首領蜂

【どんぱち】

ジャンル シューティング

対応機種 アーケード
販売元 アトラス
開発元 ケイブ
稼動開始日 1995年
備考 <移植版>:セガサターン版/プレイステーション版
判定 なし
ポイント ケイブ処女作
東亜プランの魂を受け継いだ作品
本作の時点では弾幕シューティングではない
シリーズの基本的なゲームシステムは確立している
(特に2周目は)ボムありきのゲームバランス
ケイブSTGシリーズ


概要

  • 首領蜂シリーズの第一作目にしてケイブの処女作。
  • 「弾幕シューティング」としてのゲームバランス面は、本作時点では確立されていない。
    しかし、ゲームシステム(後述)はほぼこの作品の時点で確立させており、多くの要素が後の作品にも受け継がれることになる。
  • 1周5ステージの2周構成となっているが、後発シリーズとは異なり「2周目の突入条件」などは特に無い。無条件で、全10面通しでのプレイとなる。
    • また「2周目のラストで小さめなサイズの蜂型の真の最終ボスが登場する」要素も、シリーズ初作である本作から。

ストーリー

最強の軍隊を作り出すための大規模な軍事演習。それは『異星人の名を借りた仮想敵、その正体を味方に隠したまま実戦形式で戦わせる』という荒唐無稽なものだった。
その仮想敵側の戦闘機を駆り、味方軍を完膚なきまでに叩きのめす。それがプレイヤーの任務だった。

  • なお2周目は、本作中のストーリー上で語られる最後の同士討ち軍事演習を舞台としており「1周目の7年後」という設定である。これは1周目エンディングデモと、直後の2周目スタート時にゲーム中で明言される。

システムおよび自機紹介

  • 大まかな操作について
    • レバーで移動。A連打で拡散ショット、押しっぱなしでレーザー+低速移動。Bで広範囲のスプレッドボム、Aを押しながらBを押すと高威力砲撃を打ち込むレーザーボムとなる。
      • 雑魚機体はショットで蹴散らし、中型機やボスではレーザーで火力を集中するといった使い分けが基本にして重要。
      • レーザー発射中、自機周辺の「オーラ」にも同威力の攻撃判定がある仕様は、シリーズ初作である本作から。至近距離でレーザーを放ちオーラ攻撃をも叩き込むテクニック(通称「オーラ撃ち」)は、本作以降も攻略の要点を担うテクニックとなった。
      • 基板設定により、Cボタンを「ショットのオート連射」に設定する事が可能。ただし本作ではタイトル画面でCボタンの設定の有無を確認出来ない。
      • なお、本作は「ステージクリアした際のステージクリアボーナス集計」(後述)後に無条件でボムがある程度補充されるという、アーケードのシューティングとしては珍しい仕様。スコアを気にしない生存重視であれば、ボム満タンでステージボスを倒すメリットは特に無い。
  • 自機
    • 以下のように、それぞれ性能の異なる機体を選ぶことができる。以降のシリーズにも機体による性能分けは受け継がれた。
      タイプ 機体色(1P/2P) 特徴
      タイプA 赤/黄 一点集中型で移動速度は速いものの広範囲の攻撃はできない。上級者向け。
      タイプB 緑/紫 オプションがレバーを倒した方向に傾き、ショットを発射する。移動速度はAとCの中間。全体的にトリッキーで中級者向け。
      タイプC 青/黒 広範囲に拡散するショットを出すが移動速度は遅い。ワンコインクリアに最も近い機体だが、パターン構築がより重要。
  • ゲットポイントシステム(コンボ)
    • 敵を倒した時の得点が、その直後に倒した敵全てに次々と上乗せされていく。ただし「最後に敵を倒してから一定時間が経過する」か、ボムを使用するか、ミスするか、そのいずれかでコンボが切れて撃破点の状態が初期状態に戻る。
      • 例えば100点の敵をコンボの中で10機倒した場合、合計で5500点の撃破点が入る。この例の5500点の内訳は1機目は基本点通り100点、2機目は1機目の点を加えた200点、3機目は1~2機目の点を加えた300点…といった調子で、10機目は1~9機目の点を加えた1000点。
    • これにより、連続で敵を破壊すると撃破点は何倍にも跳ね上がる。ただ、本作の時点ではコンボゲージが存在しない他、続編の『怒首領蜂』から恒例の「レーザーを敵に当てている間はコンボが切れない」要素が存在しない為、「ステージ最初から最後までコンボを繋ぎきる」ような事はできない。
  • ボムボーナス
    • 面クリア時に、残りボム数に応じてボーナスが得られる。集計後、所持してた数に加えてステージ毎に決められた数のボムが追加補給される。
  • キャパシティボーナス
    • ボムを累積3回使用するごとに最大ストック数が1個ずつ増える(初期3個~最大7個)が、このストックが少ない状態を維持するほど面クリア時に高い点数が得られる。ストック3を維持すれば+100000点、ストック7に達すると0点。
      • さらに特別なボーナスとして、「キャパシティ3個(ボスの使用2個以内)でノーミス」の状態を維持するとより高いスコアが加算される。ステージが進むほど点数が高くなり、2面の時点で200000点、5面まで維持できれば 2000000点 もの莫大なスコアが得られる。
        2周目の各面に至っては、上記をさらに上回る 5000000点 もの超莫大なスコアが加算される…と言いたいところだが、実際にはボーナスこそ設定されているものの、後述する難易度の高さから条件を満たすことは極めて困難で現実的とは言えない。
  • アイテム
    • P(パワーアップ):2つ取る毎にショットが強化される。最大5段階。
    • B(ボム):ボムが1つ増える。
    • 星アイテム:スコアアイテム。
    • 蜂アイテム:隠しスコアアイテム。ステージ中に13個配置されており、ノーミスで取り続けると点数が上がっていく。(最大100000点)
      • 自機を蜂アイテムが隠されてる位置の横軸に合わせるように移動すると隠されている蜂アイテムが点滅。点滅している位置にレーザーの先端を当てると出現する。
        なお、本作のみスプレッドボムを撃つと画面内に隠されている蜂アイテムが一斉に出現する。
    • 1upアイテム:残機が1つ増加。4面の特定の敵を条件を満たして倒すと出現。
      • なお、後の続編作とは異なり2周目では条件を満たしても1upアイテムが出現しない。

