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*とんがりボウシと魔法の365にち 【とんがりぼうしとまほうのさんびゃくろくじゅうごにち】 |ジャンル|コミュニケーション|&amazon(B001G61196)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|アクリア|~| |発売日|2008年11月13日|~| |定価|4,800円(税5%込)|~| |プレイ人数|1~4人(通信要素あり)|~| |セーブデータ|1つ|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~| |ポイント|肝要素の楽しみ方を説明してくれない&br;スローライフというよりふしぎ事件がメイン|~| |>|>|CENTER:''とんがりボウシシリーズ''&br;''魔法の365にち''/魔法のお店/おしゃれな魔法使い/魔法の町| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 コナミ発売のコミュニケーションを主軸にしたゲーム。~ ふしぎな世界に招かれたプレイヤーは魔法学校での生活を満喫し、ふしぎな事件を解決していくことになる。~ 舞台は魔法学校のある世界であり、近くには商店街、銀行、学生寮、採取がおこなえるキノコの森や洞窟、釣りができる川や海、孤島もある。 -スローライフゲームの性として、[[どうぶつの森シリーズ]]とどうしても比較されがちであり、当然ながら後続タイトルとして共通しているシステムも多い。 --しかし、「どうぶつの森」シリーズとファン層が全く一致しているわけでもない。どうぶつの森シリーズの『カブ』をさらに発展させた『ベリー』、個性的なキャラクター、何より不思議事件や音楽、幻想的な世界観が特徴的なとんがりシリーズを熱心に推しているユーザーも数知れず。 -現在、『365にち』含むタイトルやサウンドトラックはフリマアプリで高騰しているが、これは3DS『魔法の町』を最後に制作チームが解散してしまい、長い間最新作がリリースされていないことが理由の一つとして挙げられる。 ---- **登場人物たち ***メインキャラ -プレイヤーの分身 --性別、外見、名前、誕生日をある程度設定できる。誕生日には独自の星座が当てはめられていて、それら一つ一つに「生まれ持った性質」が割り当てられていてなんともユニーク。((例えばトカゲのしっぽ座ならば距離感をたもつタイプ、ドクロ座ならば変化のある関係を好むといった具合。)) ---作ったキャラの設定変更を後からは出来ないが、複数人をキャラメイクして入学させてもよい。キャラそのものをまっさらにしたい場合は学校そのものを作り直すこととなる。 ---複数キャラの間で、クラスメイトからの好感度や受けた授業内容、成績は共有できない。 --金銭や手持ちアイテムも共有はできないが、自分の部屋に置いてもう一人の自分に拾わせるなどすれば、持ち物の貸し借りは出来る。 -校長先生 --プレイヤーが入学手続きの際に最初に会話することになる。 --町の過ごし方や基本操作について最初に講義してくれる人物であり、一定期間に一度、魔法使いとしての評価を行ってくれる人物。 --基本的には塔にいて((夜間には天文台で運勢占いをしてくれる))、プレイヤーにふしぎ事件発生に必要な「鍵」を渡してくれる。 --なお昼の時間帯は太陽のような外見だが、夜は三日月のような外見になる。 ***サブキャラ -先生たち --天狗を西洋風にしたようなドルイドン先生、カカシのようなミスキーキー先生、吸血鬼のようなリカルド先生、骨格標本のダグラス先生が在籍。 --魔法学校で教える教科は「つえまほう」「おまじない」「まほう語」の3つで、それぞれドルイドン先生、ミスキーキー先生、リカルド先生の管轄となる。 --ダグラス先生は課外授業担当。課外授業はふしぎ時間の時のみ開講される。それ以外の時期は講堂の横で眠っている。 -街の人々 --街の施設として薬屋、花屋、銀行員、服屋、家具屋、バーがあり、お店ひとつにつき店員さんとなる専用キャラがいる。 -クラスメイト --1週間ごとにひとりがぬけてひとりが新たに転入してくるシステム。一度に町にいられるのは原則9人。 --話し続けたり、問いかけに対して向こうの喜びそうなことを答えると好感度が上がっていく。 --逆に魔法でいたずらしたりしていると、いたずらに使ったプレイヤーの分身が嫌われてしまう。 ---仲がいいキャラはある程度の期間引きとどめることが可能。 --町全体にふしぎな事件が発生するとプレイヤーに知らせてくれる存在でもある。 --クラスメイトに「草むしり」「会話」などを目撃されると、噂話として広がるシステムがある。 --世界観に合わせたためか動物だけではなく器物や食物、架空の生物といったモチーフが採用されているクラスメイトも多い。 -NPCの発言は字幕で繰り広げられるが、音声はいわゆるハナモゲラ語で代用される。 **プレイヤーがとれるアクション -杖の変形 --Rボタンか下画面の右上にあるアイコンにタッチすることで、素手→スコップ→釣り竿→捕虫網→ジョウロ→素手…と切り替え可能。 -Xボタン --杖や素手にまつわるアクションができる。素手だと近くのクラスメイトを呼ぶことができ、スコップだと目の前の場所を掘る、釣り針を投げる、捕虫網を振る、花に水をやるといったアクションができる。 ---ベリーや木の苗はスコップを持っていないと埋めることができない。 ---ジョウロでは花の世話が可能。また枯れた花も1日たつまでに水をかければよみがえらせることができる。 -園芸 --育てられる植物はお花、ベリー、樹木の3つ。いずれも園芸屋で取り扱っているが、ベリーや木は苗として購入することになる。 --お花はガーデニング、部屋の置物に使える。また特定の場所に植わっていると花の色が変色する。 --ベリーの実は薬屋で風邪薬を作ってもらうときに必要となる。また時折やってくる家具の行商屋が高値で買い取ってくれる。 ---ただしベリーの実を1日以上持ち歩くと腐ってしまう。腐っていないうちはスコップを使って植えておけば苗にできる。 --成長した木のまわりにはキノコが生えてくる。またセミ、カブトムシ、クワガタといった虫も寄ってくる。 ---ベリーと木の苗が枯れずに成長するには、周囲になにも生えていない土壌が確保されている必要がある。 -釣り --Xボタンで釣り針(餌は不要)を投げる。