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*真SAMURAI SPIRITS 覇王丸地獄変 【しんさむらいすぴりっつ はおうまるじごくへん】 |ジャンル|対戦格闘アクション|&amazon(B003XAPS4W,image=http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/surugaya-a-too/cabinet/0092/163000090m.jpg?_ex=600x600&s=2&r=1)| |対応機種|アーケード(MVS)|~| |販売・開発元|SNK|~| |稼動開始日|1994年10月28日|~| |発売日|【NG】1994年12月2日&br()【NGCD】1994年12月15日|~| |プレイ人数|1~2人(同時プレイ)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2008年7月23日/926ポイント&br;アーケードアーカイブス&br;【PS4/One】2017年9月21日/823円&br;【Switch】2018年2月1日/823円(税8%込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|より万人向けに進化したサムスピ第2弾&br()大技「武器破壊技」等の新要素が多数追加&br()あまり役に立たないシステムも追加&br()対戦ツールとしての評価は前作には及ばず|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- #center(){{{ &font(b,120%){今は昔のものがたり}~ &font(b,120%){我が道 極めんとする男あり}~ &font(b,120%){血生臭い 生きざまに}~ &font(b,120%){凶事まとうは 偶然ではなかった}~ }}} ---- **概要 彗星の如くゲーセンに登場し、瞬く間に絶大な人気を獲得した異色の剣劇格闘ゲーム『[[サムライスピリッツ]]』(以下「前作」)の続編。通称「真サム」。~ 前作から1年余りでの新作となったが、グラフィックの全面的な描き直し、新キャラの追加に加え、新システムも多数盛り込まれており、非常に力の入った一作になっている。~ この作品でサムスピ人気は最高潮に達し、前作を超える大ヒットを記録。『[[餓狼伝説スペシャル]]』や『[[龍虎の拳2]]』などとともにSNK・ネオジオの黄金時代を築いた。~ 一方で蛇足感が強い新要素や対戦バランスの悪化により、対戦格闘としての完成度自体は前作にやや劣ると評されることが多い。 **ストーリー >暗黒神アンブロジァを復活させんと、世界に災厄を引き起こした天草四郎時貞は1人の剣士に滅ぼされ、その存在は史実に記されることはなかった。~ 復活した天草に深く関わった人間の1人、覇王丸はある晩、突然の闇討ちをうける。たやすく首を取られる覇王丸ではなく、逆にその男を捕らえたのだが…。~ 男はあきらかに何者かに、それも暗黒の力に操られていた。~ そして、覇王丸に向かってこう言った。「貴様の魂はいずれ奪ってやる…。あんぶろじぁ…復活。」~ 魔性の者が自分の命を狙っている。天草と同じ暗黒の影を感じとった覇王丸は、剣技の師を訪れた。覇王丸の話を聞いて師はいつになく険しい表情で覇王丸を見据えた。~ 「あやつには近付くでない。お前はたしかに強ぅなった。しかし、手をだすでないぞ。よいな。」~ たしかに師は何かを知っている様子であったが、何も語らなかったし、覇王丸も聞こうとはしなかった。~ その夜、久しぶりに師と酒を酌み交わした覇王丸は夜明けを待たずして旅にでた。口元に不敵な笑みを浮かべて。 ---- **特徴・システム -キャラは前作の12人からタムタムが削除され、新キャラ4人が追加されて15人となった。詳しくは[[こちら>http://samuraianiv.snkplaymore.co.jp/title/samurai-spirits2/index.php]]を参照。 -ボタン配置は前作と同じく弱斬り・中斬り・弱蹴り・中蹴りの4ボタン。弱中同時押しで強斬り・強蹴りが出る「擬似6ボタン制」が採用されている。 -システムも基本的に前作を踏襲しているが、以下の追加が行われた。 --''武器破壊技'' ---本作の目玉要素。前作には無かった超必殺技に相当する大技。怒りゲージがMAXの時のみ使用可能で、基本的には怒り時間内なら何度でも出せる((シャルロットのみ、ヒット・ガード問わず出すだけで怒りゲージが空になる。))。 ---文字通り、ヒットさせるとダメージとともに相手の武器を破壊する((武器がないと斬り攻撃が素手攻撃になって弱体化、多くの必殺技が使用不可、相手の武器攻撃をガードすると体力が削られる。))。なお、ヒット時点で怒りゲージは空になる。~ 壊れた武器は一定時間が経過すると黒子が修復して画面内に投げ入れてくれ、落ちた武器の近くでボタンを押すと拾うことができる。 --特殊動作 ---''上段避け'':レバーを素早く真下に2回入れると出る「伏せ」の動作。 ---''下段避け'':BC同時押し、もしくは相手の下段攻撃にタイミング良く下段ガードを合わせると出る小ジャンプ動作。 ---''前転'':レバーを素早く前斜め下に2回入れると出る回避動作。ダッシュ(踏み込み)中に出すことも可能。 ---''後転'':レバーを素早く後斜め下に2回入れると出る回避動作。 ---''退き込みダッシュ'':レバーを素早く←←→と入力すると、一瞬バックステップ(退き込み)すると見せかけて前方にダッシュ(踏み込み)するフェイント動作が出る。 ---''挑発'':相手と間合が離れた状態でAC同時押し、またはBD同時押しで挑発アクションを行う(各キャラ2種類ずつ存在)。~  『[[龍虎の拳]]』のような特別な効果は無く、純粋な演出。 --''受け返し'' ---地上で相手が出した斬り攻撃が当たる直前にガードを入力すると画面全体が一瞬光って攻撃を弾き返し、約1秒間相手を行動不能状態にさせる。 --''技あり'' ---いわゆるカウンターヒットシステム。~ 相手が技を出している最中にこちらの攻撃をヒットさせると、ダメージがアップする(アップ率は技によって異なる)。~ 中にはカウンターで食らうほうが通常時よりもダメージが少なくなるという特殊な技もあり王虎やアースクエイクなどパワー系のキャラの攻撃に多い。 --隠し技 ---''秘奥義'':覇王丸、ナコルル、ガルフォード、服部半蔵の4キャラのみが使用できる隠し大技。~  いつでも何度でも出すことができるが(覇王丸以外は武器無しでも出せる)、いずれの技もコマンドが非常に複雑。 ---''ぬいぐるみ'':発動すると自キャラが2頭身のぬいぐるみに変身する。コマンドはキャラごとに異なるが、こちらもかなり複雑。~  当時プライズ商品として展開していた本作キャラのぬいぐるみとのタイアップ企画である。 #region(その他、前作からの変更点など) -怒りゲージがMAXになるとキャラが怒りポーズを取るようになった。このポーズ中は完全無敵で、ダッシュや投げ、必殺技などでキャンセル可能。 --ゲージが溜まったあと、自動的にすぐ出るわけではなく、レバーをニュートラルに戻した時点で初めて怒りポーズが出る。 ---これを利用して任意のタイミングで怒りポーズを取ることにより攻撃をスカし、ダッシュなどから反撃に転じる小技もある。 -「必殺技モーション中の相手」「自分または相手の起き上がり」に投げ技を決めることが可能になった。また、ダッシュからの投げもレバーを前に入れっぱなしでOKになり、かなり出しやすくなっている。 -鍔迫り合いは多少ボタン連打数が勝敗に影響するようになり、左右の位置関係が入れ替わるなど決着のパターンも増えた。 --一方で、不評だった「ラウンド開始直後にランダムで発生する鍔迫り合い」は削除された。 -前作では気絶状態から一部の技や連続技を喰らって再び気絶してしまう現象が存在したが、本作では「気絶から気絶」は発生しなくなった。 -素手状態で出せる「真剣白刃取り」が、「41236」とレバー入力のみのコマンドで狙って出せるようになった。 -相手に投げられなかったアースクェイクは「対アースクェイク(兼黒子)用投げ技」で投げられるようになった。しかもたいていの通常投げと比較しても、威力が若干高い。半蔵、ガルフォードのコマンド投げも普通に喰らうように。 --…と思いきや、後述するバグでしゃがみ状態だと殆どのキャラに投げられなくなるという前作を思い起こす事態が発生してしまった。 -飛脚はお金(得点アイテム)を投げなくなった。 --また、試合状況によりアイテム内容が判断される要素が追加された。例として「画面端で待ち戦法を行っている」とかなりの確率で飛脚が出現し、待っている側に爆弾を二つ落とすことが多い(と同時に相手キャラに肉を落とすことも多い)。 --1/128の確率で飛脚の代わりに『餓狼伝説』シリーズのキャラ、キム・カッファンが鳳凰脚のポーズで通り過ぎる(アイテムは落とさない)。 -ラウンド終了時にレバーを上下左右いずれかに入れておくと、勝利ポーズを選ぶことができるように。 -ボーナスステージの「演舞」が廃止された。また勝利時の得点は命中率+残体力のみが加算されるようになった。 -今作より柳生十兵衛の声優が小林清志氏に変更となった。氏はOPのナレーションなども担当し、その後のシリーズやCMでのナレーションも含め、『サムライスピリッツ』のナレーションといえば小林氏と言えるほどの印象を残した。 -細かい所だと「ダッシュ中は常時ガードを受け付けるようになった」ため、初代は「歩くゲーム」、真は「走るゲーム」とトッププレイヤーが解説している。 #endregion #region(本作のラウンドボーナス及び命中率の計算式について) -ラウンドボーナスは前作では勝利ラウンドごとに加算されていたが、本作では2本取って勝利した時のみに加算されるようになった。 --命中率の計算式は''「(出した技の数÷命中した技の数)×100」''であり、負けラウンドも命中率の勘定に入っている。前作では通常投げは命中率の勘定に入らなかったが((CPUの天草戦など、投げだけで勝った場合命中率は0%と見做されていた。))、本作では通常投げも命中率の勘定に入るようになった。 --例外は半蔵・ガルフォードのコマンド投げや分身技で、これらは出しただけで命中率が下がってしまう。これらの技は「出した技=1、命中した技=0」と計算されてしまうためである((そのため、CPU戦の必勝パターンである「分身→コマンド投げ」だけで勝った場合、命中率は0%になってしまう。))。 --ズィーガーの「ファイヤー・ストゥーム」等BC同時押しで出す技を連発して勝利すると、実際に命中させていないのにやけに命中率が高くなっている現象があるが、実はこれには理由がある。 ---BC(またはAC、BD、AD、ABCDなど)同時押しで必殺技を出すと、なぜか命中した時は「出した技=0、命中した技=1」と計算されるためである。空振りしたりガードされた場合は「出した技=0、命中した技=0」と計算されるため、命中率は下がらない。 ---なので、必殺技をこの同時押しを使って出せば(例:強弧月斬は「6123+ABCD」((弱はAC、中はBD、強はABCDで出せる。)))、同時押し必殺技を当てた回数分は通常技を空振りしても命中率は100%と計算されるのである。 ---前述のコマンド投げや分身も、この同時押しを使えば「出した技=0、命中した技=0」となるため、ラウンドのどこかで1回でも技を命中させておけば「分身→コマンド投げ」のパターンでも命中率100%で勝利することが可能。スコアラー向けのテクニックといえる。 #endregion ---- **評価点 -遊び心とこだわりの詰まった演出 --格闘ゲームの「華」とも言える超必殺技に当たる「武器破壊技」の追加をはじめ、あっと驚くような隠し技や隠しキャラ、他作品からのカメオ出演など、大胆かつ遊び心のある演出が至るところに仕込まれており、プレイヤーを楽しませようとする製作チームの心意気がよく現れている。 ---特に、CPU戦にて特定の条件を満たすと、いつも審判として背景をうろうろしている''黒子が乱入してきて勝負を挑んでくる''(しかも技がSNK作品のパロディだらけな上に''恐ろしく強い'')という粋な仕掛けは語り草となっている。~ また、あまり知られていないが、通常の対戦中に1/128の確率で''黒子が爆発する''。 ---作中の時代劇感を盛り上げるステージ演出、細部までこだわった勝利演出など、前作譲りの芸の細かさにも磨きがかかっている。 --グラフィックも全面的に刷新されており、前作の作風はそのままに、より生き生きとしたキャラの動きが表現されている(特に衣装が変わったナコルル、武器が青竜刀から石柱に変わった王虎などは一見して前作との違いが分かる)。~ 新キャラ4名はもちろん、既存のキャラも単に描き直されただけではなく、新しい必殺技や新しい動作も多数追加されている。 ---ただでさえサムスピは武器を持っている状態と素手の状態とで動きが異なるため、必要なドット絵の枚数が多く手間がかかるのだが、決して長くなかった製作期間の中でこれだけのものを仕上げたのは賞賛に値する。まさに職人魂。 --総じて、演出面に関しては発売前に高まりに高まった期待を裏切らない出来であった。 -インパクト抜群の新キャラ勢 --特に人気が出たのが牙神幻十郎で、キャラ選択から各種動作まで''「どりあーッ!」「ずりゃあーッ!」「でゃりゃあーッ!」''ととにかく叫びまくる名ヒールだった事もあり爆発的な知名度を誇った。~ 前作で爆発したナコルル人気もさらなる絶頂に達しており((本作のナコルルのエンディングはファンを涙させ、続編である『斬紅郎無双剣』以降のほとんどの作品における時間軸は本作以前の時系列になるほどに影響を与えた。))