「嘘つき姫と盲目王子」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

嘘つき姫と盲目王子」(2023/11/09 (木) 10:45:03) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*嘘つき姫と盲目王子 【うそつきひめともうもくおうじ】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B079MDJKL4)|CENTER:&amazon(B079M5VYHX)&amazon(B079M8LTJK)| |対応機種|Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~|~| |発売・開発元|日本一ソフトウェア|~|~| |発売日|【Switch/PS4/PSV】2018年5月31日&br;【iOS】2020年5月29日&br;【Android】2020年5月31日|~|~| |定価|【Switch/PS4】6,980円&br()【PSV】5,980円(税別)&br()【iOS/Android】1,960円(税込)|~|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|~| |廉価版|2021年4月15日/3,980円(税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|可愛くも美しい童話&br()雰囲気・世界観は満点&br()ボリュームと定価のミスマッチが痛い|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center{&size(20){''本当の姿では貴方に触れられない''}} ~ ---- **概要 日本一ソフトウェアが開発・発売したゲーム。~ 「絵本的な世界観」「二つの操作キャラを入れ替える2Dアクション」という要素から、同じく日本一から発売された『[[ホタルノニッキ>htoL#NiQ-ホタルノニッキ-]]』『[[ロゼと黄昏の古城]]』の流れを汲む作品とも言えるが、~ これらの二作でディレクターを務めた古谷氏は今回は裏方に回っており、本作のキャラクターデザインを務めた日本一ソフトウェアの小田沙耶佳氏が中心となって開発されている。~ 小田氏は本来はゲーム開発部門のスタッフではないのだが、本作のシナリオ・世界観設定・演技指導・ゲーム内外のビジュアル…等々プログラミングや流通以外のほぼ全てに携わっており、全編通して彼女個人の作風が色濃いゲームとなっている。 ---- **ストーリー 小さな王国を取り囲む闇深い森の中に、月夜の晩に美しい歌声を響かせる化け物がいました。 その近くにはそんな声の主の正体を知らず、夜ごとその歌を聴きにやってくる王子様もいました。 ある日、王子は不幸な事故により光を失ってしまいます。 顔に深い傷を負い、目の見えなくなった王子は王族に疎んじられ、お城の塔に幽閉されてしまいました。 そんな王子を助けようと決意した化け物は、森の魔女と取引をし、歌声を失う代わりに人間の「姫」の姿を得ました。 「姫」は王子の手を取り魔女の下へと向かいます。 しかし、森の中は危険がいっぱい。 お姫様の姿では王子を守れない。 でも――――――。 本当のわたしでは、あなたに触れられない。 ---- **特徴 -基本的なゲーム内容としてはステージクリア型の2Dアクションゲーム+要所要所でアドベンチャーパートとなる構成になっている。 -アクションパートのおおまかな流れとしてはプレイヤーが操作する姫(狼)と、直接操作は出来ないが「おねがい」で特定の行動を指示することが可能な王子、それぞれの特徴を活かして二人をゴールまで導くことになる。 //初版製作者がプレイしたのはswitch版なので以下switch版に基づく記述をするが、機種ごとに異なる要素はハード自体の仕様を除き特にない。 -各ステージは一度到達すればポーズメニューからいつでも好きなステージで遊ぶことが出来るようになる。 --しばらく遊んでもクリアできない場合、そのステージをスキップして次のアドベンチャーパートまで飛ばすことが出来るようになる。 --収集要素として各ステージには花びらと花が存在する。詳細は後述。 --残機・ゲームオーバーの概念はない。ミスした場合特定のポイントに戻されてやり直しになる。 -花と花びら --本作の収集要素。花は特定のステージに一つ、花びらは各ステージに5枚存在する。 ---公式でも言及されている通り、入手せずともシナリオ的な分岐はない。 --花は入手すると王国に伝わる魔女の話が聞ける。 --花びらは規定枚数を集めるごとに設定資料やアートワークがアンロックされる。 ***登場人物 &bold(){姫} -本作の主人公。プレイヤーは基本的にこの姫を操作して先に進むことになる。 --姫はYボタンを押すと王子と手をつなぎ、一緒に歩き・ジャンプが出来る。 ---また、この形態の場合狼では動かせないステージ内の仕掛けを動かしたり、収集要素である花を摘むこともできる。 --十字ボタンで王子に「おねがい」を頼むことが出来る(後述)。 --Xで下記の狼に変身出来る。また、月の光が差し込む場所では強制的に狼の姿となる。 &bold(){狼} -姫状態でXを押すと元の姿である狼に戻ることが出来る。 --狼状態はジャンプ性能が強化され落下死することがなくなり、基本的に穴に落ちない限り死ななくなる。こちらでYボタンを押すと敵やオブジェクトに攻撃することが出来るようになる。 ---反面、この形態では当然王子と手を繋げなくなってしまう。 --周りの雑魚も狼を恐れて逃げるような行動をとるようになる。 --姫形態よりも大きくなるためある程度高さに余裕のある位置でしか狼には戻れず、細い通路などには侵入出来ない。 --狼状態では人間二人分の重さとなり、一定の重量のいるギミックなどを動かすことできるようになる。 &bold(){王子} -本作のヒロインとも言えるキャラ。基本的に姫形態で手をつないで誘導する。 --姫形態で「おねがい」することで、特定の位置まで一人で歩くことと、落ちている物品を持ってもらうことができる。 ---- **評価点 -世界観・ビジュアル --絵本的な世界観と手書きを意識したグラフィック。 ---近年のゲームでは珍しい絵本的なビジュアルが採用されており、PVを見た瞬間から世界観に魅了され購入を決定した人も多い。 ---魔女の森とそこに住む魔物たちは不気味ながらもどこか愛らしいような姿になっており、セピア調の色付けが加わることで独創的な世界観を確立している。 ---一部のイベントCGでは小田氏のアナログイラストをほぼそのまま取り込んだ物が使用されている。細部まで美麗に描き込まれたアドベンチャーマップとは違い、こちらはこちらで味わい深い画調であり各イベントをより印象深くしている。 --近藤玲奈氏が担当する朗読。 ---全編通して一人で様々な役を演じ分けており、優しくも、時にはおどろおどろしく、時には化物としての残酷な現実も突きつけられるような語り口調は実に見事。本作の世界観への没頭感を深めてくれる。 ---こういった雰囲気そのものは文章では伝えきれないため、本作の世界観を存分に表現している発売前PVも掲載しておく。 #region(朗読ムービー) #video(https://www.youtube.com/watch?v=h9yPYXYkDxQ){425,350} #endregion --また、(一応シリーズ作ではないが)『ホタル』『ロゼ』はそれぞれプレーヤーの想像に任せすぎた場面やグロ演出等が人を選ぶ側面があったが、本作はそういった賛否の分かれる要素は無くなり、万人向けとなっており人に勧めやすくなったのもポイント。 -ストーリー・登場人物 --キャッチコピーの「本当の姿では貴方に触れられない」がズシリと来る展開がいくつもあり、それでも健気に振舞う姫の姿に心奪われたユーザーは多い。 ---姫は先に進むたびに王子への嘘を重ねることとなり、そのたびに胸が締め付けられる思いをする。そしてこれらの嘘が終盤に向けての伏線となっていく構成も素晴らしい。 --姫・王子のアニメーションは枚数はそれほどではないがいずれもかわいらしく、特に姫と王子は手をつなぐとちょっと微笑む演出は好評。 --登場人物は姫・王子・魔女の3人と旅の途中で会う化物たち程度しかいないが、いずれもキャラ立ちはしっかりしている。 ---特に旅先で会う化物たちは人間である王子に敵意を向けないが、だからと言って最初から友好的で狼を助けてくれるわけでもないという、テンプレ的なキャラクターから外れているところは本作独自の世界観があると言える。 -BGM --アクションパートのBGMはメルヘンチックながらもどこか後ろ暗さも感じるような曲となっており、作品に非常にマッチした曲揃いとなっている。 ---一方王子や他の化物との交流イベントでは和やかな楽曲が流れたり、ここぞという場面ではあえて無音になり朗読が強調されたりと場面ごとの演出との噛み合わせが絶妙。ラスボス戦も事前に聞く印象深い曲を大幅にアレンジしたものとなっている。 --主題歌/ED曲の「月夜の音楽会」は、ガスト製ゲームでおなじみの志方あきこ氏が作詞作曲を担当している。本作のストーリーを基に作られた曲で、二人の冒険の最後を飾るにふさわしい一曲である。 ---同曲は発売前のイメージムービーで公開されており、曲調・歌詞からおおよその結末が予想されていたのだが、発売後にプレイしてエンディングを見たプレイヤーからは衝撃と称賛をもって受け入れられている。 ---ただ諸般の事情でサントラには「月夜の音楽会」のみ未収録のため惜しむ声も多い。 ---- **賛否両論点 -少々もどかしいアクションパート --本作はプレイヤーのスーパープレイでサクサク進めるようなゲームではなく、微妙にテンポが悪いと感じる場面もある。 --一定の高度から落ちてしまうと毎度倒れるモーションが発生し、高い位置から飛び降りた場合は即死となる。 --王子が安全に歩けるように姫/狼で先行し敵を倒し、戻って王子の手を引いてまた戻るような場面がいくつかある。 --とはいえ、これは非力な姫&王子と無敵に近い狼の表現上の演出とゲームデザイン上の使い分けの結果そうなっているとも言えるので、一概に悪いとも言い切れない。 --敵の攻撃を食らうと即死するためちょっとした操作ミスでやり直しになることが多々ある。 ---しかし、体力ゲージのようなゲーム的なHUDがあると世界観への没頭感も薄れてしまうので、(スタッフがこれを意図したかはともかく)本作の作風上正解だっただろう。 ---- **問題点 -ゲームとしてのボリュームが定価6000~7000円のゲームとしては薄すぎる。 --花と花びら集めやトロフィーコンプをしない場合、4~5時間程度でクリアできてしまう。それらを全部埋めたとしてもプレイ時間は10時間にすら満たない。 --評価の高さ故発売後も後述の移植・廉価版が出るまでは高値をキープしており、世界観やビジュアルが素晴らしいにもかかわらず人に薦めたいときに足踏みする要因になってしまっていた。 --シナリオ面に関しては、クリア済みのプレイヤーから「これ以上シナリオに何かを足しても蛇足になっていただろう」という意見が多い。そのため、価格を下げて総合的な満足度や手の取りやすさを重視すべきだったと思われる。 ---現在では後述のアプリ版及びCS廉価版が登場しており中古・未開封新品も大幅に安くなっているため興味がある人はどちらかでの購入を推奨する。 -イベントスキップがない。 --トロコンなどのやり込み目的で再プレイをしているときなど、少々煩わしい。 -現在プレイ中のステージ名を確認できない --これもトロコンなどでアイテムを収集しているときに、今どこにいてあとどれくらい残っているのか確認するのに少々煩わしい。 -所々ステージに不親切なポイントがある --例えばエレベーターには基本的にレバーが一つしかついておらず、起動させてから降りた場合に呼び戻せない場所が多い。 --真っ暗闇でランタンを切らしてしまうと、周囲の地形が一切わからずどうしようもなくなってしまう。 --さらに途中で段差などがあった場合、知らないうちに王子と別れてしまい、探しに行く必要も出てくる。手を繋いでいるかどうかはアイコンなどが出るわけではないので、ちゃんと連れ帰れているかがわかりづらい。 ---こういった場合は一応「リトライ」を選択することで最新のチェックポイントから復帰できるが、リトライの説明文にはステージの初めからと書かれており誤解しやすい。 ---「ロード」を選択することでも最新のチェックポイントから復帰できるが、操作回数は増える。 ---- **総評 「''ビデオゲームは芸術たりえるか?''」という議論に対し、本作はその解答の一つといえる作品だろう。~ 王道的ながらも胸に響くストーリー、時には粗く時には温かみのある手書き風のグラフィック、世界観への没頭感を深めるBGM、そして最後に迎えるエンディング…とそれぞれの要素の調和ぶりは実に見事である。~ アクションゲームとしてひねりが足りなかったりボリュームの薄さが問題視されるものの、本作に心奪われたプレイヤーからは概ね高い支持を得ている。~ イメージビジュアルやPVを見て琴線に触れたのであれば損はしないと思われるので、ぜひプレイしてほしい。 ---- **余談 -何かと値段ばかり取りざたされてしまうが、日本一ソフトウェアの公式生放送では「&bold(){これで6,000円は安い}」とまで豪語していた。本作に対する自信が窺えるが、この発言に関しては厳しい意見が多い。 --一方海外では19.99ドル(約2,400円(税別))で発売されたのだが、それでも日本同様「価格が高い」というレビューも多く((念のため補足すると海外価格が大幅に安いのは本作に限った事ではなく、主に北米市場の税金が異なり、ゲームソフトの販売価格が税別に設定されている。))