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*ドクターロートレックと忘却の騎士団 【どくたーろーとれっくとぼうきゃくのきしだん】 |ジャンル|宝探しアドベンチャー|&amazon(B004YA0DB8)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|3DSカード|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|ウィンキーソフト|~| |発売日|2011年7月7日|~| |定価|5,040円(税5%込)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |セーブデータ|2個|~| |判定|なし|~| |ポイント|パリの歴史にまつわる謎解き&br;パズル・アクション・RPGを盛り込んだ意欲作&br;地下迷宮のギミックの主張が激しい|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 パズル、アクション、RPGと様々なゲームをこなしつつパリでトレジャーハントしていくゲーム。~ 謎解きを意識した『ザックとオンブラ まぼろしの遊園地』の後継作に当たる。 ---- **特徴 -世界観 --舞台は19世紀のパリ。エッフェル塔は建設途中であり万博を控えている。 --この世界のパリの地下には、何者かが設計した謎の地下迷宮が数多く渦巻いている。地下迷宮の入り口は、なぞなぞで指し示されたパリ市内のとある場所にあり、その奥には精霊がとりついた宝(トレゾール・アビテ)が眠っている。 #region(close,登場人物) -ロートレック --宝や金儲けには全く興味がなく、ただひたすら謎を解き明かすことに無上の喜びを見出す変わり者の考古学者。 --厭世的ではあるのだが、どこか面倒見のいいところもある。 -ソフィー --大学でロートレックに惚れ込んで以降、助手兼秘書(自称)として彼の研究室に入り浸り、彼の謎解きを手伝っている女子大生。 --実家がワイナリー。宝に宿る精霊が見えるという不思議な能力を持つ。 -マリー --ロートレックの研究室に、ルイ王朝にまつわる宝を携えて助けを求めてきた少女。 --どうやら過去にロートレックに助けられたことがある模様。彼女も高貴な出自らしいが…。 -ミレディ --オペラ座の酒場を経営する仮面の美女。 --地下迷宮の入り口を示す地図を売っており、彼女の酒場は地下迷宮の財宝で一獲千金を夢見る冒険者が集う。ロートレックも「謎にありつける」という理由で酒場によく出入りするようになる。 -ヴィドック --マリーの財宝に興味を持ち、彼女のことをつけ狙う。マリーとは遠い親戚とのこと。 #endregion -ジャンルについて --様々なジャンルが混ざって構成されているゲーム。歩き回って話を聞くアドベンチャー、地下迷宮を探索する際のアクション、地下迷宮の隠し扉を開く際のパズル、最深部に眠る宝を屈服させる際のRPGが登場する。 -ゲームの流れ --1:ミレディからもらった宝の地図(メインストーリーでは、マリーが持ってきた宝が示す暗号)の謎が指し示す場所をパリ市から見つけ出し、地下迷宮の入り口を探す。 ---入り口の目印として「ユリの紋章」が建物や植え込み、床等どこかに描かれているので、街並みを見まわしながら見つけ出すことになる。 --2:トラップや警備している警官や怪人をかいくぐり、地下迷宮の最深部を目指す。ここではアクション色が強くなる。 ---「ユリの紋章」がある壁は、パズルを解除することで先に進めるようになる。 --3:行き止まりには「トレゾール・アビテ」が眠っており、持ってきた宝や宝石の精霊の力で適度に体力を減らし承伏させる。承伏したトレゾール・アビテは仲間として以降持ち歩くことができる。このパートはRPGの色が強い。 -シナリオ構成 --マリーの宝物にまつわる謎を解き明かすメインストーリー、ミレディの宝の地図の地下迷宮をクリアするサブストーリーから成る。 --6章までがメインシナリオで、7は残された宝の地図を消化していくこととなる。 --作中で挑む宝の地図は全部で50程度。サブストーリーでも、ミレディの酒場を中心に、登場人物の素性に掘り下げるシナリオが描かれる。 #region(close,詳細) ***宝の地図解読 -「地図」と呼ばれるが、実際は地図に書かれるなぞなぞを解いてなぞなぞがパリ市内のどの場所を指すのかを判断しなくてはならない。 --難易度はさほど高くなく、ロートレックたちの会話をよく聞いて、行くべき場所を転々としていくうちにいつかは入口にたどり着けるようになっている。パリ市の地図に行くべき場所や拠点が図示される。(赤:酒場、青:目的地(まだ行っていないところ)、チェックマーク:目的地(既に行った所) -パリ市のマップには、地図のようにデフォルメされたモードと、原寸大モードの2つがある。デフォルメ時はパリ市を素早く右往左往することができ、行きたい区画に立っている時にAボタンを押すとその近辺を拡大し散策できる。また原寸大モード時には、そこにいるNPCと話したり見回したり出来る(オレンジ色のふきだしがついたNPCは話しかけると重要な情報を言うことがある)。 -一度に受けることのできる地図は1枚まで。同時進行不可。しかし、過去に中断した宝の地図を再度選択するとその途中から再開可能。 -宝の地図に挑戦している最中は、メインシナリオの謎に挑むことができなくなる。 -依頼を受ける段階で、地下迷宮の難易度を星の数で大雑把に確認できる。メインシナリオが進むごとに、高難易度の地図が貰えるようになる。 -地図には番号が振られているが、基本的にはどの番号から挑んでもよい。また酒場に入りなおすたびに受けられる地図のラインナップがランダム変動する。 -入口を見つけた際に、ソフィーが自身の特殊能力で、今持っている宝の精霊と地下迷宮の精霊の戦力差を大まかに判断してくれる。(楽勝、いい戦いができる、がんばれば勝てるかも、相当厳しい戦いになる、等。) --このとき引き返すか進むか選べる。 ***地下迷宮 -本作のアクションパート。ロートレックを移動させ数々の罠をかいくぐりながら最深部を目指す -操作 --十字キーorスティックでロートレックを移動させる。地下迷宮内部は鳥瞰図になっているので、ロートレックを精密に移動させたいなら十字キーが、なめらかな曲線を走らせたいならスライドパッドが重宝する。 --見回し:Bボタンを押しながらスライドパッドを動かすことで、ロートレックを待機させたまま迷宮の部屋内部の構造を観察できる。 -木箱 --Aボタンを押しながら木箱の方へ進むと、進んだ方向に木箱を押すことができる。引くことはできない。また向こうに何か物があるときも押せない。 --条件がそろえば足場にすることも可能。 -障害ギミック --警官、仮面の騎士団 ---一定の決められたルートを巡回するが、視覚でロートレックを発見するとすばやく追跡してくる。つかまってしまうと迷宮の入り口にまで追い返されてしまう。 ---聴覚で直接感知はしてこない。しかし、背後からかなり接近するとこちらの「気配」に気づいてから、その場で足を止め一定時間周囲を見回しだす。 --段差 ---ジャンプというアクションが存在しないので、いかなる段差もよじのぼったり飛び越えることはできず、階段を使って昇る必要がある。 ---ロートレックの全身を隠す段差や壁の陰にぴったり張り付いていれば、警官などに発見されづらくなる。上述の木箱の陰にうまく隠れていても気づかれずに済む。 ---逆にロートレックの腰程度の高さの段差もある。この段差ではロートレックは隠れることができない。ちなみにこのような段差の上に立っていても下に居る警官等に発見される。 ---警官等は階段がなければ段差を上り下りできないが、逆にロートレックはいかなる段差からも「飛び降りる」ことはできる。 --矢、大岩、火炎放射器 ---いずれも一定間隔で無限に放たれる。いくら接触してもゲームオーバーにはならないが、ぶつかると一定時間操作不能になり、強力にはじかれる。細い道を通る機会が多いので、こういったトラップに触れると下の階層にまで落とされてしまう。 -部屋の配置リセット --STARTボタンをおすと最後に出入りした部屋の入口(迷宮の入り口ではない)に戻される。 --動かした木箱の配置はリセットされ、警官等に追いかけられている途中であってもなかったことにできる。 -パズル --ユリの紋章のマークを持つ扉は、調べるとパズルが展開されそれを解くことで先に進むことができる。 簡単な迷宮だと扉の数は3程度だが、難しい迷宮になると7程度になる。 --パズルのタイプは5種類。(スケルトンクロスワード、間違い探し、積み木、法則性、お絵かき) --操作はいずれもタッチペンを使う。 --パズルが解かれている状態にして、「解答」ボタンを押して仕上げとなる。 --制限時間はなくいつでもギブアップ可能。ヒントの電球を割ったりギブアップおよび不正解した回数によって、評価点が落ちていく。 ---評価点はミレディの酒場で精霊を回復するためのアイテムや、地下迷宮の入り口に戻れるアイテムを買うのに必要となる。 -承伏 --地下迷宮の行き止まりの部屋にトレゾール・アビテが眠っていることができ、手持ちのトレゾール・アビテの力を使って適切に弱らせることで仲間に加えることができる。(逆に0にしてしまうと消滅してしまうがアイテムで復活させることは可能。 --目的のトレゾール・アビテの周囲にはいくつか台座が置いてあり、そこに手持ちの宝を置くことで攻撃となる。 ---まずこちらの宝が敵に攻撃を仕掛け、その次に敵から攻撃を受ける。こちらの宝は1回の承伏のうちには原則として1回分しか攻撃できない。 --メインシナリオのボスの場合はHPをゼロにする必要があり、仲間にすることもできない。 --トレゾール・アビテに宿る精霊にはHPのほか、攻撃・防御・および属性がある。(人・鳥・獣・魚・木) ---人は魚に強く獣に弱い。体力が高い。 ---獣は魚と鳥に弱く人に強い。また全体的に体力と攻撃力に優れ、防御力に劣る傾向がある。 ---魚は人に弱く、鳥と獣に強い。 ---木は他の属性との強弱関係がない。防御に優れるが攻撃力がたよりない。 --台座を使い切ってなお目標の精霊を承伏できないとゲームオーバーとなり、酒場に帰還するか、入り口からやり直すか、承伏をやり直すか選べる。 -再挑戦 --一度クリアした地下迷宮に再度挑むことも可能。また章が進むことで難しい地図が現れるようになるが、簡単な方の迷宮も依然として挑める。 --すでに解いた扉は開いている。トレゾール・アビテがいた場所には精霊も出現するが、こちらは承伏する(倒してしまってもよい)と回復アイテムに変化する。 #endregion ***その他 -オプション --登場人物が会話している時、トレゾール・アビテを承伏している時、なぞなぞを解いている時以外であればいつでもセーブ・ロード可能。 --「持ち物」のページからは、持って行く最大3つの宝物のパラメータを一覧できる --「研究室」のページでは、いままで手に取ったしたパズル、アイテム、トレゾール・アビテ、宝石を確認できる。また持ち物の着脱もここから行う。 ---初期装備として地下迷宮には宝物、アイテムをそれぞれ3個ずつまで持ち込める。 ---- **評価点 -いろいろなゲーム性が融合している --パズルだけでなく、適度に探索やアクションがある。 --それぞれ挿入されるゲーム性も、警官から逃げる、古代の罠を解除するなどの理由付けがしっかりしており物語の流れを損なってはいない。 --アクション、パズル、RPGがとっかえひっかえで現れるためゲーム自体には飽きにくい。 -チュートリアル --パズルや迷宮のトレゾールアビテの承伏方法は、必ずやり方を一通り説明しようとしてくれる。 --文章だけで説明するのではなく、図を使って試行錯誤させながら、覚えさせていく形式をとっており親切。 ---ただしもう一回見ることができないのは残念。 -地下迷宮でのアクションのパズル性 --地下迷宮の攻略も、一種のパズルゲームとしての楽しみがある。 --木箱を動かすだけのアクションにもかなり応用ある。 ---警官から隠れたり、行進ルートを変更する壁としても使えるし、警官を狭いところに追い込んで閉じ込めることも可能。 --警官の行進にも法則性があるので、どのようなルートでロートレックを進ませるべきか考察の余地がある。 ---警官のうち1人にわざと背後から近づことで、混乱させる、複数人の足並みを乱すといったこともできる。 --まれにアクション重視なものもあったりとネタは多い。 -美術面 --メインシナリオ中は3Dムービー、イラストによるアニメーションが挿入され、全編3D表示可能。 --物語の舞台であるパリが描かれており、ほぼ全編に至って3DS表示が可能。 ---背景の建物の表面もただの平面ではなく、きちんと凸凹を作ってくれてあるときが多い。フランスの建造物を3Dで再現できるという意味では、このゲームの価値は高い。実在の庭園をデフォルメで表現し、そこを歩けるようにするという一幕もある。 --本編のカギであるユリの紋章もただの絵ではなく立体表現されている。 --有名な絵画や建造物の写真もいくつか収録されている。間違い探しのパズルにもよく登場する。 --キャラの立ち絵のパターンも豊富。多彩な表情が用意され逃走するといったアクションも上手に立ち絵の紙芝居によって再現される。イベントの数も多様ながら、カットの絵がちょくちょくはさまれる。 --150ほどあるトレゾール・アビテのデザインについては、色違いといった使い回しこそあるが形状のバリエーションは40程度と決して少なくない。 ---その全てに対して説明文、イラストが作られている。承伏時には3Dモデルを見ることも可能。 -パリ市の歴史資料として --パリ市の歴史からいろいろなネタを引っ張ってきてなぞなぞにしている。謎々の是非や矛盾、スピードダウンなどの問題がないわけではないが、ひとつの市から拾って来たにしてはネタが非常に豊富である。 --街中を移動する際は、パリ市の町並が地図のように表示されその中を闊歩できる洒落た演出をしてくれる。実在の地名ほぼ実物どおりといって差し支えない。 --パリ市の道路や広場が、かつての偉人にちなんで名づけられていることが多い。その偉人のうんちくを学ぶことができる。 --プレイヤーの努力は必要だが、用語辞典にパリ市のどこにどんな建物があるか知ることができる。またきちんと2人のやりとりを聞いていればおのずと、パリの歴史やフランスの大まかな歴史にはかなり詳しくなれる。 ---セーヌ川がどのように流れているか、ベルサイユ宮殿、凱旋門、国立自然史博物館、市庁舎等、有名な拠点に何度か足を運ぶので大まかな位置も覚えられたりする。 -主要登場人物のかけあい --本作で頻繁に挟み込まれるのがロートレックとその助手ソフィーとの会話である。 --ロートレックの具体的な第一印象は、謎にしか興味を示さない偏屈屋といったところ。また知識量がすさまじく会話の隅々に、たいていのプレイヤーにはなじみの薄いフランスの歴史の知見が出てくるので話の本筋を見失いやすい。 --しかし話し込むうちに、実際は偏屈ながらもワインに目が無かったり、口では冷たいことを言っておきながらも人がいいところを見せるなど人間味が垣間見える。 --ソフィーは良くも悪くも若く、面倒ごとに巻き込んでしまうところもあるが、彼女なりに博士に認められようと、謎解きに奮起する場面が多々見られる。 --ソフィーは教授に恋愛感情を持っているが、その背景について掘り下げるイベントもあるので、ただ話題性を持たすだけの単純な設定で終わらせていない。 --物語が進んでくると、しだいにソフィーも謎解きに的を得た答えを出せるようになってくる。 ---- **賛否両論点 -メインストーリーとサブストーリーの世界観が乖離している --メインストーリーは、きちんと悪役がいて登場人物に目的があるため、基本はひとまず押さえたシナリオといえるが、つまるところ「19世紀末フランス」という舞台設定でやる必要のないこと。 --ネタバレになってしまうが、終盤に向けての一連のイベントは、明らかに『天空の城ラピュタ』の影響を受けているといわざるを得ない。 --黒幕のヴィドックの一連の行動に、ムスカ大佐との共通点が多い。マリーを正当な後継者(何の後継者なのかは不明)にしようと拉致する、「空飛ぶ城」なる兵器を復活させて記念の試し撃ちとして精霊の雷をロンドンの野山に落とす始末。%%見たまえ、ラピュタの雷を!%% ---本拠地の遺跡も、天空の城ラピュタ内部にあったような、壁が集積回路のような光の脈をうつSF世界。 --一方で、サブストーリーが地下迷宮を踏破し、そこに眠る宝に精霊を屈服させるというオカルト路線がやや強い。…のだが時代背景からすればむしろこちらが妥当。 ---レビューサイトでは、レイトン教授と同じナゾトキものだと糾弾する声が見られるが、ゲーム性ではアクション要素があったりRPG要素があったりするので、十分に差別化されている範疇だと思われる。むしろシナリオのほうが著作権的に危なくないだろうか…? --ただし本作のタイトルにもなっている「忘却の騎士団」は、「地下から出られずルイ王朝の財宝を代々にわたって守り続ける人々」という鉄仮面をモチーフにした存在であり、このあたりはなかなかおもしろい。 -リスタートの仕様 --警官に見つかると、いちいち「入り口」に突っ返されてしまうのだが、警官に見つかって追われている状態でもセーブ&リロードがダンジョンで可能。この方法でタイミングさえ誤らなければ警官の脅威が激減する。 --ゲームとしては欠陥のようにも思えるが、この裏技を使わないとストレスがたまりやすい。特にクリア以降の迷宮はリセットを使うこと前提な配置の場合も見られる。 ---6章の最後に行くダンジョンは特に難関。スタートボタンでのやりなおしがないとやってられない。 --地下迷宮の壁として機能する謎解きや承伏作業にもこの裏技が有効。パズルではわざと直前でセーブしておいて答えを覚えて解きなおすといったことも可能。面白みも何もないだろうが…。 --承伏もこの仕様のおかげでよほどか無謀なプレイングをしない限りは、宝を1つも死なせずに繰りさせることが可能。そのため酒場で買える回復アイテムがほぼ無意味。 --またいついかなる状態でも地下迷宮の入り口に戻れるアイテムもあるが、そうしたいならわざと警官につかまるなどすれば十分。警官がいない地下迷宮のほうが稀。 -地下迷宮の難易度にムラがある --とにかく「入り口に追い返す警官」「ノックバックさせて下層に落として入り口にまで上らせる」といった1からやり直しにさせる仕掛けが多い。製作者の性格の悪さがにじみ出ている警官配置もちらほら。序盤はともかく終盤の難易度の高い地下迷宮では露骨。 --かといって高架橋の上を歩けば、下のフロアに居る警官等をたやすく回避できる等とことんサクサクプレイできるときもある。こういったサクサク進める地下迷宮の地図を覚えておけば、レベリングにも使えなくはないので、正の側面もあったりはする。また常に頭をひねって先に進みたい人もいる一方で宝物の入手が目当てな人にとってはむしろありがたい仕様。 --地下迷宮の地図には「難易度」が表記されているが、これは事実上眠っているトレゾール・アビテの強さと手に入る宝石の豪華さに影響している。そこでのトラップがどんな傾向なのかは行ってみないことには分からない。 -地下迷宮パズルのワンパターン化 --パズルについては評価点もある一方で、問題点もいくつか存在する。 --ルールが5通り(積み木、スケルトンクロスワード、お絵描き、間違い探し、法則性)しかないので、どうしてもワンパターン化するところはある。積み木は用意されたピースが多く可能性が広がるため手ごたえがあるが、そのほかは法則性を知ってしまえば簡単にあしらえてしまう場合が多い。 --間違い探しでは、写真の半分以上の面積がフランスの由緒ある建物だったりする。この建物はむやみやたらに改変できなかったようで、確実にその建物と関係のない車だったり人だったり、雲といった自然物に間違いが隠れている。 ---雲の違いに限ってはいやらしく設定されていることも多く、微妙に色が違うだけのときもあり3DSの性能や表示環境、プレイヤーの視覚能力によってはほぼ無理ゲーの場合あり。 --スケルトンクロスワードパズルも、既に用意されているせいぜい8つ程度ある単語を辻褄が合うように並べるだけで難易度が低い。 ---フランスをふんだんに題材に使った(建造物やフランス語の間違い探し、単語をつかったクロスワードにした)ことで難易度を低くせざるを得ない、というしわよせがきているのかもしれない。 -作業になりがちな承伏 --トレゾール・アビテの承伏はとくに頭を使わない。強い宝を仲間にして、また強い宝を倒して仲間にするだけ。宝の能力、属性の相性考察、道中の宝箱の入手、寄り道を怠らなければまず負けない。 ---さらに言うと、うっかり倒してしまったりこちらに犠牲者が出てもリセットすればいいだけの話である。 --合体技もラスボス時以外使わない、持っていける宝の数にも制約があり。あらかじめ合体技ができる組み合わせを狙うのは困難。 --レベリングも不可能ではないが特に意味がない。経験値がたまりにくく時間がかかる上に、普通に地下迷宮を攻略していればよほどか強いトレゾール・アビテが嫌でも手に入る。最序盤でのミレディの言葉通り、「強い武器に持ち替えていく」ゲームである。 --ゲーム終盤で、酒場から購入できる宝もあるが、このタイミングでは完全に力不足。確かに最後まで育成すれば破格の強さなのだが、育成効率がよくないので…。 --レベリングの手間は省けるため、いちいち地下迷宮を何度も攻略しなくていいという意味では評価点ではある。 --宝のデザインこそ多いのだが、精霊のバリエーションは少なく同じものが使いまわされる。カラーバリエーションもない。 ---6章のラスボスの外見とグラフィックもなぜかもう一度使いまわされる。 ---- **問題点 -声の演技や配役について --うまく声の吹き込みをできている人のほうが少ない。 --ロートレック、ソフィー、ジャンとポールはタレント起用。 ---ソフィーの武井咲氏は、要所要所に感情をこめた演技をしようとしている様子が伺える一方で、全編で滑舌が怪しい。 --ジャンとポールに関しては滑舌演技の抑揚ともにたどたどしい。 ---ロートレックたちに何度も出し抜かれたこと、ヴィドックから離反した事に関して、彼らなりに思うことを発言するシーンも有るのだが、如何せん演技の抑揚が弱すぎるので、義憤というよりもただ単にヘタレなイメージが否めない。 --こういったキャラだけに掛け合いをさせるシーンは決して少なくなく、こういったタレント声優の棒読みが苦手な人には聞くに堪えない。最善な自衛手段は消音してプレイすることか。Aボタン連打で早送りすることも可能だが、シナリオの設定や地下迷宮の入り口を探すやり取りでは、ちょくちょく大事な情報も挟んでくるのでデメリットもある。 --マリーの声質が安定しない。消え入りそうなかすれ声で喋ると思えば、エピローグ以降にやたらかわいらしい声になったり。 -地下迷宮を見つけるまで --地下迷宮の入り口を記した地図は暗号であり、それを解読するまでもシナリオの一部になっているのは評価点で述べたとおりだが、その謎々がきちんと機能していないという問題点がある。 --地図の謎々のほぼ全てがパリにまつわっているので、どうしてもフランスについての歴史や有名人を知らなければ解けない問題は多い。 ---そういうときはロートレックたちの会話を読み進めて、指示に従ってパリ市を右往左往し勝手に謎が解けるのを待つしかない。この謎を十分に生かせなかったゲームシステムは非常にもったいない。 --またプレイヤーのまぐれ当たりで迷宮の入り口のある区画に行っても、それまでの会話の流れが切られて暗号の解説の後、迷宮の入り口を探すパートに入ってしまう。 ---2人が頭を深く悩ませて謎に挑んでいるときにやると雰囲気がぶち壊しになる。もっとも時間短縮の裏技としてはかなり有用ではあるが。 --バックログの類がないので、会話の内容を覚えておきたいならプレイヤーがメモを取るなどの努力をする必要がある。(ロートレックたちの推理にも紆余曲折があり、解決には直接関係のない情報もちょくちょく挟まれるのでなおさら話の理解はしにくい。) --ゲームでも一応進捗状況をメモにとってはくれるのだが、その内容は「○○は目的地と関係ない」「暗号文の△△はパリ市の□□を比喩している」「行くべき場所は××だ」など淡白。 ---特に「○○を比喩している」という判断になぜ至ったのかについての解説はメモにかかれない。 --メインシナリオ終盤で、「ポイント・ゼロ」という単語を突き止めるくだりがあるが、ここのくだりがかなり難解。例によってまき戻して読み直すことができない。 -ふりがな、フランス語読みが統一されていない --本文中のテキスト、特にキーワードとなる名詞には日本語とフランス語を織り交ぜた独特のスタイルがとられているが、どういうとき日本語になるのかどういうときにフランス語になるのかの統一感がまるでない。 --漢字の熟語だったりカタカナでそのままフランス語を表記する場合、ルビが振ってたりなかったりと読みづらい。 --また音声で読む場合も、ルビなしの漢字をフランス語で読んでみたり、フランス語のルビが振ってある熟語を日本語で読んだりする。 --同じ会話中ですらあまり統一されておらず、カタカナで読み上げられているだけと思いきや、次のシーンではすぐに漢字表記になってルビふられたりなど、とにかく読んでいて混乱する。「冒険者(アヴァンチュリエ)」、「精霊(ガルディアン)」は頻出単語なのも有るかもしれないが、この2単語がとにかく統一されていない。 --ルビ事体もそこからフランス語を勉強できるほど意味に忠実にふられてはいない。「作り話」に「イストワール」というルビがふられるなど大間違いでもないが、微妙なあてつけも多い。 --ゲーム序盤では「承伏」に「トンプタージュ」とルビを振っているが、ゲーム中盤からは影も形もなくなる。 --メニューから用語の説明もあるが、なぜかこっちはルビがふられていない。ルビの代わりにカッコ内部で改めてフランス語の呼び方を書いてあるものもあるが、逆にフランス語の読みだけをカタカナ表記してあるものもある。 -ソフィーの設定 --いろいろな人がソフィーのシナリオに加担したのか、彼女の設定があやふや。 --精霊が見える能力について掘り下げが不足している。終盤のクエストで核心に迫る話が出るのだが、結局家系による能力だということしか分からない。 ---そもそも、周囲の人に見えているのか見えていないのかはっきりしない精霊もいる。 --とある謎解きでマドレーヌの材料や作り方をロートレックに自慢してくるので、料理が好きかと思いきや包丁の持ち方がおかしかったり、砂糖とタバスコを間違えたりとよく分からないことになっている。 --大学の考古学を専攻しておきながらフランスの歴史に疎い。 -存在意義のないサブキャラが多い --シナリオの設定に関与していたり、シナリオを有意義に進行させるサブキャラはミレディ、クロード、ソフィーの母くらい。残りのサブキャラは会話パートを無意味に不快にしているだけ。 --冒頭のイベントで明確にロートレックを敵視しているギュスタフ教授は、彼のライバルと思いきや実際そんなことも無く、幾度と汚い手((遺跡を破壊して道をふさぐ、3本勝負といっておきながらそれまでの勝敗をチャラにし4本目を用意してくる等))を使って勝負を仕掛けるも軽くあしらわれるだけ。むしろ後半になってとくに前触れも無く、しれっと会話に混ざってくるだけのキャラにジョブチェンジして終盤になると出番すらなくなる。 ---序盤はとにかく言動が下品で脳筋なところが強調される(これでも一応教授という役職である)。ひどいときは拠点の酒場の施錠されていない扉を体当たりで「ぶち抜いて」登場するなど、どう考えても理にかなっていない奇行すら描かれる始末。 ---会社も経営しており、彼の持ち前の悪運もあってかなり会社は順調に行ってたりする。この面を強調してやっても良かったのでは…。 --ヴィドックの手下として登場するジャンとポールにいたっては存在意義すら不明。敵にいても味方にいても役に立たない。シナリオ上で女性への愛を語りつつもドジを踏むだけの役回りであり、誰かの役に立ったシーンがほぼ皆無(強いて挙げるなら本編の悪の親玉が従える部下についてちょっと知ってた程度)。 ---本編が終わっても謎解きに参加するでもなく、女性陣をナンパして嫌がられるなどメインキャラとろくな会話をすることすらできず、見ているこっちが居たたまれなくなること請け合い。 --子供向けに会話を堅苦しくしないための措置なのかもしれないが、曲がりなりにも19世紀フランスという舞台でここまで下品なキャラを描いていいものなのだろうか。 --メインシナリオにおいて、ロートレックに依頼を持ち込んだもうひとりのヒロインがサーカス団並みに身軽という設定が追加されるが、その設定が一度きりで以降役に立っている描写が描かれない。 --壁を強引にぶち破れるギュスタフもそうだが、マリーは探索用のキャラとして使う予定が当初あったのかもしれない。 -不親切なシステム --「持ち物」というコマンドでできるのは持っている宝の「確認」のみ。持ち替えといったことはできず、研究室というコマンドを選ばなくてはならない。 --ビューポイントがエリアチェンジするギリギリのところにおいてあることが多い。そこにたつ前にパリ市の探索モードに切り替わってしまう。 --用語辞典からパリ市の地形が分かることは評価点なのだが、あくまで単語を載せているだけで、たとえば「ABC順」「通り」「広場」「聖地」といったふうにソートできない。訪れた順番にしたがって掲載されるので、辞書としての活用はしにくい。 -地下迷宮の設定 --細かい点かもしれないが、ゲームを難しくするためにあるいは面白くするために、リアリティに乏しかったり不条理な制約が課せられる傾向がある。 --迷宮に入るときに、トレゾール・アビテを3個までしか持ち込めない。 --(もともと地下に住んでいて宝を守っているという騎士団はともかく)、地下迷宮に警官がとにかく張り込みすぎている。ロートレックを敵視する警部の差し金にしても、人がくるかも分からない地下迷宮に張り込ませるのはおかしい。火炎放射器や大岩がわんさか仕掛けられる迷宮を何食わぬ顔で闊歩してることもザラ。スイッチを踏むと「なにもなかったところ」から唐突に出現する警官もいる。%%もはや幽霊なのか…。%% --さらに細かいことかもしれないが、こんな超人的な警官の癖して壁を幾度と無く体当たりでブチ破ってきたギュスタフ教授についてはノーマーク。警戒している様子が全く見られない。 ---- **総評 多ジャンルのゲーム性をかき集めて作品として成立させたことは大きな評価点である。~ しかし、この多ジャンルが上手に同居できたかというとそうではなく、やたらと雑に作ってあるパズルや本当に頭をひねるパズルの混在、シナリオや設定に一貫性が無かったりとムラが激しい。