、さらに主人公・覇王丸の存在感も大とあって、サムスピのキャラ人気はもはや留まるところを知らぬ勢いであった。 ---幻十郎の他にもゲーメストにて''発売前の段階で''伝説的なネタを作った「シゲル」ことズィーガー、スタッフが未来に生きていたとしか思えない世界観ぶち壊しキャラ・チャムチャム、女性キャラでありながら威厳と貫禄たっぷりのラスボス・羅将神ミヅキと、現在まで語り継がれる個性的な新キャラが揃っており、ゲームセンターを賑わせた。~ %%唯一ニコチン爺さんは名前のインパクトの割に地味だったが…%%。 #region(新キャラについての余談) -牙神 幻十郎 --覇王丸と同門であり古華院の花諷院和狆に師事していた侍。和狆に破門された後は殺し屋をやりつつ覇王丸の命を狙う。 --彼の特徴は何と言っても異様なまでに''叫ぶ''。キャラ選択で選べば''「どりあーッ!」''バックステップをしたら''「どりあーッ!」''と叫び、小足でも''「どりあーッ!」''とやたらと叫ぶ。それ抜きにしても「ひとつ! ふたつ! みっつ! 猪鹿蝶!」「身の程知らずが!!」「阿呆が!」「それだけか!」「もう殺ス!!」「一つ! 二つ! 三つ! 四つ! 五つ! 五光!!」「散れィ!」「ぅやるなぁ」「貴様などに屈するとはァ~!!」と異様なまでに良くしゃべる。その反省か後の作品(『[[SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS]]』を除いて)では少し喋る量が減っている。 --また彼の[[プロフィール>http://samuraianiv.snkplaymore.co.jp/character/genjuro/index.php]]には特技として「''男女問わずの''千人切り」と言うものがあるが、態々「男女問わずの」と書いているのは「下半身的な意味で」と言う事である((後の『Days of Memories ~大江戸恋愛絵巻~』のエンディングの一つには「主人公(男)が幻十郎に掘られる」と言うものがある。))。もっとも時代劇のダークヒーローとしては十分ありえる設定なので((所謂「稚児趣味(男色)」は「戦場に女は連れて行かない」と言う考えにより戦国時代の(上級)武士のたしなみだった。))、問題なく人気キャラとなった。 --更に公式設定も「平和だと思う時」の問の答えが「ご禁制の薬を飲んでいる時」(今で言う麻薬・覚醒剤の類)、刀の名前が梅鶯毒(ばいおうどく=性病)など、仮に子供に聞かれたら答えるのに苦しむネタばかりなのもダーティーさに拍車を掛けている。 --なおこの梅鶯毒には「気に入らない相手をすぐに叩っ斬れるよう抜き身のまま持ち歩いており、鞘(さや)がない」という闇の深すぎる設定も存在する。&s(){まず自分が怪我しそう。} -ナインハルト・ズィーガー --「千の破壊者(タオゼント・シュトゥルムウイント)」の二つ名を持つプロシア帝国の騎士。「紅き獅子聖騎士団」の団長。王の命をうけ、ヨーロッパを襲った異変の調査に向かう。 --騎士道精神に溢れた高潔な武人なのだが、本人は''上半身裸の屈強なハゲ''、得物は''火を噴く巨大手甲''という男汁迸るデザインでカルト的な人気を博した。幻十郎と並んでよく叫ぶキャラ((担当声優は幻十郎も務めたコング桑田氏。))であり、「''ヴァー!''」という雄叫びも人気となった。負けボイスが「うぅ''ラァァブリィィー!''」と聞こえる等、空耳ネタも豊富である((実際は「信じられない」という意味のドイツ語「unglaublich」(ウングラウプリヒ)。英語のunbelievableに相当。更に酷い空耳ネタもあるが、完全に下ネタのそれなのでそちらは割愛する。))。 --戦いに身を置きながらも義と愛を重んじる人物であり、通常の勝ち台詞は「帰りたまえ。君にも祖国はあるだろう?」という%%どこかのアメリカ軍人のような%%穏やかなもの。が、本作では勝ち台詞のパターンが各人3つ(通常、同キャラ、特定の技で倒した場合の殺害勝利)しかなく、ズィーガーは殺害勝利の条件を満たすことが難しいため((通常技が打撃系かつ、必殺技の大半が燃焼系で殺害扱いにはならないため。殺害勝利の条件を満たすには、「ヴルカーン・ドリュッケン」で止めを刺した際に相手が燃焼しなかった場合と、「ファイヤー・ストゥーム」で一部の飛び道具を跳ね返して止めを刺した場合の2つのみである。これは王虎や和狆も同様。))、敵地へ乗り込んで勝った場合でもだいたいこの台詞を吐く。 --敵の足を刈るスライディング「ティーガー・コップ」、打ち上げアッパー「ファルケ・ナーゲル」、空中の相手に飛び付いて極めるバックブリーカー「エレファント・グリード」((ネオジオ版の説明書では「エレファント・グリート」となっている。))と繋ぐシリーズ初のコンボ必殺技を持つ。グリードまで決まれば大ダメージを与えられるが、コップとナーゲルはガードされると死ねる技、グリードは外すと死ねる技、ついでに言えばコップは''立ちガードされるスライディング''であり、使用者の男臭さとラブリーさが詰まったコンボとなっている。 --本作が稼働する前のゲーメストで行われたシルエットでのキャラ予想企画で、編集者が予想したキャラが「''魚を背負ったオッサン''」という斜め上の路線のものだった((実は「当初は予想企画で描いた絵が今のズィーガーとかなり似ていた」と言う理由から、シゲルに差し替えられたと…本作発売から暫く後に誌内で裏話として語られている。))。このキャラはズィーガーのスペル(Sieger)を無理矢理あてがった読み方である「''シゲル''」と名付けられ、彼と珍サムライスピリッツと書かれた''偽造''テレカを読者プレゼントと言う企画を立てられる等ネタにされた。これらに関しての情報をまとめたサイトが[[こちら>http://bohyou.vis.ne.jp/neogeo/samurai/uo.htm]]。 ---またこの企画からゲーメストや後継紙アルカディアでは格ゲーのシルエット企画が来たら斜め上のキャラを予想すると言う事がある種のお約束となった。 -チャムチャム --タムタムの妹。こっそり持ち出したタンジルストーンを盗まれ、それを取り戻すために相棒の猿パクパクと共にこっそり旅に出る。 --ネコ耳尻尾(ちなみにアクセサリーである)でブーメラン使いでボクっ娘と、いわゆる「萌え」系統であり時代を先取りしすぎた。当時は人気が無かったが現在は一定の評価を得ている。 ---人気が無かった理由の一つに、前作でマニアックな人気を誇ったタムタムが彼女のおかげで唯一リストラされてしまったことがある。 #region(と見せかけて…(ネタバレ)) 実は本作のパクパクはタムタムが変身したものであることがエンディングで判明する。~ 一部の必殺技が前作での彼のものに似ているのもそのせい…!? #endregion ---また、前作が当時のプレイヤーには非常に硬派なゲームと認識されており、彼女の存在は場違い感が強かったことも人気が出なかった理由の一つ。雑誌「ゲームラボ」では、''「ネコミミは好きだがサムスピに出してくれなんて頼んでない」''と書かれてしまった。 ---しかし彼女は後年に対戦型ゲームブック『クイーンズゲイト』に参戦し、そのコンピューター版である『[[クイーンズゲイト スパイラルカオス]]』にも登場を果たしている…もっとも、これは「チャムチャム好き」を公言してはばからないイラストレイター・BLADE氏((個人画集を出す際、(チャムチャム画集と言うわけでもないのに)チャムチャムの絵が多すぎてSNKの許諾が必要になったほどだとか。))の働きかけによるもので、クイーンズゲイト版チャムチャムもBLADE画である。 ---2007年には彼女を主役にしたパチスロ機「サムライスピリッツ外伝 チャムチャム」が出ている。 --彼女は[[当時売れっ子だった女優・千葉麗子氏>恐竜戦隊ジュウレンジャー]]を声優に起用している。ちなみにお供の猿のパクパクの声優は''彼女のマネージャーである。''((余談の余談だが『龍虎の拳外伝』に登場する不破刃のCVを務めたJAI氏も「(当時の)生駒治美氏のマネージャー」という変わり種である。)) ---千葉氏はチャムチャム以外にもアニメ『サムライスピリッツ~破天降魔の章~』のナコルルや『[[THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD]]』で葉花萌の声優を務めたのだが…。演技についてはボイスを聞いてもらった上で、各自の判断にお任せする。 -花諷院 和狆 --覇王丸や牙神幻十郎のお師匠であり、枯華院の坊主。かつては名うての退魔師として活躍していたが、羅将神ミヅキに敗れたことで一線から退く。 --見た目こそ普通だが読み方は「かふういん にこちん」と読み更に深読みすると「カフェイン ニコチン」という薬物スレスレの名前で枯華院は「コカイン」と読み完全に麻薬を元ネタにしている。 ---元々は製作総指揮者がタバコの箱を弄っていた所で名前の「にこちん」を閃いた所から繋がるように寺の名前や名字も決まったという話が残っている。 ---また、名前が決定するのが遅かったためか、開発中の画面では「JIJI(ジジイ)」などと表記されていた。 --因みに海外版の彼の公式英字表記は「''Nicotine Caffeine''」と言い逃れ出来ない直球ど真ん中で上に書いた深読みのそれになっている。 -羅将神ミヅキ --破壊神「アンブロジア」に心酔し、復活させるために暗躍する本作のラスボス。玉串を携えた巫女の姿をしているが、それは自身を祓いにきた退魔師「美州姫」(みずき)の肉体を乗っ取ったもので、実態は、幾度も肉体を乗り換えながら千年近くを生きている魔人。 ---現代の職業に例えると敏腕秘書らしい。 ---ちなみにこの美州姫は、シャルロット以上のグラマラスボディの持ち主で美人だったりする((とあるキャラクターのエンディングでその姿を見る事が出来る。))。 --華奢ながら強烈な威圧を醸し出す容姿、多重録音による禍々しいボイスなど、ラスボスたる貫禄は充分。 ---体格そのものは華奢で顔も小さいのだが、体を正面に開いた立ち姿、袖や袴の膨らんだ巫女装束のデザインによって、画面上のサイズはズィーガー並に大きい。また、装束で分かりづらいが、他キャラよりかなり四肢、特に腕が長い((シリーズ続編では、腕、指、爪の各パーツがより長く強調されることとなった。))。 --ガルフォード、ナコルルに次ぐ供連れキャラでもあり、犬のような魔獣を連れている。魔獣にはミズキの「祟れッ!」の一声で正体を現し攻撃するという演出がある((余談だが、本作のミヅキには「我神共鳴魂」(魔獣の体当たり)しかガード中の相手の体力を削れる技が無い。))。 --アンブロジア復活を悲願とする忠実な僕であり、今でもサムスピシリーズの黒幕扱いとなっている。 ---彼女の生い立ちは''生まれから今まで、救いようがないくらいどん底。''まるでこの時代の悪意全てを受けたような凄まじいものである。 -黒子 --前作から審判や死体運び等で登場していたが、前述の通り特定条件を満たすか''ランダム''で隠しキャラクターとして乱入してくる。名前には何故かモザイクがかかっており、アナウンスも「おや?」としか呼ばれない。 --ニュートラルポーズが『餓狼伝説』のタン・フー・ルー、挑発が不知火舞と『龍虎の拳』のリョウ・サカザキ、使用する技もタンの「烈千脚」「撃放」に加え、「虎煌拳」「覇王翔吼拳」「メガスマッシュ」「ブリッツボール」といった飛び道具を撃ってくるなど、SNK作品のパロディ技を駆使してくる。 ---武器破壊技は「龍虎乱舞」及び「鳳凰脚」のパロディ技の「黒子乱舞」で、さらにもう1つ「黒子大乱舞」も存在し、こちらは技の途中に疲れて休憩してしまう演出が盛り込まれている(結局乱舞は決められるが)。 --家庭用では隠しコマンドで対戦のみ使用可能。 --和狆とは旧知の仲で、かつて共にミヅキと戦っていた。%%でもあれだけ強いのになんで負けたんだよ%% #endregion -遊びやすさの向上 --キャラ個々人の個性が非常に強く、良く言えばやり込み甲斐があるものの、悪く言えばややアクが強くマニアックな向きのあった前作。~ しかし本作では全体的に強斬りの性能が良くなっており、ほぼどのキャラを使っても''「強斬り一発でバッサリ!」''というサムスピ特有の爽快感を手軽に味わえるようになっている。 --ゲームの特徴上、前作同様「待ち」が強い傾向にはあるのだが、本作ではダッシュ投げが決まりやすくなったり、回避や間合い調整の細かい動作が可能になったりと、攻める側にも強みが増えた。 ---このため前作のようなじりじりとした間合の測り合いになるような局面はやや起こりにくくなり、対戦の中で動きが出やすくなっている。~ もちろん、やや攻めに近づいたとは言え、サムスピ独特の熱い読み合いは健在。 --あえて初代サムスピを「ストイック」と言うならば、本作はより派手さ・とっつきやすさを増した「万人向け」と言える。 -SNK新世界楽曲雑技団によるBGM --前作で和風テイストを前面に押し出しつつ、環境音を多用することで高い評価を受けたBGMは、より聴きやすく正常進化。~ 和ロックの真骨頂たるガルフォードの「黒鮪」・黒子の「お調子六句」、直球の和風ナンバーである覇王丸の「男道」・狂死郎の「曲玉」、メロディが美しいナコルルの「自然の宴 春」、荘厳なクラシック調のシャルロットの「続 舶来女」・ミヅキの「邪神」、エンディングに相応しい愉快なナンバー「祭り極める」と、バラエティ豊かで粒揃いの楽曲がズラリ。 ---アレンジ版サウンドトラックの出来も文句無しであり、現在購入を考えるのであれば断然こちらがお勧め。~ また、フルオーケストラで豪華にアレンジされたシンフォニックサウンドトラックス版の「男道」も一聴の価値アリである。 ---- **問題点 -対戦バランスの悪化。特に''橘右京が強すぎる。'' --まず、新必殺技である「残像踏み込み斬り」の性能が異常に高い。これは「攻撃判定を持った残像を飛ばし、その後を本体が追いかける」という''残像の概念を根底から覆す''技で、以下のような特徴を持つ。 ---発生は早く威力は中~強斬り並。しかも残像は飛び道具を消す上、残像部分はやられ判定が無く攻撃判定だけを持つ。弱・中・強のいずれもヒットさせればダウンを奪う。 ---後隙の大きさは本体が残像に追いつくまでの時間で決まるため、近距離で出せばガードされて隙は皆無…どころか有利フレームを取ることが可能。 ---ダウン中の相手に対して近距離で弱の残像踏込み斬りを出すと相手の背後に回ることができ、これを利用すれば見えない表裏の択一攻撃をかけることができる。&br;後述のつばめ返しと小足からの連続技を混ぜれば表裏+上下の4択であり、さらにどの択でも当たればダウン、再び右京様の独擅場となる。 ---右京本体の機動力の低さを補う技でもあり、残像踏み込み斬りをメインに戦っていれば肉は勝手に回収できてるといった感じで肉の回収合戦と爆弾の回避も容易にしている。右京にボロボロにされているところに投下された肉を我慢できずにダッシュして残像踏み込み斬りを出合い頭に食らう… ---中は2回削ることが出来るためガード硬直時間が長く、遠距離から出しても反撃を受けることは殆どない。 --それを抜きにしても、通常技のリーチの長さ、最強の対空と言われる屈み中・強蹴りと逃げジャンプ強斬りを併せ持ち、ジャンプ直後に出すと見てからガードするのは不可能なレベルの中段と化す上、バックジャンプ&ダッシュから出しても強力な飛び道具として機能する「つばめ返し」や、その裏の下段択となる「小足 ⇒ 中斬り ⇒ 残像踏み込み斬り」の痛い連続技まで完備してしまっている。 --つばめ返しがゲーム中屈指の飛び道具連射性能を誇る。ガードされても着地時にガード方向にレバーを入れれば硬直を消す事ができるので昇りつばめ返し等で反撃が可能。カムイリムセ等飛び道具を跳ね返す技でも右京本体に跳ね返せない。 --つばめ返しは、強いと評されるCPUとの対戦でも非常に有効で画面端で時間切れまで露骨に連発しているだけで「つばめがえし!つばめが(略)時間切れ、橘右京お見事!」と勝ててしまう。時間切れ勝ちになりやすいのはつばめ自体の威力は低いためで、それが右京のプレイ時間の長さと右京との対戦を敬遠される悪い流れに繋がった。 ---難点はジャンプが若干遅いこと、気絶耐久値自体は並だがカウンター倍率が高めの上、気絶値回復が遅いのでピヨリやすいという事。~ 地味に前転キャンセルが素手時のみ&前転にガード不能タイミングがあるというハンデを持っていたりするが、大抵の対戦ではそこを突くまでに負ける。~ 挙句、右京は怒り時の攻撃力上昇率が全キャラ中一番で、爆発力まで高かったりする(怒り時間そのものは短め)。 --一応、チャムチャムに対しては不利と言われ、やり込みや知識により他のキャラでも勝てる可能性は残っている。それでも現在での最強候補には揺るぎないが。 -前作で猛威を振るったシャルロットは調整の結果、立ち蹴りや弱・中斬り、ジャンプ強斬りに前作ほどのキレがなくなっているのだが、代わって身に着けた飛び道具「トライスラッシュ」と立ち強斬りのすさまじい対空性能、相変わらず攻撃判定が強いままのジャンプ中斬り、しゃがみ強斬りの出の速さとリーチを兼ね備えたカウンター能力と、総合的には結局全然弱体化しておらず、前作のサルロット戦法も相変わらず可能。 --それでも上述した右京相手だと、バックジャンプつばめ返しを繰り返されるだけで苦しい((飛距離の兼ね合い上、飛び道具をジャンプしにくいため。))。また気絶しやすく、投げの威力が全キャラ中最弱で待ちを崩す手段が少ない、前後転に全身無敵がないので牽制抜けが難しいという弱点も持つ。 -新キャラでは、投げとしゃがみ中蹴り連打とスライディングのワンパターン戦法がウザ強いチャムチャムが目立つ。さらに投げやスライディングで転ばせた後は「パクパク・ガブル」でごっそり体力を削ることが出来る。 --反面、前述の技以外は使えない技ばかりというバランスの悪いキャラでもあるため、スライディングや投げが通用しない相手にはとことん弱いという特徴も持ち合わせている。 ---ズィーガーにはスライディングをガードされると「しゃがみ中蹴り ⇒ ティーガー・コップ+α」という強力な連続技で反撃され、削り技の「ヴルカーン・エクスプロイズン」に対しても有効な反撃手段がないため大きく不利がついてしまっている。 ---またアースクェイクに対しても地上ではリーチ負けしてる上しゃがまれると投げを決められず、飛び込みも落とされやすくこちらも不利である。 -他、トリッキーな動きと後述するバグでしゃがみ待ちが強い不知火幻庵、長いリーチと鉄壁の守りを持つ千両狂死郎が強いといわれる。 -逆に『サムスピ』のヒロインであるナコルルは超弱体化。 --すべての技の判定が弱体化・必殺技の隙は増加、ジャンプは遅い、連続技もリーチも無い、秘奥義を持っているが性能面では頼りにならない…と悲惨。また防御力も相変わらず低く、事故死も怖い。強みと言えば対空技のジャンプ強斬りぐらいしかない。 ---特に幻十郎が相手だと''「アンヌムツベ」(というよりも「ムツベ」と名のつく必殺技全て)を1回でもガードされたら死ぬ''((反撃でしゃがみ強斬り→遠立ち強斬りの連続技を食らって気絶、もう一回食らって昇天。))。 ---雑誌『ゲーメスト』でも本誌・増刊ともダイヤグラムで常に最下位とされてしまった。特に幻庵や狂死郎に対しては2:8などという絶望的な数字が付けられてしまっている。 --2014年に「鷹捕まり」を利用した前後上下の高火力4択という武器が発掘されて「死ぬ時はあっさり死ぬけど、殺せる時はあっさり殺せる」という聖帝枠へと進化。 -主人公である覇王丸も弱い。ゲーメストダイヤグラムではナコルルに次いで下から二番目の順位が定位置という主人公らしからぬ評価に。中間距離での差し合いが思ったよりも弱く、使える技が少ない。かろうじてリーチの長い立ち中斬りが若干使えるが、それだけでは押されてしまいがち。相手に最大限に警戒される強斬り(斬鉄閃)はうかつに出せない。特に右京に対しては、飛び込みをすべてしゃがみ中蹴りで返されてしまったりする。 --しかし、なんだかんだいって怖い斬鉄閃、投げの威力が実は平均より高い(さらにしゃがんだ幻庵やアースクェイクも投げられる)、新必殺技の「烈震斬」の隙が少な目で削り能力が高い…など光る面もあり、キャラとして扱いやすいこともあり使用率は決して低くない。プレイヤー次第では上位を喰える可能性は十分秘めている。 --2000年台に見つかった前転キャンセル行動やバグ臭い仕様を利用したテクニックの恩恵を一番受けているキャラで、ダッシュ前転キャンセル投げから強制下段避け誘発しゃがみ中蹴り→斬鉄閃まで確定するキャラがいる。 -ライバルキャラとして登場した幻十郎はというと、中間距離ではしゃがみ中斬りが発生が速く相手の弱斬りと勝負できるほどだが、リーチがやや短く空振りの隙が大きすぎるというリスクも抱えている。必殺技の「三連殺」も表裏二択を狙えるが、追加入力がシビアでミスるとカウンターで大ダメージを喰らってしまう。さらに必殺技の「桐覇 光翼刃」は一見対空に使えそうだが無敵時間は無い上判定も弱く、コマンドの優先順位のせいで三連殺を出そうとして暴発することが多いという死に技となっており((実際ゲーメストでも、「この技がなければ幻十郎は強いのに」と言われてしまっている))、総合的には中堅~下位クラスに甘んじている。 --しかし、やはり覇王丸同様立ち強斬り・ジャンプ強斬りは相手にとって脅威であり、ナコルルの件で前述した「しゃがみ強斬り→遠立ち強斬り」((他にも「しゃがみ中蹴り→遠立ち強斬り」という連続技もある。))というお手軽かつ高威力の連続技が右京・シャルロット・狂死郎・幻庵・チャムチャムといった強キャラにことごとく決まるため、一発逆転要素の強い上位喰いとなっている。また武器破壊技の「五光斬」も対空・連続技だけでなく、ガードさせて通常4f有利、画面端ですら1f不利で確反無しという高性能っぷりで「五光斬から五光斬orダッシュ投げor三連殺表裏の4択」という攻めの起点に使えるなど使い勝手が良く、幻十郎は怒りやすいため回転率も良い。 -微妙な新システム群 --''技あり(カウンター)が怖すぎる。'' ---本作から導入されたカウンターシステム((前作でも一応あったのだが、右京のつばめ返しと狂死郎の血煙曲輪しか対象となる技がなかった。))だが、ただでさえ「一撃が重い」ゲームな上にダメージの増加倍率が高く、さらにカウンター条件が「技の全フレーム」であり、技を出し終わった後の硬直中に反撃を食らってもカウンターが成立してしまう。「ちょっとしたミスや読み負けで簡単に致命傷を食らってしまう」ケースがままあり、全体的に対戦が大味になってしまった。~ 実はカウンター倍率は技ごとに設定されており、ズィーガーのように''ほぼ全ての通常技のカウンター倍率が0.75-0.85''(=カウンターを貰うと逆にダメージが減る)というキャラも居たりする。~ このゲーム自体にはキャラ毎の体力防御力の概念が無く、他のゲームにおける「デカキャラ=硬い」のような物は、このカウンター倍率補正で調整されている。 ---せっかくの必殺技や武器破壊技・秘奥義も、元々の隙の大きさに加えてとにかくカウンターが怖いので、使いどころが非常に難しくなってしまっている。~ 特に武器破壊技は「怒りMAX時のみ」という条件があるために尚更狙える状況が少ない((その分決まったときのインパクトが大きいとも言えるが。))。 --いろいろ追加された特殊動作もイマイチ使いにくい。 ---下段避けは一部の技をガードしていると勝手に出てしまった挙句、結局ダメージを食らってしまうという事態になり、せっかくの仕様が仇となってしまっている。とはいえこのゲームは持続のある攻撃が少なく、しゃがみ大斬りを避けられればリターンが大きい。 ---上段避け(伏せ)も「強斬りを避けてカウンターで一閃!」を狙うためのものと思われるが、意外とタイミングがシビアで狙いにくい。しかも狂死郎など一部キャラが持つ、下の方まで判定のある強斬りに対しては伏せてもモロに食らってしまったり…。実用的な使い方は一部の飛び道具を避けたり、覇王丸の斬鉄閃を避けるぐらい。「相手の行動を限定させる」ために使うのなら悪くはないが、それが通じるレベルで駆け引きできるのは、余程このゲームをやりこんでいる人達だけである。 ---前転・後転には無敵時間があるので緊急回避として使えなくもないが、コマンドのせいで微妙に出しにくく、結局使わなくてもどうとでもなる程度…と思われていたが、特殊テクニックが見つかり「相手の牽制を無敵で避けつつ硬直をキャンセルして大斬り」や「前転で攻撃を抜けつつダッシュで接近して投げ」が可能になり、上級者の対戦ではほぼ必須技になっている。 ---退き込みダッシュの意味不明さについてはもはや言葉もない。一応ガルフォードにとってはダッシュ大斬りの起点になったり、足の速いキャラは、相手の大斬りを避けて走り込み投げるといった使い方はできるのだが…。 --ぬいぐるみ化は、出掛かりに投げにのみ無敵時間があり、煙幕効果もあるので意外と使えるが、どう見ても世界観ぶち壊しである。 --受け返しは一見『[[ストリートファイターIII>ストリートファイターIII 3rd STRIKE]]』のブロッキングや『[[餓狼 MARK OF THE WOLVES]]』のジャストディフェンスのような画期的な反撃システムのように思われるが、成立タイミングがシビアすぎるせいで''狙って成功させるのは完全に不可能なレベル''なので結局のところ運任せ。むしろ出ると出した方がびっくりして反撃をし損ねてしまうとかよくある話。 ---さらに相手の起き上がりや空中くらいの着地等、無敵状態からガードができるようになる状況に「完全に斬り攻撃を重ねてしまう」と、「攻撃が当たる瞬間にガードした」と判定されて''自動的に受け返しが成立してしまう''((上記の下段避け暴発も同じ現象で、攻撃の当たる瞬間にしゃがみガードの判定になるためと推測されている。))。 -バグによる一部キャラの優遇 --幻庵とアースクェイクの2人は、しゃがみ状態だと殆どのキャラに投げられなくなってしまう。 ---この2人はしゃがみ状態の横幅(キャラ同士が近づける限界)がやられ判定(攻撃技と重なると喰らう範囲)よりも広いため、リーチの短い投げでは接触しても射程外になることが原因。 ---アースクェイクを投げられないのはガルフォード(リーチの長いストライクヘッズなら可)、王虎、狂死郎、幻庵、アースクェイク、十兵衛、幻十郎、チャムチャムの8人。幻庵はこの8人にナコルル、右京が加わり10人となる。 ---そのため体力リードされた幻庵にしゃがんで待たれると、ナコルルは完全に詰んでしまうというのが定説だった((一応、当初より特定の手順でナコルルでもしゃがみ幻庵を投げられることは判明していたものの実用性の薄いネタレベルだったのだが、その後2014年に実戦的に使える対しゃがみ投げ手段が発掘された。))((右京もしゃがみ幻庵を投げられないが、つばめ返しや残像踏み込み斬り等しゃがみ待ちを崩す手段は豊富で、さらに幻庵自身がそれらへの対処が厳しいこともあってさほど問題にはなっていない。))。 ---アースクェイクの場合は前作で投げそのものが無効という設定だったので、投げに頼らない戦術がすでに定着していた。またしゃがんでも図体がでかいため、昇りジャンプ攻撃の「見えない中段」を当てられるキャラが多く、一応は詰まない。 --ガルフォードの「マシンガンドッグ」「メガストライクドッグ」を王虎、狂死郎、幻庵、アースクェイク、幻十郎、黒子の6人に決めると、犬が噛み付いている間にダッシュ強斬りで追撃可能。