消費アイテムの「おもり」を置き、仕掛けを起動させる事が必要な場合もある。
      • おもりは遺跡内外のお店でまとめて購入するか、または敵を倒した際に稀に1つ補充可能で、慎重に使うも豪快に使うも良し。
  • ガーディアン、ルームガーダー
    • 各遺跡には1体のガーディアン(ボス)と複数のルームガーダー(中ボス)が待ち構えている。
      全てのボスと中ボスに「顔(頭部)のみが弱点」という共通する要素があり、特に強敵は様々な方法で頭部を守っている。
    • ルームガーダーはそのルームに封印されたアイテムや通路を守っており、倒すことで遺跡の謎を解いていく。
    • ガーディアンはそのフィールドのボスではあるが、本作の特徴として「倒さずに他フィールドへ進む」ことができる。
  • 体力回復について
    • 本作の体力回復手段は「温泉」「ソウル収集」「回復妖精」の3種類ある。
    • 温泉:スタート地点の地上に存在。浸かっていると徐々に回復する。自発的な回復手段に乏しい本作のメイン回復手段。
    • ソウル:体力メーターの下に同じ長さの「ソウルメーター」というゲージが存在する。
           敵が落とす「ソウル」の取得量がゲージいっぱいになると体力が全回復する。
           (例)最大体力32の時はソウルを32集めれば全回復。最大体力320の時はソウルを320集めれば全回復。
    • 回復妖精:遺跡に点在し、冒険を補助してくれる妖精。
  • 情報の多くは石碑と遺書から入手
    • 本作はNPCとの会話が非常に少なく、残された文章を「読む」という一方通行な情報取得がメインとなっている。
    • 遺跡各地に古代人が残した石碑や、現代人の探究者たちの遺書が残されており、これが主なヒントとなる。
      • 読み取りは「ハンディスキャナ」を利用する。調べた文章はパソコンソフトに記録させることができる。
  • パソコンソフト
    • 主人公は石碑の翻訳やマップの確認、聖杯ワープの起動など、全ての行為をノートパソコン*3を介して行っている。
      店売りのソフトや、遺跡内に残された古代文明の壁画を解読してソフトを入手し、メモリの許す限り同時起動できる。
    • パソコンだからこそ「防水ケース無しでは水中で使えない」「耐熱ケース無しでは高温下で使えない」といった制約も存在する。
      • 「翻訳ソフトをOFFにすると古代文字の原文を見ることができる」などパソコンならではのギミックも存在する。
    • さらに「ソフトの出す波長と遺跡の波長が共鳴し、特殊な現象を起こす」とされており、ソフトの組み合わせ次第で多種多様な特殊効果が発生する。
      「武器の攻撃力アップ」「被ダメージ後の無敵時間が延長」「通常では聖杯ワープ不可の別次元へ聖杯ワープできる」「死んでも1度だけ蘇生できる」など。
  • 妖精
    • 遺跡に点在し、主人公に一定時間追従してサポートしてくれる。回復妖精、武器妖精、お宝妖精、鍵妖精の4種類。
       回復妖精:体力を徐々に回復する。最も汎用性が高く、遺跡探索向き。
       武器妖精:主人公と同じサブウェポンを消費無しで乱れ撃ちする。
       お宝妖精:壺などを壊すと確定で大金が出現するようになる。
       鍵妖精 :特定の場所に近づくと追従を止め、封印を解いて道を開く。
    • 出現確率はランダムだが、回復妖精の出現率が多く、鍵妖精の出現率は少なく設定されている。
    • また、パソコンソフトの共鳴効果を用いてどの妖精が出現するか指定することも可能。

