LAST RANKER

【らすとらんかー】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 カプコン
開発元 イメージエポック
カプコン
発売日 2010年7月15日
定価 5,990円
判定 なし
ポイント 全体的に練り込み不足
グラフィック、BGMは高評価


ストーリー

世界中の戦士のほとんど、およそ10万人の戦士が所属する組織『戦候機構バザルタ』が支配する世界。戦士達はランキングによって格付けされ、上位ランキングの者が『力』によって世界を統治していた。バザルタと関わりを持たず、流浪の生活を送る天仰民族カンタレラの青年ジグは、ただ繰り返される掟と伝統を守る生活に意味を見出せず、自分自身の価値を実感するため、故郷を捨て戦候機構バザルタへ入ることを決意する。


特徴

  • システム
    • 戦闘システム自体の基本は「装備を整え、アビリティをセットし、コマンド式の戦闘を行う」といった非常にオーソドックスなタイプのシステム。
  • 戦闘の流れ
    • ターン制ではなくリアルタイムバトル。何らかの行動を行うたびに消費され時間経過で自動回復する「SPゲージ」と呼ばれるゲージが主軸となっている。
      • このSPゲージは防御や攻撃などあらゆる場面で消費されるため、攻撃と防御を適度に使い分ける必要がある。あまりガン攻めすぎると防御に割く分のゲージが無くなるため、痛い目を見ることも。
  • 「スキルパレット」
    • 通常の攻撃とは別の特殊な「スキル」を装備しておき、戦闘中に使うこともできる。装備できる数は4つ。
      • これは他のRPGで言うところの魔法のような物。使用回数に制限はあるが、強力な攻撃手段となるスキルや回復スキル、補助用のスキルなど幅広い種類が揃っており、戦闘での大きな手助けとなる。
      • シナリオを進めていくうち、更に強力な「奥義」の使用も可能になる。
  • 「スタイルスイッチ」
    • 攻撃に特化した「二刀流」、ブレイク性能(後述)に特化した「篭手」、防御性能に特化した「盾」、遠距離から安全に攻撃できる「銃」。
      この4つのスタイルの中から任意の2つを選びセットしておくことで、戦闘中いつでも好きなタイミングで戦闘スタイルを切り替えることができる。
  • 「ブレイクゲージ」
    • 体力ゲージなどとは別に「ブレイクゲージ」と呼ばれるゲージが存在し、このゲージを削って空にする事で相手を「ブレイク状態」にすることができる。
    • この状態になると相手は完全に無防備になり、与えられるダメージもアップするため、猛攻撃のチャンス。
    • ただしこちらにも同じくブレイクゲージが存在し、同じくこちらもブレイクされる。そのため敵の戦闘スタイルによってはブレイク対策も必要になってくる。
  • ランキング戦
    • メインシナリオやサブクエストとは別に、世界各地に存在する「ランカー」達に勝負を挑み、「ランキング戦」に挑戦することができる。勝利すると主人公の「ランク」がアップ。対戦したランカーによっては新しいスキルを授けてくれることもある。

評価点

  • 評価の高いビジュアル。
    • 綺麗にまとまっていて見やすく、且つ見栄えのあるメニュー画面のデザイン等は好評。
    • グラフィックも綺麗に出来ている。
  • 個性的なキャラクター群。
  • 音楽も好評。
    • 作曲の担当は下村陽子氏。
  • 豪華声優陣。
    • メインキャラを神谷浩史氏や中村悠一氏、井上麻里奈氏が、敵のボスを三石琴乃氏に関智一氏、遠藤綾氏、銀河万丈氏、斎賀みつき氏といった実力派声優が演じ、物語を大いに盛り上げる。
  • 先を気にさせるストーリー。
    • ただしストーリーに関しては問題点も(詳しくは下記)。

