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*真・三國無双4 Empires 【しんさんごくむそうふぉー えんぱいあーず】 |ジャンル|タクティカルアクション|&amazon(B000E5IT90)&amazon(B0019DBTFW)|&amazon(B000E5ELUG)&amazon(B000E5DS3W)| |対応機種|Xbox 360&br()プレイステーション2|~|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~|~| |発売元|コーエー|~|~| |開発元|コーエー(オメガフォース)|~|~| |発売日|2006年3月23日|~|~| |定価|【360】4,270円&br()【PS2】4,280円|~|~| |プレイ人数|1~2人|~|~| |周辺機器|PlayStation BB Unit対応(HDDインストールのみ)|~|~| |レーティング|CERO:12歳以上対象|~|~| |コンテンツアイコン|暴力|~|~| |廉価版|PlayStation2 the Best:2010年8月5日/1,480円&br()360・ダウンロード版:2012年11月6日/1,900円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[無双シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''知で治め、武で統べよ。''} }} ~ ---- **概要 荒削りながらも独自の魅力を持った『Empires』は、無双シリーズに新たな方向性を示した。~ 本作では『真・三國無双4 猛将伝』をベースに、多数の追加要素、仕様を改変した『Empires』シリーズ第2弾である。 基本的な仕様は前作参照。ここでは、前作からの変更点を主に解説する。~ なお、『4』と『4 猛将伝』への引継ぎはビジュアルデータベースの要素の一部解禁と、エディット武将の引き継ぎに留まる。 ---- **争覇モード ''シナリオの追加'' -前作では史実準拠の1パターンだけだったが、時代背景に合わせた5つのシナリオが追加されており、クリア毎に逐次解禁される。 --それぞれに対応するイベント戦闘も導入されている。 -前作では空白地帯には黄巾軍が埋め込まれていたが、本作では中立として扱われるようになった。 --ここに新しく勢力を設定することも可能。 -前作では初期勢力は将軍3人、及び地域支配数は1で固定だったが、本作では初期武将数や初期地域支配数が勢力で異なるため、勢力ごとの差別化が強く表れるようになった。 ''環境設定''~ これらはある程度シナリオをクリアしないと選択できないが、争覇モード開始時に様々な設定が可能になった。 -武器や成長、政策を引き継いでシナリオをプレイすることが可能になった。 -エディット武将を非登場にすることが可能になった。 -シナリオの制限ターンが200ターン(50年)までになった。 --設定によって制限ターンを999年まで引き伸ばすことも可能。 -武将を死亡(そのゲーム中から退場)させることが可能になった。 --寿命死の実装と、捕縛した武将の処断が追加されている。 -総取りルールの変更 --君主のいる領土を取れば、その支配下にある領土もすべて制圧できる(勢力が即滅亡する)仕様があるが、そのルールを変更することが可能になった。 ---単純に総取りルールを廃止するだけでなく、領土が孤立した場合のみ総取りできる設定にすることも可能。 ''その他'' -2P協力プレイが可能に。出撃時に参加待ち受けを行っている。 ***内政 本作の内政は、戦略パートと作戦パートの2つに分けられる。~ 戦略パートでは政策を駆使して自軍を強化したり、武将を地域に配置して戦闘に備える。~ 作戦パートでは、攻守の地域を選択する、戦闘地域への指示を行う。~ 戦闘を行うか、もしくは戦闘せずに終了するとターンが終了して季節が変わる。 ''政策'' -本作では、地域支配数の最大値によって命令回数が1~5回設定されており((ただし領土を奪われて支配地域数が減少しても、命令回数が減ることはない))政策を行うごとに消費する。命令回数はターン開始時に回復する。 |CENTER:名称|CENTER:内容| |CENTER:提案|CENTER:前作と同じ基本的なアクション。ランダムで4人の主将が政策を2つ提案する。1回ごとに命令回数を1つ消費し、それにつき政策を2つ行えるのが利点。| |CENTER:委任|CENTER:武将1人が命令回数分、政策をランダムで実行する。実行後は命令回数が0になる。特定武将が所持している固有の政策を獲得するのに有利。| |CENTER:政策|CENTER:既に使用したことのある任意の政策を1つ実行する。1回ごとに命令回数を1つ消費する。| -初期から登場する政策を基本政策と呼び、後から追加される政策を特殊政策と呼ぶ。~ 特殊政策は、一度提案や委任で使用してもらわないと、任意の政策で使用することができないため、積極的に使用する必要がある。 --また、特殊政策は武将によって提案する内容が異なるため、積極的にいろんな武将に耳を傾けることになる。 -政策自体も前作から大幅に数を増やしており、よりプレイヤーの取れる行動が増えた。 -一部武将の引き抜き(劉備勢力の関羽、張飛など特定勢力の一部武将)が不可能になった。 --前作ではさすがに史実シナリオでは不自然な展開になってしまう一因だったため、この制限は概ね受け入れられている。 ''武将配置'' -本作では武将の雇用数が地域支配数に応じて増えるようになり(増える人数は環境設定で変更可能)、さらに、武将を任意の地域に配置することが可能になった。 --1つの地域に主将(無双武将とエディット武将は必ずこの枠に入る)が3人、準将(一般武将のみ)が3人まで配置可能。 ---隣接している地域には、戦闘時に援軍を要請することが可能で、一定時間後に登場する。