勇者王ガオガイガー BLOCKADED NUMBERS
【ゆうしゃおうがおがいがー ぶろっけーでっどなんばーず】
ジャンル
|
オリジナルゲームアニメーション
|
|
対応機種
|
プレイステーション
|
発売元
|
タカラ
|
発売日
|
1999年4月8日
|
定価
|
6,800円(税別)
|
判定
|
なし
|
勇者シリーズ
|
概要
-
1997年~1998年に放送されたサンライズ制作のロボットアニメ『勇者王ガオガイガー』を題材としたアドベンチャーゲーム。
原作本編と同じスタッフが全面協力しており、本作のエピソードはしっかりと公式設定に組み込まれている。
-
「オリジナルゲームアニメーション」の名の通り、ゲームという形式にこそなっているが位置づけとしてはOVA辺りに近い。
特徴
-
収録されたエピソードは第14.5話「海のヴァルナー」と第43.2話「金の牙、銀の爪」の二つ。43.2話は14.5話をバッドエンド以外のエンディングでクリアするとプレイできるようになる。
-
ちなみに、43.2という中途半端な数字になっているのは、43.5話「光と闇の翼」という漫画作品が既に存在していたため。
-
あくまでTV本編の通常エピソードと同格の扱いのため、ストーリー中で既存キャラクターや基本設定などの説明は無い。
-
そういう点も含めて完全に原作ファンのみが対象という割り切った作りであり、ファン以外からの評価は期待できない。とはいえ、最初から「そういうもの」として作られているのだから、それで問題は無いのだろう。
-
基本的には一般的なアドベンチャーと同様にテキストを読み進めていくのだが、表示されるグラフィックは実際のTVアニメと同じように常に違った物が使用されており、使い回しはほとんど無い。また、全てのキャラがフルボイス。
-
ストーリーは「アバンタイトル→OP→Aパート→アイキャッチ→Bパート→ED→次回予告→勝利の鍵」と、本編と全く同じ流れで進行する。
-
Aパートでは主人公の一人である天海護を操作してフィールド内を自由に行動する。ここで取った行動、選択肢、ミニゲームの成否によって後の展開やエンディングが変化する。
-
時間経過や規定の行動回数をこなすと強制イベントが発生し、現れた敵と戦闘するBパートへと移行する。
-
より正確に言うと、強制イベントの最中でアイキャッチが挿入されるだけであり、A・Bパートという区分に特に意味は無い。
-
戦闘パートのイベントは基本的に自動で進行していき、ミニゲームの結果やAパートで取った行動によって分岐する。
-
14.5話はストーリー前期のゾンダー編が舞台と言うことで日常的な描写が多く、基本的にノリは明るい。
-
ただし、Bパート終盤の必殺技ミニゲームで失敗すると、ガオガイガーが敗北して世界が滅びるという救いようのないバッドエンドとなる。
-
ちなみにこの場合はエンディング(ゲーム的な意味ではなくアニメ的な意味の)が変化するのだが、非常にインパクトが強いためある意味必見。
-
43.2話はストーリー終盤の原種編ということもあり日常的な描写は少なく、登場する敵も非常に強力かつ凶悪。
-
本作最大の目玉である新必殺武器「グランドプレッシャー」は、演出的にもインパクト絶大。ミニゲームに失敗するとあっさり破られて別の方法で倒すことになるが、そちらもそちらで別の意味でインパクトは大きい。
-
開始時に「14.5話でどのエンディングを迎えたか」を選択することができ、それによって展開が一部変化する。
-
最終的なエンディングは14.5話・43.2話ともに4種類ずつ。14.5話にはバッドエンドが一つあるが、43.2話には存在しない。
ただし、43.2話の一番条件の緩いエンディングはそれまでの流れに関係無く第三勢力キャラが突然現れて、さんざん苦労した敵を瞬殺して終了という非常に身も蓋もないものであり、実質的にはこれがバッドエンドとも言える。
-
14.5話のラストには43.2話の予告が入っており、「勝利の鍵」も複数種類用意されており、どれが表示されるのかは(おそらく)ランダム。
-
ただ、予告自体は43.2話の物で固定なのに何故か第15話(時系列的に次の話)用の物も用意されているため、少々混乱する。
-
43.2話のエンディング後には予告は無いが、スタッフロールの後に第44話の勝利の鍵が表示される。また、特定の条件を満たすと上記の第43.5話用の勝利の鍵が出るというちょっとした小ネタもある。
-
タイトルメニューから入れるデータベースモードはGGGベイタワー基地(前半の基地)を模した作りになっており、エリアによって設定原画やサウンド等々違う物を閲覧でき、各部署の担当キャラクターがボイス付きで案内してくれる。
-
イベント達成率を100%にすると、GGGオービットベース(後半の基地)へ移動でき、さらに見られる内容が増える。
-
