通天閣

【つうてんかく】

ジャンル シューティング
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売元 ソニー・ミュージックエンタテインメント
開発元 POW(プランニングオフィスワダ)
発売日 1995年12月29日
定価 5,800円
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 1ブロックの空きが必要
判定 なし
ポイント 大阪風味(?)のSFシューティング
ゲームとしてはあらゆる面で微妙


概要

  • 1995年にてSMEからリリースされたプレイステーションソフト。ジャンルとしてはスタンダードなショット & ボンバー形式の縦スクロールシューティングに該当する。
  • 「大阪のほん隣に存在する異世界"DEEP大阪"を舞台に、謎の3体の機体がDEEPにひしめく敵どもの猛攻に挑む」というストーリー設定(説明書のストーリーを超要約して記載)。
    • 実際は説明書内にやけに長い文章のストーリーが書かれているが、電波成分が強く意味不明なので簡略。
  • 大阪の特徴的な名物などをモチーフとしたキャラクターデザインが売りとされるが、ゲーム自体はごく普通のシューティングである。
  • 全5ステージ構成。オプション項目にて四段階の難易度調整が可能。

主なルール

  • 自機セレクトについて。
    • ゲーム開始前に「クイダオレッガー」「クラバー」「シュリンパー」という機体の中からどれかを選んでゲームスタート。
      • ちなみに各機体のモデルは「くいだおれ人形」「カニ」「エビ」となっている。何故このチョイスなのかは気にしてはいけないのだろう。
  • 操作系統。
    • 方向キーにて自機の八方向移動操作、ボタンは各自、ショットボタンとボムボタンに使用する。
      • ショットボタンにてメインショットとサブショットを同時に撃つ。ボタンは2種類存在し、単発ショット(□ボタン)とオートショット(△ボタン)に振り分けられている。
        しかし、オートショットでも一回押す毎に数発のショットが発射されるだけでボタン押しっぱなしによるオート機能は存在しない。
        但し、シュリンパー機が2段階以上メインショットをパワーアップしている状態でのショットは、何故かボタン押しっぱなしでのオートショットが撃てる。
      • ボムボタン(○ボタンか×ボタン)にて、所持しているボムストックを1つ消費し、自機の無敵化と強力な攻撃判定を一定時間発揮できるボムを放てる。
    • ボタンに関してはオプション項目にて好みの配置に変更する事が可能となっている。
  • ボムストックについて。
    • 本作のボムストックは2種類あるが、それぞれを別にストックできる。他ゲームで例えるならば『雷電II』方式に該当する。
      • ゲーム開始時、及びミス後の復活時では自機が2種類のボムを1つづつ(全部で2つ)持っており*1、ボムボタンを押せば所持の仕方によってどちらかのボムの効果が発揮される仕組みとなっている。
  • アイテムについて。
    • 特定の敵を破壊すると以下のアイテムを落とす。
    • パワーアップ(メインショット)系
      • 「P」(パワーアップ)…メインショットを1段階パワーアップさせる。パワーアップは最高3段階まで可能。
      • 「F」(フルパワーアップ)…メインショットをこれ一つで全段階パワーアップさせる。
    • パワーアップ(サブショット)系
      • 「M」(ストレートミサイル)…攻撃力重視のミサイルを自機前方に放つ。連続で取得すれば3段階までパワーアップできる。ホーミングミサイルとの併用は不可。
      • 「H」(ホーミングミサイル)…ホーミング性能を持つミサイルを放つ。これも最大3段階までパワーアップ可能。ストレートミサイルとの併用は不可。
    • ボム系
      • 「T」(通天閣ビーム)…自機前方に攻撃力の高い太いレーザーを一定時間放つ。『首領蜂シリーズ』でいうところのレーザーボンバーに近い性能。
      • 「S」(スサノオボンバー)…画面のほぼ全域を攻撃するボンバーを一定時間放つ。『首領蜂シリーズ』でいうところのショットボンバーに近い性能。
    • その他のアイテム。
      • 「天正小判」「平成超判」…いわゆる江戸時代で流通していた通貨(ゼニ)の形をしたアイテム。前者は500点、後者は1000点のスコアボーナス。
      • 「1UP」…その名の通りの1UPアイテム。
  • ミス条件について。
    • 残機制の途中復活ですべてなくなるとゲームオーバー。コンティニューも途中復活式でその都度に使用機体が選び直せる。
    • コンティニュークレジットは有限で高い難易度でプレイする程残数が少ない。難易度イージーでのプレイは初期残機数が5となっている(他難易度は3)。
    • ミス後はすべてのパワーアップ効果がなくなり、ボムの所持状態も元に戻ってしまうペナルティがある。なお、救済処置としてパワーアップアイテムを1つだけ落とす。

