ギャルズパニック

【ぎゃるずぱにっく】

ジャンル 陣取り
対応機種 アーケード
発売・開発元 金子製作所
稼動開始日 1990年
判定 なし
ポイント エロ版クイックス
100%クリアには本家とまた違う戦略も必要
脱衣自体のクオリティはそこそこ程度


概要

  • 金子製作所の陣取りゲームシリーズ。
    • 陣取りゲームはタイトーの『QIX』(クイックス)、『ヴォルフィード』が同一ジャンルとして存在している。本作はタイトーから許可を得た正規許諾品である。*1

陣取りゲームの基本ルール

  • 陣取りゲームの基本ルールは「フィールド上で自機を動かして陣地を占領し、一定割合以上の領域を確保するとクリア」というもの。
  • 自機はフィールドエリアの外周4辺の上しか移動できないが、ボタンを押しながら画面内に向かって移動させると軌跡上にラインが引かれ、そのラインで領域を切り取るとそこを占領する事ができる。
  • 自陣外の部分には敵がおり、動き回りつつ弾などを発射して攻撃してくる。メインの敵はボスと呼ばれ、それ以外に攻撃判定のみを持つ雑魚が存在する場合もある。
  • 自機はラインを引いている間以外はバリアを展開していて、敵や敵弾と接触しても基本的にミスにならない。

システム

  • 基本システムは従来の陣取りゲームと同様、ボタンを押したままレバーを動かす事でラインを引く事ができる。ラインは自機と同じく当り判定がある。
    • ヴォルフィードでは一部の攻撃についてはラインに接触してもすぐにはミスにはならなかったが、このシリーズではすべて即死。
  • 二作目以降8ボタンレバーを使用する。これにより斜めラインを引く事ができるようになった。
    • レバーには8方向と4方向があり、4方向は上下左右、8方向はそこに斜めが加わった物。『QIX』や『ヴォルフィード』は4方向レバー。
  • 女の子1人が1ステージになっており、任意の順番で攻略できる。作品によってはランダムで決定される。
    • 女の子は背景にシルエットで表示。領域化することにより色が付く。
    • 2作目『2』以降ではステージの開始時にランダムな大きさの長方形が中央付近に生成され、これが自陣の初期配置となる。
      • 前述2作品と異なり、スタート位置は画面端ではない。また、外周の概念はなく、必ず中央から広げる形で自陣を伸ばすことになる。
  • まず最初の重要な点は、この作品は領域として認められるのは女の子の部分のみで、画面全体のパーセンテージではないことである。
    • いくらシルエットのない部分を自陣にしても、(直接的には)クリア条件に一切寄与しない事を理解しないといけない。
    • 女の子の部分の形状は当然ステージ毎に異なるため、囲み方の方針も変わってくる。
  • また、本作では80%領域確保する事でステージクリア。90%以上確保する事で脱衣CGが表示される。作品によっては100%クリアでアニメーションもする。当然、正規流通のアーケードゲームである以上、パンツまで脱ぐことはない。
    • しかし、80%を超えるとその時点でクリアとなってしまうため、ちまちま領域を増やしていたのでは90%や100%を達成することはできない。言い換えれば、90%・100%を狙うには「80%未満から一気に」が必要になる。
    • また、ボスがいては当然その部分の領域が確保できないので、ボスをうまくシルエットのない部分に追い込まなければならない。
    • 当たり前と言えば当たり前だが、パーセントは厳密に判定される。ごく僅か、かすった程度でもシルエットが残っていれば、99%と判定され100%にはならない。
  • だが、特に後半、画面の大半を女の子が占めるステージにおいて真正面からそれをやるのは現実的ではない場合も多い。
    • ボスを画面端にハメてその隙に領域を確保すれば可能ではあるが、時間制限のある中広い画面の領域を確保しなければならない。
      • 作品によっては、この方法を取ると発狂して自陣を壊してしまうボスまで存在する。本来は自陣にいる間は無敵のはずだが、その自陣を壊されるため、巻き込まれたら1ミスである。ミスにはならなかったとしてもボスがシルエット部分に逃亡するため、かなり面倒。
    • そのため、90%及び100%を安定して達成するには、囲みを作った際にボスのいない側が領域になることを利用して、シルエットのない部分において、ボス自体を囲んでしまう必要がある。
      • 基本的には、シルエットのないところにボスを追いやり、後で少量の移動で一気に囲みやすいようさらにフィールドを分断していくのがセオリー。まぁ前述のとおり、作品によってはボスが発狂して台無しになる事も多いのだが。
  • 残り時間が一定以下になると、背景が脱衣していないCG(作品によっては化け物やマッチョマン)に変化する。女の子のままでも「ポーズが変わる=シルエットが変化する」為、領域が増えたり減ったりもする。そのままクリアしたら当然脱衣CGは表示されないが、アイテムを拾って残り時間を一定以上に増やすか、ミスしてタイマーがリセットされれば元に戻るので、脱衣を見たくてコンティニュー上等なら自殺するのも手である。

評価点

  • 効率の良い100%達成を巡る緊張感。
    • 同型の他ゲームにも同じ概念として99%~99.9%クリアがあるが、シルエット部分しか判定されない仕様から戦略は若干異なる。
    • ゲームの仕様上ちまちま陣地を伸ばすチキン戦法が通じなくなっており、どこかしらで思い切りが必要になる。
    • 手早くクリアするには、攻撃パターン以外にも移動パターンも読んできっちりとボスを制御しなければならない。
    • 熟練プレイヤーは、100%クリア前提でスコアや残秒数を競っていた。
  • その一方で、コンティニューすればその場でリスタートが可能。
    • そのため、作品にもよるが、出費はかさむもののそこまで実力がなくても100%自体は割となんとかなる。
  • 陣取りゲームである『QIX』とエロ要素との相性の良さ。
    • 脱衣ブロック崩しなどにも言えるが、「少しずつ取り去る」というゲーム内容はエロ要素とよく噛み合っている。
    • 単に脱衣要素のみを楽しみたいプレイヤーにも、徐々に領域を増やしシルエットを剥がしていくドキドキ感は受け入れられるだろう。
  • 演出が派手。
    • シューティングゲームのようなボスや敵弾の演出、自陣を増やした際などの爆発演出などはゲーム内容の地味さを緩和している。

問題点

  • 脱衣CGの出来は悪いものではないが、クオリティとしては凡庸。
    • まあ普通に見られるレベルではあるものの、時代的に若干遅れておりもう少し頑張って欲しいのも確か。尤も低予算で開発されたゲームらしいので仕方がないのかもしれないが。
  • QIX系にオリジナル要素を入れたこと
    • 本来なら評価点とされる部分だが、ルール違いを強調しなかったため、半端にルールを知っているプレイヤーが説明を読まずにプレイして、フィールド中央(=女の子のシルエット部分)を最後に残して失敗する光景が多数見られた。
    • ボスが発狂モードになると支配領域を粉砕してしまうのもプレイヤーによっては受け入れ難いだろう。
  • タイムオーバー間際のシルエット変更。
    • 女の子から怪物等に「絵が変わる」事自体はゲーム(タイムアタック)的要素ともいえるが、「シルエットまで変更」される事で、「今まで無視していた場所を囲む必要がある*2」最悪「敵を追い詰めた位置がシルエット部分になる」等で1ミス確定な状況に陥る事も少なくない。
      • 真サムライスピリッツ』の「シゲル(非公式ネタ*3)」みたいにシルエットが同じままで絵を変更する方式なら良かったのだが…。
    • ミスをするとタイマーがリセットされてシルエットが女の子に戻るため、シルエット変更後に悪あがきをした事により不利な状況を招く事も多々。

総評

根本的なゲームシステムは『QIX』の時点で既に完成しているため、本作はそのシステムを流用した「二番煎じ」に過ぎない。
だが敵ボスの攻撃バリエーションの多さや、背景の女の子を領域とした100%概念等、別物とまではいかないが発展要素も十分あり、単なるエロ版ではない。
「脱衣」要素がシステムにマッチした事で大きな魅力となり、本シリーズも脱衣ゲーとして比較的有名なシリーズとなった。


余談

同シリーズは数多く登場している。かつ出回りも良いので多くのゲームセンターで見かける事ができる。
それもひとえに作品バリエーションの多さと、わざわざ4方向レバーを用意せずとも8方向レバーのままで提供出来ると言うオペレーターの都合、何より単純なルールかつ慣れてしまえば100円で長時間遊べる、脱衣麻雀ではなくQIXをやりたかったんだと言い訳できると言う客側の都合が一致している事が要因だろう。

  • 後年の作品ではアニメーションも追加されたが、同じ脱衣ゲーの『スーパーリアル麻雀』などと比べると流石に出来が一回りは劣る。
    • 本シリーズがアニメを導入した時点と同年、『スーパーリアル麻雀』はシリーズ本編の最終作『7』が稼働しており、高いクオリティを発揮していた。
    • 流用も多く、後年の作品は同社の脱衣麻雀ゲーからの流用ばかりである。

本作の影響を受けたのかは不明だが、1996年に「3D版ギャルパニ」と渾名される『ダンシングアイ』がナムコからリリースされている。


シリーズ

  • ギャルズパニック
    • 1990年登場。女の子が当時実在のAV女優を元にした写実風で描かれている。シリーズ唯一の4方向レバー仕様。
      • 海外版では元になったAV女優の実写も表示される。
  • ギャルズパニックII
    • 1993年登場。女の子は実写・写実風の二種類がある。本作から8方向レバー対応になり、斜めラインが引けるようになった。さらに(本家QIXとは大きく異なり)最初の陣地がフィールド内部に設定されるようになった。
      • クイズアイテムを取るとクイズが出されるクイズバージョンと、クイズアイテムのない通常バージョンがある。
  • ギャルズパニック3
    • 1995年登場。画面スクロール採用。女の子は実写で露出は下着まで。
      • 海外版では全裸露出や春画風イラストもある。
  • ギャルズパニック4遊
    • 1996年登場。「ふぉーゆー(For You)」と読む。女の子はアニメ絵になり、脱衣要素は水着まで。ボスがフィールドを破壊する攻撃も行うようになっている。
  • ギャルズパニックSS
    • 1996年登場。セガサターン・プレイステーションで発売されている。脱衣要素は水着まで。
  • ギャルズパニックS
    • 1997年登場。アニメ絵でバストまで脱衣。男キャラクター(マッチョマン)ステージも。大半のキャラクターが脱衣麻雀『ジャンジャンパラダイス』からの流用。
  • ギャルズパニックS2
    • 1999年登場。アニメ絵でバストまで脱衣。脱衣麻雀『VS麻雀 乙女繚乱』からのキャラクター流用が多い。
      • 後にS2から脱衣要素を無くして子供向けのキャラクターに替えた、マイナーチェンジ版「パニックストリート」も登場した。
  • ギャルズパニックS3
    • 2002年登場。カネコの業績不振の真っ只中で発売された。殆ど前作S2からの流用だが、領域によるアニメーションが無い。不完全な状態で出荷されたのかバグが非常に多く、まずアーケードでは置かれない。常時画面にノイズが走ったような映像が見られるが、これも元からのバグ等の所業であり、特別その基板やモニタが故障しているわけではない。

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最終更新:2023年04月01日 01:25

*1 実は過去に1987年にタイトーからACでリリースされた『スーパークイックス』の開発をカネコが手掛けていることからこれが2度目の「カネコ製QIX」になる。

*2 怪物によっては画面一杯の大きさを占める事も。

*3 「新キャラのシルエット公開」を受けて『ゲーメスト』編集部が(ふざけた)予想図を描いたもの。「シゲル」とはシルエットの正体だった「ズィーガー(SIEGER)」の(無理やりな)ローマ字読み。