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「[[判定不一致修正依頼]]」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。 *聖剣伝説2 SECRET of MANA 【せいけんでんせつつー しーくれっとおぶまな】 |ジャンル|>|アクションRPG|CENTER:&amazon(B074ZBGNSG)&amazon(B074ZB35QM)| |対応機種|>|プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ&br;Windows(Steam)|~| |発売元|>|スクウェア・エニックス|~| |開発元|プログラム|キュースタジオ(Q Studios)|~| |~|音響・サポート|Formosa Interactive|~| |発売日|>|2018年2月15日|~| |定価(税込)|PKG/DL版|5,184円|~| |~|コレクターズ&br;エディション|14,979円|~| |プレイ人数|>|1~3人&br;オフラインマルチプレイ対応&br;PSV版はアドホックプレイ対応|~| |レーティング|>|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|修正前|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |~|~|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |~|~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |~|Ver1.03以降|BGCOLOR(paleturquoise):''改善''|~| |~|~|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |ポイント|>|玉石混淆が激しいアレンジ楽曲&br;シナリオの再現度は高い(というかそのまま)&br;システムの不便さや''バグの多さ''まで再現&br;現在ではアップデートによりバグは解消済み|~| //ポイントと言うには長ったらしくなっていたため整頓しました |>|>|>|CENTER:''[[聖剣伝説シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 言わずとしれたスーパーファミコンの名作『[[聖剣伝説2]]』(SFC版は以降「オリジナル」と記載)が約25年の時を経て最新機種に3Dリメイクされた作品。~ 副題の「SECRET of MANA」は海外でのタイトルに由来すると共に、『[[聖剣伝説 LEGEND OF MANA]]』から続く「●● of MANA」シリーズに紐づけたものである。 発売前の(主にビジュアルなど)クオリティから、当初はあまり話題も期待もされていなかったが、発売後に悪い意味で前評判以上の話題になってしまった。 ---- **ゲームシステム(変更点) 基本システムはオリジナルにほぼ準ずるが、変更された部分について記載する。 -グラフィックの3D化 --原作は2Dドットだったが、今作では3DCGになっている。 -BGMのアレンジ --オリジナル版も収録されており、オプションから切替可能。 -SEの変更 --必殺技のタメ、ボス撃破時の閃光部分などはオリジナルと同じ。 -『[[聖剣伝説4]]』以来のフルボイス化 --主役の3人は当然ながら、重要なサブキャラクターだけでなく、町のモブキャラにまで全て余さず声がついている。 --帝国の皇帝やタナトスには非常に渋い声優を採用しており、人によっては印象が変わったかもしれない。 -幕間エピソード --シナリオの進行具合により、宿屋で休憩した際に3人の会話シーンが発生する。こちらもフルボイスで、ポリゴンキャラが話の展開で様々なアクションを取る。 --この新規シナリオは「シナリオ工房 月光」のライター2名が担当している。 --主人公たちの名前がデフォルトでない場合、音声の該当部分に効果音が被せられる((「期待しておるぞ。テテテテッ(スクエニ)よ!」など。))。 -ダッシュ機能 --オリジナルではゲージ100%を使ってほぼ一直線に走る(道なりに沿って蛇行は可能だった)ダッシュだったが、本作ではゲージを徐々に消費しながら速度だけが上昇となった。ダッシュを止めると、ゲージが攻撃後よりも速く回復するという差別化もはかられた。 -敵グラフィック --オリジナルから、カラーが変更されたものが一部存在する。 -イベントシーンの演出 --見せ場のシーンではムービー風味の演出でイベントを再現している。スキップ可能。 -味方の挙動 --『[[聖剣伝説3]]』同様、味方が障害物に引っかかっても先に進めるようになった。 -所持アイテム個数の上限 --オリジナルの4個に加え、8個、12個から設定可能。この機能により実質難易度の変更が可能。 -武器装備 --武器レベルを確認する画面から装備の変更が可能。レベル上げを意識する場合、むしろこちらを利用するほうが都合がいい。 -図鑑機能 --ラスボスを除いた、すべての敵を網羅した図鑑機能が新規に実装。 --図鑑には人物・モンスター・武器の3種類が存在する。 -フラミーの使い勝手 --降りられる場所の範囲内だとその地名が表示されるようになり、迷うことが減った。 --ただし、『3』であったフラミーの移動中に現在地・目的地を確認できるサブマップは存在しない。 //--ただし、フラミーの移動中に現在地などを確認できるサブマップが存在しない。この影響で本作で作品に初めて触れる新規プレイヤー飛行地点や目的地がわかり難くなっている点が難あり。 //---ただし、オリジナルをプレイ済のプレイヤーは良いが、本作で初めて聖剣伝説2に触れたプレイヤーにとってはフラミーの移動中に現在地などを確認出来るマップがないため、どこを飛んでいるのか、どこに行けば良いのかが訳が分からなくなってしまい易い。 //流石にフラミーの移動中にマップがないのはいくら何でも…と思うのだが、問題点で独立させるほどでもないし、でもここだと趣旨的にズレる…どうするのが良いんだろう。 //ちょっと表現を変えてみた。 //プレイ経験があるからどうこうという問題ではないと思うので修正してみた。小さな改善点ではあるがむしろ不満の残るものなのでゲームシステムの方に移行する -UIの変更 --画面右上にミニマップが追加。 ---オリジナル版のドット絵マップを流用したものだが、ドット絵と3Dを見比べながらプレイが可能。 ---オプションからON/OFFを切り替えられる。 --画面下のキャラステータスに現在HPと現在MPが数値とゲージで表示されるようになった。 ---ただしHP・MPの最大値は表示されない。どれだけHPが減っているかはゲージで確認することになる。 ---オリジナル版は 現在HP/最大HP を数値のみで表示していた。 --画面下のキャラステータスの並びが、操作キャラが常に中心に来るようになり、操作キャラのみ装備中の武器も表示されるようになった。 ---オリジナル版は左からランディ・プリム・ポポイで固定。 -オートセーブ機能 --マップを切り替えるたびにオートセーブが行われる。 --ただし「オートセーブ専用」のセーブスロットに記録される。正式な手動セーブはオリジナル版と同様、宿屋で行う必要がある。 -ショートカット機能(発売日のパッチで機能追加) --L1R1にて武器、魔法、アイテムの内好きなものをそれぞれ登録可能。 -コスチューム変更(限定要素) --特典によりゲーム中のコスチュームを着替えることが出来る。 --コスチュームはゲーム内で入手できるものはない。 ---- **問題点(劣化点含む) -発売当初はバグが非常に多く(後述)、普通にプレイするにしても支障が出るレベルであった。 --そもそも公式より発売日時点でエラー改善アップデートの配信が告知されており、PS4/PSV版のパッケージには赤文字で「&color(red){本ソフトの一部機能を追加するためにはアップデートが必要となります。アップデートにはインターネット接続環境が必要です。}」と堂々と書かれていた。 --本格的なバグ改善のパッチは発売翌月の2018年3月に入って配布され、キャラ消失・突然の暗転等の進行そのものが不能になるバグは抑えられた。~ しかしアプリケーションエラーによる強制終了は依然として頻発していたため、ユーザーはストレスを抱えていた。 --パッチ配布以降、再度のアップデートを匂わせる記述はあり、Win版では日々何らかの修正が行われていた模様((steamdbによればほぼ同時期に配信されたSteam版クロノ・トリガーも同様の状況が続いている。))。~ しかし長らくパッチ配信にまでは行き着いておらず、ユーザーへのアナウンスも無いため何を修正しているのかも不明だった。~ 更にPS4/PSV版は公式が沈黙してしまっていたため、ユーザーからは諦めたのではないかという姿勢も見られていた。 --そして''発売4ヶ月後の2018年6月末になって、ようやく二度目の大型アップデートが行われた。''~ このアップデートにより、それまで列挙されていたバグは概ね改善、問題視されていたエラーによる強制終了はほぼ発生しなくなった。~ 不便と言われていたユーザーインターフェース等も大方改善されていたりと、ひとまず商品として失格と言われるレベルではなくなった。 #region(該当アップデート前に存在していたバグや不親切な要素) -オリジナル以上に多かったバグ(現在はアップデートにより解消済み) --''本作が劣化移植と云われてしまった最大の原因。''主に発生するのは「違う魔法が発生」「クリスタルが魔法で解除されない」「進行、イベントを問わず謎の空間に飛ばされて操作不可」「突然の画面暗転」「キャラ消失」「天使の聖杯(味方を蘇生させるアイテム)が機能しない、または生き返ったキャラのHPが0のまま」「敵に攻撃されても一切反撃をしないNPC」「NPCが敵出現予定座標を認識して無の空間相手に行動してしまう」「一部の必殺技の攻撃範囲や判定がおかしい」「亜人種に対する武器の弱点効果が機能していない」「補助魔法効果の反映が数分後」「魔法の効果が反転したままになる」「特定マップで会話が終わらない」「キャラの色変化が直らない」「階層すり抜け」「敵の動作が停止する」「敵を倒したのにいつまでも消えない」等など枚挙に暇がない。 --フリーズもバグに付随して発生するが、最も問題なのはアプリケーションエラーによる強制終了の頻度が非常に高いこと。幸いなことにマップ移動時のオートセーブ機能がデフォルトでONになっているので、セーブポイントからやり直し、という事態は避けられる。 --オリジナルでも見られた有名な「ボス戦後に閉じ込められる」というバグは''「ボス戦後にフリーズ」としてレベル%%アップ%%ダウンして帰ってきた。''しかも、セレクトボタンを押す必要なし。''その再現はいらないです。'' --幾つかの内容は再現だとしても近年のゲームで起こさせる挙動ではない。数世代前のハードの作品ですら目につく次元の話である。 -バグではなく原作再現なものもあるが、現代からすると不親切すぎる要素の数々 --一度リングコマンドを閉じた後、再度開くとカーソル位置が初期化されるため全く別のメニューを指定する。 ---例えば同じ魔法を連発しようとしても、ボタン連打では行えないので毎回手間がかかる。 ---パッチで大項目((例えば最後に使った魔法がアースクエイクなら、次回開くとノームにカーソルがフォーカスされている。))までは記憶するようになった。 ---6月のアップデートで小項目まで記憶するようになったものの、あまりにも遅い。 --防具装備の際のリングカーソルの初期位置が現在装備しているものとは違うものを指定しているため、煩わしい。 --魔法やアイテムの説明が抽象的だったり、装備を買うときの守備力の数値などが明記されていない(装備画面では確認可能)。 --セーブデータロード時のカーソルが最新のセーブデータではなく、必ずデータ1側に固定されている(原作では最新データに合っていた)。 #endregion -セーブ機能の劣化 --オリジナルでは4つあったスロットがなぜか2つに減っている。それとは別にオートセーブ枠はできたが。 --ストーリー分岐は序盤のわずかな場面だけでほぼ無いため、元々複数用意する必要はなかったが、家族で使い回すなど元々出来たことが出来なくなるのは劣化と捉えられることが多い。((PS4に関しては、本体に使用者ごとのユーザー登録が可能であり、セーブデータも個別に作成されるため問題にはならない。)) --宿屋に宿泊しないと手動セーブできなくなったことも細かな改悪点として挙げられる。宿泊しようとして金が足りないときと、ニキータの特別出張サービスなら無料でセーブできるため、尚更意味不明。 ---今すぐセーブしたいと思っていても、宿泊すれば幕間エピソードが流れだすため、ストレスになる。 ---オリジナルでは宿屋に宿泊しないことを選択しても、セーブを行うかどうか改めて選択肢が出現していた。 -リングコマンドの劣化 --SFC版ではキャラの位置に合わせてリングの位置も変わったのだが、今作では誰がどの位置にいようが常にリングが画面真ん中で展開されるため、どのキャラのリングが開いたかわかりにくい。 --一応カーソルが色分けされているのだが、誰がどのカラーなのか一目で判断するのは容易ではない。パッチにてキャラアイコンが出るようになり、改善された。 ---これはNPCが画面外に出た状態で、キャラの位置でリングが開くと画面内に描画できなくなるための処置と思われる。 --元々リングコマンド自体、複数のキャラクターが縦横無尽に動き回るゲームで、誰のメニューかひと目でわかりやすくするためのものであったのにその理念が失われている。 -オリジナルそのままに不親切な表示 --敵・味方にかけた魔法の効果が切れると「○○は魔法が切れた」と表示されるが、どの魔法でも文章が統一されているため何の魔法が切れたのかがわかりづらい。 --これは一応オリジナルと同様なのだが、当時ならまだしも今どきそんな最低限の処理すら非搭載なのは非常に嘆かわしい。 -更なる魔法ゲー化 --各キャラの能力値はオリジナルから特に変更・調整をされていないため、魔法一辺倒で戦う方が楽なバトルなのは変わらず。~ 攻撃力と消費MP以外に大きな違いがない、という各攻撃魔法の性能もオリジナルと同じであり、差別化等もされていない。 --それに加え、今作では何故か''敵の回避率が妙に高くされている''ため、物理攻撃が中々当たらずオリジナル以上に不利になっている。~ これはよりにもよって分裂or増殖or援軍呼び系のモンスターが顕著で、魔法の使用回数が少ない序盤では殲滅が不可能な状況すらある。~ のけぞり中の敵へ更に攻撃をヒットさせる事ができない、という点もオリジナルと変化がないため、とにかく当たらない。 --これは恐らく、3対1の状況だと一方的に叩く戦闘になるため、それを見越して敵の回避率を上げたものと思われる。~ 実際にプレイしてみると分かるが、回避率の高い敵に3人で攻撃すると、概ね一人の攻撃が当たるバランスになっている。~ また、各必殺技も攻撃判定が複数回発生するものが多く、数回のうち1回でも当たれば大ダメージを与えられるようになっている。 --ただ、このバランス調整は些か極端なものであり、プレイヤーからすればサクサク進められずストレスを感じやすい。~ 魔法は必中なので、オリジナル以上に魔法一強に拍車が掛かり、同時に元々使いにくい必殺技の価値が更に下がってしまった。~ 本来なら物理と魔法のバランスを改善すべきところを、オリジナル以上に悪化させてしまったのは残念な点である。 --一応、「クイック」の魔法を使用する事でフォローは可能であり、その効果もオリジナル版より強化されている。~ しかしゲーム内の効果説明を見ただけでは分からない((説明には「仲間の回避率を上げて攻撃もはやめる」と記載されており、命中率に関する説明がない。ただし使用時に「〇〇の回避率アップ/〇〇の命中率アップ」と画面上にはっきり表示されるため、気付けない事はないはず。))上、それを加味しても必中とはならない。 --なお、当初はダメージ0もミスも「MISS」と表示されていたが、後のアップデートでこの区別がされるようになった。~ しかしあくまで表示が正されただけであり、命中・回避の根本的な調整はされていない。 -新要素の図鑑機能の中途半端さ --収集型の図鑑機能が追加されているのだが、ポリゴンモデルを見るだけで図鑑として物足りなさは否めない。 ---多少なりとも解説テキストのようなものがあれば楽しめたはずである。オリジナルに存在しなかった要素なので当時の思い出を壊さないように配慮したとも受け取れるが…。 せめてモンスターの行動パターンや武器の追加効果などを確認できるようにすれば利便性も高まったであろう。 ---モデルは横軸のみ回転可能で、縦方向には回転不可。拡大縮小も不可。様々な角度からじっくり鑑賞することはできない。 ---キャラクターや一部のモンスターのモデル自体は可愛らしい。武器は全体的に味気なく、剣や槍は形状や装飾を鑑賞できる分まだマシで、ムチに至ってはただ色を変えただけの同じモデルがずらりと並んでいる。 --またクリア後の引継ぎなどもないため、完成した図鑑をゆっくり眺める機会はラスボス戦中のみとなる。 ---これはモンスター図鑑の最後の項目がダークリッチ、武器図鑑の最後の一本がマナの剣であるために起こる。ダークリッチ戦後はそのままラスボス戦に突入し、マナの剣も(普通にゲームを進めていれば)ここで初めて手に入る。そしてラスボス戦後はEDに突入するためメニューを開く機会はない。 --さらに、図鑑で閲覧できるのは武器、モンスター、人物の3つ''のみ。''防具が含まれておらず、防具収集系のトロフィー(PS4/PSV)/実績(Steam)を狙う時に未入手の防具を確認できない。そして防具に関しては以下の問題点もある。 -図鑑埋め・トロフィー「全ての防具を入手」に時期限定品あり --終盤のダンジョン「マナの聖地」はクリアすると敵が出現しなくなり、ここにしか出現しないモンスターのドロップ限定防具が4つ存在する。 ---宝箱を出させても、レアドロップである防具はなかなか出ないため入手に時間がかかる。 ---入手せずクリア後にセーブしてしまったら取り返しが付かない。ラストダンジョン目前でありながらニューゲームするしかなくなる。 --オリジナルにもこの問題はあるが、販売品最強防具との防御力は僅差であり、図鑑やトロフィーの概念も存在しない時代だったので支障はなかった。 ---本作では入手の必要性が新たに出来たにもかかわらず「別のダンジョンにもドロップ該当モンスターを出現させる」「他のモンスターのドロップリストに限定防具を追加させる」等の配慮がなされていない。 -ボタン配置 --デフォルト設定ではなぜかオリジナルと異なる配置になっており、話しかける際には「×」を押すが、メッセージを送るには「○」を押す必要がある。 --混乱の元であり非常に紛らわしい。設定で変更可能なため、気になる場合は自分で修正できるのが幸いか。 -戦闘行動設定の縮小化 --オリジナルではかなり細かい設定が可能だったが、本作ではたった4種類の設定しかできなくなった上に、どれを選んでもあまり大差ない。 ---NPCがまともに攻撃してくれなくなるような作戦もあるため、実質機能するのはわずかである。 ---簡略化されたと考えればそこまで大きな問題ではないが、旧作ファンからすれば出来ていたことができなくなるというのは、劣化点にも等しいだろう。 -手抜きに見える演出面 --多くのイベントはオリジナル同様の俯瞰視点で進むのだが、各キャラの動きが非常に簡素。「建物や部屋の出入口付近から、何のエフェクトも無く一瞬で出現・退場する」「斜めではなく直角に移動する」「振り向き動作を挟まず瞬時に反転する」「主人公たちが同じ座標に集合し、ポリゴンが重なって滅茶苦茶になる」など、3Dには到底不似合いな演出をそのまま再現している。~ 忠実再現はリメイクにおける重要な方向性のひとつだが、本作では3D化との齟齬が大きすぎて浮いている。また、オリジナルを真似ただけで今一つな演出も目に付く。 ---一例として、大砲屋を利用するとき「大砲の裏に移動してパッと消える(入ったことにする)」という部分は同じだが、そこまでの自動移動速度が非常に遅くなっており、テンポを損ねている。その割に大砲内への移動と着火タイミングに間がなかったり、ふっ飛ばされたときの3Dマップを飛んでいく演出がカットされたりしている。マナの神殿の浮上演出なども原作を再現できていない。 ---攻略本によると、大砲演出はSFC独自の機能である「画像の拡大縮小機能」がPS4/PSV/Winで使えなかったため仕方なく再現を断念したとの事。3Dの場合、技術的に難しくロード時間も長くなってしまうため演出よりもテンポを優先した事も語っている。~ しかし拡縮や回転は今も現役で使われる原始的な演出手法であり、開発力の技術力不足、手抜きと受け取られても仕方ない。~ 「原作に忠実」をコンセプトとしているのだから端から再現を諦めたりせず、独自の技術開発による実現の努力をしてから最終的な判断を下すべきだろう。 --他にも「マナの祭壇で頭痛を訴えるポポイが、振り向きスライド移動(しかもノーモーション)で綺麗に着地する」「ワッツに話しかけた主人公たちが滑るように後ずさり、一瞬で待機モーションに切り替わる」「フラミーに乗り移るタイミングとSEの鳴るタイミングが明らかにずれている」など、不自然な部分を挙げればキリが無い。 ---- **賛否両論点 -全面3D化されたグラフィック --フルボイスでありながらキャラクターの瞼・口元の動きが乏しく、全体的なグラフィックレベルも決して高いとは言えない。~ 幕間エピソードやカットシーンが追加された都合から、今作ではキャラクターを間近で見る機会が多いため、人によってはかなり気になる。~ キャラクターのモデルは、サービスが終了したiOS/Android/PSV用ソフト『聖剣伝説 RISE of MANA』から流用したと思われる。 --とは言え、今作のイラストやSFC版のドット絵と見比べてみると、それらの特徴をしっかりと捉えており、再現度は十分に高い。~ また、本作はPSVとの縦マルチ、かつ定価5,000円強の比較的安価なソフトなので、その点を考慮するとそこまで低い品質ではない。 --3D化したものの、フィールドカメラはオリジナル同様の固定カメラ。そのためイベントをのぞけばキャラクターの3DモデルはPC/NPCともに常に上方向から見下ろし形式となっている。~ 真横(水平)方向に近い角度からの見た目で表現されていたオリジナルの2Dドットに比べると、キャラの顔やモーションがみえづらい。特に一部の必殺技での飛び上がるモーションなどは、見た目が躍動感に欠ける印象を受けてしまう。 -質にばらつきのあるアレンジ楽曲 --タイトルの「天使の怖れ」はフルオーケストラで正統派なアレンジであるが、それ以外の楽曲は全体的にサウンドコンセプトにばらつきがあり、統一感が無い。 ---一部の楽曲((「闇の奥」「儀式」「世界への扉」など))はオリジナルの雰囲気を重視しているが、オリジナルコンポーザーの菊田氏がそれに近いアレンジアルバム((「シークレット・オブ・マナ・ジェネシス/聖剣伝説2 アレンジアルバム」という、現在の環境で当時の音源を限りなく再現した作品。))を数年前に発売しているので、ありがたみは薄い。 ---アレンジの強い楽曲については、それなりに良アレンジと呼べるもの((「予感」「君は海を見たか」「聖なる侵入」「風の焉わるところ」など。))や、曲調が変わり過ぎて不評なもの((「夏の空色」「不思議なお話を」など。))が混在している。 --今作に参加したアレンジャーの総数はなんと''10人以上''。オリジナルコンポーザーの菊田氏をはじめ、古代祐三氏・成田勤氏・上倉紀行氏などのビッグネームもいるが、中には無名だったり、有名ではあっても聖剣シリーズの作風に合致するとは言い難い作曲家も参加している。そうした様々な色合いのアレンジャーを1作品にまとめた結果が、クオリティのばらつきという形で現れてしまったと言える。 --アレンジ曲が気に入らない場合は、メニューからいつでもオリジナル曲に変更できる。 -あまりにオリジナルと変わらなすぎるシナリオ --リメイクでシナリオに色々と変更を加えたがるスクエニにしては珍しく、オリジナルに(忠実すぎるくらい)忠実なものになっている。ベタ移植と称しても過言ではない。 --『[[新約 聖剣伝説]]』のシナリオ改変を受け入れられなかったファンからは歓迎されているが、追加シナリオや追加要素に物足りなさを感じるファンも少なくはない。 ---セリフなどもそのままのため、幕間エピソードで個性が強調されたキャラと比べて乖離を感じる場面も(「~あげるよ」というプリム等)。 ---原作で特にイベントが用意されていなかった灯台島とピカールについてのテコ入れ等もなく、本作でも図鑑埋め・トロフィー関連以外に意味が無い。 ---出番の少なかったキャラは引き続き少ないまま。ボイスのおかげで幾らか存在感は増したが。 //---帝国が力をもらった魔界と言う存在に関しても掘り下げられず、やっぱり謎のまま。 //前に魔界に関する議論が行われ、削除された経緯あり ---さらに言えば立ったまま死んでいる皇帝もそのまま。死亡時の倒れたポーズを用意していないという視覚的表現に関わるところまでSFC版と同様である。 --オリジナルに非常に忠実なシナリオという点では前作の3DリメイクであるPSV/スマホ版『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』も同様であり、そちらの流れを汲んでのこととも考えられる。 ---しかし、そちらは原典を踏襲しながらも遊びやすく改善しているのに対し、本作は上述のような様々な粗が目立つことで逆に劣化版としか言えない出来になっている。 -新規追加の遊び要素がほとんどない --『ミンサガ』のような移植に伴い追加されたイベントは前述の幕間エピソードを除いて無く、追加レアモンスター、ボス、ダンジョン、周回要素などといったものは一切無い。~ オリジナルに忠実といえば聞こえはいいが、ゲーム自体が何度も移植されているだけに今となっては物足りなさが上回る。 --オリジナルでも未実装だったため、無いこと自体は問題ではない。一応歴代シリーズの隠しネタならいくつか存在するので、探し回るのも一興。 -ミニマップ関連 --マップが3D化したことで情報量が増え少し迷いやすくなったため、ドット絵のミニマップが搭載されていること自体はありがたい。 ---ドット絵の当時の雰囲気を懐かしむことができ、当時の感動を思い出しながら遊べる嬉しい要素でもある。 オリジナル版BGMと3Dマップのギャップを埋めることにも一役買っている。 --一方でミニマップの機能そのものは利便性が低い。 ---3Dマップで表示されている範囲しか表示されず全体マップが確認できない、進行方向などの指示がない、敵味方や宝箱の位置などが表示されない…など本来表示されるべき情報は山ほどある。 --利便性が低い分、常にミニマップを注視する必要が無く目が疲れないのはある意味で利点ではあるが、それは本末転倒というものである。 -コスチューム切り替え機能が特典限定要素 --本作ではコスチュームを着替えてキャラクターの見た目を変化させることができる。本作ならではの追加要素であり、単に外見が変わるだけとはいえ雰囲気も変わり新鮮にプレイできるため、この機能そのものは好評である。 ---のだが、コスチュームはいずれも特定ストアの早期購入特典や書籍特典など''全てゲーム外で入手''するもののみであり、ゲーム単体では入手できない。 --「モーグリのぬいぐるみ」はPS Store早期購入特典もしくはSteam早期購入特典となっていた。 --「タイガービキニ&トラのぬいぐるみ」はスクウェア・エニックス e-STORE予約・早期購入特典もしくはSteam早期購入特典となっていた。 ---つまり、PS4/PSV版では本作を両方のストアで2本買わない限り2つのコスチュームのどちらかしか手に入らなかった。Steam版ならば両方とも手に入れられた……のだが、以下の罠が存在する。 --ゲームと同日に「公式設定資料&完全攻略ガイド」が同時発売されており、限定コスチューム「パンクスーツ&チャイナドレス」のプロダクトコードが特典付録となっていた。このコスチュームは攻略本以外では入手不可。 ---しかし、コードが使えるのはPS4/PSV版限定となっているため、Steam版ではこのコスチュームの入手手段が存在しないという状況になっている。 --以上により、PS4/PSV版で強引に揃えない限りは全てのコスチュームを揃えるのは不可能であった。なお、早期購入特典はいずれも終了済のため今からの入手は不可。 ---あくまでもオマケ的な要素であるとはいえ、せっかくの追加要素を限定にしてしまったがために堪能できないのは実に勿体無い。 --さらにコスチュームの切り替え機能はイベントCGでも反映されるが、メニュー画面では反映されず、やはりジックリと鑑賞する機会はない。 ---- **評価点 -フルボイス化 --フルボイス化だけでもかなりキャラクター性を掘り下げられたと思われる。声優ファンには広く名の知れた豪華キャストも多く起用している。 --モブキャラのセリフでも同じセリフで同じ声を使いまわさず、別録りしている。 ---「スパイはどこだ」「奥で皇帝陛下がお待ちです」などに顕著。 --一方で精霊やサブキャラクターの大半が、映画の吹き替えのようにエンディングで声優名だけ表示されるのは少々惜しいところである。 -幕間エピソードの内容とノリ --実に50以上ものエピソードが用意されており、主人公達3人の心情が語られる機会が大きく増えた。~ その内容も気弱なランディ・お転婆なプリム・お調子者のポポイの魅力・個性を存分に引き出したものになっている。~ また、世界観やサブキャラクターに関する情報等も上手に落とし込んでおり、オリジナルと比較しての違和感はほとんどない。 ---物語の時系列に即した話題が多いが、時にはプレイヤーの心情を代弁するようなセリフもあったりと、キャラへの没入感が増す工夫もある。 ---オリジナルでは主人公サイドのセリフ自体が少なく、どういう心境で旅をしているかは想像に委ねられていたため、本作にしては大きく脚色された部分になる。 --ルサ・ルカ、ニキータ、精霊などのサブキャラクターが幕間エピソードに登場することがあり、純粋に登場機会が増えた。 ---オリジナルでは出番の少なかった精霊たちも、幕間の会話に参加することで「一緒に旅をしている」という実感が得られるようになった。 --幕間エピソードはストーリーを進めれば自動で解放され、閲覧するまで消失したりしないため、見逃しの心配はない。~ その代わり、どのタイミングでエピソード発生したかのアナウンス等もなく、その都度宿屋に泊まってエピソードが見られるかどうかを確認しなければならないのが難点。~ また、幕間エピソードを1回見るたびに、宿屋の主に話し掛ける→暗転→エピソード再生→通常の宿屋演出((キャラがベッドに寝てから起床→セーブ確認))の一連の流れを繰り返す必要があり、溜まったエピソードを連続で見るにはテンポが悪い。 -オープニング --オリジナルから変化したが、世界観に合った演出であり、ナレーターの演技も雰囲気によく合っている。 -BGM変更機能 --最初からDLCなしで全曲をオリジナルの楽曲に差し替えることが可能。アレンジ版の評価が微妙なので、この点は称賛しているプレイヤーも多い。 -ラスボスの演出面 --3Dになったので、ラストバトルの臨場感を出す((オリジナルは、ラスボスのドット絵の引き伸ばしで拡大縮小(接近/離脱の表現)をしていたので、人によっては粗い画像を見せられていると感じられてしまった。))ことには成功している。オリジナルのラスボスの降下が遅く、攻撃が可能になるまでイライラさせられるという問題点があったが、本作ではそれも改善されている。 -ED --スタッフロールで''あの曲''が再度流れる。 ---- **総評 残念ながら、''往年の名作に泥を塗った劣化作品''というのが本作の一般的な評価である。~ 良い変更点もあることはあるが、発売当初はオリジナル版をはるかに上回るバグの多さで大きく評価を落としてしまった。~ その後パッチにて改善を図られ安定した動作保証は得られたものの、発売から4ヶ月半が過ぎていたことや、根本的に依然残っているシステム周りの不親切な箇所や不可解な仕様もあり、評価を挽回するには至っていない。 リメイクの中身にしても、オリジナルを忠実に再現する姿勢そのものは評価できるが、再現が中途半端だったり、逆にオリジナルを再現しきれておらず劣化した部分も目立っている。さらに、現代のゲーム環境では当たり前となったユーザビリティの基本を無視してまで不便なところを再現するなど、疑問符の付く点も多い。~ 見ようによっては「原作再現を手抜きの免罪符にしているだけでは?」と言われても仕方の無い状態である。~ 結果として、オリジナル版の内容を著しく損ねたと受け取った原作ファンから批判された『新約 聖剣伝説』とは真逆の方向の微妙なリメイクになってしまったと言える。~ オリジナルを忠実に再現しつつユーザビリティを向上させた前作『聖剣伝説』の3Dリメイク版が既に発売されていたこともあり、その対比で同様のコンセプトであったはずの本作の劣化具合が余計に目立ってしまうことも、批判に輪をかけてしまった。 そもそもの話、聖剣2は元から移植が充実しており、バーチャルコンソールや携帯電話版、スマホ版など遊べるプラットフォームは多岐にわたる。~ さらに本作のリリースはSwitch版『[[聖剣伝説コレクション]]』の発売から1年も経っていない時期であり、数ヶ月前には原作が『[[ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン>復刻版ミニゲーム機収録タイトルリンク]]』にも[[収録されている>https://www.nintendo.co.jp/clvs/soft/seiken.html]]。~ 原作ファンにとっては食傷気味と言っていい状況であったため、僅かな追加要素を加えただけの原作尊重リメイクとして作成された本作の立ち位置の微妙さが尚のこと際立つことになってしまった。 幕間エピソード追加や3D化・フルボイス化などリメイクならではの追加要素があるため、上述の問題点に目をつぶれる人であれば遊ぶ価値はあると言えるが、そうでなければ、原作そのままの移植版を手に取るのが無難だろう。 ---- **余談 -前作にNintendo Switchで『聖剣伝説コレクション』、余興という意味で『聖剣伝説 25th Anniversary Orchestra Concert CD』が発売され、本作が聖剣シリーズ再興の最重要な一手になる流れであった。 --YouTubeにて、菊田氏を招いての音楽祭(本作の楽曲をランキング形式で視聴)も開催されるなど、期待の薄かった前評判をなんとか払拭せんとスクエニの努力が垣間見れた。 --''肝心のゲームで台無しにした''というのがなんともいえない事なのだが。 -2020年4月24日に『3』のリメイク版『[[聖剣伝説3 TRIALS of MANA]]』が発売された。 --本作の評価が芳しくない為不安の声も多く見られていたが、本作で挙げられた問題点の多くが払拭されており一転して高評価となっている。 ---ただし、ほぼそのままな原作再現など本作との共通点も見られてはいる。 -スタッフロールによると本作は''開発は海外の開発スタジオを複数起用''しており、プログラム以外の3Dモデル関係もモーション共々海外産となっている。 --スクウェア・エニックス社の関連スタッフの関与は専ら、監修やローカライズ・広報・販売業務に留まっている。 --しかし、本作の開発を行った海外ディベロッパーの各社はほとんどが日本では無名であり、単純な開発力の問題やオリジナル版へのリスペクト精神の差が、本作の原作からの劣化っぷりや初期版のバグの酷さに繋がった要因として推察されている。 --特に発売初期のバグの多さは本作のプログラムを担当した開発のメインでもあるQ Studios社がCS機での開発実績の少ない東南アジアのタイのゲーム会社であることが影響したのではないかと指摘されている。