各ハードについて

  • Wiiウェア版(2011年~)
    • いわゆる(商業版としての)初版
    • 1,200Wiiポイントで本体が配信され、翌月にエクストラダンジョン「地獄聖堂」が有料DLCとして300Wiiポイントで配信された。
    • 後述の移植版ではどれも最初から地獄聖堂が付随した状態で販売されているため、基本的に「LA-MULANA」という呼称はこの「地獄聖堂」を含む内容を指す。
      移植時の販売価格もほとんどがこの際の1200+300の計1500円前後に揃えられている。
    • 「LA-MULANA」としてはこの状態で完成されており、後年の移植はほとんどが不具合の軽微な修正にとどまっている。
  • PC(Playsm)版(2012年~)
    • 内容自体はWii版から大きな変更はないが、英語へのローカライズが実施された。
    • Wiiウェア版で修正が間に合わなかった不具合の整理や細かいオプションなどの追加が行われている。
  • PC(Steam)版(2013年~)
    • PC(Playsm)版から遅れて配信されたが、修正内容はPC(Playsm)版と同一のもの。
  • PS Vita版(2014年~)
    • (PC版ではなく)Wiiウェア版をベースに「LA-MULANA EX」と改題して移植されたもの。
    • この版のみ「図鑑」が実装されており、モンスターや登場人物全員のイラストが書き下ろされている。
    • ゲーム本編の内容自体はPC版から大きな変更は無く、軽微な不具合修正のみ。
  • Switch/PS4/One版(2020年~)
    • PC版をベースに、PSV版の軽微な修正を反映したもの。PSV版の「図鑑」はオミットされた。
    • これまでとの大きな違いは「ボス戦敗北後のリトライ機能実装」の1点。
    • 特にガーディアン(ボス)戦に敗北後、従来はチェックポイント(聖杯石碑)からの戻し作業が発生していたが
      今回の版からはボス戦開始場所(アンク)の目の前からコンティニューできるようになり、ボス戦に集中できるようになった。
      この仕様は2018年に発売された「LA-MULANA2」からの逆輸入である。

