悠久幻想曲

【ゆうきゅうげんそうきょく】

ジャンル アドベンチャー

対応機種 セガサターン
プレイステーション
発売元 メディアワークス
開発元 スターライトマリー
発売日 【SS】1997年7月18日
【PS】1997年8月28日
定価 5,800円(税抜)
判定 なし
ポイント 粗削りなシリーズ第一作
悠久幻想曲シリーズリンク


概要

悠久幻想曲シリーズの第一弾。
同じチームが開発した『エターナルメロディ』をベースにしており、実質的な続編とも言えるゲーム。
当時は恋愛がテーマの恋愛シミュレーションが多かった中、このゲームは友情がテーマの友情シミュレーションという意欲作でもある。

シナリオ

主人公は何でも屋"ジョートショップ"の女主人アリサの世話になっている風来坊だった。長くこの街にいる内にここでの暮らしにも慣れこのまま居つくのも悪くないと思い始めていた頃、突然美術品の窃盗という身に覚えのない罪で捕まってしまう。アリサが店を担保に保釈金を作ることで一時的に解放されるものの、このままでは主人公は街を追放されアリサは店を失ってしまう。身の潔白を証明するためにも再審を請求しなくてはならない。しかしそれには住民からの支持が必要だった。そこで主人公は仲間を集めてジョートショップで広く仕事を受けることで住民からの信用を得ようと画策する。

システム

  • 仲のよい友人から3人を選びジョートショップの仕事を手伝ってもらう。
    • 街の人間の多くが主人公を有罪と決めているが友人である彼らは主人公の潔白を信じてくれている。
  • 選択できる依頼がいくつか提示されているので一人ないし複数をその仕事に割り振ると各キャラは一週間その仕事に就くことになる(仕事に就かせず休ませることも可能)。一日ごとの仕事の成果(=達成度)が累積されていき週末になった時点の値で仕事に対する評価が決まり報酬も増減する。
  • 仲間との信頼度は俗に言う好感度である。会話の選択肢や仕事を組むことで上昇していく。絆とは日々の信頼度により加算されていく総合ポイントである。
    • 各キャラを攻略するには4回発生するテーマ別イベントで選択を間違えずにクリアする必要がある。その上で絆が高いキャラがいるとそのうち一番高いキャラとのEDになる。
    • エターナルメロディと同様、ライバルキャラとのEDもある(おじさんとイケメンだが)。
    • キャラEDを迎えない仲間には後日談がある。3種類あり、そのうちのひとつには専用のCGがある。どれになるかは特定のスキルのレベルで決まる。
  • メインイベントには必ず双六パートも発生しこれに勝つことも必要である。
  • 休日は休んだり仲間の所に遊びに行ったり有料で訓練をして能力を伸ばしたりできる。ただし仲間の感情パラメータの悪化が大きくなりすぎるとそちらを解決するための会話が最優先となりイベントも発生しなくなる。
    • 闘技場に行くこともできる。ここでは入場料を払って敵に挑み勝つと賞金を得ることができる。敵は段階を踏むごとに強くなっていき、最終段階のマスクマンはかなりの強敵となる。攻略とは無関係だが終盤までにマスクマンを倒せるかどうかもやり込み要素の一つと言えよう。
  • SS版とPS版ではOP/EDテーマと一部シナリオがまるごと異なっている。
    • SS版では畑亜貴氏がOPとEDテーマを歌っているが、PS版ではOPをかないみか氏が、EDを氷上恭子氏が歌っている。

評価点

  • 特定の年齢層をターゲットとした恋愛よりも万人向けと思われる友情をテーマにした事。
    • 恋愛シミュレーションだとちょっと手を出しにくいといった層が気軽に触れられる要素があるのは大きい。
    • シナリオはご都合主義な展開で凝った設定なども一切ないので分かりやすい。
    • 1プレイにかかる時間が数時間程なのでレスポンスはよく遊びやすい。
    • テキスト量も豊富でさらにプロフィール埋めと呼ばれるキャラクターの性格特徴を埋めていくといったやり込みもあり周回プレイしても飽きにくい。
    • PS版EDテーマの「なぜ君と出逢えたの」は友情がテーマのゲームの締めにふさわしいといった点が好評で後に合唱バージョンが作られた。
  • 子安武人氏、南央美氏、大谷育江氏、丹下桜氏~と有名どころの声優をズラリと揃えており、演技の質は高い。
    • サブキャラですら先述したPS版OPを歌うかない氏を始めとして、置鮎龍太郎氏や大塚明夫氏、井上喜久子氏等主役を張れるレベルの声優が揃っている。
  • 何度でも遊べるシステム
    • 選べるメンバーが10人中3人である為、1回クリアしただけでは遊べないシナリオも多く、2周目、3周目と楽しめる要素も多い。
      • 一周にかかる時間自体が短めなので、その面でも気軽に遊びやすいシステムになっている。
      • 各キャラについても主人公とのEDの他に、成長ステータス次第でキャラ毎のEDが分岐したり、特定のイベントルートでキャラの性格や特徴がわかるプロフィール埋めといったやり込み要素がある。
        また、キャラ毎のEDにも各キャラ1つずつCGが付くものも用意されている。

