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*提督の決断II 【ていとくのけつだんつー】 |ジャンル|ウォーシミュレーション|&amazon(B00019P84I)|&amazon(B000069U7V)|&amazon(B000069U8B)| |対応機種|PC-9801、FM TOWNS、Windows 95、&br;スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーション|~|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~|~| |発売日|【PC98】1994年1月29日&br;【TOWNS】1994年6月24日&br;【SFC】1995年2月17日&br;【SS】1996年2月23日&br;【PS】1996年8月23日|~|~|~| |定価|通常版:14,800円&br()Withサウンドウェア:17,200円|~|~|~| |判定|なし|~|~|~| |ポイント|前作よりボリューム大幅増加&br;一方でテンポは悪化&br;''死ぬほど面倒な会議''|~|~|~| |>|>|>|>|CENTER:''提督の決断シリーズ''&br()[[I>提督の決断]] / ''II'' / [[III>提督の決断III]] / IV| |>|>|>|>|CENTER:[[''コーエー歴史SLG作品''>コーエー歴史SLG作品]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 1993年に光栄(現・コーエーテクモゲームス)が製作・発売した歴史シミュレーションゲーム。~ 『提督の決断シリーズ』の第2作で、第二次世界大戦を扱ったWW2シリーズとしては『ヨーロッパ戦線』に続く第3作である。~ 前作がビデオゲームならではの要素を取り入れたシミュレーションゲームとして人気を博したが、それをさらにパワーアップさせた作品。 **特徴 -シナリオ10本で、内3本がキャンペーンシナリオ、7本がショートシナリオである。 --ショートシナリオは、開始前に複数の勝利条件から一つを選び、選んだ勝利条件を達成するとクリアとなる。 --なお、シナリオ0「ハワイ作戦」はチュートリアルシナリオとなっており、プレイヤーは日本軍で固定、勝利条件も予め決まっている。 ---[[前作>提督の決断]]で「真珠湾攻撃」を選んで返り討ちに遭った経験者は嫌な予感がしただろうが、本作では反撃してこないため安心して奇襲できる。 -前作では1日6ターンで進行していたが、本作では1日を航海フェイズと戦闘フェイズの2フェイズに分けて進行する。 --なお、艦隊戦は半リアルタイム戦闘を採用している。委任することも可能。 -毎月1日にカードバトル形式の会議が行われる。 --会議にはプレイヤーを含む5人が出席し、国政・軍政に関する決定を行う。 ---隠しパラメータとして各人の不満度が設定されており、不満度が高いと意見が否認されやすくなる。 --一人当たりのカード枚数は基本的に決まっており、最初に所持しているカードは完全にランダムである。 ---基本的に、「海軍が前月の作戦目標を達成」すればプレイヤーに配られるカードが増え、逆に達成できないとカードが減る。 -技術力が一定の値に達すると、月末に新兵器が開発される。 -1つの艦隊につき潜水艦以外の艦船を8隻まで編成できる。また、陣形は5種類の中から選べる。 --艦船の装甲は各部甲板(上部、左舷、右舷、後部)ごとに設定されており、いずれかが0になると沈没する。 -基地補給については、物資については前作の「一度補給したら、次の補給は母港からの距離に応じてn日後」から、「一括して月頭1回のみ」との仕様に改められた。 --航空機・陸上部隊についてはプレイヤーの操作でほとんどいつでも任意に行える((航空機は天気さえよければ瞬間的に配備されるが、陸上部隊については道または島伝いにトコトコ移動させるか、艦隊配備の輸送船でそれを行うかとなる。本作では1艦隊につき一度で2個師団まで輸送可能。))。 - 各基地が海軍基地・陸軍基地に分けられた。陸軍師団が占領した基地は陸軍の、海軍陸戦隊/海兵隊が占領した基地は海軍の管轄となる((例外として敵母港占領時は強制的に海軍の、首都占領時は強制的に陸軍の管轄となる。なおゲーム開始時に設定されている海軍/陸軍基地の属性を変更したいなら、一度敵に占領させてから、任意の兵で奪還すればよい))。 -- プレイヤーが操作する海軍は、陸軍基地には海軍航空隊を配備できない他、港湾・ドック・飛行場の拡張ができない。海軍陸戦隊を駐屯させることや、艦隊の寄港・補給には問題は無い。 -天候が作戦の遂行に大きな影響力を持つようになった。 --前作では天候がどうであろうと航空機を出撃させることができたが、今作では晴か曇以外の天候では航空機を出撃させられなくなった。 --さらに高緯度地帯では夏は霧、冬は雪が多くなり、東南アジアでは雨季と乾季とで天候の違いが顕著であるなど、地域と季節により天候が大きく異なるようになった。 -2人プレイにおいて、これまでの作品のように1台のパソコンで交互に操作する方法だけでなく、RS-232Cケーブルを用いての通信対戦が可能になった。 --後者の場合、相手が行っている行動を予想できないため、スリルある対戦が楽しめる。 -また、PC98版限定だがパワーアップキットも発売されている。 --4本のシナリオ追加、操作性の改良、母港が陥落すると前作同様に別の基地が新たな母港になるなどの変更点がある。 **評価点 -前作よりボリュームが大幅に増加した。 --神通((川内型軽巡の2番艦で、開戦時の第二水雷戦隊旗艦。))・島風((高速で重雷装の艦隊型駆逐艦。))・アルバコア((天龍、大鳳など多くの艦船を撃沈した米潜水艦。))