評価点

  • 販売価格に対して圧倒的に大ボリューム・高品質なメトロイドヴァニアである点。
    • 約1500円の低価格帯でありながら、そのフィールドマップのボリュームはフルプライスのゲームを超える大容量。
      アクション・謎解きどちらの面で見ても一般的なフルプライスのゲームよりも長く楽しむことができる。
  • 快適なロード速度
    • レトロゲームを意識していることもあり、あらゆる素材が軽量であるためかロードが異様に早い。
    • ゲーム開始時や聖杯ワープ時、コンティニュー時などロードらしきメッセージが出てすぐ消え、待ち時間が皆無。
    • 謎解きで各地を彷徨うことや、ボス・トラップでの死亡や聖杯ワープでの撤退が多発する本作では非常にプラスに働いている。
    • 「聖杯石碑の前を通過するだけでクイックセーブ」という仕様も合わせて非常に快適なトライ&エラーを満喫可能。
  • 「考えて解き明かす」楽しさを存分に味わえる、洗練されたゲームバランス。
    • 考古学的雰囲気と謎解き2Dアクションの相性が大変良い。
    • 遺跡内各所に置かれた石碑の文章や絵を読み解きながら進むべき道を推理し、アクションで複雑な構造の遺跡を踏破し、待ち受けるボスを倒す過程はさながら洋画「インディ・ジョーンズ」を彷彿とさせる。
    • 一例を挙げれば序盤の「巨人霊廟」ではその魅力が際立っており、石碑の内容が巨人族たちの物語の断片となりながらも、謎解きの手順にもリンクしているため、多くのプレイヤーはここでグッとゲームに引き寄せられることになるだろう。
    • 各フィールドは物理的にもフレーバーテキスト的にも様々な繋がりを持っているため、その繋がりを探すことで新たな道を開く楽しみもある。
    • NIGOROの蛯原(duplex)氏は『①画面全体を使う(背景や天井を単なる飾りにせず、天井通路や謎解きを埋め込む)』『②不可逆性(地点A⇒地点Bへの移動は簡単だが、地点B⇒地点Aへの移動は面倒…というポイントを用意する)』の2点を「迷宮の哲学」として提唱しており、これを踏襲したダンジョン造りが全編に為されている。
  • 探索範囲が広がることによる達成感
    • 例えば多くのメトロイドヴァニアには「序盤の『見えるけれども届かない』高所が、後々になって2段ジャンプを習得して届く」といった探索範囲を広げる達成感が存在する。本作ではこれが謎解き要素により強化されている。
    • 本作では2段ジャンプなどアクション解禁による行動範囲拡大はもちろんのこと、さらに謎解きによる「この部屋の謎を解けば、新たな場所が開くはずなのに…」という『見えるけれど解けない』場面に多数直面し、後々になって別の遺跡に設置されたヒント石碑を読むことでようやく「この石碑はあの謎に関連するのでは?」と思い返し、新たな道を解き進むカタルシスを多数味わうことができる
  • 探索順序の自由度と、各遺跡のコンセプト・バランス
    • ゲーム序盤から自由度の高い探索を楽しめる。
      一つのフィールドに専念して謎解きをするも良し、様々なフィールドを渡り歩いて先にアイテムを集めるも良しと、プレイヤーの好きなスタイルで探索できる。
    • 一般的なメトロイドヴァニアとは異なり、遺跡の謎解きにより複数のフラグが同時並行で進行し、徐々に1本のフィールドに収束していく。
      • 例えばチュートリアル的な『導きの門』が実質ステージ1扱いとされているが、『導きの門』からつながる3つの遺跡(『巨人霊廟』『空の水源』『太陽神殿』)には一切の優先順序が無く、どこから手を付けても良いようになっている。
      • 各遺跡において『ガーディアン(ボス)撃破』はラスボスへのフラグ立ての意味合いが強く、各種強化アイテムや移動強化アイテムの多くはガーディアンを倒さずとも入手できる。
        代表例としてはチュートリアル要素の強い『導きの門』のガーディアン(ボス)を倒さずとも、『導きの門』で入手したアンクジュエルを他遺跡へ流用することで他の7体のガーディアンを倒してラストダンジョンまでは到達することができる。それほど攻略の自由度が高い。
    • 遺跡ごとに個性豊か。序盤から挑める遺跡だけでも『導きの門(=チュートリアル)』、『巨人霊廟(=謎解きメイン)』、『太陽神殿(=探索メイン)』、『空の水源(=水中操作メイン)』など遺跡1つ1つのコンセプトが明確に示されており、以降の遺跡も全てがアクション面・謎解き面ともに1つ1つコンセプトを持って出題されている。
      • 立ちはだかるモンスター達や遺跡のオブジェもレパートリーが豊富。マヤ・インカ・アステカなどのメジャーな古代遺跡からの出典や和洋のメジャー神話はもちろんのこと、さらには東スラヴ神話(ウクライナ)のようなマイナー神話やオーパーツに基づいた古代インド核戦争説・古代機械文明説のようなマイナー学説、ハナアルキやバックベアードのような架空伝承まで幅広くフォローしている。
  • 一見して不明瞭なようで、明確なマイルストーンが複数存在するレベルデザイン。
    • 広大な遺跡を探索する本作は「目的が定まらず彷徨うゲーム」になり得るが、それを防ぐための「わかりやすさ」が備わっている。
    • どの遺跡においても「聖杯石碑にたどり着く(=ワープ開通)」「地図を手に入れる(=ルーム名などのヒントを得る)」「生命の宝珠で体力を増やす(=一度に探索できる時間が延びる)」という「まだ遺跡の全貌は分かっていないが、とりあえず目指すべきもの」が明確に提示されている。その上で各遺跡のショートカットを少しずつ開通させ、遺跡の全貌が見えてきたころにアンク&アンクジュエルの謎解きに本腰を入れられるように誘導される。このテンポ良い誘導によりプレイヤーのモチベーションを上げ続けることに成功している。