特に武器破壊技であるメガストライクドッグは、噛み付いている時間が長いため''2回ダッシュ強斬りが入る。'' ---ただガルフォードのこれはそもそも犬技がまともに当たるものではなく、ダッシュ強斬りもバグ風の挙動で安定して出ないため、キャラ限定連続技として割り切れるレベルではある。 -高難度かつ単調なCPU戦 --SNK格闘のCPUといえば''超反応''で有名だが、本作のCPUも同様で、シリーズ作品中でも屈指の凶悪さを誇る。2人目ぐらいまでは棒立ちのため、強斬りを適当に振っているだけでぶった斬れる木偶のような味気なさだが、その後は一転、「投げ狙いのダッシュで詰め寄りつつ小技をガード、大技を避け動作で回避、こちらが固まると投げる」という極悪なアルゴリズムで攻めてくる。 --対人戦の立ち回りは基本的に通用せず、アルゴリズムの隙を突いた作業プレイ、または''投げ封じの小足連打を敵がガードミスで喰らってくれることを祈る''という一方的な防戦を強いられるため、あまり評判は良くない。CPUは、下段に届かない技を前転で避けて接近→投げるという味なマネも得意で、牽制技すら迂闊に振れない。 --最後に待つ羅将神ミヅキは超反応の極み。さらにワープ技、こちらを豚に変身させたりレバー上下を入れ替えたりする無力化技、相打ちで十二分に元が取れる発生保証付き飛び道具など、ラスボスらしい壊れ技を多数持つ。&br;ついでに怒り関連の性能も全キャラ最高レベルで、とにかくキレやすく冷めにくい。 ---なおPS版『剣客指南パック』ではプレイヤーも使用できるが、ジャンプが遅い・立ち強斬りが弾かないため反撃されやすい・体力を削れる技が一つしか無い・連続技のパターンが少ないなどプレイヤーキャラとしては微妙な性能。『KOF'96』のゲーニッツ同様、CPUは超反応故の強さだということが解る一例であった。 --ちなみに隠しキャラの黒子は、離れて対峙していると飛び道具を撃つため、本作では珍しく飛び込みを綺麗に決めさせてくれるキャラ。超反応で強いことには変わりないが。 --CPU和独は前転にキャンセルをかけて投げるというプレイヤー側には不可能と思われる行動を頻繁に仕掛けてくる。CPU牙神など一部のキャラはジャンプ攻撃に対し完全無敵になれる特殊なガード方法を使ってくる、これをされると牙神をすり抜けて地面に着地したと同時に投げられてしまう。どちらも何度でも使ってくるので連発されるとCPU戦の興が冷める事甚だしい。なお特殊なガードのほうはyoutubeでも上級プレイヤーが使いこなしている。 --CPUが対応できない戦法や技があり、キャラによってはクリアだけなら比較的安定させることができた。以下はその例。 ---アースクェイクのしゃがみ強斬り。なぜかCPUはこの技を棒立ちで喰らう。ラスボスのミヅキすらこれだけで勝ててしまえた((普通に出すと飛びこまれやすいが、分身技の「ファットコピー」を相手の反対側に出現するように出してそこからレバーニュートラルで強斬りを出すと、何故かしゃがみ強斬りが出てCPUもしゃがみ技と認識しないため、安全に当てられる。ちなみにミヅキはアルゴリズム上あまりジャンプしないので直接出すだけでいい。))。また前述のバグのおかげでしゃがんでいれば大半のキャラには投げられないというのも一役買っている。 ---ヒットさせると相手を強制的に気絶させる花諷院和狆の「縛鎖丈撃」と不知火幻庵の「爪つまみ」。対戦ではレバガチャですぐに回復されてしまうが、CPUは回復しないため、この技を一度でもヒットさせればあとは強斬りキャンセルから出すことでハメることが可能。 ---服部半蔵・ガルフォードは分身で相手の方に出現し、その直後にコマンド投げを決めるというパターンが有効。 ---ミヅキにはシャルロットのしゃがみ強斬りや、ズィーガーの「ファイヤー・ストゥーム(通称デコピン)」も割と当たる。但し確定はしないのでこれだけで勝つのは難しいが。 ---- **総評 初代『サムスピ』の爆発的な人気を受け、発売前から高い期待を寄せられていた中、満を持して登場した本作。~ 丁寧な作り込み、良い意味ではっちゃけた演出、魅力的な新キャラなどはその期待に十分応えるものであり、見事にシリーズ最大のヒット作となった。~ 一方でシステム面や対戦バランス面での粗が少々目立ち、前作よりも大味なゲーム内容になってしまったため、対戦格闘ゲームとしての出来はやや落ちるという評価が妥当かもしれない。~ 裏を返せば初代サムスピが奇跡的な作品だったということでもあり、お手軽にサムスピの醍醐味を味わえる本作はより取っつき易く、より万人が楽しめる一作になったと言えるだろう。~ 本作の成功で人気絶頂期を迎えたサムスピは続編として『[[サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』、RPGの外伝『[[真説サムライスピリッツ 武士道烈伝]]』などを繰り出し、さらなる展開を図っていくのだが…。~ ---- **CS機移植 本作発売当初はSNKがMVS/NGゲームの他機種への移植を取りやめることを発表したこともあって移植作は少なかった。~ 同時期の『THE KING OF FIGHTERS '94』も同様の憂き目に会っている。 セガとクロスライセンスを結んでSSに参入したのは、この発表から1年程度後のことである。PSへの参入はもっと遅かった。~ そのため時期的なタイミングもあり、上記2作は人気作であるにもかかわらず長らく他の移植作が登場しなかった。 ''NG版'' -1994年12月2日にSNKより発売。NGはMVSの完全互換機なので、当然ながら移植度は完璧である。対戦でのみ黒子が使える。 ''NGCD版'' -1994年12月15日にSNKより発売。BGMがアレンジ音源になっているが、相変わらずロードが長い((特にゲーム開始前の部分が異常なほど長いが、ゲーム中のロードは後期ソフトよりはマシ。))。 --対戦でのみ黒子が使える。 --キャラクター選択画面で表示されるキャラがアニメーションせず静止画に変更されている、一部のボイスが削除変更されているなど本体発売年のゲームでありながら先行した『THE KING OF FIGHTERS '94』同様、早くもスペックの影響を受け劣化が見受けられる移植となっている。 ''Win版'' -初版は1996年11月14日にゲームバンクより、XP対応廉価版は2004年2月19日にメディアカイトより発売。 --NGCD版ベースの移植。所々でディスクアクセスが入る為テンポが悪い。 ''PS版'' -1998年3月26日にSNKより発売。2007年5月31日にはゲームアーカイブスでも配信されている。 --『サムライスピリッツ 剣客指南パック』に前作『サムライスピリッツ』とのカップリング移植。 --対戦でのみ黒子に加えてミヅキも使えるが、同キャラ戦や黒子VSミヅキは不可。 ''PS2 / Wii版『[[サムライスピリッツ六番勝負>サムライスピリッツ 天下一剣客伝#id_aafdeeb3]]』'' -2008年7月24日にSNKプレイモアより発売。2D『サムスピ』シリーズを網羅した『六番勝負』に収録されている((初代~『零』はネオジオROM版、『剣サム』はPS2版ベース。))。 --対戦でのみ黒子が使える。また、言語設定が削除されている。 ''Wii版'' -2008年7月23日にD4エンタープライズよりバーチャルコンソールとして配信。要900WP。ネットワーク対戦は不可。 ''360版'' --2008年9月10日にSNKプレイモアよりXbox LIVE ARCADEとして配信。要1,200MSP。ネットワーク対戦に対応しているが内容の割に高い。ガロスペは400MSPで買えるのに。 ''iOS/Android版'' -2013年6月27日にSNKプレイモアより配信。Bluetoothを使ったマルチプレイヤーモードを搭載している。 ---- **余談 -覇王丸の秘奥義「天覇封神斬」はその異常なコマンドの難しさ(341236421+BC)もさることながら、アニメ『サムライスピリッツ~破天降魔の章~』でそのコマンドが先行紹介される企画があった。~ しかしその場面があまりにも速すぎ、録画してスロー再生でもしないと''公開されていることにすら気付かない''ようなモノであった…。 --なお、このアニメは初代をベースにしてるため登場キャラも13人全員出ているのかと思いきや、なんと橘右京だけ本編に出ていない。一応EDには声なしだがならず者に襲われてる町人を助ける展開で登場している。もし放送時間が長ければ本編でも使われてた可能性もあっただけに残念でならない。 ---また''SMAPの香取慎吾氏が覇王丸の声を当てていた''が、その演技力は上述した天覇封神斬が''「てんぱふうじんざん!」''と呼ばれている事からお察し下さい…。~ それに目を瞑るとしても、あまりにもいろいろ酷い出来のアニメであったため、ファンの間では黒歴史とされている。 ---ちなみに、このアニメのエンディングテーマ曲であったGWINKO(ギンコ)氏の歌う「“大好き”という嘘をついた」はややひねくれた愛情を歌った曲で評価が高い。~ 強いて問題点を挙げるなら、和風っぽくも無ければ、サムスピのイメージにもあまり合わないこの曲を何故アニメ制作陣はサムスピのアニメに使ったのかという一点だけである。 -武器破壊技は「名刀とか言って何本あるんだよ」((『コミックゲーメスト』でもネタにされた。なお例外的に服部半蔵の「無銘忍者刀」は無銘故に何本あっても問題はない。))「壊れた武器が直ぐに修復されるなんておかしい」((設定上は黒子(審判…の仲間)が修理している。なお前作キャラが誰も死んでいないのも「黒子が蘇生させたから」と言う理由。))((ラスボスのミヅキの武器は「神器」という設定なので武器破壊技を喰らっても破壊されない…というのは建前で、容量節約のために素手状態が設定されていないのが真相である。黒子も同様で、こちらはさらに鍔迫り合いで偽物の武器を一緒に投げる技も持ち合わせている。))とのツッコミを受けて本作のみの採用となり、次回作の『斬紅無双剣』からは「武器飛ばし必殺技」に変更された。 --後に『サムライスピリッツ天下一剣客伝』の「真」スピリッツで復活することになる。 -十分すぎるほどのヒット作となった本作だが、ネオジオROMはそれ以上の前人気を当て込んで作り過ぎたようで、新品が長年ワゴンの住人となっており定価の9割引き以下の3ケタ価格も珍しくなかった。そもそもネオジオ本体が(当時としては)高額だったので…。 -初代からの続投キャラである王虎は、なぜか得物を青竜刀から''石柱''に持ち替え、さらに人格まで様変わりしてしまった。 --初代では、荒々しくも威厳に溢れた「豪傑」と呼ぶに相応しいキャラだったが、スタッフにどういう意図があったのか、本作では粗暴で口汚い失礼漢と成り果てている。 --ボイスも頭の悪そうな演技で当てられており、バカっぽい掛け声とともに石柱を振り回す必殺技「気功大撲殺」で''プレイヤーの小足にカウンターを取る''CPUに濃い殺意を抱いたプレイヤーも少なからずいたとか。 --また王虎には「怒髪柱撃」という、自ら石柱に頭を打ち付けてダメージを負う代わりに怒りゲージを自分でMAXにするという無茶苦茶な必殺技も存在している。 ---この技は(弱めだが)攻撃判定も持っているため屈辱的な対空技としても使用可能で、更にこの技でトドメを刺すと殺害勝利扱いになるため''「阿呆がボケがばかがカスがあ!!死んでしまええ!!」''という貴重かつ屈辱的な殺害勝利メッセージを見ることも出来る((他にも「気功大撲殺」でトドメを刺した際に相手が燃焼しなければ殺害勝利扱いとなる。中・気功大撲殺は上半身無敵なので対空として使用可能で、その時に発生しやすい。))。 -ネオジオ版のテレビCMでは当時アイドルだった千葉麗子氏がナコルルに、地井武男氏が柳生十兵衛に扮しての剣劇が放送され話題を呼んだ。 --''いやそこは覇王丸だろ普通!''、''そもそも千葉氏はナコルルじゃなくてチャムチャムだろ! ''((上記の通りアニメサムスピではナコルルを演じているが。))という突っ込みはさておき、両氏の力演もあって真サムの魅力を上手く伝えているCMである。~ またこの両氏はほぼ同時期発売のネオジオCDのCMにも出演しており、この流れでの採用であったとも取れる。 --本作のROM容量は202Mビットと200Mビットを超えたことから、これまでSNKがネオジオのキャッチコピーとして展開してきた「100メガショック」はこのCMから使われなくなった。 -初代のラスボスである天草四郎時貞は、本作ではデモ画面でのみ登場する。 --善の心を持って復活し、ミヅキの手に落ちかけたプレイヤーを助けるといった活躍を見せるが、最終的にはミヅキによって消滅させられてしまう。 ---本作はアーケードにおけるシリーズの中でも最も未来の時系列であるため、これが作中世界における天草の最期となってしまった。 -本作の海外版タイトルは『SAMURAI SHODOWN 2』とナンバリングタイトルになっている。本作以降、MVS/ネオジオで出た作品と『~天下一剣客伝』までがこれに該当している。 --ちなみに、『~天下一剣客伝』の海外版は『SAMURAI SHODOWN VI』のタイトルでリリースされている。 -数々の珍誤植でも有名だったゲーメストだが、「サムライ''スポット''」だのと間違えられたサムスピの中で本作も例外ではなく「''直''サムライスピリッツ」と誤植されてしまった。 --もはや原型を留めない「[[天草システム>サムライスピリッツ 天草降臨]]」に比べれば、「真」と「直」は形が似てなくもないのでまだ納得できる(?) --NEOGEO20周年特別企画としてゲーメストの有名誤植が[[Tシャツ化>https://ebten.jp/p/7015010022722]]されたのだが、案の定この「直サム」も含まれている。
