ムーンクレスタ

【むーんくれすた】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 日本物産
稼動開始日 1980年
プレイ人数 1~2人(交互)
配信 バーチャルコンソールアーケード
【Wii】2010年3月9日/800Wiiポイント
ゲームアーカイブス
2007年11月14日/823円
アーケードアーカイブス
【PS4】2014年8月26日/823円(税込)
【Switch】2019年1月31日/823円(税込)
判定 なし
ポイント 斬新なドッキングシステム
クレスタシリーズのルーツ


概要

  • 1980年に日本物産がリリースした、インベーダータイプの業務用縦画面シューティング。ドッキングシステムによる自機のパワーアップが特徴。後に同社から1985年にてリリースされヒットを飛ばす事となる『テラクレスタ』の設定上の前作にあたるが、共通点は男のロマン「合体」が売りな事だけである。
    • ドッキング専用シーンがあるのは本作のみ。
  • インベーダーやギャラクシアン等のコピーゲームながら独自のシステムを得て差別化を図った同社タイトル『ムーンベース』や『ムーンエイリアン』の系譜を踏んだムーンシリーズの最終作でもある。

基本システム

  • レバー+1ボタンを使用。レバーで自機の左右移動(上下移動不可)、ボタンでショットを放つ。当時のインベーダー系の例に漏れず、一画面につき1発しか発射できない*1*2
  • ゲーム開始時点で「一号機」「二号機」「三号機」の3体の自機が存在し、ステージ始めはそのうちの一号機を操作する事となる*3。一号機がミスすると、待機していた二号機が出撃*4し、それもミスすれば三号機が出撃といった具合となる。各機には性能差があり、使用している機体によっては使い勝手が若干変化する。
+ その詳細
「一号機」…自機前方に一方向のショットを撃て、やられ判定が3機中最も小さい。攻撃範囲の面では乏しいが敵が避けやすいというメリットを持つ。

「二号機」…自機前方に二連装のショットを撃て、やられ判定が一号機よりは若干大きい程度。高性能な攻撃範囲を持ち、最も使いやすい機体とされる。

「三号機」…自機前方に二連装のショットを撃てるが二号機よりは弾同士の間隔が開いており機体も大きい。攻撃範囲は広いものの的を狙いにくく、やられ判定も全機体中最も大きい故にミスしやすく使い辛い機体とされる。

「ドッキング形態」…「一号機+二号機」「二号機+三号機」「一号機+三号機」「3機全部合体」の4パターンがあり、攻撃判定の広さや弾の発射速度の速さといった高性能を持つ機体。但し、合体に三号機が絡む場合もある故にやられ判定も大きくなる弱点もある。
  • 一人~二人交互プレイ可能、全10ステージ周回ループ制。各ステージに出現する敵を全滅させればそのステージはクリアとなる。但し、メテオのステージは敵を逃してもクリアが可能。全ステージをクリアするとドッキング形態が解除され、再び単独の機体に戻った状態で次周回面に入る。
  • このゲームの敵は一切の弾を撃ってこないという特徴があり、攻撃手段は自機に対する体当たりのみである。その代わり、敵の動きは変則的で行動が読み辛いというものがほとんどで、適当にショットを撃っていれば簡単に殲滅できるような甘いバランスではない点に注意。
    + 敵キャラクタ
    STAGE1-2・コールドアイ

    2体1組で登場。合体した状態で攻撃を命中させるか一定時間が経過すると、片割れの状態となり、飛行の軌跡がより複雑なものとなる。
    分離後の片割れを倒すと生き残った相方の動きが変化する。
    STAGE3-4・スーパーフライ

    コールドアイと似た動きをする蠅。この面までショットが単発の1号機で挑まなくてはならない。
    STAGE5-6・フォーディ

    数が少なくなると、画面中空で消え、自機の近くにワープする性質を持つ。
    STAGE7-8・メテオ

    高速で飛来する隕石。この敵に限り全滅させなくても先の面に進める。撃ち落しにくい反面、素点が200点と最も高い。
    STAGE9-10・アトミックパイル

    画面上空で左右に小さく揺れた後、高速で直下するミサイル。小さく細長い形状のため、1・2・3号機の合体攻撃をもすり抜けることがある。
    (自機ショットが当たったように見えてもすり抜けることがある。)
  • 残機制で「自機が敵の体当たりに触れる」「ドッキング作業中に後方側の自機と誤接触してしまう」のいずれかで1ミス。ステージ中にミスした場合、倒した敵はそのままで残った敵との再戦状態で復活となる。すべての残機がなくなればゲームオーバー、コンティニューは無い。
  • 一定のスコアに達するとエクステンドとなり、3機一括でストックが増える。エクステンド後に最初に所持していた自機が全滅すると、入れ替わりで3機が復活する形となるため、実質的に強制コンティニューによる1クレジット増加と同じ効果がある。ただし全滅した次の周回のステージ1からの再開なので難易度は上がっている。