これにより敵のみ援軍を要請する不公平はなくなった。 --本作では配置変更で命令回数を消費しないため、何度も行うことが可能。地域に配置しない設定をした武将は放逐になる。 -本作は地域に防衛度と呼ばれる概念が登場。 --これが高いほど自動戦闘時に防衛できる確率が上がる他、防衛戦時の再出撃回数が増える。 ---ターン開始時のイベントか、自動防衛で減少する。増加させるには政策を使用する必要がある。~ もっとも、武将配置や兵力をしっかり準備しておかないと防衛できる確率は低いうえ、配置しておいた武将が奪われる場面も多いため過信は出来ない。 -武将配置は政策パートでしかできない。うっかり武将配置を怠って作戦パートに行き、攻め込まれて防衛を強要されると悲しいことになる。 ''アイテム'' -アイテムはターン経過で使用可能が回復する仕様は廃止され、きっちり政策で生産や強化をしないと使用可能にはならなくなった。 --代わりに、9個までストック可能になり、溜めておくことができるようになった。 -辺境の地方を全て制圧することで、その地方と政策で交易を行えるようになるが、交易が大きく成功したときのみ生産可能になるアイテムも存在する。 -前作の絶影鐙のようなひたすら運ゲーを強要されるアイテムは存在せず、領土を広げきちんと政策を行えば問題なく使いたいアイテムをストックすることは可能。 -新アイテムの追加。4種類存在する。 |CENTER:名称|CENTER:効果内容| |CENTER:神速蹄|CENTER:馬・象の移動力上昇| |CENTER:弾返極意|CENTER:弾き返しの威力上昇 | |CENTER:象鐙改|CENTER:武将象に乗ってスタート | |CENTER:虎輪改|CENTER:虎を三匹連れて行ける。ただの虎輪とセットで四匹にもできる| ***戦闘 前作の兵站線によるシステムが続投されている。 ''拠点の仕様変更'' -本作では複数の拠点兵長が拠点を守るようになった。本作ではエリア内の拠点兵長と武将を全滅させることで拠点を制圧できる。 --ただし、前作と違ってエリア内の敵を全滅させる必要が無くなったためか~ 対象の敵を全滅させてから拠点制圧まで少し待たされる(敵本陣だとさらに待たされる)。 -『4』で登場した攻撃、防御、補給拠点も組み込まれているが、これらもEmpiresの仕様に合わせて全て争奪式になっている。 ''再出撃の仕様変更'' -前作では捕縛しない限り復活回数に制限が無いというあんまりな仕様だったが、本作では戦場に出撃する武将の総兵力に応じて、軍全体で共有する復活回数が設定されるようになった。最大10回。 --濃い青エリアによるエリア内での、及び兵力一定以下(前作は500以下だったが本作は1000以下)で撃破による捕縛は続投し、さらに戦場策の一発捕縛の追加によって捕縛手段が増えたため、復活による理不尽さは減少した。 ---ただし、この復活はプレイヤーの対象外である。この点は理不尽と言わざるを得ない。 --また、捕縛可能な武将は敵味方を問わず、首元に赤いエフェクトが表示される(通称・死兆星)ようになり、視覚的に分かりやすくなった。 -前作では敵将を捕縛した時のみ、討ち取ったりボイスを喋っていたが、本作では撤退させても討ち取ったりボイスを喋る様になった。%%討ち取ってないという突っ込みはシリーズ通してお馴染みなので禁句%% --加えて捕縛した、された際の新ボイスも追加されている。捕らえたりと叫ぶ武将は中々新鮮。 ''方針指示'' -方向キーで味方に大まかな指示を出せるようになった。以下の4種類が存在する。 |CENTER:指示内容|CENTER:方向キー|CENTER:主な特徴| |CENTER:攻撃|CENTER:方向キー上|積極的に武将撃破や拠点奪取を目指す| |CENTER:防御|CENTER:方向キー下|拠点防御に専念させる| |CENTER:集結|CENTER:方向キー左|プレイヤーの周りに集結し、追従するようになる| |CENTER:委任|CENTER:方向キー右|AIの判断で各自行動させる| --指示を受けた武将はそれに応じた台詞を発するため、臨場感もある。 --さらに、戦場情報の武将選択で個別に指示を出すことも可能。その際は敵将撃破と拠点奪取が分けられる。 ---ただし、君主がいるのに配下でも指示を出せる、他勢力への援軍としての戦いでも出せるのはおかしいのではという声もある。 --この関係で、本作から方向キーと左スティックを同時に移動として使用することができなくなった。本作ではオプションから変更可能なので、やりやすい方に設定すべし。 ''戦場策'' -政策で5つまで戦場策をストックすることが可能。5個以上になるといらないものを破棄する必要がある。ストックしておいた戦場策は、戦闘準備時に2種類選んで設定することができる。 --自軍に特殊兵種を追加させる、戦闘前に計略を仕込んでおくもの、戦闘中に必要な時に発動することが可能な物の3種に大別できる。 ''捕縛'' -捕縛した武将を処断することが可能になり、斬首した武将はそのゲーム中には登場しなくなる。 --また、前作では金さえあれば無条件に登用可能だったが、本作では関係が深い武将たちはその場で登用とはいかなくなった。 ---先を見越して放逐するか、それとも処断して消すかはプレイヤー次第。 --ちなみに、処断は戦闘終了後に捕縛した敵将にしかできない。 ---- **成長システム 前作のレベル式や個人目標は廃止され、概ねナンバリング本編に近い方式になった。 ちなみにモブ武将も1人ずつレベル管理されている。 ''育成'' -本作のパラメーター強化は戦闘勝利時に入手できる宝箱から成長アイテムを入手するという形で行われる。 --勝利時に兵力減少量等に応じて、完勝>勝利>辛勝、惜敗>敗北の5段階で評価され、難易度と評価が良いほど入手量、質が増える。 ---なお、成長アイテムはプレイヤーが操作している武将にだけ強制的に反映されることとなる。 -前作では個人目標や大将軍のみ意味があった武勲は、プレイヤーの育成への影響をより強くした。 --ナンバリングと同じく、階級が上がるごとにアイテム枠増加とコスチューム追加に加え、''最大兵力が増加''して戦闘力につながるようになった。 ---なお、こちらはプレイヤーが操作しなくても育成することが可能。 -大量撃破マーカー --1つのステージで1000人撃破すると、武将のステータス画面に特別なアイコンが付く。 ---この状態になると、装備アイテムの枠が1個増え最大6個になり、ユニーク武器の入手難易度が緩和される。 ''武器'' -前作では武器はレベル式だったが、本作では政策で勢力の鍛冶レベルを上げるごとに、第2武器以降が解禁される仕様になった。 --前作と違い下位武器も使用可能。無強化の上位武器より強化した下位武器の方が強いこともあるため決して無駄にはならない。 -戦闘勝利時に入手できる宝石箱から巻物を入手することで、武器に付加効果を付けることができる。これも勝利時の評価に応じて(以下略)、またプレイヤーのみ入手可能。~ ただしランダムなので思った効果が出ないことも多々ある上、使用武器しか強化できない。 --鍛冶レベルを5にした状態ならば、さらに武器攻撃力の増加と重量の変更、さらに3武器ならエボリューションを追加することも可能。 ---運は大きく絡むが、理想の付加、重量を持った武器を作ることが可能に。ちなみに付加の枠は5個で固定。 -ユニーク武器 --本作では全員一律で勢力の鍛冶をレベル4以上を満たした状態で、「1つの戦闘で500人撃破する」または「4武器を入手したデータ引き継いで勝利」または「1000人撃破マーカー獲得した後に勝利する」ことで、グレード4の武器が入手できるようになった。その関係でフリーモードでは入手不可能。 ---4武器は巻物による強化が出来ないため完全に強化した3武器には劣る。100人撃破で、入手し辛い覚醒印が入手できるのが最大の利点。 ---- **フリーモード -好みの戦場、武将、武器やアイテム、戦場策を選んで戦うことができるモード。兵力差も設定可能。 --ただし、戦場以外の要素は争覇モードで入手しておかないと使うことはできない。 ---引き継ぎありなら成長要素が適用されるので、争覇モードでの入手が難しい大量撃破マーカーの入手や、育成に最適。 ---- **評価点 ''自由度が大きく増した'' -上記変更点を一言でまとめるとこうなる。 --前作ではNPCでしかできかったことの多くがプレイヤーでも可能になり、プレイヤーが取れる選択肢は大きく増えた。 ''武将配置システムによる戦略性の向上'' -武将の配置システムがゲームデザインと上手くかみ合い、実際の三国志に見られるような状況を再現することができる。 --例えば、入蜀時に荊州を関羽に任せたように大規模な侵攻を行うためには、強い兵を集結させながら手薄になる要所の防衛に当たらせる武将を確保するなど配置バランスを考える必要があり、軍師になったような気分が味わえる。 --配置システムのない次作シリーズでは、極端な話「一軍と二軍さえ形成できれば、後は強い武将以外は要らない。という状態になりがちだが、本作では強い武将でも配置した領地と隣接した地域しか戦闘に参加できないため、たとえ弱くとも各地の防衛を行う武将の頭数が必要となる。 --このため、人材を確保せず無闇に領土を広げると、思わぬ痛手を食らうことになる。なので曹操のように人材コレクターをしたり、育成を計画的に行うなど配下の運用といった面でも楽しむことができるため、戦略シミュレーション特有の中盤以降のダレがかなり軽減されている。 ''イベント'' -前作からイベント、ムービーが多数増加。 ''BGM'' -過去作のBGMが多数収録されている --さらに、戦闘では自由にBGMを選択することが可能になった。盛り上がること間違いなし。 --ちなみに勝利や敗北などの短いBGMも選べてしまう。%%延々とループ再生されて頭が変になりそう。%% -新曲も好評。政策時のBGMも勢力で変化するようになった。 ---- **問題点 ''内政'' -長期同盟が強すぎる --登用と違い断られることもなく、高くない費用で3年間敵を無力化できるのはあまりにも強すぎる。 ---上手く乱用すれば援軍を駆使して敵の領土を操ることまでできる((後述するように本作の味方NPCは非常に弱く、これはプレイヤーが援軍として参戦した場合も例外ではない。このため、同盟相手をわざと負けさせる・同盟相手が勝って欲しい時だけ手助けする・敢えて戦いを長引かせて両軍の共倒れを狙う、と言う戦法が容易に出来てしまう。))。 --政策の同盟破棄でプレイヤーは同盟を一方的に破棄することが可能だが、NPCはそれをしてこない。 ---同盟破棄によるペナルティは一切ない。もっとも破棄したターンに攻められることもあるが。 -善政・悪政のバランス --実施した政策によって隠しパラメータの「人徳値((ゲーム中には表示されないマスクデータ、名称は攻略本による。))」が変動する。一定値以上で「善政」「悪政」となり、特殊な政策が使用可能になる他、マルチエンディングの条件にもなる。 --しかし、悪政に対して善政のメリットが薄過ぎる。特定のエンディングを見たいという理由でもない限り悪政プレイが有利にゲームを進められる。 ---民に軍資金を分け与えたり徴兵した兵士に恩赦を与えるようなプレイヤーに不利になる政策を敢えて行うことで「善政」となり、支配領地に攻め込まれた時に防衛戦に義勇兵が登場し手助けをしてくれる。 ---反対に民から税金やアイテムを徴収したり兵士を強制徴兵する政策を行うことで「悪政」となり、善政とは反対に支配領地に攻め込まれた時に民が反乱兵として敵に寝返ってしまうことがある。 ---こうして見ると一見バランスが取れて見えるが、善政を敷くためには軍資金と兵力を手放さなければならず、積極的な攻勢に出られずにジリ貧になりやすいのに対して、悪政は民から吸い上げた軍資金と兵士によるゴリ押しが可能であり、ゴリ押しによって疲弊した軍資金と兵士を更なる悪政で簡単に補填出来てしまう。 ---そもそも軍資金と兵士が充実している悪政の国ほど敵国は攻め込みにくく、これらが枯渇しやすい善政の国ほど敵に攻められやすいため、義勇兵や反乱兵のギミックがあまり意味をなしていない。 -兵力の回復が難しい --本作では1武将ごとの兵力が2千~最大2万あるにもかかわらず、複数武将に対する兵力回復の政策が最大2千までしかない(1武将のみなら最大回復はある)。 ---前作から雇用できる武将数は大幅に増えたこともあり、複数武将の兵力を回復させるのにはかなり手間がかかる。 --また、前作までにあった全武将全兵力回復の政策は悪政限定になった。 ---これがバランス調整として間違ってるかはともかく、悪政が有利に拍車がかかっていることは間違いないだろう。 -本作ではその自由度の高さゆえにバランスブレイカーに近い政策、組み合わせも多数存在する。嫌なら縛るが吉。 -行動回数が支配地域数依存 --特に支配地域が1で始めた場合は、入手できる金銭が圧倒的に少ない上に行動回数が1回しかない。これでは。いくら内政部分がよくできていても実質何もできないのと同じであり、戦略シミュレーションの醍醐味のひとつである「小規模勢力でチマチマ内政をやりくりしながら戦に備える」という序盤の楽しみ方ができない。 --一方で、十分な行動回数を確保したころには、一大勢力になっており行動回数のありがたみが薄い。バランス調整に失敗していると言わざるを得ない。 ''戦闘'' -味方が弱い。特に画面外の味方は役立たずに近く、前作と比較すると積極的に敵を撃破するまでは至らない。 --指示を出せる故に弱体化したのかもしれないが、共闘感を大きく損なっては本末転倒である。 ---役立つとすれば囮ぐらい、プレイヤーが囮になって進撃してもらう展開は期待しない方がいい。 --現在与えられている行動を終えないと次の行動に移らないのも難点。例えば拠点Aに防衛指示を出した後に拠点Bの防衛指示を出すと、すぐに拠点Bへ移動するのではなく''まず拠点Aに着いてから改めて拠点Bへ向かう''といった始末。 ---この点は後に『戦国無双2 Empires』で改善され、与えられた指示にすぐ従うようになった。 -一般武将の性能 --本作でも一般武将は将軍に配置することで操作が可能となっている。 --しかしアクション性能は無双武将のものと比較して「攻撃エフェクトが一切無くリーチが短い」「激・無双乱舞に追加攻撃が無い((炎属性が付くだけで無双乱舞と同じモーション。))」「連撃の最後や無双乱舞などで敵が吹き飛ばない」など、あくまで小ボス敵であったという過去作の扱いに則って弱めに設定されている。 --このうち「敵が吹き飛ばない」という点であるが、その場で追撃ができたり無双乱舞を全段当てられるといった利点はあるものの、敵との距離が全く取れないという欠点にもなってしまう。 ---体力が残り少ない状態で起死回生を狙い激・無双乱舞を出し、それで倒せればよいが、倒せなかった場合は密着状態で敵の間合いに入ってしまうため、乱舞後にそのまま攻撃をもらってしまうという可能性が出てきてしまう。 --安全にダメージを与え続けるには一番のダメージソースである無双乱舞を使わず、チャージ攻撃でチマチマ攻撃しなければならなくなってしまう。 -撃破数を稼ぎ辛い~ --無双Empiresシリーズの通例だが、雑兵が基本的に拠点と武将に付属する形でしか登場しない。そのため撃破数は本編よりどうしても減ってしまうため、1000人撃破はもちろん、ユニーク武器入手条件を満たす500人撃破ですら工夫しないと達成が難しい。 --そういうゲーム性といえばそこまでだが、本作では上述の通り撃破数が隠し要素に直結しているため、それを達成し辛いというのは辛い。 ---ちなみに、最適な撃破数稼ぎは兵站に繋げていない敵本陣で延々と敵を撃破し続けること。これでも制限時間や手間を考慮すると結構厳しい。 -プレイヤーとNPC格差 --プレイヤーの復活はなし。前作よりはマシだがプレイヤーと敵の残機格差を埋めるには至らず。 --もちろんプレイヤーは戦闘技能を使うことができないまま。嫌がらせか。 -その他 --玉アイテムはそのまま、もちろん調整ミスの陰属性も4猛将伝からそのまま。 --覚醒印が異様に入手し辛い。 ''エディット'' -もう1つの魅力と言っていい存在だが、本作では何故か妙に冷遇されている。 --エンディング編集で選択ができない --ビジュアルデータベースで武将鑑賞の対象にならない --能力の傾向や戦闘技能の選択が出来なくなった。 ''その他'' -張魯のオカマキャラが無くなった。もっとも外伝シナリオでの専用セリフによるネタだったため、モブキャラの仕様を逸脱できない本作では無理からぬ話だが。 -競闘モードが廃止。種目は後作にて猛将伝のチャレンジモードに採用される。 -ビジュアルデータベース --武将紹介が廃止された。 ---設定面で身長や年齢(あくまで無双オリジナル設定)などが記載されており、その関係でプレイの自由度に支障をきたす可能性があるためと考えられている。 --前作と違い、モデルや武器はきちんと争覇モードで入手しないと解禁されなくなった。やりがいがあるとみるか面倒と見るか。 -パッケージ裏に、入蜀後のいわゆる三国状態の支配地域の画面が存在するが、作中にそのようなシナリオは存在しない((黄巾の乱~赤壁までしか開始シナリオが存在しない。))。 ''360版'' -何故かBGM収録数が異様に少ない。 ---- **総評 荒削りだった前作から手堅い改良点が非常に多く、飛躍的に完成度を高めた。~ 事実上、本作で無双『Empires』シリーズは大方の完成を迎えたといっていい。~ 『戦国無双2 Empires』においても概ね本作のシステムを肉付けした形に落ち着いたのがその証左だろう。~ その後、『真・三國無双 Empires』シリーズは「全武将プレイ」および「エディットモード大幅拡張」へと路線を変更し、新たな方向性を模索し始める。~ この点もやはり『戦国無双』シリーズ全体にも小さくない影響を与えることになるわけで、本シリーズは無双シリーズの実験作と言った側面を少なからず持った作品となっていることがわかる。
*真・三國無双4 Empires 【しんさんごくむそうふぉー えんぱいあーず】 |ジャンル|タクティカルアクション|&amazon(B000E5IT90)&amazon(B0019DBTFW)|&amazon(B000E5ELUG)&amazon(B000E5DS3W)| |対応機種|Xbox 360&br()プレイステーション2|~|~| |メディア|DVD-ROM 1枚|~|~| |発売元|コーエー|~|~| |開発元|コーエー(オメガフォース)|~|~| |発売日|2006年3月23日|~|~| |定価|【360】4,270円&br()【PS2】4,280円|~|~| |プレイ人数|1~2人|~|~| |周辺機器|PlayStation BB Unit対応(HDDインストールのみ)|~|~| |レーティング|CERO:12歳以上対象|~|~| |コンテンツアイコン|暴力|~|~| |廉価版|PlayStation2 the Best:2010年8月5日/1,480円&br()360・ダウンロード版:2012年11月6日/1,900円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[無双シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''知で治め、武で統べよ。''} }} ~ ---- **概要 荒削りながらも独自の魅力を持った『Empires』は、無双シリーズに新たな方向性を示した。~ 本作では『真・三國無双4 猛将伝』をベースに、多数の追加要素、仕様を改変した『Empires』シリーズ第2弾である。 基本的な仕様は前作参照。ここでは、前作からの変更点を主に解説する。~ なお、『4』と『4 猛将伝』への引継ぎはビジュアルデータベースの要素の一部解禁と、エディット武将の引き継ぎに留まる。 ---- **争覇モード ''シナリオの追加'' -前作では史実準拠の1パターンだけだったが、時代背景に合わせた5つのシナリオが追加されており、クリア毎に逐次解禁される。 --それぞれに対応するイベント戦闘も導入されている。 -前作では空白地帯には黄巾軍が埋め込まれていたが、本作では中立として扱われるようになった。 --ここに新しく勢力を設定することも可能。 -前作では初期勢力は将軍3人、及び地域支配数は1で固定だったが、本作では初期武将数や初期地域支配数が勢力で異なるため、勢力ごとの差別化が強く表れるようになった。 ''環境設定''~ これらはある程度シナリオをクリアしないと選択できないが、争覇モード開始時に様々な設定が可能になった。 -武器や成長、政策を引き継いでシナリオをプレイすることが可能になった。 -エディット武将を非登場にすることが可能になった。 -シナリオの制限ターンが200ターン(50年)までになった。 --設定によって制限ターンを999年まで引き伸ばすことも可能。 -武将を死亡(そのゲーム中から退場)させることが可能になった。 --寿命死の実装と、捕縛した武将の処断が追加されている。 -総取りルールの変更 --君主のいる領土を取れば、その支配下にある領土もすべて制圧できる(勢力が即滅亡する)仕様があるが、そのルールを変更することが可能になった。 ---単純に総取りルールを廃止するだけでなく、領土が孤立した場合のみ総取りできる設定にすることも可能。 ''その他'' -2P協力プレイが可能に。出撃時に参加待ち受けを行っている。 ***内政 本作の内政は、戦略パートと作戦パートの2つに分けられる。~ 戦略パートでは政策を駆使して自軍を強化したり、武将を地域に配置して戦闘に備える。~ 作戦パートでは、攻守の地域を選択する、戦闘地域への指示を行う。~ 戦闘を行うか、もしくは戦闘せずに終了するとターンが終了して季節が変わる。 ''政策'' -本作では、地域支配数の最大値によって命令回数が1~5回設定されており((ただし領土を奪われて支配地域数が減少しても、命令回数が減ることはない))政策を行うごとに消費する。命令回数はターン開始時に回復する。 |CENTER:名称|CENTER:内容| |CENTER:提案|CENTER:前作と同じ基本的なアクション。ランダムで4人の主将が政策を2つ提案する。1回ごとに命令回数を1つ消費し、それにつき政策を2つ行えるのが利点。| |CENTER:委任|CENTER:武将1人が命令回数分、政策をランダムで実行する。実行後は命令回数が0になる。特定武将が所持している固有の政策を獲得するのに有利。| |CENTER:政策|CENTER:既に使用したことのある任意の政策を1つ実行する。1回ごとに命令回数を1つ消費する。| -初期から登場する政策を基本政策と呼び、後から追加される政策を特殊政策と呼ぶ。~ 特殊政策は、一度提案や委任で使用してもらわないと、任意の政策で使用することができないため、積極的に使用する必要がある。 --また、特殊政策は武将によって提案する内容が異なるため、積極的にいろんな武将に耳を傾けることになる。 -政策自体も前作から大幅に数を増やしており、よりプレイヤーの取れる行動が増えた。 -一部武将の引き抜き(劉備勢力の関羽、張飛など特定勢力の一部武将)が不可能になった。 --前作ではさすがに史実シナリオでは不自然な展開になってしまう一因だったため、この制限は概ね受け入れられている。 ''武将配置'' -本作では武将の雇用数が地域支配数に応じて増えるようになり(増える人数は環境設定で変更可能)、さらに、武将を任意の地域に配置することが可能になった。 --1つの地域に主将(無双武将とエディット武将は必ずこの枠に入る)が3人、準将(一般武将のみ)が3人まで配置可能。 ---隣接している地域には、戦闘時に援軍を要請することが可能で、一定時間後に登場する。これにより敵のみ援軍を要請する不公平はなくなった。 --本作では配置変更で命令回数を消費しないため、何度も行うことが可能。地域に配置しない設定をした武将は放逐になる。 -本作は地域に防衛度と呼ばれる概念が登場。 --これが高いほど自動戦闘時に防衛できる確率が上がる他、防衛戦時の再出撃回数が増える。 ---ターン開始時のイベントか、自動防衛で減少する。増加させるには政策を使用する必要がある。~ もっとも、武将配置や兵力をしっかり準備しておかないと防衛できる確率は低いうえ、配置しておいた武将が奪われる場面も多いため過信は出来ない。 -武将配置は政策パートでしかできない。うっかり武将配置を怠って作戦パートに行き、攻め込まれて防衛を強要されると悲しいことになる。 ''アイテム'' -アイテムはターン経過で使用可能が回復する仕様は廃止され、きっちり政策で生産や強化をしないと使用可能にはならなくなった。 --代わりに、9個までストック可能になり、溜めておくことができるようになった。 -辺境の地方を全て制圧することで、その地方と政策で交易を行えるようになるが、交易が大きく成功したときのみ生産可能になるアイテムも存在する。 -前作の絶影鐙のようなひたすら運ゲーを強要されるアイテムは存在せず、領土を広げきちんと政策を行えば問題なく使いたいアイテムをストックすることは可能。 -新アイテムの追加。4種類存在する。 |CENTER:名称|CENTER:効果内容| |CENTER:神速蹄|CENTER:馬・象の移動力上昇| |CENTER:弾返極意|CENTER:弾き返しの威力上昇 | |CENTER:象鐙改|CENTER:武将象に乗ってスタート | |CENTER:虎輪改|CENTER:虎を三匹連れて行ける。ただの虎輪とセットで四匹にもできる| ***戦闘 前作の兵站線によるシステムが続投されている。 ''拠点の仕様変更'' -本作では複数の拠点兵長が拠点を守るようになった。本作ではエリア内の拠点兵長と武将を全滅させることで拠点を制圧できる。 --ただし、前作と違ってエリア内の敵を全滅させる必要が無くなったためか~ 対象の敵を全滅させてから拠点制圧まで少し待たされる(敵本陣だとさらに待たされる)。 -『4』で登場した攻撃、防御、補給拠点も組み込まれているが、これらもEmpiresの仕様に合わせて全て争奪式になっている。 ''再出撃の仕様変更'' -前作では捕縛しない限り復活回数に制限が無いというあんまりな仕様だったが、本作では戦場に出撃する武将の総兵力に応じて、軍全体で共有する復活回数が設定されるようになった。最大10回。 --濃い青エリアによるエリア内での、及び兵力一定以下(前作は500以下だったが本作は1000以下)で撃破による捕縛は続投し、さらに戦場策の一発捕縛の追加によって捕縛手段が増えたため、復活による理不尽さは減少した。 ---ただし、この復活はプレイヤーの対象外である。この点は理不尽と言わざるを得ない。 --また、捕縛可能な武将は敵味方を問わず、首元に赤いエフェクトが表示される(通称・死兆星)ようになり、視覚的に分かりやすくなった。 -前作では敵将を捕縛した時のみ、討ち取ったりボイスを喋っていたが、本作では撤退させても討ち取ったりボイスを喋る様になった。%%討ち取ってないという突っ込みはシリーズ通してお馴染みなので禁句%% --加えて捕縛した、された際の新ボイスも追加されている。捕らえたりと叫ぶ武将は中々新鮮。 ''方針指示'' -方向キーで味方に大まかな指示を出せるようになった。以下の4種類が存在する。 |CENTER:指示内容|CENTER:方向キー|CENTER:主な特徴| |CENTER:攻撃|CENTER:方向キー上|積極的に武将撃破や拠点奪取を目指す| |CENTER:防御|CENTER:方向キー下|拠点防御に専念させる| |CENTER:集結|CENTER:方向キー左|プレイヤーの周りに集結し、追従するようになる| |CENTER:委任|CENTER:方向キー右|AIの判断で各自行動させる| --指示を受けた武将はそれに応じた台詞を発するため、臨場感もある。 --さらに、戦場情報の武将選択で個別に指示を出すことも可能。その際は敵将撃破と拠点奪取が分けられる。 ---ただし、君主がいるのに配下でも指示を出せる、他勢力への援軍としての戦いでも出せるのはおかしいのではという声もある。 --この関係で、本作から方向キーと左スティックを同時に移動として使用することができなくなった。本作ではオプションから変更可能なので、やりやすい方に設定すべし。 ''戦場策'' -政策で5つまで戦場策をストックすることが可能。5個以上になるといらないものを破棄する必要がある。ストックしておいた戦場策は、戦闘準備時に2種類選んで設定することができる。 --自軍に特殊兵種を追加させる、戦闘前に計略を仕込んでおくもの、戦闘中に必要な時に発動することが可能な物の3種に大別できる。 ''捕縛'' -捕縛した武将を処断することが可能になり、斬首した武将はそのゲーム中には登場しなくなる。 --また、前作では金さえあれば無条件に登用可能だったが、本作では関係が深い武将たちはその場で登用とはいかなくなった。 ---先を見越して放逐するか、それとも処断して消すかはプレイヤー次第。 --ちなみに、処断は戦闘終了後に捕縛した敵将にしかできない。 ---- **成長システム 前作のレベル式や個人目標は廃止され、概ねナンバリング本編に近い方式になった。 ちなみにモブ武将も1人ずつレベル管理されている。 ''育成'' -本作のパラメーター強化は戦闘勝利時に入手できる宝箱から成長アイテムを入手するという形で行われる。 --勝利時に兵力減少量等に応じて、完勝>勝利>辛勝、惜敗>敗北の5段階で評価され、難易度と評価が良いほど入手量、質が増える。 ---なお、成長アイテムはプレイヤーが操作している武将にだけ強制的に反映されることとなる。 -前作では個人目標や大将軍のみ意味があった武勲は、プレイヤーの育成への影響をより強くした。 --ナンバリングと同じく、階級が上がるごとにアイテム枠増加とコスチューム追加に加え、''最大兵力が増加''して戦闘力につながるようになった。 ---なお、こちらはプレイヤーが操作しなくても育成することが可能。 -大量撃破マーカー --1つのステージで1000人撃破すると、武将のステータス画面に特別なアイコンが付く。 ---この状態になると、装備アイテムの枠が1個増え最大6個になり、ユニーク武器の入手難易度が緩和される。 ''武器'' -前作では武器はレベル式だったが、本作では政策で勢力の鍛冶レベルを上げるごとに、第2武器以降が解禁される仕様になった。 --前作と違い下位武器も使用可能。無強化の上位武器より強化した下位武器の方が強いこともあるため決して無駄にはならない。 -戦闘勝利時に入手できる宝石箱から巻物を入手することで、武器に付加効果を付けることができる。これも勝利時の評価に応じて(以下略)、またプレイヤーのみ入手可能。~ ただしランダムなので思った効果が出ないことも多々ある上、使用武器しか強化できない。 --鍛冶レベルを5にした状態ならば、さらに武器攻撃力の増加と重量の変更、さらに3武器ならエボリューションを追加することも可能。 ---運は大きく絡むが、理想の付加、重量を持った武器を作ることが可能に。ちなみに付加の枠は5個で固定。 -ユニーク武器 --本作では全員一律で勢力の鍛冶をレベル4以上を満たした状態で、「1つの戦闘で500人撃破する」または「4武器を入手したデータ引き継いで勝利」または「1000人撃破マーカー獲得した後に勝利する」ことで、グレード4の武器が入手できるようになった。その関係でフリーモードでは入手不可能。 ---4武器は巻物による強化が出来ないため完全に強化した3武器には劣る。100人撃破で、入手し辛い覚醒印が入手できるのが最大の利点。 ---- **フリーモード -好みの戦場、武将、武器やアイテム、戦場策を選んで戦うことができるモード。兵力差も設定可能。 --ただし、戦場以外の要素は争覇モードで入手しておかないと使うことはできない。 ---引き継ぎありなら成長要素が適用されるので、争覇モードでの入手が難しい大量撃破マーカーの入手や、育成に最適。 ---- **評価点 ''自由度が大きく増した'' -上記変更点を一言でまとめるとこうなる。 --前作ではNPCでしかできかったことの多くがプレイヤーでも可能になり、プレイヤーが取れる選択肢は大きく増えた。 ''武将配置システムによる戦略性の向上'' -武将の配置システムがゲームデザインと上手くかみ合い、実際の三国志に見られるような状況を再現することができる。 --例えば、入蜀時に荊州を関羽に任せたように大規模な侵攻を行うためには、強い兵を集結させながら手薄になる要所の防衛に当たらせる武将を確保するなど配置バランスを考える必要があり、軍師になったような気分が味わえる。 --配置システムのない次作シリーズでは、極端な話「一軍と二軍さえ形成できれば、後は強い武将以外は要らない。という状態になりがちだが、本作では強い武将でも配置した領地と隣接した地域しか戦闘に参加できないため、たとえ弱くとも各地の防衛を行う武将の頭数が必要となる。 --このため、人材を確保せず無闇に領土を広げると、思わぬ痛手を食らうことになる。なので曹操のように人材コレクターをしたり、育成を計画的に行うなど配下の運用といった面でも楽しむことができるため、戦略シミュレーション特有の中盤以降のダレがかなり軽減されている。 ''イベント'' -前作からイベント、ムービーが多数増加。 ''BGM'' -過去作のBGMが多数収録されている --さらに、戦闘では自由にBGMを選択することが可能になった。盛り上がること間違いなし。 --ちなみに勝利や敗北などの短いBGMも選べてしまう。%%延々とループ再生されて頭が変になりそう。%% -新曲も好評。政策時のBGMも勢力で変化するようになった。 ---- **問題点 ''内政'' -長期同盟が強すぎる --登用と違い断られることもなく、高くない費用で3年間敵を無力化できるのはあまりにも強すぎる。 ---上手く乱用すれば援軍を駆使して敵の領土を操ることまでできる((後述するように本作の味方NPCは非常に弱く、これはプレイヤーが援軍として参戦した場合も例外ではない。このため、同盟相手をわざと負けさせる・同盟相手が勝って欲しい時だけ手助けする・敢えて戦いを長引かせて両軍の共倒れを狙う、と言う戦法が容易に出来てしまう。))。 --政策の同盟破棄でプレイヤーは同盟を一方的に破棄することが可能だが、NPCはそれをしてこない。 ---同盟破棄によるペナルティは一切ない。もっとも破棄したターンに攻められることもあるが。 -善政・悪政のバランス --実施した政策によって隠しパラメータの「人徳値((ゲーム中には表示されないマスクデータ、名称は攻略本による。))」が変動する。一定値以上で「善政」「悪政」となり、特殊な政策が使用可能になる他、マルチエンディングの条件にもなる。 --しかし、悪政に対して善政のメリットが薄過ぎる。特定のエンディングを見たいという理由でもない限り悪政プレイが有利にゲームを進められる。 ---民に軍資金を分け与えたり徴兵した兵士に恩赦を与えるようなプレイヤーに不利になる政策を敢えて行うことで「善政」となり、支配領地に攻め込まれた時に防衛戦に義勇兵が登場し手助けをしてくれる。 ---反対に民から税金やアイテムを徴収したり兵士を強制徴兵する政策を行うことで「悪政」となり、善政とは反対に支配領地に攻め込まれた時に民が反乱兵として敵に寝返ってしまうことがある。 ---こうして見ると一見バランスが取れて見えるが、善政を敷くためには軍資金と兵力を手放さなければならず、積極的な攻勢に出られずにジリ貧になりやすいのに対して、悪政は民から吸い上げた軍資金と兵士によるゴリ押しが可能であり、ゴリ押しによって疲弊した軍資金と兵士を更なる悪政で簡単に補填出来てしまう。 ---そもそも軍資金と兵士が充実している悪政の国ほど敵国は攻め込みにくく、これらが枯渇しやすい善政の国ほど敵に攻められやすいため、義勇兵や反乱兵のギミックがあまり意味をなしていない。 -兵力の回復が難しい --本作では1武将ごとの兵力が2千~最大2万あるにもかかわらず、複数武将に対する兵力回復の政策が最大2千までしかない(1武将のみなら最大回復はある)。 ---前作から雇用できる武将数は大幅に増えたこともあり、複数武将の兵力を回復させるのにはかなり手間がかかる。 --また、前作までにあった全武将全兵力回復の政策は悪政限定になった。 ---これがバランス調整として間違ってるかはともかく、悪政が有利に拍車がかかっていることは間違いないだろう。 -本作ではその自由度の高さゆえにバランスブレイカーに近い政策、組み合わせも多数存在する。嫌なら縛るが吉。 -行動回数が支配地域数依存 --特に支配地域が1で始めた場合は、入手できる金銭が圧倒的に少ない上に行動回数が1回しかない。これでは。いくら内政部分がよくできていても実質何もできないのと同じであり、戦略シミュレーションの醍醐味のひとつである「小規模勢力でチマチマ内政をやりくりしながら戦に備える」という序盤の楽しみ方ができない。 --一方で、十分な行動回数を確保したころには、一大勢力になっており行動回数のありがたみが薄い。バランス調整に失敗していると言わざるを得ない。 ''戦闘'' -味方が弱い。特に画面外の味方は役立たずに近く、前作と比較すると積極的に敵を撃破するまでは至らない。 --指示を出せる故に弱体化したのかもしれないが、共闘感を大きく損なっては本末転倒である。 ---役立つとすれば囮ぐらい、プレイヤーが囮になって進撃してもらう展開は期待しない方がいい。 --現在与えられている行動を終えないと次の行動に移らないのも難点。例えば拠点Aに防衛指示を出した後に拠点Bの防衛指示を出すと、すぐに拠点Bへ移動するのではなく''まず拠点Aに着いてから改めて拠点Bへ向かう''といった始末。 ---この点は後に『戦国無双2 Empires』で改善され、与えられた指示にすぐ従うようになった。 -一般武将の性能 --本作でも一般武将は将軍に配置することで操作が可能となっている。 --しかしアクション性能は無双武将のものと比較して「攻撃エフェクトが一切無くリーチが短い」「激・無双乱舞に追加攻撃が無い((炎属性が付くだけで無双乱舞と同じモーション。))」「連撃の最後や無双乱舞などで敵が吹き飛ばない」など、あくまで小ボス敵であったという過去作の扱いに則って弱めに設定されている。 --このうち「敵が吹き飛ばない」という点であるが、その場で追撃ができたり無双乱舞を全段当てられるといった利点はあるものの、敵との距離が全く取れないという欠点にもなってしまう。 ---体力が残り少ない状態で起死回生を狙い激・無双乱舞を出し、それで倒せればよいが、倒せなかった場合は密着状態で敵の間合いに入ってしまうため、乱舞後にそのまま攻撃をもらってしまうという可能性が出てきてしまう。 --安全にダメージを与え続けるには一番のダメージソースである無双乱舞を使わず、チャージ攻撃でチマチマ攻撃しなければならなくなってしまう。 -撃破数を稼ぎ辛い --無双Empiresシリーズの通例だが、雑兵が基本的に拠点と武将に付属する形でしか登場しない。そのため撃破数は本編よりどうしても減ってしまうため、1000人撃破はもちろん、ユニーク武器入手条件を満たす500人撃破ですら工夫しないと達成が難しい。 --そういうゲーム性といえばそこまでだが、本作では上述の通り撃破数が隠し要素に直結しているため、それを達成し辛いというのは辛い。 ---ちなみに、最適な撃破数稼ぎは兵站に繋げていない敵本陣で延々と敵を撃破し続けること。これでも制限時間や手間を考慮すると結構厳しい。 -プレイヤーとNPC格差 --プレイヤーの復活はなし。前作よりはマシだがプレイヤーと敵の残機格差を埋めるには至らず。 --もちろんプレイヤーは戦闘技能を使うことができないまま。嫌がらせか。 -その他 --玉アイテムはそのまま、もちろん調整ミスの陰属性も4猛将伝からそのまま。 --覚醒印が異様に入手し辛い。 ''エディット'' -もう1つの魅力と言っていい存在だが、本作では何故か妙に冷遇されている。 --エンディング編集で選択ができない --ビジュアルデータベースで武将鑑賞の対象にならない --能力の傾向や戦闘技能の選択が出来なくなった。 ''その他'' -張魯のオカマキャラが無くなった。もっとも外伝シナリオでの専用セリフによるネタだったため、モブキャラの仕様を逸脱できない本作では無理からぬ話だが。 -競闘モードが廃止。種目は後作にて猛将伝のチャレンジモードに採用される。 -ビジュアルデータベース --武将紹介が廃止された。 ---設定面で身長や年齢(あくまで無双オリジナル設定)などが記載されており、その関係でプレイの自由度に支障をきたす可能性があるためと考えられている。 --前作と違い、モデルや武器はきちんと争覇モードで入手しないと解禁されなくなった。やりがいがあるとみるか面倒と見るか。 -パッケージ裏に、入蜀後のいわゆる三国状態の支配地域の画面が存在するが、作中にそのようなシナリオは存在しない((黄巾の乱~赤壁までしか開始シナリオが存在しない。))。 ''360版'' -何故かBGM収録数が異様に少ない。 ---- **総評 荒削りだった前作から手堅い改良点が非常に多く、飛躍的に完成度を高めた。~ 事実上、本作で無双『Empires』シリーズは大方の完成を迎えたといっていい。~ 『戦国無双2 Empires』においても概ね本作のシステムを肉付けした形に落ち着いたのがその証左だろう。~ その後、『真・三國無双 Empires』シリーズは「全武将プレイ」および「エディットモード大幅拡張」へと路線を変更し、新たな方向性を模索し始める。~ この点もやはり『戦国無双』シリーズ全体にも小さくない影響を与えることになるわけで、本シリーズは無双シリーズの実験作と言った側面を少なからず持った作品となっていることがわかる。

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