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*ドラえもん4 のび太と月の王国 【どらえもんふぉー のびたとつきのおうこく】 |ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B000068GZT,image);| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|12MbitROMカートリッジ|~| |発売元|エポック社|~| |開発元|アジェンダ(プログラム)&br()JOE DOWN STUDIO(音楽)|~| |発売日|1995年12月15日|~| |定価|9,500円|~| |書換|ニンテンドウパワー&br()1998年8月1日/1,000円/F×3・B×0|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[ドラえもんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 SFCで展開されたエポック製ドラえもんアクションゲームの第4弾。~ 2人協力プレイ、マップシステムの導入、使用キャラクターによる固有ルート制の導入等、従来とは大きく異なるシステムを導入。 その一方で、キャラクター毎の特性や、前作『[[ドラえもん3 のび太と時の宝玉]]』にて導入された得意武器等の概念も継承。~ シナリオの方は他3作と違いメッセージ性はかなり薄まり、純粋な冒険譚になっている。 **ストーリー >ある日、学校の裏山でドラえもんと静香ちゃんと一緒にお月見をしていたのび太。~ お月見の最中、静香の胸元に月の形を模したブローチがあることに気付く。~ 静香にブローチの出自を問いかけるとなんでも静香の祖母の家に代々伝わっていた「月のしずく」と呼ばれるブローチで、~ 月から伝わってきたものであり月の姿を見せると「寂しがる」と言う謂れのあるものであった。~ 言い伝えを静香が語り終えた直後、「月のしずく」から月に向かって一筋の光が伸びるのを目の当たりにする一同。~ その光景に見とれているとどこからともなく巨大な梟が現れ、「月のしずく」を強奪してしまう。~ 急いで梟を追いかける一同、梟がとある島に逃げ込むのを認めると「月のしずく」奪還のためにジャイアンとスネ夫、~ ドラミちゃんを加えその島の探索を始める。 > その探索が「月のしずく」、そして月の王国を巻き込んだ大冒険に繋がっていくことをその時の彼らは知る由も無かった。 **特徴 本作では最初から6名全員を使用可能。~ キャラグラフィックは初代と第2作目のものに差し戻されたが、システム面が『時の宝玉』とはまた別の方向に大幅な変更が行われている。~ 特に大きな変更要素は以下の通り。 -2人協力プレイが可能。2人でそれぞれ好きなキャラクターを用いて同一ステージをクリアすることも、合体して特殊な攻撃を行うことも可能。 --1人プレイ時にも、ステージ内のあるアイテムを入手することで、協力プレイ時と同じように他キャラクターとの合体攻撃が出来る。 --合体攻撃の特徴としては下記の通り。 ---ドラえもんとドラミちゃんは「帯電スーツ」による''操作キャラ頭部=合体側キャラ周辺に高威力の攻撃判定''を出現させる。 ---ジャイアンと静香はそれぞれの趣味である(原作においては騒音扱いされている)音楽による''画面全体攻撃''。 ---のび太とスネ夫は''プレイヤーが操作可能な誘導武器''(ペンシルミサイル・ナゲーなげなわ、後者はアイテムに触れるとプレイヤーが触れて入手したのと同じ扱いになる)。 -マップシステムの導入。本編には関係ないサブステージも有り。 --ボスステージ以外のステージは何度でもプレイすることが可能。 -HP固定。従来SFCシリーズと異なりHPの上限を増やすことは不可。 -使用キャラクターによる固有ルート制の導入。 --具体例としてドラえもんがプレイヤーキャラクターの時には仕切りがエリア移動の為の「どこでもドア」に通じるルートを遮っているが、のび太がプレイヤーキャラの時にはその仕切りが振動し、触れると消滅して先に進める様になるというもの。 ---共通ルートも存在するのでどのキャラクターでもステージクリアは可能。 -パスワードが「ひみつ道具」の名前に変更。 --唯一サウンドテストモードに移行するパスワードのみが道具名と異なる。 -敵を攻撃する為の手段はステージ内の各所に配置されたひみつ道具で、その道具由来の多様な攻撃手段が用意されている。 --武器の中には使用キャラ6名の得意武器もあり、後半のステージになるとそれらを扱うことが得意なキャラが使用した際に大幅に性能が強化される。 --武器以外にも無敵化や残機・HP回復やHPを強制的に1にするアイテムなど、『時の宝玉』程ではないが中々にマニアックなひみつ道具もあり、多様性に富んでいる。 **評価点 -2人プレイシステムによる協力、合体攻撃 --キャラクターの組み合わせによる多様なステージ攻略ルートやボス対策などが行える。 --上記の様に強力な合体攻撃を用いての状況打破と言った手段も可能。 ---しかしゲームのシステム上、後述の諸問題も発生。 -マップ制によるボスステージ以外の全ステージに何度も挑戦が可能。 --間違えてステージに入った場合でも、近くにある脱出用のどこでもドアに入ることでステージ選択に戻ることが可能。 -キャラ別固有ルートによる多様な攻略ルート --ひとつのステージでも、共通ルートと2~3種類の固有ルートが用意されている面が多く、ひとつのルートを極めたなら別のルートに挑むと言った楽しみ方を行う事も出来る。 ---しかしこれに関しても後述する問題点がある。 -パスワードの簡略化 --従来のSFC作品は意味のない文字列や「5・7・5・7・7」の長いパスワードが要求されていたが、今作ではドラえもん読者・アニメ視聴者に馴染みのあるひみつ道具がパスワードになっている。 --パスワードの中には、こんなものもあったなと思うようなマニアックなひみつ道具もあり、ファンの心をくすぐる。 -攻撃手段の多様性 --敵を攻撃する為のひみつ道具だけでも18種類あり、当然性能も千差万別である。 --簡単に攻略したいなら強力な武器・操作キャラの得意武器を使う、アクセントを加えたいなら変わり種の武器を使うなどと言ったプレイヤーに応じた選択をとることが出来る。 -メインキャラ6人のボイスが豊富 --アクションパートのボイスは『時の宝玉』でもあったが、本作では会話パートの一部台詞にもボイスが付いた。 --もちろん、入手した武器(ひみつ道具)の名前をドラえもんが喋る機能も続投。 **賛否両論点 -サブステージの多くがスコアポイント、どら焼き(残機)収集に偏っている。そのためステージテーマ自体は多様であっても、結局の所、時間対効果の良いサブステージが選ばれる傾向にある。 --一部サブステージではミニゲームを遊ぶことが出来るが、そのミニゲームが遊べるエリアに設置する内容としては少々微妙なもの。 -合体攻撃のキャラ固有の攻撃法の格差 --上記の通り、キャラ別の性格付けと言った面があり設定とすれば妥当なものではあるが、静香やジャイアンの全体攻撃は非常に強力である一方、ドラえもん・ドラミちゃんは聊か使い勝手が悪い。 --これらの問題は特に1人プレイ時の合体攻撃に体感することになる(ひみつ道具で召喚される合体キャラはランダムなため)。 **問題点 新システム関連の不具合や調整不足が特に目立つ。 -武器システム --上記の通り本作で使える武器ひみつ道具の中には各キャラ得意な武器があり(ドラえもんなら空気砲・のび太なら空気ピストル等)、ゲームを進めて後半ステージに行くほど得意武器が強力になっていく…''のだが''。 --本作では[[スーパーマリオワールド]]の様に一度クリアしたステージをボス含めて何度もチャレンジ出来るのだが、過去ステージに戻ると''武器のパワーアップが元に戻ってしまう''。 ---要するに武器のパワーアップの進行度がゲームの進行度ではなく''各ステージに対応してしまっている''ということである。具体的に言うと、最終ステージであるステージ4まで進めてからステージ1の面をプレイすると、得意武器でも一番弱いレベルになる。これは少々…というか、かなりざっくりすぎるゲームデザインである。 ---武器の強化ぶりも、ステージ2でいきなり最強になるものやステージ4まで殆ど変わらないものもあり、あまり綺麗な武器強化とは言えない。 --また共通武器のバランスも悪い。最強クラスの空気砲を凌駕する連射力のショックガンや、''画面全域を攻撃できる上に連打可能なパワーつるはし''なんていうのもあれば、リーチが短く当たり判定の小さいチャンピオングローブなどの弱武器もある。ステージ間で持ち越せないのが幸いか。 -協力プレイ時のHP共有 --本来はゲームの上手なプレイヤー側がゲームが苦手なプレイヤーのサポートをするためのシステムであるが、''HP上限が8固定''と言う少なさが足を引っ張りあっという間にHPが尽きてしまう。 ---特に強制スクロールの即死は生き残っている側の即死にもつながる為、大幅に難易度を上げてしまう傾向にある((なお、二人プレイの場合は落下で即死にはならず、HPが半減した上でもう一人のプレイヤーの現在位置に復帰する。当然二人とも落下すれば即死になる。))。 -障害物ブロックに対する不具合 --本作のステージ内にはキャラクターの通行を妨害する為にキャラクターが密着して攻撃する(手で殴る)or物理的な衝撃を有する一部のひみつ道具で攻撃することで壊れるブロックがあるのだか、これに対する判定がかなりシビア。 ---スモールライト等物理的な衝撃を与えない道具の場合、攻撃エフェクトが当たっても壊れることが無く貫通してしまい一個一個素手で殴って壊していくことになり非常にストレスが溜まる。 ---更にタケコプターを使った強制スクロールステージの場合、操作キャラの下半身に相当する部分に殴り判定が発生しない。このため、物理武器が無い状態でブロック密集地帯の下部を破壊していると最下層が壊れず、画面に挟まれて即死することも。 -ゲーム難易度が両極端 --ゲーム序盤から高速で移動する強制スクロール面や落下地点が多く難易度を大きく引き上げる要因となっている。後者に関してはドラミちゃんの固有能力で救済用の足場が出現するなどの緩和手段もあるが、一方でただ歩いているだけで終わってしまう中盤・終盤ステージもある。 -UI周りの不具合 --ステージ内の移動の際にどこでもドアを用いることは先述の通りだが、次エリアに移動するものとマップから出るための脱出用、先程入って来た側と目的側の見分けがつかないと言った場面が多々ある。 --キャラ固有ルートを塞ぐ仕切りとギミックを用いて解除する仕切りも見分けがつかないという不具合もあり、二度手間になることが非常に多い。また、キャラ固有ルートを確認する手段は該当キャラの有無による仕切りの振動しかない。 ---キャラ固有ルートの中に更に「二人プレイ前提の別キャラ用固定ルート」というものもある場合があり、この確認に関しても仕切りの振動の有無しか手段がない。 -ステージ内トラップの非常に短い攻撃判定発生頻度 --床や天井に設置されている電撃発生装置や刃等、アクションゲームの障害物としてはお馴染みのものであるが、本作では絶え間なく上下運動や電撃を発生させており、猶予時間が非常に短い。その為ダメージ覚悟で突っ込むことを要求される場面が多々ある。 ---後半になると、ジャンプもできない狭い通路・硬い雑魚敵の配置なども相まってストレスの溜まりやすいステージが一気に増えてくる。 -ステージに合わない敵対オブジェクトやBGM --シリアスな場面のすぐ後に場違いなまでの明るい曲調、神秘的な設定のエリアでも愉快な曲調と世界観を損なっている場面がちらほらと存在している。&br()また、脈絡も無く無人島に野良犬がいたり無骨な鉄球や火炎放射器などが大量に設置されるといった、シナリオ的にミスマッチなステージもある。 -被弾時のリアクションが簡素になった --6キャラ全員の被弾ボイスが削除され、ビープ音のような効果音に統一された。また、被弾グラフィックの表示時間が短い、合体時に上側キャラがリアクションしない等も相まって、『時の宝玉』に比べると味気ない。 -ちぐはぐなストーリー構成 --怪鳥に取られたしずかちゃんのブローチ「月のしずく」を取り戻しに行く事から冒険は始まるのだが、ゲームを進めると本作のゲストである月の王国の住人・ディアナから、「月のしずく」は月の王国の故障した人工太陽の修復に必要な制御装置である事を知らされる。 ---しずかちゃんは冒頭で「月のしずく」をおばあちゃんから貰った旨を説明しているが、何故そんな物をおばあちゃんが持っていたのかは一切説明されない。''そもそも、原作にしずかちゃんのおばあちゃんは登場しない''のだが。 --その後、ディアナを向かわせてた月の王国の国王・アル王がラスボスの差し向けた偽者である事が判明するが、EDに出てくる本物と比べて''まるで顔が違う''のは子供向け作品のお約束にしても、ステージ3のボスとして戦う時に''上半身だけで空中浮遊しながらビームを撃ってくる''。それを倒してようやくアル王が偽者のロボットである事が判明する。流石にそこは気付こうよ… #region(ラストのネタバレ) -ラスボスを狂わせた元凶が結局判明せず投げっぱなし --本作の後半シナリオではラスボスが「月の王国」を支配する為に人工太陽を狂わせ、その人工太陽を修復する為の「月のしずく」を手中に収めんとしたことが騒動の原因と判明する。