六三四の剣 ただいま修行中

【むさしのけん ただいましゅぎょうちゅう】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 タイトー
開発元 セタ
発売日 1986年8月8日
定価 4,900円(税別)
判定 なし
少年サンデー関連作品リンク


概要

  • 週刊少年サンデーで連載していた『六三四の剣』を原作とした、いわゆるキャラゲー。
    • 六三四の剣は日本最強の剣豪と言われる両親の元に生まれた少年「六三四」が、様々な経験を得て日本最強の剣豪になっていくスポーツ剣道漫画。

システム

  • ゲーム開始時に、一人用モードと対戦モードの二種類から選択する。
  • 一人用モードは3ステージまではアクション面である武者修行編、最終ステージに全国大会編となり、システムも異なるものになる。
  • 武者修行編ではライフ制度のシンプルな横スクロールアクション。画面下部にいるイヌ(十一)よりも先にステージ端のゴールに到達し、Gアイテムを獲得するとクリアとなる。
    • 道中にワープアイテムや無敵アイテム、ジャンプ力アップやライフ回復のほか、竹刀のアイテムを入手する事ができる。
    • 十一はタイトル画面でも走っているが、この時あるコマンドを入力すると十一がコケる。この隙にスタートすると十一のスピードがとても遅くなりプレイに余裕が出来る。
  • 全国大会編では様々なライバルと一対一の対戦を行う。システムは格闘ゲームに近いものに変化。
    • 十字キーの上と下を入力する事で竹刀を上段・中段・下段に構える事ができる。構え中はガードが発生し、相手の攻撃を無効化する。
    • Aボタンで攻撃。相手の構えの隙を突いて上段(面)・中段(小手)・下段(胴)を攻撃。ヒットすると一本獲得し、二本獲得勝利となる。
    • Bボタンで必殺技としてすばやい攻撃が行える。必殺技はアクション面で獲得した竹刀アイテムの数によって回数が決まっており、必殺技一回につき10消費する。
  • 対戦モードでは全国大会編と同じシステムで対戦を行う。5人勝ち抜き戦で、開始時に5人の順番をプレイヤーが自由に決める事ができる。1P側は六三四チーム、2P側はライバルの修羅チームを操る。
    • キャラクターはそれぞれ移動速度・必殺技の角度・回数が異なり、キャラクター毎の有利不利が少なからず存在するが、全員が勝機を狙えるようなバランスになっている。

評価点

名前に違わないシステム

  • 武者修行編は、ただ速くゴールまでたどり着けば良いのではなく、道中の巻き藁や墓石(!?)を竹刀で殴打することで出現するアイテムを集めていくのが後々重要になる。
    • 各段ごと50個の竹刀を集めるとその段の攻撃がオート連打出来る様になり、上中下段をすべて50個以上集めるとボタン押しっぱなしで前方全面を連打攻撃できる様になる。
    • この竹刀アイテムは巻き藁などを叩いた時の段のものが出るため、戦略的にストックすることが可能。バラバラに集めるよりも、下段を集中して稼いでおき、2面終盤のアイテムで上中段を下段の本数まで一気に増やすのが効率的。
  • 武者修行編で稼いだアイテムを使って勝ち抜き戦を行う全国大会編は、原作のキャラが相手とあって盛り上がる。
    • それぞれの敵キャラも特徴があり、道着や防具、使ってくる技の傾向など個性的である。
  • 操作方法も少ないボタンで剣道の試合を上手く表現しており、道中ではダッシュこそできないもののジャンプアクションとしては合格点の動きである。

問題点

高い難易度

  • 1プレイモードだと、武者修行編3ステージ+4ステージ目が全国大会編で5戦、これを2周するとエンドという構成で、ステージ数だけを見れば多くはないのだが、2周のエンドまでたどり着いた人どころか、2周目があると言うこと自体に驚く人も多い。
  • 武者修行編は最初のステージから多数の即死穴があり、それなりのアクションを要求される。操作性能は決して悪くはないのだが、それでも死因の大半は転落死と言うことから厳しさがうかがえる。
    • 3面ともなると、穴だらけのステージに加えてほとんどの敵が上部から沸いてくる。2ステージまでに上中下段の竹刀を50本以上集めて移動攻撃を連打出来る様にしておかないとかなり厳しい。
  • 漸く全国大会編にたどり着いたとしても、この勝ち抜き戦も一筋縄ではいかない。
    • 2本先取の試合が5連戦あり、そのうちどこかで負けると残機を減らされた上に1回戦からやり直しとなる。しかも、消費した竹刀アイテムや飛び込み技用アイテムは消耗したままであり、勝ち抜き戦をクリアするまで補充の手段はない。
    • CPU戦では下段必殺技が非常に強く、勝ち抜くためにはこれが必須とも言えるが、道中の竹刀アイテムは各段ごと99個までしかストックできないため、真面目にやるとギリギリ、空振りしたり途中で負けてやり直しとなるとじり貧である。*1
  • しかもこのゲーム、コンティニューが存在しない。残機に余裕もなく戻り復活で1UPアイテムが消滅する仕様のため、1周目クリアすら結構な難易度である。
  • 後述のカセットずらしを行うと、穴に落ちても死ななくなる(画面上とループする)ので4ステージ目までは必ずたどり着けるが、勝ち抜き戦では普通に負けるため、無敵技を使っても簡単にクリアとはいかない。 普通にカセットを挿した後にカセットずらしを何度もやっていると成功すれば無敵になる。穴に落ちて死ぬ場合は無敵は継続されてるので、更にカセットずらしをやっていれば穴にも無敵になる。ハイドライドのソフトは昔のデマで、ハッキリ言って必要ない。勝ち抜き戦まで進んでも、やられることはない。