*真SAMURAI SPIRITS 覇王丸地獄変 【しんさむらいすぴりっつ はおうまるじごくへん】 |ジャンル|対戦格闘アクション|&amazon(B003XAPS4W,image=http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/surugaya-a-too/cabinet/0092/163000090m.jpg?_ex=600x600&s=2&r=1)| |対応機種|アーケード(MVS)|~| |販売・開発元|SNK|~| |稼動開始日|1994年10月28日|~| |発売日|【NG】1994年12月2日&br()【NGCD】1994年12月15日|~| |プレイ人数|1~2人(同時プレイ)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2008年7月23日/926ポイント&br;アーケードアーカイブス&br;【PS4/One】2017年9月21日/823円&br;【Switch】2018年2月1日/823円(税8%込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|より万人向けに進化したサムスピ第2弾&br()大技「武器破壊技」等の新要素が多数追加&br()あまり役に立たないシステムも追加&br()対戦ツールとしての評価は前作には及ばず|~| |>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- #center(){{{ &font(b,120%){今は昔のものがたり}~ &font(b,120%){我が道 極めんとする男あり}~ &font(b,120%){血生臭い 生きざまに}~ &font(b,120%){凶事まとうは 偶然ではなかった}~ }}} ---- **概要 彗星の如くゲーセンに登場し、瞬く間に絶大な人気を獲得した異色の剣劇格闘ゲーム『[[サムライスピリッツ]]』(以下「前作」)の続編。通称「真サム」。~ 前作から1年余りでの新作となったが、グラフィックの全面的な描き直し、新キャラの追加に加え、新システムも多数盛り込まれており、非常に力の入った一作になっている。~ この作品でサムスピ人気は最高潮に達し、前作を超える大ヒットを記録。『[[餓狼伝説スペシャル]]』や『[[龍虎の拳2]]』などとともにSNK・ネオジオの黄金時代を築いた。~ 一方で蛇足感が強い新要素や対戦バランスの悪化により、対戦格闘としての完成度自体は前作にやや劣ると評されることが多い。 **ストーリー >暗黒神アンブロジァを復活させんと、世界に災厄を引き起こした天草四郎時貞は1人の剣士に滅ぼされ、その存在は史実に記されることはなかった。~ 復活した天草に深く関わった人間の1人、覇王丸はある晩、突然の闇討ちをうける。たやすく首を取られる覇王丸ではなく、逆にその男を捕らえたのだが…。~ 男はあきらかに何者かに、それも暗黒の力に操られていた。~ そして、覇王丸に向かってこう言った。「貴様の魂はいずれ奪ってやる…。あんぶろじぁ…復活。」~ 魔性の者が自分の命を狙っている。天草と同じ暗黒の影を感じとった覇王丸は、剣技の師を訪れた。覇王丸の話を聞いて師はいつになく険しい表情で覇王丸を見据えた。~ 「あやつには近付くでない。お前はたしかに強ぅなった。しかし、手をだすでないぞ。よいな。」~ たしかに師は何かを知っている様子であったが、何も語らなかったし、覇王丸も聞こうとはしなかった。~ その夜、久しぶりに師と酒を酌み交わした覇王丸は夜明けを待たずして旅にでた。口元に不敵な笑みを浮かべて。 ---- **特徴・システム -キャラは前作の12人からタムタムが削除され、新キャラ4人が追加されて15人となった。詳しくは[[こちら>http://samuraianiv.snkplaymore.co.jp/title/samurai-spirits2/index.php]]を参照。 -ボタン配置は前作と同じく弱斬り・中斬り・弱蹴り・中蹴りの4ボタン。弱中同時押しで強斬り・強蹴りが出る「擬似6ボタン制」が採用されている。 -システムも基本的に前作を踏襲しているが、以下の追加が行われた。 --''武器破壊技'' ---本作の目玉要素。前作には無かった超必殺技に相当する大技。怒りゲージがMAXの時のみ使用可能で、基本的には怒り時間内なら何度でも出せる((シャルロットのみ、ヒット・ガード問わず出すだけで怒りゲージが空になる。))。 ---文字通り、ヒットさせるとダメージとともに相手の武器を破壊する((武器がないと斬り攻撃が素手攻撃になって弱体化、多くの必殺技が使用不可、相手の武器攻撃をガードすると体力が削られる。))。なお、ヒット時点で怒りゲージは空になる。~ 壊れた武器は一定時間が経過すると黒子が修復して画面内に投げ入れてくれ、落ちた武器の近くでボタンを押すと拾うことができる。 --特殊動作 ---''上段避け'':レバーを素早く真下に2回入れると出る「伏せ」の動作。 ---''下段避け'':BC同時押し、もしくは相手の下段攻撃にタイミング良く下段ガードを合わせると出る小ジャンプ動作。 ---''前転'':レバーを素早く前斜め下に2回入れると出る回避動作。ダッシュ(踏み込み)中に出すことも可能。 ---''後転'':レバーを素早く後斜め下に2回入れると出る回避動作。 ---''退き込みダッシュ'':レバーを素早く←←→と入力すると、一瞬バックステップ(退き込み)すると見せかけて前方にダッシュ(踏み込み)するフェイント動作が出る。 ---''挑発'':相手と間合が離れた状態でAC同時押し、またはBD同時押しで挑発アクションを行う(各キャラ2種類ずつ存在)。~  『[[龍虎の拳]]』のような特別な効果は無く、純粋な演出。 --''受け返し'' ---地上で相手が出した斬り攻撃が当たる直前にガードを入力すると画面全体が一瞬光って攻撃を弾き返し、約1秒間相手を行動不能状態にさせる。 --''技あり'' ---いわゆるカウンターヒットシステム。~ 相手が技を出している最中にこちらの攻撃をヒットさせると、ダメージがアップする(アップ率は技によって異なる)。~ 中にはカウンターで食らうほうが通常時よりもダメージが少なくなるという特殊な技もあり王虎やアースクエイクなどパワー系のキャラの攻撃に多い。 --隠し技 ---''秘奥義'':覇王丸、ナコルル、ガルフォード、服部半蔵の4キャラのみが使用できる隠し大技。~  いつでも何度でも出すことができるが(覇王丸以外は武器無しでも出せる)、いずれの技もコマンドが非常に複雑。 ---''ぬいぐるみ'':発動すると自キャラが2頭身のぬいぐるみに変身する。コマンドはキャラごとに異なるが、こちらもかなり複雑。~  当時プライズ商品として展開していた本作キャラのぬいぐるみとのタイアップ企画である。 #region(その他、前作からの変更点など) -怒りゲージがMAXになるとキャラが怒りポーズを取るようになった。このポーズ中は完全無敵で、ダッシュや投げ、必殺技などでキャンセル可能。 --ゲージが溜まったあと、自動的にすぐ出るわけではなく、レバーをニュートラルに戻した時点で初めて怒りポーズが出る。 ---これを利用して任意のタイミングで怒りポーズを取ることにより攻撃をスカし、ダッシュなどから反撃に転じる小技もある。 -「必殺技モーション中の相手」「自分または相手の起き上がり」に投げ技を決めることが可能になった。また、ダッシュからの投げもレバーを前に入れっぱなしでOKになり、かなり出しやすくなっている。 -鍔迫り合いは多少ボタン連打数が勝敗に影響するようになり、左右の位置関係が入れ替わるなど決着のパターンも増えた。 --一方で、不評だった「ラウンド開始直後にランダムで発生する鍔迫り合い」は削除された。 -前作では気絶状態から一部の技や連続技を喰らって再び気絶してしまう現象が存在したが、本作では「気絶から気絶」は発生しなくなった。 -素手状態で出せる「真剣白刃取り」が、「41236」とレバー入力のみのコマンドで狙って出せるようになった。 -相手に投げられなかったアースクェイクは「対アースクェイク(兼黒子)用投げ技」で投げられるようになった。しかもたいていの通常投げと比較しても、威力が若干高い。半蔵、ガルフォードのコマンド投げも普通に喰らうように。 --…と思いきや、後述するバグでしゃがみ状態だと殆どのキャラに投げられなくなるという前作を思い起こす事態が発生してしまった。 -飛脚はお金(得点アイテム)を投げなくなった。 --また、試合状況によりアイテム内容が判断される要素が追加された。例として「画面端で待ち戦法を行っている」とかなりの確率で飛脚が出現し、待っている側に爆弾を二つ落とすことが多い(と同時に相手キャラに肉を落とすことも多い)。 --1/128の確率で飛脚の代わりに『餓狼伝説』シリーズのキャラ、キム・カッファンが鳳凰脚のポーズで通り過ぎる(アイテムは落とさない)。 -ラウンド終了時にレバーを上下左右いずれかに入れておくと、勝利ポーズを選ぶことができるように。 -ボーナスステージの「演舞」が廃止された。また勝利時の得点は命中率+残体力のみが加算されるようになった。 -今作より柳生十兵衛の声優が小林清志氏に変更となった。氏はOPのナレーションなども担当し、その後のシリーズやCMでのナレーションも含め、『サムライスピリッツ』のナレーションといえば小林氏と言えるほどの印象を残した。 -細かい所だと「ダッシュ中は常時ガードを受け付けるようになった」ため、初代は「歩くゲーム」、真は「走るゲーム」とトッププレイヤーが解説している。 #endregion #region(本作のラウンドボーナス及び命中率の計算式について) -ラウンドボーナスは前作では勝利ラウンドごとに加算されていたが、本作では2本取って勝利した時のみに加算されるようになった。 --命中率の計算式は''「(出した技の数÷命中した技の数)×100」''であり、負けラウンドも命中率の勘定に入っている。前作では通常投げは命中率の勘定に入らなかったが((CPUの天草戦など、投げだけで勝った場合命中率は0%と見做されていた。))、本作では通常投げも命中率の勘定に入るようになった。 --例外は半蔵・ガルフォードのコマンド投げや分身技で、これらは出しただけで命中率が下がってしまう。これらの技は「出した技=1、命中した技=0」と計算されてしまうためである((そのため、CPU戦の必勝パターンである「分身→コマンド投げ」だけで勝った場合、命中率は0%になってしまう。))。 --ズィーガーの「ファイヤー・ストゥーム」等BC同時押しで出す技を連発して勝利すると、実際に命中させていないのにやけに命中率が高くなっている現象があるが、実はこれには理由がある。 ---BC(またはAC、BD、AD、ABCDなど)同時押しで必殺技を出すと、なぜか命中した時は「出した技=0、命中した技=1」と計算されるためである。空振りしたりガードされた場合は「出した技=0、命中した技=0」と計算されるため、命中率は下がらない。 ---なので、必殺技をこの同時押しを使って出せば(例:強弧月斬は「6123+ABCD」((弱はAC、中はBD、強はABCDで出せる。)))、同時押し必殺技を当てた回数分は通常技を空振りしても命中率は100%と計算されるのである。 ---前述のコマンド投げや分身も、この同時押しを使えば「出した技=0、命中した技=0」となるため、ラウンドのどこかで1回でも技を命中させておけば「分身→コマンド投げ」のパターンでも命中率100%で勝利することが可能。スコアラー向けのテクニックといえる。 #endregion ---- **評価点 -遊び心とこだわりの詰まった演出 --格闘ゲームの「華」とも言える超必殺技に当たる「武器破壊技」の追加をはじめ、あっと驚くような隠し技や隠しキャラ、他作品からのカメオ出演など、大胆かつ遊び心のある演出が至るところに仕込まれており、プレイヤーを楽しませようとする製作チームの心意気がよく現れている。 ---特に、CPU戦にて特定の条件を満たすと、いつも審判として背景をうろうろしている''黒子が乱入してきて勝負を挑んでくる''(しかも技がSNK作品のパロディだらけな上に''恐ろしく強い'')という粋な仕掛けは語り草となっている。~ また、あまり知られていないが、通常の対戦中に1/128の確率で''黒子が爆発する''。 ---作中の時代劇感を盛り上げるステージ演出、細部までこだわった勝利演出など、前作譲りの芸の細かさにも磨きがかかっている。 --グラフィックも全面的に刷新されており、前作の作風はそのままに、より生き生きとしたキャラの動きが表現されている(特に衣装が変わったナコルル、武器が青竜刀から石柱に変わった王虎などは一見して前作との違いが分かる)。~ 新キャラ4名はもちろん、既存のキャラも単に描き直されただけではなく、新しい必殺技や新しい動作も多数追加されている。 ---ただでさえサムスピは武器を持っている状態と素手の状態とで動きが異なるため、必要なドット絵の枚数が多く手間がかかるのだが、決して長くなかった製作期間の中でこれだけのものを仕上げたのは賞賛に値する。まさに職人魂。 --総じて、演出面に関しては発売前に高まりに高まった期待を裏切らない出来であった。 -インパクト抜群の新キャラ勢 --特に人気が出たのが牙神幻十郎で、キャラ選択から各種動作まで''「どりあーッ!」「ずりゃあーッ!」「でゃりゃあーッ!」''ととにかく叫びまくる名ヒールだった事もあり爆発的な知名度を誇った。~ 前作で爆発したナコルル人気もさらなる絶頂に達しており((本作のナコルルのエンディングはファンを涙させ、続編である『斬紅郎無双剣』以降のほとんどの作品における時間軸は本作以前の時系列になるほどに影響を与えた。))