評価点

  • ゲームシステムの確立
    • コンボシステムやショットとレーザーの使い分け、蜂アイテムなど、初代にしてシリーズの基礎をなしている。
  • BGM
    • 全体的に曲が渋く格好良い。
      • また、1面道中BGM「静けさの前哨基地」のフレーズは『大往生』以降のシリーズにも引用されており、シリーズのテーマ曲的な扱いを受けている。
        『大往生』のサントラのライナーノーツでは、この曲のフレーズがシリーズのテーマ曲と扱われるようになった経緯が語られている。
    • ボス戦BGMは流石に2曲のみ、2周目の存在、という以外の点についてはBGMの使いまわしもほぼ無い。
  • オペレーターの声の渋さ
    • ゲーム中要所要所で男性ボイスによるオペレーター演出が挟まれるのだが、これが熱い仕上がりとなっており、プレイヤーの士気をあげている。
      • 「ステージ開始時」や「ボス戦開始時」にも専用ボイスがステージ毎に用意されていたりと、かなり気合の入った作り。
    • 機体選択後の「OK! Good luck!!」とボス撃破直前の「Just a couple more shots!*1」はシリーズを象徴する台詞として後のシリーズ作でも度々登場することになる。

問題点

  • 全般的に難易度が高め。
    • 1~3面はそこまで難所はないものの4面以降は道中が長くなる上に中型機が列を成して突進し、その隙に敵弾をばらまいたり、画面下から高速で突撃してきたりと嫌らしい攻撃や初見殺しが増えてくる。
      ボスについてはステージ4のボスが強いと評されている。特に形態変化後の大型光弾を織り交ぜた攻撃は1周目の時点で回避が難しい。
    • この頃はまだ「弾幕シューティング」ではないが、それでも当時としては敵弾がかなり多め*2である。
      これに合わせて、自機の当たり判定も当時の作品の中では比較的小さいが、続編ほど極端に小さくはない為、ボムによる緊急回避が重要になってくる場面も多い。
    • 1周目は豊富なボムを駆使する(=抱え落ちを極力抑える)事を意識すると進めやすくはなるが、2周目になると敵の攻撃が激しくなるだけでなく、敵や破壊可能な背景(星アイテムや蜂アイテムを出現させた時も含む)を破壊した際の爆風から「撃ち返し弾」が発生するようになり一気に難易度が高くなる。2-4からは避ける方法がほぼ無くなる場面もあり、ボム無しの攻略はほぼ不可能に近い。
      • 撃ち返し弾の仕様は、本作メインプログラマー池田氏の東亜プラン時代の『ヴイ・ファイヴ』通常モード2周目や、『BATSUGUN スペシャルバージョン』2周目のものに近い。
      • 基本的には自機狙い弾が爆風からばらばらと飛んでくるが、「爆風が画面下の方で発生する」「爆風に自機が近い」といった度合いによって発生する自機狙い弾が少なくなる。一定の度合いを超えた場合は自機狙い弾が発生しない、いわゆる「封印」を起こせる。
    • ミス後はショットが初期レベルに戻されてしまう。パワーアップにアイテムが2個必要な事もあって以降のシリーズ作と比べて復帰の難易度が高い。
      • 復帰時のボム支給は最大ストック数に関係なく3個で固定。一応残機が0になった際にボムアイテムが1個放出される救済処置はある。
    • スコアエクステンドが1回のみ。1upアイテムも1周目のみ出現のため、残機の余裕がやや少なめ。
    • 後作『怒首領蜂』は大量の敵弾をかいくぐる快感を出した作品だが、この作品はどちらかというと決めボムを含めたパターンを構築して進んでいくことに要点を置いていると思われる。
  • タイトル画面で各設定の確認ができない。
    • 『怒首領蜂』以降のケイブ作品と異なりタイトル画面で難易度、スコアエクステンド、Cボタンフルオート有効の表示がなく、実際にどうなっているかはプレイして確認するしかない。
      • Cボタンでのショット連射はAボタンよりも連射速度が早く設定されていて、直線ショット型の機体では遠距離からレーザーを当て続けるよりも敵を早く撃破できる場面もあり、攻略難易度に影響を与えることも…。
      • なお、初期のケイブ作品でのCボタンはあくまで「お店側の任意配置ボタン」という位置づけで、工場出荷時点ではCボタンの設定がオフになってる他、インストカードでのボタン配置は2ボタンとなっている*3ため、当時は2ボタンで稼働している店が多かった。

