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*ASSASSIN'S CREED BROTHERHOOD 【あさしん くりーど ぶらざーふっど】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B0044KNLE4)&amazon(B0054U5IWG)|&amazon(B0044KNLEE)&amazon(B0054U5JTI)| |対応機種|プレイステーション3&br;Xbox 360&br;Windows XP~7&br;Mac OS X&br;プレイステーション4((PS4版は『エツィオコレクション』に収録。))|~|~| |発売元|ユービーアイソフト|~|~| |開発元|ユービーアイソフト モントリオール・スタジオ|~|~| |発売日|【PS3/360】2010年12月9日&br;【Win】2011年3月18日|~|~| |定価|7,770円|~|~| |廉価版|スペシャルエディション:2011年8月4日/3,990円|~|~| |レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ASSASSIN'S CREEDシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『ASSASSIN'S CREED』シリーズ据置作品の3作目。エツィオ・サーガの第2作にあたる。~ タイトルに『III』が冠せられていないのは「ナンバリングには新たな主人公、新たな舞台を用意する」という意向からで、実際に『[[ASSASSIN'S CREED III]]』は後に新主人公を迎えて登場することになった。~ 物語自体は[[前作>ASSASSIN'S CREED II]]の直後から始まる完全な続編である。 タイトルの「Brotherhood」とは兄弟愛の他に組合などという意味。なお日本語版の「アサシン教団」という用語は「Assassin Brotherhood」の訳語。 ---- **ストーリー ※前作のラスト直後からスタート。 アブスターゴ社から脱出し、エツィオの記憶を辿っていたデズモンドであったが、隠れ家をアブスターゴに発見され再び逃亡する事になってしまった。~ さらにエツィオの記憶を辿る中で「実」の所在は失われ、再び補足するにはエツィオの記憶を辿るしかないという結論に至る。~ 辿りついたのはかつてエツィオが暮らしたモンテリジョーニのヴィラ。すでに朽ちていた地下の「聖域」にアニムスを設置し、デズモンドは再びエツィオの記憶を追体験していく。 15世紀、ローマでのロドリゴ・ボルジア(ローマ教皇アレクサンデル5世)との戦いに勝利したエツィオはかつて来たりし者「ミネルヴァ」と邂逅した後、叔父マリオと共に脱出した。~ モンテリジョーニへ戻り体験を皆に話すが、マキャヴェリからはロドリゴにトドメを刺さなかったことを責められてしまう。~ 束の間の休息を過ごすエツィオだったが、突如ボルジアの息子チェーザレ・ボルジアの軍がモンテリジョーニを襲撃した。~ 目の前でマリオを殺害され、カテリーナを連れ去られたエツィオは再びローマへ赴き、復讐とボルジアの野望を阻止するため戦いを始める。 ---- **特徴 -基本的なシステムは前作に準拠している。 -舞台は序盤や現代編で登場するモンテリジョーニを除けばローマのみだが、前作の舞台の1つであるフィレンツェのおよそ3倍と非常に広大になった。 --最初は行ける場所が制限されるが、ストーリーの進行に伴い徐々に解放されていく。 -その他の主な変更点は下記。 ***前作からの追加・変更点 -''弟子システム'' --ゲームが進むとテンプル騎士団に虐げられている市民を救出し、弟子にして育てていくことが出来るようになった。 --弟子となった市民はアサシンとしての任務に派遣して経験を積ませたり、エツィオと共に戦わせることが出来る。装備の強化も可能。 ---弟子はライフバーの下にある専用のゲージを消費することで呼び出す事が出来る。ゲージは時間経過で回復する。 ---ゲージはゲームが進むと最大3ゲージまで増加し、3ゲージ全て消費することで必殺技「矢の嵐」を使用できるようになる。画面に入った敵を全て一撃で倒すという便利なもので、一部のフルシンクロ達成時にも大いに役立つ。 -''フル・シンクロ'' --ミッション中に提示される特定条件を満たすことで達成率を100%に出来るシステム。