ドッキング

  • ステージ4と8のクリア後は「ドッキング」という特殊行動となる。この行動は今操作している自機と後方に待機している自機を合体させる事が目的であり、敵は一切出現しない。
    • ドッキング中の自機操作はレバーで左右移動調整、ボタンは逆噴射となる。自機は強制的に待機中の自機側へと後方移動する性質があり、さらには左右移動中には通常にはない独特の慣性が働く為、それを踏まえた操作を行う必要がある。また、逆噴射である程度は操作自機を前方に押し上げる事は可能。
    • 制限時間以内に操作自機と後方自機をぴったりと接続させる事ができればスコアボーナスが得られ、次ステージから合体攻撃が可能となる。逆に、機体同士をあらぬ位置に接続させてしまうと操作自機側がミスとなってしまう(後方自機側はミスにはならない)。さらに一号機、二号機が合体した状態で三号機のドッキング(2回目)を行った際にミスすれば一~二号機のすべてが同時ミスとなり、三号機しか残らないという大きなペナルティがある。
    • 制限時間以内に接続ができなかった場合は、合体とスコアボーナスは得られないもののミスにはならない(そのままの自機の状態を維持)。
    • 三号機を出撃させたくない時などに、1回目のドッキングをタイムオーバーでキャンセルして2回目でドッキングすることが可能。
    • ドッキングを終えると、その成否に関わらず次のステージへ進む。
+ ドッキング画像

本作の特徴であるドッキング

+ ドッキング失敗の画像

ドッキングに失敗すると自機を失ってしまう

評価点

  • 何といっても本作の最大の特徴は合体システムにあるといっても過言ではないだろう。このシステムは仕様を変えて後の関連作に受け継がれる事となる。
    • ドッキング作業中は画面上に、独特のフォントで「ドッキングせよ」の表示がされる演出がある。今見ると何とも滑稽な外観だが、当時としては十分に臨場感を醸し出していたのだ。
    • ドッキングの難易度は慣れてしまえばさほど難しくはなく安定した合体が望めるが、最初のうちは操作が少々特殊なので思わぬミスをしてしまうかもしれない。
  • 戦闘ステージ中のBGMはないが敵ごとに異なるメロディアスな効果音
    • 敵の動きを表現した音と敵にショットが命中した音の2種類のみでゲーム展開を十分に表現している。
  • 当時としては珍しく、自機出撃時やドッキング成功時などに専用のBGMが付いていた。前者は後のテラクレスタにてアレンジされて再収録される事となる*5
  • 3機まとめてエクステンドするのが太っ腹で、ドッキングも再び楽しめる。
    • デフォルトのエクステンド設定30000点も順調にプレイすれば3周目で到達するのでハードルは高くない。

問題点

  • ゲーム自体の難易度は、とにかく敵の動きが凄まじいまでのトリッキーさであるが故に、序盤から苦戦する要因になっている。一旦画面下に消えた敵が流線を描く要領で(ようするにアッパー)別の場所の画面下から再出現することがある。他のインベーダー系統のゲームと同じ感覚でプレイすると、即撃沈になる可能性も否定できない。とはいえ、所詮は規定パターンでちょこまか動いているだけに過ぎないので、そこさえわかってしまえば大して理不尽な難しさではない。性能の高い二号機やドッキング状態は攻撃範囲が広いので、ある程度の火力任せな攻略は通用する。もっとも、周回を重ねて敵の数が残り一匹になると、敵のスピードがとんでもない事態になるので、万年安定という訳にはいかないが…。
    • 後期(set3)の基板だとラス1のフォーディが目前にワープしたりするなど凶悪度が増す。
    • 高周回時には敵がラスト1匹になった瞬間に急加速してくるのでミスしやすい。
  • ドッキングステージが単調
    • ドッキング前のステージの最後の敵を画面中央のやや右よりでクリアすると手放しでも慣性でドッキング成功する。
    • 毎回同じ慣性動作で邪魔がなくイレギュラー要素がないワンパターン。
  • 高周回面のアトミックパイルが画面横一列を埋めるように一斉に落下する。
    • ドッキングしていない一号機のみの状態でないと安定して回避出来ない。
  • 一号機のみで戦闘すると敵味方の攻撃が共に当たらず、長期戦になる事がある。
  • 三号機がデカすきる
    • せめてドデカイ図体にもう一発ショットが欲しい。
  • ネームレジストで入力完了の「END」までカーソルを右移動するのに時間がかかる。
    • 制限時間のカウントも60(おおよそ秒)あるので連続プレイがややおっくうになる。
      • 「AAAAAAAAAA」など入力しても一字一字の入力レスポンスが悪いうえに、フル入力しても「END」を押さないと入力が終わらない。