・ハーダー((雷、谷風など多くの艦船を撃沈した米潜水艦。))など前作では登場できなかった艦船も登場している。 ---ドイツ・ソ連の艦船も登場。ただし、前者は登場する条件が厳しいためドイツの艦船を拝む事は難しい。 ---また、艦船の建造・命名も自由に行えるようになった。 --航空機も、種類別ではなく機種毎に区別されるようになった。零戦やB-29といった一般人でも知っている航空機ももちろん登場する。 --新兵器の種類も前作より多くなり、暗号解読機・酸素魚雷・焼夷弾なども登場する。 ---なお、レーダー搭載は完全修理ではなく本作で追加された兵装改造で行う。 --世界地図も拡張され、インド侵攻やオーストラリア侵攻はもちろん、ワシントン侵攻やアメリカ全土征服も可能である。 ---ただし、ワシントンは内陸にあるため艦砲射撃ができずワシントン自体も異様に頑丈なため、ワシントンを陥落させるのは非常に難しい。詳しくは賛否両論点で後述。 --陸軍師団・陸軍将軍・戦車が登場し、陸軍関連の要素が強化された。 --国家元首も本作から登場するようになった。もっとも、出ているのは実際の国家元首ではなく指導者・政治権力者であるが。 ---ただし、オランダのみ政治権力者のヘルブランディー首相の知名度が日本でほとんどないためか、国家元首のウィルヘルミナ女王が登場している。 -1日は2フェイズで進行し、戦闘シーンが簡略化されたのも相まって、テンポは''会議を除き''前作よりかなり良くなった。 -任意の艦隊を委任するか直接命令するかを選べるようになった。 --前作では第1艦隊は直接命令・それ以外の艦隊は委任で固定だった。 -ボリュームアップされた会議と重厚な雰囲気。 --前作でも海軍と陸軍の内輪揉めという要素はあったが、基本的に賛成・反対の二択という単純なものであり、またこの二者が政策の全てを決定してしまうという不自然極まりない代物であった。~ これに対して、本作は国のトップである総理大臣や経済を担当する大蔵大臣、外務を担う外務大臣といった政策決定に必要な面々がきちんと揃っている。 ---そのため、本作では陸軍・総理大臣・大蔵大臣・外務大臣と外交政策・資源・資金の駆け引きが楽しめる。 --雰囲気にしても、各々の思惑が渦巻く緊迫かつ重々しい空間が表現されている。音楽も秀逸。 ---不満度というマスクパラメータがあるために、重要事項の主導権を握るべくご機嫌取りに走ったりと、カードゲームの戦略的要素と上手く結びついている。 ---「裏取引」というカードの存在がその良い例である。他にも時間を進めるために煙草や茶で一服したりなど、リアリティのある演出が光る。 --また日本側の総理大臣・東條英機が陸軍出身と言うこともあり陸軍贔屓であり((不満度的には、むしろ大蔵大臣の方を敵視していたりする。その点においては陸軍には中立的であるだけでしかないのであるが、総理大臣の予算・物資分配などの提案がそもそも陸軍よりなのである。))、逆にアメリカ側の場合は大統領が海軍次官を勤めた経歴を考慮してか、露骨に海軍贔屓など史実としての再現度も高い。 --ただし会議については面倒との意見もある(賛否両論点参照)。 ---だが会議パートがないとあまりにも一本調子であり、いいアクセントになっているだろう。 ---ただ作戦目標の決定に首相(大統領)はともかく大蔵大臣(財務長官)や外務大臣(国務長官)が口出ししてくるのはどういう理由だろうか。挙句の果てに、会議で決が採れなかった場合に作戦目標を議会に諮るという防諜を全く考えていないグダグダっぷり。 --ちなみに会議でバカ勝ちしすぎていると、日本軍プレイでは1年を経ずして米国を降伏させられる。枯渇しがちな物資(特に艦船の燃料と言う意味)と航空機が、数倍規模で海軍に割り当てられるからである(もちろんそのほとんどは本来の陸軍割り当て分をぶんどるのだ!)。適度に勝ち負けを楽しむ事が前提のバランスと見受けられる。 ** 賛否両論点 -米国首都・ワシントンの堅牢さ。日本軍でプレイする場合これを陥落せしめることが確実な勝利に繋がるのであるが、ワシントンは内陸基地と言う扱いであるため、艦砲射撃が行えない。 --ワシントンを包囲すると、米軍は通常、陸兵を4部隊配置する。が、1部隊や2部隊全滅させたところで、ここは首都であるので、次のターンには部隊を配備され、4部隊に回復してしまう。 --このため、航空母艦の量産、周囲の基地を海軍が占領しての(陸軍に渡してしまってはいけない!)超重爆撃機「富嶽」の生産・配備など、十分な準備を整え、航空攻撃と陸上攻撃を集中し1ターンでワシントンに配備されている4部隊を消し飛ばすか、米軍が陸兵を徴兵・配備できなくなるまで削り続けるかと言う壮絶な攻防戦が展開される。 --これをうざいと見るか燃えるとみるかは人次第。 ---パワーアップキット版では日本側の基地の総生産力が1800以上となるとキャンペーンクリアとなるため、ワシントンに手を出す必要なくクリア条件を達成できる。 --これとは正反対に、米軍でプレイする場合は東京を占領するだけで勝利なので、圧倒的に簡単である。どのキャンペーンシナリオでも、全艦隊を一カ所に集めて東京湾奇襲であっけなく勝利できる。 -会議を楽しめるプレイヤーならいいが、そうでない場合は''会議が非常に面倒。''1つの議題を終わらせるだけでも数分かかる上に、議題が外交交渉・作戦目標・予算配分・物資配分・兵士配分と5つ(アメリカの場合のみ、「欧州派兵数」が存在するため6つ)もあるため目立つ。 --会議の時間は、ゲーム上では1つの議題につき15分間だが、「延長」で延長されたり「時間稼」で短縮されたりするため安定しない。 --無闇に反対したり発言させないようにすると不満度が上がりこちらの意見を拒否されてしまうため、意見を通したい議題以外は賛同して機嫌をとる必要がある。日本でプレイする時は特に気を付けておかないといけない。