同シークエンス内のミッションで全てフル・シンクロするとチートが解放される。 --これに伴い、1度クリアしたメモリーを何度でもリプレイ可能になった。 -''ボルジアに支配された地域'' --ローマの各地区はボルジアの軍に支配されており、街中にある「ボルジアの塔」の近くにいる隊長を倒し、塔を燃やすことで解放される。 --支配地域では各施設の修復が行えないという制限がかかり、塔周辺は常時、高警戒地域になっている。塔を燃やせばこれらの制限も解除される。 --塔はシンクロ地点も兼ねているため、燃やすと同時にシンクロしてマップが広がる。また、地区を解放すると弟子に出来る人数が増えていく。 -''街の発展'' --前作にもあった街の発展がローマ全体を発展させていくようになった。 --ボルジアの塔を燃やすことで各店舗を修復出来るようになり、さらに投資することで商品が値引きされ((値引きされるのは同じ業種のみだが、全ての店舗で適用される。))、資金収入が増えていく。貯まった資金は銀行から引き出せる。 ---ファストトラベルに使える地下道やいつでも馬を調達出来る馬小屋など、修復できる店も増えた。なお、銀行に貯められる資金は銀行に投資することで増加する。 --商店クエストが追加された。 ---その名の通り、各商店で受けられるサブミッションで、依頼されたアイテムを持っていくことで新しい装備品を貰える。 -''戦闘システム'' --新たな武器としてクロスボウが登場。 ---銃と違って音が小さいため、遠距離から暗殺するのに向いた銃の上位互換と言える武器。ただし、その分値段も張る。 --イマイチ存在理由が微妙だった「回避」が「キック」による防御崩しに変更。重装兵のような防御の硬い敵も積極的に攻めていけるように。 --剣とピストルを併用したコンボを行えるようになった。操作自体は通常の攻撃と変わらず、自動的に使用する。 --「エクスキューションストリーク(後の作品におけるキルストリーク)」が追加された。 ---敵にトドメを刺した直後、他の敵にスティックを傾けながらボタンを押すと攻撃を受けない限り、連続して敵を倒していける特殊キル。 -''オンラインマルチプレイ'' --今作からマルチプレイが追加され、多人数での対戦・協力プレイが楽しめるようになった。 -その他、細かい変更点 --ローマ全体が舞台のため、街中でも馬に乗れるようになった。ただし、早駆け(ギャロップ)は一部ミッションでのみ使用可能。 --宝箱から資金だけでなく、アイテムを入手出来るようになった。アイテムは店で売れる他、前述の商店クエストに必要となる。 --メニュー画面にバーチャルトレーニングが追加された。 ---トレーニングはスコアアタック式になっており、フリーラン、戦闘など技能別に4種類の時間制限ミッションをプレイ可能。 --いつでもアニムスから出て現代に戻れるようになった。 ---- **評価点 -ストーリー --シリーズの中でも人気の高い主人公であるエツィオの物語ということで、今作も人気は高い傾向にある。 --前作の激闘が終わったのも束の間、全てを失いながらも再起をはかり、前作の仲間たちと共にロドリゴの息子、チェーザレ・ボルジアに立ち向かっていくストーリー展開は秀逸。 ---中盤からはマスターアサシンに就任し、この頃になると声の出し方も威厳のあるものになるなど、担当声優の好演も光る。 --今作は仲間同士の絆・信頼関係が重要なファクターとなっており、過去編・現代編を通してこの要素が重要となってくる。さらに前述の弟子システムや、時には仲間と力を合わせて勝利を目指すマルチプレイシステム搭載など、まさに「ブラザーフッド」の名に相応しい物語である。 ---前作ではあまり出番のなかったエツィオの母と妹も心強い仲間として活躍する。 -「最強のアサシン」エツィオ --前作では陰謀に巻き込まれ流されるままアサシンとなってしまった青年エツィオの成長劇という側面が強かったが、本作では最序盤から一人前のアサシンとして仲間を率い戦いに挑む成長したエツィオの姿が描かれる。 --最序盤のチェーザレの襲撃によって前作の装備を一旦全て失ってしまうが、メインストーリーを進めることで割とすぐに取り戻し、更に新たな武装や弟子システムなどを身に着けたエツィオの強さはまさに最強のアサシンと呼ばれるに相応しい。 ---というより、フルに活用すると後述の問題点で述べてるようにエツィオが強すぎて戦闘が単調になってしまう恐れがあるレベルである。