問題点

  • 純粋にシューティングゲームとしての出来が微妙。
    • ショット & ボムのオーソドックスなルールを採用している本作だが、肝心のゲーム内容がかなり微妙な出来である。
      • どれ位に微妙なのかを大まかに表現するならば「シューティングに精通しない人たちが頑張ってそれっぽく作りました」的な内容というべきだろうか。
      • 全体的に敵配置しかり、弾のばら撒き方しかり、ステージ構成しかり、どれをとってもやっつけ臭く、名うてのシューティングメーカーのそれとは明らかに作り込みが浅い。
    • 否めないボリューム感。
      • ステージ数が全5ステージと少なめな割に、ステージ構造があまり長くないので、ボリュームが大分薄く感じる。5,800円も払って遊ぶ程の価値があるとは到底思えない程。
  • ゲームバランス的にみても問題が多い。
    • まずは、シュリンパー機が異様に強く他の機体が空気になりがちという点。
      • シュリンパー機はパワーアップ時のメインショットの攻撃判定や火力が超強力で、他機体にはないパワーアップ時におけるボタン押しっぱなしによるオートショット性能まで搭載されている。
        攻撃範囲が全機体中一番低いという弱点もあるが、プレイヤーの操作スキルで十分フォローできる為、強機体である事に変わりはない。
      • クイダオレッガー機は幾分かはシュリンパー機よりは劣るがまだ比較的マシな性能。クラバー機は攻撃力が低すぎて確実に苦戦する外れ機体という有様。
      • しかし、クイダオレッガー機のショットが敵弾の色と被るため、事故の要因になりやすい欠点を持つ。
      • また、クラバー機はパワーアップ3段階目以降のショットが自機を囲うように行われ、破壊可能な敵弾を無視することが出来るようになり接射を行いやすい利点がある。これを利用することで攻撃範囲の広いメインショットの集弾率上昇とサブショットの弾数表示制限ペナルティの無効化が 出来るため、シュリンパー機に劣らぬ攻撃力を持たせる事も可能である。
    • 自力でのミス後の復活が相当きつい。
      • ミスすると所持していたアイテムのパワーアップ効果がすべて消え去る故に、どれだけ自機強化してようがミス後は立ち直りが極めて困難な状況に陥りやすい。
      • ミス後にパワーアップアイテム1つを落とすが、それだけでは大してフォローにはならない。その結果、ボム頼りのごり押しプレイを強いられやすい事態となる。
    • 異様なまでにミスしやすい環境。
      • 横画面を縦視線で表示している為か視野がやや悪く、敵が弾を発射するまでの予備動作というものがほとんど存在せず、それに加えて弾速が激しいものが多い。
      • その為、(特に始めのプレイでは)序盤ステージから訳の分からないままミスを連発しがちとなる。
      • 好意的に解釈すれば覚えゲーの一環といえなくもないが、ゲームの出来が微妙なせいで覚えるやりがいが少なく、「ただ理不尽に死にやすい」という感情しか沸かなくなる。
  • センスが感じられない演出の数々。
    • 異質な舞台設定に反して、驚く程に淡々とゲームが進められる。
      • 特にライバル的な敵と熱い対決をする局面もなければ、画面内が爆風に覆われる程に大量の敵を破壊する豪快さもなく、全編通して見所らしい場面が見当たらない。
      • キャラクターデザインが大阪ゆかりのものだったり、「よっしゃ」「やられてもうた」といった掛け声がゲーム中に少量入るが、どれもパッと見では気付かない程の空気演出に留まっている。
      • 各ボスを撃破してもステージクリア表示がされた後にそっと画面が暗転し、下記のどうでもいいCG演出が入るだけ。
        ラスボスですらこの素っ気無さで、初めてオールクリアしたプレイヤーは「え、あれがラスボスなのか?」と拍子抜けする可能性が高いと思われる。
    • 空気で寒いイベントCG。
      • オープニングデモ、ステージクリア後、エンディングにてCGイベントが導入されるが、そのどれもが「何故入れた」程度の空気演出となっている。
      • OPとEDには本作の主人公*2を乗せたヘリが飛行し、何故か管制室にいると思われし相棒と通信にてボケツッコミ風の漫才トークが繰り広げられるのだが、これが寒気がする位につまらない*3
      • おそらくスタッフによる「大阪らしさ」を強調した演出だろうが、「とりあえず大阪といえば漫才だろ」というスタッフの安直な思考が空回りした結果なのだろう。
    • 機体毎のエンディングが用意されていない。
      • ノーマル以上の難易度や使用機体に関係なくEDはすべて共通であり*4、クリアする度に必ず同じエンディングCGが流される。
      • 機体毎に違うEDを迎える楽しみもなく、そのEDも寒いギャグで締めくくられるというあんまりなオチであり、クリアしたのにはずれくじを引かされた気分になる事は必至だと思われる
  • 大阪設定である必然性がない。
    • ぶっちゃけいってしまうと、大阪名物をモチーフにする必然性が感じられない。
      • その外見があまりにもSF世界で埋め尽くされている為に、ぱっと見ではどの辺が大阪色が付いてるのかが判別不能なのが一要因である。
      • そもそも本作のメイン舞台は「DEEP大阪というリアル大阪とは違う存在の異世界」であり、「大阪でなければ務まらない」という絶対的要因に欠けている。
      • 大阪をモチーフとした架空の二次元創作は幾らか存在するが、その大半は「大阪が舞台となる必然性があるから設定が光る」という理由付けがあり、本作みたいな誰得設定ではない。
  • グラフィック、BGM周りも微妙。
    • グラフィック周りもいくらPS初期の作品とはいえ、かなり地味な見栄えとなっている。
      • スーパーファミコンに毛が生えたレベルでPSグラフィックと名乗るのは少々きつい。一部ステージは解像度が粗く、SFCにすら劣る場面も見られる程。
    • BGMに関しては可も不可もないレベルだが、これも大阪らしさが少なく、楽曲自体もやはり地味であまり耳に残らないものとなっている。
  • 滑りまくりの説明書表記
    • 概要の項でも述べたが、ストーリー設定の表記が恐ろしく電波的で、頭の中が「???」となるのは必至だと思われる。
    • 説明書のルール説明などのページにてしつこい位に関西弁口調にて紹介がなされ、漫画タッチで「ガーン」「なんでやねん」などの文字が入れられている
      • ギャグのつもりで入れたのだろうが、読み辛いだけで面白くないという残念さ。大阪人もそれ以外の出身者も満場一致で「寒い」といわしめる程にセンスがない。  

