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*エスパードリーム 【えすぱーどりーむ】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00F5USMUK)| |対応機種|ファミリーコンピュータ ディスクシステム|~| |発売・開発元|コナミ|~| |発売日&br()()は書換開始日|1987年2月20日(1987年4月20日)|~| |定価|2,980円|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)((バーチャルコンソールでの判定))|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2007年10月2日/617Wiiポイント&br;【3DS】2013年7月10日&br;【WiiU】2015年7月22日/上記共に514円(税込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|任天堂公認の「隠れた名作」&br()バーチャルコンソール皆勤賞|~| |>|>|CENTER:''エスパードリームシリーズ'' - ''1'' / [[2>エスパードリーム2 新たなる戦い]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 コナミのファミコンディスクシステム用ゲーム4作目。超能力を持つ少年がおとぎの国のような世界を邪悪な一族から救うために戦う。穏やかでメルヘンチックな世界観と山下絹代作曲のBGMがマッチしていて印象深い。 **ストーリー >ある平和な村を手に入れようとしている邪悪な一族「ナルシス族」によって、村長の娘のアリスが攫われてしまった。&br()族長のギーラ・サウザンはアリスと引き換えに村を明け渡すことを要求。困った村長が村一番の物知りであるスコットおじさんに相談したところ、&br()「この世界から時間と宇宙を超越した世界に一人の少年がいる。その少年は超能力を持っており、きっとアリスを助けてくれるだろう」と答えた。&br()村長は早速アリスの妹であるロッティを使いに出した。もうすぐロッティが君の前に現れるだろう。そう、君こそが世界にたった一人の超能力を持った少年なのだ。 **システム -最初に名前を登録してセーブデータを作る。村人たちからは以後その名前で呼ばれる((セーブデータの横に現在のレベルが表示されているが、登録時は「0」で、ゲームを始めた時点で「1」になっている。))。セーブデータは3人分作れる。同じ名前のデータに上書きする方式なので、途中で違うセーブポイントに変えることは出来ない。 -ゲームは村の中やフィールド上のような、敵と接触していない状態の「アドベンチャーモード」と戦闘中の「バトルモード」で構成されている。5つのワールドとそれぞれにある5つの村を移動しながら冒険を進めていく。 -見下ろし型のフィールドを十字ボタンで4方向移動、スタートボタンでサブ画面、セレクトボタンで超能力の選択。&br()村ではAボタンで決定、Bボタンでキャンセル、一部の超能力使用。&br()バトルモードではAボタンで武器攻撃、Bボタンで超能力攻撃。 **ゲーム内容 -ゲームは「レンガ村」の村長の家の前からスタートする。村長の家ではスタート時に「ここはあなたの読んでいた本の世界」と聞かされる((ゲーム開始前のデモ画面でロッティは主人公が読んでいる本の中から現れる。))。そこでアリス救出の依頼と共に2つの秘宝と5つのミラクルカプセルを集めるように指示を受ける。 --村長の家はこのゲーム唯一のセーブポイントであり、HPが0になるとお金(単位は『ごーるど』)が半分になり、ツイン(トリプル)ボックスを持っていたら失った状態で村長の家の前に戻される。またレンガ村は5つのワールド全ての入り口がある事もあり、冒険の拠点となっている。 --村では会話で情報を得たり、アイテムを物々交換、ごーるどで買い物などが出来る。 --村から出て各ワールドのフィールド上にある動物の足跡に触ると画面が切り替わり、四方を壊せない壁に囲まれたバトルモードに突入するシンボルエンカウント方式。ワールド毎に出る敵の種類は決まっているが、敵の色によって多少強さが違う。 入手している武器や超能力で攻撃し全滅させると外壁のどこか一か所が開き、脱出すれば再びアドベンチャーモードに戻る。敵を倒すと経験値が貯まっていき、一定量になるとレベルアップする。 --足跡は動き回る物と所定の場所から動かない物がある。動かない足跡は通路を塞いでいたり、扉やダンジョンの入口の前などに配置されている事が多い。 --バトルモードの脱出口は最初から場所が決まっていて、戦闘中に武器で撃てば色が変わっていき、数発撃ちこめば出口が開くので敵を倒さなくても逃げる事が出来る。動かない足跡は逃げてもフィールドに戻ると残っているため先へ進みたければ倒すしかないが、敵の数はその都度一定範囲内で変わるので、少ない敵と戦いたい場合などは何度も入り直すのも有効。 --ダメージを受けるとHPが減り、超能力を使用するとEP(エスパーパワー)を消費する。体当たりでもわずかにダメージを与えているが、当然自分もダメージを受ける。レベルが上がっていれば、弱い敵なら体当たりでノーダメージで倒すことも可能。 --バトルモードの床は足跡と遭遇した場所に準拠するので、歩くとダメージを受けるトゲトゲの場所で敵に会えばバトルモードの床も一面トゲだらけになる。実はトゲのダメージは1固定で、敵の攻撃と重なった場合床ダメージが優先されやすいので、強敵とはここで戦った方がダメージが少ない場合もある。 --敵を倒すとたまに「さいふ」が出る。戦闘で手に入るのは青い財布だけだが、金額の多い赤い財布が落ちている場所もある。これを拾ってごーるどを貯めて、村での買い物に使う。HP全回復の「HPカプセル」、EP全回復の「EPカプセル」を落とすこともある。 --2つの秘宝を含むアイテムは各村の住民とわらしべ長者の様に物々交換で入手する。最初のアイテムはいずれもダンジョンに落ちている。 ---わらしべアイテムには最終的に換金用アイテムと交換する物もある。中には全く役に立たないダミーもあるので注意が必要(気を付けるように教えてくれる村人もいる。)。 --ミラクルカプセルはボスが1個ずつ持っている。つまり5人のボスを全て倒せば5つ手に入る。 --ボスを倒したらカプセルが現れるが、取らずに部屋から出るとボスが復活してしまう。逆に言えばカプセルを取らない限りボスとは何度でも戦えるが、ボスは倒しても経験値はもらえないので意味は無い。 --村人が「なぞのことば」を教えてくれる事がある(セリフの中で「」で囲われている言葉がそれに当たる)。これは「2つの秘宝」に関するヒント。断片的だがメモをして全体的に見れば難しくはない。 --と言うかアリスを救出したら(厳密に言えばワールド4のボスを含むミラクルカプセルを4つ以上入手したら)もらえる「アリスのネックレス」があれば、物知りおじさんが正解をズバリ教えてくれるので覚えておかなくても大丈夫である。 **超能力 -モードの記号:A=アドベンチャーモードのみ、B=バトルモードのみ、C=どちらでも使える。 -レベルアップで覚えるが、お店で買えるものもある。 #region(一覧表) |名前|モード|修得レベル|消費EP|値段|効果| |エスパービーム|B|4|5|300|沢山の粒上のビームが回転しながら飛んでいく&br()エスパーブックで威力アップ、ツイン(トリプル)ボックスで2連(3連)になる| |エスパーライト|A|7|30|350|ダンジョン内の真っ暗なフィールドを明るく照らして見えるようにする| |テレポート|A|10|50|非売品|一瞬でダンジョン内からフィールドへ、フィールドからレンガ村へ移動する| |バリア|B|13|80|非売品|一定時間ダメージを受けなくなる。バトル時のみ| |パワーリペア|C|14|250|6000|HPを一定量回復する| |タイムストップ|B|17|80|4000|一定時間敵の動きを止める| |フラッシュ|B|18|350|非売品|画面上の全ての敵にダメージを与える| #endregion ---- **評価点 -適度な難易度 --本作は難しいと言う人もよく見かけるが、アクションゲームのノリで武器メインで突っ走りがちに進めるのではなく、RPGと捉えてしっかりレベル上げと装備固めを進めていけば終盤までそれほど苦戦することはない。特にエスパービームの強化と強い防具を入手するのが重要で、そこを優先すればかなり楽になる。戦闘中の回復カプセル類は割と出やすく(あくまでランダムなので、ピンチの時に出なかったり、同時に複数出たりするが)、HP回復やレンガ村へ帰還する超能力もあるので、無理しなければやられにくい。 ---ただし、最終のワールド5はそれまでと比較にならない程に敵が強いため、それまでの最強装備で身を固めていても非常に厳しい難易度。そこにある「バリアスーツ」か2個目の「エスパーブック」を取るまでが難関である。 -本の中の世界という設定に拘った雰囲気 --助けるのはお姫様ではなく村長の娘、村の一大事だと言うのにあまり危機感のない村人たち、ワールド1の「ジャイアントハウス」に置いてあるのは巨大な積み木やパンや鍋、敵のアイコンは可愛らしい動物の足跡など、どこか牧歌的でほんわかとした雰囲気を醸し出している。 --邪悪な一族なのに村を乗っ取ろうとする手段が村長の娘の誘拐というのも、血なまぐさい手段に訴えかけない絵本的展開である。 -多彩な敵キャラ --各ワールドにはワールド固有種が3種類(ワールド5だけ5種類)とステージ共通の敵2種類がいて、全てが固有の攻撃方法を持っている。ワールドが進むごとにどんどん苛烈になっていき、気が抜けない。 -ゲームの雰囲気ととてもマッチした曲 --このゲームを語る上で外せない要素と言える。特にメインBGM『エスパードリームなのさ』が名曲として評価が高い。 --作曲者は当時コナミに在籍していた山下絹代氏。FC版[[悪魔城ドラキュラ]]や[[メダロットシリーズ]]なども手掛けている。 -ある程度高い自由度 --最初に行くべきワールドは村長が教えてくれて、そのワールド内に次のワールドへの扉があるので、それを辿って行くのが正規ルートである。しかしこの順番通りに進めなくてもクリアは可能である。 --村長から指示された二つの目的は同時進行で行う必要は無く、むしろミラクルカプセルを5つ集めれば(つまり5人のボスを全て倒せば)全ての敵が出現しなくなるのでその後ゆっくり秘宝を探してもいい。先のワールドに自由に行けるので、自分が十分強くなるまでボスを無視し続けてもいいし、倒せるならどのボスから倒しても問題ない。 --一方、ワールド毎の敵の強さが段階的になっていて、想定順を飛ばして先のワールドに行くと急激に敵が強くなっており、レベル不足だとあっという間にやられてしまう。強いアイテム類を先に入手しようとしても、動かない足跡があちこちにあって目的地に辿りつくのも難しい。((後述の裏技を駆使すれば可能ではある。))先述したとおり、RPGとして段階を踏んでいけば大丈夫だが。 --当時のゲームで自由度という概念はまだ重要視されておらず、順番に攻略して行けばクリア出来るので気にする人は少なかったかも知れない。 **問題点 -武器の弾が当てにくい --主人公は左手に武器を持っていて、上や下を向くとちゃんと左手側から弾が出る。これが敵と向かい合った場合、正面からズレているため、敵が大きめのサイズでない限り弾が当たらない。ちゃんと意識して銃口のある位置を敵に向ける必要がある。その為多少のダメージ覚悟で位置をずらしたり、狙いやすい左右に回り込んだりする必要がある。 --しかし敵は素早く動き回ったり、停止せずひたすら上下左右に歩き続けたり、グングンこちらに向かって来たり、ワープしたり、弾と同じぐらい小さいのに飛び回ったりと、狙いを定めにくい敵が多い。結果、エスパービームで一掃がメインになる。 --尤も、武器と違ってエスパービームはアイテムでどんどん強くなり、トリプルボックスでの3連で敵を一掃する爽快感もあるのであくまでメインは超能力であり、武器はサブという位置づけなのは間違いない。 -バトルモードで出たアイテムは撃つと消える --一定時間でも消えるが撃ったら即消える。取りたければ乱戦になって銃やエスパービームを連打してしまわないように気を付けなければならない。 --また、回復するHPやEPのカプセルは、残量が少ないほど出やすいはずなのだが、それでも出ない時は全く出ない。EP0でも、何十分戦っても1つも出ないこともある。 -ゲームバランスの偏り --狭い戦闘エリアなのに、敵が複数でいきなり囲むように出現することがある。こうなると、たとえ超能力を使ったとしても、無傷での勝利はほぼ不可能になり、理不尽。 --上位の防具や実用的な超能力を入手すると格段に強くなるバランス設定。このゲームが難しいと言われる要因の一つであろうと思われる。容量の少ないディスクシステムのせいか、武器や防具の種類が少ないのも一端であろう(最初に村長からもらえる物も含めて武器は3種類、防具は5種類しかない)。 --敵は足跡の形のシンボルで表示されるが、特定の位置から全く動かない、固定タイプの敵がいる。これらはたいてい細い道を塞ぐように止まっているため、ほとんどの場合、倒さずによけて進むことは不可能。後半のダンジョンほど固定タイプの数も増えるので、面倒。 ---ワールド3では、村の外が固定敵3つに囲まれているので、嫌でもどれか1つ倒さないと出られない。せっかく宿屋で回復しても、村から出るだけで消耗させられる、なんて理不尽なことにも…。 ---固定敵はたとえバトルから逃げても倒すまでフィールドから消滅しないため、逃げて進むことも不可能。 --終盤まともに敵とやり合うならワールド5のダンジョンに落ちている「バリアスーツ」が必須。例えばレベル20で店売り最強の防具「チタンスーツ」装備時の防御力が60、「ナイト」という敵の体当たりで100以上ダメージを受けるが、バリアスーツを取ると防御力が''195''に跳ね上がり、「ナイト」からのダメージが1以下になるという極端ぶり。 --武器も同様で、最強の「ロケット砲」でさえ4面以降では威力不足が目立って来るため、必然的に「エスパーブック」でパワーアップしたエスパービームが主力となる。しかし、2個目のエスパーブックは高難度なワールド5のダンジョンにあるため取りに行くのも一苦労である。 -場所によってはフィールドにトゲトラップがあるのだが、ワールド2では&bold(){全てのダンジョンの入口がトゲで囲まれている}。嫌でも通らなければならないうえに、そこで敵と遭遇すると、バトルフィールドが全面トゲだらけになる。トゲはバリアでも無効化できないので、地獄。場所によってはトゲトラップの上に回避不能の固定敵がいることもあり、シャレにもならない。さらに、ワールド3では、ボス戦のバトルフィールドが全面トゲだらけ。 --ワールド3にはこちらのHPを吸収する敵がいるのだが…この手の敵だと、普通は「取りつかれたら吸収される」と思いがちだが、こいつは取りつかれなくても&bold(){一定距離に近づかれただけで吸収される}。しかも一度に出現する数が多いため、無傷で勝つのは不可能に近い。加えて、あるアイテムが無いと姿が見えないという極悪さ。 -稼ぎが大変。 --最初の村から、武器防具はいきなり4桁。最低が1000G。なのに敵から得られる金額は、多くても1匹でせいぜい20~30G。安いと1桁。しかも、敵を倒してもサイフを落とさないとお金が増えないので、やたら効率が悪い。ダンジョン内で落ちているサイフを取っても、全然足りない。 ---宿屋も最初の村からいきなり100Gと、かなり高額。 --経験値も、最初のレベルアップまでがいきなり100。敵から得られる経験値は多くてせいぜい10ちょいなので、これもお金ほどではないが、効率は悪い。 -アイテム周りのシステムが不親切 --武器や防具はアイテム欄に専用の枠があって、入手した瞬間にそこに納まる仕様なので一つしか持てず、新しいのを入手したら前のは消えてなくなる。しかし買う時に店員は何も言わず、売る事も出来ないので、間違えて今より弱い物を買ったらパワーダウンした上にその分のごーるどが丸損になる。もちろん買い直すにもまたごーるどを貯めないといけない。 --超能力も同じ物を複数買えるが、効果がアップするなどの恩恵は全くない。&bold(){本当に無駄金を使っただけになる}。 --同様にトリプルボックスを持っている時にツインボックスを取ると3連→2連にパワーダウンしてしまう。 --エスパーブックとツイン(トリプル)ボックスはアイテム欄に表示されない。バトルモード中に1発撃てば弾の形状で分かるが、サブ画面では全く分からないのはやはり不親切と言わざるを得ない。 ---ちなみにアイテムは入手した瞬間、あるいは発動条件になった瞬間に効果を自動で発揮する物ばかりで、任意で使用出来る物は無い。 -村でのイベント配分の不均衡さ --ワールド2の村で既に最強の武器と防具、HPやEPが0になると自動回復するアイテムを売っていて、そこ以外の村では取り扱いが無い。ワールド4と5の村に至っては、わらしべイベントが一回あるだけで宿屋すら無く、回復に利用することすらできない。 -タイムストップが強過ぎる --消費EPが80と控えめなのにボスにも効く。レベル17で覚えるがその前に買う事も出来る(超能力は買えるものが他にもあり、お金さえあればレベルアップで憶える前に入手することができる)。 --ダメージを与えられる程度のレベルやパワーアップがあれば、タイムストップ→エスパービーム数発→タイムストップの繰り返しでラスボスすら封殺してしまえる。 ---ラスボスは最強の防具「バリアスーツ」を着ていても大ダメージを与えてくるので、この手法か回復アイテム大量持ち込みでゴリ押しの二択になりかねない。 ---そのため終盤はバリアスーツを取るまではタイムストップが前提の難易度調整と言えるかも知れない。 -フラッシュが必要なさ過ぎる --修得レベル18で非売品なので必ず先にタイムストップを使えるようになる。消費EPも350と多すぎるのでタイムストップを4発使った方が効率が良い。 -他の超能力の使い勝手の悪さ。 --パワーリペアは1回で回復量300に対してEPを250も消費してしまうので、燃費がかなり悪く、あまり使えない。 --テレポートはいざという時の脱出には使えるが、村の行先はワールド1のレンガ村のみ。 --バリアは敵の体当たりや弾は防げるが、&bold(){超能力に対しては全くの無力}。また、トゲトラップも防げない(バトルフィールドがトゲになった場合)。 **賛否両論点 -ロードが長め&多め --ワールド移動でロード、村に出入りでロード、ボス戦前にもロード。A面に各村、B面に各ワールドのデータが入っているので入れ替えも多くなる。 --こればっかりはディスクシステムの宿命なのでどうしようもない。ただこれでも当時のディスクのゲームとしてはそんなに長くない部類に入ると思われる。 ---当時はPC98やMSXなどのフロッピーディスク媒体が現役で、それ以前のカセットテープ媒体((事ある毎に数分のロードや、ゲームが始まるまで30分かかるような物もあった。ロードが済んでも画面描写にも時間がかかっていた。))を経験していた世代もいたので、この程度のローディングなら特に問題とは思わない人も多い時代だった。 ---当然ながらVC版ではロードは数秒で済み、入れ替えもない。 -全体的にスピードがまったり --どのモードでも主人公の移動速度は一定でゆっくり歩く感じのスピードのため、フィールドや村をあちこち歩き回るのが少々辛いと感じる人も。会話のメッセージもゆっくりでスキップも出来ない。曲もレパートリーが少なく、同じフィールドにいるとループし続けるため、段々作業感が出てきて眠くなってくる事もありがちではある。ザコを倒した後毎回脱出しなければならないのも次第に面倒になってくる恐れも。 --フィールドはそれ程広大でもなく、本作の雰囲気にはこの程度が合っているという感想もある。 -バランスブレイカーな裏技・バグの存在 #region(バグ技は一応ネタバレ隠し) バグ利用でEPをオーバーフローさせて9000以上にする(EPを0からMAXまで回復する「いのちのもと」が必要で、一定レベル以下でしか出来ないという条件があり、宿屋に泊ったりEPカプセルを拾うと上限値に戻ってしまう)、同じくバグ利用で特定の場所で数万単位のごーるどを何度でも入手出来る(稼ぎ過ぎて100万を超えると0に戻る)という裏技がある。 #endregion -超能力が使えるようになってからセレクトボタンを連打すると、アドベンチャーモードで自分は動けるが移動する足跡の動きを止める事が出来る。これにより動く足跡とのエンカウントを徹底的に避ける事が出来る。 --しかし、通路を塞ぐために配置されている元から動かない足跡には無力で、最低限それらとは戦う必要があるため万能ではない。 --バトルモードで敵がタイムストップを使った際に、セレクト連打でタイムストップの効果をあっという間に消化させる事も出来る。逆にダメージを受けている時にセレクト連打をすると連続でダメージを受ける。[[ロックマン]]でのイエローデビルの簡単攻略法に似ている。 ---なおセレクト連打技は当時紹介されていた。 -これらの裏技を駆使すればゴリ押しが可能になり、強力なアイテムを先に揃えたり、その勢いに乗って最初にラスボスのギーラ・サウザンを倒すのも可能になる。 --ただしこれらの技で進行不能になるわけではなく、狙って行う必要があるチート方面の技なので普通にプレイしたい人は使わなければそれで済む問題ではある。 --それにボスを倒してもミラクルカプセル以外に入手するものは無く、5つ集めるのがクリア条件なので、先に強いボスを倒しても進行上何もメリットはない。 -バグ技が知れ渡ったのはネットが普及してから、更に言えばRTAが盛んに行われる時代になったからのようで、当時情報を拡散する唯一の手段と言えるゲーム雑誌でも紹介されていなかったようなので、このバグ技を知る人はあまりいなかった。 --RTA勢からすれば「これくらいの事が出来ないとやっても面白くない」という意見もあったという。 ---- **総評 ディスクシステム専用で長年移植もされなかったため比較的マイナーなゲームであり、システム面やバランス面で少々難はあるが、ゲームを遊ぶ上では気にしなくても済む程度であり、全体的には丁寧に纏まった仕上がりで気軽に楽しめる。~ メルヘンチックな雰囲気、印象に残る曲など、ゲームに詳しくない人にも勧めやすく、プレイした人には概ね良いイメージが残っているようである。~ VC3機種(Wii、3DS、WiiU)の全てに配信されていたり、1992年に1と2のカップリング版、2014年にモバイル版も収録したCDが発売されたのも根強い人気の証左であると言えるだろう。 ---- **移植・続編 -本作はWiiのVCより先に、コナミのモバイル向けサービス「コナミネットDX」で2007年に配信されていた(現在はサービス終了している)。 --携帯電話で操作しやすくするためか、オート連射機能が追加されていた。 -[[エスパードリーム2 新たなる戦い]](コナミ)1992年6月26日発売 --続編のファミコン用ソフト。ロムカセットでVRC VI搭載。~ 残念ながら他機種への移植やVCなどでの配信は行われていない。 **余談 -[[Wii版VCの本作紹介ページ>https://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ed/vc_ed_01.html]]で''「隠れた名作RPG」''と紹介されている。 -レベル1から4になるまでの必要経験値はそれぞれ100。序盤だけとは言え珍しい仕様である。 -ワールド2のある場所に行くと「コナミマン」が上空を通過していき、HPとEPが全回復する裏技がある。 -村人のセリフで''『みんなで よもう 「なんだ」』''というのがあるが、これは当時コナミが発行していた『月刊Nan?da』という情報誌の事である。カルチャーやファッションを中心に特集していて、コナミのゲームの記事も少しだけあった。 --他にもある宿屋に泊ると''「573号室へどうぞ」''と言われたり、村人から''「まいきー も おうえんしているよ!」''と激励されたりと分かる人には分かる小ネタが所々にある。
