美少女戦士セーラームーンSuperS 全員参加!!主役争奪戦
【びしょうじょせんしせーらーむーんすーぱーず ぜんいんさんか しゅやくそうだつせん】
ジャンル
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対戦格闘アクション
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対応機種
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スーパーファミコン
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メディア
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24MbitROMカートリッジ
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発売元
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エンジェル
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開発元
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モノリス メイクソフトウェア
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発売日
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1996年3月29日
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定価
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7,980円
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判定
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なし
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美少女戦士セーラームーンシリーズリンク
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概要
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『美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!? 主役争奪戦』のマイナーチェンジ作。
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セーラームーンのみスーパーセーラームーンに強化され、グラフィックも刷新されている。
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プレイヤーキャラクターにサターンが新登場した。これにともない、ストーリーモードのラスボスがウラヌスからサターンに変更されている。
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本作発売時はアニメがセーラースターズ編に突入していたが、セーラースターズ編開始からまだ2回しか放送されていない。また、この時点でのアニメはネヘレニア復活編(スーパーズでの敵が続投)であるので、わざと本作の題名をスーパーズにしたと思われる。
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『場外乱闘』と同様に初回限定の特典でスペシャルカードが付属されている。
評価点
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『場外乱闘』の発売時に既に登場していたものの、セーラー戦士として覚醒していなかった土萠ほたる・セーラーサターンが参戦した。
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「スーパーズのサターンは赤ん坊なんじゃ?」と思えるが(『S』のラストでサターンは消滅し、ムーンの力によって赤ん坊として復活した。その後、体が急成長する)、せっかく登場したサターンを追加しないのは勿体ないし、そもそもスーパーズは外部戦士の出番が無い。いちいちツッコミするのは野暮だろう。
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隠しコマンド(ACS設定画面に切り替わるまで、LとRを押しっぱなしにする)を入力することで、ACSポイントを30に増やせるようになった。
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おちゃめ以外の能力をフル強化すれば、少女でも対ハードモードCOM戦も対人戦もなんとかやっていけるだろう。
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本作では「ACS」ではなく「能力せってい」という表記に変わっているが、内容は同じである。
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ゲームシステム以外の要素の大半が新しく作られた。
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『ストリートファイターII』で例えると、『ターボ』から『スーパー』への大幅な変化と言えるだろう。
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アニメが「S」から「スーパーズ」に変わったので、SFC起動時のOP演出・タイトルロゴ・コスチュームがスーパーズのものに変更された。
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キャラクターグラフィック以外のグラフィックはすべて(?)変化。
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ムーンのカラーチェンジ色が『美少女戦士セーラームーンR (SFC)』のチェンジ色の流用でなくなった。ただし新カラーは、セラムンRのカラーチェンジ色の一種の紫ベースのカラーリングに近いものとなっている。
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色違いを選択するボタンが場外乱闘と違い、本作ではLかRを押すことで色違いになる。
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ステージが豪華になった。
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公園の噴水をはじめとして場外乱闘より明らかに演出が工夫されている。
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背景で動くキャラクター数が増え、大阪なる、古幡宇奈月を除いたキャラクター全員が動く。