会議の参加者が持つ不満度はその月限りのものではなく累計されて翌月にも持ち越されてしまうので、月々の積み重ねが大事。 ---特に予算配分・物資配分・兵士配分あたりはアドバンテージを取れないとかなり厳しくなる。残りも決して無視できる議題ではないが。 ---会議のコツをつかめれば非常に楽になるが、所要時間の多さは変わらない。 --一応会議は欠席することも可能だが不利な結論を押しつけられるため、重要な議題が多いこともあいまってゲーム的にかなり不利になる。そのため、少しでも海軍を有利にするために否が応でも参加することになる。 --この欠点は『[[信長の野望 覇王伝]]』の論功行賞の欠点((『覇王伝』の論功行賞も、非常に面倒な上に半強制的にやらされる。))とほぼ同じであり、同じ轍を踏む結果になった。 **問題点 -潜水艦が異常に強い。本作では基本的に巡洋艦(駆逐艦)による爆雷投下でしか攻撃することができず、爆雷は艦の真下とその周囲6マスにしか判定がないため、攻撃を当てにくい。潜水艦の方は魚雷で遠距離攻撃できるため圧倒的に有利。 --海戦を「見る」モードだとさらに強さが増す((「見ない」モードだと、最大でも1艦船にしか被害を与えない。そのため、自国の潜水艦の戦いは「見る」、相手の潜水艦の戦いは「見ない」にするのがお得、と公式攻略本にも書いてある…。))。 --手動で操作すれば既定の10ターンの戦闘時間内で高確率で戦艦または空母を1隻撃沈でき、運が良ければ2隻もある。そして上記の通り多くの場合自軍潜水艦は無傷である。また、戦艦・空母などより小型高速である駆逐艦にも普通に魚雷が当たるため、駆逐艦隊相手にも全く不利さはない。 --一応、前作のように複数の潜水艦による一斉攻撃((いわゆるウルフパック(群狼作戦)といわれる戦術。))はできず、各部甲板がなく耐久力が一か所しかないため命中されると轟沈しやすい欠点はあるが、それでも強力である。階級の高い提督を乗せると能力値補正がかかるためさらに強くなる。また、前作より1ターンあたりの艦隊の速力が増しているので敵母港近辺に潜ませておくとあまり潜水艦戦は発生しない。敵艦隊が横付けしてくる事がほぼ確定している、敵軍が攻略対象としている自軍基地で待ち構える運用になる。 -前作と違いショートシナリオで勝利条件を達成するとそのまま終了してしまい、通常シナリオに移行できない。 --ただし一応のエンディングは用意されているなど、進歩した面も見られる。 -パワーアップキット版固有の問題として、キャンペーンシナリオ「開戦前夜」では同じ日に全ての国に宣戦布告した場合、キャンペーンシナリオの勝利条件『基地の総生産力1800以上』に相手が該当してしまうため、自国にどれだけ戦力が残っていようと開戦初日に自国の敗北でゲームが終了してしまうことがある。 -前作では基地のマップは基地ごとに実際の地形に基づいたものとなっていたが、本作ではどの基地も汎用マップとなってしまい、基地が没個性化した。正直基地攻略戦は非常につまらない。 --が、「見ない」にするとアテにしていた貯蔵物資や入港するはずの港湾までふっ飛ばしてしまう。プレイ時間効率を取るかゲーム効率を取るか…。 -基地が陸軍所属だと自由に命令を出せない。 --そう言うゲームであると言えばそうなのだが…。 --その上陸軍師団の動きがもの凄く、いわゆるバカである。公式攻略本でも支離滅裂扱いされている程だ((更に、ワシントンは海軍陸戦隊だけで攻略すべきであるとも…。))。もっとも海軍陸戦隊も、操作をCPUに任せれば相当にバカである。 --パワーアップキット版ではある程度改善されているが、自由に命令を出せるように敢えて海軍で占領することも視野に入れる必要がある。 -海戦時のAIのバカさ --海戦の操作を委任してしまうと、空母が敵艦隊に突入し数十機の艦載機を抱えたまま爆沈…と攻略本でネタにされているほどである。 --敵艦隊の操作は当然CPUが行うため、やはりお察しである。基本的に直進し離脱を目指してくるため、同等程度かそれ以上の戦力があれば、行き場を遮る丁字戦法((艦の横腹を見せた形だと命中率があがる。これは当時のリアル軍艦でも同じ。また、敵の先頭艦から順に総力で集中攻撃を加え順番に撃沈していく、各個撃破の理想型の一つである。ちなみに本当にリアルの実戦では敵もちゃんと考えて動くため、難しい。))をもってほぼ完封できる。これには何ら高度なプレイスキルは要しない。 --委任時に寄港した巡洋艦・駆逐艦が、勝手にロケット弾運用仕様に改装される。こうなると、魚雷攻撃と爆雷攻撃(潜水艦を攻撃するための手段)が行えないにも拘わらずである((他の新兵器については搭載に主に時間的なコストはかかるものの様上の明確な副作用はない))。 --提督が簡単に死ぬ。艦橋への直撃というアンラッキーはもちろん、砲撃戦で艦隊が全滅すると最後の艦が沈没すると同時に提督も戦死してしまう。さらに提督を乗艦させた潜水艦が沈没した場合は、戦闘時、非戦闘時を問わず死亡する。 -低すぎる上限値によるフラストレーション --毎月の国家収入は予算・物資とも6万が上限。これらは貯蓄できない(「I」では国庫に納められ貯蓄が可能だった。上限値はあるものの非常に高い値であり、全くと言っていいほど不自由はない)。 --予算を配分する各項目にも2万、6万と言った低い上限値がある((海軍予算・物資とも、前月の使い残しがあると、当月割り当てられる最大値はその分減少してしまう。いかにもお役所的である。物資については使い切らずとも、各基地の海軍用倉庫にひっそりしまい込んでおけば、国家収入が十分かつ会議でうまくやれば、貯蓄も可能であるが、何故こんなセコい手を使わねばならないのか…。))。 ---物資収入があまりに向上すると会議でAIがそれに対応できず、明らかに国家にとって不利な分配を提案したりする。 --航空隊数にも最大255隊の制限がある。SFC版に至っては152隊が上限という少なさ。 ---大型空母8隻の艦隊につき32隊。3艦隊作ればもう96埋まる。それに前線基地と後方支援用基地((このゲームでは、配備したての航空隊の錬度は20少々。日数をかけて教練すれば、教練だけで60まであがる。この為通常は、激戦を重ねる前線基地/機動部隊を支援するため、後方で交替用の航空隊を育成することが公式攻略本でも推奨されている。))の分がある。負け戦または均衡している内ならいいが、勝ち戦になり空母も増えてくると簡単に上限に達する。 ---本作の航空機部隊は、基地・空母とも、単一機種1~20機で構成される「航空隊」単位で管理される。基地航空隊は飛行場規模1につき4隊80機(飛行場規模は最大で2、この場合8隊160機)、空母については搭載数が許せば4隊80機、1艦隊最大640機を運用できる。 ---偵察機は別勘定である。基地の場合は最大20機((例えばある空母の搭載数が(最大)30機だった場合、偵察機を載せずに20機・10機の2航空隊を搭載するか、1隊20機だけ搭載し10機の偵察機を載せるかは、プレイヤーの任意である。))。 ---偵察機だけの「航空隊」を編成することは出来ない。基地に偵察の機能だけを持たせたい場合でも、偵察機以外の隊を最低でも1つ配備しなければ偵察機を機能させることができないので注意。 -低すぎる上限値のせいで嬉しくない新型艦設計 --空母に搭載できる戦闘雷爆機は80機まで。余剰分には偵察機しか積めない。このため空母の搭載機は85機程度あれば十分である。しかし日米両海軍とも、開戦時からにこれを満たし十分な速度と防御力を持つ空母が量産可能なのである。 --日本軍の大和型弩級戦艦は装甲値合計35(上限36)、対艦攻撃力99(上限)を誇っており、速度も戦艦としては水準以上((艦隊速度=行動力は艦隊で最も速度の遅い艦船のそれによって決まるため、速度が突出した戦艦がほんの何隻かあってもこの点においては意味が無い))。長い技術向上の末に対空攻撃力や速度くらいしか向上できない様では…。 --それに次ぐ普通の戦艦・長門型でも対艦83/99、装甲34/36。新設計してもその要である攻防の向上は非常に限定的。 ---大和型と言うか弩級戦艦を持たない米軍にとっては、弩級戦艦については早めに投入してもいいかもしれないが…。 -使い勝手の悪い航空機製造ライン --航空機の生産は、会議後、毎月の頭に、各系統(艦上戦闘機、戦略爆撃機…)について、当月生産すべきものを2機種選抜する。生産ラインを停止された航空機の在庫は全て廃棄され、資源に戻る。 --しかしながら、生産ラインを停止した機種が基地・空母に配属中だった場合、その部隊は補充はおろか''解散すら不可能''となってしまう。うまく全滅してくれればいいのだがなかなかそうも…。 --こう言ったグダグダを避けるためには、新型機が登場する前月末までに、生産ライン停止予定の旧式機は全て解散し在庫に戻しておくしかないが、新型機開発のアナウンスは当月頭なのである。かくして初心者プレイヤーは生産ラインがぐちゃぐちゃになるか、やむなく新型機の量産を一ヶ月遅らせるかとなってしまう。 ---パワーアップキット版では、会議後に限らずいつでも航空機生産が行える仕様となり、この点の問題は解決している。 -同盟国の部隊も登場するが、いくつか制限が存在するため使い勝手が悪い。 --陸上部隊の場合、所属国の基地でしか補充が行えない。 --全滅してしまった場合も自国の部隊と違って再配属されることはない。 --ドイツ軍だけは特殊な条件となっており、彼らが登場するかはアメリカの「欧州派兵数」が影響してくる((「独軍ポイント」というマスクデーターを持っており、「欧州派兵数」が2個師団以下だと徐々に上がっていく。逆に3個師団以上だと減っていく。))((独軍ポイントが「0」になるとドイツは降伏し、全ての基地・艦船・部隊は消滅する。逆に「90」になるとイギリスが、「99」になるとロシアが降伏してしまい、それらの所有物は全てドイツ軍のものとなってしまう))((独軍ポイントが高いと、ドイツ軍基地に強力な兵器が登場しやすい。))。しかし、同盟を結んでいる日本軍は何の影響も及ぼせない。 -国家元首はいかなる状況にあっても人物が変更されないので不自然な光景になることがある。 --例えば史実では1945年4月12日に脳溢血で死亡したルーズベルトが1946年以降も存命であったり、ドイツが降伏しても降伏直前に自殺したヒトラーが存命だったりするなど。 ---同じことは提督にも当てはまる。キャンペーンシナリオでプレイしていると、病死した高須四郎らが生存し続ける。 -艦隊の足が早すぎる --前作では、1ターンは4時間であったが、今作では24時間。単純計算でゲームの速度は6倍、双方の艦隊が1ターンに移動する速度も6倍となる。これは、移動中の艦隊を捕捉撃滅する機会が減ったと言え、テンポは良くなったが大味になった。 --もっとも、基地攻略に集まった艦隊の群に殴り込めば、海戦自体は発生させられる。 -劣悪な艦名入力システム --漢字の読みをマウスで選び、目眩がするほど並んだ候補の中から目を皿にして目的の漢字を探さなければならないという、コンシューマーではありがちだったがPC版としては困ったシステム。 ---開始時に1回だけ命名すればいい系のゲームとは異なり、建艦のたびに入力しなければならない。 ---空白のまま決定すれば自動命名となるが、戦艦用・空母用などの艦名が用意されているわけでもなく、全開の違和感。 ---つまりは漢字変換(IME)を搭載していないまたはシステムにあったとしても利用できない。そもそもキーボード入力自体ができない。 ---米軍でプレイするならカタカナをクリックすればいいだけなので特に問題はないが。 **総評 前作よりボリュームや忠実性が増加し、本格的なシミュレーションゲームとなった。~ しかし、熱意を込めて実装されたはずの会議については、一部の不興を買った節がある。