水中に釣り針があるときにXボタンで「段階的に手繰り寄せ」、Bボタンで「引き上げ」になる。 ---Bボタンで魚を釣り上げることは出来ない。 --Xボタンで手繰り寄せている間は魚影が寄ってくる(魚影は波紋状に現れる)。食いついた後はXボタンで岸まで針を引き寄せることができれば釣り上げ成功。 ---魚が引っ張ってしぶきがたっている時にXを連打してしまったり、針に食いつかせた状態であまりにも長い時間がたつと逃げられてしまう。 --あまりにも逃げられる判定が分かりづらかったためか、次作「魔法のお店」以降では逃げられる判定の時は吹き出しが出るようになった。 -まほう語 --ゲーム中の世界のオリジナル言語。象形文字のような文字がめいめい何かしらの意味を持ち、これらの組み合わせで意思疎通をはかれる。 --be動詞や接続詞に該当する語は存在しない。文字順が文法における重要要素な模様。述語が最後に来ることが多いので、日本語と似ているところがある。 --普通に生活している分にはまず使わないが、特定の不思議事件ではまほう語「しか」喋れない生物が登場するため必要となる。 ---字幕にもこの象形文字が使われるため、文字の意味をあらかじめ知っておくなどの対策は必要。 -魔法使いに変身 --時計回りに回転すると魔法使いに変身でき、逆に反時計回りに回転すると魔法使いの服装を解除できる。 -杖魔法・おまじない --魔法使いに変身しているときのみ行使可能。 --杖魔法は、杖に呪文を正しく唱えると魔法を杖に籠めてから使うことができる。Xボタンで飛び道具のように発射し、着弾した対象にさまざまな効果を発揮する。 --おまじないも同様に正しく呪文を唱える必要があるがさらに手順が必要な場合が多く、効果範囲や継続期間も広い。 ---具体的には特定の場所を決められたように移動する、おまじないをした後にアイテムを手に持ち消費する等が必要。 --授業で習っておけば呪文がノートに取られる。習っていない呪文・おまじないも一応使うことはできる。 -持ち物 --主人公は常にバッグを持ち歩いているようで、下画面左上のアイコンから15個までアイテムを持ち歩くことができる。 --アイテム移動はタッチペンで行える。カバンアイコンから取り出し地べたに置くと、置いたり植えたりできる。キャラのもとに持ってくると手に持ったり装備したりできる。会話中にかざすとその持ち物を目の前の人に譲渡できる。 -スタートボタンで地図や持ち物、いままで習った魔法、学生証を確認できる。 **時間との連動 -内蔵時計との連動 --DSに設定した日付と時刻と本作の世界は連動している --朝・昼・夕・夜、春夏秋冬によって空や遠景の様子、周囲に生息する生物や植物の様子が変わる。 --春夏秋冬はそれぞれDSの日付の3~5月、6~8月、9~11月、12~2月と対応しており、冬季であるほど日の入りも早くなる。 --なお、商店街や銀行の営業時間は9:00~23:59で固定。 -授業 --教室の前に立つ先生に話しかけることで授業が開始される。 ---授業にかかる時間は1分程度。最後に先生から授業内容に関係するクイズを出される。 --1時間経過するごとに先生が入れ替わり教われる科目が変化する。 --職員室にいるドルイドン先生に話しかけることで、授業を受ける時間を8:00~20:59か、12:00~23:59か選べる。 ---設定した時間外には授業は受けられない。 --1週間たつごとに授業の内容がローテーションの要領で変化していく。 -ふしぎ時間 --校長先生からもらった鍵を使うか、特定の時期になると発生するイベント。 ---鍵を行使できるのはおおむね月の上旬が目安(それ以外で使うことができない。)。逆に時期で発生するふしぎ時間は月の下旬が目安。 --この世のものではない不思議な生物が出現するほか、授業はダグラス先生の課外授業しか受けられなくなる。 --ふしぎ時間は始まってから日付が変わるまで続く。 -ふしぎ事件 --ふしぎ時間の後に、一部の異世界からの生き物がこの世界にとどまって発生するイベント。 --プレイヤーは何かしらのことをして、異世界からの生き物を満足させるようなことをすれば解決となる。 --ふしぎ事件に挑める期間は1週間程度。解決の可否にかかわらず、ふしぎ事件が発生するごとにその内容が変化する。よって、クリアし損ねた事件に再挑戦できるのはかなり先になる。 ---- **評価点 -授業の演出 --授業を受けるたびに、プレイヤーができることが増加していくため序盤のモチベーションになる。 --DS上画面を黒板に見立てて板書が行われるので一種の臨場感もある。チョークを黒板に叩きつける音や、書き跡を黒板消しで消す音も盛り込まれている。 --ゲームの中の世界でも何かしら有意義な行為をしている感じになりやすい。規則正しく生活したい人にはありがたい仕様。 -杖が変化するシステム --釣竿、シャベル、じょうろを持ち替える必要がなく手軽。 -BGM --特にキャラクター自身がゲーム中で流れるBGMを聴いていくことで次第に音楽を覚えていく((商店街のバーで覚えることができる。))というシステムがある。これはなかなか当時のゲームとしては珍しい。 ---覚えた音楽は口笛または所持している楽器で演奏できる。クラスメイトもそれぞれ得意な楽器(口笛も含む)が設定されておりセッションすることも可能。 --クラシックの名曲のアレンジが数多くアレンジされている。時間帯、天候、さらには場所によっても変化するため、本作のデータとして収録されているBGMは非常に多い。 ---マップも決して広くなく据え置きの状態ではあるものの、本作の通常プレイで用意された楽曲数は20以上。 ---演奏するために用意されたオリジナルの楽曲は50程度ある。 --学校のチャイムのカスタマイズなど力を入れている。 ---真新しさが無いという見方もできてしまうが、聞き減りのしにくいクラシックの名曲を上手に編曲しつつ情景に落とし込んである。 ---春の午前中にヴィヴァルディの春が聞けたり、夕方の浜辺でベートーヴェンの悲愴が流れたり、夜の学校のジムノペディ、ショパンのノクターン、怪しい雰囲気のふしぎ時間では胡桃割り人形が流れたりする。 -ふしぎ事件の存在 --任意で起こせるものとは異なり、季節の一定時期に強制ふしぎ時間に突入することで発生するものもある。 -これらのタイプの不思議事件は、基本的に発生時期が月末に集中しており「突然ふしぎ時間が始まった」というワクワク感を演出してくれる。 --ふしぎ事件の内容も多様。