~ しかしヒロイックなアサシンを操作したいプレイヤーからは高評価。 -高品質なグラフィック、BGM --前作からの流用も一部あるものの、広大なローマの景色も美麗も再現されており、前作同様に観光気分で街中を探索出来る。 --ただ単に広いだけでなく、4つの区画それぞれ違った雰囲気を味わえる。 --BGMも本作の雰囲気に合わせた楽曲となっており、雰囲気を盛り上げてくれる。 -前作の問題点を改善 --銀行が各地に配置されたため、復興すれば広いマップながらいちいち遠くまで取りにいく手間が軽減された。 --クロスボウが追加されたので、遠距離からの暗殺もしやすくなった。 --マップにランドマークのシンボルが表示されるようになったので、マップの使いづらさをある程度解消。 --クリア済みのメモリーを全てやり直せるようになった。 ---ただし、本編クリア後は現代編に戻れなくなってしまうが。 -今作も大ボリューム --メインミッション自体は全9章と前作に比べてやや控えめだが、フルシンクロシステムやリプレイの導入によりやり込み要素が増えた。 ---メインミッションも移動するだけで1シーン終了等もあった前作と比べると1ミッションのボリュームも増え、体感的には然程ボリュームダウン感は感じない。 --ボルジアの塔の破壊、レオナルド・ダ・ヴィンチがボルジアに開発させられた戦闘兵器の破壊、テンプル騎士暗殺…などサブミッションも豊富。 --これらのサブミッションはレベルデザインが非常に良く練られており、特に戦闘兵器破壊ミッションは「別のゲームか?」と見違えるほど。小学生男児のようにはっちゃけるエツィオは必見。 ---一部ミッションは本編中に挑戦するものもあるが、基本的に任意選択のため、先にメインシナリオを進めることも自由。 --前作で登場したエツィオの恋人クリスティーナとの思い出を巡り、前作では語られなかった部分を補完するミッションも用意されている。 --前作に続く羽集めや宝箱回収、旗集めといった収集要素も用意されている。現代編でのみ達成できる収集要素も。 --各ギルドから科せられたミッションを達成することでランクを上げたり、バーチャルトレーニングでの高ランク取得などのやりこみ要素など、とにかくボリュームたっぷり。 -好評なオンラインマルチ --ルールはDLCとチュートリアルを含め9種類あり、他のマルチプレイヤーゲーム同様、個人戦やチーム戦が用意されている。 ---他のゲームと異なる点として、本作らしくラウンド毎にプレイヤーの中から選ばれるターゲットを暗殺していくルールが用意されている。暗殺の仕方が上手いほど(ざっくり言えば、高いステルス状態を保ちながら手間のかかるやり方でキルを達成すると)高スコアを得られるのもポイント。単にターゲットを倒すだけでは高い点数が得られず、難易度と獲得スコアとのバランス感覚が求められる。 --プレイヤーは多彩なアバターを設定し、市民に紛れながら同じく市民に紛れているターゲットを探していく必要があり、さながらかくれんぼのようで中々楽しい。 --アバターとなっているキャラクターは本編中に登場するターゲット。細かなキャラ設定もされており、人気も高い。 --プレイヤーは累積スコアでレベルアップもする。レベルアップの際のアンロック要素も装備やスキル、外観アイテムやプロフィールアイテムなど多様で長く遊べる。 --なお、このマルチプレイはテンプル騎士団がアサシンに対抗できる人材をアニムスを使って育てているという設定で行われている。前作でデズモンドが脱出する際に見た無数のアニムスがこれだった模様。 ---- **賛否両論点 -フル・シンクロ条件 --ミッション攻略に緊張感が出た半面、一部行動が制限されすぎる条件があるため、自由度が低下している。 --特に「~分以内にクリアしろ」という条件。ミッション専用のマップにも宝箱や収集アイテムが配置されているため、1周目は寄り道しつつ、2周目で達成すればいいが、やはり面倒という意見も。 --他の条件も初登場要素にしてはかなり骨太でシビアな傾向にある。総じてクリアしたプレイヤーが2周目に条件クリアを目指すレベル。 -弟子システム --ゲージ消費という制約はあるものの、使用すればどこからともなく現れて指定したターゲットを暗殺してくれるため非常に便利で基本的には好評。 --だが、あまりに便利すぎて緊張感が削がれるという声もある。 --体感的には、本作のデフォルト難易度は前作クリア層を想定ターゲットとしているため、それなりに高い。それを鑑みると、ある種の救済措置とも言える。 -トンネルの使い勝手 --入口を開放することで別の入口への高速移動が可能になり、便利ではある。しかし入口同士の移動しかできないので、いちいち入口まで移動しなくてはならず、移動先の地名と場所をしっかり頭に入れておかないと逆に時間をロスする場合もある。 -シンボルパズルの難易度は相変わらず --今作もシンボルパズルが用意されているが今回も難易度が高いものがあり、前作にもあったフィボナッチ数列等の難解な要素もある。 --日本ではルールが浸透しているとは言い難いチェスを使ったパズルもあり、ピース(駒)の移動可能なマスも表示されないので、ピースの動き方くらいは知っておく必要がある。 --もちろん今回もやりこみ要素の一つであり、クリアする必要はない。 ---- **問題点 -一部ストーリーの難解な描写 --特にエンディングについてはジュノーの台詞が難解なため、ラストシーンの意味が解らなかったプレイヤーも多い。 --また、冒頭も前作の直後から始まり、味方キャラも殆どが前作からの続投のため、今作から始めるには向いていないかもしれない。 -戦闘の単調さも変わらず --戦闘には新要素が追加されているものの、ゲームバランス自体は殆ど変更がない。このため、今作もカウンターするのが一番強力。 --カウンター後、キルストリーク連打だけで殆どの戦闘を切り抜けられるため、より単調に感じられる場合も。爽快感は高くなったが。 -マップ関連 --いくつもの都市を移動し、それぞれにマップがあった前作と異なり、本作はほぼローマを中心に展開するためか、一つの大きなマップにまとめられている。しかしそのせいかマップを開く時少しラグがある。ほんの少しではあるが何度も使うため多少気になる。 --ローマの七丘と言うようにローマ周辺は地形に起伏があるのだが、本作でもそれを再現したのか地形に結構な高低差がある。しかもそれは「坂」というより、登ることが不可能な完全な「崖」であり((凧を使えば安全に降りる事はできるが。))、所々に上り下りできる細い坂があるといったものである。マップ上ではそれがよく分からないため、直線的に行けそうでも実際には結構遠回りしなければいけなかったりする。 --全体的に前後作よりも人口密度が高く、また路地も細かく入り組んでいるため、やや窮屈に感じられることも多い。 -前作の問題点のいくつかはそのまま --ステルス要素の大味さやバグ、カメラの挙動などは殆ど改善されていない。 ---フルシンクロ条件を満たしたのに失敗判定となったり、突然シンクロ解除になるバグが多いが、これらはやり直しになる”だけ”なのでまだマシな方。中には手塩にかけた弟子が地形にハマってそのままタコ殴りになったり、コントラクト時に成功率100%でも失敗したりすることも。この場合、当然弟子は死亡する。 -一部ローカライズの問題 --僅かではあるがUI関連や説明文に誤訳がある。有名どころでは隠れ家の装備変更部屋での誤訳。説明文では「○装備選択/×キャンセル」となっているが、実際は海外版と同じ「×装備選択/○キャンセル」と処理される。 --複雑な歴史上の人物交差や社会情勢を翻訳しきったところは寧ろ絶賛されるべきであり、シナリオ上に限って言えば、ごく稀に人物のやりとりに違和感が発生する程度ではある。    --ロードの長さも変わらず、ムービーによってはスキップしない方が早いという逆転現象も存在する。 ---ただし、機種によってロード時間は異なり、PS3版がもっとも長く、PC版が(PCの性能にもよるが)もっとも短い。 -基本的なシステムや進行に変化はないため、マンネリ感がある。長く続くシリーズでは避けられない問題ではあるが。 ---- **総評 好評を受けた前作の様々な要素をパワーアップしたお手本のような続編。前作をクリアしたプレイヤーなら、前作ラスト直後から始まり、ボルジアとの全ての決着が着く本作はぜひプレイしておきたい。~ また、マルチプレイにより新たな境地を開いたのも評価されるべき点であろう。より深みを増した物語とマルチプレイを同時に楽しめる本作はシリーズの中でも愛される一作となった。~ 現在は前作と次作を同時収録した『エツィオ・サーガ』とPS4版の『エツィオコレクション』が販売されている。PS4版はマルチプレイモードは収録されていないが、本編だけ楽しみたいならこちらを買うのが良いだろう。 ---- **余談 -後のシリーズ作品や他作品とのコラボレーションではお馴染みとなるエツィオの衣装であるが、ほとんどの作品で本作「BH」の衣装が採用されている。