賛否両論点

  • ビジュアル面全般
    • moo氏の絵は非常に好き嫌いが出やすい。
    • 背景も絵本チックなタイプで、moo氏のイラストや作風とは合っているが、グラフィックのレベルが高いとは言えない。
  • 全体的に戦闘難易度が低い。
    • どちらかと言えばシナリオがメインで、シナリオの合間に育成と戦闘を楽しむ程度のゲームバランスになっている。
      • 実質的前作の『エタメロ』に比べ戦闘面でのやり応えはなくなったが、気軽にシナリオを楽しめるようになった。
    • 直接攻撃は戦闘術の技能レベルに大きく依存している為、誰でも戦闘術を伸ばすだけで強力アタッカーになれる。加えて魔法は修得の差異こそあれ最低限有用なものは簡単に覚えさせられる。
    • 戦闘に必要な技能は基本的によほどゲーム下手でない限り重要な育成ポイントが分かりやすく、イベントバトルで詰む事はまず無い。
      • ラスボスに至っては普通に育てても簡単に倒せる上に、ある条件を満たせば敗北になってもイベント自体は成功になる。
      • ラスボスより強い敵が闘技場に出てくるので、戦闘育成面での楽しみも一応ある。

問題点

  • シナリオに一部突っ込み所がある。
    • ごく一部のシリアスイベントを除き、とにかく妨害を優先するライバルキャラ。
      • 争っている場合ではない、緊急を要する異常事態であっても邪魔に入る。
    • 仲間や友情といったテーマを主軸にした結果、一部に腑に落ちないイベントが出来てしまっている。
      • 例として、年に一度の大武闘会の決勝戦でどう見てもか弱い少年が優勝候補の有名人物にすら勝って勝ちあがっており、その少年から負けを求られるイベントがある。後で「優勝賞金を経営難の孤児院に使いたかった」という理由は判明するものの、その時点では理由不明のまま選択肢を選ばねばならず、しかもこれを断ると住人から多大な顰蹙を買ってしまう。(受け入れると賞賛される。)
      • 「このゲームなら受け入れた方が良いんだろうな」というのは遊んでいる内に分かるので、イベント成功自体は難しくないが、真っ当に大会に優勝して顰蹙を買う展開は少々やり過ぎだし、ガチバトルを楽しみに開催されている大武闘会がこんな形になっているのに、文句を言わない観客も問題である。
        そもそもこの理由で勝ちを譲ってくれる人なら優勝賞金だけを譲ってくれる事もしてくれるだろうし、その方が納得しない人がいても倒して優勝賞金を勝ち取ってくれただろう。
  • イベントの選択肢に分かりづらいものが多い。
    • どう見ても地雷な選択肢を除くと選択の結果どういう展開になるか分かりづらい物が多く、イベント失敗にはなりづらくても成功もさせづらい。
      • イベントの結末にそれなりにパターンがある物も多く、大成功ではないが失敗ではない結果も多い。
    • キャラクター固有イベントの内、最終イベントはEDを見るためには成功させる必要があり、それ以外も友好度を上げるためにある程度以上の成功が必要。その為、初見キャラのEDを見たい場合、セーブ&ロードを繰り返す必要がある。
  • スキルの多さ。
  • 戦闘術、護身術、物理魔法、神聖魔法、精霊魔法、錬金魔法、盗賊、料理、音楽、医療術、舞踏、商売、クラフト、礼儀作法の14種類とやたら多い。
    • 盗賊までの7種は戦闘にもかかわるが、残りの7種は戦闘にあまり関係ない*1のもあり具体的な作用が把握しづらい。

総評

数年間、悠久幻想曲シリーズがメディアワークスの看板タイトルとして定着するようになった程のスマッシュヒット作品。
『恋愛』ではなく『友情』をメインテーマにした事で、いわゆるギャルゲーに抵抗のあった人にもプレイされ、大ヒットとなった。
一周にかかるゲームプレイ時間はそう長くなく、シナリオも分かりやすいので、気楽に遊べるのもポイント。
また、1周では10人中3人しか選べないので、1周が短くともそれなりに遊べるつくりにもなっている。
ただやはりmoo氏のイラストには抵抗がある人も多く、友情に偏りすぎた一部シナリオ等、遊んでいて変に気になる点が出来てしまっているのは少々残念である。


余談

  • SS版・PS版どちらも収録されていないいわゆるボツイベントも存在する。
    • このボツイベントは後に発売される悠久幻想曲 ensemble2でプレイできるようになっている。
  • SS版・PS版共に「限定版」に比べて「通常版」を見かけることがほとんどない。
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最終更新:2022年02月26日 01:24

*1 各スキルを上げると「奥義」を習得でき、中には戦闘中に使用するものもあるので全く関係ないわけではないが。