、さらに主人公・覇王丸の存在感も大とあって、サムスピのキャラ人気はもはや留まるところを知らぬ勢いであった。 ---幻十郎の他にもゲーメストにて''発売前の段階で''伝説的なネタを作った「シゲル」ことズィーガー、スタッフが未来に生きていたとしか思えない世界観ぶち壊しキャラ・チャムチャム、女性キャラでありながら威厳と貫禄たっぷりのラスボス・羅将神ミヅキと、現在まで語り継がれる個性的な新キャラが揃っており、ゲームセンターを賑わせた。~ %%唯一ニコチン爺さんは名前のインパクトの割に地味だったが…%%。 #region(新キャラについての余談) -牙神 幻十郎 --覇王丸と同門であり古華院の花諷院和狆に師事していた侍。和狆に破門された後は殺し屋をやりつつ覇王丸の命を狙う。 --彼の特徴は何と言っても異様なまでに''叫ぶ''。キャラ選択で選べば''「どりあーッ!」''バックステップをしたら''「どりあーッ!」''と叫び、小足でも''「どりあーッ!」''とやたらと叫ぶ。それ抜きにしても「ひとつ! ふたつ! みっつ! 猪鹿蝶!」「身の程知らずが!!」「阿呆が!」「それだけか!」「もう殺ス!!」「一つ! 二つ! 三つ! 四つ! 五つ! 五光!!」「散れィ!」「ぅやるなぁ」「貴様などに屈するとはァ~!!」と異様なまでに良くしゃべる。その反省か後の作品(『[[SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS]]』を除いて)では少し喋る量が減っている。 --また彼の[[プロフィール>http://samuraianiv.snkplaymore.co.jp/character/genjuro/index.php]]には特技として「''男女問わずの''千人切り」と言うものがあるが、態々「男女問わずの」と書いているのは「下半身的な意味で」と言う事である((後の『Days of Memories ~大江戸恋愛絵巻~』のエンディングの一つには「主人公(男)が幻十郎に掘られる」と言うものがある。))。もっとも時代劇のダークヒーローとしては十分ありえる設定なので((所謂「稚児趣味(男色)」は「戦場に女は連れて行かない」と言う考えにより戦国時代の(上級)武士のたしなみだった。))、問題なく人気キャラとなった。 --更に公式設定も「平和だと思う時」の問の答えが「ご禁制の薬を飲んでいる時」(今で言う麻薬・覚醒剤の類)、刀の名前が梅鶯毒(ばいおうどく=性病)など、仮に子供に聞かれたら答えるのに苦しむネタばかりなのもダーティーさに拍車を掛けている。 --なおこの梅鶯毒には「気に入らない相手をすぐに叩っ斬れるよう抜き身のまま持ち歩いており、鞘(さや)がない」という闇の深すぎる設定も存在する。&s(){まず自分が怪我しそう。} -ナインハルト・ズィーガー --「千の破壊者(タオゼント・シュトゥルムウイント)」の二つ名を持つプロシア帝国の騎士。「紅き獅子聖騎士団」の団長。王の命をうけ、ヨーロッパを襲った異変の調査に向かう。 --騎士道精神に溢れた高潔な武人なのだが、本人は''上半身裸の屈強なハゲ''、得物は''火を噴く巨大手甲''という男汁迸るデザインでカルト的な人気を博した。幻十郎と並んでよく叫ぶキャラ((担当声優は幻十郎も務めたコング桑田氏。))であり、「''ヴァー!''」という雄叫びも人気となった。負けボイスが「うぅ''ラァァブリィィー!''」と聞こえる等、空耳ネタも豊富である((実際は「信じられない」という意味のドイツ語「unglaublich」(ウングラウプリヒ)。英語のunbelievableに相当。更に酷い空耳ネタもあるが、完全に下ネタのそれなのでそちらは割愛する。))。 --戦いに身を置きながらも義と愛を重んじる人物であり、通常の勝ち台詞は「帰りたまえ。君にも祖国はあるだろう?」という%%どこかのアメリカ軍人のような%%穏やかなもの。が、本作では勝ち台詞のパターンが各人3つ(通常、同キャラ、特定の技で倒した場合の殺害勝利)しかなく、ズィーガーは殺害勝利の条件を満たすことが難しいため((通常技が打撃系かつ、必殺技の大半が燃焼系で殺害扱いにはならないため。殺害勝利の条件を満たすには、「ヴルカーン・ドリュッケン」で止めを刺した際に相手が燃焼しなかった場合と、「ファイヤー・ストゥーム」で一部の飛び道具を跳ね返して止めを刺した場合の2つのみである。これは王虎や和狆も同様。))、敵地へ乗り込んで勝った場合でもだいたいこの台詞を吐く。 --敵の足を刈るスライディング「ティーガー・コップ」、打ち上げアッパー「ファルケ・ナーゲル」、空中の相手に飛び付いて極めるバックブリーカー「エレファント・グリード」((ネオジオ版の説明書では「エレファント・グリート」となっている。))と繋ぐシリーズ初のコンボ必殺技を持つ。グリードまで決まれば大ダメージを与えられるが、コップとナーゲルはガードされると死ねる技、グリードは外すと死ねる技、ついでに言えばコップは''立ちガードされるスライディング''であり、使用者の男臭さとラブリーさが詰まったコンボとなっている。 --本作が稼働する前のゲーメストで行われたシルエットでのキャラ予想企画で、編集者が予想したキャラが「''魚を背負ったオッサン''」という斜め上の路線のものだった((実は「当初は予想企画で描いた絵が今のズィーガーとかなり似ていた」と言う理由から、シゲルに差し替えられたと…本作発売から暫く後に誌内で裏話として語られている。))。このキャラはズィーガーのスペル(Sieger)を無理矢理あてがった読み方である「''シゲル''」と名付けられ、彼と珍サムライスピリッツと書かれた''偽造''テレカを読者プレゼントと言う企画を立てられる等ネタにされた。これらに関しての情報をまとめたサイトが[[こちら>http://bohyou.vis.ne.jp/neogeo/samurai/uo.htm]]。 ---またこの企画からゲーメストや後継紙アルカディアでは格ゲーのシルエット企画が来たら斜め上のキャラを予想すると言う事がある種のお約束となった。 -チャムチャム --タムタムの妹。こっそり持ち出したタンジルストーンを盗まれ、それを取り戻すために相棒の猿パクパクと共にこっそり旅に出る。 --ネコ耳尻尾(ちなみにアクセサリーである)でブーメラン使いでボクっ娘と、いわゆる「萌え」系統であり時代を先取りしすぎた。当時は人気が無かったが現在は一定の評価を得ている。 ---人気が無かった理由の一つに、前作でマニアックな人気を誇ったタムタムが彼女のおかげで唯一リストラされてしまったことがある。 #region(と見せかけて…(ネタバレ)) 実は本作のパクパクはタムタムが変身したものであることがエンディングで判明する。~ 一部の必殺技が前作での彼のものに似ているのもそのせい…!? #endregion ---また、前作が当時のプレイヤーには非常に硬派なゲームと認識されており、彼女の存在は場違い感が強かったことも人気が出なかった理由の一つ。雑誌「ゲームラボ」では、''「ネコミミは好きだがサムスピに出してくれなんて頼んでない」''と書かれてしまった。 ---しかし彼女は後年に対戦型ゲームブック『クイーンズゲイト』に参戦し、そのコンピューター版である『[[クイーンズゲイト スパイラルカオス]]』にも登場を果たしている…もっとも、これは「チャムチャム好き」を公言してはばからないイラストレイター・BLADE氏((個人画集を出す際、(チャムチャム画集と言うわけでもないのに)チャムチャムの絵が多すぎてSNKの許諾が必要になったほどだとか。))の働きかけによるもので、クイーンズゲイト版チャムチャムもBLADE画である。 ---2007年には彼女を主役にしたパチスロ機「サムライスピリッツ外伝 チャムチャム」が出ている。 --彼女は[[当時売れっ子だった女優・千葉麗子氏>恐竜戦隊ジュウレンジャー]]を声優に起用している。ちなみにお供の猿のパクパクの声優は''彼女のマネージャーである。''((余談の余談だが『龍虎の拳外伝』に登場する不破刃のCVを務めたJAI氏も「(当時の)生駒治美氏のマネージャー」という変わり種である。)) ---千葉氏はチャムチャム以外にもアニメ『サムライスピリッツ~破天降魔の章~』のナコルルや『[[THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD]]』で葉花萌の声優を務めたのだが…。演技についてはボイスを聞いてもらった上で、各自の判断にお任せする。 -花諷院 和狆 --覇王丸や牙神幻十郎のお師匠であり、枯華院の坊主。かつては名うての退魔師として活躍していたが、羅将神ミヅキに敗れたことで一線から退く。 --見た目こそ普通だが読み方は「かふういん にこちん」と読み更に深読みすると「カフェイン ニコチン」という薬物スレスレの名前で枯華院は「コカイン」と読み完全に麻薬を元ネタにしている。 ---元々は製作総指揮者がタバコの箱を弄っていた所で名前の「にこちん」を閃いた所から繋がるように寺の名前や名字も決まったという話が残っている。 ---また、名前が決定するのが遅かったためか、開発中の画面では「JIJI(ジジイ)」などと表記されていた。 --因みに海外版の彼の公式英字表記は「''Nicotine Caffeine''」と言い逃れ出来ない直球ど真ん中で上に書いた深読みのそれになっている。 -羅将神ミヅキ --破壊神「アンブロジア」に心酔し、復活させるために暗躍する本作のラスボス。玉串を携えた巫女の姿をしているが、それは自身を祓いにきた退魔師「美州姫」(みずき)の肉体を乗っ取ったもので、実態は、幾度も肉体を乗り換えながら千年近くを生きている魔人。 ---現代の職業に例えると敏腕秘書らしい。 ---ちなみにこの美州姫は、シャルロット以上のグラマラスボディの持ち主で美人だったりする((とあるキャラクターのエンディングでその姿を見る事が出来る。))。 --華奢ながら強烈な威圧を醸し出す容姿、多重録音による禍々しいボイスなど、ラスボスたる貫禄は充分。 ---体格そのものは華奢で顔も小さいのだが、体を正面に開いた立ち姿、袖や袴の膨らんだ巫女装束のデザインによって、画面上のサイズはズィーガー並に大きい。また、装束で分かりづらいが、他キャラよりかなり四肢、特に腕が長い((シリーズ続編では、腕、指、爪の各パーツがより長く強調されることとなった。))。 --ガルフォード、ナコルルに次ぐ供連れキャラでもあり、犬のような魔獣を連れている。魔獣にはミズキの「祟れッ!」の一声で正体を現し攻撃するという演出がある((余談だが、本作のミヅキには「我神共鳴魂」(魔獣の体当たり)しかガード中の相手の体力を削れる技が無い。))。 --アンブロジア復活を悲願とする忠実な僕であり、今でもサムスピシリーズの黒幕扱いとなっている。 ---彼女の生い立ちは''生まれから今まで、救いようがないくらいどん底。''まるでこの時代の悪意全てを受けたような凄まじいものである。 -黒子 --前作から審判や死体運び等で登場していたが、前述の通り特定条件を満たすか''ランダム''で隠しキャラクターとして乱入してくる。名前には何故かモザイクがかかっており、アナウンスも「おや?」としか呼ばれない。 --ニュートラルポーズが『餓狼伝説』のタン・フー・ルー、挑発が不知火舞と『龍虎の拳』のリョウ・サカザキ、使用する技もタンの「烈千脚」「撃放」に加え、「虎煌拳」「覇王翔吼拳」「メガスマッシュ」「ブリッツボール」といった飛び道具を撃ってくるなど、SNK作品のパロディ技を駆使してくる。 ---武器破壊技は「龍虎乱舞」及び「鳳凰脚」のパロディ技の「黒子乱舞」で、さらにもう1つ「黒子大乱舞」も存在し、こちらは技の途中に疲れて休憩してしまう演出が盛り込まれている(結局乱舞は決められるが)。 --家庭用では隠しコマンドで対戦のみ使用可能。 --和狆とは旧知の仲で、かつて共にミヅキと戦っていた。%%でもあれだけ強いのになんで負けたんだよ%% #endregion -遊びやすさの向上 --キャラ個々人の個性が非常に強く、良く言えばやり込み甲斐があるものの、悪く言えばややアクが強くマニアックな向きのあった前作。~ しかし本作では全体的に強斬りの性能が良くなっており、ほぼどのキャラを使っても''「強斬り一発でバッサリ!」''というサムスピ特有の爽快感を手軽に味わえるようになっている。 --ゲームの特徴上、前作同様「待ち」が強い傾向にはあるのだが、本作ではダッシュ投げが決まりやすくなったり、回避や間合い調整の細かい動作が可能になったりと、攻める側にも強みが増えた。 ---このため前作のようなじりじりとした間合の測り合いになるような局面はやや起こりにくくなり、対戦の中で動きが出やすくなっている。~ もちろん、やや攻めに近づいたとは言え、サムスピ独特の熱い読み合いは健在。 --あえて初代サムスピを「ストイック」と言うならば、本作はより派手さ・とっつきやすさを増した「万人向け」と言える。 -SNK新世界楽曲雑技団によるBGM --前作で和風テイストを前面に押し出しつつ、環境音を多用することで高い評価を受けたBGMは、より聴きやすく正常進化。~ 和ロックの真骨頂たるガルフォードの「黒鮪」・黒子の「お調子六句」、直球の和風ナンバーである覇王丸の「男道」・狂死郎の「曲玉」、メロディが美しいナコルルの「自然の宴 春」、荘厳なクラシック調のシャルロットの「続 舶来女」・ミヅキの「邪神」、エンディングに相応しい愉快なナンバー「祭り極める」と、バラエティ豊かで粒揃いの楽曲がズラリ。 ---アレンジ版サウンドトラックの出来も文句無しであり、現在購入を考えるのであれば断然こちらがお勧め。~ また、フルオーケストラで豪華にアレンジされたシンフォニックサウンドトラックス版の「男道」も一聴の価値アリである。 ---- **問題点 -対戦バランスの悪化。特に''橘右京が強すぎる。'' --まず、新必殺技である「残像踏み込み斬り」の性能が異常に高い。