アイテムを集めるだけでなく、学んだ魔法を駆使してアクションゲームのようなことが出来たり((孤島での海賊ドットとの対決、ふしぎ事件でのバトルイベントなど))、学んだ魔法語を生かして頭を使える場面もある。 --プレイヤーがどの程度街を見て回ったかが攻略難易度に影響するので、プレイヤーのそれまでの行動に意味が生まれるし、数だけでも40を超えるため遊び尽くすのには相当な時間が必要。 --街の住人の人間性にせまるイベントも多い。作業的に話していた人物の意外な一面を垣間見れるケースも多い。(クラスメイトはその限りではないが)。 -季節感 --街が季節に応じて装いがだんだんと変わっていく。 --新年、肝試し、クリスマスといった最低限の年次イベントは備わっている。 ---上述のようにBGMも季節に対応している。 --クラスメイトの服も多少季節によって変動していく。 -クラスメイトについて --せりふ回しが電波という問題点(後述)もあるのだが、主人公の行動を反映させたリアクションは多い。 --自分の部屋に連れていけば、なにかしらのコメントを入れてくれる。 --魔法使いに変身していると、何かしらの魔法でいたずらしてきたりする。 **賛否両論点 -あえてゲーム中で説明されないシステム --ゲームの過ごし方に関してはゲーム中は最低限の説明しかしてくれない。部屋の作り方、ふしぎ事件の起こし方、音楽の聴き方、まほう語の使い方は慣れて覚えていかなくてはならない。((『おいでよどうぶつの森』のように頻繁に家具や壁紙、絨毯をもらえるわけでもないので、基本的に自分で工面する必要がある。)) --また、物価が高く、用意された金策を活用しなければ腰を据えてプレイすることが前提となるだろう。((かめやに魚やムシをそのまま買い取ってもらおうとして売れずに困惑したユーザーも。)) -ふしぎ時間 ---プレイヤーが自発的に引き起こすタイプのふしぎ事件は、事実上各月の上旬でないといけない制約があるのだが、この説明もされていない。 ---具体的には&bold(){、『イベント開催中』、『季節事件の一週間前』は鍵を使ってふしぎ事件が起こせない}。 ---ゲーム中では、「扉のむこうの世界で誰かが使っているのだろう」というものすごく抽象的な理由が返ってくるため、DSの通信状況に原因があると誤解したプレイヤーも多かっただろう。 --ふしぎ事件も解法が分かりにくいことが殆ど。発生中はクラスメイトの発言が変化するので、それを参考に闇雲に動きまわり、セリフの変化などを確認しつつという事態になりがち。 --他には、家具屋に行かないとそもそも箒に乗れることに気づけなかったりする。 -クラスメイトの転入・転出 --とにかくクラスメイトの種類が多い。多いことは良いことともいえるが、ひとりひとりの印象が浅くなってしまうのは事実。 --彼らを全員登場させんが為に1週間ごとに入れ替わるように出来ている(最古参が転出し、新しいキャラが転入)ので、自分の周りの環境が落ち着かない。 --コンパチキャラ、しゃべり方の流用も所々に見られる。セリフの端々で挟み込まれる口癖で一応の差異は付けられているが。 -「どうぶつのもり」シリーズに極めて酷似したデザインやコンセプト。 --ゲーム内容自体は差別化はきちんと図られているが、コナミから他社の作品に類似したデザイン・内容の作品が出されたことが過去にもあったので、その点では賛否両論であった。 ---ゲームとしての着地点は異なるほか、「おいでよ」ひいては「街へいこうよ」と比較してもUI面で優れている点も多々あるため一概に同じ種類のスローライフと一緒くたにすることはできない。 **問題点 -処理落ちが著しい --学校の屋根は常にアニメーションしており、 かつ商店街は3Dモデルが集中して過密状態にあるためか、学校の両側に花畑でも作ろうものならすさまじいラグが発生する。 --ナンバリングタイトルの次回作「お店」「おしゃれ」「町」でもラグ問題は解決されておらず、むしろ悪化の一途にある。 -ふしぎ時間以外の楽しみが弱い --魔法学校で魔法を教わろうにも数は限られているし、生き物を捕まえようにもざっくりとしたことしか登録できないし、生徒と仲良くなろうにも時間制約があって、大勢を永久的に引きとどめることはできない。よってスローライフは確かに送れるのだが、ものすごくさびしい生活になってしまう。 --そんな中、授業を受けて、花を育てて、季節によって若干変わる虫・魚・キノコを集めて…といったことのみだとどうしても飽きる。 --よって本作を楽しむためにはふしぎ事件が重要なシステムだったことは間違いないのだが、とにかくこの事件に遭遇しづらい。その方法があるにしても説明されていないし、一定時間待つことを強要される面倒くささがある。お子さんの中には、気づかずに投げてしまったプレイヤーもいたのではないだろうか。 -万人に対応していないプレイ時間設計 --ふしぎ時間には、決まった時間帯でないとクリアできないタイプ、クリアするまでに最低でも3日分の時間を確保しないといけないタイプもある。クリアしなかったことによるペナルティこそないが。 --学校の先生が主催する季節イベントに関しては、1ヶ月近く前からしつこくアナウンスされる。アナウンス内容は直前までほとんど変化しないので、いつ起こるのかもわからない。 --せっかく学校に予定を記せそうな掲示板があるのに、こっちには何も書かれていない。カレンダーの機能も無い。 -移動・ゲームの終了方法 --川をまたぐ方法が存在しない。箒に乗れるようになっても、徒歩の時と同じように橋の上を渡らなくてはならない。 ---次回作『魔法のお店』ではターボ機能と川を越える機能が追加された。 ---学校からきのこの森は距離で言えば相当近いところにあるのだが、川に架かる橋を渡って、森をよけて…などすることから道のりとしてはかなり遠くになってしまう。 --&s(){終了する際も学生寮の扉に帰ってセーブしなくてはならない。セーブすると必ず現実世界に戻る演出が入る。これはこれで粋な演出ともいえるが、実際は長期間やればやるほど面倒くささに拍車をかけてしまっている。} SELECTボタンを押すと一部イベント中でない限りどこからでもセーブができる。 ---扉を調べたときに「つうしんのへや」「ふしぎじかん」「セーブ」の選択肢があるが、デフォルトでカーソルオンされているのが、「つうしんのへや」。 ---この通信は人によっては全く使わないのだが、Aボタンを連打するとうっかり選んでしまい、「通信のためにとびらを開ける動作時間」+「通信に必要なロード時間」+「通信モードのキャンセルに要する時間」+「扉を空けてもとの世界に戻るまでの動作時間」をロスしてしまう。