おぼっちゃまくん

【おぼっちゃまくん】

ジャンル アクション
対応機種 PCエンジン
メディア 4MbitHuカード
販売元 ナムコ
発売元 パック・イン・ビデオ
開発元 ARC
発売日 1991年3月15日
定価 6,800円
判定 なし
ポイント 二大おぼっちゃまくんゲーの一角
割と普通の横アクション
一般公募で決まった敵キャラ達
コロコロコミックシリーズリンク


概要

  • 1991年にてナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)とパック・イン・ビデオ(現:マーベラス)の両者にて共同発売されたソフト。ジャンルとしては横スクロールアクションに該当する。
    • 元々はパック・イン・ビデオが単体で発売する予定だったが、諸般の事情でナムコも販売に絡む事となり、説明書やゲーム画面などに両者のクレジットが表示される異例の事態となった。
  • 今現在ただ2点しか存在しない、おぼっちゃまくんを題材とした家庭用ゲームのうちの一本である。もう一本はテクモがファミコンにてリリースした同名の『おぼっちゃまくん』というボードゲームソフトだが、「題材が同じ」という点以外は本作との関連性は一切ない。
  • 富士チャマーハイランドに亀の甲羅の山が出現し、茶魔の先祖の墓が荒らされた。そして、その荒らしたと思われし黒幕が茶魔の友達をさらってしまう。茶魔は単独で友達救出と墓荒らし撃破の為に山へ向かう。……というストーリー設定。
  • 一人プレイ専用、全5ラウンド17ステージ構成(ラウンド1~4は4つのステージに分けられ、ラウンド5は1ステージのみ)