*エスパードリーム 【えすぱーどりーむ】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B00F5USMUK)| |対応機種|ファミリーコンピュータ ディスクシステム|~| |発売・開発元|コナミ|~| |発売日&br()()は書換開始日|1987年2月20日(1987年4月20日)|~| |定価|2,980円|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)((バーチャルコンソールでの判定))|~| |配信|バーチャルコンソール&br;【Wii】2007年10月2日/617Wiiポイント&br;【3DS】2013年7月10日&br;【WiiU】2015年7月22日/上記共に514円(税込)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|任天堂公認の「隠れた名作」&br()バーチャルコンソール皆勤賞|~| |>|>|CENTER:''エスパードリームシリーズ'' - ''1'' / [[2>エスパードリーム2 新たなる戦い]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 コナミのファミコンディスクシステム用ゲーム4作目。超能力を持つ少年がおとぎの国のような世界を邪悪な一族から救うために戦う。穏やかでメルヘンチックな世界観と山下絹代作曲のBGMがマッチしていて印象深い。 **ストーリー >ある平和な村を手に入れようとしている邪悪な一族「ナルシス族」によって、村長の娘のアリスが攫われてしまった。&br()族長のギーラ・サウザンはアリスと引き換えに村を明け渡すことを要求。困った村長が村一番の物知りであるスコットおじさんに相談したところ、&br()「この世界から時間と宇宙を超越した世界に一人の少年がいる。その少年は超能力を持っており、きっとアリスを助けてくれるだろう」と答えた。&br()村長は早速アリスの妹であるロッティを使いに出した。もうすぐロッティが君の前に現れるだろう。そう、君こそが世界にたった一人の超能力を持った少年なのだ。 **システム -最初に名前を登録してセーブデータを作る。村人たちからは以後その名前で呼ばれる((セーブデータの横に現在のレベルが表示されているが、登録時は「0」で、ゲームを始めた時点で「1」になっている。))。セーブデータは3人分作れる。同じ名前のデータに上書きする方式なので、途中で違うセーブポイントに変えることは出来ない。 -ゲームは村の中やフィールド上のような、敵と接触していない状態の「アドベンチャーモード」と戦闘中の「バトルモード」で構成されている。5つのワールドとそれぞれにある5つの村を移動しながら冒険を進めていく。 -見下ろし型のフィールドを十字ボタンで4方向移動、スタートボタンでサブ画面、セレクトボタンで超能力の選択。&br()村ではAボタンで決定、Bボタンでキャンセル、一部の超能力使用。&br()バトルモードではAボタンで武器攻撃、Bボタンで超能力攻撃。 **ゲーム内容 -ゲームは「レンガ村」の村長の家の前からスタートする。村長の家ではスタート時に「ここはあなたの読んでいた本の世界」と聞かされる((ゲーム開始前のデモ画面でロッティは主人公が読んでいる本の中から現れる。))。そこでアリス救出の依頼と共に2つの秘宝と5つのミラクルカプセルを集めるように指示を受ける。 --村長の家はこのゲーム唯一のセーブポイントであり、HPが0になるとお金(単位は『ごーるど』)が半分になり、ツイン(トリプル)ボックスを持っていたら失った状態で村長の家の前に戻される。またレンガ村は5つのワールド全ての入り口がある事もあり、冒険の拠点となっている。 --村では会話で情報を得たり、アイテムを物々交換、ごーるどで買い物などが出来る。 --村から出て各ワールドのフィールド上にある動物の足跡に触ると画面が切り替わり、四方を壊せない壁に囲まれたバトルモードに突入するシンボルエンカウント方式。ワールド毎に出る敵の種類は決まっているが、敵の色によって多少強さが違う。 入手している武器や超能力で攻撃し全滅させると外壁のどこか一か所が開き、脱出すれば再びアドベンチャーモードに戻る。敵を倒すと経験値が貯まっていき、一定量になるとレベルアップする。 --足跡は動き回る物と所定の場所から動かない物がある。動かない足跡は通路を塞いでいたり、扉やダンジョンの入口の前などに配置されている事が多い。 --バトルモードの脱出口は最初から場所が決まっていて、戦闘中に武器で撃てば色が変わっていき、数発撃ちこめば出口が開くので敵を倒さなくても逃げる事が出来る。動かない足跡は逃げてもフィールドに戻ると残っているため先へ進みたければ倒すしかないが、敵の数はその都度一定範囲内で変わるので、少ない敵と戦いたい場合などは何度も入り直すのも有効。 --ダメージを受けるとHPが減り、超能力を使用するとEP(エスパーパワー)を消費する。体当たりでもわずかにダメージを与えているが、当然自分もダメージを受ける。レベルが上がっていれば、弱い敵なら体当たりでノーダメージで倒すことも可能。 --バトルモードの床は足跡と遭遇した場所に準拠するので、歩くとダメージを受けるトゲトゲの場所で敵に会えばバトルモードの床も一面トゲだらけになる。実はトゲのダメージは1固定で、敵の攻撃と重なった場合床ダメージが優先されやすいので、強敵とはここで戦った方がダメージが少ない場合もある。 --敵を倒すとたまに「さいふ」が出る。戦闘で手に入るのは青い財布だけだが、金額の多い赤い財布が落ちている場所もある。これを拾ってごーるどを貯めて、村での買い物に使う。HP全回復の「HPカプセル」、EP全回復の「EPカプセル」を落とすこともある。 --2つの秘宝を含むアイテムは各村の住民とわらしべ長者の様に物々交換で入手する。最初のアイテムはいずれもダンジョンに落ちている。 ---わらしべアイテムには最終的に換金用アイテムと交換する物もある。中には全く役に立たないダミーもあるので注意が必要(気を付けるように教えてくれる村人もいる。)