その間合計20秒程度。 --おまじないで扉を呼び出すことも可能ではあるが、その際に消費するレアアイテムの入手には手順が必要。 --墓の前に『くろいマーガレット』を植えると数日後に黒いマーガレットに変化するのだが、これ以外の入手方法がない。続編ではまとまった数店で購入できるようになった。 --孤島というロケーションに行く方法が、マッハというキャラの運転するタクシーしか存在しない。片道の所要時間も30秒ほどかかる。なおこの間ロードしているわけではなく、これにさらにロード時間が加算される。 --虫取り ---正面に向けて網を振るうのではなく、薙ぎ払うように網を動かすので慣れるまでにやや時間がかかる。 ---捕獲時間を実質増加させられる『くものす』の魔法があるため、捕獲が圧倒的に困難なムシは夏限定のスカイフィッシュ程度。 ---アミの扱いづらさを度外視しても金策としては圧倒的なバランスブレイカーな側面を持つ。 ---「ふしぎ時間」にポップするエノキモドキやキノコの森にほぼ確定湧きするオニヤンマを乱獲してしまえば数分で手持ちが宝石でいっぱいになる。 --釣りに関して ---釣りに関してはややクセっ気があり、どうぶつの森のようにタイミングを見計らってキーを押す形式ではなく、実際の釣りのようにエサを奪おうとする魚に対し、ルアーを引かねばならない。 ---ただキーを連打しているだけは糸をちぎられてしまうため、水しぶきが出ている時は連打を一度やめなければならない。 ---洞窟や孤島などは、遠くに波紋がポップすることがある都合上、視認することができず糸を切られて一方的に逃げられることもしばしばある。 ---ちなみに水しぶきはコモンの下魚でも出るため、時間がかかり釣りは虫取りにくらべ、とてもコスパが悪い。 ---しかし次回作以降では『料理』の登場により重要性が増し、焦りマークが出るようになったことにより釣りの利便性がやや上がった。 -手紙関連 --不必要な手紙は削除するほかない。ライバル作品ともいえる「おいでよ」では役場で預かってもらうことができたが、とんがりボウシでは不可。 --郵便猫と話をすると、手紙がいっぱいの場合、「整理をしましょう」とだけしかtipsが出ないので、捨てる以外の選択肢があると誤解されがち。 ---直接アイテムをプレゼントできるためか、アイテムを手紙に添付することができない。 -荷物関連 --持ち物を一括で移動できないことが多い。 ---物を売ったり銀行との貸し借りする場合は一括でできるのだが、物を買ったり拾ったり、人に預けたりする場合はひとつずつとなるケースが多い。 ---特に物を渡すときは、毎度毎度同じ会話を送ってから、渡すかどうか、どのアイテムを渡すかの選択肢に回答しなくてはならない場合もある(キノコなべ大会にて、材料のキノコや魚介類をひとつひとつ鍋に投げ入れるくだりが顕著)。 --虫・魚を獲ることも出来るが、捕まえただけでは自動登録されず、塔にいる百科事典に一匹ずつ食べさせなくてはならない。 --こまめに部屋の手入れをすればいいが、キノコが勝手に生えてきてしまう。このキノコが多すぎると部屋に荷物を置けなくなってしまうため、お部屋を飾りつけるプレイングの足枷になっている。 ---邪魔なキノコや雑草は拾って「ゴミ箱に捨てる」か、墓石の魔王に依頼して撲滅してもらわなくてはならない。 -クラスメイトのセリフ設定が上手くいっていない --「恋愛」「大人になることの意義」といった哲学的な話題が多い。恋愛はともかく大人になることの話題は多少は読み応えはあるのが救いだが。 --あくまで何をしゃべってくれるかは機械的に判断されているので、脈絡が無い話になることも多く電波な印象が強い。 --授業中に回してくる手紙が特に電波。ひとことでまとめるなら「胸が熱い。これって恋かしら?」という内容なことが多く、少なくとも授業中に送られても反応に困るもの。 -道具アイテムが杖に一括されている都合上、Rボタンで狙った道具に変更するのに少し時間がかかる。 --杖を使いたいのにRを押しすぎてスコップにしてしまうとまた一周する必要があり、やや面倒。 -バグ・不具合 --連れ立って歩いているときにお店に入ろうとすると、キャラクターが嵌って動けなくなることがある。 --釣り針を投げた位置と自分との間に岩などがあると、Xボタンでは釣り針が引っかかって引き戻せなくなる。 ---厳密に言えば、ルアーを引き上げる都合上、&bold(){どうぶつの森シリーズとは違い岸辺にきっちり密着していないといけない}。 ---『ルアーが引っかかっちゃった』でXで牽引したときに警告してくれるが、魚がひっかかった後に立ち位置を警告されて釣り失敗になるのはやや本末転倒ぎみ。 --こちらはゲーム進行に特に影響はないが、衣装店のモン・パリから出て南に進むと、モン・パリの外観のグラフィックが地面に埋もれる。 --「どうぶつの森シリーズ」では、住人を意図して数秒間押すと怒られて好感度が下がるが、 とんがりボウシの場合はメニュー画面を開いて放置していて数秒間住人がぶつかるだけで「進路が塞がれる嫌がらせ」とみなされる。 --階段でも、向かい側から登ってくる住人に気付かず長時間スタックしてしまうことによる不幸な親密度の減少事故は起こりえる。 --メニューを開いて魔法言葉を入力中ももちろん起き得ることなので、教室内で悠長にメニューを開いていると好感度がダダ下がりになってしまうことも。 --ハロゲンデパートの店員やデイジーなども「少し触れただけ」、あるいは「メニューを開いているだけで」お邪魔でしたか?と注意してくるので少し煩わしい。 ---- **総評 ジャンルが似通っていることから[[どうぶつの森>どうぶつの森シリーズ]]と比較されることも多いが、魔法や架空言語、異世界的な雰囲気等、本作オリジナルの要素もしっかり取り入れられ差別化されている。~ ただそのオリジナル要素を楽しむためにいろいろとプレイヤーが自力で学んでいかなくてはならない部分が多く、発見する面白みを考慮したうえでも、真価を発揮するまでにかなりの時間やりこむ必要があるのが欠点である。~ ---- **余談 -音声は8人ほどの声優が担当。結月ゆかりのCVである石黒千尋氏、東北ずん子のCVである佐藤聡美氏も出演している。 -本作が人気を博したためかシリーズ化され、続編として『とんがりボウシと魔法のお店』『とんがりボウシとおしゃれな魔法使い』『とんがりボウシと魔法の町』の3作が発売されている。