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新しいステージが増えたので場外乱闘から削除されたステージがあるが、時間帯を変えただけの使い回しステージが減った。
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全キャラクターではないが、使用キャラクター決定時のボイスが変更した。
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BGMは場外乱闘のアレンジ曲となっている。サターンステージの音楽は『美少女戦士セーラームーンSuperS 真・主役争奪戦』からのアレンジとなっている。
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サターンステージ「沈黙のメシアの玉座」のBGMは、おごそかで神秘的な雰囲気がしていて人気が高い。
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『真・主役争奪戦』が発売されたのは本作発売のたった21日前であり、ゲーム開発開始時期が本作よりかなり先というわけではなかったかもしれない。そのため、サターンステージの音楽が作られたのは本作が先だった可能性がある。
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SEが変更された。
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ボイスが新しくなり、技名を言うボイスが増加。
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セリフが一新した。
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コンティニュー画面とトーナメント優勝者へのコメントは、セリフどころかキャラクター自体が変更されている。
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タイトル画面でしばらく何もしないでいると見れる対戦デモシーンが新しくなった。
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スタッフロール付きEDが新しくなり、ちびムーンでストーリーモードをクリアしてもスタッフロールが見れるようになった。
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ただしエンディングの内容はムーンと全く同じである。
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前作同様、ムーン以外のキャラクターでストーリーモードをクリアすると、再びストーリーモードを選んだときに、さきほどクリアしたキャラクターが主役として活躍しているOPに変化するが、新たなデモが追加されている。
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ゲームシステムは、元々の完成度が高かった場外乱闘から手を加えていない。熱い駆け引きや深い読み合いは健在。
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場外乱闘は対CPU戦の救済措置のためかハードモードでも飛び道具を連射するだけで圧勝でき、本作の飛び道具は後述の理由で低性能ではあるが救済措置として機能している。
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CPUは隙が大きい新飛び道具だろうとお構いなく使ってくるので、相対的に難易度がやさしくなっている。
主な問題点
あらかじめ下記の動画を見ると後述する問題点が解りやすくなると思われるので、一度見てみることをオススメする。
新(超)必殺技の性能
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ちびムーン以外のキャラクターは飛び道具必殺技(ゴージャス、ラプソディー、フレイム、オーク、アンド、スペース、サブマリン、クロノス)が追加されたが、それらの性能が低い。
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ボイスに合わせて発動するので、攻撃判定出現に時間がかかる。
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ムーンとマーズ以外は強攻撃からキャンセルで出してもコンボにならない。コンボにできるムーンとマーズでさえ相手限定・画面端限定・立ち限定・しゃがみ限定・強攻撃キャンセル限定・弱必殺技限定だったりする。
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ムーンと内部戦士の新技は、場外乱闘のときの飛び道具を1つ減らしたことで追加されている(入れ替え)。
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削除された技は簡単にコンボに組み込めたので、場外乱闘と比べてコンボのバリエーションが乏しくなった。
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元々4つの必殺技を持ったジュピターは削除されてもしかたがないが(5種類あるとオートモードのボタンが足りなくなる)、ムーンたちまで削除したのはジュピターの削除に合わせた結果か?
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ネプチューンのマニュアルモード時に、対空必殺技のスプラッシュ・エッジ(テンキー表記で236P)が隙だらけのサブマリン(4タメ6P)に化けやすい。
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本作は場外乱闘のときと同様、全体的に対空技の対空性能が低くて「無敵状態と攻撃判定が同じフレームにある技」もほとんどなく、エッジも引き付けずに出したほうがよい。しかし、コマンド同時入力の優先順位はサブマリンが上で、本作はタメ技の必要タメ時間がとても短くてコマンド入力受け付け時間がかなり長い。
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すぐにエッジを出そうとしたらサブマリンに化けやすく、サブマリンのタメ解除を待っていると相手のジャンプ攻撃を食らう危険性が高く、飛び込み攻撃をガードしてからガードキャンセルでエッジを出そうとするのも危険。
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エッジはコンボや割り込みとしても高性能。ネプチューンはしゃがみガードポーズ時に食らい判定が見た目より小さくなる特性を持つ。つまり地上戦でも困ってしまう。
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追加された技はまったく役に立たないわけではなく、削除されたものを含んだ他の飛び道具より優れている面もあるが、総合的に見ると使いにくいと言わざるを得ない。
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ただ、プルートのクロノスはどちらかと言えば実用的な性能であり、多少なりともプルートの強化につながっている。
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新必殺技は軒並み低性能だが、ちびムーンの新超必殺技のトゥインクル・エールの性能が壊れている。
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攻撃判定を持ったペガサスを召喚するのだが、ペガサスの出現位置は相手の位置に合わせて出現する。
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無敵状態中にペガサスの範囲から脱出できる技か、「エールされたキャラクターの食らい判定とそのキャラクターが撃った飛び道具(必殺と超必のどちらでも可)とペガサスの攻撃判定が近い位置にあって、それら三つの判定が同時に接触する」という状況が成立できる技を使わなければ回避不可能。
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前者に該当する技はマーキュリーの超必かウラヌスの無敵フロントスキップ(起き上がりor空中で被ダメ→リバーサルで出す)のみ。後者はジュピターのココナッツとヴィーナスのウィンク以外ならどれでも可能で、飛び道具によってはそのままちびムーンに反撃できる。
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バックスキップでも回避できるが、ちびムーンとの間合いが広がることになるため、エールの連発に対応しきれなくなる。
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ペガサスの攻撃判定が大きい上に判定持続時間が長く、ヒットでもガードでもペガサスの存在判定そのものは消滅しない。
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ペガサスは飛び道具扱いで「相手の飛び道具を消滅させるが、自分の飛び道具は消滅しない」という特性を持つ。
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強攻撃属性なのでヒット・ガードで相手を押し返す距離が長い。
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歩行速度が一番遅いジュピターでも、ペガサス出現ギリギリまで歩いてからガードしていけば接近できないことはないが、タイミングを間違えると苦しい展開になる。
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ちびムーンがひざまずいて祈っているときは食らい判定がかなり低くなっている。
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2つあるモーションの内の後半で跪く。食らい判定が普通の大きさである1つ目のポーズは発動直後の一瞬だけで、それから技終了まではずっと食らい判定が小さい。
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発動時の一瞬を除いて、ガードできる技がちびムーンの食らい判定に触れた場合、自動的にガードする。
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ガード不能時間は、エールの1つ目のポーズをしている間に終了する。無防備フレームは一瞬しかない。
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この自働ガードは、後述するサターンのあらゆるガード不能キックに対しても発動する。
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ACSの?を上げても威力が全く変化しないが、必殺技を上げると威力が上昇する。ACSでエールを強化することは、他の必殺技の強化にもつながる。
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なお、必殺技ポイントが4のときと5のときでエールの威力に違いはない(他の必殺技は威力が上がる)。
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弱点は、発動が早くない、キャンセルしてもコンボが不可能、空中で当てないとダウンしない、ちびムーン自体は強キャラクターではない、ウラヌスとの相性が最悪(ガードキャンセル前ステップからの小コマ投げでKO確定)、といったところ。
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既存の技の性能が調整され、本作独自のコンボが全然ないわけではない。しかし、ほとんどのキャラクターが弱体化した原因となった新技による悪影響のほうが目立ってしまう結果となった。
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弱キャラであるちびムーンとプルートは強化され、同じく弱キャラのウラヌスも後述の理由で超必殺技が少し弱体化したもののとくに害のない新技の追加によって目立った弱体化はされていない。この弱キャラとその他のキャラの格差が小さくなる調整自体は悪くはない。
セーラーサターン一強
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サターンはちびムーンのエールに匹敵するほどの凶悪な技を持つ。
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空中飛び道具必殺技プレス・クラッシャーだけで有利な展開に持ち込める。
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弾の判定が大きく、ジャンプでかわそうとするのは無謀。歩いていっても当たりやすく、近づくことが難しい。
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地上飛び道具必殺技のデス・リボン・レボリューションかサイレンス・バスターで飛ばせてプレスで落とす戦法がとても強い。
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まれに相手の飛び道具を一方的にかき消す。プレスを撃ったSEが2度鳴るので、プレスと相手の弾が相殺した直後に再度プレスが撃たれているのだろうか?
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マーキュリーやマーズの超必で一方的に反撃を食らうということもあるが、攻守両面においてとても強力な技と言える。
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超必殺技デス・ドライブ・ブレイクの性能がすさまじい。
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最後の攻撃はACSの?と必殺技の影響を受け、両方を5にするとダメージが跳ね上がり、相手がACSで体力2以上or防御3以上or体力が1で防御が2でないと即死する。
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ちなみにウラヌスの超必は、場外乱闘では?5で即死ダメージを与えたが、本作ではウラヌスの超必の威力が調整されたのでHPの約95%のダメージしか与えられない。
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プロセスは、素早く突進→ヒットorガードで下段を交えた連続打撃(途中で攻撃を外すとその時点で終了する)→最後まで当てたら通常より高速で低空のバックスキップ(バクスキ中にプレス可能)→着地して強化版リボン(コマンド入力すればドライブ、バスター、通常のリボン、バックスキップに変更可能)。ドライブはフィニッシュの強化リボン以外の攻撃では相手のHPを0にすることができない(ヒットでもガードでもKOできない)。強化リボンは相手がバクスキ前の連続打撃をガードしていたらガードポーズが解ける前に弾が当たり(当然削りダメしか与えられない)、飛び道具系超必の中で唯一相手の飛び道具を一方的に打ち消す性質がなく、連続打撃がヒットしていたら弾が相手にとどく前に相手の食らいポーズが解けて相手は自由に動ける。これだけだと低性能に見えるが、ドライブの恐ろしさは他の技との組み合わせにある。
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出始めの突進が外れても隙は少ない。全体動作も短いので、強攻撃→ドライブ空振り→弱攻撃を何回か→強攻撃→ドライブ空振り…、という即死コンボが可能。
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着地時にドライブをすると永久コンボになる。強化リボンを撃たないかぎりはトドメをさせないが、限界までHPを減らせるのは強過ぎるとしか言えない。
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ヒット時にバックスキップ中に素早く弱プレスをすると「サターンと相手の距離がそれほど開いてない。相手はのけぞり中。サターンは自由に動ける」という状況になる。再びドライブからのプレスにつなぐことができる。つまり永久パターンができてしまう。ドライブからのドライブコンボより凶悪。
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近or遠立ち強キック・遠立ち弱キックがガード不能。
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正確に言うと、サターンがこれらのキックを開始した時点で「これから発生する攻撃判定内に相手の食らい判定が存在する」「相手が立ちかしゃがみ状態」「ガードモーションになっていない」の三つ全てに該当した場合のみ「相手がガードモーションに移行できない=ガード不可能」となる。
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これらのキックは出が早い・隙が少ない・しゃがんでも当たる・強ならリーチが長い+対空になる+間合いによるが全ての必殺技につながる。本作は場外乱闘と同じく「パンチよりキックの方が高威力である場合が多い」という特徴も凶悪さに拍車をかけた。上記以外の状況でならガードできるが、いきなり繰り出されるガード不能キックの脅威はなくならない。
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サターンの弱点は、自分の頭上に対しての有効な対空技がなくて(近立ち大パンチでの真上対空は使いにくい。近立ち強キックは信用できない。近しゃがみ強パンチは見た目と違って対空能力が皆無)、全キャラクターで唯一ダウンを奪える技が強足払いしかなく、地上飛び道具は発動の前や後に隙があり、ガードキャンセルに適した必殺技がない(バックスキップからのプレスがあるが、接近戦ではそこまで万能ではなく、入力が63244Kか46324Kと少々シビア)ことだろう。とくにCPUサターンはこれらの弱点が顕著である。
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だがその弱点を補えるほど極悪技をいくつも持っており、本作の強キャラクターはサターンのみと言いきってしまえるほど強い。
場外乱闘から弱体化したキャラクターが多いが、たとえ場外乱闘と同じ性能であったとしても、サターンの猛威に対抗できるキャラクターがいるのか怪しい。
その他の問題点
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ムーンの必殺技ソニック・クライのオートモード時のコマンドがなぜか変化して、場外乱闘ではLorR+Bだったのが、本作ではLorR+Aとなっている。
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ソニック・クライ(オート)とちびムーンの超必(マニュアル)以外はコマンドは変更されていない(ちびムーンは超必自体が場外乱闘と異なるため、とくに不自然ではない)が、なぜかマーズの必殺技のファイヤー・ヒール・ドロップがファイア・ヒール・ドロップに名称変更されている。
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『全員参加』と謳っておきながら、相変わらずストーリーモードで外部戦士は使用不可(ボス専用、使用できるのは対戦モードオンリー)。
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このタイトルはあくまで「サターンまでの太陽系戦士が揃った」という意味でしかないのだが、字面だけではあたかも主役争奪戦を行うメインストーリーで全員使えるようになったと勘違いしてもおかしくない。
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トレーニングモードの使い勝手の悪さ、トーナメントモードでCOMのみACS有りという仕様が場外乱闘から変化していない。
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変化した点は、トレーニングモードでキャラクター選択のあとにボイスが流れることとトレーニング中にポーズ画面にしてもBGMが流れることだけ。
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音質が場外乱闘より悪くなった。
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サウンドテストの仕様が変更されて、場外乱闘では「こうかおん」がSEで「おんせい」がボイスだったが、本作では「こうかおん」がSEと使用キャラクター決定時のボイス以外で「おんせい」が使用キャラクター決定時のボイスとなった。
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『セラムンR(SFC)』から使い回されているボイスがある。
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ゲーム自体の音量が小さくなった。テレビの音量を上げておかなければ、場外乱闘でハッキリ聴こえる音量でも本作ではほとんど聴こえない。
総評
場外乱闘から劣化してしまったことは否めない。
とは言えマイナーチェンジという意味では中々頑張っていて、格闘ゲームの面白さやゲームバランスが崩壊したわけではない。
場外乱闘には及ばないが、普通に遊べるレベルの作品と言ってよいだろう。
最終更新:2019年08月27日 22:38