*ドクターロートレックと忘却の騎士団 【どくたーろーとれっくとぼうきゃくのきしだん】 |ジャンル|宝探しアドベンチャー|&amazon(B004YA0DB8)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|3DSカード|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|ウィンキーソフト|~| |発売日|2011年7月7日|~| |定価|5,040円(税5%込)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |セーブデータ|2個|~| |判定|なし|~| |ポイント|パリの歴史にまつわる謎解き&br;パズル・アクション・RPGを盛り込んだ意欲作&br;地下迷宮のギミックの主張が激しい|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 パズル、アクション、RPGと様々なゲームをこなしつつパリでトレジャーハントしていくゲーム。~ 謎解きを意識した『ザックとオンブラ まぼろしの遊園地』の後継作に当たる。 ---- **特徴 -世界観 --舞台は19世紀のパリ。エッフェル塔は建設途中であり万博を控えている。 --この世界のパリの地下には、何者かが設計した謎の地下迷宮が数多く渦巻いている。地下迷宮の入り口は、なぞなぞで指し示されたパリ市内のとある場所にあり、その奥には精霊がとりついた宝(トレゾール・アビテ)が眠っている。 #region(close,登場人物) -ロートレック --宝や金儲けには全く興味がなく、ただひたすら謎を解き明かすことに無上の喜びを見出す変わり者の考古学者。 --厭世的ではあるのだが、どこか面倒見のいいところもある。 -ソフィー --大学でロートレックに惚れ込んで以降、助手兼秘書(自称)として彼の研究室に入り浸り、彼の謎解きを手伝っている女子大生。 --実家がワイナリー。宝に宿る精霊が見えるという不思議な能力を持つ。 -マリー --ロートレックの研究室に、ルイ王朝にまつわる宝を携えて助けを求めてきた少女。 --どうやら過去にロートレックに助けられたことがある模様。彼女も高貴な出自らしいが…。 -ミレディ --オペラ座の酒場を経営する仮面の美女。 --地下迷宮の入り口を示す地図を売っており、彼女の酒場は地下迷宮の財宝で一獲千金を夢見る冒険者が集う。ロートレックも「謎にありつける」という理由で酒場によく出入りするようになる。 -ヴィドック --マリーの財宝に興味を持ち、彼女のことをつけ狙う。マリーとは遠い親戚とのこと。 #endregion -ジャンルについて --様々なジャンルが混ざって構成されているゲーム。歩き回って話を聞くアドベンチャー、地下迷宮を探索する際のアクション、地下迷宮の隠し扉を開く際のパズル、最深部に眠る宝を屈服させる際のRPGが登場する。 -ゲームの流れ --1:ミレディからもらった宝の地図(メインストーリーでは、マリーが持ってきた宝が示す暗号)の謎が指し示す場所をパリ市から見つけ出し、地下迷宮の入り口を探す。 ---入り口の目印として「ユリの紋章」が建物や植え込み、床等どこかに描かれているので、街並みを見まわしながら見つけ出すことになる。 --2:トラップや警備している警官や怪人をかいくぐり、地下迷宮の最深部を目指す。ここではアクション色が強くなる。 ---「ユリの紋章」がある壁は、パズルを解除することで先に進めるようになる。 --3:行き止まりには「トレゾール・アビテ」が眠っており、持ってきた宝や宝石の精霊の力で適度に体力を減らし承伏させる。承伏したトレゾール・アビテは仲間として以降持ち歩くことができる。このパートはRPGの色が強い。 -シナリオ構成 --マリーの宝物にまつわる謎を解き明かすメインストーリー、ミレディの宝の地図の地下迷宮をクリアするサブストーリーから成る。 --6章までがメインシナリオで、7は残された宝の地図を消化していくこととなる。 --作中で挑む宝の地図は全部で50程度。サブストーリーでも、ミレディの酒場を中心に、登場人物の素性に掘り下げるシナリオが描かれる。 #region(close,詳細) ***宝の地図解読 -「地図」と呼ばれるが、実際は地図に書かれるなぞなぞを解いてなぞなぞがパリ市内のどの場所を指すのかを判断しなくてはならない。 --難易度はさほど高くなく、ロートレックたちの会話をよく聞いて、行くべき場所を転々としていくうちにいつかは入口にたどり着けるようになっている。パリ市の地図に行くべき場所や拠点が図示される。(赤:酒場、青:目的地(まだ行っていないところ)、チェックマーク:目的地(既に行った所) -パリ市のマップには、地図のようにデフォルメされたモードと、原寸大モードの2つがある。デフォルメ時はパリ市を素早く右往左往することができ、行きたい区画に立っている時にAボタンを押すとその近辺を拡大し散策できる。また原寸大モード時には、そこにいるNPCと話したり見回したり出来る(オレンジ色のふきだしがついたNPCは話しかけると重要な情報を言うことがある)。 -一度に受けることのできる地図は1枚まで。同時進行不可。しかし、過去に中断した宝の地図を再度選択するとその途中から再開可能。 -宝の地図に挑戦している最中は、メインシナリオの謎に挑むことができなくなる。 -依頼を受ける段階で、地下迷宮の難易度を星の数で大雑把に確認できる。メインシナリオが進むごとに、高難易度の地図が貰えるようになる。 -地図には番号が振られているが、基本的にはどの番号から挑んでもよい。また酒場に入りなおすたびに受けられる地図のラインナップがランダム変動する。 -入口を見つけた際に、ソフィーが自身の特殊能力で、今持っている宝の精霊と地下迷宮の精霊の戦力差を大まかに判断してくれる。(楽勝、いい戦いができる、がんばれば勝てるかも、相当厳しい戦いになる、等。) --このとき引き返すか進むか選べる。 ***地下迷宮 -本作のアクションパート。ロートレックを移動させ数々の罠をかいくぐりながら最深部を目指す -操作 --十字キーorスティックでロートレックを移動させる。地下迷宮内部は鳥瞰図になっているので、ロートレックを精密に移動させたいなら十字キーが、なめらかな曲線を走らせたいならスライドパッドが重宝する。 --見回し:Bボタンを押しながらスライドパッドを動かすことで、ロートレックを待機させたまま迷宮の部屋内部の構造を観察できる。 -木箱 --Aボタンを押しながら木箱の方へ進むと、進んだ方向に木箱を押すことができる。引くことはできない。また向こうに何か物があるときも押せない。 --条件がそろえば足場にすることも可能。 -障害ギミック --警官、仮面の騎士団 ---一定の決められたルートを巡回するが、視覚でロートレックを発見するとすばやく追跡してくる。つかまってしまうと迷宮の入り口にまで追い返されてしまう。 ---聴覚で直接感知はしてこない。しかし、背後からかなり接近するとこちらの「気配」に気づいてから、その場で足を止め一定時間周囲を見回しだす。 --段差 ---ジャンプというアクションが存在しないので、いかなる段差もよじのぼったり飛び越えることはできず、階段を使って昇る必要がある。 ---ロートレックの全身を隠す段差や壁の陰にぴったり張り付いていれば、警官などに発見されづらくなる。上述の木箱の陰にうまく隠れていても気づかれずに済む。 ---逆にロートレックの腰程度の高さの段差もある。この段差ではロートレックは隠れることができない。ちなみにこのような段差の上に立っていても下に居る警官等に発見される。 ---警官等は階段がなければ段差を上り下りできないが、逆にロートレックはいかなる段差からも「飛び降りる」ことはできる。 --矢、大岩、火炎放射器 ---いずれも一定間隔で無限に放たれる。いくら接触してもゲームオーバーにはならないが、ぶつかると一定時間操作不能になり、強力にはじかれる。細い道を通る機会が多いので、こういったトラップに触れると下の階層にまで落とされてしまう。 -部屋の配置リセット --STARTボタンをおすと最後に出入りした部屋の入口(迷宮の入り口ではない)に戻される。 --動かした木箱の配置はリセットされ、警官等に追いかけられている途中であってもなかったことにできる。 -パズル --ユリの紋章のマークを持つ扉は、調べるとパズルが展開されそれを解くことで先に進むことができる。 簡単な迷宮だと扉の数は3程度だが、難しい迷宮になると7程度になる。 --パズルのタイプは5種類。(スケルトンクロスワード、間違い探し、積み木、法則性、お絵かき) --操作はいずれもタッチペンを使う。 --パズルが解かれている状態にして、「解答」ボタンを押して仕上げとなる。 --制限時間はなくいつでもギブアップ可能。ヒントの電球を割ったりギブアップおよび不正解した回数によって、評価点が落ちていく。 ---評価点はミレディの酒場で精霊を回復するためのアイテムや、地下迷宮の入り口に戻れるアイテムを買うのに必要となる。 -承伏 --地下迷宮の行き止まりの部屋にトレゾール・アビテが眠っていることができ、手持ちのトレゾール・アビテの力を使って適切に弱らせることで仲間に加えることができる。(逆に0にしてしまうと消滅してしまうがアイテムで復活させることは可能。 --目的のトレゾール・アビテの周囲にはいくつか台座が置いてあり、そこに手持ちの宝を置くことで攻撃となる。 ---まずこちらの宝が敵に攻撃を仕掛け、その次に敵から攻撃を受ける。こちらの宝は1回の承伏のうちには原則として1回分しか攻撃できない。 --メインシナリオのボスの場合はHPをゼロにする必要があり、仲間にすることもできない。 --トレゾール・アビテに宿る精霊にはHPのほか、攻撃・防御・および属性がある。(人・鳥・獣・魚・木) ---人は魚に強く獣に弱い。体力が高い。 ---獣は魚と鳥に弱く人に強い。また全体的に体力と攻撃力に優れ、防御力に劣る傾向がある。 ---魚は人に弱く、鳥と獣に強い。 ---木は他の属性との強弱関係がない。防御に優れるが攻撃力がたよりない。 --台座を使い切ってなお目標の精霊を承伏できないとゲームオーバーとなり、酒場に帰還するか、入り口からやり直すか、承伏をやり直すか選べる。 -再挑戦 --一度クリアした地下迷宮に再度挑むことも可能。また章が進むことで難しい地図が現れるようになるが、簡単な方の迷宮も依然として挑める。 --すでに解いた扉は開いている。トレゾール・アビテがいた場所には精霊も出現するが、こちらは承伏する(倒してしまってもよい)と回復アイテムに変化する。 #endregion ***その他 -オプション --登場人物が会話している時、トレゾール・アビテを承伏している時、なぞなぞを解いている時以外であればいつでもセーブ・ロード可能。 --「持ち物」のページからは、持って行く最大3つの宝物のパラメータを一覧できる --「研究室」のページでは、いままで手に取ったしたパズル、アイテム、トレゾール・アビテ、宝石を確認できる。また持ち物の着脱もここから行う。 ---初期装備として地下迷宮には宝物、アイテムをそれぞれ3個ずつまで持ち込める。 ---- **評価点 -いろいろなゲーム性が融合している --パズルだけでなく、適度に探索やアクションがある。 --それぞれ挿入されるゲーム性も、警官から逃げる、古代の罠を解除するなどの理由付けがしっかりしており物語の流れを損なってはいない。 --アクション、パズル、RPGがとっかえひっかえで現れるためゲーム自体には飽きにくい。 -チュートリアル --パズルや迷宮のトレゾールアビテの承伏方法は、必ずやり方を一通り説明しようとしてくれる。 --文章だけで説明するのではなく、図を使って試行錯誤させながら、覚えさせていく形式をとっており親切。 ---ただしもう一回見ることができないのは残念。 -地下迷宮でのアクションのパズル性 --地下迷宮の攻略も、一種のパズルゲームとしての楽しみがある。 --木箱を動かすだけのアクションにもかなり応用ある。 ---警官から隠れたり、行進ルートを変更する壁としても使えるし、警官を狭いところに追い込んで閉じ込めることも可能。 --警官の行進にも法則性があるので、どのようなルートでロートレックを進ませるべきか考察の余地がある。 ---警官のうち1人にわざと背後から近づことで、混乱させる、複数人の足並みを乱すといったこともできる。 --まれにアクション重視なものもあったりとネタは多い。 -美術面 --メインシナリオ中は3Dムービー、イラストによるアニメーションが挿入され、全編3D表示可能。 --物語の舞台であるパリが描かれており、ほぼ全編に至って3DS表示が可能。 ---背景の建物の表面もただの平面ではなく、きちんと凸凹を作ってくれてあるときが多い。フランスの建造物を3Dで再現できるという意味では、このゲームの価値は高い。実在の庭園をデフォルメで表現し、そこを歩けるようにするという一幕もある。 --本編のカギであるユリの紋章もただの絵ではなく立体表現されている。 --有名な絵画や建造物の写真もいくつか収録されている。間違い探しのパズルにもよく登場する。 --キャラの立ち絵のパターンも豊富。多彩な表情が用意され逃走するといったアクションも上手に立ち絵の紙芝居によって再現される。イベントの数も多様ながら、カットの絵がちょくちょくはさまれる。 --150ほどあるトレゾール・アビテのデザインについては、色違いといった使い回しこそあるが形状のバリエーションは40程度と決して少なくない。 ---その全てに対して説明文、イラストが作られている。承伏時には3Dモデルを見ることも可能。 -パリ市の歴史資料として --パリ市の歴史からいろいろなネタを引っ張ってきてなぞなぞにしている。謎々の是非や矛盾、スピードダウンなどの問題がないわけではないが、ひとつの市から拾って来たにしてはネタが非常に豊富である。 --街中を移動する際は、パリ市の町並が地図のように表示されその中を闊歩できる洒落た演出をしてくれる。実在の地名ほぼ実物どおりといって差し支えない。 --パリ市の道路や広場が、かつての偉人にちなんで名づけられていることが多い。その偉人のうんちくを学ぶことができる。 --プレイヤーの努力は必要だが、用語辞典にパリ市のどこにどんな建物があるか知ることができる。またきちんと2人のやりとりを聞いていればおのずと、パリの歴史やフランスの大まかな歴史にはかなり詳しくなれる。 ---セーヌ川がどのように流れているか、ベルサイユ宮殿、凱旋門、国立自然史博物館、市庁舎等、有名な拠点に何度か足を運ぶので大まかな位置も覚えられたりする。 -主要登場人物のかけあい --本作で頻繁に挟み込まれるのがロートレックとその助手ソフィーとの会話である。 --ロートレックの具体的な第一印象は、謎にしか興味を示さない偏屈屋といったところ。また知識量がすさまじく会話の隅々に、たいていのプレイヤーにはなじみの薄いフランスの歴史の知見が出てくるので話の本筋を見失いやすい。 --しかし話し込むうちに、実際は偏屈ながらもワインに目が無かったり、口では冷たいことを言っておきながらも人がいいところを見せるなど人間味が垣間見える。 --ソフィーは良くも悪くも若く、面倒ごとに巻き込んでしまうところもあるが、彼女なりに博士に認められようと、謎解きに奮起する場面が多々見られる。 --ソフィーは教授に恋愛感情を持っているが、その背景について掘り下げるイベントもあるので、ただ話題性を持たすだけの単純な設定で終わらせていない。 --物語が進んでくると、しだいにソフィーも謎解きに的を得た答えを出せるようになってくる。 ---- **賛否両論点 -メインストーリーとサブストーリーの世界観が乖離している --メインストーリーは、きちんと悪役がいて登場人物に目的があるため、基本はひとまず押さえたシナリオといえるが、つまるところ「19世紀末フランス」という舞台設定でやる必要のないこと。 --ネタバレになってしまうが、終盤に向けての一連のイベントは、明らかに『天空の城ラピュタ』の影響を受けているといわざるを得ない。 --黒幕のヴィドックの一連の行動に、ムスカ大佐との共通点が多い。マリーを正当な後継者(何の後継者なのかは不明)にしようと拉致する、「空飛ぶ城」なる兵器を復活させて記念の試し撃ちとして精霊の雷をロンドンの野山に落とす始末。%%見たまえ、ラピュタの雷を!%% ---本拠地の遺跡も、天空の城ラピュタ内部にあったような、壁が集積回路のような光の脈をうつSF世界。 --一方で、サブストーリーが地下迷宮を踏破し、そこに眠る宝に精霊を屈服させるというオカルト路線がやや強い。…のだが時代背景からすればむしろこちらが妥当。 ---レビューサイトでは、レイトン教授と同じナゾトキものだと糾弾する声が見られるが、ゲーム性ではアクション要素があったりRPG要素があったりするので、十分に差別化されている範疇だと思われる。むしろシナリオのほうが著作権的に危なくないだろうか…? --ただし本作のタイトルにもなっている「忘却の騎士団」は、「地下から出られずルイ王朝の財宝を代々にわたって守り続ける人々」という鉄仮面をモチーフにした存在であり、このあたりはなかなかおもしろい。 -リスタートの仕様 --警官に見つかると、いちいち「入り口」に突っ返されてしまうのだが、警官に見つかって追われている状態でもセーブ&リロードがダンジョンで可能。この方法でタイミングさえ誤らなければ警官の脅威が激減する。 --ゲームとしては欠陥のようにも思えるが、この裏技を使わないとストレスがたまりやすい。特にクリア以降の迷宮はリセットを使うこと前提な配置の場合も見られる。 ---6章の最後に行くダンジョンは特に難関。スタートボタンでのやりなおしがないとやってられない。 --地下迷宮の壁として機能する謎解きや承伏作業にもこの裏技が有効。パズルではわざと直前でセーブしておいて答えを覚えて解きなおすといったことも可能。面白みも何もないだろうが…。 --承伏もこの仕様のおかげでよほどか無謀なプレイングをしない限りは、宝を1つも死なせずに繰りさせることが可能。そのため酒場で買える回復アイテムがほぼ無意味。 --またいついかなる状態でも地下迷宮の入り口に戻れるアイテムもあるが、そうしたいならわざと警官につかまるなどすれば十分。警官がいない地下迷宮のほうが稀。 -地下迷宮の難易度にムラがある --とにかく「入り口に追い返す警官」「ノックバックさせて下層に落として入り口にまで上らせる」といった1からやり直しにさせる仕掛けが多い。製作者の性格の悪さがにじみ出ている警官配置もちらほら。序盤はともかく終盤の難易度の高い地下迷宮では露骨。 --かといって高架橋の上を歩けば、下のフロアに居る警官等をたやすく回避できる等とことんサクサクプレイできるときもある。こういったサクサク進める地下迷宮の地図を覚えておけば、レベリングにも使えなくはないので、正の側面もあったりはする。また常に頭をひねって先に進みたい人もいる一方で宝物の入手が目当てな人にとってはむしろありがたい仕様。 --地下迷宮の地図には「難易度」が表記されているが、これは事実上眠っているトレゾール・アビテの強さと手に入る宝石の豪華さに影響している。そこでのトラップがどんな傾向なのかは行ってみないことには分からない。 -地下迷宮パズルのワンパターン化 --パズルについては評価点もある一方で、問題点もいくつか存在する。 --ルールが5通り(積み木、スケルトンクロスワード、お絵描き、間違い探し、法則性)しかないので、どうしてもワンパターン化するところはある。積み木は用意されたピースが多く可能性が広がるため手ごたえがあるが、そのほかは法則性を知ってしまえば簡単にあしらえてしまう場合が多い。 --間違い探しでは、写真の半分以上の面積がフランスの由緒ある建物だったりする。この建物はむやみやたらに改変できなかったようで、確実にその建物と関係のない車だったり人だったり、雲といった自然物に間違いが隠れている。 ---雲の違いに限ってはいやらしく設定されていることも多く、微妙に色が違うだけのときもあり3DSの性能や表示環境、プレイヤーの視覚能力によってはほぼ無理ゲーの場合あり。 --スケルトンクロスワードパズルも、既に用意されているせいぜい8つ程度ある単語を辻褄が合うように並べるだけで難易度が低い。 ---フランスをふんだんに題材に使った(建造物やフランス語の間違い探し、単語をつかったクロスワードにした)ことで難易度を低くせざるを得ない、というしわよせがきているのかもしれない。 -作業になりがちな承伏 --トレゾール・アビテの承伏はとくに頭を使わない。強い宝を仲間にして、また強い宝を倒して仲間にするだけ。宝の能力、属性の相性考察、道中の宝箱の入手、寄り道を怠らなければまず負けない。 ---さらに言うと、うっかり倒してしまったりこちらに犠牲者が出てもリセットすればいいだけの話である。 --合体技もラスボス時以外使わない、持っていける宝の数にも制約があり。あらかじめ合体技ができる組み合わせを狙うのは困難。 --レベリングも不可能ではないが特に意味がない。経験値がたまりにくく時間がかかる上に、普通に地下迷宮を攻略していればよほどか強いトレゾール・アビテが嫌でも手に入る。最序盤でのミレディの言葉通り、「強い武器に持ち替えていく」ゲームである。 --ゲーム終盤で、酒場から購入できる宝もあるが、このタイミングでは完全に力不足。確かに最後まで育成すれば破格の強さなのだが、育成効率がよくないので…。 --レベリングの手間は省けるため、いちいち地下迷宮を何度も攻略しなくていいという意味では評価点ではある。 --宝のデザインこそ多いのだが、精霊のバリエーションは少なく同じものが使いまわされる。カラーバリエーションもない。 ---6章のラスボスの外見とグラフィックもなぜかもう一度使いまわされる。 ---- **問題点 -声の演技や配役について --うまく声の吹き込みをできている人のほうが少ない。 --ロートレック、ソフィー、ジャンとポールはタレント起用。 ---ソフィーの武井咲氏は、要所要所に感情をこめた演技をしようとしている様子が窺える一方で、全編で滑舌が怪しい。 --ジャンとポールに関しては滑舌演技の抑揚ともにたどたどしい。 ---ロートレックたちに何度も出し抜かれたこと、ヴィドックから離反した事に関して、彼らなりに思うことを発言するシーンも有るのだが、如何せん演技の抑揚が弱すぎるので、義憤というよりもただ単にヘタレなイメージが否めない。 --こういったキャラだけに掛け合いをさせるシーンは決して少なくなく、こういったタレント声優の棒読みが苦手な人には聞くに堪えない。最善な自衛手段は消音してプレイすることか。Aボタン連打で早送りすることも可能だが、シナリオの設定や地下迷宮の入り口を探すやり取りでは、ちょくちょく大事な情報も挟んでくるのでデメリットもある。 --マリーの声質が安定しない。消え入りそうなかすれ声で喋ると思えば、エピローグ以降にやたらかわいらしい声になったり。 -地下迷宮を見つけるまで --地下迷宮の入り口を記した地図は暗号であり、それを解読するまでもシナリオの一部になっているのは評価点で述べたとおりだが、その謎々がきちんと機能していないという問題点がある。 --地図の謎々のほぼ全てがパリにまつわっているので、どうしてもフランスについての歴史や有名人を知らなければ解けない問題は多い。 ---そういうときはロートレックたちの会話を読み進めて、指示に従ってパリ市を右往左往し勝手に謎が解けるのを待つしかない。この謎を十分に生かせなかったゲームシステムは非常にもったいない。 --またプレイヤーのまぐれ当たりで迷宮の入り口のある区画に行っても、それまでの会話の流れが切られて暗号の解説の後、迷宮の入り口を探すパートに入ってしまう。 ---2人が頭を深く悩ませて謎に挑んでいるときにやると雰囲気がぶち壊しになる。もっとも時間短縮の裏技としてはかなり有用ではあるが。 --バックログの類がないので、会話の内容を覚えておきたいならプレイヤーがメモを取るなどの努力をする必要がある。(ロートレックたちの推理にも紆余曲折があり、解決には直接関係のない情報もちょくちょく挟まれるのでなおさら話の理解はしにくい。) --ゲームでも一応進捗状況をメモにとってはくれるのだが、その内容は「○○は目的地と関係ない」「暗号文の△△はパリ市の□□を比喩している」「行くべき場所は××だ」など淡白。 ---特に「○○を比喩している」という判断になぜ至ったのかについての解説はメモにかかれない。 --メインシナリオ終盤で、「ポイント・ゼロ」という単語を突き止めるくだりがあるが、ここのくだりがかなり難解。例によってまき戻して読み直すことができない。 -ふりがな、フランス語読みが統一されていない --本文中のテキスト、特にキーワードとなる名詞には日本語とフランス語を織り交ぜた独特のスタイルがとられているが、どういうとき日本語になるのかどういうときにフランス語になるのかの統一感がまるでない。 --漢字の熟語だったりカタカナでそのままフランス語を表記する場合、ルビが振ってたりなかったりと読みづらい。 --また音声で読む場合も、ルビなしの漢字をフランス語で読んでみたり、フランス語のルビが振ってある熟語を日本語で読んだりする。 --同じ会話中ですらあまり統一されておらず、カタカナで読み上げられているだけと思いきや、次のシーンではすぐに漢字表記になってルビふられたりなど、とにかく読んでいて混乱する。「冒険者(アヴァンチュリエ)」、「精霊(ガルディアン)」は頻出単語なのも有るかもしれないが、この2単語がとにかく統一されていない。 --ルビ事体もそこからフランス語を勉強できるほど意味に忠実にふられてはいない。「作り話」に「イストワール」というルビがふられるなど大間違いでもないが、微妙なあてつけも多い。 --ゲーム序盤では「承伏」に「トンプタージュ」とルビを振っているが、ゲーム中盤からは影も形もなくなる。 --メニューから用語の説明もあるが、なぜかこっちはルビがふられていない。ルビの代わりにカッコ内部で改めてフランス語の呼び方を書いてあるものもあるが、逆にフランス語の読みだけをカタカナ表記してあるものもある。 -ソフィーの設定 --いろいろな人がソフィーのシナリオに加担したのか、彼女の設定があやふや。 --精霊が見える能力について掘り下げが不足している。終盤のクエストで核心に迫る話が出るのだが、結局家系による能力だということしか分からない。 ---そもそも、周囲の人に見えているのか見えていないのかはっきりしない精霊もいる。 --とある謎解きでマドレーヌの材料や作り方をロートレックに自慢してくるので、料理が好きかと思いきや包丁の持ち方がおかしかったり、砂糖とタバスコを間違えたりとよく分からないことになっている。 --大学の考古学を専攻しておきながらフランスの歴史に疎い。 -存在意義のないサブキャラが多い --シナリオの設定に関与していたり、シナリオを有意義に進行させるサブキャラはミレディ、クロード、ソフィーの母くらい。残りのサブキャラは会話パートを無意味に不快にしているだけ。 --冒頭のイベントで明確にロートレックを敵視しているギュスタフ教授は、彼のライバルと思いきや実際そんなことも無く、幾度と汚い手((遺跡を破壊して道をふさぐ、3本勝負といっておきながらそれまでの勝敗をチャラにし4本目を用意してくる等))を使って勝負を仕掛けるも軽くあしらわれるだけ。むしろ後半になってとくに前触れも無く、しれっと会話に混ざってくるだけのキャラにジョブチェンジして終盤になると出番すらなくなる。 ---序盤はとにかく言動が下品で脳筋なところが強調される(これでも一応教授という役職である)。ひどいときは拠点の酒場の施錠されていない扉を体当たりで「ぶち抜いて」登場するなど、どう考えても理にかなっていない奇行すら描かれる始末。 ---会社も経営しており、彼の持ち前の悪運もあってかなり会社は順調に行ってたりする。この面を強調してやっても良かったのでは…。 --ヴィドックの手下として登場するジャンとポールにいたっては存在意義すら不明。敵にいても味方にいても役に立たない。シナリオ上で女性への愛を語りつつもドジを踏むだけの役回りであり、誰かの役に立ったシーンがほぼ皆無(強いて挙げるなら本編の悪の親玉が従える部下についてちょっと知ってた程度)。 ---本編が終わっても謎解きに参加するでもなく、女性陣をナンパして嫌がられるなどメインキャラとろくな会話をすることすらできず、見ているこっちが居たたまれなくなること請け合い。 --子供向けに会話を堅苦しくしないための措置なのかもしれないが、曲がりなりにも19世紀フランスという舞台でここまで下品なキャラを描いていいものなのだろうか。 --メインシナリオにおいて、ロートレックに依頼を持ち込んだもうひとりのヒロインがサーカス団並みに身軽という設定が追加されるが、その設定が一度きりで以降役に立っている描写が描かれない。 --壁を強引にぶち破れるギュスタフもそうだが、マリーは探索用のキャラとして使う予定が当初あったのかもしれない。 -不親切なシステム --「持ち物」というコマンドでできるのは持っている宝の「確認」のみ。持ち替えといったことはできず、研究室というコマンドを選ばなくてはならない。 --ビューポイントがエリアチェンジするギリギリのところにおいてあることが多い。そこにたつ前にパリ市の探索モードに切り替わってしまう。 --用語辞典からパリ市の地形が分かることは評価点なのだが、あくまで単語を載せているだけで、たとえば「ABC順」「通り」「広場」「聖地」といったふうにソートできない。訪れた順番にしたがって掲載されるので、辞書としての活用はしにくい。 -地下迷宮の設定 --細かい点かもしれないが、ゲームを難しくするためにあるいは面白くするために、リアリティに乏しかったり不条理な制約が課せられる傾向がある。 --迷宮に入るときに、トレゾール・アビテを3個までしか持ち込めない。 --(もともと地下に住んでいて宝を守っているという騎士団はともかく)、地下迷宮に警官がとにかく張り込みすぎている。ロートレックを敵視する警部の差し金にしても、人がくるかも分からない地下迷宮に張り込ませるのはおかしい。火炎放射器や大岩がわんさか仕掛けられる迷宮を何食わぬ顔で闊歩してることもザラ。スイッチを踏むと「なにもなかったところ」から唐突に出現する警官もいる。%%もはや幽霊なのか…。%% --さらに細かいことかもしれないが、こんな超人的な警官の癖して壁を幾度と無く体当たりでブチ破ってきたギュスタフ教授についてはノーマーク。警戒している様子が全く見られない。 ---- **総評 多ジャンルのゲーム性をかき集めて作品として成立させたことは大きな評価点である。~ しかし、この多ジャンルが上手に同居できたかというとそうではなく、やたらと雑に作ってあるパズルや本当に頭をひねるパズルの混在、シナリオや設定に一貫性が無かったりとムラが激しい。

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