超魔界大戦! どらぼっちゃん

【ちょうまかいたいせん! どらぼっちゃん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 ナグザット
開発元 ナグザット、レッドカンパニー
発売日 1993年3月19日
定価 8,800円(税抜)
書換 ニンテンドウパワー
1997年12月1日/1,000円/F×2・B×1
プレイ人数 1人(裏技で2人同時プレイ可能)
セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ)
判定 なし
ポイント 子供でも遊べるアクションRPG
ゆるキャラっぷりは満点
なべやきうどん


概要

ナグザット(現:加賀テック)の当時のマスコットキャラクター・どらぼっちゃんを主人公にしたゲームの第2段。
横スクロールアクションだった前作から一転してアクションRPGになり、オオワルサーの設定など一部の内容がマイナーチェンジされている。

ストーリー

遠い遠い昔、地球には人間界とは別の次元に魔界が存在しました。 魔界にはドラキラヤ、バンパレラ、オオワルサーの3つの国があり、3人の王様が1000年交代で魔界を治めていました。
ところが、99代の大王となったオオワルサーは悪い心を起こし、あとの2人の王様をやっつけて魔界を独り占めにしようと企んだのです。
オオワルサーはドラキラヤとバンパレラに攻撃をしかけ、あっという間に2つの国を征服してしまいました。
危うく難を逃れたバンパレラの姫カミーラは、ドラキラヤの王子どらぼっちゃんに助けを求めに行ったのですが…。

特徴

親切さと分かりやすさを徹底したゲームデザイン
ゼルダの伝説 神々のトライフォース』『聖剣伝説2』と同じトップビュータイプのアクションRPGだが、これらと比べるとストーリーは短めで、次のエリアに移動すると前のエリアには戻れなくなる、文字通り一本道の進行である。謎解き要素もほとんどない(最後の「ザザザジャングル」の迷路ぐらい)ので、詰まることはまずない。

これは当時のアクションRPGが大ボリュームかつ謎解き要素の強いものが多いのに対し、「子供でも遊べるアクションRPG」を目指して作られたためである。
そのため、子どもが遊びやすいようにゲームシステムも以下のようなシンプルで親切なものになっている。

  • 操作方法
    • 十字ボタンで移動、Yで攻撃、Bでジャンプ、Aで魔法カード(LRで選択)
      • 1つのボタンに1つの操作が割り当てられている。さらに、ゲームの最序盤で「修行」という名目でチュートリアルが入る。
  • 攻撃手段は「マント」と「ハットブーメラン」の2つ。どちらもYボタンで出すことができる。
    • マントは回転攻撃。
      • 連打するとより広い範囲を攻撃できる「マントタイフーン」が出せるが、目を回して一定時間動けなくなる。
    • ハットブーメランはタメ攻撃で、フワフワした軌道を描きながら戻ってくる。戻ってくる間は当たり判定があり、ハットを避けるように動き回ると効率的にダメージを与えられる。
      • 町のショップで新しいハットを買って性能を強化することも可能。上位のハットは軌道がジグザグになったり、敵を一定時間自動で追尾する性能が追加される。
  • 魔法カード
    • 攻撃の補助として、魔法のカードを使用できる。町にある店「ドーソン」やカード自販機「カードダス」で購入可能。
    • 画面全体にダメージを与える「ぐらぐらカード」や回復用の「トマトジュースカード」、周りの弱い敵を動物に変えてあたりを平和にする「どうぶつさんカード」など全15種類。1種類につき10枚までストックできる。
      • カード自販機はあくまでも「カードダス」なので出てくるカードはランダム。レアカードもあればハズレが出ることもあるのはご愛嬌。
      • 「トマトジュースカード」などの回復系カードはドーソンで販売している。
  • おともだち
    • ストーリーが進むと「コワル」と「カミーラ」の2人(性能は同じ)が仲間に加わり、エリアごとに交互に「おともだち」としてどらぼっちゃんの後ろについてくる。
    • 「おともだち」は敵を見つけると自動で攻撃してくれる。攻撃力は高くないが無敵なので足を引っ張る事が無く、うまく敵をハメれば効率的にダメージを与えられるし、一定時間敵をひたすら攻撃してくれる「おともだちカード」を使えばさらに頼もしい味方となる。
  • その他親切な要素
    • 本作には経験値の概念があり、レベルアップすることで体力と攻撃力、耐久力が増えていくが、ストーリーの短さもあってクリアに必要なレベルは14~16と少なめである*1。さらに、イベントや町の人との会話でエリアをクリアするのに必要なレベルとボスの弱点まで分かってしまう
    • 体力がすべてなくなるとゲームオーバーだが、特にペナルティはない。再開方法は以下の2通り。
      • 「執事長に助けてもらう」:執事長のいるエリアのスタート地点まで戻されるが体力が全回復する
      • 「最後に記録したところから始める」:最後にセーブした状態からやり直せる

ゆる~い世界観
「超魔界大戦」というものものしいタイトルの割に「ぼっくんでぼっくん」などらぼっちゃんをはじめ、敵も味方もどこかゆるく抜けていてかわいらしい。
例えば…