総評

全体的に硬派で高難易度という点では、東亜プランの魂を受け継いだ作品といえる。
蜂のモチーフ・大火力の自機・武器チェンジアイテム廃止・メインショットとレーザーを任意に使い分けられるシステムなど、東亜プラン末期の作品である『BATSUGUN』に近い作風になっている。
ただ続編があまりにも有名すぎるせいか、本作はシリーズの中でも地味な立ち位置なのは否めない。

一方で、首領蜂シリーズの基本的なシステムは今作で確立しており、後のCAVEシューティングの礎になった作品である事は間違いない。 CAVEシューティングに影響を受けた(他社や同人)作品も多く存在する事を考えると、STG史では無視出来ない存在だろう。


移植

セガサターン・プレイステーションで移植版が発売されているが、続編の『怒首領蜂』同様に完全移植作は未だに出ていない。

SS版(1996.04.26発売 発売:アトラス/開発:ファルコン)

  • ロードが非常に長く、アーケードより処理落ちが多い。音響面もBGMのループに不具合がある…と総じて評価は低い。

PS版(1996.10.18発売 発売・開発:SPS)

  • 移植度はSS版より遥かに高い…のだが、横画面モードが大問題。
    • なんと縮小して全体を表示するモードが存在せず、上下に一定範囲任意スクロールが行われるタイプしか存在しない*4。一応横画面モードでも縮小されないためグラフィック等はオリジナルに近い状態でプレイできる、という利点とも取れるのであるが…。
      • よってまともにプレイしたいなら縦画面環境が必須と言ってよい。
    • 2010年5月よりゲームアーカイブスにて配信中。ただし前述の通り本作を快適に遊ぶためには縦画面環境が必須に近いので、購入時は要検討。
      • PSPを所持しているのであれば、本体を縦持ちすることで比較的快適に遊ぶことができる。PSVitaでも同様の遊び方が可能だが、本体サイズの都合上操作性は落ちる。

余談

  • 現在、本作が稼働しているゲームセンターを見つけるのはやや難しい。
    続編の『怒首領蜂』が高い評価・人気を得たことに対し、本作の評価は地味なものに収まってしまっていることが原因か。
  • 海外向けには北米版、香港版が存在するがそのいずれもバランス調整が異なる。
    • 北米版はステージクリア時のボム支給が必ずストック満タンまで補充されるため、日本版より遊びやすくなっている。
      一方香港版は日本版よりもゲーム内ランクが高い状態でゲームが始まる高難易度調整が行われている。
  • シューティング作品では本作のみケイブのロゴデザインが現在とは異なり、地球をバックに赤文字で「CAVE」と書かれたものとなっている。
  • デフォルトのランキングの名前は上から「TAR」「ONE」「A.V」「PFE」「LOR」となっているが、これを縦読みすると…。
+ ネタバレ注意

「TOAPL」「AN.FO」「REVER」……つまり「TOAPLAN. FOREVER」となる。エンディングにも、東亜プランのマスコットキャラクターであるピピル星人が登場する。*5

  • アニメ化もされたジャンプ漫画『ボボボーボ・ボーボボ』の登場人物『首領パッチ』の名前の元ネタは本作のタイトルと駄菓子『ドンパッチ』である。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 1995年
  • AC
  • STG
  • 縦シューティング
  • ケイブ
  • アトラス
  • 首領蜂

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2022年12月10日 16:35

*1 やや意訳が入っているが「あと少しで撃破できるぞ!」という意味。

*2 過去に存在した「CAVEユーザーズルーム」によると本作での画面内の最大弾数は55発とのこと。

*3 取扱説明書では3ボタン配置となっており、フルオートボタンの存在が記されている

*4 彩京STGの移植でもよく見られる方式だが、彩京STGの場合は必ず横1画面に収まるよう調整したモードが同時収録されている。

*5 ただし、黒い帯で目隠しをされている。