源平討魔伝 巻ノ弐
【げんぺいとうまでん かんのに】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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PCエンジン
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メディア
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4MbitHuカード
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発売元
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ナムコ
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開発元
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ナウプロダクション
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発売日
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1992年4月7日
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定価
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6,800円
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2008年1月8日/600Wiiポイント
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判定
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なし
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ポイント
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ACからのPCEオリジナル続編 BIGモードのみになったステージ パターン化必至の高難易度
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源平討魔伝シリーズ 源平討魔伝 (FC版) / 巻ノ弐
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概要
1986年にてアーケードにリリースされ、非常に高い評価を受けたアクションゲーム『源平討魔伝』のPCエンジンオリジナルの続編作品。
AC原作である前作もPCE移植版がリリースされており、当時の家庭用ゲーム機としては驚異的な移植度の高さで好評を得ていた。本作はその約2年後にリリースされた。
いくつかのエリアに分かれた全7ステージ構成。裏技で三段階の難易度調整が可能。1面は地獄(魔界参道)、2面は九州(九焔山州)、3面は中国・四国(沙界四州)、4面は近畿(京獄)、5面は中部(麓仙州)、6面は関東(機関八州)、最終面は鎌倉(鎌倉腭)と、九州から鎌倉を目指すという流れは前作同様。
ストーリー
地獄から蘇った「平景清」の復讐により、一度は倒された「源頼朝」。
しかし頼朝は「魔界日本」と呼ばれる別世界で復活の時を狙っていた。
頼朝の復活を阻止するため、景清は「鎌倉あぎと」を目指す。
(VCページより引用)
主なシステム
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前作からの変更点について。
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基本システムは前作譲りだが、本作は前作でいうところのBIGモードのみの構造であり、横モードや平面モードは存在しない。
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よって、全体的に前作と比べると操作の小回りが利き難くなっており、閉塞感が非常に強くなっている節がある。
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同時に、横モードにおけるジャンプアクションの要素も取り入れられる様になり、障害物や地形をジャンプで乗り越えていかなくてはならない局面も存在する。
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ボスに鬼姫と木曽義仲が追加。
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その他の変更点に関して。
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攻撃力を示す剣の値が廃止され、ステージを進めても攻撃力が変化しなくなった。
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落とし穴が廃止されたことにより、前作でいうところの黄泉の国の存在もなくなった。但し、ダメージ穴は存在する。
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剣の値の廃止に伴って剣の値の減少を防止する草薙剣は削除され、曲玉や八咫鏡は防御用の消費アイテムとなった。
これによりラスボスを倒す為の前準備は必要なくなった。
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永久パターン防止の鳥は出てこないが、一定時間動かずにいると後ろから溶岩流が迫ってきて、当たるとダメージを受ける。
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操作系統。
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方向キーにて主人公である景清の移動操作など。ボタンは各自、攻撃ボタンとジャンプボタンに使用する。
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方向キー左右で前後移動。
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方向キー下でしゃがみ動作。
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ジャンプボタンでジャンプ動作を行う。ボタンの押す長さで微妙ではあるがジャンプ力が変化し、ジャンプの移動制御も可能。
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立ち状態(ニュートラル)状態で攻撃ボタンを押せば「中段斬り」。前後移動中やジャンプ中でも出せる。
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方向キー上を押しっぱなしにすると上段の構えを行い、その状態にて攻撃ボタンを押せば「上段斬り」。左右移動中やジャンプ中でも出せる。
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方向キー下でしゃがみながら下段の構えを行い、その状態にて攻撃ボタンを押せば「下段斬り」。
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ジャンプ中に方向キー下と攻撃ボタンを押すと、下方向に攻撃を行う「兜割り」。