  • レベルアップするとボス戦だろうが何だろうが携帯電話でお祝いしてくれる「執事長」に、どう見てもヒツジの「子執事さん」、前作にも登場したモアイの「執事さん」(今回は主にセーブポイントを担当)など、どらぼっちゃんを陰ながらサポートする執事さんたち。
  • 敵方も、「オオワルサー最強」を名乗るも部下に年増扱いされ、オオワルサーに怒られ、実はそんなに強くもなかったエンドーさんエンドーラや、武人肌で一度はどらぼっちゃんの攻撃を完全に跳ね返しながらも「なべ焼きうどん」が弱点のアイスゴンといった面々。
    • とどめはオオワルサーを倒した後の展開で、彼にとりついていた真のボスがあらわれたと思ったら…良くも悪くも拍子抜けするオチになっている。
  • ゲーム中には「オオワルサーに侵略されて魔界もずいぶん荒れ果ててしまった」という話がよく出てくる(エンディングでも出てくる)のだが、人が死んだとか村が荒らされたといった話は出てこない。そもそも戦闘があった形跡がない
    • 主な登場人物がどらぼっちゃんと「おともだち」の家族しかいない(しかも「どらぼっちゃんの父親」と「カミーラの母親」はエンディングで初めて登場する)ため、話が妙に小ぢんまりとしている。エンディングの親子の会話も夕飯を食べながら今日あったことを話している感じで、いうなれば「はじめてのおつかい」のノリである。

評価点

  • コンセプトの通りシンプルで遊びやすく、クリアまでの時間も短い。その手軽さは当時のゲーム雑誌でも高い評価を得た。
  • キャラクターデザインを『マドゥーラの翼』などで知られるもりけん氏が手掛けたことで前作よりもキャラクターがかわいくなった。全体的なグラフィックの質も高く、丁寧に描きこまれている。
  • 各エリアごとに固有の演出・ギミックが多く、プレイヤーを飽きさせない。
    • ボス敵も攻撃パターンが多く、一度追い詰めるとパワーアップで体力を全快し、攻撃パターンを変化させてくる*2ので印象に残りやすい。
  • BGMはボス戦をはじめいずれも耳に残る良曲ぞろいである。
    • 作曲は『コリューン』や『ダブルリング』などを手掛けた松下寿志氏が担当。
    • サウンドトラックもあるが、現在ではプレミア価格がついている。

問題点

  • 「手軽に遊べる」というのは裏を返すと「難易度が低い」ということでもあり、アクションRPGに慣れた人から見るともの足りなさは否めない。
    • 前述のとおり各エリアの攻略法やクリアに必要なレベルは町の人の会話どころかイベントですべて教えてもらえるし、ボスもレベルをしっかり上げていればカードや「おともだち」を駆使することで割と楽に倒せてしまう。
    • ボリュームも少々物足りなさを感じる。ゲームに手慣れたプレイヤーであれば初見でも3~4時間程度でクリアする事が可能。
  • 「マントタイフーン」は使用後一定時間動けなくなるデメリットのおかげで使いどころが難しい。はっきり言って封印安定レベル。
  • 「執事長に助けてもらう」のメリットが思いのほか小さい。
    • 各エリアのスタートからゴールまではけっこうな道のりがあり、ダンジョンの奥やボス戦でゲームオーバーになったときにスタートからやり直すのはキツイ。せっかく全回復しても戻す間にダメージを受けてしまえば相殺されてしまう。
    • 魔法カードの一つに一瞬で執事長のところに戻れる「風船カード」というものがあるのだが、攻撃用のカードを連発→カードが切れて「風船カード」が画面に→間違って使うというミスをやりやすい*3。これ自体はプレイヤーが気をつければよいことなのだが、ボス戦中にやってしまうとかなり切ない。
    • 「まったく敵に歯が立たない状態でセーブをしてしまい詰む」ことを避けるというメリットもあり、子ども向けだからこその親切な機能といえるのだが。

総評

「硬派」で「高難易度」の「大作」が当たり前だった当時のアクションRPGの中で、分かりやすい操作と親切な構成で「子どもでも遊べるアクションRPG」というコンセプトをうまく実現している。
いかんせん知名度が低いのが残念なところだが、ゲームとしての完成度は高く、「アクションRPGの入門」にぴったりの作品である。


余談

  • 本作はトマトつながりでカゴメが協賛をしており、「トマトジュースカード」の缶のデザインがカゴメのものになっている。また、ある町には「KAGOME」の文字が書かれた看板が掲げられた家がある。
  • タイトル画面で「↓・B・←・B・↑・Y・→・Y」と入力してからゲームを始めると、「おともだち」を2Pで操作できるようになる。どらぼっちゃんほどアクションがあるわけではないが、アクションRPGで2P操作に対応しているものは珍しい。
  • 海外では『The Twisted Tales of Spike McFang』のタイトルでBPSから発売された。
    • ショップの店員が日本版では性的な見た目だったからか、海外版では大根のようなモンスターの見た目に差し替えられている。
  • 本作の主要キャラクターは『スーパーナグザットオープン ~ゴルフで勝負だどらぼっちゃん~』にも出演しており、魔法カードを駆使した(イカサマ)ゴルフバトルを展開する。

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最終更新:2022年11月27日 17:00

*1 ただし1レベルの差は非常に大きく、レベルが低いままだとザコにさえ歯が立たなくなるため、最低でも町の人から教えてもらえるレベルまでは上げなければならない。

*2 一部のボスはパワーアップを行わない。

*3 特にこれが暴発しやすいのが序盤のドラキラヤ城のイベント。どらぼっちゃんの母親から「風船カード」をもらえるのだが、メッセージ送りでAボタン連打→気づいたら町へとなりやすい。