*提督の決断II 【ていとくのけつだんつー】 |ジャンル|ウォーシミュレーション|&amazon(B00019P84I)|&amazon(B000069U7V)|&amazon(B000069U8B)| |対応機種|PC-9801、FM TOWNS、Windows 95、&br;スーパーファミコン、セガサターン、プレイステーション|~|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~|~| |発売日|【PC98】1994年1月29日&br;【TOWNS】1994年6月24日&br;【SFC】1995年2月17日&br;【SS】1996年2月23日&br;【PS】1996年8月23日|~|~|~| |定価|通常版:14,800円&br()Withサウンドウェア:17,200円|~|~|~| |判定|なし|~|~|~| |ポイント|前作よりボリューム大幅増加&br;一方でテンポは悪化&br;''死ぬほど面倒な会議''|~|~|~| |>|>|>|>|CENTER:''提督の決断シリーズ''&br()[[I>提督の決断]] / ''II'' / [[III>提督の決断III]] / IV| |>|>|>|>|CENTER:[[''コーエー歴史SLG作品''>コーエー歴史SLG作品]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 1993年に光栄(現・コーエーテクモゲームス)が製作・発売した歴史シミュレーションゲーム。~ 『提督の決断シリーズ』の第2作で、第二次世界大戦を扱ったWW2シリーズとしては『ヨーロッパ戦線』に続く第3作である。~ 前作がビデオゲームならではの要素を取り入れたシミュレーションゲームとして人気を博したが、それをさらにパワーアップさせた作品。 **特徴 -シナリオ10本で、内3本がキャンペーンシナリオ、7本がショートシナリオである。 --ショートシナリオは、開始前に複数の勝利条件から一つを選び、選んだ勝利条件を達成するとクリアとなる。 --なお、シナリオ0「ハワイ作戦」はチュートリアルシナリオとなっており、プレイヤーは日本軍で固定、勝利条件も予め決まっている。 ---[[前作>提督の決断]]で「真珠湾攻撃」を選んで返り討ちに遭った経験者は嫌な予感がしただろうが、本作では反撃してこないため安心して奇襲できる。 -前作では1日6ターンで進行していたが、本作では1日を航海フェイズと戦闘フェイズの2フェイズに分けて進行する。 --なお、艦隊戦は半リアルタイム戦闘を採用している。委任することも可能。 -毎月1日にカードバトル形式の会議が行われる。 --会議にはプレイヤーを含む5人が出席し、国政・軍政に関する決定を行う。 ---隠しパラメータとして各人の不満度が設定されており、不満度が高いと意見が否認されやすくなる。 --一人当たりのカード枚数は基本的に決まっており、最初に所持しているカードは完全にランダムである。 ---基本的に、「海軍が前月の作戦目標を達成」すればプレイヤーに配られるカードが増え、逆に達成できないとカードが減る。 -技術力が一定の値に達すると、月末に新兵器が開発される。 -1つの艦隊につき潜水艦以外の艦船を8隻まで編成できる。また、陣形は5種類の中から選べる。 --艦船の装甲は各部甲板(上部、左舷、右舷、後部)ごとに設定されており、いずれかが0になると沈没する。 -基地補給については、物資については前作の「一度補給したら、次の補給は母港からの距離に応じてn日後」から、「一括して月頭1回のみ」との仕様に改められた。 --航空機・陸上部隊についてはプレイヤーの操作でほとんどいつでも任意に行える((航空機は天気さえよければ瞬間的に配備されるが、陸上部隊については道または島伝いにトコトコ移動させるか、艦隊配備の輸送船でそれを行うかとなる。本作では1艦隊につき一度で2個師団まで輸送可能。))。 - 各基地が海軍基地・陸軍基地に分けられた。陸軍師団が占領した基地は陸軍の、海軍陸戦隊/海兵隊が占領した基地は海軍の管轄となる((例外として敵母港占領時は強制的に海軍の、首都占領時は強制的に陸軍の管轄となる。なおゲーム開始時に設定されている海軍/陸軍基地の属性を変更したいなら、一度敵に占領させてから、任意の兵で奪還すればよい))。 -- プレイヤーが操作する海軍は、陸軍基地には海軍航空隊を配備できない他、港湾・ドック・飛行場の拡張ができない。海軍陸戦隊を駐屯させることや、艦隊の寄港・補給には問題は無い。 -天候が作戦の遂行に大きな影響力を持つようになった。 --前作では天候がどうであろうと航空機を出撃させることができたが、今作では晴か曇以外の天候では航空機を出撃させられなくなった。 --さらに高緯度地帯では夏は霧、冬は雪が多くなり、東南アジアでは雨季と乾季とで天候の違いが顕著であるなど、地域と季節により天候が大きく異なるようになった。 -2人プレイにおいて、これまでの作品のように1台のパソコンで交互に操作する方法だけでなく、RS-232Cケーブルを用いての通信対戦が可能になった。 --後者の場合、相手が行っている行動を予想できないため、スリルある対戦が楽しめる。 -また、PC98版限定だがパワーアップキットも発売されている。 --4本のシナリオ追加、操作性の改良、母港が陥落すると前作同様に別の基地が新たな母港になるなどの変更点がある。 **評価点 -前作よりボリュームが大幅に増加した。 --神通((川内型軽巡の2番艦で、開戦時の第二水雷戦隊旗艦。))・島風((高速で重雷装の艦隊型駆逐艦。))・アルバコア((天龍、大鳳など多くの艦船を撃沈した米潜水艦。))・ハーダー((雷、谷風など多くの艦船を撃沈した米潜水艦。))など前作では登場できなかった艦船も登場している。 ---ドイツ・ソ連の艦船も登場。ただし、前者は登場する条件が厳しいためドイツの艦船を拝む事は難しい。 ---また、艦船の建造・命名も自由に行えるようになった。 --航空機も、種類別ではなく機種毎に区別されるようになった。零戦やB-29といった一般人でも知っている航空機ももちろん登場する。 --新兵器の種類も前作より多くなり、暗号解読機・酸素魚雷・焼夷弾なども登場する。 ---なお、レーダー搭載は完全修理ではなく本作で追加された兵装改造で行う。 --世界地図も拡張され、インド侵攻やオーストラリア侵攻はもちろん、ワシントン侵攻やアメリカ全土征服も可能である。 ---ただし、ワシントンは内陸にあるため艦砲射撃ができずワシントン自体も異様に頑丈なため、ワシントンを陥落させるのは非常に難しい。詳しくは賛否両論点で後述。 --陸軍師団・陸軍将軍・戦車が登場し、陸軍関連の要素が強化された。 --国家元首も本作から登場するようになった。もっとも、出ているのは実際の国家元首ではなく指導者・政治権力者であるが。 ---ただし、オランダのみ政治権力者のヘルブランディー首相の知名度が日本でほとんどないためか、国家元首のウィルヘルミナ女王が登場している。 -1日は2フェイズで進行し、戦闘シーンが簡略化されたのも相まって、テンポは''会議を除き''前作よりかなり良くなった。 -任意の艦隊を委任するか直接命令するかを選べるようになった。 --前作では第1艦隊は直接命令・それ以外の艦隊は委任で固定だった。 -ボリュームアップされた会議と重厚な雰囲気。 --前作でも海軍と陸軍の内輪揉めという要素はあったが、基本的に賛成・反対の二択という単純なものであり、またこの二者が政策の全てを決定してしまうという不自然極まりない代物であった。~ これに対して、本作は国のトップである総理大臣や経済を担当する大蔵大臣、外務を担う外務大臣といった政策決定に必要な面々がきちんと揃っている。 ---そのため、本作では陸軍・総理大臣・大蔵大臣・外務大臣と外交政策・資源・資金の駆け引きが楽しめる。 --雰囲気にしても、各々の思惑が渦巻く緊迫かつ重々しい空間が表現されている。音楽も秀逸。 ---不満度というマスクパラメータがあるために、重要事項の主導権を握るべくご機嫌取りに走ったりと、カードゲームの戦略的要素と上手く結びついている。 ---「裏取引」というカードの存在がその良い例である。他にも時間を進めるために煙草や茶で一服したりなど、リアリティのある演出が光る。 --また日本側の総理大臣・東條英機が陸軍出身と言うこともあり陸軍贔屓であり((不満度的には、むしろ大蔵大臣の方を敵視していたりする。その点においては陸軍には中立的であるだけでしかないのであるが、総理大臣の予算・物資分配などの提案がそもそも陸軍よりなのである。))、逆にアメリカ側の場合は大統領が海軍次官を勤めた経歴を考慮してか、露骨に海軍贔屓など史実としての再現度も高い。 --ただし会議については面倒との意見もある(賛否両論点参照)。 ---だが会議パートがないとあまりにも一本調子であり、いいアクセントになっているだろう。 ---ただ作戦目標の決定に首相(大統領)はともかく大蔵大臣(財務長官)や外務大臣(国務長官)が口出ししてくるのはどういう理由だろうか。挙句の果てに、会議で決が採れなかった場合に作戦目標を議会に諮るという防諜を全く考えていないグダグダっぷり。 --ちなみに会議でバカ勝ちしすぎていると、日本軍プレイでは1年を経ずして米国を降伏させられる。枯渇しがちな物資(特に艦船の燃料と言う意味)と航空機が、数倍規模で海軍に割り当てられるからである(もちろんそのほとんどは本来の陸軍割り当て分をぶんどるのだ!)。適度に勝ち負けを楽しむ事が前提のバランスと見受けられる。 ** 賛否両論点 -米国首都・ワシントンの堅牢さ。日本軍でプレイする場合これを陥落せしめることが確実な勝利に繋がるのであるが、ワシントンは内陸基地と言う扱いであるため、艦砲射撃が行えない。 --ワシントンを包囲すると、米軍は通常、陸兵を4部隊配置する。が、1部隊や2部隊全滅させたところで、ここは首都であるので、次のターンには部隊を配備され、4部隊に回復してしまう。 --このため、航空母艦の量産、周囲の基地を海軍が占領しての(陸軍に渡してしまってはいけない!)超重爆撃機「富嶽」の生産・配備など、十分な準備を整え、航空攻撃と陸上攻撃を集中し1ターンでワシントンに配備されている4部隊を消し飛ばすか、米軍が陸兵を徴兵・配備できなくなるまで削り続けるかと言う壮絶な攻防戦が展開される。 --これをうざいと見るか燃えるとみるかは人次第。 ---パワーアップキット版では日本側の基地の総生産力が1800以上となるとキャンペーンクリアとなるため、ワシントンに手を出す必要なくクリア条件を達成できる。 --これとは正反対に、米軍のキャンペーンシナリオは東京を占領するだけで勝利なので、圧倒的に簡単である。全艦隊を一カ所に集めて東京湾奇襲であっけなく勝利できる。 -会議を楽しめるプレイヤーならいいが、そうでない場合は''会議が非常に面倒。''1つの議題を終わらせるだけでも数分かかる上に、議題が外交交渉・作戦目標・予算配分・物資配分・兵士配分と5つ(アメリカの場合のみ、「欧州派兵数」が存在するため6つ)もあるため目立つ。 --会議の時間は、ゲーム上では1つの議題につき15分間だが、「延長」で延長されたり「時間稼」で短縮されたりするため安定しない。 --無闇に反対したり発言させないようにすると不満度が上がりこちらの意見を拒否されてしまうため、意見を通したい議題以外は賛同して機嫌をとる必要がある。日本でプレイする時は特に気を付けておかないといけない。会議の参加者が持つ不満度はその月限りのものではなく累計されて翌月にも持ち越されてしまうので、月々の積み重ねが大事。 ---特に予算配分・物資配分・兵士配分あたりはアドバンテージを取れないとかなり厳しくなる。残りも決して無視できる議題ではないが。 ---会議のコツをつかめれば非常に楽になるが、所要時間の多さは変わらない。 --一応会議は欠席することも可能だが不利な結論を押しつけられるため、重要な議題が多いこともあいまってゲーム的にかなり不利になる。そのため、少しでも海軍を有利にするために否が応でも参加することになる。 --この欠点は『[[信長の野望 覇王伝]]』の論功行賞の欠点((『覇王伝』の論功行賞も、非常に面倒な上に半強制的にやらされる。))とほぼ同じであり、同じ轍を踏む結果になった。 **問題点 -潜水艦が異常に強い。本作では基本的に巡洋艦(駆逐艦)による爆雷投下でしか攻撃することができず、爆雷は艦の真下とその周囲6マスにしか判定がないため、攻撃を当てにくい。潜水艦の方は魚雷で遠距離攻撃できるため圧倒的に有利。 --海戦を「見る」モードだとさらに強さが増す((「見ない」モードだと、最大でも1艦船にしか被害を与えない。そのため、自国の潜水艦の戦いは「見る」、相手の潜水艦の戦いは「見ない」にするのがお得、と公式攻略本にも書いてある…。))。 --手動で操作すれば既定の10ターンの戦闘時間内で高確率で戦艦または空母を1隻撃沈でき、運が良ければ2隻もある。そして上記の通り多くの場合自軍潜水艦は無傷である。また、戦艦・空母などより小型高速である駆逐艦にも普通に魚雷が当たるため、駆逐艦隊相手にも全く不利さはない。 --一応、前作のように複数の潜水艦による一斉攻撃((いわゆるウルフパック(群狼作戦)といわれる戦術。))はできず、各部甲板がなく耐久力が一か所しかないため命中されると轟沈しやすい欠点はあるが、それでも強力である。階級の高い提督を乗せると能力値補正がかかるためさらに強くなる。また、前作より1ターンあたりの艦隊の速力が増しているので敵母港近辺に潜ませておくとあまり潜水艦戦は発生しない。敵艦隊が横付けしてくる事がほぼ確定している、敵軍が攻略対象としている自軍基地で待ち構える運用になる。 -前作と違いショートシナリオで勝利条件を達成するとそのまま終了してしまい、通常シナリオに移行できない。 --ただし一応のエンディングは用意されているなど、進歩した面も見られる。 -パワーアップキット版固有の問題として、キャンペーンシナリオ「開戦前夜」では同じ日に全ての国に宣戦布告した場合、キャンペーンシナリオの勝利条件『基地の総生産力1800以上』に相手が該当してしまうため、自国にどれだけ戦力が残っていようと開戦初日に自国の敗北でゲームが終了してしまうことがある。 -前作では基地のマップは基地ごとに実際の地形に基づいたものとなっていたが、本作ではどの基地も汎用マップとなってしまい、基地が没個性化した。正直基地攻略戦は非常につまらない。 --が、「見ない」にするとアテにしていた貯蔵物資や入港するはずの港湾までふっ飛ばしてしまう。プレイ時間効率を取るかゲーム効率を取るか…。 -基地が陸軍所属だと自由に命令を出せない。 --そう言うゲームであると言えばそうなのだが…。 --その上陸軍師団の動きがもの凄く、いわゆるバカである。公式攻略本でも支離滅裂扱いされている程だ((更に、ワシントンは海軍陸戦隊だけで攻略すべきであるとも…。))。もっとも海軍陸戦隊も、操作をCPUに任せれば相当にバカである。 --パワーアップキット版ではある程度改善されているが、自由に命令を出せるように敢えて海軍で占領することも視野に入れる必要がある。 -海戦時のAIのバカさ --海戦の操作を委任してしまうと、空母が敵艦隊に突入し数十機の艦載機を抱えたまま爆沈…と攻略本でネタにされているほどである。 --敵艦隊の操作は当然CPUが行うため、やはりお察しである。基本的に直進し離脱を目指してくるため、同等程度かそれ以上の戦力があれば、行き場を遮る丁字戦法((艦の横腹を見せた形だと命中率があがる。これは当時のリアル軍艦でも同じ。また、敵の先頭艦から順に総力で集中攻撃を加え順番に撃沈していく、各個撃破の理想型の一つである。ちなみに本当にリアルの実戦では敵もちゃんと考えて動くため、難しい。))をもってほぼ完封できる。これには何ら高度なプレイスキルは要しない。 --委任時に寄港した巡洋艦・駆逐艦が、勝手にロケット弾運用仕様に改装される。こうなると、魚雷攻撃と爆雷攻撃(潜水艦を攻撃するための手段)が行えないにも拘わらずである((他の新兵器については搭載に主に時間的なコストはかかるものの様上の明確な副作用はない))。 --提督が簡単に死ぬ。艦橋への直撃というアンラッキーはもちろん、砲撃戦で艦隊が全滅すると最後の艦が沈没すると同時に提督も戦死してしまう。さらに提督を乗艦させた潜水艦が沈没した場合は、戦闘時、非戦闘時を問わず死亡する。 -低すぎる上限値によるフラストレーション --毎月の国家収入は予算・物資とも6万が上限。これらは貯蓄できない(「I」では国庫に納められ貯蓄が可能だった。上限値はあるものの非常に高い値であり、全くと言っていいほど不自由はない)。 --予算を配分する各項目にも2万、6万と言った低い上限値がある((海軍予算・物資とも、前月の使い残しがあると、当月割り当てられる最大値はその分減少してしまう。いかにもお役所的である。物資については使い切らずとも、各基地の海軍用倉庫にひっそりしまい込んでおけば、国家収入が十分かつ会議でうまくやれば、貯蓄も可能であるが、何故こんなセコい手を使わねばならないのか…。))。 ---物資収入があまりに向上すると会議でAIがそれに対応できず、明らかに国家にとって不利な分配を提案したりする。 --航空隊数にも最大255隊の制限がある。SFC版に至っては152隊が上限という少なさ。 ---大型空母8隻の艦隊につき32隊。3艦隊作ればもう96埋まる。それに前線基地と後方支援用基地((このゲームでは、配備したての航空隊の錬度は20少々。