「[[判定不一致修正依頼]]」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。 *聖剣伝説2 SECRET of MANA 【せいけんでんせつつー しーくれっとおぶまな】 |ジャンル|>|アクションRPG|CENTER:&amazon(B074ZBGNSG)&amazon(B074ZB35QM)| |対応機種|>|プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ&br;Windows(Steam)|~| |発売元|>|スクウェア・エニックス|~| |開発元|プログラム|キュースタジオ(Q Studios)|~| |~|音響・サポート|Formosa Interactive|~| |発売日|>|2018年2月15日|~| |定価(税込)|PKG/DL版|5,184円|~| |~|コレクターズ&br;エディション|14,979円|~| |プレイ人数|>|1~3人&br;オフラインマルチプレイ対応&br;PSV版はアドホックプレイ対応|~| |レーティング|>|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|修正前|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |~|~|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |~|~|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |~|Ver1.03以降|BGCOLOR(paleturquoise):''改善''|~| |~|~|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |ポイント|>|玉石混淆が激しいアレンジ楽曲&br;シナリオの再現度は高い(というかそのまま)&br;システムの不便さや''バグの多さ''まで再現&br;現在ではアップデートによりバグは解消済み|~| //ポイントと言うには長ったらしくなっていたため整頓しました |>|>|>|CENTER:''[[聖剣伝説シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 言わずとしれたスーパーファミコンの名作『[[聖剣伝説2]]』(SFC版は以降「オリジナル」と記載)が約25年の時を経て最新機種に3Dリメイクされた作品。~ 副題の「SECRET of MANA」は海外でのタイトルに由来すると共に、『[[聖剣伝説 LEGEND OF MANA]]』から続く「●● of MANA」シリーズに紐づけたものである。 発売前の(主にビジュアルなど)クオリティから、当初はあまり話題も期待もされていなかったが、発売後に悪い意味で前評判以上の話題になってしまった。 ---- **ゲームシステム(変更点) 基本システムはオリジナルにほぼ準ずるが、変更された部分について記載する。 -グラフィックの3D化 --原作は2Dドットだったが、今作では3DCGになっている。 -BGMのアレンジ --オリジナル版も収録されており、オプションから切替可能。 -SEの変更 --必殺技のタメ、ボス撃破時の閃光部分などはオリジナルと同じ。 -『[[聖剣伝説4]]』以来のフルボイス化 --主役の3人は当然ながら、重要なサブキャラクターだけでなく、町のモブキャラにまで全て余さず声がついている。 --帝国の皇帝やタナトスには非常に渋い声優を採用しており、人によっては印象が変わったかもしれない。 -幕間エピソード --シナリオの進行具合により、宿屋で休憩した際に3人の会話シーンが発生する。こちらもフルボイスで、ポリゴンキャラが話の展開で様々なアクションを取る。 --この新規シナリオは「シナリオ工房 月光」のライター2名が担当している。 --主人公たちの名前がデフォルトでない場合、音声の該当部分に効果音が被せられる((「期待しておるぞ。テテテテッ(スクエニ)よ!」など。))。 -ダッシュ機能 --オリジナルではゲージ100%を使ってほぼ一直線に走る(道なりに沿って蛇行は可能だった)ダッシュだったが、本作ではゲージを徐々に消費しながら速度だけが上昇となった。ダッシュを止めると、ゲージが攻撃後よりも速く回復するという差別化もはかられた。 -敵グラフィック --オリジナルから、カラーが変更されたものが一部存在する。 -イベントシーンの演出 --見せ場のシーンではムービー風味の演出でイベントを再現している。スキップ可能。 -味方の挙動 --『[[聖剣伝説3]]』同様、味方が障害物に引っかかっても先に進めるようになった。 -所持アイテム個数の上限 --オリジナルの4個に加え、8個、12個から設定可能。この機能により実質難易度の変更が可能。 -武器装備 --武器レベルを確認する画面から装備の変更が可能。レベル上げを意識する場合、むしろこちらを利用するほうが都合がいい。 -図鑑機能 --ラスボスを除いた、すべての敵を網羅した図鑑機能が新規に実装。 --図鑑には人物・モンスター・武器の3種類が存在する。 -フラミーの使い勝手 --降りられる場所の範囲内だとその地名が表示されるようになり、迷うことが減った。 --ただし、『3』であったフラミーの移動中に現在地・目的地を確認できるサブマップは存在しない。 //--ただし、フラミーの移動中に現在地などを確認できるサブマップが存在しない。この影響で本作で作品に初めて触れる新規プレイヤー飛行地点や目的地がわかり難くなっている点が難あり。 //---ただし、オリジナルをプレイ済のプレイヤーは良いが、本作で初めて聖剣伝説2に触れたプレイヤーにとってはフラミーの移動中に現在地などを確認出来るマップがないため、どこを飛んでいるのか、どこに行けば良いのかが訳が分からなくなってしまい易い。 //流石にフラミーの移動中にマップがないのはいくら何でも…と思うのだが、問題点で独立させるほどでもないし、でもここだと趣旨的にズレる…どうするのが良いんだろう。 //ちょっと表現を変えてみた。 //プレイ経験があるからどうこうという問題ではないと思うので修正してみた。小さな改善点ではあるがむしろ不満の残るものなのでゲームシステムの方に移行する -UIの変更 --画面右上にミニマップが追加。 ---オリジナル版のドット絵マップを流用したものだが、ドット絵と3Dを見比べながらプレイが可能。 ---オプションからON/OFFを切り替えられる。 --画面下のキャラステータスに現在HPと現在MPが数値とゲージで表示されるようになった。 ---ただしHP・MPの最大値は表示されない。どれだけHPが減っているかはゲージで確認することになる。 ---オリジナル版は 現在HP/最大HP を数値のみで表示していた。 --画面下のキャラステータスの並びが、操作キャラが常に中心に来るようになり、操作キャラのみ装備中の武器も表示されるようになった。 ---オリジナル版は左からランディ・プリム・ポポイで固定。 -オートセーブ機能 --マップを切り替えるたびにオートセーブが行われる。 --ただし「オートセーブ専用」のセーブスロットに記録される。正式な手動セーブはオリジナル版と同様、宿屋で行う必要がある。 -ショートカット機能(発売日のパッチで機能追加) --L1R1にて武器、魔法、アイテムの内好きなものをそれぞれ登録可能。 -コスチューム変更(限定要素) --特典によりゲーム中のコスチュームを着替えることが出来る。 --コスチュームはゲーム内で入手できるものはない。 ---- **問題点(劣化点含む) -発売当初はバグが非常に多く(後述)、普通にプレイするにしても支障が出るレベルであった。 --そもそも公式より発売日時点でエラー改善アップデートの配信が告知されており、PS4/PSV版のパッケージには赤文字で「&color(red){本ソフトの一部機能を追加するためにはアップデートが必要となります。アップデートにはインターネット接続環境が必要です。}」と堂々と書かれていた。 --本格的なバグ改善のパッチは発売翌月の2018年3月に入って配布され、キャラ消失・突然の暗転等の進行そのものが不能になるバグは抑えられた。~ しかしアプリケーションエラーによる強制終了は依然として頻発していたため、ユーザーはストレスを抱えていた。 --パッチ配布以降、再度のアップデートを匂わせる記述はあり、Win版では日々何らかの修正が行われていた模様((steamdbによればほぼ同時期に配信されたSteam版クロノ・トリガーも同様の状況が続いている。))。~ しかし長らくパッチ配信にまでは行き着いておらず、ユーザーへのアナウンスも無いため何を修正しているのかも不明だった。~ 更にPS4/PSV版は公式が沈黙してしまっていたため、ユーザーからは諦めたのではないかという姿勢も見られていた。 --そして''発売4ヶ月後の2018年6月末になって、ようやく二度目の大型アップデートが行われた。''~ このアップデートにより、それまで列挙されていたバグは概ね改善、問題視されていたエラーによる強制終了はほぼ発生しなくなった。~ 不便と言われていたユーザーインターフェース等も大方改善されていたりと、ひとまず商品として失格と言われるレベルではなくなった。 #region(該当アップデート前に存在していたバグや不親切な要素) -オリジナル以上に多かったバグ(現在はアップデートにより解消済み) --''本作が劣化移植と云われてしまった最大の原因。''主に発生するのは「違う魔法が発生」「クリスタルが魔法で解除されない」「進行、イベントを問わず謎の空間に飛ばされて操作不可」「突然の画面暗転」「キャラ消失」「天使の聖杯(味方を蘇生させるアイテム)が機能しない、または生き返ったキャラのHPが0のまま」「敵に攻撃されても一切反撃をしないNPC」「NPCが敵出現予定座標を認識して無の空間相手に行動してしまう」「一部の必殺技の攻撃範囲や判定がおかしい」「亜人種に対する武器の弱点効果が機能していない」「補助魔法効果の反映が数分後」「魔法の効果が反転したままになる」「特定マップで会話が終わらない」「キャラの色変化が直らない」「階層すり抜け」「敵の動作が停止する」「敵を倒したのにいつまでも消えない」等など枚挙に暇がない。 --フリーズもバグに付随して発生するが、最も問題なのはアプリケーションエラーによる強制終了の頻度が非常に高いこと。幸いなことにマップ移動時のオートセーブ機能がデフォルトでONになっているので、セーブポイントからやり直し、という事態は避けられる。 --オリジナルでも見られた有名な「ボス戦後に閉じ込められる」というバグは''「ボス戦後にフリーズ」としてレベル%%アップ%%ダウンして帰ってきた。''しかも、セレクトボタンを押す必要なし。''その再現はいらないです。'' --幾つかの内容は再現だとしても近年のゲームで起こさせる挙動ではない。数世代前のハードの作品ですら目につく次元の話である。 -バグではなく原作再現なものもあるが、現代からすると不親切すぎる要素の数々 --一度リングコマンドを閉じた後、再度開くとカーソル位置が初期化されるため全く別のメニューを指定する。 ---例えば同じ魔法を連発しようとしても、ボタン連打では行えないので毎回手間がかかる。 ---パッチで大項目((例えば最後に使った魔法がアースクエイクなら、次回開くとノームにカーソルがフォーカスされている。))までは記憶するようになった。 ---6月のアップデートで小項目まで記憶するようになったものの、あまりにも遅い。 --防具装備の際のリングカーソルの初期位置が現在装備しているものとは違うものを指定しているため、煩わしい。 --魔法やアイテムの説明が抽象的だったり、装備を買うときの守備力の数値などが明記されていない(装備画面では確認可能)。 --セーブデータロード時のカーソルが最新のセーブデータではなく、必ずデータ1側に固定されている(原作では最新データに合っていた)。 #endregion -セーブ機能の劣化 --オリジナルでは4つあったスロットがなぜか2つに減っている。それとは別にオートセーブ枠はできたが。 --ストーリー分岐は序盤のわずかな場面だけでほぼ無いため、元々複数用意する必要はなかったが、家族で使い回すなど元々出来たことが出来なくなるのは劣化と捉えられることが多い。((PS4に関しては、本体に使用者ごとのユーザー登録が可能であり、セーブデータも個別に作成されるため問題にはならない。)) --宿屋に宿泊しないと手動セーブできなくなったことも細かな改悪点として挙げられる。宿泊しようとして金が足りないときと、ニキータの特別出張サービスなら無料でセーブできるため、尚更意味不明。 ---今すぐセーブしたいと思っていても、宿泊すれば幕間エピソードが流れだすため、ストレスになる。 ---オリジナルでは宿屋に宿泊しないことを選択しても、セーブを行うかどうか改めて選択肢が出現していた。 -リングコマンドの劣化 --SFC版ではキャラの位置に合わせてリングの位置も変わったのだが、今作では誰がどの位置にいようが常にリングが画面真ん中で展開されるため、どのキャラのリングが開いたかわかりにくい。 --一応カーソルが色分けされているのだが、誰がどのカラーなのか一目で判断するのは容易ではない。パッチにてキャラアイコンが出るようになり、改善された。 ---これはNPCが画面外に出た状態で、キャラの位置でリングが開くと画面内に描画できなくなるための処置と思われる。 --元々リングコマンド自体、複数のキャラクターが縦横無尽に動き回るゲームで、誰のメニューかひと目でわかりやすくするためのものであったのにその理念が失われている。 -オリジナルそのままに不親切な表示 --敵・味方にかけた魔法の効果が切れると「○○は魔法が切れた」と表示されるが、どの魔法でも文章が統一されているため何の魔法が切れたのかがわかりづらい。 --これは一応オリジナルと同様なのだが、当時ならまだしも今どきそんな最低限の処理すら非搭載なのは非常に嘆かわしい。 -更なる魔法ゲー化 --各キャラの能力値はオリジナルから特に変更・調整をされていないため、魔法一辺倒で戦う方が楽なバトルなのは変わらず。~ 攻撃力と消費MP以外に大きな違いがない、という各攻撃魔法の性能もオリジナルと同じであり、差別化等もされていない。 --それに加え、今作では何故か''敵の回避率が妙に高くされている''ため、物理攻撃が中々当たらずオリジナル以上に不利になっている。~ これはよりにもよって分裂or増殖or援軍呼び系のモンスターが顕著で、魔法の使用回数が少ない序盤では殲滅が不可能な状況すらある。~ のけぞり中の敵へ更に攻撃をヒットさせる事ができない、という点もオリジナルと変化がないため、とにかく当たらない。 --これは恐らく、3対1の状況だと一方的に叩く戦闘になるため、それを見越して敵の回避率を上げたものと思われる。~ 実際にプレイしてみると分かるが、回避率の高い敵に3人で攻撃すると、概ね一人の攻撃が当たるバランスになっている。~ また、各必殺技も攻撃判定が複数回発生するものが多く、数回のうち1回でも当たれば大ダメージを与えられるようになっている。 --ただ、このバランス調整は些か極端なものであり、プレイヤーからすればサクサク進められずストレスを感じやすい。~ 魔法は必中なので、オリジナル以上に魔法一強に拍車が掛かり、同時に元々使いにくい必殺技の価値が更に下がってしまった。~ 本来なら物理と魔法のバランスを改善すべきところを、オリジナル以上に悪化させてしまったのは残念な点である。 --一応、「クイック」の魔法を使用する事でフォローは可能であり、その効果もオリジナル版より強化されている。~ しかしゲーム内の効果説明を見ただけでは分からない((説明には「仲間の回避率を上げて攻撃もはやめる」と記載されており、命中率に関する説明がない。ただし使用時に「〇〇の回避率アップ/〇〇の命中率アップ」と画面上にはっきり表示されるため、気付けない事はないはず。))上、それを加味しても必中とはならない。 --なお、当初はダメージ0もミスも「MISS」と表示されていたが、後のアップデートでこの区別がされるようになった。~ しかしあくまで表示が正されただけであり、命中・回避の根本的な調整はされていない。 -新要素の図鑑機能の中途半端さ --収集型の図鑑機能が追加されているのだが、ポリゴンモデルを見るだけで図鑑として物足りなさは否めない。 ---多少なりとも解説テキストのようなものがあれば楽しめたはずである。オリジナルに存在しなかった要素なので当時の思い出を壊さないように配慮したとも受け取れるが…。 せめてモンスターの行動パターンや武器の追加効果などを確認できるようにすれば利便性も高まったであろう。 ---モデルは横軸のみ回転可能で、縦方向には回転不可。拡大縮小も不可。様々な角度からじっくり鑑賞することはできない。 ---キャラクターや一部のモンスターのモデル自体は可愛らしい。武器は全体的に味気なく、剣や槍は形状や装飾を鑑賞できる分まだマシで、ムチに至ってはただ色を変えただけの同じモデルがずらりと並んでいる。 --またクリア後の引継ぎなどもないため、完成した図鑑をゆっくり眺める機会はラスボス戦中のみとなる。 ---これはモンスター図鑑の最後の項目がダークリッチ、武器図鑑の最後の一本がマナの剣であるために起こる。ダークリッチ戦後はそのままラスボス戦に突入し、マナの剣も(普通にゲームを進めていれば)ここで初めて手に入る。そしてラスボス戦後はEDに突入するためメニューを開く機会はない。 --さらに、図鑑で閲覧できるのは武器、モンスター、人物の3つ''のみ。''防具が含まれておらず、防具収集系のトロフィー(PS4/PSV)/実績(Steam)を狙う時に未入手の防具を確認できない。そして防具に関しては以下の問題点もある。 -図鑑埋め・トロフィー「全ての防具を入手」に時期限定品あり --終盤のダンジョン「マナの聖地」はクリアすると敵が出現しなくなり、ここにしか出現しないモンスターのドロップ限定防具が4つ存在する。 ---宝箱を出させても、レアドロップである防具はなかなか出ないため入手に時間がかかる。 ---入手せずクリア後にセーブしてしまったら取り返しが付かない。ラストダンジョン目前でありながらニューゲームするしかなくなる。 --オリジナルにもこの問題はあるが、販売品最強防具との防御力は僅差であり、図鑑やトロフィーの概念も存在しない時代だったので支障はなかった。 ---本作では入手の必要性が新たに出来たにもかかわらず「別のダンジョンにもドロップ該当モンスターを出現させる」「他のモンスターのドロップリストに限定防具を追加させる」等の配慮がなされていない。 -ボタン配置 --デフォルト設定ではなぜかオリジナルと異なる配置になっており、話しかける際には「×」を押すが、メッセージを送るには「○」を押す必要がある。 --混乱の元であり非常に紛らわしい。設定で変更可能なため、気になる場合は自分で修正できるのが幸いか。 -戦闘行動設定の縮小化 --オリジナルではかなり細かい設定が可能だったが、本作ではたった4種類の設定しかできなくなった上に、どれを選んでもあまり大差ない。 ---NPCがまともに攻撃してくれなくなるような作戦もあるため、実質機能するのはわずかである。 ---簡略化されたと考えればそこまで大きな問題ではないが、旧作ファンからすれば出来ていたことができなくなるというのは、劣化点にも等しいだろう。 -手抜きに見える演出面 --多くのイベントはオリジナル同様の俯瞰視点で進むのだが、各キャラの動きが非常に簡素。「建物や部屋の出入口付近から、何のエフェクトも無く一瞬で出現・退場する」「斜めではなく直角に移動する」「振り向き動作を挟まず瞬時に反転する」「主人公たちが同じ座標に集合し、ポリゴンが重なって滅茶苦茶になる」など、3Dには到底不似合いな演出をそのまま再現している。~ 忠実再現はリメイクにおける重要な方向性のひとつだが、本作では3D化との齟齬が大きすぎて浮いている。また、オリジナルを真似ただけで今一つな演出も目に付く。 ---一例として、大砲屋を利用するとき「大砲の裏に移動してパッと消える(入ったことにする)」という部分は同じだが、そこまでの自動移動速度が非常に遅くなっており、テンポを損ねている。その割に大砲内への移動と着火タイミングに間がなかったり、ふっ飛ばされたときの3Dマップを飛んでいく演出がカットされたりしている。マナの神殿の浮上演出なども原作を再現できていない。 ---攻略本によると、大砲演出はSFC独自の機能である「画像の拡大縮小機能」がPS4/PSV/Winで使えなかったため仕方なく再現を断念したとの事。3Dの場合、技術的に難しくロード時間も長くなってしまうため演出よりもテンポを優先した事も語っている。~ しかし拡縮や回転は今も現役で使われる原始的な演出手法であり、開発力の技術力不足、手抜きと受け取られても仕方ない。~ 「原作に忠実」をコンセプトとしているのだから端から再現を諦めたりせず、独自の技術開発による実現の努力をしてから最終的な判断を下すべきだろう。 --他にも「マナの祭壇で頭痛を訴えるポポイが、振り向きスライド移動(しかもノーモーション)で綺麗に着地する」「ワッツに話しかけた主人公たちが滑るように後ずさり、一瞬で待機モーションに切り替わる」「フラミーに乗り移るタイミングとSEの鳴るタイミングが明らかにずれている」など、不自然な部分を挙げればキリが無い。 ---- **賛否両論点 -全面3D化されたグラフィック --フルボイスでありながらキャラクターの瞼・口元の動きが乏しく、全体的なグラフィックレベルも決して高いとは言えない。~ 幕間エピソードやカットシーンが追加された都合から、今作ではキャラクターを間近で見る機会が多いため、人によってはかなり気になる。~ キャラクターのモデルは、サービスが終了したiOS/Android/PSV用ソフト『聖剣伝説 RISE of MANA』から流用したと思われる。 --とは言え、今作のイラストやSFC版のドット絵と見比べてみると、それらの特徴をしっかりと捉えており、再現度は十分に高い。~ また、本作はPSVとの縦マルチ、かつ定価5,000円強の比較的安価なソフトなので、その点を考慮するとそこまで低い品質ではない。 --3D化したものの、フィールドカメラはオリジナル同様の固定カメラ。そのためイベントをのぞけばキャラクターの3DモデルはPC/NPCともに常に上方向から見下ろし形式となっている。~ 真横(水平)方向に近い角度からの見た目で表現されていたオリジナルの2Dドットに比べると、キャラの顔やモーションがみえづらい。特に一部の必殺技での飛び上がるモーションなどは、見た目が躍動感に欠ける印象を受けてしまう。 -質にばらつきのあるアレンジ楽曲 --タイトルの「天使の怖れ」はフルオーケストラで正統派なアレンジであるが、それ以外の楽曲は全体的にサウンドコンセプトにばらつきがあり、統一感が無い。 ---一部の楽曲((「闇の奥」「儀式」「世界への扉」など))はオリジナルの雰囲気を重視しているが、オリジナルコンポーザーの菊田氏がそれに近いアレンジアルバム((「シークレット・オブ・マナ・ジェネシス/聖剣伝説2 アレンジアルバム」という、現在の環境で当時の音源を限りなく再現した作品。))を数年前に発売しているので、ありがたみは薄い。 ---アレンジの強い楽曲については、それなりに良アレンジと呼べるもの((「予感」「君は海を見たか」「聖なる侵入」「風の焉わるところ」など。))や、曲調が変わり過ぎて不評なもの((「夏の空色」「不思議なお話を」など。))が混在している。 --今作に参加したアレンジャーの総数はなんと''10人以上''。オリジナルコンポーザーの菊田氏をはじめ、古代祐三氏・成田勤氏・上倉紀行氏などのビッグネームもいるが、中には無名だったり、有名ではあっても聖剣シリーズの作風に合致するとは言い難い作曲家も参加している。そうした様々な色合いのアレンジャーを1作品にまとめた結果が、クオリティのばらつきという形で現れてしまったと言える。 --アレンジ曲が気に入らない場合は、メニューからいつでもオリジナル曲に変更できる。 -あまりにオリジナルと変わらなすぎるシナリオ --リメイクでシナリオに色々と変更を加えたがるスクエニにしては珍しく、オリジナルに(忠実すぎるくらい)忠実なものになっている。ベタ移植と称しても過言ではない。 --『[[新約 聖剣伝説]]』のシナリオ改変を受け入れられなかったファンからは歓迎されているが、追加シナリオや追加要素に物足りなさを感じるファンも少なくはない。 ---セリフなどもそのままのため、幕間エピソードで個性が強調されたキャラと比べて乖離を感じる場面も(「~あげるよ」というプリム等)。 ---原作で特にイベントが用意されていなかった灯台島とピカールについてのテコ入れ等もなく、本作でも図鑑埋め・トロフィー関連以外に意味が無い。 ---出番の少なかったキャラは引き続き少ないまま。ボイスのおかげで幾らか存在感は増したが。 //---帝国が力をもらった魔界と言う存在に関しても掘り下げられず、やっぱり謎のまま。 //前に魔界に関する議論が行われ、削除された経緯あり ---さらに言えば立ったまま死んでいる皇帝もそのまま。死亡時の倒れたポーズを用意していないという視覚的表現に関わるところまでSFC版と同様である。 --オリジナルに非常に忠実なシナリオという点では前作の3DリメイクであるPSV/スマホ版『聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-』も同様であり、そちらの流れを汲んでのこととも考えられる。 ---しかし、そちらは原典を踏襲しながらも遊びやすく改善しているのに対し、本作は上述のような様々な粗が目立つことで逆に劣化版としか言えない出来になっている。 -新規追加の遊び要素がほとんどない --『ミンサガ』のような移植に伴い追加されたイベントは前述の幕間エピソードを除いて無く、追加レアモンスター、ボス、ダンジョン、周回要素などといったものは一切無い。~ オリジナルに忠実といえば聞こえはいいが、ゲーム自体が何度も移植されているだけに今となっては物足りなさが上回る。 --オリジナルでも未実装だったため、無いこと自体は問題ではない。一応歴代シリーズの隠しネタならいくつか存在するので、探し回るのも一興。 -ミニマップ関連 --マップが3D化したことで情報量が増え少し迷いやすくなったため、ドット絵のミニマップが搭載されていること自体はありがたい。 ---ドット絵の当時の雰囲気を懐かしむことができ、当時の感動を思い出しながら遊べる嬉しい要素でもある。 オリジナル版BGMと3Dマップのギャップを埋めることにも一役買っている。 --一方でミニマップの機能そのものは利便性が低い。 ---3Dマップで表示されている範囲しか表示されず全体マップが確認できない、進行方向などの指示がない、敵味方や宝箱の位置などが表示されない…など本来表示されるべき情報は山ほどある。 --利便性が低い分、常にミニマップを注視する必要が無く目が疲れないのはある意味で利点ではあるが、それは本末転倒というものである。 -コスチューム切り替え機能が特典限定要素 --本作ではコスチュームを着替えてキャラクターの見た目を変化させることができる。本作ならではの追加要素であり、単に外見が変わるだけとはいえ雰囲気も変わり新鮮にプレイできるため、この機能そのものは好評である。 ---のだが、コスチュームはいずれも特定ストアの早期購入特典や書籍特典など''全てゲーム外で入手''するもののみであり、ゲーム単体では入手できない。 --「モーグリのぬいぐるみ」はPS Store早期購入特典もしくはSteam早期購入特典となっていた。 --「タイガービキニ&トラのぬいぐるみ」はスクウェア・エニックス e-STORE予約・早期購入特典もしくはSteam早期購入特典となっていた。 ---つまり、PS4/PSV版では本作を両方のストアで2本買わない限り2つのコスチュームのどちらかしか手に入らなかった。Steam版ならば両方とも手に入れられた……のだが、以下の罠が存在する。 --ゲームと同日に「公式設定資料&完全攻略ガイド」が同時発売されており、限定コスチューム「パンクスーツ&チャイナドレス」のプロダクトコードが特典付録となっていた。このコスチュームは攻略本以外では入手不可。 ---しかし、コードが使えるのはPS4/PSV版限定となっているため、Steam版ではこのコスチュームの入手手段が存在しないという状況になっている。 --以上により、PS4/PSV版で強引に揃えない限りは全てのコスチュームを揃えるのは不可能であった。なお、早期購入特典はいずれも終了済のため今からの入手は不可。 ---あくまでもオマケ的な要素であるとはいえ、せっかくの追加要素を限定にしてしまったがために堪能できないのは実に勿体無い。 --さらにコスチュームの切り替え機能はイベントCGでも反映されるが、メニュー画面では反映されず、やはりジックリと鑑賞する機会はない。 ---- **評価点 -フルボイス化 --フルボイス化だけでもかなりキャラクター性を掘り下げられたと思われる。声優ファンには広く名の知れた豪華キャストも多く起用している。 --モブキャラのセリフでも同じセリフで同じ声を使いまわさず、別録りしている。 ---「スパイはどこだ」「奥で皇帝陛下がお待ちです」などに顕著。 --一方で精霊やサブキャラクターの大半が、映画の吹き替えのようにエンディングで声優名だけ表示されるのは少々惜しいところである。 -幕間エピソードの内容とノリ --実に50以上ものエピソードが用意されており、主人公達3人の心情が語られる機会が大きく増えた。~ その内容も気弱なランディ・お転婆なプリム・お調子者のポポイの魅力・個性を存分に引き出したものになっている。~ また、世界観やサブキャラクターに関する情報等も上手に落とし込んでおり、オリジナルと比較しての違和感はほとんどない。 ---物語の時系列に即した話題が多いが、時にはプレイヤーの心情を代弁するようなセリフもあったりと、キャラへの没入感が増す工夫もある。 ---オリジナルでは主人公サイドのセリフ自体が少なく、どういう心境で旅をしているかは想像に委ねられていたため、本作にしては大きく脚色された部分になる。 --ルサ・ルカ、ニキータ、精霊などのサブキャラクターが幕間エピソードに登場することがあり、純粋に登場機会が増えた。 ---オリジナルでは出番の少なかった精霊たちも、幕間の会話に参加することで「一緒に旅をしている」という実感が得られるようになった。 --幕間エピソードはストーリーを進めれば自動で解放され、閲覧するまで消失したりしないため、見逃しの心配はない。~ その代わり、どのタイミングでエピソード発生したかのアナウンス等もなく、その都度宿屋に泊まってエピソードが見られるかどうかを確認しなければならないのが難点。~ また、幕間エピソードを1回見るたびに、宿屋の主に話し掛ける→暗転→エピソード再生→通常の宿屋演出((キャラがベッドに寝てから起床→セーブ確認))の一連の流れを繰り返す必要があり、溜まったエピソードを連続で見るにはテンポが悪い。 -オープニング --オリジナルから変化したが、世界観に合った演出であり、ナレーターの演技も雰囲気によく合っている。 -BGM変更機能 --最初からDLCなしで全曲をオリジナルの楽曲に差し替えることが可能。アレンジ版の評価が微妙なので、この点は称賛しているプレイヤーも多い。 -ラスボスの演出面 --3Dになったので、ラストバトルの臨場感を出す((オリジナルは、ラスボスのドット絵の引き伸ばしで拡大縮小(接近/離脱の表現)をしていたので、人によっては粗い画像を見せられていると感じられてしまった。))ことには成功している。オリジナルのラスボスの降下が遅く、攻撃が可能になるまでイライラさせられるという問題点があったが、本作ではそれも改善されている。 -ED --スタッフロールで''あの曲''が再度流れる。 ---- **総評 残念ながら、''往年の名作に泥を塗った劣化作品''というのが本作の一般的な評価である。~ 良い変更点もあることはあるが、発売当初はオリジナル版をはるかに上回るバグの多さで大きく評価を落としてしまった。~ その後パッチにて改善を図られ安定した動作保証は得られたものの、発売から4ヶ月半が過ぎていたことや、根本的に依然残っているシステム周りの不親切な箇所や不可解な仕様もあり、評価を挽回するには至っていない。 リメイクの中身にしても、オリジナルを忠実に再現する姿勢そのものは評価できるが、再現が中途半端だったり、逆にオリジナルを再現しきれておらず劣化した部分も目立っている。さらに、現代のゲーム環境では当たり前となったユーザビリティの基本を無視してまで不便なところを再現するなど、疑問符の付く点も多い。~ 見ようによっては「原作再現を手抜きの免罪符にしているだけでは?」と言われても仕方の無い状態である。~ 結果として、オリジナル版の内容を著しく損ねたと受け取った原作ファンから批判された『新約 聖剣伝説』とは真逆の方向の微妙なリメイクになってしまったと言える。~ オリジナルを忠実に再現しつつユーザビリティを向上させた前作『聖剣伝説』の3Dリメイク版が既に発売されていたこともあり、その対比で同様のコンセプトであったはずの本作の劣化具合が余計に目立ってしまうことも、批判に輪をかけてしまった。 そもそもの話、聖剣2は元から移植が充実しており、バーチャルコンソールや携帯電話版、スマホ版など遊べるプラットフォームは多岐にわたる。~ さらに本作のリリースはSwitch版『[[聖剣伝説コレクション]]』の発売から1年も経っていない時期であり、数ヶ月前には原作が『[[ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン>復刻版ミニゲーム機収録タイトルリンク]]』にも[[収録されている>https://www.nintendo.co.jp/clvs/soft/seiken.html]]。~ 原作ファンにとっては食傷気味と言っていい状況であったため、僅かな追加要素を加えただけの原作尊重リメイクとして作成された本作の立ち位置の微妙さが尚のこと際立つことになってしまった。 幕間エピソード追加や3D化・フルボイス化などリメイクならではの追加要素があるため、上述の問題点に目をつぶれる人であれば遊ぶ価値はあると言えるが、そうでなければ、原作そのままの移植版を手に取るのが無難だろう。 ---- **余談 -前作にNintendo Switchで『聖剣伝説コレクション』、余興という意味で『聖剣伝説 25th Anniversary Orchestra Concert CD』が発売され、本作が聖剣シリーズ再興の最重要な一手になる流れであった。 --YouTubeにて、菊田氏を招いての音楽祭(本作の楽曲をランキング形式で視聴)も開催されるなど、期待の薄かった前評判をなんとか払拭せんとスクエニの努力が垣間見れた。 --''肝心のゲームで台無しにした''というのがなんともいえない事なのだが。 -2020年4月24日に『3』のリメイク版『[[聖剣伝説3 TRIALS of MANA]]』が発売された。 --本作の評価が芳しくない為不安の声も多く見られていたが、本作で挙げられた問題点の多くが払拭されており一転して高評価となっている。 ---ただし、ほぼそのままな原作再現など本作との共通点も見られてはいる。 -スタッフロールによると本作は''開発は海外の開発スタジオを複数起用''しており、プログラム以外の3Dモデル関係もモーション共々海外産となっている。 --スクウェア・エニックス社の関連スタッフの関与は専ら、監修やローカライズ・広報・販売業務に留まっている。 --しかし、本作の開発を行った海外ディベロッパーの各社はほとんどが日本では無名であり、単純な開発力の問題やオリジナル版へのリスペクト精神の差が、本作の原作からの劣化っぷりや初期版のバグの酷さに繋がった要因として推察されている。 --特に発売初期のバグの多さは本作のプログラムを担当した開発のメインでもあるQ Studios社がCS機での開発実績の少ない東南アジアのタイのゲーム会社であることが影響したのではないかと指摘されている。

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