    • 本筋と関係のない謎解きを解くことによって、攻略に必須では無いが冒険を快適にするアイテムを入手することができる。
       (例:「武器を振る速度がアップ」「障害物を破壊する速度がアップ」「妨害モンスターからのダメージを無効」)
       アイテムを得るたびに余裕をもって探索できる時間や範囲が増えるため、自然と寄り道の謎にも食指が伸びる構造になっている。
  • 中盤から一気に世界が広がる遺跡の「表」と「裏」。
    • ネタバレ防止のために詳細は伏すが、この世界は「表の遺跡⇔裏の遺跡」でペアになっている。
    • 裏表といっても使いまわしのコンパチ要素は無く、敵も仕掛けも背景もまったく別の新規遺跡。
      ただし謎解き要素が裏表で連動しており、なおかつ石碑や壁画から読み取れるフレーバーテキスト上でも裏表お互いの遺跡の設定を補完しあっている。
    • プレイヤー視点では序盤に各所の石碑に記された伝承から「このゲームには8つの遺跡を踏破していく、それなりに多めのボリュームのゲームだな?」という印象を植え付けられ、そのまま遺跡を解き進むこととなる。しかしまだ8つの表遺跡全てがお披露目されていない中盤時点で「裏」の存在が提示され「このゲームは16の遺跡を踏破しなければならない、大ボリュームのゲームなのか?!」と仰天することとなる。
  • 終盤のボスラッシュならぬ「謎ラッシュ」
    • アクションゲームの終盤といえば一度倒した各ステージのボスが再登場する「ボスラッシュ」が王道の一つとなっているが、謎解き重視の本作においてはボスラッシュの位置づけとしてオーラスの連続した謎が出題される。
    • 一度踏破した各遺跡にまつわる謎が多数出題される。どれも高難易度な謎ばかりで、これまでの自分の冒険の軌跡を顧みながら謎を解く過程は達成感が特に大きい。
  • 「理不尽な死は有るが、理不尽な謎は無い」という絶妙なバランス
    • アクション面の難易度においては2000年代のゲームとしては難易度が高く、ノーコンティニュークリアは想定されていないがトライ&エラーでプレイヤースキルの上達が実感できるよう配置されている。
    • 遺跡探検をモチーフにしているだけあり、調べた先に即死トラップが仕掛けられていることや、強敵と遭遇することもある。
    • 漠然と見れば初心者殺しの即死トラップや強敵が目立つように見えるが、本当に唐突かつ理不尽な死は少ない。
      • 例えば連続死スポット直前でリトライしやすいよう多数のショートカットが用意されているため、難所の直前で一旦引き返して回復&セーブしてからチャレンジができる上、寄り道して体力増強アイテムを得ることで多少のゴリ押しもできる。
    • 謎解きの難易度に関しても必ずどこかにヒントが隠されており、丁寧な探索や再探索が謎解きの進展に繋がる。
      • 例:「〇〇の前室」という名のルームは必ず「〇〇の間」というルームに繋がっている。
          もしマップ上で「〇〇の前室」しか見当たらない場合は、その周囲に「〇〇の間」が隠し部屋として存在するということ。
          この法則は各遺跡に点在する「至聖所」など、アンクやアンクジュエル(=聖なるもの)の探索にも密接に関連している。
      • ほとんどの即死トラップがその一歩手前に「おや?怪しいぞ?」と思わせるワンクッション(遺骨や石碑、地形など)が配置されており、その時点で聖杯ワープなどで即刻引き返せば損失は無い。しかしながら魅力的な未開の地が多く、好奇心でセーブを怠りやすい構造となっておりプレイヤー自身に「この即死は欲張りすぎたな…あの〇〇が即死のヒントだったんだな」と理屈で反省させる設計となっている。
      • 例えば、錘を置く台座の周囲に骨が転がってるからこれはトラップだなと推測出来たり、罠にかかった時に警告音を発してくれるアイテムに従って、その場を大至急離れれば脱出もある程度可能等、プレイヤーの腕次第で十分事故死を回避出来る構成は見事。
      • 他にも主人公と地形との表示優先度(レイヤ)が「人骨は主人公より後ろ」「謎解き用の台座は主人公より前」で統一されている⇒すなわち「人骨に見せかけた台座は主人公より」など、観察力を試される小ネタもある。
  • 異国情緒あふれるBGM群と、アレンジ・ライトモチーフによる演出。
    • 全16遺跡+αにそれぞれ固有のBGMが用意されている。どれも各遺跡の文明モチーフとステージ性のモチーフを汲んだ名曲揃い。
      • 例:ヒンズー伝承モチーフの光あふれる遺跡「産声の碑」には、まさにインド音楽といった風情の明るいエスニックなBGM「Song of Curry」。
    • 前述の通り「遺跡は表遺跡と裏遺跡の2つで1セットとなっている」「裏表を統括するガーディアン(ボス)がいる」という法則性があることから、BGMでもそれを表現して全フィールドが「裏遺跡BGMは表遺跡BGMの主旋律と伴奏を入れ替え、原型をギリギリとどめた程度に大幅アレンジしたBGM」「ボス戦BGMは表遺跡BGMと裏遺跡BGMそれぞれの特徴をミックスした曲」という相互アレンジの関係で統一されている。
      • 例:ステージ1表遺跡BGM「Fearless Challenger」が軽快で勇猛果敢な曲調であるのに対し、その裏遺跡のBGM「Wonder of the Wonder」はFearless Challengerの主旋律を伴奏へ、伴奏を主旋律へ入れ替えた上で曲調を180度反転させた陰鬱でおどろおどろしいアレンジBGMとなっている。さらにステージ1のボス戦BGM「King Konda」はFearless ChallengerとWonder of the Wonderの主旋律同士をぶつけ合うようにミックスしたハイテンポな曲に仕上がっている。