、国内ほどシナリオを重視しない嗜好もあってか(値段込みの評価として)、やや厳しめの点数がつけられているサイトもある。 --また、海外評価が国内より厳しくなった理由の一つとしては朗読がキモなのにもかかわらず英語音声を収録しなかったことが挙げられる。 ---日本の声優の演技でプレイしたいという海外ユーザーも一定数存在するとは思われるが、本作に関して言うと収録した方が雰囲気づくりの一環としてよかったであろう。 -他方で、発売後行われた作中及び開発用に使用されたアナログイラストの原画展は当初一か月の予定だったが好評を受けて延長しており、本作の評価の高さが窺い知れる。 --繰り返しになるが価格がネックと言われ続けてはいたものの、セールス自体は好調で発売一か月間でDL版含め約3万本程度の売り上げがあり売り切れになった店舗もあったとのことである。 --これを受けてか当初から期間限定と言っていた公式Twitterアカウントも発売から一年近くなった現在も定期的に更新がなされており、当初発売予定がなかったであろう関連グッズが販売されたりと商業的にはかなりの成功作だったと言える。 -音楽面の評価が高かったからか、2019年6月1日開催の「[[東京ゲームタクト2019>http://gametakt.com/]]」では「近年話題のゲーム音楽」の枠で本作の楽曲がオーケストラで演奏された。 --「月夜の音楽会」をはじめとする10曲が演奏されている。採用曲数は別の日に演奏された『[[ポケモン金銀>ポケットモンスター 金・銀]]』と並び最多。 -2020年5月21日にスマートデバイス向け移植版が配信予定であることが告知され、29日にiOS版、発売二周年となった同31日にAndroid版も配信された。 --問題となっていた価格はCS版の反省か1,960円とかなりお手頃な価格になっている。 --後に本作のCS機向けの廉価版の発売も発表され、2021年4月15日に発売された。 ---CS機向け廉価版の価格は3,980円(税別)となっており、どうしてもCS機で遊びたいという人はこちらを購入するといいだろう。 -本作のメインスタッフが続投した完全新作『[[わるい王様とりっぱな勇者]]』が2021年6月24日に発売された。
*嘘つき姫と盲目王子 【うそつきひめともうもくおうじ】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B079MDJKL4)|CENTER:&amazon(B079M5VYHX)&amazon(B079M8LTJK)| |対応機種|Nintendo Switch&br;プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~|~| |発売・開発元|日本一ソフトウェア|~|~| |発売日|【Switch/PS4/PSV】2018年5月31日&br;【iOS】2020年5月29日&br;【Android】2020年5月31日|~|~| |定価|【Switch/PS4】6,980円&br()【PSV】5,980円(税別)&br()【iOS/Android】1,960円(税込)|~|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|~| |廉価版|2021年4月15日/3,980円(税別)|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|可愛くも美しい童話&br()雰囲気・世界観は満点&br()ボリュームと定価のミスマッチが痛い|~|~| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center{&size(20){''本当の姿では貴方に触れられない''}} ~ ---- **概要 日本一ソフトウェアが開発・発売したゲーム。~ 「絵本的な世界観」「二つの操作キャラを入れ替える2Dアクション」という要素から、同じく日本一から発売された『[[ホタルノニッキ>htoL#NiQ-ホタルノニッキ-]]』『[[ロゼと黄昏の古城]]』の流れを汲む作品とも言えるが、~ これらの二作でディレクターを務めた古谷氏は今回は裏方に回っており、本作のキャラクターデザインを務めた日本一ソフトウェアの小田沙耶佳氏が中心となって開発されている。