主なルール

  • 茶魔を操り、右側に進むのがクリアの目的である。各ラウンドの初回1~3ステージ目は右側奥に進みきれば、4ステージ目は奥に待ち構えるボスを倒せば、各ステージのクリアとなる。
    • このゲームにおいては右側に進み画面をスクロールさせると、左側には後戻りできなくなる。要するに、完全なる一本道進行と思えばOK。
  • 使用コントローラーは方向キーにて茶魔の移動操作、ボタンはそれぞれ、ラッキョ攻撃とジャンプに使用する。
    • ラッキョ攻撃ボタンを押せば、前方への飛び道具攻撃「さいなラッキョ」(以下攻撃)が出せる。これが茶魔自身の繰り出せる2つの攻撃手段の一方となる。こちらは射程制限がある。
    • ジャンプボタンにて茶魔のジャンプ動作を行う。ボタンを押す長さによってジャンプ力に若干の違いが出る他、ジャンプ中の移動制御も可能となっている。
      • また、ジャンプなどで敵を踏みつけると、踏んだ敵を倒す事が可能。これが2つある攻撃手段のもう一方となる。
      • 茶魔の下位置に地形がある状態にて方向キー下+ジャンプボタンで下の地形に降りられる。
      • ステージによっては水中が舞台となる場面も。水中ではジャンプボタン連打で、茶魔を上方向に泳がせる事が可能(ジャンプボタンを押さないと下方向に沈んでしまう)。
    • その他にも、方向キーとボタンの組み合わせによって、茶魔がポーズをとりながら何かのリアクションをする。どれもお遊び的な演出をかもし出している。また、どの動作中も攻撃が一切行えない。
      • 「方向キー下」…茶魔が犬になる「こんにチワワ」。この状態で移動させると通常よりも移動スピードが増す。前方無敵の身我割成高がいる時や、無敵や無双状態であるおはヨーグルト、緑の亀を使ったときの効果時間内に駆け抜けると効果的。
      • 「攻撃ボタン + ジャンプボタン」…茶魔が桃になる「ぶれいもも」。通常よりも高いジャンプ力で飛べる。直進する敵を避けたり段差のあるアスレチック面で効果を発揮する。ただし、跳ねている間は変化を解除できない。空や落とし穴のあるステージでは気をつけて使いたいところ。
      • 「攻撃ボタンを押しながら方向キー左右どちらか」…茶魔が老人化する「ひ~こらばひんばひん」。通常よりも移動速度が低下する。実質上は大ジャンプできる「ぶれいもも」のタメ状態とも言える。
      • 「方向キー上」…茶魔のポーズの一つである「しじんまんまんでしゅ」。普段はただ立ち止まってポーズをするだけの意味のないものだが、亀石付近でこの操作を行えば、「~してもら演歌」という動作を行うことで色々なことが起きる。これに関しては下記にて。
  • 各ステージのいたるところに「亀石」が配置されている。これに茶魔を近づけるか、亀石に直接乗るかして方向キー上を押せば、~してもら演歌のポーズと共に、周囲にあるアイテムが1つだけ変化する。これがこのゲームにおける特殊アイテムの出現方法となる。
    • 一例としては、亀石の周辺に「いたらき」アイテムが2個放置されていたとする。その状態で上記のポーズをとれば、2つあるいたらきアイテムのうちのどちらかが特殊アイテムに変化する。
    • しかし、変化するアイテムは完全に固定されてり、ポーズを取る前にその変化するはずだったアイテムを取ってしまうと、何も起こらなくなってしまう。
    • また、必ずしも特殊アイテムに変化するとは限らず、ごく普通のありがちなアイテムになる場合も多々ある。いわば、はずれアイテムというべきか。
    • 以下にアイテムに詳細を示す。まずは特殊アイテム(お助け軍団関係)
      • 「赤いカメマーク」…身我割成高さんを召喚する。彼は茶魔の前方に立つ性質があり、いかなる敵に対しても壁の如く塞がり触れた敵を全て倒してしまう。その威力はステージ2のボスを即死させる程で、実質は前方無敵とも言える。そのステージをクリアするまで効果は持続するが、彼が落とし穴に落ちてしまうと消滅。
      • 「青いカメマーク」…こわがリータを召喚する。彼は茶魔の後方に立つ性質があり、放物線を描くような形で飛び道具のフライパンを常に投げつけてくれる(攻撃ボタンを押さなくても投げる)。彼もステージクリアするまで効果が持続、また落とし穴で効果消滅する。
      • 「クリコロまん」…茶魔の父が武装ヘリで敵を一斉射撃してくれる。彼を乗せたヘリは画面左側から右側にゆっくりと移動し、右側に行き着いた時点で効果が終了する。
      • 「湯のみ」…通掛聞造さんが茶魔前方に出現する。彼自身は一切の戦闘能力は持たず、その場で留まっているだけに過ぎないが、彼に触れると1UPの効果が得られる。要するに、実質的な1UPアイテム。
      • 「うんの子」…フンフンを召喚する。彼の乗るUFOがすぐに飛来し、フラッシュと共に画面内の敵を全滅させる効果。効果が終了すると消滅。
      • 「緑のカメ」…茶魔のペットのピエール(亀)を召喚する。茶魔がピエールに乗り、一定時間無敵となる。効果が消えると即消滅する。
    • 次に特殊アイテム(パワーアップなど)の詳細。
      • 「らっきょ」…茶魔の攻撃(らっきょ攻撃の飛距離)を最大4段階までパワーアップさせる。ミスするまではずっと有効。ステージをクリアしても効果は続く。
      • 「チャメックスカード」…取得したステージ限定。ジャンプボタンを連打することで、茶魔を飛行させる事が可能となる。いわば、陸ステージにて水中ステージの泳ぎと同じ操作ができる効果。水中ステージでは、このアイテムが出現しない。
      • 「ヨーグルト」…一定時間、敵が硬直し一切動かなくなる。また、硬直している敵に茶魔が触れてもダメージを受けず、逆に体当たりで倒せてしまう。実質的には一定時間の無敵化である。
    • 最後にその場に放置されている通常アイテムの詳細
      • 「いたらき」…500点のスコアボーナスに加え、取る度に画面右下に表示されたいたらきストックが増え、ストックを20個集めると1UPの効果。いたらきストックはミスしても持続される。
      • 「リンゴ」「バナナ」「メロン」…左から各自、1000点、2000点、5000点のスコアボーナスの効果。メロンに関しては亀石変化でないと出現しない。
      • 「コミックアイテム」…通常では見えない隠しアイテムで、取ると1UPの効果。おぼっちゃまくんというゲームの関係上、コロコロコミック*1のようにも見えるが、詳しい事は不明*2
  • 残機制で、残機がすべてなくなるとゲームオーバー。またミスして残機を失うたび、らっきょのパワーアップ他、あらゆるアイテムの効果がリセットされてしまう。いたらきストックのみ、ミスしてもリセットされることなく継続。
    • 本作には時間制限といったものは存在しない為、じっくりと少しづつ進みながらの攻略法も通用する。
    • ミス後の復活場所は、必ずそのステージの最初となる。ステージ途中からの戻り復活制は採用されていない。
    • ゲームオーバー後はタイトル画面にてコンティニューが可能。また、このコンティニューはステージセレクトも兼ねている。事前に進んだステージまでならば、それより前のステージから再開することも可能。コンティニュー回数は無制限である。