同様にタイトルメニューから入るミニゲームモードでは本編中に登場したミニゲームを単体でプレイすることが可能。
-
ただし本編中でしかプレイできない物や、逆にミニゲームモードでしかプレイできない物もある。
-
ゲームの結果によって「勇者王」「承認」「勇者見習い」「大凡人」「ぞんだー」(失敗)の5段階に評価される。これもしっかりイベント達成率に含まれるため油断は出来ないが、プレイ回数などに制限は無いため何度でも挑戦可能。
評価点
-
本編スタッフが全面的に関わっているだけあってストーリー・作画的には申し分なく、キャラクターの性格などにも違和感は無い。
-
ギャグとして意図的にキャラを崩壊させている部分もあるが、それはそれで良いアクセントになっている。
-
ムービーシーンはOVA並のクオリティで、ムービーに入る話の流れも非常にスムーズ。
-
機種がPSだけに若干画質は落ちているが、気にしなければ気にならない程度。
問題点
-
イベントをスキップするのが不可能。スタートボタンを押せば1カットだけ飛ばすことが出来るが、微妙なロード時間などもありテンポは悪い。
-
一回目、二回目のプレイなら良いのだが、イベントコンプリートを目指して周回プレイしている場合はストレスが溜まる。
-
BGMの出来が悪い。
-
BGMは基本的にTV本編と同様の物が使用されているのだが、音源の関係か明らかに質が劣る。ムービー中に流れるBGMと比べてみればその差は歴然。
-
ただ、本作のオリジナルBGMに関しては、比較対象が無いせいもあるだろうがそれほど出来は悪くない。
-
全体的にミニゲームの出来は微妙。
-
「ひたすら連打」や「同じ作業の繰り返し」など、あくまで「ミニ」ゲームでしかなく基本的には単調。
-
また、一部ミニゲームは難易度が異様に高い。具体的には「ディバイディングドライバーゲーム」「グランドプレッシャーセレクトゲーム」「グランドプレッシャーアタックゲーム」が該当する。
-
「DDゲーム」は制限時間以内に左右に動く照準が真ん中で重なるタイミングを狙ってボタンを押すというもの。慣れてしまえばどうということはないのだが、一発勝負でやり直しが利かない上にミニゲームモードではプレイできず、ひたすらイベントを飛ばしまくってもそこに到達するまで5~10分程度は掛かるためそもそも慣れるほどの回数プレイすること自体が一苦労。
-
成否によってイベントが変化するのはもちろん、エンディングの内「銀色の破壊神」と「熱き勇者の鼓動!」はこのゲームを成功させなければ見ることすら出来ない。
-
「GPセレクトゲーム」は、早い話が9ピースのスライドパズルで、制限時間は99秒。
-
コツを知っていればどうにでもなるが、知らない場合は99秒では全然足りない。これもミニゲームモードではプレイできない。
-
「GPアタックゲーム」は、とにかく連打。「ブロウクンマグナムゲーム」「ゴルディオンハンマーゲーム」に続くひたすら連打シリーズ最後の関門。結構な勢いの連打が必要になるため、ただクリアするだけならともかく「勇者王(最高ランク)」でクリアしようとなると苦手な人にはかなり厳しい。
こちらはミニゲームモードでもプレイすることが出来るが、隠しイベントの「レインボープレッシャー」を見るためには本編内の一発勝負で勇者王クリアが要求される。さらには、上記のDDゲームの成否によってレインボー後の一部台詞が微妙に変化するため、コンプリートのためには二度クリアする必要がある。
総評
「ゲーム」としての出来は粗いが、「ガオガイガーの1エピソード」として見る分には非常に出来が良い。
ターゲットが狭すぎる関係上生産数が少なく、手に入りにくいのが難点であるが、原作ファンなら探してでも買う価値はあると言っていいだろう。
余談
-
43.2話に登場するゾンダーロボ(敵)の認定呼称は「EI-72」及び「EI-73」となっている。第27~28話に登場したEI-29からかなり数が飛んでいるが、これは第35~36話で大量に登場した量産ゾンダーロボが全てカウントされているため。
-
「量産ゾンダーが具体的に何体居たのか」「これらはちゃんと数に含むのか」といった、設定資料でもスルーされていた素朴な疑問をたった一言で解決させる、小粒ながらニクい演出である。
-
本作初出のキャラは後にOVA『勇者王ガオガイガーFINAL』にも登場しており、特に43.2話に登場したあるキャラはその立場上非常に重要な役柄となっている。
-
また本作、43.2話の描写・設定・用語はOVA『勇者王ガオガイガーFINAL』および小説『覇界王~ガオガイガー対ベターマン~』でも密接に絡んでおり、説明は多少あるものの本作の話を知っていることを前提とした物語展開となっている。
-
本作が初出となる武装「シルバリオンハンマー」は後に『スーパーロボット大戦BX』に取り入れられ、ファンの話題を呼んだ。
最終更新:2021年11月27日 20:44