    • 全ガーディアン(ボス)のBGMイントロに共通のライトモチーフが用いられることでボス戦の印象を強調しており、なおかつイントロはボスごとにパニック系やホラー系・エスニック系など各ボスごとに大きくアレンジされている。
  • パターン豊富で緻密なドット製グラフィック
    • 様々な文明の壁画が再現された背景やステージギミックの数々、水流や自然の描きこみ、それらが世界観と謎解きの両面でプレイヤーを没頭させる。
      • 精密に描きこまれた背景にさりげなく混ざった「〇る男」にはプレイヤーの誰もが予想外の衝撃でド肝を抜かれる。
    • ドット絵ながらも身振り手振りの枚数が多く表情豊かなNPCや、同じくユニークな挙動のモンスターの数々が描きこまれている。
      • PSV版では美麗な図鑑が描き下ろされ、エグみのある奇形モンスターやセクシーな女性型モンスターなど演出面が強化された。
  • シリアスになりすぎない、コメディ路線の会話
    • 本作はシナリオや石碑のフレーバーテキスト“だけ”を見れば、人類の存亡をかけたシリアスな世界観となっている。
      そこにNPCや遺骨の愉快なセリフが挟まることで重苦しい空気を中和し、気軽にトライ&エラーする後押しになってくれる。
    • 具体的にはゲーム開始早々に主人公のパソコンに一方通行なメーラーをインストールしてくる村の長老や、古代人のくせに「我まいっちんぐ」等おちゃらけた問答をする寝ぼすけヒロイン、村の売店で所持金が足りないと「ねじるぞ!」と恫喝してくる売り子、遺骨にいたっては「〇〇の謎が解けた!見えない床を見つけたぞ!…でも浮かれてたら落ちてしまった…トホホ」など能天気な遺書ばかりが残されている。
  • 充実した救済措置
    • 上述の通り非常に難しい謎解きとアクションを要求する一方で、救済措置も豊富に用意されている。
      • どこでも聖杯ワープで帰還可能で、体力ピンチ時どころか釣り天井などの即死トラップですら脱出可能。
      • ゲームバランスを破壊する高性能な遠距離武器「銃」がゲーム開始時からスタート地点で販売されている。
        ただしとんでもなく高額。具体的には所持金上限がコイン999枚であるのに6発でコイン500枚が必要な消耗品。
        明確に救済措置としての位置づけとなっている。
      • ダンジョンのどこかに明確な「稼ぎ」の方法が隠されている。
        本作は所持金の上限がコイン999枚だが、ほぼ初期装備で1回500枚、終盤装備で800枚ほど稼ぐことができる稼ぎスポットが隠されている。
        サブウェポンの残弾についてもプレイ中に経由しやすい特定の遺跡でモンスターがドロップするようになっている。
      • ボスを1体も倒さずとも体力強化アイテムが全体の半分以上取得できる。
        体力強化アイテムである「生命の宝珠」の多くは独立した謎解きさえクリアすれば入手可能。
      • 「被ダメージ時の無敵時間を延長」などシステム面に干渉する手段がある。
      • ボス以外は中ボスであろうと動きを止められる「時間停止アイテム」が中盤で手に入る。
      • 謎解きに関して開発者自ら「ネットで攻略情報を教え合うのも楽しみの一つ」と公言している。*4
         余談ながら開発者の意図を組んで、有志により「答えズバリを書かない、ヒントだけの攻略サイト」が複数製作されている。
    • どの救済措置も安易に発見・入手できるものではなく、「根気よく探索した者が救済要素を発見できる」という図式になっている。
  • エキストラダンジョン「地獄聖堂」(WiiのみDLC扱い、他は最初から実装済み)
    • 本編と無関係の、ジョークシナリオと鬼畜アクションが詰まった隠しダンジョン。
      「プレイヤーがネット上でウィキや掲示板等で攻略情報を共有し合う」ことを見越したうえでの凶悪な難易度となっており、そのフィールドに突入するための手順からして謎解きと殺意が充満した真剣勝負である。この手のゲームによくある「おまけと言いつつ実績に関わるような、ここ限定の特典」というものも無いので、手に負えないならスッパリ諦めても本編に支障は無い。
      --当DLCには【ボスラッシュ・ルームガーダー編】【ボスラッシュ・ガーディアン編】の2つのボスラッシュが同梱されている。
      単にルームガーダー編、ガーディアン編の2択だけでなく「ガーディアン編初級(強化アイテムフル装備・サブウェポン満タン)」のように装備による難易度調整まで用意されており、タイムアタックなど楽しみ方の幅が広がるようになっている。
  • 公式サイトでDL出来る初心者向けガイドブックも必見。
    • 昔のゲームの説明書らしさ満載の構成で、総量60ページにも及ぶボリュームは普通の読み物としても面白く、攻略要素もしっかりしている。
    • 同じく初心者用のチュートリアル動画もニコニコ動画やYouTube等で配信されており、この動画に一通り目を通しておけば本作のように指標が目立たないゲームでもスムーズに攻略に入りやすい。
      • ある程度先の展開にも触れているため、ネタバレを可能な限りシャットアウトしたい人にはちょっと不親切とも言えるが、そもそもちょっとバレた程度で楽になるような甘いゲームじゃないので問題は無い。