日数をかけて教練すれば、教練だけで60まであがる。この為通常は、激戦を重ねる前線基地/機動部隊を支援するため、後方で交替用の航空隊を育成することが公式攻略本でも推奨されている。))の分がある。負け戦または均衡している内ならいいが、勝ち戦になり空母も増えてくると簡単に上限に達する。 ---本作の航空機部隊は、基地・空母とも、単一機種1~20機で構成される「航空隊」単位で管理される。基地航空隊は飛行場規模1につき4隊80機(飛行場規模は最大で2、この場合8隊160機)、空母については搭載数が許せば4隊80機、1艦隊最大640機を運用できる。 ---偵察機は別勘定である。基地の場合は最大20機((例えばある空母の搭載数が(最大)30機だった場合、偵察機を載せずに20機・10機の2航空隊を搭載するか、1隊20機だけ搭載し10機の偵察機を載せるかは、プレイヤーの任意である。))。 ---偵察機だけの「航空隊」を編成することは出来ない。基地に偵察の機能だけを持たせたい場合でも、偵察機以外の隊を最低でも1つ配備しなければ偵察機を機能させることができないので注意。 -低すぎる上限値のせいで嬉しくない新型艦設計 --空母に搭載できる戦闘雷爆機は80機まで。余剰分には偵察機しか積めない。このため空母の搭載機は85機程度あれば十分である。しかし日米両海軍とも、開戦時からにこれを満たし十分な速度と防御力を持つ空母が量産可能なのである。 --日本軍の大和型弩級戦艦は装甲値合計35(上限36)、対艦攻撃力99(上限)を誇っており、速度も戦艦としては水準以上((艦隊速度=行動力は艦隊で最も速度の遅い艦船のそれによって決まるため、速度が突出した戦艦がほんの何隻かあってもこの点においては意味が無い))。長い技術向上の末に対空攻撃力や速度くらいしか向上できない様では…。 --それに次ぐ普通の戦艦・長門型でも対艦83/99、装甲34/36。新設計してもその要である攻防の向上は非常に限定的。 ---大和型と言うか弩級戦艦を持たない米軍にとっては、弩級戦艦については早めに投入してもいいかもしれないが…。 -使い勝手の悪い航空機製造ライン --航空機の生産は、会議後、毎月の頭に、各系統(艦上戦闘機、戦略爆撃機…)について、当月生産すべきものを2機種選抜する。生産ラインを停止された航空機の在庫は全て廃棄され、資源に戻る。 --しかしながら、生産ラインを停止した機種が基地・空母に配属中だった場合、その部隊は補充はおろか''解散すら不可能''となってしまう。うまく全滅してくれればいいのだがなかなかそうも…。 --こう言ったグダグダを避けるためには、新型機が登場する前月末までに、生産ライン停止予定の旧式機は全て解散し在庫に戻しておくしかないが、新型機開発のアナウンスは当月頭なのである。かくして初心者プレイヤーは生産ラインがぐちゃぐちゃになるか、やむなく新型機の量産を一ヶ月遅らせるかとなってしまう。 ---パワーアップキット版では、会議後に限らずいつでも航空機生産が行える仕様となり、この点の問題は解決している。 -同盟国の部隊も登場するが、いくつか制限が存在するため使い勝手が悪い。 --陸上部隊の場合、所属国の基地でしか補充が行えない。 --全滅してしまった場合も自国の部隊と違って再配属されることはない。 --ドイツ軍だけは特殊な条件となっており、彼らが登場するかはアメリカの「欧州派兵数」が影響してくる((「独軍ポイント」というマスクデーターを持っており、「欧州派兵数」が2個師団以下だと徐々に上がっていく。逆に3個師団以上だと減っていく。))((独軍ポイントが「0」になるとドイツは降伏し、全ての基地・艦船・部隊は消滅する。逆に「90」になるとイギリスが、「99」になるとロシアが降伏してしまい、それらの所有物は全てドイツ軍のものとなってしまう))((独軍ポイントが高いと、ドイツ軍基地に強力な兵器が登場しやすい。))。しかし、同盟を結んでいる日本軍は何の影響も及ぼせない。 -国家元首はいかなる状況にあっても人物が変更されないので不自然な光景になることがある。 --例えば史実では1945年4月12日に脳溢血で死亡したルーズベルトが1946年以降も存命であったり、ドイツが降伏しても降伏直前に自殺したヒトラーが存命だったりするなど。 ---同じことは提督にも当てはまる。キャンペーンシナリオでプレイしていると、病死した高須四郎らが生存し続ける。 -艦隊の足が早すぎる --前作では、1ターンは4時間であったが、今作では24時間。単純計算でゲームの速度は6倍、双方の艦隊が1ターンに移動する速度も6倍となる。これは、移動中の艦隊を捕捉撃滅する機会が減ったと言え、テンポは良くなったが大味になった。 --もっとも、基地攻略に集まった艦隊の群に殴り込めば、海戦自体は発生させられる。 -劣悪な艦名入力システム --漢字の読みをマウスで選び、目眩がするほど並んだ候補の中から目を皿にして目的の漢字を探さなければならないという、コンシューマーではありがちだったがPC版としては困ったシステム。 ---開始時に1回だけ命名すればいい系のゲームとは異なり、建艦のたびに入力しなければならない。 ---空白のまま決定すれば自動命名となるが、戦艦用・空母用などの艦名が用意されているわけでもなく、全開の違和感。 ---つまりは漢字変換(IME)を搭載していないまたはシステムにあったとしても利用できない。そもそもキーボード入力自体ができない。 ---米軍でプレイするならカタカナをクリックすればいいだけなので特に問題はないが。 **総評 前作よりボリュームや忠実性が増加し、本格的なシミュレーションゲームとなった。~ しかし、熱意を込めて実装されたはずの会議については、一部の不興を買った節がある。

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