*とんがりボウシと魔法の365にち 【とんがりぼうしとまほうのさんびゃくろくじゅうごにち】 |ジャンル|コミュニケーション|&amazon(B001G61196)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|アクリア|~| |発売日|2008年11月13日|~| |定価|4,800円(税5%込)|~| |プレイ人数|1~4人(通信要素あり)|~| |セーブデータ|1つ|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~| |ポイント|肝要素の楽しみ方を説明してくれない&br;スローライフというよりふしぎ事件がメイン|~| |>|>|CENTER:''とんがりボウシシリーズ''&br;''魔法の365にち''/魔法のお店/おしゃれな魔法使い/魔法の町| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 コナミ発売のコミュニケーションを主軸にしたゲーム。~ ふしぎな世界に招かれたプレイヤーは魔法学校での生活を満喫し、ふしぎな事件を解決していくことになる。~ 舞台は魔法学校のある世界であり、近くには商店街、銀行、学生寮、採取がおこなえるキノコの森や洞窟、釣りができる川や海、孤島もある。 -スローライフゲームの性として、[[どうぶつの森シリーズ]]とどうしても比較されがちであり、当然ながら後続タイトルとして共通しているシステムも多い。 --しかし、「どうぶつの森」シリーズとファン層が全く一致しているわけでもない。どうぶつの森シリーズの『カブ』をさらに発展させた『ベリー』、個性的なキャラクター、何より不思議事件や音楽、幻想的な世界観が特徴的なとんがりシリーズを熱心に推しているユーザーも数知れず。 -現在、『365にち』含むタイトルやサウンドトラックはフリマアプリで高騰しているが、これは3DS『魔法の町』を最後に制作チームが解散してしまい、長い間最新作がリリースされていないことが理由の一つとして挙げられる。 ---- **登場人物たち ***メインキャラ -プレイヤーの分身 --性別、外見、名前、誕生日をある程度設定できる。誕生日には独自の星座が当てはめられていて、それら一つ一つに「生まれ持った性質」が割り当てられていてなんともユニーク。((例えばトカゲのしっぽ座ならば距離感をたもつタイプ、ドクロ座ならば変化のある関係を好むといった具合。)) ---作ったキャラの設定変更を後からは出来ないが、複数人をキャラメイクして入学させてもよい。キャラそのものをまっさらにしたい場合は学校そのものを作り直すこととなる。 ---複数キャラの間で、クラスメイトからの好感度や受けた授業内容、成績は共有できない。 --金銭や手持ちアイテムも共有はできないが、自分の部屋に置いてもう一人の自分に拾わせるなどすれば、持ち物の貸し借りは出来る。 -校長先生 --プレイヤーが入学手続きの際に最初に会話することになる。 --町の過ごし方や基本操作について最初に講義してくれる人物であり、一定期間に一度、魔法使いとしての評価を行ってくれる人物。 --基本的には塔にいて((夜間には天文台で運勢占いをしてくれる))、プレイヤーにふしぎ事件発生に必要な「鍵」を渡してくれる。 --なお昼の時間帯は太陽のような外見だが、夜は三日月のような外見になる。 ***サブキャラ -先生たち --天狗を西洋風にしたようなドルイドン先生、カカシのようなミスキーキー先生、吸血鬼のようなリカルド先生、骨格標本のダグラス先生が在籍。 --魔法学校で教える教科は「つえまほう」「おまじない」「まほう語」の3つで、それぞれドルイドン先生、ミスキーキー先生、リカルド先生の管轄となる。 --ダグラス先生は課外授業担当。課外授業はふしぎ時間の時のみ開講される。それ以外の時期は講堂の横で眠っている。 -街の人々 --街の施設として薬屋、花屋、銀行員、服屋、家具屋、バーがあり、お店ひとつにつき店員さんとなる専用キャラがいる。 -クラスメイト --1週間ごとにひとりがぬけてひとりが新たに転入してくるシステム。一度に町にいられるのは原則9人。 --話し続けたり、問いかけに対して向こうの喜びそうなことを答えると好感度が上がっていく。 --逆に魔法でいたずらしたりしていると、いたずらに使ったプレイヤーの分身が嫌われてしまう。 ---仲がいいキャラはある程度の期間引きとどめることが可能。 --町全体にふしぎな事件が発生するとプレイヤーに知らせてくれる存在でもある。 --クラスメイトに「草むしり」「会話」などを目撃されると、噂話として広がるシステムがある。 --世界観に合わせたためか動物だけではなく器物や食物、架空の生物といったモチーフが採用されているクラスメイトも多い。 -NPCの発言は字幕で繰り広げられるが、音声はいわゆるハナモゲラ語で代用される。 **プレイヤーがとれるアクション -杖の変形 --Rボタンか下画面の右上にあるアイコンにタッチすることで、素手→スコップ→釣り竿→捕虫網→ジョウロ→素手…と切り替え可能。 -Xボタン --杖や素手にまつわるアクションができる。素手だと近くのクラスメイトを呼ぶことができ、スコップだと目の前の場所を掘る、釣り針を投げる、捕虫網を振る、花に水をやるといったアクションができる。 ---ベリーや木の苗はスコップを持っていないと埋めることができない。 ---ジョウロでは花の世話が可能。また枯れた花も1日たつまでに水をかければよみがえらせることができる。 -園芸 --育てられる植物はお花、ベリー、樹木の3つ。いずれも園芸屋で取り扱っているが、ベリーや木は苗として購入することになる。 --お花はガーデニング、部屋の置物に使える。また特定の場所に植わっていると花の色が変色する。 --ベリーの実は薬屋で風邪薬を作ってもらうときに必要となる。また時折やってくる家具の行商屋が高値で買い取ってくれる。 ---ただしベリーの実を1日以上持ち歩くと腐ってしまう。腐っていないうちはスコップを使って植えておけば苗にできる。 --成長した木のまわりにはキノコが生えてくる。またセミ、カブトムシ、クワガタといった虫も寄ってくる。 ---ベリーと木の苗が枯れずに成長するには、周囲になにも生えていない土壌が確保されている必要がある。 -釣り --Xボタンで釣り針(餌は不要)を投げる。水中に釣り針があるときにXボタンで「段階的に手繰り寄せ」、Bボタンで「引き上げ」になる。 ---Bボタンで魚を釣り上げることは出来ない。 --Xボタンで手繰り寄せている間は魚影が寄ってくる(魚影は波紋状に現れる)。