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*くにおくんの超熱血!大運動会 【くにおくんのちょうねっけつ! だいうんどうかい】 |ジャンル|スポーツアクション|#amazon(B002UUUMVA)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売・開発元|アークシステムワークス|~| |発売日|2010年2月4日|~| |定価|4,179円(税5%込)|~| |プレイ人数|1~4人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|まさかの3D化&br()モッサリ動作&br()公式イラスト準拠の美形ダブドラ兄弟&br()オリジナルの女性キャラが作れる唯一のシリーズ|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 かつてFCでリリースされた、リアルファイト上等の『[[ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会]](以下、行進曲)』を3D化し、DS向けにリメイクした作品である。 開発には過去のくにおくんシリーズを手がけたスタッフも参加しており、『いけいけ熱血ホッケー部』や『くにおのおでん』を手がけた甲斐浩二がストーリーデザインを担当し、『行進曲』の音楽を担当した澤和雄が再び音楽を担当している。そのため作中では『行進曲』や『熱血物語』などの過去の作品で使用された音楽のアレンジ版が流れる場面もあるが、これらは基本的に原曲の作曲者である澤和雄自身によるリメイクということになる。 **あらすじ 明治時代に北米に渡り、現在では日本を代表する大企業へと成長した「トビオカコンチェルン」は人工知能を持った介護ロボットの開発を行う傍ら、裏では軍事用ロボットを生産し、莫大な利益を手にしている超ハイテク企業。マイケル・トビオカはその「トビオカコンチェルン」の御曹司であると同時に、17歳にして有名大学に通う文武両道の天才少年だった。 日本のアニメが大好きなマイケルは、ある日インターネットで情報を検索していた際に、日本で目覚しい活躍をしている高校生・くにおの存在を知る。くにおの経歴を調べていくうちに彼に興味を持ったマイケルは、くにおという存在が今後ロボットを開発していく上での優秀な研究対象になりうると判断し、自社のロボットとくにおのどちらが上か競わせるために「スーパー大運動会」の開催を計画する。 後日、くにおやその他優秀な高校生たちのもとにマイケルからの挑戦状が届けられる。ある者は優勝賞金のために名乗りを上げ、くにおはマイケル・トビオカの挑戦を受けるために、仲間たちとともに大運動会出場を決意するのであった。 **新要素 -チュートリアル&チャレンジモード --指定された条件で競技を行い、ミッションクリアを目的とするモード。クリア条件を達成することで、エディットモードで使用できる能力値ポイントや、顔パーツ、必殺技パーツなどを入手することができる。 -キャラクターエディットモード --プレイヤーがキャラクターの名前や外見、能力値や必殺技などを自由に設定し、オリジナルキャラクターでチームを作ることのできるモード。~ ここで作成したチームは各モードで自由に使用することが可能だが、キャラクターを作成するには前述したチュートリアル&チャレンジモードでポイントやエディットパーツを入手する必要がある。また、作成できるキャラクターは最大6人=1チーム分のみ。 **FC版からの変更点 ***グラフィック -キャラが3D化し、FC版に比べ手足の大きさがデフォルメされた形になった。 -各ステージも3D化し、奥行きがかなり広くなった。 ***操作面・アクション -攻撃方向は前後だけでなく、垂直・斜め奥・斜め手前にも攻撃できるようになった。 -デフォルト操作はダッシュが十字キーの前+A、ジャンプがBとなった。 --また、ダッシュは瞬時に全速力が出る訳ではなく、徐々にスピードアップするようになった。 -勝ち抜き格闘以外で使用可能であった、走りながら後方に攻撃できる「ひじ打ち」が廃止された。 -攻撃動作全般について大振りになり、外した時の隙が大きくなった。 -ステージ奥(手前)への移動について、斜め移動だけでなく、垂直に移動できるようになった。また、斜め・垂直方向に攻撃することも可能。 -気絶した場合、特定方向に十字キーを押すと、受け身のような動作で素早く移動しながら復帰できる。 --おそらく、FC版に存在した立ち上がりを狙ったハメループ防止と思われる。 ***システム -トーナメントモード --FC版で言う1人プレイだが、本作では『予選』『本選』『決勝』の3ラウンド方式となる。 --『予選』『本選』『決勝』それぞれ「各競技1回ずつ × 2大会」が1ラウンドとなる。表彰は1大会ごとに行われる。 --1ラウンドをクリアすると、次からはプレイ開始ラウンドを選択可能。 --後述の新規チームは、特定のチームでのトーナメントクリアが出現条件になっている。~ 全てのチームを選択可能にするには、最後に出現するチーム以外全てのチームでトーナメントクリアをする必要がある。 -チームの増加 --熱血・花園・冷峰・各校連合チームの他、サッカー編に登場した『服部学園』、ホッケー編に登場した『百合ヶ丘女子』、格闘伝説に登場したとらいち・とらじ含む『格闘チーム』など、13チームに増えた。 --上述のエディットチームを加えると、何と14チームから選択可能 -ランクシステム --チーム・選手にはそれぞれランク(S~D)が設定されており、総合力の高低が明確になっている。((ランク自体は5段階用意されているものの、通常使用できるチームの中には最低ランクである「D」ランクの選手やチームは存在せず、キャラクターエディットモードで極端に能力値の低い選手を作った場合のみ見ることができる。)) ---メンバー選択画面では体力の他、『ちから((パンチの攻撃力を表す「ぱんち」、キックの攻撃力を表す「きっく」の合計))』『すぴーど((ダッシュスピードの速さを表す「すぴーど」、ジャンプ力の高さのを表す「ばね」の合計))』『うたれづよさ』がメモリ形式で表示され、確認が可能。 ---ちなみに、FC版にも存在するチームのランクは熱血:B、花園:C、冷峰:A、各校連合:Bとなっている。 -タイプの追加 --選手には能力上の特徴に応じて「ばらんすたいぷ」「ぱわーたいぷ」「ぶきたいぷ」「すぴーどたいぷ」「すたみなたいぷ」に分類される。 ---「ぶきたいぷ」は武器攻撃時のノックバックが大きくなるなど、タイプに応じた強化が施され、キャラの個性化に一役買っている。 -難易度の選択 --難易度をやさしい・ふつう・むずかしいの3段階から選択可能 ---「やさしい」はFC版相当。 ---「ふつう」でも積極的に妨害を仕掛ける、武器技持ちがいればいの一番に武器を捨てにいく等、思考はかなり強化されている。ただし、プレイヤーが画面外に逃げれば延々と近くのCOM同士で殴り合うため、工夫すれば十分立ち回れる。 ***競技 -「玉割り競争」の代わりに「お宝争奪」が追加。 --ステージに数か所配置されたポイント(ベルトコンベアー、又は落下地点)に現れる宝箱を開けるとポイント入手。ポイントは宝箱だけでなく、既にポイント入手している選手を攻撃することで奪取することも可能。 --なお、「お宝争奪」は格闘種目であるため、必殺技が使用可能。 -上述の「お宝争奪」を含む全4種目について、コース・ステージが2種類になった。 -「勝ち抜き格闘」について --武器が一定時間毎で補充されるようになった。 --FC版ではステージ下に落ちると即死扱いであったが、本作では体力が減るだけでプレイは続行できる。 -得点について、試合中のアクション・順位によるポイントだけでなく、競技終了時の残り時間と、使用した選手のランクに応じて「タイムボーナス」「ランクボーナス」として加点されるようになった。 **評価点 -キャラクリエイトが可能 --能力だけでなく、必殺技も(最大3つまで)自由に設定できる。また、上述の「チュートリアル&チャレンジモード」を完全制覇すると、全能力が最大値というスーパーキャラも作成可能であり、作成の幅が広い。 --PS3版の『熱血行進曲オールスタースペシャル』もキャラクリエイトやチーム作成が可能だが、''『女性選手』が作成可能なのは現状本作だけ((PS3版では、1チーム当たりのコスト上限があり、強力な選手ばかり集めることができなくなっている。その制約もかなり厳しく、本作で言えば平均してBランクの選手しか集めることができない))''。 --女性選手のパーツを使うと女性扱いになり、「勝ち抜き格闘」中に下画面に表示されるセリフも女言葉になる。 -他のくにおくんシリーズとのコラボ --ホッケー編、サッカー編など、他のくにおくんシリーズの選手も参加しているため、他作プレイ済のプレイヤーはニヤリとすることも。 ---必殺技についても、本作用にアレンジされて導入されている((例:熱血新記録編の柔道技「火の玉すぱいく」は、倒れた相手を地面に叩きつけて大ダメージを与える技になっている))。 -詳細な能力の可視化により、選手の個性が分かりやすくなった。 --特にピーキーな能力を持つ選手の起用がしやすくなった。 --さらにタイプによって、より選手の個性を良く表している。 -ランクボーナスの導入で、弱いキャラを使用して勝利するメリットが生まれた。 --本作でランクを可視化しているため、この制度は有効活用できる。 -対戦環境の改善 --物投げによる不当な点数稼ぎ、立ち上がり狙いのハメループ、勝ち抜き格闘のステージ下放り込みによる即死など、FC版でゲームバランスを崩していたプレイは軒並み対策がされている。 **賛否両論点 -『逃げるが勝ち』傾向化 --本作のクロスカントリーと障害部屋は、以下の理由より、プレイ中に妨害しながら進むよりも、スピードに物を言わせる勝負になりがち。 ---3D化に伴い、クロスカントリーと障害部屋のステージが広くなり、攻撃を避けやすくなった。 ---FC版では1画面で前後のスクロール以外は全て見えていたため、他の選手の位置関係も明確に把握できた。しかし本作では、ステージの広大化により画面外の選手がコースアウトにならず、相手に出し抜かれやすくなった。 ---後述の問題点に記載の通り、攻撃後の隙が大きくなっているため、一度の攻撃ミスが命取りになる。 --単なる強キャラだけでなく、「いちじょう」「さわぐち」など足が速いが貧弱なキャラの活躍の場が増えた一方で、原作の最大の特徴である乱闘がしにくくなっている。 **問題点 -全体的に動作がもっさりしている --正確には、各動作に慣性が働くようになったため、FC版のようにキビキビ動くことができなくなった。 ---特に攻撃動作のフォロースルーによるタイムラグがかなり大きい。そのため、クロスカントリーや障害物走において、外すとほぼ確実に抜かれてしまうため、妨害目的での攻撃がしづらい。 --ハードの進化に伴い、リアルな動作に近づいた、とも捉えられるが爽快性は失われている。 -キーコンフィグの使い辛さ --オプションで変更できるキーコンフィグが2種類あり、デフォルトではない2はパンチはA、キックはB、ジャンプはA+Bとなっている。しかし、実際にプレイすると思いのほかジャンプがし辛い。 ---FC版ではパンチはA、キックはB、ジャンプはA+Bであったため、それを踏襲したと思われるが、FCとDSではボタン配置が異なっているため、同じ感覚では動作できない。 ---そもそも、一般的なDSの持ち方からして、A+B同時押しをするなら手の向きを意図的に変える必要があり、指の動作だけでは押すことができない。そのため、A+B同時押しというコマンド自体が実用的ではない。 --かといって、デフォルトのコンフィグが操作しやすいかと言えばそうでもない。 ---ダッシュが十字キーだけでできなくなっているため、FC版では可能だった「即ダッシュジャンプ」ができない。~ そのため、クロスカントリーや障害部屋の連続した段差がかなり登りにくくなっている。 -癖のあるキャラクターデザイン --キャラグラの手足が大きめに描かれているのに加え、走るフォームが全力で両手を振るスタイルになった。そのため、走っている場面ではキャラの顔が非常に分かりにくい。 --何故かイケメン化されたダブドラ兄弟((但し、初登場である「ダウンタウン熱血物語」時点の公式イラストから美形であり、SFCの「ダウンタウン熱血べーすぼーる物語」でもこちらの方が使われている。))など、絵自体も微妙に変えられており、FC版からのプレイヤーには不評。 -ストーリーモードの内容がどのチームを選んでも殆ど同じ(ネタバレ防止((本来ラスボスとして立ちはだかるはずのチームで挑んで優勝しても、何故か他のチームの時と同じになる。少しは変えてちょ。))) -チュートリアル&チャレンジモードの一部ステージが理不尽 --「むずかしい」の3ステージ、および14ステージ目は、ズルをしないとAランク((エディットモードで使用できる素材を完全開放するためには、全ステージのAランククリアが必須))獲得がほぼ無理。 ---3ステージ目は障害部屋を「わしお」でアイテムを持ったまま1位でクリアするというものだが、今作のわしおは何故か悲しいくらい弱体化している。 ---14ステージ目は障害部屋を「いちじょう」で1位クリアするというものだが、Aランク獲得のためには''敵全員を(貧弱ないちじょうで)倒す''必要がある。~ さらに、本作は上述の通り、ステージ途中での妨害行為が非常にしづらくなっており、一度レースに入るとほぼ不可能に近い。 ---そのため、ズル技((スタート前に相手の背中を押してフライングにさせ、体力を限界まで削った上でスタートする))を駆使する必要がある。これをしないとステージ中に倒すことは至難の業。 -タイプについて、「ばらんすたいぷ」だけは恩恵が無い。 --他のタイプは上述のように「武器攻撃時のノックバックが大きくなる」(ぶきたいぷ)、「スピードとジャンプ力が更に上がる」(すぴーどたいぷ)等メリットがあるのに、これだけ何もない。能力が低い&このタイプだと本当に使い物にならない。 ---しかも主人公格であるはずのくにおや、FC版では明らかにパワー型のりきもばらんすたいぷに該当する。くにおくんのゲームでこれはいかがなものか…。 -キャラクターエディットのUIの不親切さ --「[[パワプロシリーズ>実況パワフルプロ野球シリーズ]]」のように、エディットしたキャラデータとアレンジチームデータは独立していないため、チームの編成を変えたい場合は、変えたいメンバーのキャラエディットをいちからし直す必要がある。 --必ず、名前変更→外見変更→能力変更→必殺技変更 の順で画面遷移するため、能力や必殺技のみ変更したい場合に不便 --必殺技変更画面で必殺技解除→能力変更画面に遷移しても、解除した必殺技が元に戻っている。 ---そのため、必殺技に割り振ったポイントをパラメータに還元したい場合、いちいち必殺技画面で解除→作成完了→再作成の手順を踏む必要がある。 -キャラクターパラメータの一部不親切さ --本作ではキャラ選択の際、体力以外のパラメータも表示されるようになったが、何故か武器関係のパラメータは表示されない。 --一見すると悲しい能力だが、武器投げは最強のもりもとがランクBなのはこのため。 -一部の意味不明な必殺技 --「ぴざしゅーと」や「くまさん」等は、投げた時に見た目が変わるだけでメリットが見当たらない。 **軽度の問題点 -他シリーズからの参加校について --ホッケー編に登場した「大雪山高校」のメンバーからは「とびやま」「たるたに」のみの参加で、「あかい」「せら」「はなおか」は不在。固有グラもあり、チームメイトは6人まで登録できるのになぜわざわざ削除してオリジナルキャラを追加したのかわからない。 ---中途半端に参戦させるくらいならいっそ「四天王寺学院」や「幡場実業高校」といったホッケー編のライバルメンバーを集めた連合チームという手もあっただろうに…。 --また、「わーるどどっじ」はシリーズ常連の「うぃりあむ」(アメリカキャプテン)と「もるどふ」(ロシアキャプテン)が不在で、ぶーめらんしゅーとの使い手である「んじょも」(ケニアキャプテン)は出場こそしているが、必殺技として「ぶーめらん」があるのに何故か彼は使えない。 --「百合ヶ丘女子」に至っては「みか」だけが登場し、残り5人は皆オリジナルキャラ。キャプテンの「ようこ」すら不在((後に出た運動会シリーズでは、ようこはチアガールとして登場している))。ここまでくるとわざわざ名前を使わなくても適当にオリジナルの女子校を出せば済む話である((ちなみに百合ヶ丘女子は後の『オールスタースペシャル』や『乱闘行進曲』にも登場しているが、そちらでは本作のメンバーは全員リストラされ、オリジナルキャラ5人とホッケー部で登場した「かずよ」の6人で構成されている))。 -トーナメントモードの決勝戦の相手「トビオカCC」が人間の高校生ではなく''ロボット'' --ストーリーにもある通り自社のロボットとくにおのどちらが上か競わせるという、今回の「スーパー大運動会」開催目的にはこそ合致してはいる。~ しかし、過去作でも『外国人軍団』とはいえ必ず高校生が最終ボスであったのに対し、そもそも''人間ですらない相手''とプレイするのには違和感が生じる。 **総評 シリーズ最高傑作とも言われた人気作品のアレンジ版だが、その人気の最大の理由でもあった操作面・アクション面で取っつき辛くなってしまい、正当進化という訳にはならなかった。~ それでも、チーム追加やクリエイトによる選手作成など、決して劣化移植という訳でもない。~ FC版とは別物と考えれば、まずまず楽しむことはできる逸品。
