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#contents() ---- *英雄伝説 碧の軌跡 【えいゆうでんせつ あおのきせき】~ |ジャンル|RPG|&amazon(B004TJ4M1Q)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売・開発元|日本ファルコム|~| |発売日|2011年9月29日|~| |定価|通常版:6,090円&brドラマCD同梱版:7,980円&br完全予約限定版:9,240円&brダウンロード版:5,200円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ]]''| ---- **概要 -英雄伝説シリーズ第三期『軌跡シリーズ』の一作で、内部的なナンバリングはそのまま『英雄伝説VII』の後編扱い。前作『[[零の軌跡>英雄伝説 零の軌跡]]』のエピローグからおよそ1ヵ月後から物語は始まる。 --前作との間の期間はドラマCDで描かれている。 -ドラマCDに加えエリィとティオのねんどろいどぷちが同梱された完全予約限定版が発売された。 -キャラグラフィックがエナミカツミ氏からファルコム社内絵師(詳細不明)に変更になった。 --会話グラはそのままだが、戦闘でのカットインなどは全て新規に描き起こされている。 -前作を未プレイの人のためにメインシナリオや設定を復習できるプレストーリー機能がついている。が、楽しむためにはプレイ済みが望ましい。 **ストーリー > 人間の感覚や身体能力を驚異的に高める薬剤「グノーシス」にまつわる一連の事件は、ロイドたち特務支援課の活躍によって解決に導かれた。~ だが、それは壮大なる物語のプロローグに過ぎなかった。~ はたしてクロスベルを震撼させる新たな事件とは……? “零”から“碧”へ、さらなる深みを増した世界に対し、特務支援課の新たな挑戦が始まる! **前作からの変更点 -基本パーティーは前作の4人にスポット参戦だったノエルとワジを加えた6人。選択で2人がサポートに回る。 --終章では総勢8人になるが、同行できるのは6人までなのでよく考えて選ぼう。 -自動車が使用可能になった。 --序盤で支援課専用の導力車が支給される。これでクロスベルのダンジョン以外の殆どの場所にワープ移動できるようになる。 --しかもパーツを買って改造することで、HP・EP・CPを無料で回復できるようになる。 ---あまりにも万能すぎて、前作で追加されたばかりのバスやホテルが即座にいらない子に……。 --シナリオに影響は無いが、パーツをつけて外観を変えたり、痛車にすることもできる。 -フィールド上にオブジェクトが登場。フィールドアクションで破壊することにより、ランダムでアイテムが入手できる。縛りプレイなどでは特に有用となる。 --CGムービーが入るときも存在しているので、景観を損なうのが難点か。 --地下駐車場のゴミ箱を破壊すると食材が出てくるなど、謎(というか適当)な部分もある。 -EXTRA要素の追加。 --ギャラリー要素に「CRAFT((Sクラフトやコンビクラフトを閲覧できる))」の項目が追加、「EVENT」は終盤のイベントを閲覧できる内容が変更された。 --2周目以降の引継ぎ要素にマスタークオーツ登場に伴う「引継ぎ:マスタークオーツ」と「AUTO戦闘モード追加((戦闘が自動化・高速化、通常攻撃のみ行う。))」が追加された。 -重要なイベントの一部の台詞にボイスがついている。 -文字フォントが変わっている。(ブロック体だったのが明朝体になっている。一般に明朝体は文章向けと言われている) ***戦闘システム -新システム『バースト』の追加。各章のクライマックスになると戦闘画面の右上に「バーストゲージ」が表示され、満タンになると任意で発動できる。 --バースト発動中は味方のディレイ値が0になり、敵の行動順を無視して連続して行動でき、魔法は詠唱なしで即座に発動できる。また状態異常の回復・CPの自動増加が発生する。 --ゲージは味方の攻撃などで少しずつ溜まり、発動から8回行動すると0になってバーストが解除される。またゲージが満タンのまま放置すると減ってしまう。 -『マスタークオーツ』の追加。オーブメントの中央にセットする特殊なクオーツで、戦闘で経験値を溜めると成長する。各種1個ずつしか入手できない。 --キャラの能力値加算効果及び様々な特殊効果を持ち、アーツに必要な属性値も一般クオーツより多め。レベルが上がるにつれこれらが成長する。 --最高のレベル5になればパーティー全体に効果を持つ『マスターアーツ』が使えるようになる。クオーツの属性ごとに様々な効果があり、後半戦では特に重要。 ---マスタークオーツ導入で各キャラの属性固定スロットが減ったので、アーツ編成の自由度が上がった。基礎能力値の補強もしやすくなっている。 -アーツやチームラッシュの演出をスキップできるようになった。 --毎回長くなる傾向にあったのでありがたいところ。どうせならポケモンやスパロボのように一括で演出をON/OFFできるようにしてくれるとより良かったのだが。 -前作では小数点以下切り捨てだったタクティカルボーナスが小数点以下も計算されるようになった。 ***バランス -新システムの追加に併せて多少難易度は上昇している。RPG初心者は素直にノーマル以下で遊ぼう。 --新システムを使いこなせれば雑魚戦は前作よりスピーディにこなせるだろう。 --一部のボス戦はかなり高い難易度調整になっている。こちらの最大HPの倍以上のダメージを与えてきたり、防御回避不能の強制全滅技を繰り出してきたりする。 -前作で猛威を振るった一部のクラフトは弱体化。それ以外も少しずつ調整が入っている。 --レベルアップとともに強化されたり新技が追加され、以前の強さを取り戻すようになっている。 -武器の改造が手軽にできるようになったので、こまめに施しておくと少し楽に進める。 ***シナリオパート -絆システムの拡大。 --前作ではエリィ・ティオ・ランディの3人だけだったが、本作ではそれ以外のパーティーメンバーや非戦闘キャラにも絆ポイントが存在し、コンビ技の強化や強力なアイテムの入手イベントが発生する。 ---ファルコムの悪ノリがそこかしこで炸裂しており、「''どこのギャルゲーだ''」「硬派に戻せ((元々ファルコムのゲームは硬派とは言い難いので、この表現はいささか不適当ではある。))」「いやもっとやれ」等、反応も様々。 ---また、実績開放の一部であり、周回引継ぎすると最初から技が強化されているという利点がある。そのため1周目から緻密なポイント調節とセーブ&ロードで実績を埋める「''全員攻略''」が推奨されている…のだが、絆ポイントは一切視覚化されないという難点があるため、攻略サイトを見なければまず不可能。次回作では絆ポイントが視覚化され、わかりやすくなっている。 -隠しクエストの増加。 --本作ではゲーム内の1日に1つは隠しクエストがある。実績やアイテムに関わるものもあるので注意しよう。 --1つの隠しクエストが次の隠しクエストの発生条件になっていることもある。 **評価点 -「零」から引き継いだ「壁を乗り超える」、「碧」からの「同じ時代を生きていく」というテーマを軸とした物語は評価が高い。空の軌跡から張り続けていた伏線の大部分を回収。前作の謎も解き明かされている。 --それに伴い『空の軌跡FC/SC』のエステルとヨシュア、『3rd』のケビンとリース等多くの人物がクロスベルに駆けつけ、事件解決に尽力する。零のように主人公らの見せ場を奪うわけでもなく、それでいてどちらも衝撃的なシーンでプレイヤーを感動させてくれる。ある存在との「別れ」は涙なしでは語れない。 --メイン以外にも様々な人物が過去作から登場し、シリーズファンをにやりとさせる。特に中盤の山場である「西ゼムリア通商会議」は、様々な国の代表が一堂に会し、ある種のオールスター状態。 ---また、その最中に閃の軌跡に関する話題もちらっとではあるが触れられている((今作とちょうど同じ時期に、『閃』の主役の「特科クラスVII組」も帝国で、本作と関わりのあるレベルの活躍している。また、今作で登場する名前のないあるキャラクターは、実は閃の軌跡における敵幹部の一人である。)) --「空」時点から幾度か存在を仄めかされていた戦闘集団「猟兵」が初めてメインとして登場している。 ---かつては「結社」の手足というイメージが定着してしまっておりその評価は芳しくなかったが、「赤い星座」の出現によってその認識は大きく覆されることとなる。 --また、次回作に向けての新たな設定や伏線も多く登場した。EDは所謂「次回作への橋渡し」「次回予告」な内容で今までのシリーズでもかなり異色の内容となり、強い希望を感じさせると同時に次回作以降への期待も強く煽るような出来になっている。 -やりこみ要素の拡充。 --図鑑類や複雑化した釣りに加え、実績・隠し要素なども増加している。前作では名前だけ登場したミニゲーム「ポムっと!」も遊べる。 ---最短で2周すれば実績・隠し要素のコンプリートは可能。アイテムコンプは5周必要。 -戦術の多様化。 --キャラの増加・新システムの追加により取れる戦術の幅が広がった。独自のやりかたで攻略を楽しもう。 -良好なキャラバランス。 --ノエルだけは終盤では長所であるステータス異常攻撃を無効化する敵が多いため使い勝手が悪いが((同様の理由でランディも終盤では使い勝手が落ちるが、あちらは元々の火力自体が高いため終盤でも十分主力として使える性能である。))、それ以外のキャラクターにはそれぞれ優れている部分がありシリーズでも比較的良好なキャラバランスである。 ---そのノエルにしても集団戦で役に立つ「SグレネードII」や能力低下が有効な相手ならボスでさえ無力化できる「ヘビースマッシュ」が強力であり、中盤まではむしろ強力なキャラクターであるため、全く使い道が無いわけではない。 -自由度の向上。 --第二章に入ればクロスベルの殆どのエリアに行けるようになる。イベントも豊富。 --これにより英伝ファンは住民との会話を堪能するべく、クロスベル中を駆けずり回って嬉しい悲鳴を上げることになる。前述の自動車も大いに活用しよう。 --前作までは会話やシナリオ上の都合からか、ラスダンに入ると戻れない仕様だったが、今作ではラスダンに入っても戻れるようになっている。 -楽曲の充実。 --特定の敵との戦闘BGMである「Unfathomed Force」「The Azure Arbitrator」、あるイベント時に流れる「Miss You」「To be continued!」など、ファルコムjdkならではの良曲は今作も健在。 --シーンによっては空の軌跡からのアレンジ曲が流れるなど、BGMの使い方が実に上手くイベントの臨場感を煽る。 **賛否両論点 -クラフト関連 --ディレイが弱体化。これによりディレイ効果を持つクラフトが軒並み弱くなった。前作が強すぎたとも言えるが。 --クラフト強化は強化の格差が激しい。実質「消費CPが増えただけ」なんてものも存在する。また、新規クラフトも使い勝手が良くない。 -ロイド、ランディ、ワジ、リーシャは物語全体に見せ場があるのに対し、それ以外のキャラの見せ場が少なくなった。女性キャラに顕著。 --シナリオの風呂敷を畳むのに尺を取られ、個別イベントも絆ポイントによる選択式なので割を食っている。また、エリィとティオに関しては前作で大半のエピソードを描き終えてしまったというのも理由の一つである。 ---絆イベントも、ランディ、ワジ、リーシャが過去に関わる重要な話であり一枚絵も挿入される等凝った内容であるのに対し、エリィ、ティオ、ノエルは短い会話だけで終わる等、格差が激しい。また、コンビクラフトが強化されるという性質上、物理キャラのランディ、リーシャに比べて、アーツキャラのエリィ、ティオは選ぶ旨味が少ない。 --ただし、キャラクター的には控えめであっても、前述したように物語そのものは過去に類を見ない最大級のスケールで描かれているため、一概に批判点とも言い難い。閃の軌跡をプレイしていればさらに楽しめるという逆転現象も。 -肝心の「結社」の計画等は意味深に語られるのだが、それは今回の騒乱にはあまり関係なく次回作に持ち越し。 --登場する幹部格である「使徒」および「執行者」も、「空」に比べて少なくなっており、戦闘できるのも二人のみ。ただしそのうちの一人は''軌跡シリーズ最強のキャラ''と名高く、撃破すること自体が実績獲得の条件となるほどの威容を秘めている((ある程度ダメージを与えれば、全滅しても先に進めるようになる。))。もう片方も、「執行者」の中ではもっとも結社の中枢に近い人物である。 --また、本作で計画の全容が明らかになると期待したユーザーからの落胆は決して小さくないものの、結社とその計画がシナリオに深く関与するか、それをシナリオのメインに据えるかというのは、シナリオの完成度そのものとは直接的には関係の無い問題であるため、そこは念頭に置くべき事ではある。 -黒幕の扱い #region(ネタバレ注意) -簡単に言えば最終的に黒幕Aは改心、黒幕B((ブルブランではない))は逃亡するのだが… -意志が固いと思われたAとは意外とあっさり決着がつくのでゲームとしては少々肩透かし。~ 近年にゲームに良くある、平行線議論を繰り返した結果、結局は議論で何の決着も付かず武力で決着を付けるという展開は批判されがちではあったが、議論だけで戦わずに決着が付くのも、それはそれで問題だったと言える。 --Aが改心する理由の一つになったであろう事柄が語られる寄り道イベントがあるので、それも絡めた展開ならよかったのではという意見もある。 -好き放題に行動して悪びれないBに対して、特務支援課が「自分に正直で憎み切れない」という感想を述べたことで、引き起こした事件の重大さや非道っぷりにフラストレーションが溜まっていたプレイヤーから見るとあまりにも甘いとする意見が見られた。 --ただしこの感想は、Bの親友だったエリィと、猟兵上がりで黒幕以上にえげつない存在を多く見てきたランディが呆れ半分に述べたもので、決して肯定的なものではない。またBの逃亡はラスボス戦後であるため疲弊した味方がBに追いすがれる状況ではなく、そもそも最終盤の主人公たちの最大の目的はキーアの奪還であり、黒幕の真意を確かめようとはしていても拘束などを目的に挙げてはいない。 --ゲームとしては既にエンディングなので、話を綺麗に締めようとして他者への非難の描写は避けた結果ともとれる。 ---余談だが後発作の『閃の軌跡IV』で再会した際は「あなたは最低」と辛辣。 //閃4は知らないけど何年も後の作品の描写とか余談でいい #endregion -主人公の武器について --主人公の宿敵とも言えるボス戦の会話で「兄の遺したトンファーで……」という台詞があるのだが、その直前の宝箱でより強い武器が手に入るため、ほとんどのプレイヤーは兄の形見のトンファーを装備しておらず、作中屈指の盛り上がり所である筈が苦笑いをしてしまう場面になってしまった。 --尚、シナリオの流れを考慮しなければ、強敵の直前に強力な武器が配置されるのは至って妥当である。そのため、スタッフ間の連絡が上手くいかなかった可能性があると考えられる。 **問題点 -バグの増加。種類も発生頻度も増えている。 --一番問題なのが原因不明の電源落ち。マップや場面が切り替わる所で発生しやすい。 --エレベーターバグ。エレベーターで上がる/降りると地面にめり込んでしまい抜け出せなくなる。''ラスボス手前で発生しやすい。'' --終章のイベントで、本来いないはずのキャラがいたり、キャラの位置がおかしかったり、キャラが消えたりするバグがある。シナリオ重視のこのゲームでは結構痛い。 --その他釣りバグなど細かいバグ多数。前作とシステムはそう変わらないのに、どうしてこうなった? --DL版のみ、これらの改善が見られた模様。気になる人はDL版を購入しよう。 -プレイ時間が2周目に引継がれなくなった。 --そのため、プレイ時間が100時間になると取れる実績が取りづらくなった。面倒な人はACアダプタを繋ぎ放置推奨。 **総評 -続編という性質上前作のプレイが前提だが、前作を楽しめた人はほぼ確実に満足する出来になっている。演出・展開の熱さではシリーズ随一だろう。 --見た目の印象が軽いので敬遠する人もいるかもしれないが、シリーズファンなら確実に押さえておくべき作品。是非プレイしてみて欲しい。 --今後のストーリーの伏線も練られており、シリーズの続編としては十分な役割を果たしていると言える。 -続編としてPS3/PSvita用ソフト「[[閃の軌跡>英雄伝説 閃の軌跡]]」が2013年9月26日に発売。舞台が遂に「エレボニア帝国」へ遷移した。尚、時系列は「零の軌跡」とほぼ同時期。 -それに合わせPSvita用ソフト「碧の軌跡 Evolution」が2014年6月12日に発売された。 **余談 -今作に登場したミニゲーム「ポムっと!」は後にiOS・Androidで配信された。 -作中のキャラクターのロイドの台詞「君は俺がもらう」は、彼の性格を端的に表したかのような台詞としてカルト的な人気を誇る。 --公式でネタにされ、ファルコムラジオでロイド役の柿原氏が出演したときは「''ロイドのファルコムラジオ ~君は俺がもらう~''」となった。 **その後の展開 -2020年8月27日に、本作の後日談となる『[[英雄伝説 創の軌跡]]』が発売された。 ---- *英雄伝説 碧の軌跡 Evolution 【えいゆうでんせつ あおのきせき えう``ぉりゅーしょん】 |ジャンル|ストーリーRPG|&amazon(B00JK9JOS6)| |対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~| |発売元|角川ゲームス|~| |企画・監修|日本ファルコム&br()キャラアニ|~| |開発元|ピラミッド|~| |発売日|2014年6月12日|~| |定価(税別)|通常版:5,800円&brダウンロード版:4,800円&br限定版:7,800円&brキャラアニ限定BOX:9,800円&brキャラアニ限定BOX&限定版セット:17,600円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ]]''| ---- **概要(Vita) 英雄伝説 碧の軌跡をフルボイス化し、若干の追加要素を加え移植したゲーム。~ キャッチコピーは「&ruby(エボリューション){進化}、&ruby(アクセラレーション){加速}―」。~ 『零Evo』より容量が小さくなっている。(2544MB→1794MB)~ 主題歌は一新され、「碧い軌跡」から「碧き願い」になっている。~ 発売前に序章を丸ごと楽しめる体験版が配布され、最後までプレイすると特典が手に入る。~ 『零Evo』のクリアデータとセーブデータがあれば、本作に引き継いでプレイができる。 **主な追加・変更点(Vita) -メインストーリーのフルボイス化。 --『零Evo』で批判の多かったモブキャラのボイスは変更されている。 --ツァイト、ヴァルドの声優である滝下毅氏が鬼籍に入ったため、滝下毅氏の同期であり友人だった龍谷修武氏が代役を務めた。特に違和感なく受け入れられている。 --共和国大統領や第六柱などのキャラにも始めて声優が付いた。結社の最高幹部など正体が不明であるキャラクターにもボイスが付き、どういう人間なのかを大まかに把握できるようになっている。 ---帝国テロリストのリーダーの声優は何故か『閃』から変更。