賛否両論点

  • 元がレトロゲーム風作品なだけあって、主人公の操作性や挙動にも往年のレトロゲーのような独特の硬直感があり、最初のうちは思うように操作出来ずに戸惑うことがある。慣れてくれば問題なし。
    • 特に空中での操作が非常にクセがあり、「ただの落下」「垂直ジャンプからの横移動」「横移動しながらの斜めジャンプ」で大きく挙動特性が異なり、さらにボタンを押す長さによっても大ジャンプ・小ジャンプに分岐するガリウスの迷宮テイストな操作となっている。これらを使い分けることで進むギミックがあるため、比較的高い操作精度を求められる。
    • 例えば梯子を昇降している途中はジャンプや左右移動ができず、左右への攻撃ができるのみ。その割に敵の攻撃は障害物を無視して縦横無尽に通り抜けることが多いため、他のアクションゲームのつもりで臨むと思ったような緊急回避ができずストレスになることもある。*5
    • ダメージを受けると派手にノックバックし、そのあと着地するまで制御不能になる。いやらしいマップの造りも相まって、一度被弾したがために4つも下のマップまで落とされることもザラ。
    • とある迷路型の遺跡などはこれらの仕様を逆手に取った「目の前にあるのに大きく回り道が必要」という意地悪ギミックのオンパレードであり、単なるマイナス要素ではなく「仕様」に収まっている。
  • メモ機能が少ない。
    • 石碑や壁画などの文章・絵が謎解きのキモとなる本作らしく、それらを記録できるソフトがある・・・のだが、その数が非常に少ない。序盤の記録限界は全10件、中盤の機能強化を経ても全20件しか記録できない。膨大なテキストがヒントとなる本作では明らかに容量不足である。
      • なお続編「La-Mulana2」ではこの機能に反省したらしく、序盤から40件も記録可能である。
  • 遺跡内の非常に解りにくい(というより謎解きフロアやボス戦フロアなどプレイヤー心理の隙をついた)場所に、開発者の隠れている部屋が仕込まれている。裏話やメタ好きなら良いかもしれないが、普通の謎解きを期待して時間を使った後にゲーム本編と無関係な話をされては……という気持ちになるかも。とはいえ、いずれもスルーしたところで全く損のない隠し要素ではある。*6
  • ラスボス撃破後の脱出パート失敗時の扱い
    • 本作は遺跡探索モノのセオリーとして、「全てが終わった後の、崩れる遺跡からの脱出パート」が存在する。
      この脱出パートもまた、これまで踏破した遺跡群を使った「制限時間有り、トラップ有り、謎解きあり」の難解なギミックであり、プレイヤー次第で何度もリトライすることが想定されている…のだが、このリトライ地点がメトロイドの脱出パートのようにラスボス戦前となっている。
      • この仕様ゆえにラスボス戦は形態変化こそ多い(12段階)ものの1段階当たりの体力が低く、なおかつ相性の良いメインウェポン・サブウェポンが明確に設定されており、トライ&エラーを繰り返す中で武器の相性を見抜き、体力を温存したままで最終形態に突入することができる良調整ボスとなっている。
      • ラスボス戦前の時点で脱出パートの布石やヒントが全て出揃っているためフェアな謎解きだと評価される一方で、推理が苦手なプレイヤーが何度もラスボス戦に挑戦させられては脱出できずにリトライする仕様を批判する声も寄せられている。
      • なお続編「La-Mulana2」ではこの仕様を反省したらしく、脱出パートから時間制限が撤廃され、セーブも可能となっている。

問題点

  • 前述の高い難易度は、そのまま難点ともなりうる。
    • 本作では、オリジナルのフリーウェア版プレイ経験者の挑戦を見越したうえで、さらにその裏をかくように設定された高度な謎解きも存在するため、完全初心者は高度過ぎて何を求められているか分からない、というケースもある。
      • とにかく大切なのは「調べて」「考えて」「行動する」ことだと肝に銘じてプレイする必要がある。自分の不注意でマップ上の変化を見逃すのは論外であり、その辺のオブジェをいい加減にいじってひどい目に会うのは自業自得である。
    • 難しいだけに「達成感もひとしお」というのも、評価点でありつつ、実のところ人によるというのは避けられない。本作では実際にマップを駆けずり回ってヒントを獲得し、仕掛けの関連性を推理し、高難度のアクションをこなす、という性質上「繰り返し同じマップを移動させられる」ケースが非常に多い。そのため、かけた時間に見合わず徒労に思われたり、飽きの来ることも考えられる。
      • 特に中盤以降は仕掛けを動かした際に全く別の遺跡に作用することがあり、また、必ずしも関連が示されてはいない為、コマンド総当たりならぬ「全マップ総当たり」にすらなり得る。
      • 開発者曰く高難度のアクションゲームとして「死を恐れながら進めてほしい」という想いがあり、それ自体は成功していると言えるが二度目以降は単に面倒に感じるケースも少なくない。
    • 徒労を感じさせる要因には、ガーディアンや、中ボス的存在のルームガーダーなどのボスがセーブポイントから少し遠いというのもある。総じてボスからの被ダメージは高く、無行動時間も少ないことから「よく解らないが死んだ」という局面がある割にリトライが容易ではない。
      • 元のコンセプトから見ればあまりにユーザーを突き放した遠さではない*7が、「そこは時間と手間を押し付ける場面じゃないだろう」と思う事もあるかもしれない。
      • 特に最終盤のマップで取得出来る最大体力UPアイテムの取得条件は最悪の一言。とある中ボスを倒さずに生かしたまま特定の位置で特定の行動をするまで攻撃を凌ぎ続け、その後トゲ天井とトゲ壁だらけの細い通路を伝っていく(アイワナを想像してもらえば分かりやすい)必要がある。万一中ボスを倒してしまった場合は雑魚敵を利用してグリッチじみた方法で取りに行かねばならない…と純度120%のストレスを与えてくれる。
  • ボス戦については先述の理由から、初手のインパクトこそ優良だが、ユーザーが学習する楽しみを得られないまま死ぬことが多い。ゲーム後半になると攻撃面が充実してくるが、前半は敵の弱点スレスレを狙って攻撃せねばならず、少しでも横軸がズレるとお決まりのノックバックで叩き落される非常に忍耐の必要なデザインになっている。
    • とはいえ、本ゲームではボスを倒すことで新たな道が開けるとは限らず、寧ろ強力なアイテムやフラグアイテムの多くは道中にあるため、苦戦したらアイテムが揃うまで一旦放置したほうが効率は良い。
    • 2020年移植版ではこの点の反省か、ボス戦でゲームオーバーになった場合はボス戦直前からリトライできる仕様になった。
  • 特定の行動を取った場合にバグで攻略不可能になる可能性があった。
    • 現在はアップデートで対処されているが、初版発売後半年(2012年1月)経ってから「ある場所に設置されるはずだったヒントの置き忘れが発覚する」など、初版では未対応の不具合も存在した。ゲーム自体の性質も相まって「不具合なんだか探索不足なのか分からない」という状況が頻発し、公式サイトのブログや2chの攻略スレ等でプレイ前に更新情報をチェックしておくことが推奨されていた。
      • 2020年移植版時点ではすべて修正され、安心して遊べるようになっている。
  • やりこみ実績確認が不親切(一部ゲームハードのみ)
    • 本作品には「やりこみ」に関する実績要素が多数存在するが、これが達成できたことを確認するすべが「ゲームハード備え付けのトロフィー機能」「エンディング後のスタッフロール」の2種類のみとなっている。ゲームハードに実績確認機能がない場合は後者のスタッフロール内でのみ確認するしかないため、取り逃しがあっても相当な戻し作業を要する。

総評

インディーらしい低価格でありながら、大手メーカーのフルプライス製品以上の大ボリュームと骨太難易度を誇るゲームである。
謎解きのバランスも高い水準でバランスがとれており、なおかつ謎に付随して用意された考古学フレーバーテキストの物語性も高い。
201X年代発売のゲームでありながら、紙とペンを必要とするほど難解な謎解きというのも非常に珍しい。
ただしやはり昔っぽいゲームデザインと挑発的な高難易度のために、人を選ぶゲームという要素も存在する。
一方で高難易度ながらも救済措置を複数用意することでプレイヤーへ段階的な妥協点を提示し、マニア層からライト層まで満足させる構造になっている。
製作スタッフの「ゲームは何歳になっても楽しいし、ネット上のみんなで意見交換をしながら遊ぶともっと楽しい」というモットーがこれでもかと詰め込まれた、多くのゲーム好きにオススメしたい逸品。


余談

  • Wiiウェア版発売時、古代遺跡つながりということでミステリー雑誌『ムー』とタイアップを行った。
  • 開発元のNIGOROは非常にユーザーフレンドリー。本作発売直後だけでなく5年近く経ってもファンの実況プレイ動画を全数巡回したり、ファンアートを寄稿したりとファンとの交流エピソードが多い。
  • NIGOROのならむら氏は本作の前身であるフリーゲーム版の開発者コメントにて、「私が求める(つわもの)は、その昔ドルアーガを打ち倒し、ガリウスから赤子を連れ戻し、イビルクリスタルを封印した真の兵達です。」というメッセージが添えられている。すなわちゲームそのものが「挑戦状」となっている。
  • NIGOROは「『ならむら』(楢村匠)、『duplex』(蛯原隆行)、『サミエル』(鮫島朋龍)」の3人を中心に開発しており、全員がお互いの分野にある程度精通しているためステージデザインや作画・作曲も3人で分担している。蛯原氏が自身の迷宮の哲学を発揮させたロジック重視の迷宮「迷いの門」や、逆に鮫島氏が爽快感を重視して設計したアクション重視の迷宮「巨人墓場」など、担当ごとの作風が如実に出ているものも多い。
  • 2018年7月31日に、続編である『La-Mulana2』が発売。相変わらずプレイヤーを陥れる高難易度な謎解きの数々が待ち受ける。

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最終更新:2023年11月26日 20:22

*1 NIGOROの代表である楢村(ならむら)氏は、後に東京ゲームショウ2022内「KONAMIアクション&シューティングゲームコンテスト」にて「『ガリウスの迷宮』リメイクの企画書」で大賞を受賞するなど、自他ともに認めるガリウスの大ファンである。

*2 「遠く離れた遺跡同士で類似する遺構や遺物が発見される事から、世界のどこかに原初の文明が存在したのでは?」という学説。

*3 その機種名はMSXの頭文字から取った「Mobile Super X」。

*4 出典:作中に隠された開発者コメントにて楢村氏が『LA-MULANAは一人で遊んでも楽しいが、ネットの仲間と楽しく協力して謎を解いて、スーパープレイ動画を公開して、NIGOROにネタ出しして、ウチらがそれをとりあげて、みんなで遊ぼうぜ。ゲームって何歳になってもおもしろいよな!』と言及している

*5 RTAでは敵味方問わずダメージを受ける「まきびし」をわざと自分にあたるように投げ、ダメージ落下ではしごを落ちるテクニックが多用されている。

*6 厳密には、おまけマップ自体には鞭の強化に繋がるアイテムがあるので寧ろ行った方が良いのだが、ただ通り道に置かれただけの石碑を読むことは任意である。

*7 そもそもオリジナル版では、遺跡内にセーブポイント自体存在しなかったのだ。