評価点

  • アクションとしては、操作性が軽快かつテンポ良くステージを攻略でき、クソゲーメーカーとして悪名高いパック・イン・ビデオが関係しているとは思えないほど意外と(といっちゃ失礼だが)まともな出来となっている。少なくとも、ゲーム開始後に即ミクロの弾に触れて死んだりするような理不尽な難易度ではない。
    • クリア目的も「単に右に進んでいけばOK」という極わかりやすいものであり、特に複雑な判断は必要としない。お手軽重視のゲーム性である。
  • 茶魔が何かの動作を行う度に、例のギャグを交えたボイスで喋ってくれる。流石はキャラゲーと言えるだけのサービス精神。ちなみに茶魔のボイス担当も、アニメ版のキャストである神代知衣氏が行っているという力の入れ様である。
    • 茶魔の代名詞的なセリフ「ともだちんこ」はもちろんの事、「おはヨーグルト」「さいなラッキョ」といった定番のセリフも聞く事ができる。残念ながら、ボイステストが非搭載なのは悔やまれるか…。
    • 茶魔が敵を踏むと「へけっ」と高揚した声を出すのに対して敵に触れてミスをすると「しぎゃっぴー!」と言う断末魔を聞ける。何も原作やアニメでも発していたセリフでありボイスパターンは少ないものの当時の茶魔を知っている子供たちに対するファンサービスもしっかりされている。
    • 本作はHuカードソフトなので、CD-ROM2系と比べたら若干声の質がよろしくない。だが内蔵音源でサンプリングされたにしては、十分に頑張っている部類に入るだろう。
  • 本作の発売前に某雑誌で、「敵キャラのデザイン応募企画」が行われた。そしてなんと本作では、ほぼすべての敵キャラに一般応募されたものを採用している。
    • 各ステージ開始前に、ステージ内に出現する敵キャラを紹介するキャッチまで入る。しかも、ステージ間における敵の使い回しは一切存在せず、すべてのステージで違う敵が採用されているというのが地味に凄いところ。
    • さらにエンディング後のスタッフロールでは、真っ先に企画の応募者の名前がずらっと表示される。しかも、デザイン採用者である「優秀賞」だけに留まらず、惜しくも採用されなかった「佳作」「努力賞」の応募者も全員表示され、その名前表示はゲームの開発者のそれよりも大幅に多いという珍現象が拝めてしまう。凄まじいまでに応募者を待遇するその様は、太っ腹としか言い様がない。
    • 敵もギャグやダジャレを交えたネーミングと外観でとてもユニーク。虎とトラックを合わせたような「とらック」をはじめとして日の丸扇子を掲げて泳ぐ「おめでタイ」、マラカスを振りながら投げてくる「のってマングース」、常に走り続けている「ハイエーナー」、目が泳ぎまくりでふらふら前進してくる「フラツキミンゴ」等ネーミングから行動が読めるような敵も多い。倒されるモーションも存在しておりその場で消えたり逃げるものもあれば、泣いたりギョロ目だったり、目が×印になって消えるなど非常にユーモラスなものばかり。
  • グラフィックの書き込みはちゃんと原作の雰囲気を損なわずにしっかりと描けており、当時のPCEソフトの中でも綺麗な部類。
    • オープニングデモにてバックストーリーが語られるのだが、このシーンの書き込みがやけに繊細。特に茶魔が上半身裸でムキムキなボディを見せるシーンが無駄に強そうである。ちなみに、ゲーム内での茶魔は一切服を脱がない*3
  • とにかく、茶魔の動作ポーズに飽きが来ない。
    • 上記に述べたとおり、古今東西お茶魔語に関するポーズを色々と見せてくれるので原作ファンにしてみればとてもうれしいファンサービスであり、その様は敵にやられる瞬間*4やエンディングの演出までとにかく徹底している。
  • また、BGMに関しても爽やかな楽曲の良曲揃いであり、ゲームを盛り上げるのに一役買っている。これもボイス同様、サウンドテストできないのが悲しいところ。

問題点

  • ゲームバランス的には無難に作られているが、幾らかの不備がそれを阻害している節も見られる。
    • まず、画面の視野が若干見辛く、ちょっと移動しただけで先の見えない敵に触れてミスという状況に陥りやすい。また、このゲームは敵の位置を知らせるような目安が全く用意されておらず、その結果「ジャンプしたら敵に触れた」とか、「移動してたら敵に突進されていた」という事態に遭遇しがちである。敵にもよるが、結構な速さでことらに敵弾を放ってくるやつもいる。時には上方・後方からといった予想もしない方向から襲い掛かるものも。
    • また、ステージによっては画面が上下にスクロールする場面もあり、その結果上下のどの位置に敵がいるのかが把握しにくいという問題もある。
    • とはいえ敵の配置自体はそこまで理不尽なものではないし、その殆どがパターン化されているので割とつかみやすく対処しやすい。制限時間もないので少しずつ進んでいけばミスに遭遇する機会もぐっと減り、さらにはお助け系の特殊アイテムを取れば難易度が劇的に下がる機会もあり、コンティニューは無限なので、それほど難しくはない。要はじっくり進んで後は死んで覚えろという事であろう。
    • ミスすると必ずステージの最初に戻される故に、やり直しの負担が多々きついのも事実ではある。ただし各ステージは大体短めなので、これも耐えられない程ではないだろう。
  • 評価点で敵に使い回しが全くないとは述べたが、ステージごとに敵の種類は1~2種類しかおらず、1ステージ内での敵バリエーションはあまり褒められたものでもない。おそらくは、Huカードの容量的な問題で敵を多く入れられなかったのだろう。
  • ステージが全17とそこそこ多く用意されている割には、セーブ機能やパスワードといったものがない。電源を消すとリセットされてしまうのがちょっとした問題なのだが、当時のアクションゲームとしては致し方ないだろう。それほど難度は高くないので、慣れると1~2時間で最終面に行ける。また電源さえ切らなければ、ゲームオーバーになっても今までクリアしたステージからセレクトして再開できる。
  • オプション項目や難易度設定が一切存在せず、一通りクリアしてしまうとそれ以上の目標が見当たらなくなってしまう。
  • 茶魔の先祖の墓を荒らし、友達をさらったと思われし黒幕と最終ラウンドにて対決するのだが、そいつを倒しても茶魔が家族や友達一行と仲良く並ぶシーンでエンディングが締めくくられ、一体黒幕はどんな存在で、何故墓荒らしや友達拉致を企てたのかという描写が一切されないままスタッフロールを迎えてしまう
    • 原作を見ていた者やファンには一体誰なのか一目で判るシルエット*5なのだが、知らなければ理由はよーわからんが悪いやつだったと解釈するしかない。
  • ラウンド3で友達の一人である御嬢沙麻代が救出され、茶魔が彼女に愛情表現的な友好を示すシーン。どうみても「いいなけつ」のポーズなのに、ボイスは「ともだちんこ」と喋っている
    • ちなみに、他の友達救出(ラウンド1、2、4)の友達救出シーンではちゃんと普通に「ともだちんこ」をしている。
    • 原因はPCEの容量の問題だろう。
  • 原作破壊と言うほどではないだろうが、原作の茶魔は甘やかされたおぼっちゃまで基本的に運動音痴(ただ、エピソードによっては妙にタフ)という設定なので、マリオばりの横スクロールアクションを披露するのはやや違和感がある。
    • これに関しては、すごろくゲームにしたファミコン版の方が原作に沿った設定と言えるだろう。
  • 茶魔自身の「踏む」攻撃で通る敵が多い。
    • 大抵は飛距離に制限がある状態の「らっきょ」攻撃よりは踏んで片付けられる敵が多い。水中も同様で踏んで倒せる上に敵の弾すら踏んで消すこともできるため、ほぼ踏みゲーになりがち。
    • ボスに至ってはステージ1とステージ4のボスは大きくなく接地しながら動くだけの動作なので踏んで完封することすら出来てしまう。
      • 無論全ての敵に効くわけでは無い。無敵状態の敵やチャメックスカードが無い状態での空を飛ぶ敵、基本的にジャンプで頭上まで届かない大きい敵には効かない。

総評

アクションゲームとして全く問題がない訳ではないが、クソゲーと呼ぶ程に酷い出来でもなく、ごく平凡な作品に仕上がっている。
おぼっちゃまくんのキャラゲーとしてはそれなりに頑張っており、ファンならばとりあえず触れておいても損はない作品だと思われる。


余談

  • 翌月4月5日にはテクモから『おぼっちゃまくん (FC)』が発売されている。
    • 沙麻代からキッスをしてもらうために世界中を駆け回るボードゲームであり、ファンアイテム、パーティーゲームとして良い評価を受けている作品である。

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最終更新:2023年04月14日 19:07

*1 おぼっちゃまくんの原作(漫画版)が連載されていたコミック雑誌。

*2 説明書では単に「コミックアイテム」と表記されている。

*3 但し、コスプレしたり、骨化したりはする。

*4 オニがっしまっしゅ、なんて骨体、そーカモの3種類。

*5 漫画上ではドクター・モオという名の世界征服をたくらむマッド・サイエンティストとして登場している。