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//目次が長いので上部に移動 //史上最強はさすがに誇張しすぎなので表現を緩和 #contents ---- *メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット 【めたるぎあそりっどふぉー がんず おぶ ざ ぱとりおっと】 |ジャンル|タクティカル・エスピオナージ・アクション|CENTER:&amazon(B0016770EA,image=https://ecx.images-amazon.com/images/I/51vIeeXmhUL._SL160_.jpg)&amazon(B0009RQKUI)| |対応機種|プレイステーション3|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|コナミデジタルエンタテインメント(小島プロダクション)|~| |発売日|2008年6月12日|~| |定価|通常版:8,800円&brスペシャルエディション:9,800円&brプレミアムパック:51,800円(全て税込)|~| |廉価版|PlayStation3 the Best:2009年6月18日/3,800円|~| |判定|なし|~| |レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~| |コンテンツアイコン|暴力、犯罪|~| |ポイント|『メタルギアソリッド』シリーズの完結編&br''プレイ時間の約半分以上を占めるムービー''&br;新規を置き去りにする内容、後半のボリューム不足&br;''シリーズファン以外にはオススメできない''|~| |>|>|CENTER:''[[メタルギアシリーズ]]''| ---- **概要 『メタルギアソリッド』シリーズの第4作。小島監督曰く、ソリッド・スネークを主人公とした最後のシリーズ作品。Act1~Act5の全5章編成。~ その宣言通り、シリーズメイン主人公だったソリッド・スネークの最後の戦いと、「メタルギアサーガ」の結末が描かれる。~ 今作のテーマは「SENSE」。主に「感覚」を意味する言葉だが、本作ではそれに加えて「意志」や「遺志」と言った意味合いで用いられる。 前評判に違わず、当時のPS3ソフトにおける最高の売り上げを記録し、海外ではCOLOR(orange){2008年 Game of the Year}を受賞する程の評価を得た。~ 膨大な設定を抱える「メタルギアサーガ」を無事に完結させた反面、今までの以上のムービー多用やシリーズ未経験者への不親切さなどから、より人を選ぶ作品にもなってしまった。 通常版以外にも、特典映像ディスクが付いた「スペシャルエディション((初回出荷版は特典映像ディスクのケースがスティール製に、また特別三方背の外箱が追加されている。))」と、特典映像ディスクとオリジナルカラーのPS3本体が同梱された「プレミアムパック」も同時発売された。~ 2012年8月6日に配信されたパッチでトロフィー機能に対応し、キャッシュデータの一括インストール機能が追加。~ また、8月上旬よりパッチを適用済みの廉価版が順次出荷されている。 ---- **特徴・評価点 ***国産PS3ソフト最高レベルのグラフィック -発売は2008年とPS3では前期にあたるが、グラフィックはかなり美しい。 -Act3の東欧市街地などは、実際に現地で取材を行っており、かなり細部まで作り込まれている。歩き回ってみるのも楽しい。 -Act4では懐かしのシャドー・モセス島が美麗に復活。 --開発チームによると、これでも微妙な出来だとか。 ***変更された操作系統 -ボタン配置が今までのシリーズから変更され、普通のTPSと同じような操作方法になった。 ---例えば、「武器を構えて発砲する」という動作を従来作では□ボタンの押し込み具合で構える・発砲する判別していたため、構えを下ろそうとして発砲してしまった、ということがありがち。本作では構えボタンと発砲ボタンが別になっているので(ホールドアップなどで)構えてすぐに下ろすという動作が行いやすくなっている。 ---『MGS2』や『MGS3』ではボタン1つで行えていた主観カメラへの切り替えは構えボタンを押しながら△ボタンという操作に変更された。ただし、本作では三人称視点でも狙いがつけやすくなっている。 ***アクション・システム -特殊なアクションを行える場所で画面上にアイコンが表示されるようになった(壁への張り付き、段差を登る、エルードなど)。 -横ローリング・バックステップ・ホフクでの転がりなどが追加された。 --いずれも戦闘時の緊急回避などに使える。転がりはホフク移動に比べて多少カムフラージュ率は劣るものの、体勢を低く保ちつつ素早く移動ができる。 -体勢を低く保っての移動(しゃがみ歩き・走り)が可能 --前作に比べて、走行時のカムフラージュ率減少量が多くなったため、普通に走っているとカムフラージュ率はマイナスになり、あっという間に発見されてしまうので、うまく利用したい。 --以前の作品ではしゃがみ中はホフク移動になるため、その場で遮蔽物に身を隠すぐらいの使い方しかできなかった((ダンボールを装備して移動することで擬似的には可能だった。))。 --『MGS:PW』『MGS3D』など本作以降の作品にも採用された。 -スナイパーライフルや重火器を装備した状態、主観視点での移動が可能 -三人称視点(肩越し視点)では、照準(射撃武器)や着地点の目安(投擲武器)が表示されるようになり、主観カメラを使わなくても扱いやすくなった。 --また、ライフルや重火器は自動的に構えないようになり、装備すると視界が狭くなるという欠点もある程度解消された。 -クイックチェンジによるタクティカルリロードが完全に不可能になった(ただしリロード時間の短縮程度なら可能)。 -新カムフラージュシステム「オクトカム」 --壁に張り付いたり地面に這うなどして1秒程度静止すると、その環境に最適なカムフラージュパターンを読みとり、スニーキングスーツの色彩・質感が変化する。これにより、その場その場で最高のカムフラージュ率を保つことができる。 --顔用のオクトカム「フェイスカム」を併用することでさらにカムフラージュ率を高めることも可能。また、お遊び要素として若い頃のスネークやオタコン、雷電といった登場人物の顔を模したフェイスカムも手に入る。 //--赤外線センサーを搭載した無人機にはステルス迷彩よりオクトカムのほうが有効という設定のため、 ////記述が未完成のためCO。 --前作『MGS3』では時代設定もあり、場所ごとに迷彩服を交換する必要があったが、本システムの導入で遥かにテンポが良くなった。 ---数は少ないが固定パターンもある。あらゆるダメージを半減、静止していればカムフラ率99%を保つ、前作の仮死薬((使用すると一定時間仮死状態になり、敵を油断させることができるアイテム。))のような効果を持つもの(当然ながら、使用回数無制限)などかなり強力なものもあるので、ご利用は計画的に。 ---ただ、前作のスニーキングスーツやスネーク迷彩のような、どんな場所でも高いカムフラージュ率になるようなものがなく、こまめに読み取りを行う必要がある。 -前作は難易度を上げても足音に反応する距離は変わらなかったが、本作では難易度を上げると足音にも敏感になる。 --前作では、足音を感知されないためには、歩き移動よりもさらに遅いストーキング移動をする必要があったが、本作ではストーキングは廃止され、歩き移動で足音がしないようになった。 --前作では、潜入フェイズなら足音に気づかれて振り向かれてもすぐにアラートにはならなかったが、本作では即座にアラートになる((SOPシステムで瞬時に敵味方の判断ができるためと思われる。))。敵が後ろを向いていてもCQCでの強行突破がやりにくくなった。 -ホールドアップした敵からのアイテム奪取はボディチェックに変更された。立ち状態なら2個、伏せ状態なら4個まで入手できる。 --伏せホールドアップのタイミングと有効範囲が調整され、拘束後投げ以外で倒しても行い易くなった。しゃがんでいる敵に行うとそのまま伏せホールドアップになる。 ---- **シリーズファンには嬉しいステージやネタ -Act4は『MGS』の舞台であるシャドー・モセス島。 --10年近く放置されて廃墟と化してはいるものの、PS3の性能でリアルに表現された核廃棄施設を探索する事ができる。さらには昔を懐かしむスネークとオタコンの会話や、『MGS』のセリフが随所で聞ける。 --章開始時にはスネークの夢と言う形で、『MGS1』の施設前のマップをそのままプレイする事ができる。 --章のラストにはメタルギアREXも登場し…。 -ラストバトルはラスボスの体力に応じて『MGS1』~『MGS3』のLIFEゲージとBGMが順に再現されるという、シリーズファンには涙ものの演出である。 --LIFEゲージの所に表示される主人公名とラスボス名もそれぞれの原典に準拠したものになっているが、エンディングで明らかになる真実を加味すると、ファンサービスに加えてラスボスの状態を示した粋な演出になっているとも取れる。 --そして最後は本作のタイトル曲をバックに、満身創痍のスネークとラスボスがゲージも何も表示されない画面で決着を付ける…。 -『[[スナッチャー]]』や『[[ポリスノーツ]]』等、『メタルギア』シリーズ以外の小島監督作品に関するものが様々な場面で登場。『メタルギア』シリーズにとどまらず、氏のこれまでの作品すべての総決算といってもよい。 ***ストーリー -「これで最後」「シリーズの謎が明らかになる」という宣伝がなされた『MGS3』においてさえも結局謎は残り、エンドロール後に黒幕の通信音声が聞こえるパターンが常態化してきた『メタルギア』シリーズだが、''本作では正真正銘、ソリッド・スネークの戦いにまつわるすべての謎が明かされる。'' --「愛国者達」に纏わる謎をはじめ、これまでに登場したキャラクターが一体どのような思惑を抱きどう行動してきたのか、そしてそれがどのように世界に影響していったのかが明かされる。 --色々と強引なうえに矛盾点もないわけではないが、重要な組織・人物・事件の謎から、個々人の登場人物に至るまで、''暗い含みは一切といっていいほど残されない。'' --ゲームの謎をほぼすべて回収した上、「蛇」を巡る因縁などシリーズの芯ともいえるエピソードが決着し、ソリッド・スネークにも救いがもたらされる。これ以降は『MGR』の雷電などのように、若い世代が新たな戦いを始めるのみとなる。 ---ただ、その矛盾点はやはり無視できないものも含んでいる。これについては問題点の部分も参照。 --ソリッド・スネークの父親に相当するビッグボスは、声優もスネーク役の大塚明夫氏の''実父''である大塚周夫氏が演じる等、声優ファンにも嬉しい配役である。 //遺作というわけでもないので故人表記は削除 ***その他 -クリア後に所持していた武器弾薬にアイテムを引き継いでの2周目プレイが可能。 --『MGS』『MGS2』とは違い、ユニークアイテム以外も引き継ぐ。 --ただし、クリア時に高評価を狙う場合は封印しなければならない武器・アイテムもある。 ---クリア時にはプレイ内容に応じた称号が貰える。あまりに内容が酷いと''「PIG」「COW」「CHICKEN」''といった、明らかに揶揄の意味合いが込められている称号が付けられてしまう。 -目立ったバグや不具合は無い。 -シリーズお馴染みのカムフラージュアイテムとして「ダンボール」だけでなく、『MG2』に登場した「バケツ」を彷彿とさせる「ドラム缶」が登場。 --重量があるが、転がって敵に体当たりすることが可能。この「ドラム缶アタック」はコミカルながら、高難易度の敵でも1発で気絶するほど強力。 ---なお、調子に乗って転がり続けると急停止し、嘔吐してしまう。気力が大きく減退し、また隙だらけとなる。 -後述されている長いムービーだが、ムービーそのものは良質。 --STARTボタンを押して一時停止することも可能にもなった。 ---- **賛否両論点 ***多彩な武器 -旧作を遥かに上回る合計70種類。 --オリジナル武器も登場。異様にリロードモーションの凝った種子島や、『[[ボクらの太陽>ボクらの太陽 Django&Sabata]]』の太陽銃などのネタ武器も存在する。 --SOCOMやM1911A1など過去作で登場した武器も登場する。これらの武器はパスワードを入力することでも入手できる。 ---『MGS2』のAN94が登場しているのにスパス12が無い、先述のSOCOMがあってファマスが無い、PSG-1が無い代わりに原型モデルであるG3A3と、それを機関銃として改造したHK21が出てくるなど、そのチョイスに首をかしげる武器も多数。 --ただし、これらの武器は5つまで携行できるが、M4 CUSTOMとOPERATORの2つを外していた場合、ムービーの度に強制的にそちらに置き換えられてしまう。必然的に使用武器が固定化されてしまい、それらの武器を使う機会がろくに与えられていない。この点は『MGS:PW』で改善されている。 ***「ドレビンショップ」の存在 -戦場から回収した武器を武器洗浄人「ドレビン」に渡すことで、武器に応じたDP(ドレビンポイント)が得られる。これを用いて武器・弾薬・アイテムが売買可能なシステム。 --本作では各地を転々とするため同種の弾薬を入手し辛い。それを救済するシステムとも言えるが、シリーズの特徴であった「現地調達」の面白さが失われたとも言える((もちろん、利用しなくても問題ない。拾った武器は基本的にドレビンに洗浄してもらう必要があるが、それに使うDPは普通にプレイしている分だけでお釣りがくるほど。))。 --さらに、弾薬の所持上限数が従来作と比較してかなり多くなっている。EASYではなんと9999発、NORMALでも893発((作中で登場するドレビンは893人目。「ヤクザ」の語呂合わせとなっており、小島監督曰く日本特有の言葉を入れたかったとのこと。))。 --前作ではアイテムボックスから入手していたサプレッサーもDPに糸目を付けなければ上限まで購入できる。そのため、実質的に『MGS』『MGS2』のように使用回数制限はない。また、最も使用頻度が高いと思われる麻酔銃のサプレッサーは使用回数無制限となっている。 --''ボスとの戦闘中にも買える''ことに不自然さがある((一応、小型兵器メタルギアMk.IIを介しているという設定がある。))。一方で、旧作でもボス戦中に弾薬が底を突くとアイテムが周囲に現れることを考えれば、突っ込んだら負けとも言える。ただし弾薬を探してウロウロしている間にやられるということは無くなったため、幾分難易度は下がった。 --このシステムのおかげで2周目以降の武器・アイテム等引き継ぎプレイがはかどるという意見もある。 ***旧作ネタの多用、それを把握しても分かりづらいストーリー -本作は旧作に関連するネタ(特に『MGS2』や『MGS3』のネタ)が非常に多い。シリーズ経験者がニヤリとできる要素でもあるのだが、「あまりに多くて食傷気味」「未経験者を置き去りにしている」という意見もある。 --これだけ長大になったシリーズの謎を、本作のみで回収しようとする姿は評価できうるものだが、それに終始しすぎた感が否めない。~ 結果として後半のゲーム部分のボリュームが薄くなってしまったため、''ムービーを入れるより本編をもっと作り込め''という声も多い。 --過去編の『MGS3』や現代編の『MGS2』の話を含めた謎が明かされる場面はシリーズを知るファンからすれば嬉しい謎解きだが、当時『MGS4』だけプレイした層からは意味不明とも言われた。 --しかしまた別の問題として、新規ファンは現代編の『MGS1』『MGS2』『MGS4』の''ソリッド''スネークと、過去編の『MGS3』『MPO』の''ネイキッド''スネークを''同一人物だと勘違いしがち''((設定上ほぼ顔が同じであり、これも分かり辛さに拍車をかけている。))であり、本作はこれに対する理解が重要なのにもかかわらずあまり分かりやすい説明がされていないという点が挙げられている。 ***「オクトカム」の性能の良さによる難易度低下 -本作はオクトカムのカモフラージュ性能が歴代でも高く、場所によっては目の前でも全く見つからない事がある。 --これ自体は初心者への敷居が低くなった一面もあるが、シリーズファンからは簡単すぎて物足りない部分も。 --この便利すぎるオクトカムがボリューム不足に拍車をかけているような部分もあり、結果的にもう少し性能を低くしても良かったのではという気がしなくもない。 ***ムービーの仕様 -ムービー中にSTARTボタンを押すことでポーズをかけられるようになったが、ボタン一つでスキップできなくなったという不満意見もある。 ***キャラの一部の扱いについて #region(ネタバレ注意) -死んだと思われていた登場人物が結局生存したという展開が多く、これにしらけるプレイヤーも多数存在した。 --スネークも自らを抹消して世界を守るという悲壮なエンディングの方が、作品が引き締まり、これらのプレイヤーを納得させられたというやや過激な意見のファンも。 #endregion ---- **問題点 ***ストーリー・エンディングに対する評価 #region(ネタバレ注意) -変異したFOXDIEの暴走を防ぐため、スネークが自殺したかと思ったら踏み止まっており、そこにビッグボスが突然登場。 --そして彼の口から『MGS4』及びシリーズの謎が解き明かされる…という展開が唐突すぎるという意見がある。 --そもそもこのシーン自体が長い。語られる内容自体は相応に濃いが、既にゲーム部分が終了して最後のムービーパートに入って久しいところからさらに長々と展開するため、いい加減うんざりというプレイヤーも多かった。 ---また、ここまでに謎自体は充分に明かされているため、要らないという意見も非常に多い。 --さらに、ビッグボスは『MG2』以後から人工的な脳死状態で保管され、愛国者達のAIが滅びたこと(つまりつい最近)でようやく覚醒した浦島太郎状態だったというのに、どうやって物語の真相を事細かに語れるほどの情報を得ていたのか…という脚本的な意味での違和感も禁じ得ない。 -ビッグボスの話を含め、物語の密度についていけないプレイヤーの間では''最後まで何が何やらさっぱり理解できない''という声もちらほらある。それはゲーム側のシナリオの問題だが、シリーズファンでこれなのだから、旧作未経験者はもはや完全においてけぼりである。 --実際これらの話には今作で急に明かされる、飛躍した設定などが数多く、それまでのシリーズをプレイしているとしても全てを理解するのは難しい部分が否めない。 -リボルバー・オセロットは『MGS2』の時点では実際にリキッドに憑依されていたのだが、本作では憑依の原因となっていたリキッドの腕を切り落とし、人工筋肉の義手をつけていることが最後の殴り合いのシーンで確認できる。 --そして、このオセロットの真実を含め、ここでビッグボスが明かす内容は、要は『MG』から本作に至るソリッド・スネークの戦いはすべて、「愛国者達」オリジナルメンバーの戦いに巻き込まれ続けていただけであったということである((彼が武装国家を設立した理由を『MG2』では「戦場でしか生きられない自分のような人間のために意図的に戦争を引き起こし続けるため」と語っていたが、今作では世界征服を進める愛国者達に対抗するためだったという設定に変えられた。また、『MG』と『MG2』の軍事蜂起もビッグボスが愛国者達の支配を弱めるために行ったものだった。))。 ---要約すれば、『MGS』シリーズは「愛国者達」と離反したメンバーによる''壮大な茶番劇''とも言える。シリーズを通してスネークは事情も知らず彼ら(特にオセロット)に振り回され、今作も完全にオセロットの計画のコマとして働かされていたという事実に、プレイヤーによっては''ひどい徒労感''を感じる((見方を変えると愛国者達の支配が拡大し、世界中が戦乱の渦に巻き込まれてしまったのは、事情を知らなかったスネークが対抗勢力だったビッグボスの軍事蜂起を邪魔したせい、とも取れてしまうのである。))。 ---スネークには、ビッグボス達がついに手に入れられなかった真の自由=「フリーダム」を与えられるという救いが最後にもたらされた、とビッグボスは語る。確かにそれ自体には矛盾はなく、綺麗に物語を締めくくっているが、これだけでは徒労感が拭いきれなかったプレイヤーもいる。 -小島監督は本作を「スネークのサーガ」と語っているが、前述のとおり今作は今までのシリーズの謎の種明かしに焦点がおかれているため、結局その中心から外れているソリッド・スネークは『2』同様に若干蚊帳の外という扱いなのも批判の声が大きい。 --全体的なストーリーの流れを見るとソリッドでは無くビッグボスとその周りに焦点が合わせられている感じである。 #endregion ***史上最長とも言われるムービーの長さ -''恐らく世界一ムービーが長いゲーム。''その長さはなんと''約9時間。''「ムービーの合間にゲームがある」とまで言われるほど。 --特に最終章のAct5は''大半がムービー。''潜入パートに至っては最初の1マップだけ。 -しかもそれに反比例して特にストーリー後半のゲームプレイ時間が少なく、ムービーを飛ばした場合は前述の難易度の低さもあって普通にプレイしても6時間程度、熟練者は4時間ほどでクリアできたという報告があるぐらいボリュームが薄い。 --ただし、これまでの『メタルギア』シリーズと比較してそこまで密度が薄いというわけではない。それでもボリュームは短めで、物足りないのは否めないが。 --ちなみに、クリア時にプレイ成績に応じた「称号」が手に入るが、最長の称号にはプレイ時間35時間を求められる。安全地帯で放置でもしない限り無理である((シリーズ経験者が初めてのプレイで、ムービーも全て見たとしても15時間程度でクリアとなる。そこからさらに20時間以上の時間潰しが必要となる。))。 -ワンシーンを妙に引き延ばす演出(例:ライデンが月光を振り回すシーン等)も多用されているため、ムービーの長さを助長している。 -評価点に述べたとおり、操作やゲームシステムには非常に意欲的な新要素が多いのだが、そもそもそれを活かせるプレイパート自体が少なすぎる。 -例として、フェイスカムはストーリーの前半部分が終わった後にようやく使える。いくらなんでも遅すぎである。 -スタッフロールがとても長い上にスキップできない。これは前作までも同様だが、本作は称号やトロフィーといったやりこみ要素のコンプリートに最低8周のプレイが必要((『MGS2』でも最低5周は必要だった。それが改善どころか悪化している。))であるため不満が多い。 --携帯機作品である『MPO』や『MGS:PW』では一度見ればスキップできるようになっている。 //この部分はregionに入れる事もないし、シナリオへの評価とはちょっと違うのでこっちへ ***テンポの悪さ -老化が進んでいるため仕方ないのだろうが、過去作に比べてスネークの移動速度が遅い。 -何も装備しなければ普通レベルだが、武器を多く装備するとかなり遅くなる。マップも広いので移動に時間がかかる。 -全5章編成だが、章が変わるたびに3~6分程度のインストールが必要。2周目以降も。 --総インストール容量が推定20GB近くもあり、発売当時はPS3のHD容量が最大60GB(北米では80GB)しかなかったため、分割インストールは仕方なかったのかもしれない。 ---ディスク交換の手間を無くすために1枚に収めたというのに、ディスクを交換するよりも時間がかかってしまうというのは、皮肉な結果である。 --2012年8月に配信されたパッチで一括インストールが可能になり、周回時のテンポははるかに良くなった。ただし、インストール容量も10GBと多いため、初期型のPS3ではHDDの換装が必要になるかもしれないので注意。 -ロードも地味に多い。特に、場面が変わるときに長めのロードが入る。 -目立った処理落ちは無いが、フレームレートは30~5の間を絶えず変動する。『MGS2』のように60fpsとまではいかなかった。 ***宣伝とのギャップ -「戦場に潜入する」と謳っているが、実際にステージが戦場なのはAct1とAct2だけだったりする。 --Act3には(レジスタンスを尾行する目的はあるものの)潜入要素がほとんどない。変装していれば敵兵に見つかっても問題ないし(前作では変装を見破るキャラがいた)、銃器・CQCも使用できる。制限はステルス迷彩が使えなくなる程度((とはいえ、さすがに前作のグロズニィグラード並みになんでもありというわけにはいかない。))。 ---街には夜間外出禁止令が出されているため、PMCに見つかるとレジスタンスは問答無用で連行されていくが、片手にナイフを持つあからさまな不審者はお咎めなし。それでいいのか、PMC。 ---レジスタンスは変装をして撒いてきたり、敵の車が急に走ってきたりなど頻繁に尾行の妨害がされるため簡単にクリアはできないが、Act3の大半がこの内容で後は強制戦闘&ボス戦という構成はやや物足りなさがある。 --Act4に至っては、''ボス戦以外兵士が出てこない。''いるのは最新型のメタルギアである月光と仔月光という無人兵器だけ((月光は元々核運用を前提としていないので厳密にはメタルギアではない。))。 ---ただし、「無人兵器の目を掻い潜って潜入する」というスニーキングミッションはある。聴覚や視覚は人間の敵に劣るが、警戒態勢になると仔月光が大量に集まってくるので厄介。 ---無人兵器に有効なチャフグレネードは入手箇所が少なく、ドレビンショップでも販売されていない貴重品となっている。 -Act5は後半のステージでも特にゲーム内容の薄さが指摘されており、前述の通り潜入パートは何と''最初のエリアのみ。''後はボス戦と間にただステージを駆け抜けるパートがあるのみである。 -「戦場というシチュエーションに潜入する」というテーマに則り、プレイヤーの行動如何で兵の感情が変化し、潜入難易度が変化するというシステムがあるのだが、このシステムに至っては作りが浅く、ほぼ存在意義がない。そもそも、''ゲーム前半で、このシステムが活用される戦場ステージが終了する''のである。 --武装勢力に味方すると「英雄度」というパラメータが上がり、スネークに対して友好的になる。お礼にアイテムを貰えたりするのだが、存在を知られてはいけない潜入作戦なのに顔を晒していいのだろうか。 --逆に英雄度が低いと武装勢力からも攻撃される。武装勢力は無線で増援を呼ぶことはないが、ノーアラートで進むなら英雄度を高くしておいた方が楽。 --また、発売前のインタビューでは「戦場に2つの勢力が存在したとして、どちらに協力するか」といったような、2つの勢力の中でプレイヤーの位置が行動によって変化し、それによって戦場の状況が変化する、と言われていた。 ---戦場にはPMCと民兵の2つの勢力が存在するが、PMCはナノマシンで感情を制御されているため、いくら協力してもスネークには好意は持たない。感情が変化するのは民兵の方のみである。 --つまり、''隠れながら先に進むより民兵と一緒に戦った方が手っ取り早い。''これではステルスアクションの意義が…。 ***シリーズ未経験者への不親切さ -シリーズ未経験者への補足は''一切ない。'' --この点は電撃プレイステーションのレビューでも、真っ先に欠点として挙がっており、本作から初めて『MGS』をプレイしたユーザーからは、「意味の判らないムービーを長々と見せた挙句、ろくに遊ばせてくれないクソゲー」とまで言う人もいた程。 ---発売前のプロモーションでは「シリーズを知らなくても楽しめる」と豪語されていたが、''ハッキリ言って詐欺としか言い様がない。'' --ここまでにも何度か述べているが、シリーズの謎を回収する姿勢が裏目に出てしまっているといえる。 ---一応、発売後に配信された「METAL GEAR SOLID4 DATABASE」という無料DLCで今作までの各種データを確認する事はできた。ただし2012年に配信終了。 ***小ネタや無線の激減 -今までのシリーズ作と比べると、よりシリアスな作風となっており、シリーズ恒例の任意無線は大幅に少なくなった。 --そもそも、こちらからコールできるのもオタコンとローズだけと少なく、セーブもメニューから行うように変更されてしまった。 -理由は、従来作の豊富な無線を考えた人は小島監督ではなく共同脚本の福島智和氏であり、かつ彼が前作を最後に退職したため。 --これにより本作はもちろんのこと、後の『MGS:PW』や『MGSV』からも、『MGS1』~『MGS3』のような豊富な無線が無くなる結果となってしまった。 ***没個性的なボスキャラクター -ボスキャラクターであるBB部隊の評判が、『MGS1~3』のボスと比較して芳しくない。 --あまりにも人間離れしたデザインから、『MGS』の世界観にはそぐわないという批判がある。 --旧作のボスキャラクターが概ね個性的だったのに対し、BB部隊は全員同じような容姿と過去を持った女性である。 --それぞれの暗い過去も、勝利後にある人物から唐突に無線で簡潔に説明されて終わりである。スネークとの熱い会話などは無い。 --また、戦闘終了後はさらに本体を表した彼女達とのイベント戦があるのだが、これを入れる必要性が特になくただ''エロいだけ''のバトルと言われた。 --ストーリーにも特に大きく関わるわけでも無いからか、後述の小説版ではBB部隊は未登場となっている。 -次回作の『MGS:PW』でもボスはAI戦車とのバトルのみ、『MGSV:TPP』ではボス戦自体余り無かったりとこの点はシリーズの最後まで改善されなかった。 ***無理のある設定とやりすぎな演出 #region(ネタバレ注意) -旧作との整合をとるために、無理矢理感のある設定や、後付ゆえの様々な矛盾が存在している。 --スネークはCQC((『MGS3』で初出の格闘術。))を使えるが、今まで使わなかったという設定が少々強引すぎる。 --『MGS』で名前だけ出てきたクラーク博士と『MGS3』のパラメディックが同一人物であることが明かされるのだが、旧作の発言と矛盾している。 ---パラメディックは女性であるはずなのに、『MGS』にてナオミから「''彼''」と呼ばれている。ちなみに小説版『MGS』では「彼女」に訂正されている。 ---後のシリーズではクラーク博士は経歴不明で滅多に人前に出ない事で有名と語られている。 //「リキッドとスネークの出生に関わったのはパラメディック」からの性別云々の内容は文脈に合わないので変更 -『MGS2』から登場したアメリカを影から支配する謎の組織「愛国者達」の正体が、『MGS3』に登場したキャラ達だったという真相((ただし、『MGS3』からある程度の設定や伏線は存在していた。))も、「狭い人間関係で完結してしまった」としてスケールダウンを感じさせることになった。 --『MGS2』では、そのトップに立つ12人が100年前に死んでいたなど、得体の知れなさを押し出して描写されていたのに、本作であっさりと''偽情報だった''として流されてしまう。 --特に、『MGS2』に登場したA.I.は「愛国者達」が手に入れた新たな力の1つのように表現されていたが、本作ではこのA.I.自体が「愛国者達」なるA.I.ネットワークの根幹をなすものであったことが明かされる。この事実も同様であろう。 -本作発売と同時に、全作分の資料集である『METAL GEAR SOLID4 DATE BASE』がPSストアから無料配信され(現在は配信終了)、さらに『MGS2 バンドデシネ((『MGS1』『MGS2』のデジタルコミックのDVD。))』も発売されたが、これらも細かい部分で相互に矛盾しあっており、結局何が真実なのか分からない。 -『MGS』にてFOXDIEに感染したスネークであったが…。 --長年潜伏した事によってより凶悪な殺人ウィルスに変異しており、もはやスネークそのものが歩く細菌兵器と化している事が発覚する。 --よって、最善手を取るならスネークは今すぐ隔離か死を選ぶ方が良いという絶望してくれと言わんばかりの話になる。いくらなんでも負の御都合主義が過ぎるだろう…。 --なお、後述の気力ゲージが活躍するシーンでもある。%%空気を読んでくれ%% -演出面にもやりすぎな部分や不自然な点が見受けられる。 --代表的なものは、''戦闘の最中に愛の告白とキスをするメリルとジョニー''、''重大な話をしているナオミのパンツを覗こうとするスネーク''などが挙げられる。 //メリルとジョニーのは演出としてはありがちな物と思うんだけど、どちらかと言えば賛否の方じゃない? --劇中で雷電がスネークの身代わりになり巨大戦艦に押しつぶされるのだが、その際に''誰がどう見ても死亡した''と思われるような演出が入る。しかし、その直後のムービーのスネークとオタコンの''「雷電は?」「一命は取り留めたが到底参戦は無理だ。休ませてあげよう」''という会話で生きていることがアッサリ告げられる。プレイヤーからすると肩すかしを食らった気分になる。 //「スネークは雷電は死んだと思ったが傷つけないようにオタコンに対して生きていると嘘をついたという見方もできるかもしれないが、過去作品から考えるとそういう嘘をつくタイプではないしそもそもすぐバレるだろう」は文脈に沿わないので修正 ---雷電は「あのまま死亡する」か「死亡したと見せかけてスネークの危機に再登場する」方が良かったのではという意見が当然ある。 ---実際、この後でスネークのピンチに駆けつけるシーンがある。前述の会話が無かった方がプレイヤーに与える衝撃が大きかった事だろう。 ---新たなタイトルの主人公たりえるキャラクターなのだからもちろん殺すわけにはいかなかったのだろうが…。 --これに加えて、エンディングの項目で述べたスネークの最期など、全体として人の生死が少ない。過酷な戦場の様子が序盤から繰り返し描写されるにもかかわらず、「実は生きていた」「やっぱり死んでなかった」といった形で重要キャラクターが生き残るという展開が、作品を弛緩させてしまっている。 //--9年間スネークに中破させられ、その後極寒の地に整備すらされず放置されていたメタルギア戦を想定していないREXが、通常の整備がされているはずの5年前に開発された対メタルギア用であるRAYと互角に戦える。 //---RAYとの戦闘では噛みつきのような攻撃方法があるのだが、REXの口にあたる部位はコクピットである。こういった点から見てもいろいろとおかしく、「メタルギアvsメタルギアというシチュエーションをやりたかっただけでは?」と思われる事も。 //あれはコクピットではなく関節で挟んでいるだけ。「専門のオタコンのサポートと密かに組んでいた格闘戦のシステムがあるから勝てた」という理由付けもされている。そこで文句を言い出したら「優性形質を持つリキッドがソリッドに負けたのはおかしい」って言っているようなもの。 -最終決戦はオセロットとの殴り合いだが、始まるまでのムービーが例によってとにかく長い。 --それを乗り越えると、『MGS1』のBGMとともに当時の体力ゲージが表示されるという非常に熱い演出が入るのはいいのだが…。なんと''同じ事を『MGS』シリーズの本数分繰り返す''というとんでも演出にそのまま突入する。 #endregion //別にネタバレという程でないのもあるので移動。 -旧作から登場している人物の出現や後半のとあるステージで多用される旧作ポリゴン演出。 --該当のシーンに入ると当時のローポリがオーバーラップするという演出なのだが、演出としては不自然さのほうが目に付く。 --「懐かしさ」を推しだす胸の熱くなる演出という意図なのだろうが、それにしてもやたら出てくるのでくどい。 -気力ゲージについて。 --スネークのメンタルを表現する演出としてムービーシーンでも登場するが、かなりシリアスなシーンであっても問答無用で表示されSEが鳴りながら増減する様はもはやギャグである。 -作中時系列において、兵士は皆ナノマシンを体内に注入しており、戦闘に特化した様々な恩恵を受けているという設定。 --この中に「殺人に対する忌避感(罪悪感)を無くす」という物があり当然のように敵に利用されるのだが、例によって演出が過剰で味方の兵士が苦しみ藻掻いて行動不能になるシーンが数回ある。いくらなんでも罪悪感や忌避感で誰も彼もがそんな事にはならないだろう。 --ほぼ全員なので当然、その中には歴戦の強者といった人物も含まれる。 %%「よくこれで10年も生き延びてこれたな。」 %%((項目とは関係ないシーンでスネークがある人物に呆れて言い放ったセリフだが、皮肉なことにその人物は唯一ナノマシンの制御を偶然搔い潜っており終盤に反撃の糸口となる。)) -小島監督が前に出過ぎ。 --作中、「''コジマ・カミナンデス''」という像が登場する。無論、制作者である小島監督のことを言っているのだが、「やりすぎ」「見ていて痛々しい」「自画自賛も度が過ぎる」等といった批判の声もある。 ---ちなみに、このネタは『MGS:PW』でも登場人物の名前や無線で再度使われている。 --兵士役でカメオ出演していたり、隠し要素として彼の「久夛良木さああん!((PlayStationシリーズの生みの親として知られる久夛良木健氏のこと。))」という絶叫が収録されていたり……。特に、兵士役としては終盤で結構な量のセリフを担当するのだが、お世辞にも演技が上手いとは言えない上に存在意義がない。 -本作のシナリオの出来から、発売当時は「無理に本作で決着させなくてもよかったのではないか?」という意見が相次いだ。 --風呂敷を広げ過ぎたが故にムービーで強引・長々と説明せざるを得ず、結果ディスクの容量を食い、ボリュームが激減、未経験者へ配慮も無し…これでは本末転倒だろうというものである。 --「本作である程度話を終わらせて次回作で決着させる、というやり方でもよかったのでは」という意見も結構な頻度で出ていた。 --細かく存在する矛盾や粗、後述の描写不足を見ても、「広げ過ぎた風呂敷を無理矢理畳んだ」という印象が強くファンとしてはあまり納得のいかないものだった。 ***全体的な描写不足 -『MGS2』にて登場したメタルギアRAYの開発理由は、「メタルギアREXのデータ流出によって世界中に拡散したメタルギアの亜種を駆逐する」というものであった(本作でも無線で言及されている)。 --本作は『MGS2』の5年後を舞台にしており、世界各地の戦場を転々とすると宣伝されていたため、未だ見ぬ「メタルギアの亜種」たちに出会えるのではないかと多くのプレイヤーが期待していた。 --しかし、本作に登場するメタルギアは月光・RAY・REXの3種類のみ(要するに新規はたったの1種)。「世界各地の戦場」も実質2ヵ国であり、亜種は確認できず。結果的に設定倒れとなってしまった。 //「使われなくなった旧式のメタルギアを武装勢力が使っている」なんて描写があれば、その設定を上手く活かせたのではないか。実際は現地民兵たちはメタルギアを所有できるような余裕のある勢力ではなく、他にメタルギアを所有していそうな勢力も物語に登場しないので仕方が無いところではあるが。 //個人が考えた設定を書いても意味がないのでは?改善の示唆や突っ込みにしてもここまで割く必要は感じない //---補足しておくと、メタルギアは本来「核戦略の中核を担うモノ」であり、扱いとしては戦略爆撃機や戦略原潜と同じなので、所有できる勢力が登場しないのはある意味仕方ないとも言える。 //月光が普及してる時点でちょっと微妙かな。あくまで「亜種」なら限定的運用に縛られてスケールダウンを招くことにはならないはず -ナオミとオタコンの関係が、事前に匂わせるような描写もなくいきなり始まるので唐突に感じる。 -『MGS2』から5年後を舞台にしているが、ゲーム開始時のスネーク達の置かれている状況が分かりづらい。 --「フィランソロピーはどうなった?」「雷電は何をしてたんだ?」等々。 --特に雷電については、トラウマ、サイボーグ化した理由、サニーを助け出した経緯などが一切説明されてないので、プレイヤーは置いてけぼりを食らってしまった。 ---本来ならこの空白を埋める『メタルギアソリッド ライジング』という作品が作られるはずだったのだが、開発トラブルの末に「[[本作の数年後の物語>メタルギアライジング リベンジェンス]]」に変更されてしまい、語られることはもはやなくなってしまった。 ***声優の変更 -ヴァンプの声優が『MGS2』の置鮎龍太郎氏から塚本晋也氏に変更された。 --「元々『MGS2』の時点でヴァンプの声優は塚本氏が担当するはずだったのが、諸事情により出演できなくなり置鮎氏が急遽代役を務めた」という事情のため、「本来の声優に戻した」という形ではある。また、本職の声優ではないものの演技力は悪くない。 ---とはいえ、重要な役割のキャラに声優ではない人間を起用したことや、既に置鮎氏の印象が強いのに声質の違う人物に変えてしまったこと、小島監督の友人である塚本氏の起用といった理由から、「わざわざ変える必要があったのか?」と言われている。 ---また、こういった理由で変更した割には後に発売された『MGS2バンドデシネ』ではヴァンプの声は置鮎氏が続投しており、ますます塚本氏に変えた意義が分からなくなってしまった((一応、「度重なる体の改造で声が変わってしまった」という後付け設定は付け加えられてはいる。))。 -ジョニーの声優が旧作の今村直樹氏から福山潤氏に変更されており、『MGS』及び『MGS2』の経験者からは不満の声があった。 --こちらはヴァンプとは違い、変更された理由は不明((今村氏の都合がつかなかった可能性もある。))。憎めない下っ端兵としてちょい役を演じてきた前シリーズまでと違い、今作ではガッツリシナリオにかかわってくる上に見せ場も相応にある。 ---今までの長年の下っ端ネタキャラが報われた形になるのだが、「その扱いは違うだろう」とちょい役としての彼の活躍を期待していたユーザーの声も見られた。 //また性格もヘタレな小心者になっており過去シリーズの言動と比べるとかなり違和感がある。 //既シリーズと違和感があるのは否めないけど、あれを単なるヘタレな小心者として片付けるのはちょっと無理があるでしょ。 --声優変更、性格が『MGS』『MGS2』と比べ明らかに変わっていることや主にアキバと呼ばれることから、旧作のジョニー佐々木ではないと考える人が多かったため、''同一人物''と判明してから当惑したプレイヤーも多い。 --『MGS3』ではジョニーの祖父が登場しており、声優も今村氏が担当するなどのこだわりを見せただけに、余計に変更した理由が謎である。 -英語版ではあるが、リキッド・オセロットの声優がリキッド・スネークを担当していたカム・クラーク氏ではなく、リボルバー・オセロットの声優であるパトリック・ジマーマン氏に変更されている。 --日本版では、『MGS2』の頃からオセロットの中でリキッドの意識が覚醒したと思われる状態になると声もリキッドのもの、すなわち銀河万丈氏の声に切り替わっていた。 --本作では終始、リキッドが覚醒した状態ということで銀河氏が一貫して担当している。それが英語版では、リキッドが覚醒してもオセロットから声が変わらないままという形に。 --ただ、設定を考えると肉体はオセロットなのだからオセロットの声のままの方が自然であり、寧ろ英語版の方はそれを考慮して変更したと思われる。 --実際、後の小説『サブスタンスII』では「オセロットの声」と明記されている((逆に『MGS2バンドデシネ』ではリキッド発現時に「その声は!」というセリフがあり、はっきり声まで変わっていることが描写されている。))。 ---しかし、日本版ではオセロット役の戸谷公次氏が本作発売前の2006年に亡くなってしまっており、同じ仕様に変更するのはそもそも不可能であった。 ---この理由で変更できなかったのか、『MGS2』の仕様を意図的に引き継いだのかは不明だが、いずれにせよ日本語版と英語版とでこのような差異が生まれている。 ---とはいえリキッドの声が聞けるのはこれはこれでアリとのファンの意見も多く、そこまで不満の意見はない。代役を用意するにしてもいきなりまだプレイヤーが聞きなれない声で出てくることになるため、やはり難しい所ではある。これでも上手く落とし所を見つけたといえるだろう((『MGSバンドデシネ』ではオセロット役を沢木郁也氏が引き継いでいるが、シャドー・モセス事件でのオセロット初登場時から演じられる同作と本作では事情が違う。))。 ***イベント類 -連打イベントは旧作と同様に健在。だが本作は連打しなければならない時間が非常に長い上に移動もしなければならないため、プレイヤーの指とコントローラのボタンに旧作以上に負荷が掛かる事になった。 -最初から始めると暫く架空のテレビ番組を見る羽目になる。もちろんスキップはできない。ちなみにボタンで番組変更が出来る。 --番組はジャンル問わず色々とあり(クッキングや動物番組等)『メタルギア』シリーズとは関係ないもの。番組終了後に、PMCのCMが放送される。 --これが、「戦争」が経済活動として日常化した作品世界を表現している他、ストーリーを暗喩している((クッキングはソリッド・スネークの最後、動物番組はオクトカムやBB部隊、ブートキャンプらしき番組はナノマシンなど。))のだが、初見時のプレイヤーにとっては''意味が解らない上にグロいだけ''であった。 ---ちなみに、英語版でスネークの声を担当しているデヴィッド・ヘイター氏の他、やっぱり小島監督もちょっとだけ出演している。 ---- **メタルギアオンライン2 『MGS4』に同梱し、単体版も存在。''2012年6月13日サービス終了。''~ 『MGS4』本編の世界線やシステムはそのままに、最大16人で対戦できるマルチプレイヤーモードである。~ 『メタルギア』シリーズのマルチプレイ続編としては『[[MPO+>メタルギアソリッド ポータブル オプス]]』以来、ナンバリングとしては『[[MGO1>メタルギアソリッド3 スネークイーター]]』以来である。 -SOPシステム --本編にも存在する戦場管理システム。主にチーム戦でSOPシステムの特徴をつかみやすく、SOPシステムをリンクした味方の位置や状況を壁越しに把握できる。 --敵のSOPシステムに侵入し、戦いを有利に進めることもできる。 -ドレビンポイント(DP) --敵をキル・スタンしたり、ルールに沿った行動をすると獲得できるDPも設定可能で、拠点やリスポーンのたびにDPを消費して武器やアタッチメントを購入可能。 -スキル --対戦前のブリーフィング画面にて設定可能な、プレイヤーキャラクターの能力。銃の扱いに影響するスキル、CQCや移動速度、SOPシステムに関連するスキルなどを選択可能。 -対戦ルール --ほかのFPS・TPSにあるような「デスマッチ」「チームデスマッチ」に加え、メタルギアでお馴染みの「ステルス迷彩」を装備して戦う「ステルスデスマッチ」「チームスニーキング」もある。全12種。 -マップ --『MGS4』本編にある中東や南米、シャドーモセスや、過去作の復刻マップも複数存在する。 -評価点 --基本無料の割りに高い完成度 ---『MGS4』のシステムをほぼそのままに、うまくマルチプレイゲームとして落とし込めている。SOPシステムに関しては本編の一兵士を体感できるようになっており、前述のように味方を把握しながら連携を取れたり、敵のSOPシステムに侵入し敵の位置をスキャンしたり、本編のように感情制御で一定時間行動不能にする、フレンドリーファイア時にはSOPでロックを掛けられるという体で数秒間武器を発砲できなくなったなど、かなり高く本編を再現できていると言えよう。 ---武器を発砲するだけでなく、罠を設置したりSOPシステムを駆使し、戦い方はそれぞれであっても勝利を目指すこともできた。 --充実したコミュニケーション ---男女それぞれ8種のキャラクターボイスが存在し、個性のある声で戦場を華やかに飾ってくれる。プリセット無線で意思疎通を行えるのはもちろん、テキストチャットも可能である。 --あまりの人気ぶりに本来のサービス終了日より1年長く続くこととなった([[参照>https://web.archive.org/web/20120216205553/http://www.konami.jp/mgo/jp/hd/event/information.html]])。 --また、サービス終了日である2012年6月12日、想定外のトラフィックの多さにサーバがパンクし、日本のみサービス終了日が1日延長された。 -賛否両論点 --武器バランス ---このゲームのマップの広さは他のFPS・TPSに比べてやや狭めな傾向にあり、それ故にアサルトライフルが万能武器と化していた。その中でもM4 CUSTOMの使用率が著しく、誰が言ったか「M4オンライン」と呼ばれていた。 ---近距離での戦闘はアサルトライフルよりサブマシンガンやショットガンに軍配が上がることもあるが、ロックオンという機能で胴体撃ちを行い、無理やりキルする場面も散見された。 ---サービス開始初期はSVDやM14EBRといったスナイパーライフルも武器スキルなしでアサルトライフルとほぼ同等で扱えるほど強力であったが、反動の増加や必要DPの増加で弱体化を受けた。 -問題点 --ゲームの重さ ---場面やマップによってはfpsが著しく低下する状況があり、操作に難を生むこともあった。強武器であるM4をこの状況で持つとエイム時の視点操作性が悪くなってしまうことから、移動しながら撃てるサブマシンガンなど敢えて他の武器を持つプレイヤーも一定数存在したほど。 --ラグ ---同じ地域のプレイヤー同士でもかなりの頻度でラグが起こっていたのは否めない。グレネードでふっ飛ばされた敵が行動可能になった瞬間にワープすることが頻発していた。 --プレイヤーの質の悪さ ---ルールや使用可能武器などを設定できるフリーマッチではある程度制御できたものの、それ以外のクイックマッチや他ゲームのランクマッチにあたる「サバイバル」ではスマーフが横行していた。 ---テキストチャットが可能な故に暴言を吐くプレイヤーが多数存在していた。 ---サービス期間中盤以降はLANケーブルを加工したラグスイッチおよびゲームサーバへのDDoSが流行し、対戦を一方的に有利にする行為を行うプレイヤーが存在した。 ---- **総評 COLOR(orange){2008年 Game of the Year}受賞は伊達ではなく、PS3のハード性能を存分に活かした丁寧なゲームグラフィックは圧巻である。~ ある程度の描写不足や展開への賛否はあれども、『メタルギアソリッド』という難解な一大シリーズに一応の決着をしっかりつけた点も、ファンにとっては快いだろう。 ただ一方で、様々に目に付く過剰な演出や突飛な設定とちぐはぐな新要素やゲームデザイン、さらには''ムービーの多用''と''シリーズ初心者への不親切さ''などは決して無視できないマイナスポイントである。~ 特にムービーの多用については、そういった作風を理解しつつも追従してきた古参ファンにすら、同様の苦言を呈されてしまった事態はやはりいただけない。~ 「ムービーゲー」は本作を表現するものとしてよく使われる名称であるが、それが単なる特徴を捉えた名称ではなく、欠点を揶揄するものであることは明らかである。 とはいえシリーズファンならば押さえておいて決して損は無い集大成的な作品なので、欠点を把握したうえでソリッド・スネーク最後の戦いを体験して欲しい。~ シリーズ初心者は、1本で4作(PS3版は5作)を収録した『[[メタルギアソリッド HD エディション]]』や、PS3のみとなるが本作を含めたほぼ全ての『メタルギア』シリーズが収録された『レガシーコレクション』などで十分に予習してから本作をプレイしてはどうだろうか。 ---- **余談 -本作以降、『インテグラル』『サブスタンス』『サブシスタンス』に相当するいわゆる完全版が発売されていない。 -『メタルギアソリッド ポータブル オプス +』には本作に先駆けてオールド・スネークがユニークキャラクターとして登場している。 -コラボアイテムとして『リゲイン』と『iPod』とユービーアイソフトのゲームである『[[ASSASSIN'S CREED]]』の服装が登場。『リゲイン』はコラボCMまで作られた。 --前者は回復アイテムとして、後者はスネークのスペシャルコスチュームとして使用できる。 --『iPod』では歴代小島秀夫作品のBGMだけでなく、攻略ポイントやマップの見どころを紹介するMGS4ツアーや制作秘話など盛りだくさんの内容となっている『Guns of the HIDECHAN! radio.』(DLCとして無料配信)を視聴できる。 -本作は後に同じ小島秀夫作品『Castlevania: Lord of Shadow』の特別版で半ば抱き合わせと言うべきセットで再販された。 -本作を原作としたタッチシューティングゲームであるiOSアプリ『Metal Gear Solid Touch』が過去に配信された。スマートフォン向けゲーム創成期の作品であるため、2017年現在の最新ゲームと比べると非常に見劣りする。 -伊藤計劃による小説版も発売されている。 --『MGS』の有名ファンサイトの管理人であり、かつ「小島原理主義者」を自称するほどの小島監督作品ファンであった氏の作品だけあって、ゲームのノベライズとしては非常に良質。 ---また、SF界で非常に高い評価と注目を集めた作家ではあるが、デビュー後早期に亡くなってしまっており、氏唯一のゲームノベライズ作品、数少ない長編の1つとしても貴重な作品である。 --本編で抜きにされていた歴代シリーズの説明やマニアックな小ネタの追加から、評価は高い。 --本編でいきなり使えるようになっていたCQCへのフォローや、ゲーム中では全く分からないリキッド・オセロットの右腕についても言及されている。 --ちなみに、氏のオリジナル長編『虐殺器官』は、本作と非常に似た描写が多く、「SENSE」を巡る物語としてある程度共通してもいる。本作を遊んだ人はこちらを読んで損はない。 -本作は発売から15年以上経った現在も他機種版が存在しないPS3完全独占タイトルだが、''開発段階では360への移植も検討されていた''ことを元開発者のRyan Payton氏が明らかにしている([[参照>https://www.gamespark.jp/article/2023/06/20/131276.html]])。 --なんでも、検証チームが360で本作を動作させたところ「美しくスムーズに動作していた」とのことだが、最終的には容量の問題で移植を断念したとPayton氏は語っている。 ---これは、PS3はBD-ROMが使用されていたのに対して360はBDより容量が少ないDVD-ROMが使用されていたので、もし360版を発売する場合は複数枚のディスクに分ける必要があるからである((360版『ファイナルファンタジーXIII』はディスク3枚組で発売された。))((パッケージソフトがだめならダウンロード販売で発売すれば良いと思われるが、第7世代据置機(PS3/360/Wii)の頃のDL販売はレトロゲームの復刻等の小規模なタイトルが中心で、大規模なタイトルはパッケージソフトのみでの販売が主流であったので、そういうわけにはいかなかった。また、当時は大容量ストレージが普及していなかったことも影響している。第8世代据置機(PS4/One/WiiU)以降はパッケージ/ダウンロード版の同時販売が当たり前になった。))。
//目次が長いので上部に移動 //史上最強はさすがに誇張しすぎなので表現を緩和 #contents ---- *メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット 【めたるぎあそりっどふぉー がんず おぶ ざ ぱとりおっと】 |ジャンル|タクティカル・エスピオナージ・アクション|CENTER:&amazon(B0016770EA,image=https://ecx.images-amazon.com/images/I/51vIeeXmhUL._SL160_.jpg)&amazon(B0009RQKUI)| |対応機種|プレイステーション3|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|コナミデジタルエンタテインメント(小島プロダクション)|~| |発売日|2008年6月12日|~| |定価|通常版:8,800円&brスペシャルエディション:9,800円&brプレミアムパック:51,800円(全て税込)|~| |廉価版|PlayStation3 the Best:2009年6月18日/3,800円|~| |判定|なし|~| |レーティング|CERO:D(17才以上対象)|~| |コンテンツアイコン|暴力、犯罪|~| |ポイント|『メタルギアソリッド』シリーズの完結編&br''プレイ時間の約半分以上を占めるムービー''&br;新規を置き去りにする内容、後半のボリューム不足&br;''シリーズファン以外にはオススメできない''|~| |>|>|CENTER:''[[メタルギアシリーズ]]''| ---- **概要 『メタルギアソリッド』シリーズの第4作。小島監督曰く、ソリッド・スネークを主人公とした最後のシリーズ作品。Act1~Act5の全5章編成。~ その宣言通り、シリーズメイン主人公だったソリッド・スネークの最後の戦いと、「メタルギアサーガ」の結末が描かれる。~ 今作のテーマは「SENSE」。主に「感覚」を意味する言葉だが、本作ではそれに加えて「意志」や「遺志」と言った意味合いで用いられる。 前評判に違わず、当時のPS3ソフトにおける最高の売り上げを記録し、海外ではCOLOR(orange){2008年 Game of the Year}を受賞する程の評価を得た。~ 膨大な設定を抱える「メタルギアサーガ」を無事に完結させた反面、今までの以上のムービー多用やシリーズ未経験者への不親切さなどから、より人を選ぶ作品にもなってしまった。 通常版以外にも、特典映像ディスクが付いた「スペシャルエディション((初回出荷版は特典映像ディスクのケースがスティール製に、また特別三方背の外箱が追加されている。))」と、特典映像ディスクとオリジナルカラーのPS3本体が同梱された「プレミアムパック」も同時発売された。~ 2012年8月6日に配信されたパッチでトロフィー機能に対応し、キャッシュデータの一括インストール機能が追加。~ また、8月上旬よりパッチを適用済みの廉価版が順次出荷されている。 ---- **特徴・評価点 ***国産PS3ソフト最高レベルのグラフィック -発売は2008年とPS3では前期にあたるが、グラフィックはかなり美しい。 -Act3の東欧市街地などは、実際に現地で取材を行っており、かなり細部まで作り込まれている。歩き回ってみるのも楽しい。 -Act4では懐かしのシャドー・モセス島が美麗に復活。 --開発チームによると、これでも微妙な出来だとか。 ***変更された操作系統 -ボタン配置が今までのシリーズから変更され、普通のTPSと同じような操作方法になった。 ---例えば、「武器を構えて発砲する」という動作を従来作では□ボタンの押し込み具合で構える・発砲する判別していたため、構えを下ろそうとして発砲してしまった、ということがありがち。本作では構えボタンと発砲ボタンが別になっているので(ホールドアップなどで)構えてすぐに下ろすという動作が行いやすくなっている。 ---『MGS2』や『MGS3』ではボタン1つで行えていた主観カメラへの切り替えは構えボタンを押しながら△ボタンという操作に変更された。ただし、本作では三人称視点でも狙いがつけやすくなっている。 ***アクション・システム -特殊なアクションを行える場所で画面上にアイコンが表示されるようになった(壁への張り付き、段差を登る、エルードなど)。 -横ローリング・バックステップ・ホフクでの転がりなどが追加された。 --いずれも戦闘時の緊急回避などに使える。転がりはホフク移動に比べて多少カムフラージュ率は劣るものの、体勢を低く保ちつつ素早く移動ができる。 -体勢を低く保っての移動(しゃがみ歩き・走り)が可能 --前作に比べて、走行時のカムフラージュ率減少量が多くなったため、普通に走っているとカムフラージュ率はマイナスになり、あっという間に発見されてしまうので、うまく利用したい。 --以前の作品ではしゃがみ中はホフク移動になるため、その場で遮蔽物に身を隠すぐらいの使い方しかできなかった((ダンボールを装備して移動することで擬似的には可能だった。))。 --『MGS:PW』『MGS3D』など本作以降の作品にも採用された。 -スナイパーライフルや重火器を装備した状態、主観視点での移動が可能 -三人称視点(肩越し視点)では、照準(射撃武器)や着地点の目安(投擲武器)が表示されるようになり、主観カメラを使わなくても扱いやすくなった。 --また、ライフルや重火器は自動的に構えないようになり、装備すると視界が狭くなるという欠点もある程度解消された。 -クイックチェンジによるタクティカルリロードが完全に不可能になった(ただしリロード時間の短縮程度なら可能)。 -新カムフラージュシステム「オクトカム」 --壁に張り付いたり地面に這うなどして1秒程度静止すると、その環境に最適なカムフラージュパターンを読みとり、スニーキングスーツの色彩・質感が変化する。これにより、その場その場で最高のカムフラージュ率を保つことができる。 --顔用のオクトカム「フェイスカム」を併用することでさらにカムフラージュ率を高めることも可能。また、お遊び要素として若い頃のスネークやオタコン、雷電といった登場人物の顔を模したフェイスカムも手に入る。 //--赤外線センサーを搭載した無人機にはステルス迷彩よりオクトカムのほうが有効という設定のため、 ////記述が未完成のためCO。 --前作『MGS3』では時代設定もあり、場所ごとに迷彩服を交換する必要があったが、本システムの導入で遥かにテンポが良くなった。 ---数は少ないが固定パターンもある。あらゆるダメージを半減、静止していればカムフラ率99%を保つ、前作の仮死薬((使用すると一定時間仮死状態になり、敵を油断させることができるアイテム。))のような効果を持つもの(当然ながら、使用回数無制限)などかなり強力なものもあるので、ご利用は計画的に。 ---ただ、前作のスニーキングスーツやスネーク迷彩のような、どんな場所でも高いカムフラージュ率になるようなものがなく、こまめに読み取りを行う必要がある。 -前作は難易度を上げても足音に反応する距離は変わらなかったが、本作では難易度を上げると足音にも敏感になる。 --前作では、足音を感知されないためには、歩き移動よりもさらに遅いストーキング移動をする必要があったが、本作ではストーキングは廃止され、歩き移動で足音がしないようになった。 --前作では、潜入フェイズなら足音に気づかれて振り向かれてもすぐにアラートにはならなかったが、本作では即座にアラートになる((SOPシステムで瞬時に敵味方の判断ができるためと思われる。))。敵が後ろを向いていてもCQCでの強行突破がやりにくくなった。 -ホールドアップした敵からのアイテム奪取はボディチェックに変更された。立ち状態なら2個、伏せ状態なら4個まで入手できる。 --伏せホールドアップのタイミングと有効範囲が調整され、拘束後投げ以外で倒しても行い易くなった。しゃがんでいる敵に行うとそのまま伏せホールドアップになる。 ---- **シリーズファンには嬉しいステージやネタ -Act4は『MGS』の舞台であるシャドー・モセス島。 --10年近く放置されて廃墟と化してはいるものの、PS3の性能でリアルに表現された核廃棄施設を探索する事ができる。さらには昔を懐かしむスネークとオタコンの会話や、『MGS』のセリフが随所で聞ける。 --章開始時にはスネークの夢と言う形で、『MGS1』の施設前のマップをそのままプレイする事ができる。 --章のラストにはメタルギアREXも登場し…。 -ラストバトルはラスボスの体力に応じて『MGS1』~『MGS3』のLIFEゲージとBGMが順に再現されるという、シリーズファンには涙ものの演出である。 --LIFEゲージの所に表示される主人公名とラスボス名もそれぞれの原典に準拠したものになっているが、エンディングで明らかになる真実を加味すると、ファンサービスに加えてラスボスの状態を示した粋な演出になっているとも取れる。 --そして最後は本作のタイトル曲をバックに、満身創痍のスネークとラスボスがゲージも何も表示されない画面で決着を付ける…。 -『[[スナッチャー]]』や『[[ポリスノーツ]]』等、『メタルギア』シリーズ以外の小島監督作品に関するものが様々な場面で登場。『メタルギア』シリーズにとどまらず、氏のこれまでの作品すべての総決算といってもよい。 ***ストーリー -「これで最後」「シリーズの謎が明らかになる」という宣伝がなされた『MGS3』においてさえも結局謎は残り、エンドロール後に黒幕の通信音声が聞こえるパターンが常態化してきた『メタルギア』シリーズだが、''本作では正真正銘、ソリッド・スネークの戦いにまつわるすべての謎が明かされる。'' --「愛国者達」に纏わる謎をはじめ、これまでに登場したキャラクターが一体どのような思惑を抱きどう行動してきたのか、そしてそれがどのように世界に影響していったのかが明かされる。 --色々と強引なうえに矛盾点もないわけではないが、重要な組織・人物・事件の謎から、個々人の登場人物に至るまで、''暗い含みは一切といっていいほど残されない。'' --ゲームの謎をほぼすべて回収した上、「蛇」を巡る因縁などシリーズの芯ともいえるエピソードが決着し、ソリッド・スネークにも救いがもたらされる。これ以降は『MGR』の雷電などのように、若い世代が新たな戦いを始めるのみとなる。 ---ただ、その矛盾点はやはり無視できないものも含んでいる。これについては問題点の部分も参照。 --ソリッド・スネークの父親に相当するビッグボスは、声優もスネーク役の大塚明夫氏の''実父''である大塚周夫氏が演じる等、声優ファンにも嬉しい配役である。 //遺作というわけでもないので故人表記は削除 ***その他 -クリア後に所持していた武器弾薬にアイテムを引き継いでの2周目プレイが可能。 --『MGS』『MGS2』とは違い、ユニークアイテム以外も引き継ぐ。 --ただし、クリア時に高評価を狙う場合は封印しなければならない武器・アイテムもある。 ---クリア時にはプレイ内容に応じた称号が貰える。あまりに内容が酷いと''「PIG」「COW」「CHICKEN」''といった、明らかに揶揄の意味合いが込められている称号が付けられてしまう。 -目立ったバグや不具合は無い。 -シリーズお馴染みのカムフラージュアイテムとして「ダンボール」だけでなく、『MG2』に登場した「バケツ」を彷彿とさせる「ドラム缶」が登場。 --重量があるが、転がって敵に体当たりすることが可能。この「ドラム缶アタック」はコミカルながら、高難易度の敵でも1発で気絶するほど強力。 ---なお、調子に乗って転がり続けると急停止し、嘔吐してしまう。気力が大きく減退し、また隙だらけとなる。 -後述されている長いムービーだが、ムービーそのものは良質。 --STARTボタンを押して一時停止することも可能にもなった。 ---- **賛否両論点 ***多彩な武器 -旧作を遥かに上回る合計70種類。 --オリジナル武器も登場。異様にリロードモーションの凝った種子島や、『[[ボクらの太陽>ボクらの太陽 Django&Sabata]]』の太陽銃などのネタ武器も存在する。 --SOCOMやM1911A1など過去作で登場した武器も登場する。これらの武器はパスワードを入力することでも入手できる。 ---『MGS2』のAN94が登場しているのにスパス12が無い、先述のSOCOMがあってファマスが無い、PSG-1が無い代わりに原型モデルであるG3A3と、それを機関銃として改造したHK21が出てくるなど、そのチョイスに首をかしげる武器も多数。 --ただし、これらの武器は5つまで携行できるが、M4 CUSTOMとOPERATORの2つを外していた場合、ムービーの度に強制的にそちらに置き換えられてしまう。必然的に使用武器が固定化されてしまい、それらの武器を使う機会がろくに与えられていない。この点は『MGS:PW』で改善されている。 ***「ドレビンショップ」の存在 -戦場から回収した武器を武器洗浄人「ドレビン」に渡すことで、武器に応じたDP(ドレビンポイント)が得られる。これを用いて武器・弾薬・アイテムが売買可能なシステム。 --本作では各地を転々とするため同種の弾薬を入手し辛い。それを救済するシステムとも言えるが、シリーズの特徴であった「現地調達」の面白さが失われたとも言える((もちろん、利用しなくても問題ない。拾った武器は基本的にドレビンに洗浄してもらう必要があるが、それに使うDPは普通にプレイしている分だけでお釣りがくるほど。))。 --さらに、弾薬の所持上限数が従来作と比較してかなり多くなっている。EASYではなんと9999発、NORMALでも893発((作中で登場するドレビンは893人目。「ヤクザ」の語呂合わせとなっており、小島監督曰く日本特有の言葉を入れたかったとのこと。))。 --前作ではアイテムボックスから入手していたサプレッサーもDPに糸目を付けなければ上限まで購入できる。そのため、実質的に『MGS』『MGS2』のように使用回数制限はない。また、最も使用頻度が高いと思われる麻酔銃のサプレッサーは使用回数無制限となっている。 --''ボスとの戦闘中にも買える''ことに不自然さがある((一応、小型兵器メタルギアMk.IIを介しているという設定がある。))。一方で、旧作でもボス戦中に弾薬が底を突くとアイテムが周囲に現れることを考えれば、突っ込んだら負けとも言える。ただし弾薬を探してウロウロしている間にやられるということは無くなったため、幾分難易度は下がった。 --このシステムのおかげで2周目以降の武器・アイテム等引き継ぎプレイがはかどるという意見もある。 ***旧作ネタの多用、それを把握しても分かりづらいストーリー -本作は旧作に関連するネタ(特に『MGS2』や『MGS3』のネタ)が非常に多い。シリーズ経験者がニヤリとできる要素でもあるのだが、「あまりに多くて食傷気味」「未経験者を置き去りにしている」という意見もある。 --これだけ長大になったシリーズの謎を、本作のみで回収しようとする姿は評価できうるものだが、それに終始しすぎた感が否めない。~ 結果として後半のゲーム部分のボリュームが薄くなってしまったため、''ムービーを入れるより本編をもっと作り込め''という声も多い。 --過去編の『MGS3』や現代編の『MGS2』の話を含めた謎が明かされる場面はシリーズを知るファンからすれば嬉しい謎解きだが、当時『MGS4』だけプレイした層からは意味不明とも言われた。 --しかしまた別の問題として、新規ファンは現代編の『MGS1』『MGS2』『MGS4』の''ソリッド''スネークと、過去編の『MGS3』『MPO』の''ネイキッド''スネークを''同一人物だと勘違いしがち''((設定上ほぼ顔が同じであり、これも分かり辛さに拍車をかけている。))であり、本作はこれに対する理解が重要なのにもかかわらずあまり分かりやすい説明がされていないという点が挙げられている。 ***「オクトカム」の性能の良さによる難易度低下 -本作はオクトカムのカモフラージュ性能が歴代でも高く、場所によっては目の前でも全く見つからない事がある。 --これ自体は初心者への敷居が低くなった一面もあるが、シリーズファンからは簡単すぎて物足りない部分も。 --この便利すぎるオクトカムがボリューム不足に拍車をかけているような部分もあり、結果的にもう少し性能を低くしても良かったのではという気がしなくもない。 ***ムービーの仕様 -ムービー中にSTARTボタンを押すことでポーズをかけられるようになったが、ボタン一つでスキップできなくなったという不満意見もある。 ***キャラの一部の扱いについて #region(ネタバレ注意) -死んだと思われていた登場人物が結局生存したという展開が多く、これにしらけるプレイヤーも多数存在した。 --スネークも自らを抹消して世界を守るという悲壮なエンディングの方が、作品が引き締まり、これらのプレイヤーを納得させられたというやや過激な意見のファンも。 #endregion ---- **問題点 ***ストーリー・エンディングに対する評価 #region(ネタバレ注意) -変異したFOXDIEの暴走を防ぐため、スネークが自殺したかと思ったら踏み止まっており、そこにビッグボスが突然登場。 --そして彼の口から『MGS4』及びシリーズの謎が解き明かされる…という展開が唐突すぎるという意見がある。 --そもそもこのシーン自体が長い。語られる内容自体は相応に濃いが、既にゲーム部分が終了して最後のムービーパートに入って久しいところからさらに長々と展開するため、いい加減うんざりというプレイヤーも多かった。 ---また、ここまでに謎自体は充分に明かされているため、要らないという意見も非常に多い。 --さらに、ビッグボスは『MG2』以後から人工的な脳死状態で保管され、愛国者達のAIが滅びたこと(つまりつい最近)でようやく覚醒した浦島太郎状態だったというのに、どうやって物語の真相を事細かに語れるほどの情報を得ていたのか…という脚本的な意味での違和感も禁じ得ない。 -ビッグボスの話を含め、物語の密度についていけないプレイヤーの間では''最後まで何が何やらさっぱり理解できない''という声もちらほらある。それはゲーム側のシナリオの問題だが、シリーズファンでこれなのだから、旧作未経験者はもはや完全においてけぼりである。 --実際これらの話には今作で急に明かされる、飛躍した設定などが数多く、それまでのシリーズをプレイしているとしても全てを理解するのは難しい部分が否めない。 -リボルバー・オセロットは『MGS2』の時点では実際にリキッドに憑依されていたのだが、本作では憑依の原因となっていたリキッドの腕を切り落とし、人工筋肉の義手をつけていることが最後の殴り合いのシーンで確認できる。 --そして、このオセロットの真実を含め、ここでビッグボスが明かす内容は、要は『MG』から本作に至るソリッド・スネークの戦いはすべて、「愛国者達」オリジナルメンバーの戦いに巻き込まれ続けていただけであったということである((彼が武装国家を設立した理由を『MG2』では「戦場でしか生きられない自分のような人間のために意図的に戦争を引き起こし続けるため」と語っていたが、今作では世界征服を進める愛国者達に対抗するためだったという設定に変えられた。また、『MG』と『MG2』の軍事蜂起もビッグボスが愛国者達の支配を弱めるために行ったものだった。))。 ---要約すれば、『MGS』シリーズは「愛国者達」と離反したメンバーによる''壮大な茶番劇''とも言える。((ゼロ少佐とビッグボスが袂を分かったのがきっかけだが、そもそもその発端というのが「勝手に自身の子がクローニングして作られていた事を知り、不信感からビッグボスはゼロの下を去る」「親友と思っていたビッグボスが去った事でゼロは人間不信になり、その後の暴走に繋がる」というもの。いくらなんでもゼロのメンタル構造が…。))シリーズを通してスネークは事情も知らず彼ら(特にオセロット)に振り回され、今作も完全にオセロットの計画のコマとして働かされていたという事実に、プレイヤーによっては''ひどい徒労感''を感じる((見方を変えると愛国者達の支配が拡大し、世界中が戦乱の渦に巻き込まれてしまったのは、事情を知らなかったスネークが対抗勢力だったビッグボスの軍事蜂起を邪魔したせい、とも取れてしまうのである。))。 ---スネークには、ビッグボス達がついに手に入れられなかった真の自由=「フリーダム」を与えられるという救いが最後にもたらされた、とビッグボスは語る。確かにそれ自体には矛盾はなく、綺麗に物語を締めくくっているが、これだけでは徒労感が拭いきれなかったプレイヤーもいる。 -小島監督は本作を「スネークのサーガ」と語っているが、前述のとおり今作は今までのシリーズの謎の種明かしに焦点がおかれているため、結局その中心から外れているソリッド・スネークは『2』同様に若干蚊帳の外という扱いなのも批判の声が大きい。 --全体的なストーリーの流れを見るとソリッドでは無くビッグボスとその周りに焦点が合わせられている感じである。 #endregion ***史上最長とも言われるムービーの長さ -''恐らく世界一ムービーが長いゲーム。''その長さはなんと''約9時間。''「ムービーの合間にゲームがある」とまで言われるほど。 --特に最終章のAct5は''大半がムービー。''潜入パートに至っては最初の1マップだけ。 -しかもそれに反比例して特にストーリー後半のゲームプレイ時間が少なく、ムービーを飛ばした場合は前述の難易度の低さもあって普通にプレイしても6時間程度、熟練者は4時間ほどでクリアできたという報告があるぐらいボリュームが薄い。 --ただし、これまでの『メタルギア』シリーズと比較してそこまで密度が薄いというわけではない。それでもボリュームは短めで、物足りないのは否めないが。 --ちなみに、クリア時にプレイ成績に応じた「称号」が手に入るが、最長の称号にはプレイ時間35時間を求められる。安全地帯で放置でもしない限り無理である((シリーズ経験者が初めてのプレイで、ムービーも全て見たとしても15時間程度でクリアとなる。そこからさらに20時間以上の時間潰しが必要となる。))。 -ワンシーンを妙に引き延ばす演出(例:ライデンが月光を振り回すシーン等)も多用されているため、ムービーの長さを助長している。 -評価点に述べたとおり、操作やゲームシステムには非常に意欲的な新要素が多いのだが、そもそもそれを活かせるプレイパート自体が少なすぎる。 -例として、フェイスカムはストーリーの前半部分が終わった後にようやく使える。いくらなんでも遅すぎである。 -スタッフロールがとても長い上にスキップできない。これは前作までも同様だが、本作は称号やトロフィーといったやりこみ要素のコンプリートに最低8周のプレイが必要((『MGS2』でも最低5周は必要だった。それが改善どころか悪化している。))であるため不満が多い。 --携帯機作品である『MPO』や『MGS:PW』では一度見ればスキップできるようになっている。 //この部分はregionに入れる事もないし、シナリオへの評価とはちょっと違うのでこっちへ ***テンポの悪さ -老化が進んでいるため仕方ないのだろうが、過去作に比べてスネークの移動速度が遅い。 -何も装備しなければ普通レベルだが、武器を多く装備するとかなり遅くなる。マップも広いので移動に時間がかかる。 -全5章編成だが、章が変わるたびに3~6分程度のインストールが必要。2周目以降も。 --総インストール容量が推定20GB近くもあり、発売当時はPS3のHD容量が最大60GB(北米では80GB)しかなかったため、分割インストールは仕方なかったのかもしれない。 ---ディスク交換の手間を無くすために1枚に収めたというのに、ディスクを交換するよりも時間がかかってしまうというのは、皮肉な結果である。 --2012年8月に配信されたパッチで一括インストールが可能になり、周回時のテンポははるかに良くなった。ただし、インストール容量も10GBと多いため、初期型のPS3ではHDDの換装が必要になるかもしれないので注意。 -ロードも地味に多い。特に、場面が変わるときに長めのロードが入る。 -目立った処理落ちは無いが、フレームレートは30~5の間を絶えず変動する。『MGS2』のように60fpsとまではいかなかった。 ***宣伝とのギャップ -「戦場に潜入する」と謳っているが、実際にステージが戦場なのはAct1とAct2だけだったりする。 --Act3には(レジスタンスを尾行する目的はあるものの)潜入要素がほとんどない。変装していれば敵兵に見つかっても問題ないし(前作では変装を見破るキャラがいた)、銃器・CQCも使用できる。制限はステルス迷彩が使えなくなる程度((とはいえ、さすがに前作のグロズニィグラード並みになんでもありというわけにはいかない。))。 ---街には夜間外出禁止令が出されているため、PMCに見つかるとレジスタンスは問答無用で連行されていくが、片手にナイフを持つあからさまな不審者はお咎めなし。それでいいのか、PMC。 ---レジスタンスは変装をして撒いてきたり、敵の車が急に走ってきたりなど頻繁に尾行の妨害がされるため簡単にクリアはできないが、Act3の大半がこの内容で後は強制戦闘&ボス戦という構成はやや物足りなさがある。 --Act4に至っては、''ボス戦以外兵士が出てこない。''いるのは最新型のメタルギアである月光と仔月光という無人兵器だけ((月光は元々核運用を前提としていないので厳密にはメタルギアではない。))。 ---ただし、「無人兵器の目を掻い潜って潜入する」というスニーキングミッションはある。聴覚や視覚は人間の敵に劣るが、警戒態勢になると仔月光が大量に集まってくるので厄介。 ---無人兵器に有効なチャフグレネードは入手箇所が少なく、ドレビンショップでも販売されていない貴重品となっている。 -Act5は後半のステージでも特にゲーム内容の薄さが指摘されており、前述の通り潜入パートは何と''最初のエリアのみ。''後はボス戦と間にただステージを駆け抜けるパートがあるのみである。 -「戦場というシチュエーションに潜入する」というテーマに則り、プレイヤーの行動如何で兵の感情が変化し、潜入難易度が変化するというシステムがあるのだが、このシステムに至っては作りが浅く、ほぼ存在意義がない。そもそも、''ゲーム前半で、このシステムが活用される戦場ステージが終了する''のである。 --武装勢力に味方すると「英雄度」というパラメータが上がり、スネークに対して友好的になる。お礼にアイテムを貰えたりするのだが、存在を知られてはいけない潜入作戦なのに顔を晒していいのだろうか。 --逆に英雄度が低いと武装勢力からも攻撃される。武装勢力は無線で増援を呼ぶことはないが、ノーアラートで進むなら英雄度を高くしておいた方が楽。 --また、発売前のインタビューでは「戦場に2つの勢力が存在したとして、どちらに協力するか」といったような、2つの勢力の中でプレイヤーの位置が行動によって変化し、それによって戦場の状況が変化する、と言われていた。 ---戦場にはPMCと民兵の2つの勢力が存在するが、PMCはナノマシンで感情を制御されているため、いくら協力してもスネークには好意は持たない。感情が変化するのは民兵の方のみである。 --つまり、''隠れながら先に進むより民兵と一緒に戦った方が手っ取り早い。''これではステルスアクションの意義が…。 ***シリーズ未経験者への不親切さ -シリーズ未経験者への補足は''一切ない。'' --この点は電撃プレイステーションのレビューでも、真っ先に欠点として挙がっており、本作から初めて『MGS』をプレイしたユーザーからは、「意味の判らないムービーを長々と見せた挙句、ろくに遊ばせてくれないクソゲー」とまで言う人もいた程。 ---発売前のプロモーションでは「シリーズを知らなくても楽しめる」と豪語されていたが、''ハッキリ言って詐欺としか言い様がない。'' --ここまでにも何度か述べているが、シリーズの謎を回収する姿勢が裏目に出てしまっているといえる。 ---一応、発売後に配信された「METAL GEAR SOLID4 DATABASE」という無料DLCで今作までの各種データを確認する事はできた。ただし2012年に配信終了。 ***小ネタや無線の激減 -今までのシリーズ作と比べると、よりシリアスな作風となっており、シリーズ恒例の任意無線は大幅に少なくなった。 --そもそも、こちらからコールできるのもオタコンとローズだけと少なく、セーブもメニューから行うように変更されてしまった。 -理由は、従来作の豊富な無線を考えた人は小島監督ではなく共同脚本の福島智和氏であり、かつ彼が前作を最後に退職したため。 --これにより本作はもちろんのこと、後の『MGS:PW』や『MGSV』からも、『MGS1』~『MGS3』のような豊富な無線が無くなる結果となってしまった。 ***没個性的なボスキャラクター -ボスキャラクターであるBB部隊の評判が、『MGS1~3』のボスと比較して芳しくない。 --あまりにも人間離れしたデザインから、『MGS』の世界観にはそぐわないという批判がある。 --旧作のボスキャラクターが概ね個性的だったのに対し、BB部隊は全員同じような容姿と過去を持った女性である。 --それぞれの暗い過去も、勝利後にある人物から唐突に無線で簡潔に説明されて終わりである。スネークとの熱い会話などは無い。 --また、戦闘終了後はさらに本体を表した彼女達とのイベント戦があるのだが、これを入れる必要性が特になくただ''エロいだけ''のバトルと言われた。 --ストーリーにも特に大きく関わるわけでも無いからか、後述の小説版ではBB部隊は未登場となっている。 -次回作の『MGS:PW』でもボスはAI戦車とのバトルのみ、『MGSV:TPP』ではボス戦自体余り無かったりとこの点はシリーズの最後まで改善されなかった。 ***無理のある設定とやりすぎな演出 #region(ネタバレ注意) -旧作との整合をとるために、無理矢理感のある設定や、後付ゆえの様々な矛盾が存在している。 --スネークはCQC((『MGS3』で初出の格闘術。))を使えるが、今まで使わなかったという設定が少々強引すぎる。 --『MGS』で名前だけ出てきたクラーク博士と『MGS3』のパラメディックが同一人物であることが明かされるのだが、旧作の発言と矛盾している。 ---パラメディックは女性であるはずなのに、『MGS』にてナオミから「''彼''」と呼ばれている。ちなみに小説版『MGS』では「彼女」に訂正されている。 ---後のシリーズではクラーク博士は経歴不明で滅多に人前に出ない事で有名と語られている。 //「リキッドとスネークの出生に関わったのはパラメディック」からの性別云々の内容は文脈に合わないので変更 -『MGS2』から登場したアメリカを影から支配する謎の組織「愛国者達」の正体が、『MGS3』に登場したキャラ達だったという真相((ただし、『MGS3』からある程度の設定や伏線は存在していた。))も、「狭い人間関係で完結してしまった」としてスケールダウンを感じさせることになった。 --『MGS2』では、そのトップに立つ12人が100年前に死んでいたなど、得体の知れなさを押し出して描写されていたのに、本作であっさりと''偽情報だった''として流されてしまう。 --特に、『MGS2』に登場したA.I.は「愛国者達」が手に入れた新たな力の1つのように表現されていたが、本作ではこのA.I.自体が「愛国者達」なるA.I.ネットワークの根幹をなすものであったことが明かされる。この事実も同様であろう。 -本作発売と同時に、全作分の資料集である『METAL GEAR SOLID4 DATE BASE』がPSストアから無料配信され(現在は配信終了)、さらに『MGS2 バンドデシネ((『MGS1』『MGS2』のデジタルコミックのDVD。))』も発売されたが、これらも細かい部分で相互に矛盾しあっており、結局何が真実なのか分からない。 -『MGS』にてFOXDIEに感染したスネークであったが…。 --長年潜伏した事によってより凶悪な殺人ウィルスに変異しており、もはやスネークそのものが歩く細菌兵器と化している事が発覚する。 --よって、最善手を取るならスネークは今すぐ隔離か死を選ぶ方が良いという絶望してくれと言わんばかりの話になる。いくらなんでも負の御都合主義が過ぎるだろう…。 --なお、後述の気力ゲージが活躍するシーンでもある。%%空気を読んでくれ%% -演出面にもやりすぎな部分や不自然な点が見受けられる。 --代表的なものは、''戦闘の最中に愛の告白とキスをするメリルとジョニー''、''重大な話をしているナオミのパンツを覗こうとするスネーク''などが挙げられる。 //メリルとジョニーのは演出としてはありがちな物と思うんだけど、どちらかと言えば賛否の方じゃない? --劇中で雷電がスネークの身代わりになり巨大戦艦に押しつぶされるのだが、その際に''誰がどう見ても死亡した''と思われるような演出が入る。しかし、その直後のムービーのスネークとオタコンの''「雷電は?」「一命は取り留めたが到底参戦は無理だ。休ませてあげよう」''という会話で生きていることがアッサリ告げられる。プレイヤーからすると肩すかしを食らった気分になる。 //「スネークは雷電は死んだと思ったが傷つけないようにオタコンに対して生きていると嘘をついたという見方もできるかもしれないが、過去作品から考えるとそういう嘘をつくタイプではないしそもそもすぐバレるだろう」は文脈に沿わないので修正 ---雷電は「あのまま死亡する」か「死亡したと見せかけてスネークの危機に再登場する」方が良かったのではという意見が当然ある。 ---実際、この後でスネークのピンチに駆けつけるシーンがある。前述の会話が無かった方がプレイヤーに与える衝撃が大きかった事だろう。 ---新たなタイトルの主人公たりえるキャラクターなのだからもちろん殺すわけにはいかなかったのだろうが…。 --これに加えて、エンディングの項目で述べたスネークの最期など、全体として人の生死が少ない。過酷な戦場の様子が序盤から繰り返し描写されるにもかかわらず、「実は生きていた」「やっぱり死んでなかった」といった形で重要キャラクターが生き残るという展開が、作品を弛緩させてしまっている。 //--9年間スネークに中破させられ、その後極寒の地に整備すらされず放置されていたメタルギア戦を想定していないREXが、通常の整備がされているはずの5年前に開発された対メタルギア用であるRAYと互角に戦える。 //---RAYとの戦闘では噛みつきのような攻撃方法があるのだが、REXの口にあたる部位はコクピットである。こういった点から見てもいろいろとおかしく、「メタルギアvsメタルギアというシチュエーションをやりたかっただけでは?」と思われる事も。 //あれはコクピットではなく関節で挟んでいるだけ。「専門のオタコンのサポートと密かに組んでいた格闘戦のシステムがあるから勝てた」という理由付けもされている。そこで文句を言い出したら「優性形質を持つリキッドがソリッドに負けたのはおかしい」って言っているようなもの。 -最終決戦はオセロットとの殴り合いだが、始まるまでのムービーが例によってとにかく長い。 --それを乗り越えると、『MGS1』のBGMとともに当時の体力ゲージが表示されるという非常に熱い演出が入るのはいいのだが…。なんと''同じ事を『MGS』シリーズの本数分繰り返す''というとんでも演出にそのまま突入する。 #endregion //別にネタバレという程でないのもあるので移動。 -旧作から登場している人物の出現や後半のとあるステージで多用される旧作ポリゴン演出。 --該当のシーンに入ると当時のローポリがオーバーラップするという演出なのだが、演出としては不自然さのほうが目に付く。 --「懐かしさ」を推しだす胸の熱くなる演出という意図なのだろうが、それにしてもやたら出てくるのでくどい。 -気力ゲージについて。 --スネークのメンタルを表現する演出としてムービーシーンでも登場するが、かなりシリアスなシーンであっても問答無用で表示されSEが鳴りながら増減する様はもはやギャグである。 -作中時系列において、兵士は皆ナノマシンを体内に注入しており、戦闘に特化した様々な恩恵を受けているという設定。 --この中に「殺人に対する忌避感(罪悪感)を無くす」という物があり当然のように敵に利用されるのだが、例によって演出が過剰で味方の兵士が苦しみ藻掻いて行動不能になるシーンが数回ある。いくらなんでも罪悪感や忌避感で誰も彼もがそんな事にはならないだろう。 --ほぼ全員なので当然、その中には歴戦の強者といった人物も含まれる。 %%「よくこれで10年も生き延びてこれたな。」 %%((項目とは関係ないシーンでスネークがある人物に呆れて言い放ったセリフだが、皮肉なことにその人物は唯一ナノマシンの制御を偶然搔い潜っており終盤に反撃の糸口となる。)) -小島監督が前に出過ぎ。 --作中、「''コジマ・カミナンデス''」という像が登場する。無論、制作者である小島監督のことを言っているのだが、「やりすぎ」「見ていて痛々しい」「自画自賛も度が過ぎる」等といった批判の声もある。 ---ちなみに、このネタは『MGS:PW』でも登場人物の名前や無線で再度使われている。 --兵士役でカメオ出演していたり、隠し要素として彼の「久夛良木さああん!((PlayStationシリーズの生みの親として知られる久夛良木健氏のこと。))」という絶叫が収録されていたり……。特に、兵士役としては終盤で結構な量のセリフを担当するのだが、お世辞にも演技が上手いとは言えない上に存在意義がない。 -本作のシナリオの出来から、発売当時は「無理に本作で決着させなくてもよかったのではないか?」という意見が相次いだ。 --風呂敷を広げ過ぎたが故にムービーで強引・長々と説明せざるを得ず、結果ディスクの容量を食い、ボリュームが激減、未経験者へ配慮も無し…これでは本末転倒だろうというものである。 --「本作である程度話を終わらせて次回作で決着させる、というやり方でもよかったのでは」という意見も結構な頻度で出ていた。 --細かく存在する矛盾や粗、後述の描写不足を見ても、「広げ過ぎた風呂敷を無理矢理畳んだ」という印象が強くファンとしてはあまり納得のいかないものだった。 ***全体的な描写不足 -『MGS2』にて登場したメタルギアRAYの開発理由は、「メタルギアREXのデータ流出によって世界中に拡散したメタルギアの亜種を駆逐する」というものであった(本作でも無線で言及されている)。 --本作は『MGS2』の5年後を舞台にしており、世界各地の戦場を転々とすると宣伝されていたため、未だ見ぬ「メタルギアの亜種」たちに出会えるのではないかと多くのプレイヤーが期待していた。 --しかし、本作に登場するメタルギアは月光・RAY・REXの3種類のみ(要するに新規はたったの1種)。「世界各地の戦場」も実質2ヵ国であり、亜種は確認できず。結果的に設定倒れとなってしまった。 //「使われなくなった旧式のメタルギアを武装勢力が使っている」なんて描写があれば、その設定を上手く活かせたのではないか。実際は現地民兵たちはメタルギアを所有できるような余裕のある勢力ではなく、他にメタルギアを所有していそうな勢力も物語に登場しないので仕方が無いところではあるが。 //個人が考えた設定を書いても意味がないのでは?改善の示唆や突っ込みにしてもここまで割く必要は感じない //---補足しておくと、メタルギアは本来「核戦略の中核を担うモノ」であり、扱いとしては戦略爆撃機や戦略原潜と同じなので、所有できる勢力が登場しないのはある意味仕方ないとも言える。 //月光が普及してる時点でちょっと微妙かな。あくまで「亜種」なら限定的運用に縛られてスケールダウンを招くことにはならないはず -ナオミとオタコンの関係が、事前に匂わせるような描写もなくいきなり始まるので唐突に感じる。 -『MGS2』から5年後を舞台にしているが、ゲーム開始時のスネーク達の置かれている状況が分かりづらい。 --「フィランソロピーはどうなった?」「雷電は何をしてたんだ?」等々。 --特に雷電については、トラウマ、サイボーグ化した理由、サニーを助け出した経緯などが一切説明されてないので、プレイヤーは置いてけぼりを食らってしまった。 ---本来ならこの空白を埋める『メタルギアソリッド ライジング』という作品が作られるはずだったのだが、開発トラブルの末に「[[本作の数年後の物語>メタルギアライジング リベンジェンス]]」に変更されてしまい、語られることはもはやなくなってしまった。 ***声優の変更 -ヴァンプの声優が『MGS2』の置鮎龍太郎氏から塚本晋也氏に変更された。 --「元々『MGS2』の時点でヴァンプの声優は塚本氏が担当するはずだったのが、諸事情により出演できなくなり置鮎氏が急遽代役を務めた」という事情のため、「本来の声優に戻した」という形ではある。また、本職の声優ではないものの演技力は悪くない。 ---とはいえ、重要な役割のキャラに声優ではない人間を起用したことや、既に置鮎氏の印象が強いのに声質の違う人物に変えてしまったこと、小島監督の友人である塚本氏の起用といった理由から、「わざわざ変える必要があったのか?」と言われている。 ---また、こういった理由で変更した割には後に発売された『MGS2バンドデシネ』ではヴァンプの声は置鮎氏が続投しており、ますます塚本氏に変えた意義が分からなくなってしまった((一応、「度重なる体の改造で声が変わってしまった」という後付け設定は付け加えられてはいる。))。 -ジョニーの声優が旧作の今村直樹氏から福山潤氏に変更されており、『MGS』及び『MGS2』の経験者からは不満の声があった。 --こちらはヴァンプとは違い、変更された理由は不明((今村氏の都合がつかなかった可能性もある。))。憎めない下っ端兵としてちょい役を演じてきた前シリーズまでと違い、今作ではガッツリシナリオにかかわってくる上に見せ場も相応にある。 ---今までの長年の下っ端ネタキャラが報われた形になるのだが、「その扱いは違うだろう」とちょい役としての彼の活躍を期待していたユーザーの声も見られた。 //また性格もヘタレな小心者になっており過去シリーズの言動と比べるとかなり違和感がある。 //既シリーズと違和感があるのは否めないけど、あれを単なるヘタレな小心者として片付けるのはちょっと無理があるでしょ。 --声優変更、性格が『MGS』『MGS2』と比べ明らかに変わっていることや主にアキバと呼ばれることから、旧作のジョニー佐々木ではないと考える人が多かったため、''同一人物''と判明してから当惑したプレイヤーも多い。 --『MGS3』ではジョニーの祖父が登場しており、声優も今村氏が担当するなどのこだわりを見せただけに、余計に変更した理由が謎である。 -英語版ではあるが、リキッド・オセロットの声優がリキッド・スネークを担当していたカム・クラーク氏ではなく、リボルバー・オセロットの声優であるパトリック・ジマーマン氏に変更されている。 --日本版では、『MGS2』の頃からオセロットの中でリキッドの意識が覚醒したと思われる状態になると声もリキッドのもの、すなわち銀河万丈氏の声に切り替わっていた。 --本作では終始、リキッドが覚醒した状態ということで銀河氏が一貫して担当している。それが英語版では、リキッドが覚醒してもオセロットから声が変わらないままという形に。 --ただ、設定を考えると肉体はオセロットなのだからオセロットの声のままの方が自然であり、寧ろ英語版の方はそれを考慮して変更したと思われる。 --実際、後の小説『サブスタンスII』では「オセロットの声」と明記されている((逆に『MGS2バンドデシネ』ではリキッド発現時に「その声は!」というセリフがあり、はっきり声まで変わっていることが描写されている。))。 ---しかし、日本版ではオセロット役の戸谷公次氏が本作発売前の2006年に亡くなってしまっており、同じ仕様に変更するのはそもそも不可能であった。 ---この理由で変更できなかったのか、『MGS2』の仕様を意図的に引き継いだのかは不明だが、いずれにせよ日本語版と英語版とでこのような差異が生まれている。 ---とはいえリキッドの声が聞けるのはこれはこれでアリとのファンの意見も多く、そこまで不満の意見はない。代役を用意するにしてもいきなりまだプレイヤーが聞きなれない声で出てくることになるため、やはり難しい所ではある。これでも上手く落とし所を見つけたといえるだろう((『MGSバンドデシネ』ではオセロット役を沢木郁也氏が引き継いでいるが、シャドー・モセス事件でのオセロット初登場時から演じられる同作と本作では事情が違う。))。 ***イベント類 -連打イベントは旧作と同様に健在。だが本作は連打しなければならない時間が非常に長い上に移動もしなければならないため、プレイヤーの指とコントローラのボタンに旧作以上に負荷が掛かる事になった。 -最初から始めると暫く架空のテレビ番組を見る羽目になる。もちろんスキップはできない。ちなみにボタンで番組変更が出来る。 --番組はジャンル問わず色々とあり(クッキングや動物番組等)『メタルギア』シリーズとは関係ないもの。番組終了後に、PMCのCMが放送される。 --これが、「戦争」が経済活動として日常化した作品世界を表現している他、ストーリーを暗喩している((クッキングはソリッド・スネークの最後、動物番組はオクトカムやBB部隊、ブートキャンプらしき番組はナノマシンなど。))のだが、初見時のプレイヤーにとっては''意味が解らない上にグロいだけ''であった。 ---ちなみに、英語版でスネークの声を担当しているデヴィッド・ヘイター氏の他、やっぱり小島監督もちょっとだけ出演している。 ---- **メタルギアオンライン2 『MGS4』に同梱し、単体版も存在。''2012年6月13日サービス終了。''~ 『MGS4』本編の世界線やシステムはそのままに、最大16人で対戦できるマルチプレイヤーモードである。~ 『メタルギア』シリーズのマルチプレイ続編としては『[[MPO+>メタルギアソリッド ポータブル オプス]]』以来、ナンバリングとしては『[[MGO1>メタルギアソリッド3 スネークイーター]]』以来である。 -SOPシステム --本編にも存在する戦場管理システム。主にチーム戦でSOPシステムの特徴をつかみやすく、SOPシステムをリンクした味方の位置や状況を壁越しに把握できる。 --敵のSOPシステムに侵入し、戦いを有利に進めることもできる。 -ドレビンポイント(DP) --敵をキル・スタンしたり、ルールに沿った行動をすると獲得できるDPも設定可能で、拠点やリスポーンのたびにDPを消費して武器やアタッチメントを購入可能。 -スキル --対戦前のブリーフィング画面にて設定可能な、プレイヤーキャラクターの能力。銃の扱いに影響するスキル、CQCや移動速度、SOPシステムに関連するスキルなどを選択可能。 -対戦ルール --ほかのFPS・TPSにあるような「デスマッチ」「チームデスマッチ」に加え、メタルギアでお馴染みの「ステルス迷彩」を装備して戦う「ステルスデスマッチ」「チームスニーキング」もある。全12種。 -マップ --『MGS4』本編にある中東や南米、シャドーモセスや、過去作の復刻マップも複数存在する。 -評価点 --基本無料の割りに高い完成度 ---『MGS4』のシステムをほぼそのままに、うまくマルチプレイゲームとして落とし込めている。SOPシステムに関しては本編の一兵士を体感できるようになっており、前述のように味方を把握しながら連携を取れたり、敵のSOPシステムに侵入し敵の位置をスキャンしたり、本編のように感情制御で一定時間行動不能にする、フレンドリーファイア時にはSOPでロックを掛けられるという体で数秒間武器を発砲できなくなったなど、かなり高く本編を再現できていると言えよう。 ---武器を発砲するだけでなく、罠を設置したりSOPシステムを駆使し、戦い方はそれぞれであっても勝利を目指すこともできた。 --充実したコミュニケーション ---男女それぞれ8種のキャラクターボイスが存在し、個性のある声で戦場を華やかに飾ってくれる。プリセット無線で意思疎通を行えるのはもちろん、テキストチャットも可能である。 --あまりの人気ぶりに本来のサービス終了日より1年長く続くこととなった([[参照>https://web.archive.org/web/20120216205553/http://www.konami.jp/mgo/jp/hd/event/information.html]])。 --また、サービス終了日である2012年6月12日、想定外のトラフィックの多さにサーバがパンクし、日本のみサービス終了日が1日延長された。 -賛否両論点 --武器バランス ---このゲームのマップの広さは他のFPS・TPSに比べてやや狭めな傾向にあり、それ故にアサルトライフルが万能武器と化していた。その中でもM4 CUSTOMの使用率が著しく、誰が言ったか「M4オンライン」と呼ばれていた。 ---近距離での戦闘はアサルトライフルよりサブマシンガンやショットガンに軍配が上がることもあるが、ロックオンという機能で胴体撃ちを行い、無理やりキルする場面も散見された。 ---サービス開始初期はSVDやM14EBRといったスナイパーライフルも武器スキルなしでアサルトライフルとほぼ同等で扱えるほど強力であったが、反動の増加や必要DPの増加で弱体化を受けた。 -問題点 --ゲームの重さ ---場面やマップによってはfpsが著しく低下する状況があり、操作に難を生むこともあった。強武器であるM4をこの状況で持つとエイム時の視点操作性が悪くなってしまうことから、移動しながら撃てるサブマシンガンなど敢えて他の武器を持つプレイヤーも一定数存在したほど。 --ラグ ---同じ地域のプレイヤー同士でもかなりの頻度でラグが起こっていたのは否めない。グレネードでふっ飛ばされた敵が行動可能になった瞬間にワープすることが頻発していた。 --プレイヤーの質の悪さ ---ルールや使用可能武器などを設定できるフリーマッチではある程度制御できたものの、それ以外のクイックマッチや他ゲームのランクマッチにあたる「サバイバル」ではスマーフが横行していた。 ---テキストチャットが可能な故に暴言を吐くプレイヤーが多数存在していた。 ---サービス期間中盤以降はLANケーブルを加工したラグスイッチおよびゲームサーバへのDDoSが流行し、対戦を一方的に有利にする行為を行うプレイヤーが存在した。 ---- **総評 COLOR(orange){2008年 Game of the Year}受賞は伊達ではなく、PS3のハード性能を存分に活かした丁寧なゲームグラフィックは圧巻である。~ ある程度の描写不足や展開への賛否はあれども、『メタルギアソリッド』という難解な一大シリーズに一応の決着をしっかりつけた点も、ファンにとっては快いだろう。 ただ一方で、様々に目に付く過剰な演出や突飛な設定とちぐはぐな新要素やゲームデザイン、さらには''ムービーの多用''と''シリーズ初心者への不親切さ''などは決して無視できないマイナスポイントである。~ 特にムービーの多用については、そういった作風を理解しつつも追従してきた古参ファンにすら、同様の苦言を呈されてしまった事態はやはりいただけない。~ 「ムービーゲー」は本作を表現するものとしてよく使われる名称であるが、それが単なる特徴を捉えた名称ではなく、欠点を揶揄するものであることは明らかである。 とはいえシリーズファンならば押さえておいて決して損は無い集大成的な作品なので、欠点を把握したうえでソリッド・スネーク最後の戦いを体験して欲しい。~ シリーズ初心者は、1本で4作(PS3版は5作)を収録した『[[メタルギアソリッド HD エディション]]』や、PS3のみとなるが本作を含めたほぼ全ての『メタルギア』シリーズが収録された『レガシーコレクション』などで十分に予習してから本作をプレイしてはどうだろうか。 ---- **余談 -本作以降、『インテグラル』『サブスタンス』『サブシスタンス』に相当するいわゆる完全版が発売されていない。 -『メタルギアソリッド ポータブル オプス +』には本作に先駆けてオールド・スネークがユニークキャラクターとして登場している。 -コラボアイテムとして『リゲイン』と『iPod』とユービーアイソフトのゲームである『[[ASSASSIN'S CREED]]』の服装が登場。『リゲイン』はコラボCMまで作られた。 --前者は回復アイテムとして、後者はスネークのスペシャルコスチュームとして使用できる。 --『iPod』では歴代小島秀夫作品のBGMだけでなく、攻略ポイントやマップの見どころを紹介するMGS4ツアーや制作秘話など盛りだくさんの内容となっている『Guns of the HIDECHAN! radio.』(DLCとして無料配信)を視聴できる。 -本作は後に同じ小島秀夫作品『Castlevania: Lord of Shadow』の特別版で半ば抱き合わせと言うべきセットで再販された。 -本作を原作としたタッチシューティングゲームであるiOSアプリ『Metal Gear Solid Touch』が過去に配信された。スマートフォン向けゲーム創成期の作品であるため、2017年現在の最新ゲームと比べると非常に見劣りする。 -伊藤計劃による小説版も発売されている。 --『MGS』の有名ファンサイトの管理人であり、かつ「小島原理主義者」を自称するほどの小島監督作品ファンであった氏の作品だけあって、ゲームのノベライズとしては非常に良質。 ---また、SF界で非常に高い評価と注目を集めた作家ではあるが、デビュー後早期に亡くなってしまっており、氏唯一のゲームノベライズ作品、数少ない長編の1つとしても貴重な作品である。 --本編で抜きにされていた歴代シリーズの説明やマニアックな小ネタの追加から、評価は高い。 --本編でいきなり使えるようになっていたCQCへのフォローや、ゲーム中では全く分からないリキッド・オセロットの右腕についても言及されている。 --ちなみに、氏のオリジナル長編『虐殺器官』は、本作と非常に似た描写が多く、「SENSE」を巡る物語としてある程度共通してもいる。本作を遊んだ人はこちらを読んで損はない。 -本作は発売から15年以上経った現在も他機種版が存在しないPS3完全独占タイトルだが、''開発段階では360への移植も検討されていた''ことを元開発者のRyan Payton氏が明らかにしている([[参照>https://www.gamespark.jp/article/2023/06/20/131276.html]])。 --なんでも、検証チームが360で本作を動作させたところ「美しくスムーズに動作していた」とのことだが、最終的には容量の問題で移植を断念したとPayton氏は語っている。 ---これは、PS3はBD-ROMが使用されていたのに対して360はBDより容量が少ないDVD-ROMが使用されていたので、もし360版を発売する場合は複数枚のディスクに分ける必要があるからである((360版『ファイナルファンタジーXIII』はディスク3枚組で発売された。))((パッケージソフトがだめならダウンロード販売で発売すれば良いと思われるが、第7世代据置機(PS3/360/Wii)の頃のDL販売はレトロゲームの復刻等の小規模なタイトルが中心で、大規模なタイトルはパッケージソフトのみでの販売が主流であったので、そういうわけにはいかなかった。また、当時は大容量ストレージが普及していなかったことも影響している。第8世代据置機(PS4/One/WiiU)以降はパッケージ/ダウンロード版の同時販売が当たり前になった。))。

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