問題点

  • ボリュームが薄い。
    • 途中で寄り道をしたりサブイベントやクエスト、ランキング戦をこなして進めていてもクリアまで30時間弱程度。寄り道しなければもっと早い。PSP後期の一本道のRPGでこれは少し寂しい。
    • クリア後の要素もほぼ無し。隠しボスもいる事はいるが、別段強くはない。
  • 特徴だったはずの「自由に挑戦できるランキング戦」。
    • ランカーは確かに世界中にたくさんいるが、「ある時点までシナリオを進めていないと挑戦を受けてくれない」「ある程度ランクが高くないと挑戦を受けてくれない」等の制限が多く、実際のところはほとんど自由度が無い。
    • さらには特定のランクに達さないと受注できないミッション(ストーリー進行に必須)が非常に多く、誰がプレイしても局面ごとに倒すランカーがほぼ同じになる仕組みになっている。
    • また、基本的に一度勝った相手とは再度の戦闘は行えない(闘技場に現れる一部を除く)。せっかく個性的なランカー達が揃っているのにこの仕様ではあまりそれが活かせておらず、自由度の無さと併せてガッカリしたプレイヤーも多い。
  • バランスが大味で底の浅い戦闘。
    • 二刀流スタイルの攻撃性能が強すぎる。強力な技を覚え始めるとどんどんゴリ押せるようになって行く。序盤から中盤までは装備さえ揃えておけばまず問題はない程度の難易度になる。
      • しかし終盤以降、ランキング2桁台や七騎士を相手とする段階になると流石に無策のごり押しでは通用しなくなる。その点ではある程度バランスは取れている。
    • それとは逆に銃スタイルの性能が微妙すぎる。「カウンター攻撃でこちらの攻撃を妨害してくる相手にも安全に対応できる」のが銃の利点だったはずなのだが、剣スタイルのスキル「ハガネソウル」(相手の攻撃に対してのけぞらなくなる)が完全にその役割を食ってしまっている。単純な攻撃性能においては二刀流スタイルに圧倒的に分があるため、実質銃スタイルの利点が皆無となってしまっている。
      • ゲーム中でもNPCが「銃は趣味の領域」という発言をするためそもそも弱めのバランスとして設計されている可能性はある。
    • そもそも戦闘システム自体がどこを取ってもシンプル極まりないため、戦略の奥深さも無い。だいたい何にでも対応できる装備で固めていけばだいたい何とかなる。
    • プレイヤーキャラが始終一貫してジグ1人のみというのも悪い方向へと働いてしまっている。
    • 装備品やスキルの種類もそれほど豊富でもないため戦略の幅もあまり無い。また、この辺りの種類の乏しさはボリューム不足の一因でもある。
  • ラスボスが弱い。
    • その前に戦うボスの方が圧倒的に強いため、普通に戦えば楽勝である。だが実際のところ主人公にとってはその前のボスを倒す事こそが本来の目標であるため、彼こそがラスボスともいえるだろう。
  • ランキングシステムの問題点。
    • 設定上、ランキング上位の者がランキング下位の者の挑戦を受けるメリットが全く無いにもかかわらず挑戦を受けてくれる者が多いが、その理由はほとんど説明されない。
    • 挑戦を断るとペナルティを受けると考えるのが自然だが、そんな説明も一切なく実際に適当な理由を付けて挑戦を断るNPCも多数いるので良くわからない。
    • 修練は全ランカーに公開されているはずなのに、他のランカーが修練をクリアすることで自分のランキングが変動することも一切無い。世界観的にはランキングはリアルタイムで変動していきそうなものなのだが。
  • シナリオの問題点。
    • 全体的に唐突な展開が多い。中盤までは物語の進行がゆっくりであるためまだ問題はないが、終盤からはかなり駆け足となり重大なイベントに対しての状況説明や心理描写が殆ど無くなってしまう。このため多くのプレイヤーは話に置いて行かれる。終盤にはシリアスな展開も多いが、何せ唐突なうえに説明がないためなかなか感情移入できない。
      + ※以下ネタバレを含みます
    • 物語の終盤、顔を合わせれば殺しに掛かって来るほど険悪な仲だった旧友・ファズとの唐突な和解を皮切りに、それまで盛り上がっていたストーリーが驚くほどの勢いで盛り下がっていく。
      • ファズとのライバル争いやランキング戦の決着、さらにはラスボス戦からエンディングすらあっさりと片付けられてしまうため、シナリオ終盤の評判はかなり悪い。
    • 登場人物もいまいち必要性が感じられないキャラクターが多い。
      • 中盤まで執拗に主人公をライバル視して煽ってくるベイガーはある戦闘を境にぷっつりと現れなくなる。何の接点もないはずの主人公を付け狙う点や、彼の親に対する言及など伏線のようなものは色々あったがそれらに対する説明も一切無いまま出番が終わる。それまで同じような登場頻度だったレンは最後まで中心人物なのにこの差は一体。
      • ベイガーの退場後に出てくるガルガノは、突然現れて強引に主人公一行の仲間になったかと思えばそれ程シナリオの大筋に関わることもなく、今度は唐突に裏切ったかと思えばあっさり捨て駒にされて退場、それからはほとんど言及がないなど悲惨な立場である。
      • 一応七騎士である父親を人質に取られていたが故の一連の行動であるという説明はされるが、あまりにぽっと出であるため全然感情移入できない。これなら前述のベイガーがその役目を負った方がまだシナリオ的に良かったのではと感じる。
    • それ以外の突っ込み所として良く挙げられるのは「レゾナール海岸」での戦い。
      • 『戦候機構バザルタ』の腐敗を正すことを目的とした組織『アンチ・バザルタ』の考えに賛同したヒロイン・レン達が「レゾナール海岸」で決起を行う、という展開なのだが、何故かアンチ賛同者の勧誘をバザルタ機構の管轄内で普通に行っている。しかも他のアンチメンバーも特にそれにツッコまない。さらに、最終的に勝ち目があるかどうか分からない状態で普通に宣戦布告を決行する。やはり他のメンバーがツッコむ様子は無い。そして(予想外の敵戦力の導入があったとは言え)ボロ負けする。
        • それまでそんな迂闊な行動を取るようなキャラではなかったレンのこの唐突で不自然な迂闊すぎる行動や、描写の曖昧さもあって評判はよろしくない。

総評

  • ベースや世界観は魅力的だったが、多くのプレイヤーが期待していたボリュームや自由度の面で作りこみが甘く、その部分を期待していたプレイヤーからは高評価を得ることはできなかった。しかし目立った不具合やバグは無く、戦闘面もシンプルで複雑な謎解きなどもないのでRPG初心者にとっては取っつきやすい作品と言える。シンプルなゲーム性や、キャラクターイラストや世界観などを見て興味が湧くようであればそれなりの満足感は得られるだろう。

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最終更新:2021年06月06日 12:25