。 --ミラクルカプセルはボスが1個ずつ持っている。つまり5人のボスを全て倒せば5つ手に入る。 --ボスを倒したらカプセルが現れるが、取らずに部屋から出るとボスが復活してしまう。逆に言えばカプセルを取らない限りボスとは何度でも戦えるが、ボスは倒しても経験値はもらえないので意味は無い。 --村人が「なぞのことば」を教えてくれる事がある(セリフの中で「」で囲われている言葉がそれに当たる)。これは「2つの秘宝」に関するヒント。断片的だがメモをして全体的に見れば難しくはない。 --と言うかアリスを救出したら(厳密に言えばワールド4のボスを含むミラクルカプセルを4つ以上入手したら)もらえる「アリスのネックレス」があれば、物知りおじさんが正解をズバリ教えてくれるので覚えておかなくても大丈夫である。 **超能力 -モードの記号:A=アドベンチャーモードのみ、B=バトルモードのみ、C=どちらでも使える。 -レベルアップで覚えるが、お店で買えるものもある。 #region(一覧表) |名前|モード|修得レベル|消費EP|値段|効果| |エスパービーム|B|4|5|300|沢山の粒上のビームが回転しながら飛んでいく&br()エスパーブックで威力アップ、ツイン(トリプル)ボックスで2連(3連)になる| |エスパーライト|A|7|30|350|ダンジョン内の真っ暗なフィールドを明るく照らして見えるようにする| |テレポート|A|10|50|非売品|一瞬でダンジョン内からフィールドへ、フィールドからレンガ村へ移動する| |バリア|B|13|80|非売品|一定時間ダメージを受けなくなる。バトル時のみ| |パワーリペア|C|14|250|6000|HPを一定量回復する| |タイムストップ|B|17|80|4000|一定時間敵の動きを止める| |フラッシュ|B|18|350|非売品|画面上の全ての敵にダメージを与える| #endregion ---- **評価点 -適度な難易度 --本作は難しいと言う人もよく見かけるが、アクションゲームのノリで武器メインで突っ走りがちに進めるのではなく、RPGと捉えてしっかりレベル上げと装備固めを進めていけば終盤までそれほど苦戦することはない。特にエスパービームの強化と強い防具を入手するのが重要で、そこを優先すればかなり楽になる。戦闘中の回復カプセル類は割と出やすく(あくまでランダムなので、ピンチの時に出なかったり、同時に複数出たりするが)、HP回復やレンガ村へ帰還する超能力もあるので、無理しなければやられにくい。 ---ただし、最終のワールド5はそれまでと比較にならない程に敵が強いため、それまでの最強装備で身を固めていても非常に厳しい難易度。そこにある「バリアスーツ」か2個目の「エスパーブック」を取るまでが難関である。 -本の中の世界という設定に拘った雰囲気 --助けるのはお姫様ではなく村長の娘、村の一大事だと言うのにあまり危機感のない村人たち、ワールド1の「ジャイアントハウス」に置いてあるのは巨大な積み木やパンや鍋、敵のアイコンは可愛らしい動物の足跡など、どこか牧歌的でほんわかとした雰囲気を醸し出している。 --邪悪な一族なのに村を乗っ取ろうとする手段が村長の娘の誘拐というのも、血なまぐさい手段に訴えかけない絵本的展開である。 -多彩な敵キャラ --各ワールドにはワールド固有種が3種類(ワールド5だけ5種類)とステージ共通の敵2種類がいて、全てが固有の攻撃方法を持っている。ワールドが進むごとにどんどん苛烈になっていき、気が抜けない。 -ゲームの雰囲気ととてもマッチした曲 --このゲームを語る上で外せない要素と言える。特にメインBGM『エスパードリームなのさ』が名曲として評価が高い。 --作曲者は当時コナミに在籍していた山下絹代氏。FC版[[悪魔城ドラキュラ]]や[[メダロットシリーズ]]なども手掛けている。 -ある程度高い自由度 --最初に行くべきワールドは村長が教えてくれて、そのワールド内に次のワールドへの扉があるので、それを辿って行くのが正規ルートである。しかしこの順番通りに進めなくてもクリアは可能である。 --村長から指示された二つの目的は同時進行で行う必要は無く、むしろミラクルカプセルを5つ集めれば(つまり5人のボスを全て倒せば)全ての敵が出現しなくなるのでその後ゆっくり秘宝を探してもいい。先のワールドに自由に行けるので、自分が十分強くなるまでボスを無視し続けてもいいし、倒せるならどのボスから倒しても問題ない。 --一方、ワールド毎の敵の強さが段階的になっていて、想定順を飛ばして先のワールドに行くと急激に敵が強くなっており、レベル不足だとあっという間にやられてしまう。強いアイテム類を先に入手しようとしても、動かない足跡があちこちにあって目的地に辿りつくのも難しい。((後述の裏技を駆使すれば可能ではある。))先述したとおり、RPGとして段階を踏んでいけば大丈夫だが。 --当時のゲームで自由度という概念はまだ重要視されておらず、順番に攻略して行けばクリア出来るので気にする人は少なかったかも知れない。 **問題点 -武器の弾が当てにくい --主人公は左手に武器を持っていて、上や下を向くとちゃんと左手側から弾が出る。これが敵と向かい合った場合、正面からズレているため、敵が大きめのサイズでない限り弾が当たらない。ちゃんと意識して銃口のある位置を敵に向ける必要がある。その為多少のダメージ覚悟で位置をずらしたり、狙いやすい左右に回り込んだりする必要がある。 --しかし敵は素早く動き回ったり、停止せずひたすら上下左右に歩き続けたり、グングンこちらに向かって来たり、ワープしたり、弾と同じぐらい小さいのに飛び回ったりと、狙いを定めにくい敵が多い。結果、エスパービームで一掃がメインになる。 --尤も、武器と違ってエスパービームはアイテムでどんどん強くなり、トリプルボックスでの3連で敵を一掃する爽快感もあるのであくまでメインは超能力であり、武器はサブという位置づけなのは間違いない。 -バトルモードで出たアイテムは撃つと消える --一定時間でも消えるが撃ったら即消える。取りたければ乱戦になって銃やエスパービームを連打してしまわないように気を付けなければならない。 --また、回復するHPやEPのカプセルは、残量が少ないほど出やすいはずなのだが、それでも出ない時は全く出ない。EP0でも、何十分戦っても1つも出ないこともある。 -ゲームバランスの偏り --狭い戦闘エリアなのに、敵が複数でいきなり囲むように出現することがある。こうなると、たとえ超能力を使ったとしても、無傷での勝利はほぼ不可能になり、理不尽。 --上位の防具や実用的な超能力を入手すると格段に強くなるバランス設定。このゲームが難しいと言われる要因の一つであろうと思われる。容量の少ないディスクシステムのせいか、武器や防具の種類が少ないのも一端であろう(最初に村長からもらえる物も含めて武器は3種類、防具は5種類しかない)。 --敵は足跡の形のシンボルで表示されるが、特定の位置から全く動かない、固定タイプの敵がいる。これらはたいてい細い道を塞ぐように止まっているため、ほとんどの場合、倒さずによけて進むことは不可能。後半のダンジョンほど固定タイプの数も増えるので、面倒。 ---ワールド3では、村の外が固定敵3つに囲まれているので、嫌でもどれか1つ倒さないと出られない。せっかく宿屋で回復しても、村から出るだけで消耗させられる、なんて理不尽なことにも…。 ---固定敵はたとえバトルから逃げても倒すまでフィールドから消滅しないため、逃げて進むことも不可能。 --終盤まともに敵とやり合うならワールド5のダンジョンに落ちている「バリアスーツ」が必須。例えばレベル20で店売り最強の防具「チタンスーツ」装備時の防御力が60、「ナイト」という敵の体当たりで100以上ダメージを受けるが、バリアスーツを取ると防御力が''195''に跳ね上がり、「ナイト」からのダメージが1以下になるという極端ぶり。 --武器も同様で、最強の「ロケット砲」でさえ4面以降では威力不足が目立って来るため、必然的に「エスパーブック」でパワーアップしたエスパービームが主力となる。しかし、2個目のエスパーブックは高難度なワールド5のダンジョンにあるため取りに行くのも一苦労である。 -場所によってはフィールドにトゲトラップがあるのだが、ワールド2では&bold(){全てのダンジョンの入口がトゲで囲まれている}。嫌でも通らなければならないうえに、そこで敵と遭遇すると、バトルフィールドが全面トゲだらけになる。トゲはバリアでも無効化できないので、地獄。場所によってはトゲトラップの上に回避不能の固定敵がいることもあり、シャレにもならない。さらに、ワールド3では、ボス戦のバトルフィールドが全面トゲだらけ。 --ワールド3にはこちらのHPを吸収する敵がいるのだが…この手の敵だと、普通は「取りつかれたら吸収される」と思いがちだが、こいつは取りつかれなくても&bold(){一定距離に近づかれただけで吸収される}。しかも一度に出現する数が多いため、無傷で勝つのは不可能に近い。加えて、あるアイテムが無いと姿が見えないという極悪さ。 -稼ぎが大変。 --最初の村から、武器防具はいきなり4桁。最低が1000G。なのに敵から得られる金額は、多くても1匹でせいぜい20~30G。安いと1桁。しかも、敵を倒してもサイフを落とさないとお金が増えないので、やたら効率が悪い。ダンジョン内で落ちているサイフを取っても、全然足りない。 ---宿屋も最初の村からいきなり100Gと、かなり高額。 --経験値も、最初のレベルアップまでがいきなり100。敵から得られる経験値は多くてせいぜい10ちょいなので、これもお金ほどではないが、効率は悪い。 -アイテム周りのシステムが不親切 --武器や防具はアイテム欄に専用の枠があって、入手した瞬間にそこに納まる仕様なので一つしか持てず、新しいのを入手したら前のは消えてなくなる。しかし買う時に店員は何も言わず、売る事も出来ないので、間違えて今より弱い物を買ったらパワーダウンした上にその分のごーるどが丸損になる。もちろん買い直すにもまたごーるどを貯めないといけない。 --超能力も同じ物を複数買えるが、効果がアップするなどの恩恵は全くない。&bold(){本当に無駄金を使っただけになる}。 --同様にトリプルボックスを持っている時にツインボックスを取ると3連→2連にパワーダウンしてしまう。 --エスパーブックとツイン(トリプル)ボックスはアイテム欄に表示されない。バトルモード中に1発撃てば弾の形状で分かるが、サブ画面では全く分からないのはやはり不親切と言わざるを得ない。 ---ちなみにアイテムは入手した瞬間、あるいは発動条件になった瞬間に効果を自動で発揮する物ばかりで、任意で使用出来る物は無い。 -村でのイベント配分の不均衡さ --ワールド2の村で既に最強の武器と防具、HPやEPが0になると自動回復するアイテムを売っていて、そこ以外の村では取り扱いが無い。ワールド4と5の村に至っては、わらしべイベントが一回あるだけで宿屋すら無く、回復に利用することすらできない。 -タイムストップが強過ぎる --消費EPが80と控えめなのにボスにも効く。レベル17で覚えるがその前に買う事も出来る(超能力は買えるものが他にもあり、お金さえあればレベルアップで憶える前に入手することができる)。 --ダメージを与えられる程度のレベルやパワーアップがあれば、タイムストップ→エスパービーム数発→タイムストップの繰り返しでラスボスすら封殺してしまえる。 ---ラスボスは最強の防具「バリアスーツ」を着ていても大ダメージを与えてくるので、この手法か回復アイテム大量持ち込みでゴリ押しの二択になりかねない。 ---そのため終盤はバリアスーツを取るまではタイムストップが前提の難易度調整と言えるかも知れない。 -フラッシュが必要なさ過ぎる --修得レベル18で非売品なので必ず先にタイムストップを使えるようになる。消費EPも350と多すぎるのでタイムストップを4発使った方が効率が良い。 --ダメージソースとしても貫通弾が螺旋状に飛び多段ヒットするエスパービームの方が遥かに強力。 -他の超能力の使い勝手の悪さ。 --パワーリペアは1回で回復量300に対してEPを250も消費してしまうので、燃費がかなり悪く、あまり使えない。 --テレポートはいざという時の脱出には使えるが、村の行先はワールド1のレンガ村のみ。 --バリアは敵の体当たりや弾は防げるが、&bold(){超能力に対しては全くの無力}。また、トゲトラップも防げない(バトルフィールドがトゲになった場合)。 **賛否両論点 -ロードが長め&多め --ワールド移動でロード、村に出入りでロード、ボス戦前にもロード。A面に各村、B面に各ワールドのデータが入っているので入れ替えも多くなる。 --こればっかりはディスクシステムの宿命なのでどうしようもない。ただこれでも当時のディスクのゲームとしてはそんなに長くない部類に入ると思われる。 ---当時はPC98やMSXなどのフロッピーディスク媒体が現役で、それ以前のカセットテープ媒体((事ある毎に数分のロードや、ゲームが始まるまで30分かかるような物もあった。ロードが済んでも画面描写にも時間がかかっていた。))を経験していた世代もいたので、この程度のローディングなら特に問題とは思わない人も多い時代だった。 ---当然ながらVC版ではロードは数秒で済み、入れ替えもない。 -全体的にスピードがまったり --どのモードでも主人公の移動速度は一定でゆっくり歩く感じのスピードのため、フィールドや村をあちこち歩き回るのが少々辛いと感じる人も。会話のメッセージもゆっくりでスキップも出来ない。曲もレパートリーが少なく、同じフィールドにいるとループし続けるため、段々作業感が出てきて眠くなってくる事もありがちではある。ザコを倒した後毎回脱出しなければならないのも次第に面倒になってくる恐れも。 --フィールドはそれ程広大でもなく、本作の雰囲気にはこの程度が合っているという感想もある。 -バランスブレイカーな裏技・バグの存在 #region(バグ技は一応ネタバレ隠し) バグ利用でEPをオーバーフローさせて9000以上にする(EPを0からMAXまで回復する「いのちのもと」が必要で、一定レベル以下でしか出来ないという条件があり、宿屋に泊ったりEPカプセルを拾うと上限値に戻ってしまう)、同じくバグ利用で特定の場所で数万単位のごーるどを何度でも入手出来る(稼ぎ過ぎて100万を超えると0に戻る)という裏技がある。 #endregion -超能力が使えるようになってからセレクトボタンを連打すると、アドベンチャーモードで自分は動けるが移動する足跡の動きを止める事が出来る。これにより動く足跡とのエンカウントを徹底的に避ける事が出来る。 --しかし、通路を塞ぐために配置されている元から動かない足跡には無力で、最低限それらとは戦う必要があるため万能ではない。 --バトルモードで敵がタイムストップを使った際に、セレクト連打でタイムストップの効果をあっという間に消化させる事も出来る。逆にダメージを受けている時にセレクト連打をすると連続でダメージを受ける。[[ロックマン]]でのイエローデビルの簡単攻略法に似ている。 ---なおセレクト連打技は当時紹介されていた。 -これらの裏技を駆使すればゴリ押しが可能になり、強力なアイテムを先に揃えたり、その勢いに乗って最初にラスボスのギーラ・サウザンを倒すのも可能になる。 --ただしこれらの技で進行不能になるわけではなく、狙って行う必要があるチート方面の技なので普通にプレイしたい人は使わなければそれで済む問題ではある。 --それにボスを倒してもミラクルカプセル以外に入手するものは無く、5つ集めるのがクリア条件なので、先に強いボスを倒しても進行上何もメリットはない。 -バグ技が知れ渡ったのはネットが普及してから、更に言えばRTAが盛んに行われる時代になったからのようで、当時情報を拡散する唯一の手段と言えるゲーム雑誌でも紹介されていなかったようなので、このバグ技を知る人はあまりいなかった。 --RTA勢からすれば「これくらいの事が出来ないとやっても面白くない」という意見もあったという。 ---- **総評 ディスクシステム専用で長年移植もされなかったため比較的マイナーなゲームであり、システム面やバランス面で少々難はあるが、ゲームを遊ぶ上では気にしなくても済む程度であり、全体的には丁寧に纏まった仕上がりで気軽に楽しめる。~ メルヘンチックな雰囲気、印象に残る曲など、ゲームに詳しくない人にも勧めやすく、プレイした人には概ね良いイメージが残っているようである。~ VC3機種(Wii、3DS、WiiU)の全てに配信されていたり、1992年に1と2のカップリング版、2014年にモバイル版も収録したCDが発売されたのも根強い人気の証左であると言えるだろう。 ---- **移植・続編 -本作はWiiのVCより先に、コナミのモバイル向けサービス「コナミネットDX」で2007年に配信されていた(現在はサービス終了している)。 --携帯電話で操作しやすくするためか、オート連射機能が追加されていた。 -[[エスパードリーム2 新たなる戦い]](コナミ)1992年6月26日発売 --続編のファミコン用ソフト。ロムカセットでVRC VI搭載。~ 残念ながら他機種への移植やVCなどでの配信は行われていない。 **余談 -[[Wii版VCの本作紹介ページ>https://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_ed/vc_ed_01.html]]で''「隠れた名作RPG」''と紹介されている。 -レベル1から4になるまでの必要経験値はそれぞれ100。序盤だけとは言え珍しい仕様である。 -ワールド2のある場所に行くと「コナミマン」が上空を通過していき、HPとEPが全回復する裏技がある。 -村人のセリフで''『みんなで よもう 「なんだ」』''というのがあるが、これは当時コナミが発行していた『月刊Nan?da』という情報誌の事である。カルチャーやファッションを中心に特集していて、コナミのゲームの記事も少しだけあった。 --他にもある宿屋に泊ると''「573号室へどうぞ」''と言われたり、村人から''「まいきー も おうえんしているよ!」''と激励されたりと分かる人には分かる小ネタが所々にある。

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