*ASSASSIN'S CREED BROTHERHOOD 【あさしん くりーど ぶらざーふっど】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B0044KNLE4)&amazon(B0054U5IWG)|&amazon(B0044KNLEE)&amazon(B0054U5JTI)| |対応機種|プレイステーション3&br;Xbox 360&br;Windows XP~7&br;Mac OS X&br;プレイステーション4((PS4版は『エツィオコレクション』に収録。))|~|~| |発売元|ユービーアイソフト|~|~| |開発元|ユービーアイソフト モントリオール・スタジオ|~|~| |発売日|【PS3/360】2010年12月9日&br;【Win】2011年3月18日|~|~| |定価|7,770円|~|~| |廉価版|スペシャルエディション:2011年8月4日/3,990円|~|~| |レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ASSASSIN'S CREEDシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『ASSASSIN'S CREED』シリーズ据置作品の3作目。エツィオ・サーガの第2作にあたる。~ タイトルに『III』が冠せられていないのは「ナンバリングには新たな主人公、新たな舞台を用意する」という意向からで、実際に『[[ASSASSIN'S CREED III]]』は後に新主人公を迎えて登場することになった。~ 物語自体は[[前作>ASSASSIN'S CREED II]]の直後から始まる完全な続編である。 タイトルの「Brotherhood」とは兄弟愛の他に組合などという意味。なお日本語版の「アサシン教団」という用語は「Assassin Brotherhood」の訳語。 ---- **ストーリー ※前作のラスト直後からスタート。 アブスターゴ社から脱出し、エツィオの記憶を辿っていたデズモンドであったが、隠れ家をアブスターゴに発見され再び逃亡する事になってしまった。~ さらにエツィオの記憶を辿る中で「実」の所在は失われ、再び補足するにはエツィオの記憶を辿るしかないという結論に至る。~ 辿りついたのはかつてエツィオが暮らしたモンテリジョーニのヴィラ。すでに朽ちていた地下の「聖域」にアニムスを設置し、デズモンドは再びエツィオの記憶を追体験していく。 15世紀、ローマでのロドリゴ・ボルジア(ローマ教皇アレクサンデル5世)との戦いに勝利したエツィオはかつて来たりし者「ミネルヴァ」と邂逅した後、叔父マリオと共に脱出した。~ モンテリジョーニへ戻り体験を皆に話すが、マキャヴェリからはロドリゴにトドメを刺さなかったことを責められてしまう。~ 束の間の休息を過ごすエツィオだったが、突如ボルジアの息子チェーザレ・ボルジアの軍がモンテリジョーニを襲撃した。~ 目の前でマリオを殺害され、カテリーナを連れ去られたエツィオは再びローマへ赴き、復讐とボルジアの野望を阻止するため戦いを始める。 ---- **特徴 -基本的なシステムは前作に準拠している。 -舞台は序盤や現代編で登場するモンテリジョーニを除けばローマのみだが、前作の舞台の1つであるフィレンツェのおよそ3倍と非常に広大になった。 --最初は行ける場所が制限されるが、ストーリーの進行に伴い徐々に解放されていく。 -その他の主な変更点は下記。 ***前作からの追加・変更点 -''弟子システム'' --ゲームが進むとテンプル騎士団に虐げられている市民を救出し、弟子にして育てていくことが出来るようになった。 --弟子となった市民はアサシンとしての任務に派遣して経験を積ませたり、エツィオと共に戦わせることが出来る。装備の強化も可能。 ---弟子はライフバーの下にある専用のゲージを消費することで呼び出す事が出来る。ゲージは時間経過で回復する。 ---ゲージはゲームが進むと最大3ゲージまで増加し、3ゲージ全て消費することで必殺技「矢の嵐」を使用できるようになる。画面に入った敵を全て一撃で倒すという便利なもので、一部のフルシンクロ達成時にも大いに役立つ。 -''フル・シンクロ'' --ミッション中に提示される特定条件を満たすことで達成率を100%に出来るシステム。同シークエンス内のミッションで全てフル・シンクロするとチートが解放される。 --これに伴い、1度クリアしたメモリーを何度でもリプレイ可能になった。 -''ボルジアに支配された地域'' --ローマの各地区はボルジアの軍に支配されており、街中にある「ボルジアの塔」の近くにいる隊長を倒し、塔を燃やすことで解放される。 --支配地域では各施設の修復が行えないという制限がかかり、塔周辺は常時、高警戒地域になっている。塔を燃やせばこれらの制限も解除される。 --塔はシンクロ地点も兼ねているため、燃やすと同時にシンクロしてマップが広がる。また、地区を解放すると弟子に出来る人数が増えていく。 -''街の発展'' --前作にもあった街の発展がローマ全体を発展させていくようになった。 --ボルジアの塔を燃やすことで各店舗を修復出来るようになり、さらに投資することで商品が値引きされ((値引きされるのは同じ業種のみだが、全ての店舗で適用される。))、資金収入が増えていく。貯まった資金は銀行から引き出せる。 ---ファストトラベルに使える地下道やいつでも馬を調達出来る馬小屋など、修復できる店も増えた。なお、銀行に貯められる資金は銀行に投資することで増加する。 --商店クエストが追加された。 ---その名の通り、各商店で受けられるサブミッションで、依頼されたアイテムを持っていくことで新しい装備品を貰える。 -''戦闘システム'' --新たな武器としてクロスボウが登場。 ---銃と違って音が小さいため、遠距離から暗殺するのに向いた銃の上位互換と言える武器。ただし、その分値段も張る。 --イマイチ存在理由が微妙だった「回避」が「キック」による防御崩しに変更。重装兵のような防御の硬い敵も積極的に攻めていけるように。 --剣とピストルを併用したコンボを行えるようになった。操作自体は通常の攻撃と変わらず、自動的に使用する。 --「エクスキューションストリーク(後の作品におけるキルストリーク)」が追加された。 ---敵にトドメを刺した直後、他の敵にスティックを傾けながらボタンを押すと攻撃を受けない限り、連続して敵を倒していける特殊キル。 -''オンラインマルチプレイ'' --今作からマルチプレイが追加され、多人数での対戦・協力プレイが楽しめるようになった。 -その他、細かい変更点 --ローマ全体が舞台のため、街中でも馬に乗れるようになった。ただし、早駆け(ギャロップ)は一部ミッションでのみ使用可能。 --宝箱から資金だけでなく、アイテムを入手出来るようになった。アイテムは店で売れる他、前述の商店クエストに必要となる。 --メニュー画面にバーチャルトレーニングが追加された。 ---トレーニングはスコアアタック式になっており、フリーラン、戦闘など技能別に4種類の時間制限ミッションをプレイ可能。 --いつでもアニムスから出て現代に戻れるようになった。 ---- **評価点 -ストーリー --シリーズの中でも人気の高い主人公であるエツィオの物語ということで、今作も人気は高い傾向にある。 --前作の激闘が終わったのも束の間、全てを失いながらも再起をはかり、前作の仲間たちと共にロドリゴの息子、チェーザレ・ボルジアに立ち向かっていくストーリー展開は秀逸。 ---中盤からはマスターアサシンに就任し、この頃になると声の出し方も威厳のあるものになるなど、担当声優の好演も光る。 --今作は仲間同士の絆・信頼関係が重要なファクターとなっており、過去編・現代編を通してこの要素が重要となってくる。さらに前述の弟子システムや、時には仲間と力を合わせて勝利を目指すマルチプレイシステム搭載など、まさに「ブラザーフッド」の名に相応しい物語である。 ---前作ではあまり出番のなかったエツィオの母と妹も心強い仲間として活躍する。 -「最強のアサシン」エツィオ --前作では陰謀に巻き込まれ流されるままアサシンとなってしまった青年エツィオの成長劇という側面が強かったが、本作では最序盤から一人前のアサシンとして仲間を率い戦いに挑む成長したエツィオの姿が描かれる。 --最序盤のチェーザレの襲撃によって前作の装備を一旦全て失ってしまうが、メインストーリーを進めることで割とすぐに取り戻し、更に新たな武装や弟子システムなどを身に着けたエツィオの強さはまさに最強のアサシンと呼ばれるに相応しい。 ---というより、フルに活用すると後述の問題点で述べてるようにエツィオが強すぎて戦闘が単調になってしまう恐れがあるレベルである。~ しかしヒロイックなアサシンを操作したいプレイヤーからは高評価。 -高品質なグラフィック、BGM --前作からの流用も一部あるものの、広大なローマの景色も美麗も再現されており、前作同様に観光気分で街中を探索出来る。 --ただ単に広いだけでなく、4つの区画それぞれ違った雰囲気を味わえる。 --BGMも本作の雰囲気に合わせた楽曲となっており、雰囲気を盛り上げてくれる。 -前作の問題点を改善 --銀行が各地に配置されたため、復興すれば広いマップながらいちいち遠くまで取りにいく手間が軽減された。 --クロスボウが追加されたので、遠距離からの暗殺もしやすくなった。 --マップにランドマークのシンボルが表示されるようになったので、マップの使いづらさをある程度解消。 --クリア済みのメモリーを全てやり直せるようになった。 ---ただし、本編クリア後は現代編に戻れなくなってしまうが。 -今作も大ボリューム --メインミッション自体は全9章と前作に比べてやや控えめだが、フルシンクロシステムやリプレイの導入によりやり込み要素が増えた。 ---メインミッションも移動するだけで1シーン終了等もあった前作と比べると1ミッションのボリュームも増え、体感的には然程ボリュームダウン感は感じない。 --ボルジアの塔の破壊、レオナルド・ダ・ヴィンチがボルジアに開発させられた戦闘兵器の破壊、テンプル騎士暗殺…などサブミッションも豊富。 --これらのサブミッションはレベルデザインが非常に良く練られており、特に戦闘兵器破壊ミッションは「別のゲームか?」と見違えるほど。小学生男児のようにはっちゃけるエツィオは必見。 ---一部ミッションは本編中に挑戦するものもあるが、基本的に任意選択のため、先にメインシナリオを進めることも自由。 --前作で登場したエツィオの恋人クリスティーナとの思い出を巡り、前作では語られなかった部分を補完するミッションも用意されている。 --前作に続く羽集めや宝箱回収、旗集めといった収集要素も用意されている。現代編でのみ達成できる収集要素も。 --各ギルドから科せられたミッションを達成することでランクを上げたり、バーチャルトレーニングでの高ランク取得などのやりこみ要素など、とにかくボリュームたっぷり。 -好評なオンラインマルチ --ルールはDLCとチュートリアルを含め9種類あり、他のマルチプレイヤーゲーム同様、個人戦やチーム戦が用意されている。 ---他のゲームと異なる点として、本作らしくラウンド毎にプレイヤーの中から選ばれるターゲットを暗殺していくルールが用意されている。暗殺の仕方が上手いほど(ざっくり言えば、高いステルス状態を保ちながら手間のかかるやり方でキルを達成すると)高スコアを得られるのもポイント。単にターゲットを倒すだけでは高い点数が得られず、難易度と獲得スコアとのバランス感覚が求められる。 --プレイヤーは多彩なアバターを設定し、市民に紛れながら同じく市民に紛れているターゲットを探していく必要があり、さながらかくれんぼのようで中々楽しい。 --アバターとなっているキャラクターは本編中に登場するターゲット。細かなキャラ設定もされており、人気も高い。 --プレイヤーは累積スコアでレベルアップもする。レベルアップの際のアンロック要素も装備やスキル、外観アイテムやプロフィールアイテムなど多様で長く遊べる。 --なお、このマルチプレイはテンプル騎士団がアサシンに対抗できる人材をアニムスを使って育てているという設定で行われている。前作でデズモンドが脱出する際に見た無数のアニムスがこれだった模様。 ---- **賛否両論点 -フル・シンクロ条件 --ミッション攻略に緊張感が出た半面、一部行動が制限されすぎる条件があるため、自由度が低下している。 --特に「~分以内にクリアしろ」という条件。ミッション専用のマップにも宝箱や収集アイテムが配置されているため、1周目は寄り道しつつ、2周目で達成すればいいが、やはり面倒という意見も。 --他の条件も初登場要素にしてはかなり骨太でシビアな傾向にある。総じてクリアしたプレイヤーが2周目に条件クリアを目指すレベル。 -弟子システム --ゲージ消費という制約はあるものの、使用すればどこからともなく現れて指定したターゲットを暗殺してくれるため非常に便利で基本的には好評。 --だが、あまりに便利すぎて緊張感が削がれるという声もある。 --体感的には、本作のデフォルト難易度は前作クリア層を想定ターゲットとしているため、それなりに高い。それを鑑みると、ある種の救済措置とも言える。 -トンネルの使い勝手 --入口を開放することで別の入口への高速移動が可能になり、便利ではある。