評価点

  • とりあえずはゲームとしての最低限の楽しさは持っている。
    • 上記問題点で散々ゲームの微妙さを表記したが、シューティングの土台は決して悪くはなく、死ぬ程つまらないものではない。
    • 至って分かりやすい操作方法で、初心者シューターにも入り込みやすい馴染みやすさは確かに持っている。少なくとも操作性が致命的という問題はない。
    • 1ステージにおける間延びはほとんどなく、敵の使い回しも少ない。各ステージに個性を出して楽しませようとする試みは感じられる。
    • イベントCGに関しては当時の基準としては格別綺麗でもないが、それなりに頑張っている印象。

総評

  • 「シューティングとしては三流品」「売りであろう大阪風演出が楽しくない」「ボリュームが薄く末永く遊べるものでもない」と微妙どころしか見つからないという稀(?)な作品。
  • クソゲーという程の致命傷はないが、良ゲーという程の面白さも持っていない。これ以上「誰得微妙ゲー」としての冠がふさわしいシューティングはあまり存在しないかもしれない

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最終更新:2020年05月21日 09:57

*1 難易度ノーマル以上における所持数。難易度イージーだと2種類ボムを2つづつ(全部で4つ)所持した状態となり、他難易度よりもボムを多く放てるようになる。

*2 本作の自機は大阪を彷徨っていた謎の未確認飛行物体という存在であり主人公とは無関係。そして、当の主人公はCGにしか登場しない(しかもヘリのみでパイロット姿は一切映らない)ただの脇役である。「それは主人公といわない」という突っ込みはしてはいけないのだろう。

*3 つまらないかどうかは人の感じ方によるので、断定はできないが。

*4 難易度イージーではクリアしてもEDそのものが存在せず即ゲーム終了となる。