総評

 パッケージにでかでかと「ファミリーコンピュータ初の対戦ゲーム」と書かれている。自信満々なその売り出し文句の通り、キャラゲーではあるがきちんと駆け引きを考慮した対戦になっているのは面白い。ただ、やはり1P2Pで少々の有利不利があるのは否めない。
 一人用の難易度はかなり高い。だが、原作の六三四の剣が極端な子供向きな内容でなかった事もあって*2、それほど難にはならないだろう。作りこみも丁寧で、出来の良い秀作と言ったところか。

余談

  • 原作の六三四は周囲から期待こそされていたものの、自分の意思で「日本一の剣士になる」と言う意欲がある活発少年である。そのため、本作のアクション面での武者修行は 3歳児の自主トレ という事になる。
    • その割には空から大量の竹やりが降ってきたり、ミサイルのようなものが猛烈な勢いで飛んできたり、岩石が降って来たりと、おおとりゲン並の過酷な修行である。
  • 有名な無敵技が二種類存在する。一つはカセットをずらし半差し状態でゲームを起動させるもので、もう一つはゲーム中に電源を入れたままカセットをぶっこ抜き『ハイドライドスペシャル』に差し替え戻すというとんでもないもの。
    • 強引かつ無理矢理に一種の不具合を起こさせた状態でゲームを稼働させていることや何よりFC本体やソフト自体の故障の危険が伴うので、実行する際は完全に自己責任の元で行うこと。
  • 元々は『グレートソードマン』のFC移植版が発売予定となっていたが、そちらは結局発売されなかった。同作の剣道ステージが本作の4面の全国大会編や対戦モードに採用されたことがその名残となっている。
    • 一方、『グレートソードマン』自体は当時のファミコン雑誌の発売予定欄にもしばらく記載されていたが、本作の発売が発表されるのと同じタイミングで発売予定欄から何事もなかったかのように消えている。
  • 2016年発売のサウンドトラックCD「Rom Cassette Disc In TAITO Vol.2」に本作のBGMが収録されているが、権利の都合上「タイトー剣道ゲーム」にタイトルが変更されている。
  • 全国大会や対戦モードの試合で勝利すると喜んで飛び跳ねるのだが、 実際に剣道で喜んだりガッツポーズを取ったりするとルール違反となり判定が無効となる。
  • アニメ終了を皮切りに原作だけでなく剣道自体の人気も落ちていったこともあり本作以降「六三四の剣」を用いたゲームはめっきり発売されなかった。
    • 20年以上が過ぎた2008年4月に「SanseiR&D」*3により『CR六三四の剣』としてパチンコ化されたが、当時急増した1/399のマックスバトルスペックで特に突出したものもないのでまるで目立たず、また主題歌を無視して爆風スランプの楽曲「Runner」「涙2」「大きな玉ねぎの下で ~はるかなる想い」を原作との整合を考えず「人気があってノリがいい曲だから」という単純な理由でやみくもに使ったことが裏目に出てアニメや原作ファンに対しても全くいい印象を与えることなく人気などゼロも同然なまま終わり極めて短期間のうちにホールから姿を消した。
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最終更新:2024年01月05日 21:52

*1 実は、1-0の状態で時間切れになると六三四の勝ちとなるため、竹刀が少ない場合は1本先取したら無理に攻めずに時間切れを狙うのがセオリーとなっている。1本取るのは難しいが、取られないのは比較的楽である。また、1~2回戦くらいまでは上段必殺技でもそこそこ勝てるので、下段は後半まで温存するのもアリ

*2 もっとも、1985~1986年にはアニメ版が放映されており、小学館少年誌が原作ということもあってコロコロコミックなどの児童誌でも取り上げられているのだが。

*3 後に『CR牙狼XX』(2008年11月)で一躍人気メーカーとなったが、この当時はパチンコ業界全体でも比較的地味で目立たないメーカーだった。