しかし入口同士の移動しかできないので、いちいち入口まで移動しなくてはならず、移動先の地名と場所をしっかり頭に入れておかないと逆に時間をロスする場合もある。 -シンボルパズルの難易度は相変わらず --今作もシンボルパズルが用意されているが今回も難易度が高いものがあり、前作にもあったフィボナッチ数列等の難解な要素もある。 --日本ではルールが浸透しているとは言い難いチェスを使ったパズルもあり、ピース(駒)の移動可能なマスも表示されないので、ピースの動き方くらいは知っておく必要がある。 --もちろん今回もやりこみ要素の一つであり、クリアする必要はない。 ---- **問題点 -一部ストーリーの難解な描写 --特にエンディングについてはジュノーの台詞が難解なため、ラストシーンの意味が解らなかったプレイヤーも多い。 --また、冒頭も前作の直後から始まり、味方キャラも殆どが前作からの続投のため、今作から始めるには向いていないかもしれない。 -戦闘の単調さも変わらず --戦闘には新要素が追加されているものの、ゲームバランス自体は殆ど変更がない。このため、今作もカウンターするのが一番強力。 --カウンター後、キルストリーク連打だけで殆どの戦闘を切り抜けられるため、より単調に感じられる場合も。爽快感は高くなったが。 -マップ関連 --いくつもの都市を移動し、それぞれにマップがあった前作と異なり、本作はほぼローマを中心に展開するためか、一つの大きなマップにまとめられている。しかしそのせいかマップを開く時少しラグがある。ほんの少しではあるが何度も使うため多少気になる。 --ローマの七丘と言うようにローマ周辺は地形に起伏があるのだが、本作でもそれを再現したのか地形に結構な高低差がある。しかもそれは「坂」というより、登ることが不可能な完全な「崖」であり((凧を使えば安全に降りる事はできるが。))、所々に上り下りできる細い坂があるといったものである。マップ上ではそれがよく分からないため、直線的に行けそうでも実際には結構遠回りしなければいけなかったりする。 --全体的に前後作よりも人口密度が高く、また路地も細かく入り組んでいるため、やや窮屈に感じられることも多い。 -前作の問題点のいくつかはそのまま --ステルス要素の大味さやバグ、カメラの挙動などは殆ど改善されていない。 ---フルシンクロ条件を満たしたのに失敗判定となったり、突然シンクロ解除になるバグが多いが、これらはやり直しになる”だけ”なのでまだマシな方。中には手塩にかけた弟子が地形にハマってそのままタコ殴りになったり、コントラクト時に成功率100%でも失敗したりすることも。この場合、当然弟子は死亡する。 -一部ローカライズの問題 --僅かではあるがUI関連や説明文に誤訳がある。有名どころでは隠れ家の装備変更部屋での誤訳。説明文では「○装備選択/×キャンセル」となっているが、実際は海外版と同じ「×装備選択/○キャンセル」と処理される。 --複雑な歴史上の人物交差や社会情勢を翻訳しきったところは寧ろ絶賛されるべきであり、シナリオ上に限って言えば、ごく稀に人物のやりとりに違和感が発生する程度ではある。    --ロードの長さも変わらず、ムービーによってはスキップしない方が早いという逆転現象も存在する。 ---ただし、機種によってロード時間は異なり、PS3版がもっとも長く、PC版が(PCの性能にもよるが)もっとも短い。 -基本的なシステムや進行に変化はないため、マンネリ感がある。長く続くシリーズでは避けられない問題ではあるが。 ---- **総評 好評を受けた前作の様々な要素をパワーアップしたお手本のような続編。前作をクリアしたプレイヤーなら、前作ラスト直後から始まり、ボルジアとの全ての決着が着く本作はぜひプレイしておきたい。~ また、マルチプレイにより新たな境地を開いたのも評価されるべき点であろう。より深みを増した物語とマルチプレイを同時に楽しめる本作はシリーズの中でも愛される一作となった。~ 現在は前作と次作を同時収録した『エツィオ・サーガ』とPS4版の『エツィオコレクション』が販売されている。PS4版はマルチプレイモードは収録されていないが、本編だけ楽しみたいならこちらを買うのが良いだろう。 ---- **余談 -後のシリーズ作品や他作品とのコラボレーションではお馴染みとなるエツィオの衣装であるが、ほとんどの作品で本作「BH」の衣装が採用されている。

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