これは「攻撃判定を持った残像を飛ばし、その後を本体が追いかける」という''残像の概念を根底から覆す''技で、以下のような特徴を持つ。 ---発生は早く威力は中~強斬り並。しかも残像は飛び道具を消す上、残像部分はやられ判定が無く攻撃判定だけを持つ。弱・中・強のいずれもヒットさせればダウンを奪う。 ---後隙の大きさは本体が残像に追いつくまでの時間で決まるため、近距離で出せばガードされて隙は皆無…どころか有利フレームを取ることが可能。 ---ダウン中の相手に対して近距離で弱の残像踏込み斬りを出すと相手の背後に回ることができ、これを利用すれば見えない表裏の択一攻撃をかけることができる。&br;後述のつばめ返しと小足からの連続技を混ぜれば表裏+上下の4択であり、さらにどの択でも当たればダウン、再び右京様の独擅場となる。 ---右京本体の機動力の低さを補う技でもあり、残像踏み込み斬りをメインに戦っていれば肉は勝手に回収できてるといった感じで肉の回収合戦と爆弾の回避も容易にしている。右京にボロボロにされているところに投下された肉を我慢できずにダッシュして残像踏み込み斬りを出合い頭に食らう… ---中は2回削ることが出来るためガード硬直時間が長く、遠距離から出しても反撃を受けることは殆どない。 --それを抜きにしても、通常技のリーチの長さ、最強の対空と言われる屈み中・強蹴りと逃げジャンプ強斬りを併せ持ち、ジャンプ直後に出すと見てからガードするのは不可能なレベルの中段と化す上、バックジャンプ&ダッシュから出しても強力な飛び道具として機能する「つばめ返し」や、その裏の下段択となる「小足 ⇒ 中斬り ⇒ 残像踏み込み斬り」の痛い連続技まで完備してしまっている。 --つばめ返しがゲーム中屈指の飛び道具連射性能を誇る。ガードされても着地時にガード方向にレバーを入れれば硬直を消す事ができるので昇りつばめ返し等で反撃が可能。カムイリムセ等飛び道具を跳ね返す技でも右京本体に跳ね返せない。 --つばめ返しは、強いと評されるCPUとの対戦でも非常に有効で画面端で時間切れまで露骨に連発しているだけで「つばめがえし!つばめが(略)時間切れ、橘右京お見事!」と勝ててしまう。時間切れ勝ちになりやすいのはつばめ自体の威力は低いためで、それが右京のプレイ時間の長さと右京との対戦を敬遠される悪い流れに繋がった。 ---難点はジャンプが若干遅いこと、気絶耐久値自体は並だがカウンター倍率が高めの上、気絶値回復が遅いのでピヨリやすいという事。~ 地味に前転キャンセルが素手時のみ&前転にガード不能タイミングがあるというハンデを持っていたりするが、大抵の対戦ではそこを突くまでに負ける。~ 挙句、右京は怒り時の攻撃力上昇率が全キャラ中一番で、爆発力まで高かったりする(怒り時間そのものは短め)。 --一応、チャムチャムに対しては不利と言われ、やり込みや知識により他のキャラでも勝てる可能性は残っている。それでも現在での最強候補には揺るぎないが。 -前作で猛威を振るったシャルロットは調整の結果、立ち蹴りや弱・中斬り、ジャンプ強斬りに前作ほどのキレがなくなっているのだが、代わって身に着けた飛び道具「トライスラッシュ」と立ち強斬りのすさまじい対空性能、相変わらず攻撃判定が強いままのジャンプ中斬り、しゃがみ強斬りの出の速さとリーチを兼ね備えたカウンター能力と、総合的には結局全然弱体化しておらず、前作のサルロット戦法も相変わらず可能。 --それでも上述した右京相手だと、バックジャンプつばめ返しを繰り返されるだけで苦しい((飛距離の兼ね合い上、飛び道具をジャンプしにくいため。))。また気絶しやすく、投げの威力が全キャラ中最弱で待ちを崩す手段が少ない、前後転に全身無敵がないので牽制抜けが難しいという弱点も持つ。 -新キャラでは、投げとしゃがみ中蹴り連打とスライディングのワンパターン戦法がウザ強いチャムチャムが目立つ。さらに投げやスライディングで転ばせた後は「パクパク・ガブル」でごっそり体力を削ることが出来る。 --反面、前述の技以外は使えない技ばかりというバランスの悪いキャラでもあるため、スライディングや投げが通用しない相手にはとことん弱いという特徴も持ち合わせている。 ---ズィーガーにはスライディングをガードされると「しゃがみ中蹴り ⇒ ティーガー・コップ+α」という強力な連続技で反撃され、削り技の「ヴルカーン・エクスプロイズン」に対しても有効な反撃手段がないため大きく不利がついてしまっている。 ---またアースクェイクに対しても地上ではリーチ負けしてる上しゃがまれると投げを決められず、飛び込みも落とされやすくこちらも不利である。 -他、トリッキーな動きと後述するバグでしゃがみ待ちが強い不知火幻庵、長いリーチと鉄壁の守りを持つ千両狂死郎が強いといわれる。 -逆に『サムスピ』のヒロインであるナコルルは超弱体化。 --すべての技の判定が弱体化・必殺技の隙は増加、ジャンプは遅い、連続技もリーチも無い、秘奥義を持っているが性能面では頼りにならない…と悲惨。また防御力も相変わらず低く、事故死も怖い。強みと言えば対空技のジャンプ強斬りぐらいしかない。 ---特に幻十郎が相手だと''「アンヌムツベ」(というよりも「ムツベ」と名のつく必殺技全て)を1回でもガードされたら死ぬ''((反撃でしゃがみ強斬り→遠立ち強斬りの連続技を食らって気絶、もう一回食らって昇天。))。 ---雑誌『ゲーメスト』でも本誌・増刊ともダイヤグラムで常に最下位とされてしまった。特に幻庵や狂死郎に対しては2:8などという絶望的な数字が付けられてしまっている。 --2014年に「鷹捕まり」を利用した前後上下の高火力4択という武器が発掘されて「死ぬ時はあっさり死ぬけど、殺せる時はあっさり殺せる」という聖帝枠へと進化。 -主人公である覇王丸も弱い。ゲーメストダイヤグラムではナコルルに次いで下から二番目の順位が定位置という主人公らしからぬ評価に。中間距離での差し合いが思ったよりも弱く、使える技が少ない。かろうじてリーチの長い立ち中斬りが若干使えるが、それだけでは押されてしまいがち。相手に最大限に警戒される強斬り(斬鉄閃)はうかつに出せない。特に右京に対しては、飛び込みをすべてしゃがみ中蹴りで返されてしまったりする。 --しかし、なんだかんだいって怖い斬鉄閃、投げの威力が実は平均より高い(さらにしゃがんだ幻庵やアースクェイクも投げられる)、新必殺技の「烈震斬」の隙が少な目で削り能力が高い…など光る面もあり、キャラとして扱いやすいこともあり使用率は決して低くない。プレイヤー次第では上位を喰える可能性は十分秘めている。 --2000年台に見つかった前転キャンセル行動やバグ臭い仕様を利用したテクニックの恩恵を一番受けているキャラで、ダッシュ前転キャンセル投げから強制下段避け誘発しゃがみ中蹴り→斬鉄閃まで確定するキャラがいる。 -ライバルキャラとして登場した幻十郎はというと、中間距離ではしゃがみ中斬りが発生が速く相手の弱斬りと勝負できるほどだが、リーチがやや短く空振りの隙が大きすぎるというリスクも抱えている。必殺技の「三連殺」も表裏二択を狙えるが、追加入力がシビアでミスるとカウンターで大ダメージを喰らってしまう。さらに必殺技の「桐覇 光翼刃」は一見対空に使えそうだが無敵時間は無い上判定も弱く、コマンドの優先順位のせいで三連殺を出そうとして暴発することが多いという死に技となっており((実際ゲーメストでも、「この技がなければ幻十郎は強いのに」と言われてしまっている))、総合的には中堅~下位クラスに甘んじている。 --しかし、やはり覇王丸同様立ち強斬り・ジャンプ強斬りは相手にとって脅威であり、ナコルルの件で前述した「しゃがみ強斬り→遠立ち強斬り」((他にも「しゃがみ中蹴り→遠立ち強斬り」という連続技もある。))というお手軽かつ高威力の連続技が右京・シャルロット・狂死郎・幻庵・チャムチャムといった強キャラにことごとく決まるため、一発逆転要素の強い上位喰いとなっている。また武器破壊技の「五光斬」も対空・連続技だけでなく、ガードさせて通常4f有利、画面端ですら1f不利で確反無しという高性能っぷりで「五光斬から五光斬orダッシュ投げor三連殺表裏の4択」という攻めの起点に使えるなど使い勝手が良く、幻十郎は怒りやすいため回転率も良い。 -微妙な新システム群 --''技あり(カウンター)が怖すぎる。'' ---本作から導入されたカウンターシステム((前作でも一応あったのだが、右京のつばめ返しと狂死郎の血煙曲輪しか対象となる技がなかった。))だが、ただでさえ「一撃が重い」ゲームな上にダメージの増加倍率が高く、さらにカウンター条件が「技の全フレーム」であり、技を出し終わった後の硬直中に反撃を食らってもカウンターが成立してしまう。「ちょっとしたミスや読み負けで簡単に致命傷を食らってしまう」ケースがままあり、全体的に対戦が大味になってしまった。~ 実はカウンター倍率は技ごとに設定されており、ズィーガーのように''ほぼ全ての通常技のカウンター倍率が0.75-0.85''(=カウンターを貰うと逆にダメージが減る)というキャラも居たりする。~ このゲーム自体にはキャラ毎の体力防御力の概念が無く、他のゲームにおける「デカキャラ=硬い」のような物は、このカウンター倍率補正で調整されている。 ---せっかくの必殺技や武器破壊技・秘奥義も、元々の隙の大きさに加えてとにかくカウンターが怖いので、使いどころが非常に難しくなってしまっている。~ 特に武器破壊技は「怒りMAX時のみ」という条件があるために尚更狙える状況が少ない((その分決まったときのインパクトが大きいとも言えるが。))。 --いろいろ追加された特殊動作もイマイチ使いにくい。 ---下段避けは一部の技をガードしていると勝手に出てしまった挙句、結局ダメージを食らってしまうという事態になり、せっかくの仕様が仇となってしまっている。とはいえこのゲームは持続のある攻撃が少なく、しゃがみ大斬りを避けられればリターンが大きい。 ---上段避け(伏せ)も「強斬りを避けてカウンターで一閃!」を狙うためのものと思われるが、意外とタイミングがシビアで狙いにくい。しかも狂死郎など一部キャラが持つ、下の方まで判定のある強斬りに対しては伏せてもモロに食らってしまったり…。実用的な使い方は一部の飛び道具を避けたり、覇王丸の斬鉄閃を避けるぐらい。「相手の行動を限定させる」ために使うのなら悪くはないが、それが通じるレベルで駆け引きできるのは、余程このゲームをやりこんでいる人達だけである。 ---前転・後転には無敵時間があるので緊急回避として使えなくもないが、コマンドのせいで微妙に出しにくく、結局使わなくてもどうとでもなる程度…と思われていたが、特殊テクニックが見つかり「相手の牽制を無敵で避けつつ硬直をキャンセルして大斬り」や「前転で攻撃を抜けつつダッシュで接近して投げ」が可能になり、上級者の対戦ではほぼ必須技になっている。 ---退き込みダッシュの意味不明さについてはもはや言葉もない。一応ガルフォードにとってはダッシュ大斬りの起点になったり、足の速いキャラは、相手の大斬りを避けて走り込み投げるといった使い方はできるのだが…。 --ぬいぐるみ化は、出掛かりに投げにのみ無敵時間があり、煙幕効果もあるので意外と使えるが、どう見ても世界観ぶち壊しである。 --受け返しは一見『[[ストリートファイターIII>ストリートファイターIII 3rd STRIKE]]』のブロッキングや『[[餓狼 MARK OF THE WOLVES]]』のジャストディフェンスのような画期的な反撃システムのように思われるが、成立タイミングがシビアすぎるせいで''狙って成功させるのは完全に不可能なレベル''なので結局のところ運任せ。むしろ出ると出した方がびっくりして反撃をし損ねてしまうとかよくある話。 ---さらに相手の起き上がりや空中くらいの着地等、無敵状態からガードができるようになる状況に「完全に斬り攻撃を重ねてしまう」と、「攻撃が当たる瞬間にガードした」と判定されて''自動的に受け返しが成立してしまう''((上記の下段避け暴発も同じ現象で、攻撃の当たる瞬間にしゃがみガードの判定になるためと推測されている。))。 -バグによる一部キャラの優遇 --幻庵とアースクェイクの2人は、しゃがみ状態だと殆どのキャラに投げられなくなってしまう。 ---この2人はしゃがみ状態の横幅(キャラ同士が近づける限界)がやられ判定(攻撃技と重なると喰らう範囲)よりも広いため、リーチの短い投げでは接触しても射程外になることが原因。 ---アースクェイクを投げられないのはガルフォード(リーチの長いストライクヘッズなら可)、王虎、狂死郎、幻庵、アースクェイク、十兵衛、幻十郎、チャムチャムの8人。幻庵はこの8人にナコルル、右京が加わり10人となる。 ---そのため体力リードされた幻庵にしゃがんで待たれると、ナコルルは完全に詰んでしまうというのが定説だった((一応、当初より特定の手順でナコルルでもしゃがみ幻庵を投げられることは判明していたものの実用性の薄いネタレベルだったのだが、その後2014年に実戦的に使える対しゃがみ投げ手段が発掘された。))((右京もしゃがみ幻庵を投げられないが、つばめ返しや残像踏み込み斬り等しゃがみ待ちを崩す手段は豊富で、さらに幻庵自身がそれらへの対処が厳しいこともあってさほど問題にはなっていない。))。 ---アースクェイクの場合は前作で投げそのものが無効という設定だったので、投げに頼らない戦術がすでに定着していた。またしゃがんでも図体がでかいため、昇りジャンプ攻撃の「見えない中段」を当てられるキャラが多く、一応は詰まない。 --ガルフォードの「マシンガンドッグ」「メガストライクドッグ」を王虎、狂死郎、幻庵、アースクェイク、幻十郎、黒子の6人に決めると、犬が噛み付いている間にダッシュ強斬りで追撃可能。特に武器破壊技であるメガストライクドッグは、噛み付いている時間が長いため''2回ダッシュ強斬りが入る。'' ---ただガルフォードのこれはそもそも犬技がまともに当たるものではなく、ダッシュ強斬りもバグ風の挙動で安定して出ないため、キャラ限定連続技として割り切れるレベルではある。 -高難度かつ単調なCPU戦 --SNK格闘のCPUといえば''超反応''で有名だが、本作のCPUも同様で、シリーズ作品中でも屈指の凶悪さを誇る。2人目ぐらいまでは棒立ちのため、強斬りを適当に振っているだけでぶった斬れる木偶のような味気なさだが、その後は一転、「投げ狙いのダッシュで詰め寄りつつ小技をガード、大技を避け動作で回避、こちらが固まると投げる」という極悪なアルゴリズムで攻めてくる。 --対人戦の立ち回りは基本的に通用せず、アルゴリズムの隙を突いた作業プレイ、または''投げ封じの小足連打を敵がガードミスで喰らってくれることを祈る''という一方的な防戦を強いられるため、あまり評判は良くない。CPUは、下段に届かない技を前転で避けて接近→投げるという味なマネも得意で、牽制技すら迂闊に振れない。 --最後に待つ羅将神ミヅキは超反応の極み。さらにワープ技、こちらを豚に変身させたりレバー上下を入れ替えたりする無力化技、相打ちで十二分に元が取れる発生保証付き飛び道具など、ラスボスらしい壊れ技を多数持つ。&br;ついでに怒り関連の性能も全キャラ最高レベルで、とにかくキレやすく冷めにくい。 ---なおPS版『剣客指南パック』ではプレイヤーも使用できるが、ジャンプが遅い・立ち強斬りが弾かないため反撃されやすい・体力を削れる技が一つしか無い・連続技のパターンが少ないなどプレイヤーキャラとしては微妙な性能。『KOF'96』のゲーニッツ同様、CPUは超反応故の強さだということが解る一例であった。 --ちなみに隠しキャラの黒子は、離れて対峙していると飛び道具を撃つため、本作では珍しく飛び込みを綺麗に決めさせてくれるキャラ。超反応で強いことには変わりないが。 --CPU和独は前転にキャンセルをかけて投げるというプレイヤー側には不可能と思われる行動を頻繁に仕掛けてくる。CPU牙神など一部のキャラはジャンプ攻撃に対し完全無敵になれる特殊なガード方法を使ってくる、これをされると牙神をすり抜けて地面に着地したと同時に投げられてしまう。どちらも何度でも使ってくるので連発されるとCPU戦の興が冷める事甚だしい。なお特殊なガードのほうはyoutubeでも上級プレイヤーが使いこなしている。 --CPUが対応できない戦法や技があり、キャラによってはクリアだけなら比較的安定させることができた。以下はその例。 ---アースクェイクのしゃがみ強斬り。なぜかCPUはこの技を棒立ちで喰らう。ラスボスのミヅキすらこれだけで勝ててしまえた((普通に出すと飛びこまれやすいが、分身技の「ファットコピー」を相手の反対側に出現するように出してそこからレバーニュートラルで強斬りを出すと、何故かしゃがみ強斬りが出てCPUもしゃがみ技と認識しないため、安全に当てられる。ちなみにミヅキはアルゴリズム上あまりジャンプしないので直接出すだけでいい。))。また前述のバグのおかげでしゃがんでいれば大半のキャラには投げられないというのも一役買っている。 ---ヒットさせると相手を強制的に気絶させる花諷院和狆の「縛鎖丈撃」と不知火幻庵の「爪つまみ」。対戦ではレバガチャですぐに回復されてしまうが、CPUは回復しないため、この技を一度でもヒットさせればあとは強斬りキャンセルから出すことでハメることが可能。 ---服部半蔵・ガルフォードは分身で相手の方に出現し、その直後にコマンド投げを決めるというパターンが有効。 ---ミヅキにはシャルロットのしゃがみ強斬りや、ズィーガーの「ファイヤー・ストゥーム(通称デコピン)」も割と当たる。但し確定はしないのでこれだけで勝つのは難しいが。 ---- **総評 初代『サムスピ』の爆発的な人気を受け、発売前から高い期待を寄せられていた中、満を持して登場した本作。~ 丁寧な作り込み、良い意味ではっちゃけた演出、魅力的な新キャラなどはその期待に十分応えるものであり、見事にシリーズ最大のヒット作となった。~ 一方でシステム面や対戦バランス面での粗が少々目立ち、前作よりも大味なゲーム内容になってしまったため、対戦格闘ゲームとしての出来はやや落ちるという評価が妥当かもしれない。~ 裏を返せば初代サムスピが奇跡的な作品だったということでもあり、お手軽にサムスピの醍醐味を味わえる本作はより取っつき易く、より万人が楽しめる一作になったと言えるだろう。~ 本作の成功で人気絶頂期を迎えたサムスピは続編として『[[サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』、RPGの外伝『[[真説サムライスピリッツ 武士道烈伝]]』などを繰り出し、さらなる展開を図っていくのだが…。~ ---- **CS機移植 本作発売当初はSNKがMVS/NGゲームの他機種への移植を取りやめることを発表したこともあって移植作は少なかった。~ 同時期の『THE KING OF FIGHTERS '94』も同様の憂き目に会っている。 セガとクロスライセンスを結んでSSに参入したのは、この発表から1年程度後のことである。PSへの参入はもっと遅かった。~ そのため時期的なタイミングもあり、上記2作は人気作であるにもかかわらず長らく他の移植作が登場しなかった。 ''NG版'' -1994年12月2日にSNKより発売。NGはMVSの完全互換機なので、当然ながら移植度は完璧である。対戦でのみ黒子が使える。 ''NGCD版'' -1994年12月15日にSNKより発売。BGMがアレンジ音源になっているが、相変わらずロードが長い((特にゲーム開始前の部分が異常なほど長いが、ゲーム中のロードは後期ソフトよりはマシ。))。 --対戦でのみ黒子が使える。 --キャラクター選択画面で表示されるキャラがアニメーションせず静止画に変更されている、一部のボイスが削除変更されているなど本体発売年のゲームでありながら先行した『THE KING OF FIGHTERS '94』同様、早くもスペックの影響を受け劣化が見受けられる移植となっている。 ''Win版'' -初版は1996年11月14日にゲームバンクより、XP対応廉価版は2004年2月19日にメディアカイトより発売。 --NGCD版ベースの移植。所々でディスクアクセスが入る為テンポが悪い。 ''PS版'' -1998年3月26日にSNKより発売。2007年5月31日にはゲームアーカイブスでも配信されている。 --『サムライスピリッツ 剣客指南パック』に前作『サムライスピリッツ』とのカップリング移植。 --対戦でのみ黒子に加えてミヅキも使えるが、同キャラ戦や黒子VSミヅキは不可。 ''PS2 / Wii版『[[サムライスピリッツ六番勝負>サムライスピリッツ 天下一剣客伝#id_aafdeeb3]]』'' -2008年7月24日にSNKプレイモアより発売。2D『サムスピ』シリーズを網羅した『六番勝負』に収録されている((初代~『零』はネオジオROM版、『剣サム』はPS2版ベース。))。 --対戦でのみ黒子が使える。また、言語設定が削除されている。 ''Wii版'' -2008年7月23日にD4エンタープライズよりバーチャルコンソールとして配信。要900WP。ネットワーク対戦は不可。 ''360版'' --2008年9月10日にSNKプレイモアよりXbox LIVE ARCADEとして配信。要1,200MSP。ネットワーク対戦に対応しているが内容の割に高い。ガロスペは400MSPで買えるのに。 ''iOS/Android版'' -2013年6月27日にSNKプレイモアより配信。Bluetoothを使ったマルチプレイヤーモードを搭載している。 ---- **余談 -覇王丸の秘奥義「天覇封神斬」はその異常なコマンドの難しさ(341236421+BC)もさることながら、アニメ『サムライスピリッツ~破天降魔の章~』でそのコマンドが先行紹介される企画があった。~ しかしその場面があまりにも速すぎ、録画してスロー再生でもしないと''公開されていることにすら気付かない''ようなモノであった…。 --なお、このアニメは初代をベースにしてるため登場キャラも13人全員出ているのかと思いきや、なんと橘右京だけ本編に出ていない。一応EDには声なしだがならず者に襲われてる町人を助ける展開で登場している。もし放送時間が長ければ本編でも使われてた可能性もあっただけに残念でならない。 ---また''SMAPの香取慎吾氏が覇王丸の声を当てていた''が、その演技力は上述した天覇封神斬が''「てんぱふうじんざん!」''と呼ばれている事からお察し下さい…。~ それに目を瞑るとしても、あまりにもいろいろ酷い出来のアニメであったため、ファンの間では黒歴史とされている。 ---ちなみに、このアニメのエンディングテーマ曲であったGWINKO(ギンコ)氏の歌う「“大好き”という嘘をついた」はややひねくれた愛情を歌った曲で評価が高い。~ 強いて問題点を挙げるなら、和風っぽくも無ければ、サムスピのイメージにもあまり合わないこの曲を何故アニメ制作陣はサムスピのアニメに使ったのかという一点だけである。 -武器破壊技は「名刀とか言って何本あるんだよ」((『コミックゲーメスト』でもネタにされた。なお例外的に服部半蔵の「無銘忍者刀」は無銘故に何本あっても問題はない。))「壊れた武器が直ぐに修復されるなんておかしい」((設定上は黒子(審判…の仲間)が修理している。なお前作キャラが誰も死んでいないのも「黒子が蘇生させたから」と言う理由。))((ラスボスのミヅキの武器は「神器」という設定なので武器破壊技を喰らっても破壊されない…というのは建前で、容量節約のために素手状態が設定されていないのが真相である。黒子も同様で、こちらはさらに鍔迫り合いで偽物の武器を一緒に投げる技も持ち合わせている。))とのツッコミを受けて本作のみの採用となり、次回作の『斬紅無双剣』からは「武器飛ばし必殺技」に変更された。 --後に『サムライスピリッツ天下一剣客伝』の「真」スピリッツで復活することになる。 -十分すぎるほどのヒット作となった本作だが、ネオジオROMはそれ以上の前人気を当て込んで作り過ぎたようで、新品が長年ワゴンの住人となっており定価の9割引き以下の3ケタ価格も珍しくなかった。そもそもネオジオ本体が(当時としては)高額だったので…。 -初代からの続投キャラである王虎は、なぜか得物を青竜刀から''石柱''に持ち替え、さらに人格まで様変わりしてしまった。 --初代では、荒々しくも威厳に溢れた「豪傑」と呼ぶに相応しいキャラだったが、スタッフにどういう意図があったのか、本作では粗暴で口汚い失礼漢と成り果てている。 --ボイスも頭の悪そうな演技で当てられており、バカっぽい掛け声とともに石柱を振り回す必殺技「気功大撲殺」で''プレイヤーの小足にカウンターを取る''CPUに濃い殺意を抱いたプレイヤーも少なからずいたとか。 --また王虎には「怒髪柱撃」という、自ら石柱に頭を打ち付けてダメージを負う代わりに怒りゲージを自分でMAXにするという無茶苦茶な必殺技も存在している。 ---この技は(弱めだが)攻撃判定も持っているため屈辱的な対空技としても使用可能で、更にこの技でトドメを刺すと殺害勝利扱いになるため''「阿呆がボケがばかがカスがあ!!死んでしまええ!!」''という貴重かつ屈辱的な殺害勝利メッセージを見ることも出来る((他にも「気功大撲殺」でトドメを刺した際に相手が燃焼しなければ殺害勝利扱いとなる。中・気功大撲殺は上半身無敵なので対空として使用可能で、その時に発生しやすい。))。 -ネオジオ版のテレビCMでは当時アイドルだった千葉麗子氏がナコルルに、地井武男氏が柳生十兵衛に扮しての剣劇が放送され話題を呼んだ。 --''いやそこは覇王丸だろ普通!''、''そもそも千葉氏はナコルルじゃなくてチャムチャムだろ! ''((上記の通りアニメサムスピではナコルルを演じているが。))という突っ込みはさておき、両氏の力演もあって真サムの魅力を上手く伝えているCMである。~ またこの両氏はほぼ同時期発売のネオジオCDのCMにも出演しており、この流れでの採用であったとも取れる。 --本作のROM容量は202Mビットと200Mビットを超えたことから、これまでSNKがネオジオのキャッチコピーとして展開してきた「100メガショック」はこのCMから使われなくなった。 -初代のラスボスである天草四郎時貞は、本作ではデモ画面でのみ登場する。 --善の心を持って復活し、ミヅキの手に落ちかけたプレイヤーを助けるといった活躍を見せるが、最終的にはミヅキによって消滅させられてしまう。 ---本作はアーケードにおけるシリーズの中でも最も未来の時系列であるため、これが作中世界における天草の最期となってしまった。 -本作の海外版タイトルは『SAMURAI SHODOWN 2』とナンバリングタイトルになっている。本作以降、MVS/ネオジオで出た作品と『~天下一剣客伝』までがこれに該当している。 --ちなみに、『~天下一剣客伝』の海外版は『SAMURAI SHODOWN VI』のタイトルでリリースされている。 -数々の珍誤植でも有名だったゲーメストだが、「サムライ''スポット''」だのと間違えられたサムスピの中で本作も例外ではなく「''直''サムライスピリッツ」と誤植されてしまった。 --もはや原型を留めない「[[天草システム>サムライスピリッツ 天草降臨]]」に比べれば、「真」と「直」は形が似てなくもないのでまだ納得できる(?) --NEOGEO20周年特別企画としてゲーメストの有名誤植が[[Tシャツ化>https://ebten.jp/p/7015010022722]]されたのだが、案の定この「直サム」も含まれている。

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