食いついた後はXボタンで岸まで針を引き寄せることができれば釣り上げ成功。 ---魚が引っ張ってしぶきがたっている時にXを連打してしまったり、針に食いつかせた状態であまりにも長い時間がたつと逃げられてしまう。 --あまりにも逃げられる判定が分かりづらかったためか、次作「魔法のお店」以降では逃げられる判定の時は吹き出しが出るようになった。 -まほう語 --ゲーム中の世界のオリジナル言語。象形文字のような文字がめいめい何かしらの意味を持ち、これらの組み合わせで意思疎通をはかれる。 --be動詞や接続詞に該当する語は存在しない。文字順が文法における重要要素な模様。述語が最後に来ることが多いので、日本語と似ているところがある。 --普通に生活している分にはまず使わないが、特定の不思議事件ではまほう語「しか」喋れない生物が登場するため必要となる。 ---字幕にもこの象形文字が使われるため、文字の意味をあらかじめ知っておくなどの対策は必要。 -魔法使いに変身 --時計回りに回転すると魔法使いに変身でき、逆に反時計回りに回転すると魔法使いの服装を解除できる。 -杖魔法・おまじない --魔法使いに変身しているときのみ行使可能。 --杖魔法は、杖に呪文を正しく唱えると魔法を杖に籠めてから使うことができる。Xボタンで飛び道具のように発射し、着弾した対象にさまざまな効果を発揮する。 --おまじないも同様に正しく呪文を唱える必要があるがさらに手順が必要な場合が多く、効果範囲や継続期間も広い。 ---具体的には特定の場所を決められたように移動する、おまじないをした後にアイテムを手に持ち消費する等が必要。 --授業で習っておけば呪文がノートに取られる。習っていない呪文・おまじないも一応使うことはできる。 -持ち物 --主人公は常にバッグを持ち歩いているようで、下画面左上のアイコンから15個までアイテムを持ち歩くことができる。 --アイテム移動はタッチペンで行える。カバンアイコンから取り出し地べたに置くと、置いたり植えたりできる。キャラのもとに持ってくると手に持ったり装備したりできる。会話中にかざすとその持ち物を目の前の人に譲渡できる。 -スタートボタンで地図や持ち物、いままで習った魔法、学生証を確認できる。 **時間との連動 -内蔵時計との連動 --DSに設定した日付と時刻と本作の世界は連動している --朝・昼・夕・夜、春夏秋冬によって空や遠景の様子、周囲に生息する生物や植物の様子が変わる。 --春夏秋冬はそれぞれDSの日付の3~5月、6~8月、9~11月、12~2月と対応しており、冬季であるほど日の入りも早くなる。 --なお、商店街や銀行の営業時間は9:00~23:59で固定。 -授業 --教室の前に立つ先生に話しかけることで授業が開始される。 ---授業にかかる時間は1分程度。最後に先生から授業内容に関係するクイズを出される。 --1時間経過するごとに先生が入れ替わり教われる科目が変化する。 --職員室にいるドルイドン先生に話しかけることで、授業を受ける時間を8:00~20:59か、12:00~23:59か選べる。 ---設定した時間外には授業は受けられない。 --1週間たつごとに授業の内容がローテーションの要領で変化していく。 -ふしぎ時間 --校長先生からもらった鍵を使うか、特定の時期になると発生するイベント。 ---鍵を行使できるのはおおむね月の上旬が目安(それ以外で使うことができない。)。逆に時期で発生するふしぎ時間は月の下旬が目安。 --この世のものではない不思議な生物が出現するほか、授業はダグラス先生の課外授業しか受けられなくなる。 --ふしぎ時間は始まってから日付が変わるまで続く。 -ふしぎ事件 --ふしぎ時間の後に、一部の異世界からの生き物がこの世界にとどまって発生するイベント。 --プレイヤーは何かしらのことをして、異世界からの生き物を満足させるようなことをすれば解決となる。 --ふしぎ事件に挑める期間は1週間程度。解決の可否にかかわらず、ふしぎ事件が発生するごとにその内容が変化する。よって、クリアし損ねた事件に再挑戦できるのはかなり先になる。 ---- **評価点 -授業の演出 --授業を受けるたびに、プレイヤーができることが増加していくため序盤のモチベーションになる。 --DS上画面を黒板に見立てて板書が行われるので一種の臨場感もある。チョークを黒板に叩きつける音や、書き跡を黒板消しで消す音も盛り込まれている。 --ゲームの中の世界でも何かしら有意義な行為をしている感じになりやすい。規則正しく生活したい人にはありがたい仕様。 -杖が変化するシステム --釣竿、シャベル、じょうろを持ち替える必要がなく手軽。 -BGM --特にキャラクター自身がゲーム中で流れるBGMを聴いていくことで次第に音楽を覚えていく((商店街のバーで覚えることができる。))というシステムがある。これはなかなか当時のゲームとしては珍しい。 ---覚えた音楽は口笛または所持している楽器で演奏できる。クラスメイトもそれぞれ得意な楽器(口笛も含む)が設定されておりセッションすることも可能。 --クラシックの名曲のアレンジが数多くアレンジされている。時間帯、天候、さらには場所によっても変化するため、本作のデータとして収録されているBGMは非常に多い。 ---マップも決して広くなく据え置きの状態ではあるものの、本作の通常プレイで用意された楽曲数は20以上。 ---演奏するために用意されたオリジナルの楽曲は50程度ある。 --学校のチャイムのカスタマイズなど力を入れている。 ---真新しさが無いという見方もできてしまうが、聞き減りのしにくいクラシックの名曲を上手に編曲しつつ情景に落とし込んである。 ---春の午前中にヴィヴァルディの春が聞けたり、夕方の浜辺でベートーヴェンの悲愴が流れたり、夜の学校のジムノペディ、ショパンのノクターン、怪しい雰囲気のふしぎ時間では胡桃割り人形が流れたりする。 -ふしぎ事件の存在 --任意で起こせるものとは異なり、季節の一定時期に強制ふしぎ時間に突入することで発生するものもある。 -これらのタイプの不思議事件は、基本的に発生時期が月末に集中しており「突然ふしぎ時間が始まった」というワクワク感を演出してくれる。 --ふしぎ事件の内容も多様。アイテムを集めるだけでなく、学んだ魔法を駆使してアクションゲームのようなことが出来たり((孤島での海賊ドットとの対決、ふしぎ事件でのバトルイベントなど))、学んだ魔法語を生かして頭を使える場面もある。 --プレイヤーがどの程度街を見て回ったかが攻略難易度に影響するので、プレイヤーのそれまでの行動に意味が生まれるし、数だけでも40を超えるため遊び尽くすのには相当な時間が必要。 --街の住人の人間性にせまるイベントも多い。作業的に話していた人物の意外な一面を垣間見れるケースも多い。(クラスメイトはその限りではないが)。 -季節感 --街が季節に応じて装いがだんだんと変わっていく。 --新年、肝試し、クリスマスといった最低限の年次イベントは備わっている。 ---上述のようにBGMも季節に対応している。 --クラスメイトの服も多少季節によって変動していく。 -クラスメイトについて --せりふ回しが電波という問題点(後述)もあるのだが、主人公の行動を反映させたリアクションは多い。 --自分の部屋に連れていけば、なにかしらのコメントを入れてくれる。 --魔法使いに変身していると、何かしらの魔法でいたずらしてきたりする。 **賛否両論点 -あえてゲーム中で説明されないシステム --ゲームの過ごし方に関してはゲーム中は最低限の説明しかしてくれない。部屋の作り方、ふしぎ事件の起こし方、音楽の聴き方、まほう語の使い方は慣れて覚えていかなくてはならない。((『おいでよどうぶつの森』のように頻繁に家具や壁紙、絨毯をもらえるわけでもないので、基本的に自分で工面する必要がある。)) --また、物価が高く、用意された金策を活用しなければ腰を据えてプレイすることが前提となるだろう。((かめやに魚やムシをそのまま買い取ってもらおうとして売れずに困惑したユーザーも。)) -ふしぎ時間 ---プレイヤーが自発的に引き起こすタイプのふしぎ事件は、事実上各月の上旬でないといけない制約があるのだが、この説明もされていない。 ---具体的には&bold(){、『イベント開催中』、『季節事件の一週間前』は鍵を使ってふしぎ事件が起こせない}。 ---ゲーム中では、「扉のむこうの世界で誰かが使っているのだろう」というものすごく抽象的な理由が返ってくるため、DSの通信状況に原因があると誤解したプレイヤーも多かっただろう。 --ふしぎ事件も解法が分かりにくいことが殆ど。発生中はクラスメイトの発言が変化するので、それを参考に闇雲に動きまわり、セリフの変化などを確認しつつという事態になりがち。 --他には、家具屋に行かないとそもそも箒に乗れることに気づけなかったりする。 -クラスメイトの転入・転出 --とにかくクラスメイトの種類が多い。多いことは良いことともいえるが、ひとりひとりの印象が浅くなってしまうのは事実。 --彼らを全員登場させんが為に1週間ごとに入れ替わるように出来ている(最古参が転出し、新しいキャラが転入)ので、自分の周りの環境が落ち着かない。 --コンパチキャラ、しゃべり方の流用も所々に見られる。セリフの端々で挟み込まれる口癖で一応の差異は付けられているが。 -「どうぶつのもり」シリーズに極めて酷似したデザインやコンセプト。 --ゲーム内容自体は差別化はきちんと図られているが、コナミから他社の作品に類似したデザイン・内容の作品が出されたことが過去にもあったので、その点では賛否両論であった。 ---ゲームとしての着地点は異なるほか、「おいでよ」ひいては「街へいこうよ」と比較してもUI面で優れている点も多々あるため一概に同じ種類のスローライフと一緒くたにすることはできない。 **問題点 -処理落ちが著しい --学校の屋根は常にアニメーションしており、 かつ商店街は3Dモデルが集中して過密状態にあるためか、学校の両側に花畑でも作ろうものならすさまじいラグが発生する。 --ナンバリングタイトルの次回作「お店」「おしゃれ」「町」でもラグ問題は解決されておらず、むしろ悪化の一途にある。 -ふしぎ時間以外の楽しみが弱い --魔法学校で魔法を教わろうにも数は限られているし、生き物を捕まえようにもざっくりとしたことしか登録できないし、生徒と仲良くなろうにも時間制約があって、大勢を永久的に引きとどめることはできない。よってスローライフは確かに送れるのだが、ものすごくさびしい生活になってしまう。 --そんな中、授業を受けて、花を育てて、季節によって若干変わる虫・魚・キノコを集めて…といったことのみだとどうしても飽きる。 --よって本作を楽しむためにはふしぎ事件が重要なシステムだったことは間違いないのだが、とにかくこの事件に遭遇しづらい。その方法があるにしても説明されていないし、一定時間待つことを強要される面倒くささがある。お子さんの中には、気づかずに投げてしまったプレイヤーもいたのではないだろうか。 -万人に対応していないプレイ時間設計 --ふしぎ時間には、決まった時間帯でないとクリアできないタイプ、クリアするまでに最低でも3日分の時間を確保しないといけないタイプもある。クリアしなかったことによるペナルティこそないが。 --学校の先生が主催する季節イベントに関しては、1ヶ月近く前からしつこくアナウンスされる。アナウンス内容は直前までほとんど変化しないので、いつ起こるのかもわからない。 --せっかく学校に予定を記せそうな掲示板があるのに、こっちには何も書かれていない。カレンダーの機能も無い。 -移動・ゲームの終了方法 --川をまたぐ方法が存在しない。箒に乗れるようになっても、徒歩の時と同じように橋の上を渡らなくてはならない。 ---次回作『魔法のお店』ではターボ機能と川を越える機能が追加された。 ---学校からきのこの森は距離で言えば相当近いところにあるのだが、川に架かる橋を渡って、森をよけて…などすることから道のりとしてはかなり遠くになってしまう。 --&s(){終了する際も学生寮の扉に帰ってセーブしなくてはならない。セーブすると必ず現実世界に戻る演出が入る。これはこれで粋な演出ともいえるが、実際は長期間やればやるほど面倒くささに拍車をかけてしまっている。} SELECTボタンを押すと一部イベント中でない限りどこからでもセーブができる。 ---扉を調べたときに「つうしんのへや」「ふしぎじかん」「セーブ」の選択肢があるが、デフォルトでカーソルオンされているのが、「つうしんのへや」。 ---この通信は人によっては全く使わないのだが、Aボタンを連打するとうっかり選んでしまい、「通信のためにとびらを開ける動作時間」+「通信に必要なロード時間」+「通信モードのキャンセルに要する時間」+「扉を空けてもとの世界に戻るまでの動作時間」をロスしてしまう。その間合計20秒程度。 --おまじないで扉を呼び出すことも可能ではあるが、その際に消費するレアアイテムの入手には手順が必要。 --墓の前に『くろいマーガレット』を植えると数日後に黒いマーガレットに変化するのだが、これ以外の入手方法がムシや魚の特定サイズを書に登録した時のみとやや入手が大変。続編では序盤でもまとまった数店で購入できるようになった。 --孤島というロケーションに行く方法が、マッハというキャラの運転するタクシーしか存在しない。片道の所要時間も30秒ほどかかる。なおこの間ロードしているわけではなく、これにさらにロード時間が加算される。 --虫取り ---正面に向けて網を振るうのではなく、薙ぎ払うように網を動かすので慣れるまでにやや時間がかかる。 ---捕獲時間を実質増加させられる『くものす』の魔法があるため、捕獲が圧倒的に困難なムシは夏限定のスカイフィッシュや初春のプチプテラノドン、洞窟レアポップのつちのこ、マンドラゴラ程度。 ---アミの扱いづらさを度外視しても金策としては圧倒的なバランスブレイカーな側面を持つ。 ---「ふしぎ時間」にポップするエノキモドキやキノコの森にほぼ確定湧きするオニヤンマを乱獲してしまえば数分で手持ちが宝石でいっぱいになる。 --釣りに関して ---釣りに関してはややクセっ気があり、どうぶつの森のようにタイミングを見計らってキーを押す形式ではなく、実際の釣りのようにエサを奪おうとする魚に対し、ルアーを引かねばならない。 ---ただキーを連打しているだけは糸をちぎられてしまうため、水しぶきが出ている時は連打を一度やめなければならない。 ---洞窟や孤島などは、遠くに波紋がポップすることがある都合上、視認することができず糸を切られて一方的に逃げられることもしばしばある。 ---ちなみに水しぶきはコモンの下魚でも出るため、時間がかかり釣りは虫取りにくらべ、とてもコスパが悪い。 ---しかし次回作以降では『料理』の登場により重要性が増し、焦りマークが出るようになったことにより釣りの利便性がやや上がった。 -手紙関連 --不必要な手紙は削除するほかない。ライバル作品ともいえる「おいでよ」では役場で預かってもらうことができたが、とんがりボウシでは不可。 --郵便猫と話をすると、手紙がいっぱいの場合、「整理をしましょう」とだけしかtipsが出ないので、捨てる以外の選択肢があると誤解されがち。 ---直接アイテムをプレゼントできるためか、アイテムを手紙に添付することができない。 -荷物関連 --持ち物を一括で移動できないことが多い。 ---物を売ったり銀行との貸し借りする場合は一括でできるのだが、物を買ったり拾ったり、人に預けたりする場合はひとつずつとなるケースが多い。 ---特に物を渡すときは、毎度毎度同じ会話を送ってから、渡すかどうか、どのアイテムを渡すかの選択肢に回答しなくてはならない場合もある(キノコなべ大会にて、材料のキノコや魚介類をひとつひとつ鍋に投げ入れるくだりが顕著)。 --虫・魚を獲ることも出来るが、捕まえただけでは自動登録されず、塔にいる百科事典に一匹ずつ食べさせなくてはならない。 --こまめに部屋の手入れをすればいいが、キノコが勝手に生えてきてしまう。このキノコが多すぎると部屋に荷物を置けなくなってしまうため、お部屋を飾りつけるプレイングの足枷になっている。 ---邪魔なキノコや雑草は拾って「ゴミ箱に捨てる」か、墓石の魔王に依頼して撲滅してもらわなくてはならない。 -クラスメイトのセリフ設定が上手くいっていない --「恋愛」「大人になることの意義」といった哲学的な話題が多い。恋愛はともかく大人になることの話題は多少は読み応えはあるのが救いだが。 --あくまで何をしゃべってくれるかは機械的に判断されているので、脈絡が無い話になることも多く電波な印象が強い。 --授業中に回してくる手紙が特に電波。ひとことでまとめるなら「胸が熱い。これって恋かしら?」という内容なことが多く、少なくとも授業中に送られても反応に困るもの。 -道具アイテムが杖に一括されている都合上、Rボタンで狙った道具に変更するのに少し時間がかかる。 --杖を使いたいのにRを押しすぎてスコップにしてしまうとまた一周する必要があり、やや面倒。 -バグ・不具合 --連れ立って歩いているときにお店に入ろうとすると、キャラクターが嵌って動けなくなることがある。 --釣り針を投げた位置と自分との間に岩などがあると、Xボタンでは釣り針が引っかかって引き戻せなくなる。 ---厳密に言えば、ルアーを引き上げる都合上、&bold(){どうぶつの森シリーズとは違い岸辺にきっちり密着していないといけない}。 ---『ルアーが引っかかっちゃった』でXで牽引したときに警告してくれるが、魚がひっかかった後に立ち位置を警告されて釣り失敗になるのはやや本末転倒ぎみ。 --こちらはゲーム進行に特に影響はないが、衣装店のモン・パリから出て南に進むと、モン・パリの外観のグラフィックが地面に埋もれる。 --「どうぶつの森シリーズ」では、住人を意図して数秒間押すと怒られて好感度が下がるが、 とんがりボウシの場合はメニュー画面を開いて放置していて数秒間住人がぶつかるだけで「進路が塞がれる嫌がらせ」とみなされる。 --階段でも、向かい側から登ってくる住人に気付かず長時間スタックしてしまうことによる不幸な親密度の減少事故は起こりえる。 --メニューを開いて魔法言葉を入力中ももちろん起き得ることなので、教室内で悠長にメニューを開いていると好感度がダダ下がりになってしまうことも。 --ハロゲンデパートの店員やデイジーなども「少し触れただけ」、あるいは「メニューを開いているだけで」お邪魔でしたか?と注意してくるので少し煩わしい。 ---- **総評 ジャンルが似通っていることから[[どうぶつの森>どうぶつの森シリーズ]]と比較されることも多いが、魔法や架空言語、異世界的な雰囲気等、本作オリジナルの要素もしっかり取り入れられ差別化されている。~ ただそのオリジナル要素を楽しむためにいろいろとプレイヤーが自力で学んでいかなくてはならない部分が多く、発見する面白みを考慮したうえでも、真価を発揮するまでにかなりの時間やりこむ必要があるのが欠点である。~ ---- **余談 -音声は8人ほどの声優が担当。結月ゆかりのCVである石黒千尋氏、東北ずん子のCVである佐藤聡美氏も出演している。 -本作が人気を博したためかシリーズ化され、続編として『とんがりボウシと魔法のお店』『とんがりボウシとおしゃれな魔法使い』『とんがりボウシと魔法の町』の3作が発売されている。

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