~ 小田氏は本来はゲーム開発部門のスタッフではないのだが、本作のシナリオ・世界観設定・演技指導・ゲーム内外のビジュアル…等々プログラミングや流通以外のほぼ全てに携わっており、全編通して彼女個人の作風が色濃いゲームとなっている。 ---- **ストーリー 小さな王国を取り囲む闇深い森の中に、月夜の晩に美しい歌声を響かせる化け物がいました。 その近くにはそんな声の主の正体を知らず、夜ごとその歌を聴きにやってくる王子様もいました。 ある日、王子は不幸な事故により光を失ってしまいます。 顔に深い傷を負い、目の見えなくなった王子は王族に疎んじられ、お城の塔に幽閉されてしまいました。 そんな王子を助けようと決意した化け物は、森の魔女と取引をし、歌声を失う代わりに人間の「姫」の姿を得ました。 「姫」は王子の手を取り魔女の下へと向かいます。 しかし、森の中は危険がいっぱい。 お姫様の姿では王子を守れない。 でも――――――。 本当のわたしでは、あなたに触れられない。 ---- **特徴 -基本的なゲーム内容としてはステージクリア型の2Dアクションゲーム+要所要所でアドベンチャーパートとなる構成になっている。 -アクションパートのおおまかな流れとしてはプレイヤーが操作する姫(狼)と、直接操作は出来ないが「おねがい」で特定の行動を指示することが可能な王子、それぞれの特徴を活かして二人をゴールまで導くことになる。 //初版製作者がプレイしたのはswitch版なので以下switch版に基づく記述をするが、機種ごとに異なる要素はハード自体の仕様を除き特にない。 -各ステージは一度到達すればポーズメニューからいつでも好きなステージで遊ぶことが出来るようになる。 --しばらく遊んでもクリアできない場合、そのステージをスキップして次のアドベンチャーパートまで飛ばすことが出来るようになる。 --収集要素として各ステージには花びらと花が存在する。詳細は後述。 --残機・ゲームオーバーの概念はない。ミスした場合特定のポイントに戻されてやり直しになる。 -花と花びら --本作の収集要素。花は特定のステージに一つ、花びらは各ステージに5枚存在する。 ---公式でも言及されている通り、入手せずともシナリオ的な分岐はない。 --花は入手すると王国に伝わる魔女の話が聞ける。 --花びらは規定枚数を集めるごとに設定資料やアートワークがアンロックされる。 ***登場人物 &bold(){姫} -本作の主人公。プレイヤーは基本的にこの姫を操作して先に進むことになる。 --姫はYボタンを押すと王子と手をつなぎ、一緒に歩き・ジャンプが出来る。 ---また、この形態の場合狼では動かせないステージ内の仕掛けを動かしたり、収集要素である花を摘むこともできる。 --十字ボタンで王子に「おねがい」を頼むことが出来る(後述)。 --Xで下記の狼に変身出来る。また、月の光が差し込む場所では強制的に狼の姿となる。 &bold(){狼} -姫状態でXを押すと元の姿である狼に戻ることが出来る。 --狼状態はジャンプ性能が強化され落下死することがなくなり、基本的に穴に落ちない限り死ななくなる。こちらでYボタンを押すと敵やオブジェクトに攻撃することが出来るようになる。 ---反面、この形態では当然王子と手を繋げなくなってしまう。 --周りの雑魚も狼を恐れて逃げるような行動をとるようになる。 --姫形態よりも大きくなるためある程度高さに余裕のある位置でしか狼には戻れず、細い通路などには侵入出来ない。 --狼状態では人間二人分の重さとなり、一定の重量のいるギミックなどを動かすことできるようになる。 &bold(){王子} -本作のヒロインとも言えるキャラ。基本的に姫形態で手をつないで誘導する。 --姫形態で「おねがい」することで、特定の位置まで一人で歩くことと、落ちている物品を持ってもらうことができる。 ---- **評価点 -世界観・ビジュアル --絵本的な世界観と手書きを意識したグラフィック。 ---近年のゲームでは珍しい絵本的なビジュアルが採用されており、PVを見た瞬間から世界観に魅了され購入を決定した人も多い。 ---魔女の森とそこに住む魔物たちは不気味ながらもどこか愛らしいような姿になっており、セピア調の色付けが加わることで独創的な世界観を確立している。 ---一部のイベントCGでは小田氏のアナログイラストをほぼそのまま取り込んだ物が使用されている。細部まで美麗に描き込まれたアドベンチャーマップとは違い、こちらはこちらで味わい深い画調であり各イベントをより印象深くしている。 --近藤玲奈氏が担当する朗読。 ---全編通して一人で様々な役を演じ分けており、優しくも、時にはおどろおどろしく、時には化物としての残酷な現実も突きつけられるような語り口調は実に見事。