*くにおくんの超熱血!大運動会 【くにおくんのちょうねっけつ! だいうんどうかい】 |ジャンル|スポーツアクション|#amazon(B002UUUMVA)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売・開発元|アークシステムワークス|~| |発売日|2010年2月4日|~| |定価|4,179円(税5%込)|~| |プレイ人数|1~4人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|まさかの3D化&br()モッサリ動作&br()公式イラスト準拠の美形ダブドラ兄弟&br()オリジナルの女性キャラが作れる唯一のシリーズ|~| |>|>|CENTER:''[[くにおくんシリーズリンク>くにおくんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 かつてFCでリリースされた、リアルファイト上等の『[[ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会]](以下、行進曲)』を3D化し、DS向けにリメイクした作品である。 開発には過去のくにおくんシリーズを手がけたスタッフも参加しており、『いけいけ熱血ホッケー部』や『くにおのおでん』を手がけた甲斐浩二がストーリーデザインを担当し、『行進曲』の音楽を担当した澤和雄が再び音楽を担当している。そのため作中では『行進曲』や『熱血物語』などの過去の作品で使用された音楽のアレンジ版が流れる場面もあるが、これらは基本的に原曲の作曲者である澤和雄自身によるリメイクということになる。 **あらすじ 明治時代に北米に渡り、現在では日本を代表する大企業へと成長した「トビオカコンチェルン」は人工知能を持った介護ロボットの開発を行う傍ら、裏では軍事用ロボットを生産し、莫大な利益を手にしている超ハイテク企業。マイケル・トビオカはその「トビオカコンチェルン」の御曹司であると同時に、17歳にして有名大学に通う文武両道の天才少年だった。 日本のアニメが大好きなマイケルは、ある日インターネットで情報を検索していた際に、日本で目覚しい活躍をしている高校生・くにおの存在を知る。くにおの経歴を調べていくうちに彼に興味を持ったマイケルは、くにおという存在が今後ロボットを開発していく上での優秀な研究対象になりうると判断し、自社のロボットとくにおのどちらが上か競わせるために「スーパー大運動会」の開催を計画する。 後日、くにおやその他優秀な高校生たちのもとにマイケルからの挑戦状が届けられる。ある者は優勝賞金のために名乗りを上げ、くにおはマイケル・トビオカの挑戦を受けるために、仲間たちとともに大運動会出場を決意するのであった。 **新要素 -チュートリアル&チャレンジモード --指定された条件で競技を行い、ミッションクリアを目的とするモード。クリア条件を達成することで、エディットモードで使用できる能力値ポイントや、顔パーツ、必殺技パーツなどを入手することができる。 -キャラクターエディットモード --プレイヤーがキャラクターの名前や外見、能力値や必殺技などを自由に設定し、オリジナルキャラクターでチームを作ることのできるモード。~ ここで作成したチームは各モードで自由に使用することが可能だが、キャラクターを作成するには前述したチュートリアル&チャレンジモードでポイントやエディットパーツを入手する必要がある。また、作成できるキャラクターは最大6人=1チーム分のみ。 **FC版からの変更点 ***グラフィック -キャラが3D化し、FC版に比べ手足の大きさがデフォルメされた形になった。 -各ステージも3D化し、奥行きがかなり広くなった。 ***操作面・アクション -攻撃方向は前後だけでなく、垂直・斜め奥・斜め手前にも攻撃できるようになった。 -デフォルト操作はダッシュが十字キーの前+A、ジャンプがBとなった。 --また、ダッシュは瞬時に全速力が出る訳ではなく、徐々にスピードアップするようになった。 -勝ち抜き格闘以外で使用可能であった、走りながら後方に攻撃できる「ひじ打ち」が廃止された。 -攻撃動作全般について大振りになり、外した時の隙が大きくなった。 -ステージ奥(手前)への移動について、斜め移動だけでなく、垂直に移動できるようになった。また、斜め・垂直方向に攻撃することも可能。 -気絶した場合、特定方向に十字キーを押すと、受け身のような動作で素早く移動しながら復帰できる。 --おそらく、FC版に存在した立ち上がりを狙ったハメループ防止と思われる。 ***システム -トーナメントモード --FC版で言う1人プレイだが、本作では『予選』『本選』『決勝』の3ラウンド方式となる。 --『予選』『本選』『決勝』それぞれ「各競技1回ずつ × 2大会」が1ラウンドとなる。表彰は1大会ごとに行われる。 --1ラウンドをクリアすると、次からはプレイ開始ラウンドを選択可能。 --後述の新規チームは、特定のチームでのトーナメントクリアが出現条件になっている。~ 全てのチームを選択可能にするには、最後に出現するチーム以外全てのチームでトーナメントクリアをする必要がある。 -チームの増加 --熱血・花園・冷峰・各校連合チームの他、サッカー編に登場した『服部学園』、ホッケー編に登場した『百合ヶ丘女子』、格闘伝説に登場したとらいち・とらじ含む『格闘チーム』など、13チームに増えた。 --上述のエディットチームを加えると、何と14チームから選択可能 -ランクシステム --チーム・選手にはそれぞれランク(S~D)が設定されており、総合力の高低が明確になっている。((ランク自体は5段階用意されているものの、通常使用できるチームの中には最低ランクである「D」ランクの選手やチームは存在せず、キャラクターエディットモードで極端に能力値の低い選手を作った場合のみ見ることができる。)) ---メンバー選択画面では体力の他、『ちから((パンチの攻撃力を表す「ぱんち」、キックの攻撃力を表す「きっく」の合計))』『すぴーど((ダッシュスピードの速さを表す「すぴーど」、ジャンプ力の高さのを表す「ばね」の合計))』『うたれづよさ』がメモリ形式で表示され、確認が可能。 ---ちなみに、FC版にも存在するチームのランクは熱血:B、花園:C、冷峰:A、各校連合:Bとなっている。 -タイプの追加 --選手には能力上の特徴に応じて「ばらんすたいぷ」「ぱわーたいぷ」「ぶきたいぷ」「すぴーどたいぷ」「すたみなたいぷ」に分類される。 ---「ぶきたいぷ」は武器攻撃時のノックバックが大きくなるなど、タイプに応じた強化が施され、キャラの個性化に一役買っている。 -難易度の選択 --難易度をやさしい・ふつう・むずかしいの3段階から選択可能 ---「やさしい」はFC版相当。 ---「ふつう」でも積極的に妨害を仕掛ける、武器技持ちがいればいの一番に武器を捨てにいく等、思考はかなり強化されている。ただし、プレイヤーが画面外に逃げれば延々と近くのCOM同士で殴り合うため、工夫すれば十分立ち回れる。 ***競技 -「玉割り競争」の代わりに「お宝争奪」が追加。 --ステージに数か所配置されたポイント(ベルトコンベアー、又は落下地点)に現れる宝箱を開けるとポイント入手。ポイントは宝箱だけでなく、既にポイント入手している選手を攻撃することで奪取することも可能。 --なお、「お宝争奪」は格闘種目であるため、必殺技が使用可能。 -上述の「お宝争奪」を含む全4種目について、コース・ステージが2種類になった。 -「勝ち抜き格闘」について --武器が一定時間毎で補充されるようになった。 --FC版ではステージ下に落ちると即死扱いであったが、本作では体力が減るだけでプレイは続行できる。 -得点について、試合中のアクション・順位によるポイントだけでなく、競技終了時の残り時間と、使用した選手のランクに応じて「タイムボーナス」「ランクボーナス」として加点されるようになった。 **評価点 -キャラクリエイトが可能 --能力だけでなく、必殺技も(最大3つまで)自由に設定できる。また、上述の「チュートリアル&チャレンジモード」を完全制覇すると、全能力が最大値というスーパーキャラも作成可能であり、作成の幅が広い。 --PS3版の『熱血行進曲オールスタースペシャル』もキャラクリエイトやチーム作成が可能だが、''『女性選手』が作成可能なのは現状本作だけ((PS3版では、1チーム当たりのコスト上限があり、強力な選手ばかり集めることができなくなっている。その制約もかなり厳しく、本作で言えば平均してBランクの選手しか集めることができない))''。 --女性選手のパーツを使うと女性扱いになり、「勝ち抜き格闘」中に下画面に表示されるセリフも女言葉になる。 -他のくにおくんシリーズとのコラボ --ホッケー編、サッカー編など、他のくにおくんシリーズの選手も参加しているため、他作プレイ済のプレイヤーはニヤリとすることも。 ---必殺技についても、本作用にアレンジされて導入されている((例:熱血新記録編の柔道技「火の玉すぱいく」は、倒れた相手を地面に叩きつけて大ダメージを与える技になっている))。 -詳細な能力の可視化により、選手の個性が分かりやすくなった。 --特にピーキーな能力を持つ選手の起用がしやすくなった。 --さらにタイプによって、より選手の個性を良く表している。 -ランクボーナスの導入で、弱いキャラを使用して勝利するメリットが生まれた。 --本作でランクを可視化しているため、この制度は有効活用できる。 -対戦環境の改善 --物投げによる不当な点数稼ぎ、立ち上がり狙いのハメループ、勝ち抜き格闘のステージ下放り込みによる即死など、FC版でゲームバランスを崩していたプレイは軒並み対策がされている。 **賛否両論点 -『逃げるが勝ち』傾向化 --本作のクロスカントリーと障害部屋は、以下の理由より、プレイ中に妨害しながら進むよりも、スピードに物を言わせる勝負になりがち。 ---3D化に伴い、クロスカントリーと障害部屋のステージが広くなり、攻撃を避けやすくなった。 ---FC版では1画面で前後のスクロール以外は全て見えていたため、他の選手の位置関係も明確に把握できた。しかし本作では、ステージの広大化により画面外の選手がコースアウトにならず、相手に出し抜かれやすくなった。 ---後述の問題点に記載の通り、攻撃後の隙が大きくなっているため、一度の攻撃ミスが命取りになる。 --単なる強キャラだけでなく、「いちじょう」「さわぐち」など足が速いが貧弱なキャラの活躍の場が増えた一方で、原作の最大の特徴である乱闘がしにくくなっている。 **問題点 -全体的に動作がもっさりしている --正確には、各動作に慣性が働くようになったため、FC版のようにキビキビ動くことができなくなった。 ---特に攻撃動作のフォロースルーによるタイムラグがかなり大きい。そのため、クロスカントリーや障害物走において、外すとほぼ確実に抜かれてしまうため、妨害目的での攻撃がしづらい。 --ハードの進化に伴い、リアルな動作に近づいた、とも捉えられるが爽快性は失われている。 -キーコンフィグの使い辛さ --オプションで変更できるキーコンフィグが2種類あり、デフォルトではない2はパンチはA、キックはB、ジャンプはA+Bとなっている。しかし、実際にプレイすると思いのほかジャンプがし辛い。 ---FC版ではパンチはA、キックはB、ジャンプはA+Bであったため、それを踏襲したと思われるが、FCとDSではボタン配置が異なっているため、同じ感覚では動作できない。 ---そもそも、一般的なDSの持ち方からして、A+B同時押しをするなら手の向きを意図的に変える必要があり、指の動作だけでは押すことができない。そのため、A+B同時押しというコマンド自体が実用的ではない。 --かといって、デフォルトのコンフィグが操作しやすいかと言えばそうでもない。 ---ダッシュが十字キーだけでできなくなっているため、FC版では可能だった「即ダッシュジャンプ」ができない。~ そのため、クロスカントリーや障害部屋の連続した段差がかなり登りにくくなっている。 -癖のあるキャラクターデザイン --キャラグラの手足が大きめに描かれているのに加え、走るフォームが全力で両手を振るスタイルになった。そのため、走っている場面ではキャラの顔が非常に分かりにくい。 --何故かイケメン化されたダブドラ兄弟((但し、初登場である「ダウンタウン熱血物語」時点の公式イラストから美形であり、SFCの「ダウンタウン熱血べーすぼーる物語」でもこちらの方が使われている。))など、絵自体も微妙に変えられており、FC版からのプレイヤーには不評。 -ストーリーモードの内容がどのチームを選んでも殆ど同じ(ネタバレ防止((本来ラスボスとして立ちはだかるはずのチームで挑んで優勝しても、何故か他のチームの時と同じになる。少しは変えてちょ。))) -チュートリアル&チャレンジモードの一部ステージが理不尽 --「むずかしい」の3ステージ、および14ステージ目は、ズルをしないとAランク((エディットモードで使用できる素材を完全開放するためには、全ステージのAランククリアが必須))獲得がほぼ無理。 ---3ステージ目は障害部屋を「わしお」でアイテムを持ったまま1位でクリアするというものだが、今作のわしおは何故か悲しいくらい弱体化している。 ---14ステージ目は障害部屋を「いちじょう」で1位クリアするというものだが、Aランク獲得のためには''敵全員を(貧弱ないちじょうで)倒す''必要がある。