鉄機隊にも新たに声優が起用され、そのうちの一人は『閃II』でも同一キャストで登場している。 --「西風の旅団」の読み方は『零Evo』では「せいふう」と読んでいたが本作では「にしかぜ」となっているなど、2013年に発売された『閃』に合わせている部分もある。 --PSP版の時点でたまにボイスが流れる仕様だったので『零』→『零Evo』のようなインパクトは無いが、それでもフルボイスの恩恵は大きい。 ---特に大陸中の有力者が一堂に会する「西ゼムリア通商会議」もフルボイスであることは嬉しいところ。 -テキストの自動スクロールが実装された。 -グラフィックがHD化。 --雨が降っている時にカメラが濡れる、光源の位置によってきちんと計算された影が表示される、夜の明かりなどのエフェクトが追加されているなど、HD化に伴いマップに対する演出力も強化されている。 -ムービーが全体的に作り直されている。 -導力車のデザイン変更の種類が新たに10種追加。 --カスタマイズ可能になった時点で最初から所持している。そのため他のペイントカラーを手に入れなくてもすぐにデザイン変更を行うことができる。 -一部の誤字脱字、バグを修正。 --2章の支援要請の「21層降りる」が「20層降りる」になっているなど((PSP版の「21層降りる」は当時から「計算ミスではないか?」と言われていた))。 --終章に入ると没収されたコインが戻ってこないなどのバグが修正された。 --ただし家具の達成率が0%のままや一部の誤字・脱字はまだ残っている。 -一枚絵の追加。 --一章の乳揉みイベント、二章のオリビエとミュラーの初登場シーン、インターミッションの水着切り裂きクエストなどに一枚絵が追加。量的にはかなり充実している。 -BGMをアレンジ。ご丁寧に『空』から登場したBGMもアレンジしている。 -支援要請が5つ追加。 --これにより、上級捜査官1stの取得がPSP版より容易になった。 -引き継ぎ系の多くが半分のポイントで解放可能になった。 -終章でスポット参戦するキャラがサポートクラフトを使うようになった((PSP版では使わなかった。))。 -その他『零Evo』から改善された点。 --動作の安定性はかなり良好でフリーズやエラーが非常に起きにくい。あるとすれば2章のオリビエの支援要請でフリーズがあるくらいである。 --フォントはPSP版のものをそのまま高解像度にして使用しており、かなり見やすい。 --セーブ・ロード時のサムネイル表示がセーブ時の位置でのスクリーンショットに対応している。 ---PSP版では対応していたが、『零Evo』では対応していなかったため、喜びの声を上げるプレイヤーが続出した。 ---初期verではセーブデータアイコンに不具合があるので、それを修正するパッチが出ている。 **賛否両論点(Vita) -BGMについて。 --BGMのアレンジについては『零Evo』程好き嫌いの激しいアレンジは少なくなっているものの、「うまくアレンジできている」「PSP版のほうがいい」「原曲との切り替え機能があれば良かった」といった意見が多く見られる。 --『零Evo』にも登場したBGMはそのまま使われている。 ---PSP版においては『零』のBGMのアレンジがいくつか存在したが、これらも『零Evo』のBGMに差し替えられている。新しくアレンジし直されたのは「予兆」の1曲のみ。その結果、雰囲気に合っていないシーンがいくつか発生している。 ---上記のように不評を買った「Inevitable Struggle」の零evoアレンジ版もそのまま使用される。今作では終盤にかけてよく流れる曲なので一層批判が強い。 --音楽の使い所自体が変更された点もある。 ---主題歌に関しては事前にアナウンスがあった。 ---しかし、ジオフロントのBGMがPSP版では全く別のBGMだったが本作では『零Evo』のものになっている、「Get Over The Barrier! -silent devotion-」が「Get Over The Barrier! evolution!((『零Evo』ではそう表記され、原曲は「get over the barrier -Roaring Version-」と表記))」に変更されている等、理由もなく変更されている。 ---特に後者は元々はシリアスシーンで流れるBGMで、シリアスな曲調のBGMが本来戦闘シーンなどで使われるテンションの高いBGMになっているので「雰囲気を壊している」という意見が多々見受けられる。 **問題点(Vita) -ボイスについて。 --何故かランディの声のみ小さくなってしまっている。そのため一部のボイス((「デスストーム」、「デススコルピオン」などのクラフトや料理失敗時ボイス等)) が聞き取りづらい。 ---設定でボイス音量はいじれるものの、各キャラごとには対応していないので、ランディの声が聞こえるように音量を調節すると他のキャラの方がかなり喧しいことになってしまう。 --ロイドの声優による演技は、『零』『碧』『零evo』の頃と比べるとかなり灰汁の強い演技となっており、若干不評の声が出てきている。 ---これはロイドが再登場した『閃の軌跡II』でも同様の意見が出ている。演技指導に問題があると言われることも。 -追加の支援要請においてはテキストの出来が良くない。前後の場面で齟齬が生じていたり、一部のキャラが崩壊している面もある。 --特に第三章で追加された「森林道での探索」は内容が「軌跡らしくない」という意見が多く、更に本作の支援要請でトップクラスの面倒臭さを誇る。 -スタッフロールについては、新規に追加された一枚絵を順番に流していくという仕様になっている。 --特にスタッフロールに最初に出てくる一枚絵は内容的にふさわしくないという意見もある。 **総評(Vita) トータル面では『零Evo』と比べて初期動作の安定性がかなり良い方向に向かっており遊びやすくなっている。~ ただ上記の変更点には「蛇足」とする面があるので、大きなこだわりがなければグラフィックの強化やフルボイスがある碧Evoを、オリジナルを遊びたいという人はPSP版を、それぞれ選ぶといいだろう。 **余談(Vita) 2020年5月28日にプレイステーション4で『英雄伝説 碧の軌跡:改』が発売された。イベント&フィールド2倍速、戦闘4倍速となる「高速スキップモード」が搭載されており、快適なプレイングが可能となっている。ゲーム画面はPSP版を基に高画質化・60fpsに対応している。BGMはPSP版を基に高音質化し、キャラクターボイスは「Evolution」のものが流用されている。 ----
#contents() ---- *英雄伝説 碧の軌跡 【えいゆうでんせつ あおのきせき】~ |ジャンル|RPG|&amazon(B004TJ4M1Q)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売・開発元|日本ファルコム|~| |発売日|2011年9月29日|~| |定価|通常版:6,090円&brドラマCD同梱版:7,980円&br完全予約限定版:9,240円&brダウンロード版:5,200円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ]]''| ---- **概要 -英雄伝説シリーズ第三期『軌跡シリーズ』の一作で、内部的なナンバリングはそのまま『英雄伝説VII』の後編扱い。前作『[[零の軌跡>英雄伝説 零の軌跡]]』のエピローグからおよそ1ヵ月後から物語は始まる。 --前作との間の期間はドラマCDで描かれている。 -ドラマCDに加えエリィとティオのねんどろいどぷちが同梱された完全予約限定版が発売された。 -キャラグラフィックがエナミカツミ氏からファルコム社内絵師(詳細不明)に変更になった。 --会話グラはそのままだが、戦闘でのカットインなどは全て新規に描き起こされている。 -前作を未プレイの人のためにメインシナリオや設定を復習できるプレストーリー機能がついている。が、楽しむためにはプレイ済みが望ましい。 **ストーリー > 人間の感覚や身体能力を驚異的に高める薬剤「グノーシス」にまつわる一連の事件は、ロイドたち特務支援課の活躍によって解決に導かれた。~ だが、それは壮大なる物語のプロローグに過ぎなかった。~ はたしてクロスベルを震撼させる新たな事件とは……? “零”から“碧”へ、さらなる深みを増した世界に対し、特務支援課の新たな挑戦が始まる! **前作からの変更点 -基本パーティーは前作の4人にスポット参戦だったノエルとワジを加えた6人。選択で2人がサポートに回る。 --終章では総勢8人になるが、同行できるのは6人までなのでよく考えて選ぼう。 -自動車が使用可能になった。 --序盤で支援課専用の導力車が支給される。これでクロスベルのダンジョン以外の殆どの場所にワープ移動できるようになる。 --しかもパーツを買って改造することで、HP・EP・CPを無料で回復できるようになる。 ---あまりにも万能すぎて、前作で追加されたばかりのバスやホテルが即座にいらない子に……。 --シナリオに影響は無いが、パーツをつけて外観を変えたり、痛車にすることもできる。 -フィールド上にオブジェクトが登場。フィールドアクションで破壊することにより、ランダムでアイテムが入手できる。縛りプレイなどでは特に有用となる。 --CGムービーが入るときも存在しているので、景観を損なうのが難点か。 --地下駐車場のゴミ箱を破壊すると食材が出てくるなど、謎(というか適当)な部分もある。 -EXTRA要素の追加。 --ギャラリー要素に「CRAFT((Sクラフトやコンビクラフトを閲覧できる))」の項目が追加、「EVENT」は終盤のイベントを閲覧できる内容が変更された。 --2周目以降の引継ぎ要素にマスタークオーツ登場に伴う「引継ぎ:マスタークオーツ」と「AUTO戦闘モード追加((戦闘が自動化・高速化、通常攻撃のみ行う。))」が追加された。 -重要なイベントの一部の台詞にボイスがついている。 -文字フォントが変わっている。(ブロック体だったのが明朝体になっている。一般に明朝体は文章向けと言われている) ***戦闘システム -新システム『バースト』の追加。各章のクライマックスになると戦闘画面の右上に「バーストゲージ」が表示され、満タンになると任意で発動できる。 --バースト発動中は味方のディレイ値が0になり、敵の行動順を無視して連続して行動でき、魔法は詠唱なしで即座に発動できる。また状態異常の回復・CPの自動増加が発生する。 --ゲージは味方の攻撃などで少しずつ溜まり、発動から8回行動すると0になってバーストが解除される。またゲージが満タンのまま放置すると減ってしまう。 -『マスタークオーツ』の追加。オーブメントの中央にセットする特殊なクオーツで、戦闘で経験値を溜めると成長する。各種1個ずつしか入手できない。 --キャラの能力値加算効果及び様々な特殊効果を持ち、アーツに必要な属性値も一般クオーツより多め。レベルが上がるにつれこれらが成長する。 --最高のレベル5になればパーティー全体に効果を持つ『マスターアーツ』が使えるようになる。クオーツの属性ごとに様々な効果があり、後半戦では特に重要。 ---マスタークオーツ導入で各キャラの属性固定スロットが減ったので、アーツ編成の自由度が上がった。基礎能力値の補強もしやすくなっている。 -アーツやチームラッシュの演出をスキップできるようになった。 --毎回長くなる傾向にあったのでありがたいところ。どうせならポケモンやスパロボのように一括で演出をON/OFFできるようにしてくれるとより良かったのだが。 -前作では小数点以下切り捨てだったタクティカルボーナスが小数点以下も計算されるようになった。 ***バランス -新システムの追加に併せて多少難易度は上昇している。RPG初心者は素直にノーマル以下で遊ぼう。 --新システムを使いこなせれば雑魚戦は前作よりスピーディにこなせるだろう。 --一部のボス戦はかなり高い難易度調整になっている。こちらの最大HPの倍以上のダメージを与えてきたり、防御回避不能の強制全滅技を繰り出してきたりする。 -前作で猛威を振るった一部のクラフトは弱体化。それ以外も少しずつ調整が入っている。 --レベルアップとともに強化されたり新技が追加され、以前の強さを取り戻すようになっている。 -武器の改造が手軽にできるようになったので、こまめに施しておくと少し楽に進める。 ***シナリオパート -絆システムの拡大。 --前作ではエリィ・ティオ・ランディの3人だけだったが、本作ではそれ以外のパーティーメンバーや非戦闘キャラにも絆ポイントが存在し、コンビ技の強化や強力なアイテムの入手イベントが発生する。 ---ファルコムの悪ノリがそこかしこで炸裂しており、「''どこのギャルゲーだ''」「硬派に戻せ((元々ファルコムのゲームは硬派とは言い難いので、この表現はいささか不適当ではある。))」「いやもっとやれ」等、反応も様々。 ---また、実績開放の一部であり、周回引継ぎすると最初から技が強化されているという利点がある。そのため1周目から緻密なポイント調節とセーブ&ロードで実績を埋める「''全員攻略''」が推奨されている…のだが、絆ポイントは一切視覚化されないという難点があるため、攻略サイトを見なければまず不可能。次回作では絆ポイントが視覚化され、わかりやすくなっている。 -隠しクエストの増加。 --本作ではゲーム内の1日に1つは隠しクエストがある。実績やアイテムに関わるものもあるので注意しよう。 --1つの隠しクエストが次の隠しクエストの発生条件になっていることもある。 **評価点 -「零」から引き継いだ「壁を乗り超える」、「碧」からの「同じ時代を生きていく」というテーマを軸とした物語は評価が高い。空の軌跡から張り続けていた伏線の大部分を回収。前作の謎も解き明かされている。 --それに伴い『空の軌跡FC/SC』のエステルとヨシュア、『3rd』のケビンとリース等多くの人物がクロスベルに駆けつけ、事件解決に尽力する。零のように主人公らの見せ場を奪うわけでもなく、それでいてどちらも衝撃的なシーンでプレイヤーを感動させてくれる。ある存在との「別れ」は涙なしでは語れない。 --メイン以外にも様々な人物が過去作から登場し、シリーズファンをにやりとさせる。特に中盤の山場である「西ゼムリア通商会議」は、様々な国の代表が一堂に会し、ある種のオールスター状態。 ---また、その最中に閃の軌跡に関する話題もちらっとではあるが触れられている((今作とちょうど同じ時期に、『閃』の主役の「特科クラスVII組」も帝国で、本作と関わりのあるレベルの活躍している。また、今作で登場する名前のないあるキャラクターは、実は閃の軌跡における敵幹部の一人である。)) --「空」時点から幾度か存在を仄めかされていた戦闘集団「猟兵」が初めてメインとして登場している。 ---かつては「結社」の手足というイメージが定着してしまっておりその評価は芳しくなかったが、「赤い星座」の出現によってその認識は大きく覆されることとなる。 --また、次回作に向けての新たな設定や伏線も多く登場した。EDは所謂「次回作への橋渡し」「次回予告」な内容で今までのシリーズでもかなり異色の内容となり、強い希望を感じさせると同時に次回作以降への期待も強く煽るような出来になっている。 -やりこみ要素の拡充。 --図鑑類や複雑化した釣りに加え、実績・隠し要素なども増加している。前作では名前だけ登場したミニゲーム「ポムっと!」も遊べる。 ---最短で2周すれば実績・隠し要素のコンプリートは可能。アイテムコンプは5周必要。 -戦術の多様化。 --キャラの増加・新システムの追加により取れる戦術の幅が広がった。独自のやりかたで攻略を楽しもう。 -良好なキャラバランス。 --ノエルだけは終盤では長所であるステータス異常攻撃を無効化する敵が多いため使い勝手が悪いが((同様の理由でランディも終盤では使い勝手が落ちるが、あちらは元々の火力自体が高いため終盤でも十分主力として使える性能である。))、それ以外のキャラクターにはそれぞれ優れている部分がありシリーズでも比較的良好なキャラバランスである。 ---そのノエルにしても集団戦で役に立つ「SグレネードII」や能力低下が有効な相手ならボスでさえ無力化できる「ヘビースマッシュ」が強力であり、中盤まではむしろ強力なキャラクターであるため、全く使い道が無いわけではない。 -自由度の向上。 --第二章に入ればクロスベルの殆どのエリアに行けるようになる。イベントも豊富。 --これにより英伝ファンは住民との会話を堪能するべく、クロスベル中を駆けずり回って嬉しい悲鳴を上げることになる。前述の自動車も大いに活用しよう。 --前作までは会話やシナリオ上の都合からか、ラスダンに入ると戻れない仕様だったが、今作ではラスダンに入っても戻れるようになっている。 -楽曲の充実。 --特定の敵との戦闘BGMである「Unfathomed Force」「The Azure Arbitrator」、あるイベント時に流れる「Miss You」「To be continued!」など、ファルコムjdkならではの良曲は今作も健在。 --シーンによっては空の軌跡からのアレンジ曲が流れるなど、BGMの使い方が実に上手くイベントの臨場感を煽る。 **賛否両論点 -クラフト関連 --ディレイが弱体化。これによりディレイ効果を持つクラフトが軒並み弱くなった。前作が強すぎたとも言えるが。 --クラフト強化は強化の格差が激しい。実質「消費CPが増えただけ」なんてものも存在する。また、新規クラフトも使い勝手が良くない。 -ロイド、ランディ、ワジ、リーシャは物語全体に見せ場があるのに対し、それ以外のキャラの見せ場が少なくなった。女性キャラに顕著。 --シナリオの風呂敷を畳むのに尺を取られ、個別イベントも絆ポイントによる選択式なので割を食っている。また、エリィとティオに関しては前作で大半のエピソードを描き終えてしまったというのも理由の一つである。 ---絆イベントも、ランディ、ワジ、リーシャが過去に関わる重要な話であり一枚絵も挿入される等凝った内容であるのに対し、エリィ、ティオ、ノエルは短い会話だけで終わる等、格差が激しい。また、コンビクラフトが強化されるという性質上、物理キャラのランディ、リーシャに比べて、アーツキャラのエリィ、ティオは選ぶ旨味が少ない。 --ただし、キャラクター的には控えめであっても、前述したように物語そのものは過去に類を見ない最大級のスケールで描かれているため、一概に批判点とも言い難い。閃の軌跡をプレイしていればさらに楽しめるという逆転現象も。 -肝心の「結社」の計画等は意味深に語られるのだが、それは今回の騒乱にはあまり関係なく次回作に持ち越し。 --登場する幹部格である「使徒」および「執行者」も、「空」に比べて少なくなっており、戦闘できるのも二人のみ。ただしそのうちの一人は''軌跡シリーズ最強のキャラ''と名高く、撃破すること自体が実績獲得の条件となるほどの威容を秘めている((ある程度ダメージを与えれば、全滅しても先に進めるようになる。))。もう片方も、「執行者」の中ではもっとも結社の中枢に近い人物である。 --また、本作で計画の全容が明らかになると期待したユーザーからの落胆は決して小さくないものの、結社とその計画がシナリオに深く関与するか、それをシナリオのメインに据えるかというのは、シナリオの完成度そのものとは直接的には関係の無い問題であるため、そこは念頭に置くべき事ではある。 -黒幕の扱い #region(ネタバレ注意) -簡単に言えば最終的に黒幕Aは改心、黒幕B((ブルブランではない))は逃亡するのだが… -意志が固いと思われたAとは意外とあっさり決着がつくのでゲームとしては少々肩透かし。~ 近年にゲームに良くある、平行線議論を繰り返した結果、結局は議論で何の決着も付かず武力で決着を付けるという展開は批判されがちではあったが、議論だけで戦わずに決着が付くのも、それはそれで問題だったと言える。 --Aが改心する理由の一つになったであろう事柄が語られる寄り道イベントがあるので、それも絡めた展開ならよかったのではという意見もある。 -好き放題に行動して悪びれないBに対して、特務支援課が「自分に正直で憎み切れない」という感想を述べたことで、引き起こした事件の重大さや非道っぷりにフラストレーションが溜まっていたプレイヤーから見るとあまりにも甘いとする意見が見られた。 --ただしこの感想は、Bの親友だったエリィと、猟兵上がりで黒幕以上にえげつない存在を多く見てきたランディが呆れ半分に述べたもので、決して肯定的なものではない。またBの逃亡はラスボス戦後であるため疲弊した味方がBに追いすがれる状況ではなく、そもそも最終盤の主人公たちの最大の目的はキーアの奪還であり、黒幕の真意を確かめようとはしていても拘束などを目的に挙げてはいない。 --ゲームとしては既にエンディングなので、話を綺麗に締めようとして他者への非難の描写は避けた結果ともとれる。 ---余談だが後発作の『閃の軌跡IV』で再会した際は「あなたは最低」と辛辣。 //閃4は知らないけど何年も後の作品の描写とか余談でいい #endregion -主人公の武器について --主人公の宿敵とも言えるボス戦の会話で「兄の遺したトンファーで……」という台詞があるのだが、その直前の宝箱でより強い武器が手に入るため、ほとんどのプレイヤーは兄の形見のトンファーを装備しておらず、作中屈指の盛り上がり所である筈が苦笑いをしてしまう場面になってしまった。 --尚、シナリオの流れを考慮しなければ、強敵の直前に強力な武器が配置されるのは至って妥当である。そのため、スタッフ間の連絡が上手くいかなかった可能性があると考えられる。 **問題点 -バグの増加。種類も発生頻度も増えている。 --一番問題なのが原因不明の電源落ち。マップや場面が切り替わる所で発生しやすい。 --エレベーターバグ。エレベーターで上がる/降りると地面にめり込んでしまい抜け出せなくなる。''ラスボス手前で発生しやすい。'' --終章のイベントで、本来いないはずのキャラがいたり、キャラの位置がおかしかったり、キャラが消えたりするバグがある。シナリオ重視のこのゲームでは結構痛い。 --その他釣りバグなど細かいバグ多数。前作とシステムはそう変わらないのに、どうしてこうなった? --DL版のみ、これらの改善が見られた模様。気になる人はDL版を購入しよう。 -プレイ時間が2周目に引継がれなくなった。 --そのため、プレイ時間が100時間になると取れる実績が取りづらくなった。面倒な人はACアダプタを繋ぎ放置推奨。 **総評 -続編という性質上前作のプレイが前提だが、前作を楽しめた人はほぼ確実に満足する出来になっている。演出・展開の熱さではシリーズ随一だろう。 --見た目の印象が軽いので敬遠する人もいるかもしれないが、シリーズファンなら確実に押さえておくべき作品。是非プレイしてみて欲しい。 --今後のストーリーの伏線も練られており、シリーズの続編としては十分な役割を果たしていると言える。 -続編としてPS3/PSvita用ソフト「[[閃の軌跡>英雄伝説 閃の軌跡]]」が2013年9月26日に発売。舞台が遂に「エレボニア帝国」へ遷移した。尚、時系列は「零の軌跡」とほぼ同時期。 -それに合わせPSvita用ソフト「碧の軌跡 Evolution」が2014年6月12日に発売された。 **余談 -今作に登場したミニゲーム「ポムっと!」は後にiOS・Androidで配信された。 -作中のキャラクターのロイドの台詞「君は俺がもらう」は、彼の性格を端的に表したかのような台詞としてカルト的な人気を誇る。 --公式でネタにされ、ファルコムラジオでロイド役の柿原氏が出演したときは「''ロイドのファルコムラジオ ~君は俺がもらう~''」となった。 **その後の展開 -2020年8月27日に、本作の後日談となる『[[英雄伝説 創の軌跡]]』が発売された。 ---- *英雄伝説 碧の軌跡 Evolution 【えいゆうでんせつ あおのきせき えう``ぉりゅーしょん】 |ジャンル|ストーリーRPG|&amazon(B00JK9JOS6)| |対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~| |発売元|角川ゲームス|~| |企画・監修|日本ファルコム&br()キャラアニ|~| |開発元|ピラミッド|~| |発売日|2014年6月12日|~| |定価(税別)|通常版:5,800円&brダウンロード版:4,800円&br限定版:7,800円&brキャラアニ限定BOX:9,800円&brキャラアニ限定BOX&限定版セット:17,600円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ]]''| ---- **概要(Vita) 英雄伝説 碧の軌跡をフルボイス化し、若干の追加要素を加え移植したゲーム。~ キャッチコピーは「&ruby(エボリューション){進化}、&ruby(アクセラレーション){加速}―」。~ 『零Evo』より容量が小さくなっている。(2544MB→1794MB)~ 主題歌は一新され、「碧い軌跡」から「碧き願い」になっている。~ 発売前に序章を丸ごと楽しめる体験版が配布され、最後までプレイすると特典が手に入る。~ 『零Evo』のクリアデータとセーブデータがあれば、本作に引き継いでプレイができる。 **主な追加・変更点(Vita) -メインストーリーのフルボイス化。 --『零Evo』で批判の多かったモブキャラのボイスは変更されている。 --ツァイト、ヴァルドの声優である滝下毅氏が鬼籍に入ったため、滝下毅氏の同期であり友人だった龍谷修武氏が代役を務めた。特に違和感なく受け入れられている。 --共和国大統領や第六柱などのキャラにも始めて声優が付いた。結社の最高幹部など正体が不明であるキャラクターにもボイスが付き、どういう人間なのかを大まかに把握できるようになっている。 ---帝国テロリストのリーダーの声優は何故か『閃』から変更。鉄機隊にも新たに声優が起用され、そのうちの一人は『閃II』でも同一キャストで登場している。 --「西風の旅団」の読み方は『零Evo』では「せいふう」と読んでいたが本作では「にしかぜ」となっているなど、2013年に発売された『閃』に合わせている部分もある。 --PSP版の時点でたまにボイスが流れる仕様だったので『零』→『零Evo』のようなインパクトは無いが、それでもフルボイスの恩恵は大きい。 ---特に大陸中の有力者が一堂に会する「西ゼムリア通商会議」もフルボイスであることは嬉しいところ。 -テキストの自動スクロールが実装された。 -グラフィックがHD化。 --雨が降っている時にカメラが濡れる、光源の位置によってきちんと計算された影が表示される、夜の明かりなどのエフェクトが追加されているなど、HD化に伴いマップに対する演出力も強化されている。 -ムービーが全体的に作り直されている。 -導力車のデザイン変更の種類が新たに10種追加。 --カスタマイズ可能になった時点で最初から所持している。そのため他のペイントカラーを手に入れなくてもすぐにデザイン変更を行うことができる。 -一部の誤字脱字、バグを修正。 --2章の支援要請の「21層降りる」が「20層降りる」になっているなど((PSP版の「21層降りる」は当時から「計算ミスではないか?」と言われていた))。 --終章に入ると没収されたコインが戻ってこないなどのバグが修正された。 --ただし家具の達成率が0%のままや一部の誤字・脱字はまだ残っている。 -一枚絵の追加。 --一章の乳揉みイベント、二章のオリビエとミュラーの初登場シーン、インターミッションの水着切り裂きクエストなどに一枚絵が追加。量的にはかなり充実している。 -BGMをアレンジ。ご丁寧に『空』から登場したBGMもアレンジしている。 -支援要請が5つ追加。 --これにより、上級捜査官1stの取得がPSP版より容易になった。 -引き継ぎ系の多くが半分のポイントで解放可能になった。 -終章でスポット参戦するキャラがサポートクラフトを使うようになった((PSP版では使わなかった。))。 -その他『零Evo』から改善された点。 --動作の安定性はかなり良好でフリーズやエラーが非常に起きにくい。あるとすれば2章のオリビエの支援要請でフリーズがあるくらいである。 --フォントはPSP版のものをそのまま高解像度にして使用しており、かなり見やすい。 --セーブ・ロード時のサムネイル表示がセーブ時の位置でのスクリーンショットに対応している。 ---PSP版では対応していたが、『零Evo』では対応していなかったため、喜びの声を上げるプレイヤーが続出した。 ---初期verではセーブデータアイコンに不具合があるので、それを修正するパッチが出ている。 **賛否両論点(Vita) -BGMについて。 --BGMのアレンジについては『零Evo』程好き嫌いの激しいアレンジは少なくなっているものの、「うまくアレンジできている」「PSP版のほうがいい」「原曲との切り替え機能があれば良かった」といった意見が多く見られる。 --『零Evo』にも登場したBGMはそのまま使われている。 ---PSP版においては『零』のBGMのアレンジがいくつか存在したが、これらも『零Evo』のBGMに差し替えられている。新しくアレンジし直されたのは「予兆」の1曲のみ。その結果、雰囲気に合っていないシーンがいくつか発生している。 ---上記のように不評を買った「Inevitable Struggle」の零evoアレンジ版もそのまま使用される。今作では終盤にかけてよく流れる曲なので一層批判が強い。 --音楽の使い所自体が変更された点もある。 ---主題歌に関しては事前にアナウンスがあった。 ---しかし、ジオフロントのBGMがPSP版では全く別のBGMだったが本作では『零Evo』のものになっている、「Get Over The Barrier! -silent devotion-」が「Get Over The Barrier! evolution!((『零Evo』ではそう表記され、原曲は「get over the barrier -Roaring Version-」と表記))」に変更されている等、理由もなく変更されている。 ---特に後者は元々はシリアスシーンで流れるBGMで、シリアスな曲調のBGMが本来戦闘シーンなどで使われるテンションの高いBGMになっているので「雰囲気を壊している」という意見が多々見受けられる。 **問題点(Vita) -ボイスについて。 --何故かランディの声のみ小さくなってしまっている。そのため一部のボイス((「デスストーム」、「デススコルピオン」などのクラフトや料理失敗時ボイス等)) が聞き取りづらい。 ---設定でボイス音量はいじれるものの、各キャラごとには対応していないので、ランディの声が聞こえるように音量を調節すると他のキャラの方がかなり喧しいことになってしまう。 --ロイドの声優による演技は、『零』『碧』『零evo』の頃と比べるとかなり灰汁の強い演技となっており、若干不評の声が出てきている。 ---これはロイドが再登場した『閃の軌跡II』でも同様の意見が出ている。演技指導に問題があると言われることも。 -追加の支援要請においてはテキストの出来が良くない。前後の場面で齟齬が生じていたり、一部のキャラが崩壊している面もある。 --特に第三章で追加された「森林道での探索」は内容が「軌跡らしくない」という意見が多く、更に本作の支援要請でトップクラスの面倒臭さを誇る。 -スタッフロールについては、新規に追加された一枚絵を順番に流していくという仕様になっている。 --特にスタッフロールに最初に出てくる一枚絵は内容的にふさわしくないという意見もある。 **総評(Vita) トータル面では『零Evo』と比べて初期動作の安定性がかなり良い方向に向かっており遊びやすくなっている。~ ただ上記の変更点には「蛇足」とする面があるので、大きなこだわりがなければグラフィックの強化やフルボイスがある碧Evoを、オリジナルを遊びたいという人はPSP版を、それぞれ選ぶといいだろう。 **余談(Vita) 2020年5月28日にプレイステーション4で『英雄伝説 碧の軌跡:改』が発売された。イベント&フィールド2倍速、戦闘4倍速となる「高速スキップモード」が搭載されており、快適なプレイングが可能となっている。ゲーム画面はPSP版を基に高画質化・60fpsに対応している。BGMはPSP版を基に高音質化し、キャラクターボイスは「Evolution」のものが流用されている。 ----

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