総評

テラクレスタより知名度は低く、それ以前に前作である事自体があまり知られていない作品だが、他のインベーダー作品との差別化を図った試みは一部で評価されている模様。

家庭用移植は割と多くプレイする機会には恵まれている。今はゲームアーカイブス版やバーチャルコンソール版が最も手頃なので、『テラクレスタ』のルーツに触れてみるのも一興だろう。

余談

  • 実はゲーム中に「月」は一切出現しない。
  • ゲームオーバー時にハイスコアを取っているとネームエントリーになるのだが、これのデフォルト(ゲーム起動開始時)の文字が「日本物産株式会社*6」とゲーム内にてしっかり漢字で表示されている。ステージ中はハイスコアネームが常時表示される為、まだハイスコアが更新されていない状態でプレイするとニチブツネームが表示されたままでのプレイとなる。
  • 本作は新日本企画(後のSNK)や米国のセガ・グレムリンのライセンス生産版もリリースされており、それらもメーカーの名前が初期ハイスコアとして表記されている。
  • 本作の情報で占められた『ムーンクレスタのページ』というWebサイトが存在する。
  • 敵キャラ「コールドアイ」が便所の落書きにあるあのマークに似ている。男のロマン
  • 戦闘シーン以外で二号機のドッキングがやや左にずれていたり噴射口が右にずれていたりするが、一周回ってそれがかっこよく思えたりする。男のロマン
  • ドッキング画面などのタイム表示の秒とコンマ秒との表示の同調が不完全と言うか、ドッキング直前に少し逆噴射をするとドッキングボーナスが1秒分多く取得できたりする。どう表現したらよいか良くわかりません。
  • 当時のゲームセンターへの出回りの良いいわゆる駄菓子屋ゲームであり、古参ゲーマーへの知名度は高い。コロコロコミックス『ゲームセンターあらし』にもエピソード有り。
  • 何気に、敵キャラクターに通称ではない明確な固有の名前がつけられた初のゲームでもある。
  • 『ギャラクシアン』のコピー作品を出していた経緯もあってか、この『ムーンクレスタ』もナムコの基板のアーキテクチャを流用して作られた作品だったが、後にショウエイの『ストリーキング』*7に改造されるケースも幾つか見受けられている。

移植等

  • 2005年に『オレたちゲーセン族 ムーンクレスタ』*8のタイトルでPlayStation2に移植された。事実上唯一の単独移植。
    • 2001年にWindowsで、翌2002年にPlayStationでも『ムーンクレスタ』が発売されているが、実はこれらは『SF-X』とのカップリング移植である。
  • ほかオムニバスソフトでは、X68000『ビデオゲームアンソロジーVol.1』、SFC/PS『ニチブツアーケードクラシックス』に収録されている。

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最終更新:2022年12月10日 10:32

*1 一号機以外は左右1発ずつの計2発を同時に発射するが、一方が的に当たってももう一方が残っていると次が撃てない。

*2 合体時は最高3連射にはなるが、各機体が順に1発ずつ発射する形であり、それぞれの発射位置も違う為使い勝手が良いとはいえない。

*3 ゲーム開始前に3機合体状態から分離される発進デモが用意されている

*4 これも三号機から分離

*5 ちなみに前者のアレンジは『テラクレスタ』で「最後の自機が出撃する時のBGM」として使われている

*6 海外版では「Nichibutsu」表記となっている。

*7 ギャラクシアンやパックマン等の基板を使った改造キットとして発売されたドットイート作品だが、タイトル通り全裸の女性が主人公という色々とアレな内容でも有名だった。

*8 『オレたちゲーセン族』は、アーケードのタイトルをPS2に移植していたシリーズ。他に『テラクレスタ』や『空手道』などが存在した。