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攻撃ボタンを押しっぱなしにすると中段の構えを行い、その状態で敵の攻撃に触れるとダメージを無効化する「防御」(但し、防御できない敵や攻撃も有る)。一度防御すると構えはリセットされてしまう。
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クリア条件について。
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前作同様に「先に進んで鳥居に触れれば次のエリアに進む」という流れとなる。
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ステージ最後のエリアにはボスが待ち構えており、ボスを倒して鳥居に触れればステージクリアとなる。
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エリアによっては鳥居が2つから3つ配置されている場合があり、どちらを触れるかによって若干のエリア分岐が発生する場合がある。
但し、前作の様にステージそのものが大幅に分岐する事はなく、ボスは必ずステージ固定である。
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一応前作同様「だじゃれの国」やお釈迦様が登場するボーナスステージは有る。
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アイテムについて。
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敵を倒したり、ボーナスキャラであるお釈迦様がバラ撒いたり、特定場所に放置されているなどの条件でアイテムが出現する。
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「防御系アイテム」に関しては、取得すると画面上部の表示にストックされる。別の種類の防御系アイテムを複数ストックする事も可能。
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「攻撃系アイテム」に関しては、上と同じく取得すると画面上部の表示にストックされる。別の種類の攻撃系アイテムを複数ストックする事は不可。
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アイテム紹介
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防御系アイテム
攻撃系アイテム
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「衝撃波」
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一定数、攻撃が剣圧を飛び道具として放つ遠距離攻撃「衝撃波」となる。一定回数繰り出すと効果が切れる。
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「真空斬」…
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剣圧の軌道をダメージ判定とする広範囲攻撃「真空斬」が発動する。一定回数繰り出すと効果が切れる。
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「回転斬」
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一定時間、ジャンプして回転しながら攻撃する「回転斬」が発動する。。
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「旋風剣」
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一定時間、剣を振り回しながら敵を薙ぎ倒していく「旋風剣」が発動する。前作同様、アイテム取得と同時に発動し、発動中は敵の攻撃を受け付けない。
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「火炎斬」
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一定時間、火炎を纏った剣を振り回す「火炎斬」が発動する。旋風剣同様自動攻撃かつ敵の攻撃を受け付けない。
その他アイテム
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「米俵」
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持っている銭10と引き換えに命がロウソク1本分回復。銭10を持っていないとこのアイテム自体が取れない。
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「花」…前作同様「愛」の文字が表示される。前作では特に意味のないギミックだったが、本作ではそれに合わせて徳が増えるようになった。
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ミス条件について。
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前作同様のライフ制に加え、残機制の概念も加わっている。
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ライフは蝋燭の長さと本数で表示され、初期数は5からのスタート。蝋燭が全部尽きるとミスとなり、残機を1消費してそのエリアの最初からのやり直しとなる。
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ステージクリア後、蝋燭が4未満であれば、次のエリアは蝋燭が4本かつ最長の状態からのスタートとなり、4以上あればステージクリア時の値(長さは最長の状態へリセット)で始まる。
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蝋燭アイテムを取得すると、蝋燭の最大値を10まで増やす事ができる。
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残機数は徳を稼ぐことで増加する(他のゲームでいうところのスコアエクステンドに該当)。前作は「徳」(得点)を稼いでも意味は無かったが、今作では一応得点を稼ぐ意味はある。
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残機数をすべて失うとコンティニューが可能だが、ステージの最初のエリアに戻されてしまう。
評価点
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前作の雰囲気を引き継いでいる。
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PCEオリジナル続編とはいえ、前作にあった怪しい和風テイストな雰囲気は一切損なわれていない。
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こういうACからの家庭用続編は外観を変えすぎて別物化する傾向が強かったりするものだが、本作はばっちり前作の遺伝子を受け継いでいる。
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グラフィックは流石にPCE円熟期の作品だけあって非常に描き込まれており、前作とほぼ遜色のない美麗さを誇っている。
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前作にあった敵や地形などが再利用されている他、本作オリジナルのものも追加され、懐かしさと新しさが同居している。
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前作以上にボスの演出が強化されているのも見所の一つ。
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一例としては「源義経(ステージ3ボス)は牛若丸スタイルで姿を現した後にいつもの鎧武者姿で襲い掛かる」「鬼姫(ステージ4)は蛾が大量に集まって姿を形成してくる」「木曽義仲(ステージ5ボス)のHPが0になると切腹する」などが挙げられる。
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前作では第1形態しか存在しなかったラスボスは数段階の変身を見せる様になった。
前作ではイメージイラストやFC版前作でしか見られなかった最終形態が初めて採用され、耐久力や性能も格段に強化されている。
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BGMに関しても前作譲りの渋かっこいい和の雰囲気を持ち、そのクオリティは高い。
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また、ボイスの収録数もHuカードにしては多く、結構な割合で喋ってくれる。BGM、ボイス共に裏技でサウンドテストが可能。
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操作性の向上。
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事実上BIGモード一本でありながら、前作の操作性も兼ね備えている。
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下降中の岩からジャンプできる様になったりと、前作のBIGモードよりは操作性が快適となっている。
問題点
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ガッチガチなパターンゲーである。
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終始パターン化が求められるゲームバランスとなっており、行き当たりばったりなプレイは序盤から死ぬ事を意味する。
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ダメージ後の無敵時間が皆無で、敵などにめり込むと致命傷を受ける恐れが非常に高く、まずこの辺が初心者キラーとして立ちはだかる壁となる。
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回復アイテムの配置も控えめで、ダメージによっては詰みに近い状況に陥りやすい。
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前作でいうところの横モードに比べ、操作の小回りが利きにくいBIGモード一本となってしまった影響で、前作の様に地形を飛びながら敵も避けて先に進むような攻略法が通用しにくくなった。
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敵の強さもいやらしく、こちらの攻撃を躱したり防御したりする為に闇雲に剣を振っていたら隙を衝かれる。雑魚敵相手すらもパターンを作ることが大事になっている。また、鬼の手裏剣や狛犬の吐く弾が、背景の色と重なって見えにくいことがあり、この場合非常にかわしづらくなる。
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前作は入る鳥居によってルートが変わり計画的な難易度調整が可能だったが、本作は(気持ち程度のエリア分岐はするものの)原則一本道で難関を避ける様な攻略すらもできなくなってしまった。
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前作のラスボスは「ただ斬られるだけの硬い雑魚」とまでいわれる位の弱ボスだったが、今回は文字通りラスボス相当の凶悪な強さで景清に襲い掛かる。
本来ならばこれは本作の方が正しい調整なのだろうが、ラスボスまでの過程の鬼畜さを考えると「そこまで強化しなくても…」と思えてしまう。
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残機制が追加されたとはいえ、ミスすればそのエリアからのやり直しであり、ごり押しクリアなんて甘い事はできない。
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しかもコンティニューするとそのステージの始めに戻されるというスパルタっぷり。パターンを確立できないと確実に足止めを食らうのは必至であろう。
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プレイヤーの多くは「前作はライフ制オンリーだったものの本作よりかはクリアが楽だった」と漏らす程であり、前作よりもプレイのハードルが上がってしまった感は否めない。
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とはいえ、パターンさえ確実に覚えていればそんなに酷い難易度でもなく、十分ノーミスクリアは可能なバランス調整となっているので、根気と記憶を持ち合わせていれば何とかなるはずである。
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慣れてしまうとヌルゲー化し、ノーミスクリアも十分可能である。
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ハードスペック故のボリューム縮小感。
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やはり容量的にあまり多くのデータが入れられないHuカードのソフトであるが故に、前作よりも若干ボリュームが下がっている。
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また、別エリア、及びステージにおける敵の使い回しも若干目立つ(これは前作にも言えた事であるが)他、キャラクターのサイズもAC版と比べるとやや小さくなっている。
総評
きちんと前作の名残を取り入れ、ゲームそのものも丁寧に作られてはいるが、難易度が前作よりも大幅に上がりハードルの高い続編となってしまった。
余談
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スタッフクレジットでは前作の移植を担当したスタッフが名を連ねているが、AC版のオリジナルスタッフが監修などの形で関わっていたかどうかは不明である。
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リリース当時はソフトの在庫が多すぎたかどうかは定かではないが「ワゴンの常連ソフト」になってしまい、遊ばれることもなくクソゲーのレッテルを貼られやすかった模様。
最終更新:2024年02月21日 23:58