~ さらに、本作は上述の通り、ステージ途中での妨害行為が非常にしづらくなっており、一度レースに入るとほぼ不可能に近い。 ---そのため、ズル技((スタート前に相手の背中を押してフライングにさせ、体力を限界まで削った上でスタートする))を駆使する必要がある。これをしないとステージ中に倒すことは至難の業。 -タイプについて、「ばらんすたいぷ」だけは恩恵が無い。 --他のタイプは上述のように「武器攻撃時のノックバックが大きくなる」(ぶきたいぷ)、「スピードとジャンプ力が更に上がる」(すぴーどたいぷ)等メリットがあるのに、これだけ何もない。能力が低い&このタイプだと本当に使い物にならない。 ---しかも主人公格であるはずのくにおや、FC版では明らかにパワー型のりきもばらんすたいぷに該当する。くにおくんのゲームでこれはいかがなものか…。 -キャラクターエディットのUIの不親切さ --「[[パワプロシリーズ>実況パワフルプロ野球シリーズ]]」のように、エディットしたキャラデータとアレンジチームデータは独立していないため、チームの編成を変えたい場合は、変えたいメンバーのキャラエディットをいちからし直す必要がある。 --必ず、名前変更→外見変更→能力変更→必殺技変更 の順で画面遷移するため、能力や必殺技のみ変更したい場合に不便 --必殺技変更画面で必殺技解除→能力変更画面に遷移しても、解除した必殺技が元に戻っている。 ---そのため、必殺技に割り振ったポイントをパラメータに還元したい場合、いちいち必殺技画面で解除→作成完了→再作成の手順を踏む必要がある。 -キャラクターパラメータの一部不親切さ --本作ではキャラ選択の際、体力以外のパラメータも表示されるようになったが、何故か武器関係のパラメータは表示されない。 --一見すると悲しい能力だが、武器投げは最強のもりもとがランクBなのはこのため。 -一部の意味不明な必殺技 --「ぴざしゅーと」や「くまさん」等は、投げた時に見た目が変わるだけでメリットが見当たらない。 **軽度の問題点 -他シリーズからの参加校について --ホッケー編に登場した「大雪山高校」のメンバーからは「とびやま」「たるたに」のみの参加で、「あかい」「せら」「はなおか」は不在。固有グラもあり、チームメイトは6人まで登録できるのになぜわざわざ削除してオリジナルキャラを追加したのかわからない。 ---中途半端に参戦させるくらいならいっそ「四天王寺学院」や「幡場実業高校」といったホッケー編のライバルメンバーを集めた連合チームという手もあっただろうに…。 --また、「わーるどどっじ」はシリーズ常連の「うぃりあむ」(アメリカキャプテン)と「もるどふ」(ロシアキャプテン)が不在で、ぶーめらんしゅーとの使い手である「んじょも」(ケニアキャプテン)は出場こそしているが、必殺技として「ぶーめらん」があるのに何故か彼は使えない。 --「百合ヶ丘女子」に至っては「みか」だけが登場し、残り5人は皆オリジナルキャラ。キャプテンの「ようこ」すら不在((後に出た運動会シリーズでは、ようこはチアガールとして登場している))。ここまでくるとわざわざ名前を使わなくても適当にオリジナルの女子校を出せば済む話である((ちなみに百合ヶ丘女子は後の『オールスタースペシャル』や『乱闘行進曲』にも登場しているが、そちらでは本作のメンバーは全員リストラされ、オリジナルキャラ5人とホッケー部で登場した「かずよ」の6人で構成されている))。 -トーナメントモードの決勝戦の相手「トビオカCC」が人間の高校生ではなく''ロボット'' --ストーリーにもある通り自社のロボットとくにおのどちらが上か競わせるという、今回の「スーパー大運動会」開催目的に合致してはいる。~ しかし、過去作でも『外国人軍団』とはいえ必ず高校生が最終ボスであったのに対し、そもそも''人間ですらない相手''とプレイするのには違和感が生じる。 **総評 シリーズ最高傑作とも言われた人気作品のアレンジ版だが、その人気の最大の理由でもあった操作面・アクション面で取っつき辛くなってしまい、正当進化という訳にはならなかった。~ それでも、チーム追加やクリエイトによる選手作成など、決して劣化移植という訳でもない。~ FC版とは別物と考えれば、まずまず楽しむことはできる逸品。

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