本作の世界観への没頭感を深めてくれる。 ---こういった雰囲気そのものは文章では伝えきれないため、本作の世界観を存分に表現している発売前PVも掲載しておく。 #region(朗読ムービー) #video(https://www.youtube.com/watch?v=h9yPYXYkDxQ){425,350} #endregion --また、(一応シリーズ作ではないが)『ホタル』『ロゼ』はそれぞれプレーヤーの想像に任せすぎた場面やグロ演出等が人を選ぶ側面があったが、本作はそういった賛否の分かれる要素は無くなり、万人向けとなっており人に勧めやすくなったのもポイント。 -ストーリー・登場人物 --キャッチコピーの「本当の姿では貴方に触れられない」がズシリと来る展開がいくつもあり、それでも健気に振舞う姫の姿に心奪われたユーザーは多い。 ---姫は先に進むたびに王子への嘘を重ねることとなり、そのたびに胸が締め付けられる思いをする。そしてこれらの嘘が終盤に向けての伏線となっていく構成も素晴らしい。 --姫・王子のアニメーションは枚数はそれほどではないがいずれもかわいらしく、特に姫と王子は手をつなぐとちょっと微笑む演出は好評。 --登場人物は姫・王子・魔女の3人と旅の途中で会う化物たち程度しかいないが、いずれもキャラ立ちはしっかりしている。 ---特に旅先で会う化物たちは人間である王子に敵意を向けないが、だからと言って最初から友好的で狼を助けてくれるわけでもないという、テンプレ的なキャラクターから外れているところは本作独自の世界観があると言える。 -BGM --アクションパートのBGMはメルヘンチックながらもどこか後ろ暗さも感じるような曲となっており、作品に非常にマッチした曲揃いとなっている。 ---一方王子や他の化物との交流イベントでは和やかな楽曲が流れたり、ここぞという場面ではあえて無音になり朗読が強調されたりと場面ごとの演出との噛み合わせが絶妙。ラスボス戦も事前に聞く印象深い曲を大幅にアレンジしたものとなっている。 --主題歌/ED曲の「月夜の音楽会」は、ガスト製ゲームでおなじみの志方あきこ氏が作詞作曲を担当している。本作のストーリーを基に作られた曲で、二人の冒険の最後を飾るにふさわしい一曲である。 ---同曲は発売前のイメージムービーで公開されており、曲調・歌詞からおおよその結末が予想されていたのだが、発売後にプレイしてエンディングを見たプレイヤーからは衝撃と称賛をもって受け入れられている。 ---ただ諸般の事情でサントラには「月夜の音楽会」のみ未収録のため惜しむ声も多い。 ---- **賛否両論点 -少々もどかしいアクションパート --本作はプレイヤーのスーパープレイでサクサク進めるようなゲームではなく、微妙にテンポが悪いと感じる場面もある。 --一定の高度から落ちてしまうと毎度倒れるモーションが発生し、高い位置から飛び降りた場合は即死となる。 --王子が安全に歩けるように姫/狼で先行し敵を倒し、戻って王子の手を引いてまた戻るような場面がいくつかある。 --とはいえ、これは非力な姫&王子と無敵に近い狼の表現上の演出とゲームデザイン上の使い分けの結果そうなっているとも言えるので、一概に悪いとも言い切れない。 --敵の攻撃を食らうと即死するためちょっとした操作ミスでやり直しになることが多々ある。 ---しかし、体力ゲージのようなゲーム的なHUDがあると世界観への没頭感も薄れてしまうので、(スタッフがこれを意図したかはともかく)本作の作風上正解だっただろう。 ---- **問題点 -ゲームとしてのボリュームが定価6000~7000円のゲームとしては薄すぎる。 --花と花びら集めやトロフィーコンプをしない場合、4~5時間程度でクリアできてしまう。それらを全部埋めたとしてもプレイ時間は10時間にすら満たない。 --評価の高さ故発売後も後述の移植・廉価版が出るまでは高値をキープしており、世界観やビジュアルが素晴らしいにもかかわらず人に薦めたいときに足踏みする要因になってしまっていた。 --シナリオ面に関しては、クリア済みのプレイヤーから「これ以上シナリオに何かを足しても蛇足になっていただろう」という意見が多い。そのため、価格を下げて総合的な満足度や手の取りやすさを重視すべきだったと思われる。 ---現在では後述のアプリ版及びCS廉価版が登場しており中古・未開封新品も大幅に安くなっているため興味がある人はどちらかでの購入を推奨する。 -イベントスキップがない。 --トロコンなどのやり込み目的で再プレイをしているときなど、少々煩わしい。 -現在プレイ中のステージ名を確認できない --これもトロコンなどでアイテムを収集しているときに、今どこにいてあとどれくらい残っているのか確認するのに少々煩わしい。 -所々ステージに不親切なポイントがある --例えばエレベーターには基本的にレバーが一つしかついておらず、起動させてから降りた場合に呼び戻せない場所が多い。 --真っ暗闇でランタンを切らしてしまうと、周囲の地形が一切わからずどうしようもなくなってしまう。 --さらに途中で段差などがあった場合、知らないうちに王子と別れてしまい、探しに行く必要も出てくる。手を繋いでいるかどうかはアイコンなどが出るわけではないので、ちゃんと連れ帰れているかがわかりづらい。 ---こういった場合は一応「リトライ」を選択することで最新のチェックポイントから復帰できるが、リトライの説明文にはステージの初めからと書かれており誤解しやすい。 ---「ロード」を選択することでも最新のチェックポイントから復帰できるが、操作回数は増える。 ---- **総評 「''ビデオゲームは芸術たりえるか?''」という議論に対し、本作はその解答の一つといえる作品だろう。~ 王道的ながらも胸に響くストーリー、時には粗く時には温かみのある手書き風のグラフィック、世界観への没頭感を深めるBGM、そして最後に迎えるエンディング…とそれぞれの要素の調和ぶりは実に見事である。~ アクションゲームとしてひねりが足りなかったりボリュームの薄さが問題視されるものの、本作に心奪われたプレイヤーからは概ね高い支持を得ている。~ イメージビジュアルやPVを見て琴線に触れたのであれば損はしないと思われるので、ぜひプレイしてほしい。 ---- **余談 -何かと値段ばかり取りざたされてしまうが、日本一ソフトウェアの公式生放送では「&bold(){これで6,000円は安い}」とまで豪語していた。本作に対する自信が窺えるが、この発言に関しては厳しい意見が多い。 --一方海外では19.99ドル(約2,400円(税別))で発売されたのだが、それでも日本同様「価格が高い」というレビューも多く((念のため補足すると海外価格が大幅に安いのは本作に限った事ではなく、主に北米市場の税金が異なり、ゲームソフトの販売価格が税別に設定されている。))、国内ほどシナリオを重視しない嗜好もあってか(値段込みの評価として)、やや厳しめの点数がつけられているサイトもある。 --また、海外評価が国内より厳しくなった理由の一つとしては朗読がキモなのにもかかわらず英語音声を収録しなかったことが挙げられる。 ---日本の声優の演技でプレイしたいという海外ユーザーも一定数存在するとは思われるが、本作に関して言うと収録した方が雰囲気づくりの一環としてよかったであろう。 -他方で、発売後行われた作中及び開発用に使用されたアナログイラストの原画展は当初一か月の予定だったが好評を受けて延長しており、本作の評価の高さが窺い知れる。 --繰り返しになるが価格がネックと言われ続けてはいたものの、セールス自体は好調で発売一か月間でDL版含め約3万本程度の売り上げがあり売り切れになった店舗もあったとのことである。 --これを受けてか当初から期間限定と言っていた公式Twitterアカウントも発売から一年近くなった現在も定期的に更新がなされており、当初発売予定がなかったであろう関連グッズが販売されたりと商業的にはかなりの成功作だったと言える。 -音楽面の評価が高かったからか、2019年6月1日開催の「[[東京ゲームタクト2019>http://gametakt.com/]]」では「近年話題のゲーム音楽」の枠で本作の楽曲がオーケストラで演奏された。 --「月夜の音楽会」をはじめとする10曲が演奏されている。採用曲数は別の日に演奏された『[[ポケモン金銀>ポケットモンスター 金・銀]]』と並び最多。 -2020年5月21日にスマートデバイス向け移植版が配信予定であることが告知され、29日にiOS版、発売二周年となった同31日にAndroid版も配信された。 --問題となっていた価格はCS版の反省か1,960円とかなりお手頃な価格になっている。 --後に本作のCS機向けの廉価版の発売も発表され、2021年4月15日に発売された。 ---CS機向け廉価版の価格は3,980円(税別)となっており、どうしてもCS機で遊びたいという人はこちらを購入するといいだろう。 -本作のメインスタッフが続投した完全新作『[[わるい王様とりっぱな勇者]]』が2021年6月24日に発売された。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: