SIMPLE1500シリーズ Vol.28 THE ダンジョンRPG

【しんぷるせんごひゃくしりーず ぼりゅーむにじゅうはち ざ だんじょんあーるぴーじー】

ジャンル ローグライクRPG
対応機種 プレイステーション
発売元 D3パブリッシャー
開発元 ミント(サウンド)
プロフェット
発売日 2000年4月27日
定価 1,500円(税別)
配信 ゲームアーカイブス:2010年4月14日/300円
判定 なし
ポイント 堅実かつ古典的な設計
時と共に変わる価値
SIMPLE1500シリーズ


概要

D3パブリッシャーによる廉価版ゲームシリーズ『SIMPLE1500シリーズ』の1作。
毎回構造が変わるダンジョンで、ランダムに出現する敵とターン毎に行動しあうローグライクRPG。所謂「不思議のダンジョン」タイプ。
ゲームを始めるたびにレベルもアイテムもリセットされる。
難易度・ボリュームの点で既存作品でもっとも近いのは、初代『トルネコの大冒険』の「もっと不思議のダンジョン」あたりか。

ストーリーは、邪悪な魔術師によって持ち去られた宝珠をダンジョンの中から奪い返すというもの。
だが、正直あって無いようなものである。


特徴

  • テレビゲーム機におけるローグライクRPGのバリエーションが増していくなか、本作はローグライクRPGの原点である『ローグ』に近い設計・雰囲気がみられる。
    • レベルアップ時は「レベル○にようこそ」と表示される。
    • 階層が進むに従って明かりのない暗闇の部屋が増えていき、暗闇の中ではランタンなどの明かりを付けないと視野が狭くなってしまう。
      • 暗闇の中では見難いだけで、命中が下がる、受けるダメージが増加するといったシステムデメリットは存在しない。そういう点ではPCゲーム「ラミィの大冒険」などに比べれば良心的である。
    • 途中で頻繁に拾える宝石によって得られるスコアによって、ハイスコアを競うようになっている(お店などのシステムはない)。
  • その他の要素
    • ゲーム開始時に「●●」と名前を入力すると、セーブデータ欄やハイスコアには「●●1世」と登録される。ダンジョンに潜って死亡(帰還)する度に2世、3世と代替わりしていくため、これがプレイ回数表示を兼ねているのである。
      • ゲームオーバーになると、「その志は子孫に受け継がれるであろう」とメッセージが出る。
    • 戦闘ダメージの類が一切表示されず、分かるのは自身の現在HPぐらいであるため、プレイヤーは自身のステータスや装備と相手モンスターの種類、そして過去の経験によって「あと攻撃何回分ぐらいで倒せるか」を考える必要がある。
    • 餓死の概念がなく、満腹度がなくなってもHPは減らない。ただし、満腹度が減ると露骨にHPの自然回復量が減る上たまに混乱するので、健康な状態を維持しておくに越したことはない。
      • 満腹度も具体的な数字が表示されず、「健康」「空腹」「飢餓」の3段階表示に頼る必要がある。
    • 秘薬や書物は、使用しても直接識別することはできないタイプの仕様になっており、「識別の書」を使わない限り識別されない。杖などと同様に、使ったり敵に投げたりしたときの反応で判別する方法を使う必要がある。
      • 秘薬や書物を使用してなくなった直後に、そのアイテムに名前を付けることができる。このあたりは親切。
    • 落ちているアイテムを拾うモンスターはローグライクRPGでは割といるが、本作ではどんなモンスターでもアイテムの上に乗ると拾われてしまう。逃げたりはしないものの、当然ながら倒して落とさせるまで入手できなくなる。
      • もちろん、それとは別にアイテムを盗んでくるモンスターもいる。
    • モンスターからのアイテムランダムドロップがほぼ全く存在しないため、基本的にダンジョンに落ちているアイテムのみでやりくりすることになる。
    • モンスターの自然発生(いわゆる「湧き」)が、浅層ではほとんど発生しない。
    • セーブデータ画面では、今まで装備・識別したことのあるアイテムや倒したことのあるモンスターの紹介が見られる「知識の書」(いわゆる図鑑)の項がある。アイテムを使用した際の回復量や、モンスターのHPなどの詳細データが表示されるわけではないのだが、一応ある程度は識別や戦闘の役に立つはず。
      • 空欄を埋めていってコレクション要素として楽しむ意味もある。
      • 「●●の系譜に伝えられたる先人の知識」と説明されており、死んでいった先代の祖先が残した知識という設定なのだろう。
    • 攻撃を空振りして罠を見つけると、一部の罠はアイテムとして拾うことができる。他の場所に設置して自分で踏むのに使ったり、敵に投擲して使ったりといったようにアイテムとして駆使できる。
      • なお、罠は方角が合っていなくても、隣接する場所で攻撃の空振りをすれば発見できる。
    • 秘薬はそのまま飲んだり敵に投げるほかに、他のアイテムに対して使うこともできる。これによって秘薬どうしの調合を行ったり、武器に一度だけ秘薬の効果を付与したり、パンにジャムを塗ってジャムパンに変えたりできる。

評価点

  • 安い。
  • 全体にキャラゲー化しがちであるローグライクRPGにおいて、ストイックで純粋ファンタジー的な雰囲気を保っている。
  • ダメージ表示を取っ払ったこともあって、ローグライクRPGで重要となるテンポはかなり良い。
    • ただし部屋ごとにある扉を開けるのが若干うっとうしいなど、人によっては気になるであろう部分もあるが。
  • 攻撃力の高い敵が多いため難易度はそこそこシビアで、ローグライク経験者にも緊張感のあるバランス。
  • 1層もぐる毎にセーブが出来るため、この手のRPGが苦手でもセーブとロードを繰り返せばクリアできる。
    • 中断機能を使ってクリアするとセーブデータに星印がつかないので、真面目にクリアする意義はある。

問題点

  • SIMPLEシリーズということもあって全体に小規模で、『不思議のダンジョンシリーズ』などの既存の有名作品に比べて演出性やボリューム面などで劣る部分が多い。
    • ゲーム規模から考えればアイテムやモンスターの種類はおおむね及第点レベルだが、何しろダンジョンが1つしかないのでそういう意味では幅はない。
    • 武器防具に特殊効果がなく、「命中率(回避率)」「攻撃力(防御力)」しか差異がない。
    • アイテムを持ち帰る倉庫システムや、武器防具の合成システムなども無い。
  • 足元のアイテムを拾うコマンドや体力回復のための足踏みコマンドがなく、意図的に不便に作っている点を除いてもユーザビリティに不備がある。
    • 深層で敵に拾われたアイテムを落とさせたらミミックになっていた、などの理不尽さが残る場面も。
  • いわゆるモンスターハウスの部屋に入っても、BGMが変化しない。
  • 道中の難易度に比べてボスモンスターは非常に弱い。よほど逃げまくらなければ、ほとんど消化試合のレベル。

総評

低価格路線のSIMPLEシリーズらしく、あっさりさっぱりとした作りであり、全体的な安っぽさは否めない。ある程度の独自システムはあれど、劣化不思議のダンジョンと言っても差し支えない。ゲームとしての評価は必然的に「廉価版」「二番煎じ」「安かろう悪かろう」という、あまり良くない印象のものである。中古市場や現行機種などから不思議のダンジョンシリーズを比較的安価に入手する方法がある以上、正直プレイする価値は無いと言っていい。

が、PSN配信で少々事情が変わった。SIMPLEシリーズはアーカイブスでの販売価格が300円と他のソフトよりも少し安く設定されている。プレイステーションネットワークチケットを1,000円単位で購入する場合にはチャージ残高が微妙に残りやすいため、端数を消費するのにSIMPLEシリーズはうってつけである。
そのため、気軽に出来る・何処でも出来る・いつでも辞められる・更に安いという新たな利点を得た本作は、その遊びきり投げ捨てシステムも相まって、アーカイブスやDLCのためにチャージした端数で購入するおまけに最適な逸材になった。複雑なシステムもあまり無く、この手のジャンルのゲームの練習台、入門用としても向いている事から、単なる有象無象から、気軽に遊びやすいゲームへと存在価値が変化した稀有なゲームと言えるだろう。

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最終更新:2021年02月06日 01:11