そして、ドラえもん達と本作のゲストキャラクターによって無力化された際、ラスボスに対して''外部から「思考回路を狂わせる装置」が付け加えられていた''ことが暴走の原因であると言及される。しかし、その装置を取り付けた存在についての情報が作中一切無く投げっぱなしな設定となっている。 ---結局、「月のしずく」を用いて人工太陽の修復と居なくなった人々の安否については解決するのだが、設定としては何事もなかったかのようにストーリーが進んでエンディングとなる。第三の悪者の存在が仄めかされたまま終わってしまうだけに、手放しで喜べるとも言い難い展開である。 //-エンディングスタッフロール後のBGMが余韻を壊す //--スタッフロール自体は当時のドラえもんアニメのED曲「あしたも♥ともだち」(原文ママ)のアレンジで余韻に浸る為の曲としては十分なのだが、スタッフロールの最後のエポック社からのメッセージが表示されると一転してポップな曲調になり余韻を壊してしまう。 #endregion ---- **総評 着眼点としては、これまでのSFCドラえもんシリーズで培ってきた要素を踏襲しつつ新要素を絡めようとした意欲作ととらえることもできる。~ アクションゲームとしての配分はともかく、サブステージを含めればシンプルながらも中々にボリュームがある。 だが、全体的な調整・UI回りの不具合が新要素関連に大きなデメリットを植え付けてしまった感は否めない。~ 仮に本作の調整が完全になされていたならば、魅力的なキャラクター達の個性を生かした「複数人で遊ぶドラえもんゲーム」としての礎になり得たかもしれない。 //その後、複数人で遊べるドラえもんのゲームは、5年後の『[[ドラえもん3 のび太の町SOS!]]』まで待つことになる。
*ドラえもん4 のび太と月の王国 【どらえもんふぉー のびたとつきのおうこく】 |ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B000068GZT,image);| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|12MbitROMカートリッジ|~| |発売元|エポック社|~| |開発元|アジェンダ(プログラム)&br()JOE DOWN STUDIO(音楽)|~| |発売日|1995年12月15日|~| |定価|9,500円|~| |書換|ニンテンドウパワー&br()1998年8月1日/1,000円/F×3・B×0|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[ドラえもんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 SFCで展開されたエポック製ドラえもんアクションゲームの第4弾。~ 2人協力プレイ、マップシステムの導入、使用キャラクターによる固有ルート制の導入等、従来とは大きく異なるシステムを導入。 その一方で、キャラクター毎の特性や、前作『[[ドラえもん3 のび太と時の宝玉]]』にて導入された得意武器等の概念も継承。~ シナリオの方は他3作と違いメッセージ性はかなり薄まり、純粋な冒険譚になっている。 **ストーリー >ある日、学校の裏山でドラえもんと静香ちゃんと一緒にお月見をしていたのび太。~ お月見の最中、静香の胸元に月の形を模したブローチがあることに気付く。~ 静香にブローチの出自を問いかけるとなんでも静香の祖母の家に代々伝わっていた「月のしずく」と呼ばれるブローチで、~ 月から伝わってきたものであり月の姿を見せると「寂しがる」と言う謂れのあるものであった。~ 言い伝えを静香が語り終えた直後、「月のしずく」から月に向かって一筋の光が伸びるのを目の当たりにする一同。~ その光景に見とれているとどこからともなく巨大な梟が現れ、「月のしずく」を強奪してしまう。~ 急いで梟を追いかける一同、梟がとある島に逃げ込むのを認めると「月のしずく」奪還のためにジャイアンとスネ夫、~ ドラミちゃんを加えその島の探索を始める。 > その探索が「月のしずく」、そして月の王国を巻き込んだ大冒険に繋がっていくことをその時の彼らは知る由も無かった。 **特徴 本作では最初から6名全員を使用可能。~ キャラグラフィックは初代と第2作目のものに差し戻されたが、システム面が『時の宝玉』とはまた別の方向に大幅な変更が行われている。~ 特に大きな変更要素は以下の通り。 -2人協力プレイが可能。2人でそれぞれ好きなキャラクターを用いて同一ステージをクリアすることも、合体して特殊な攻撃を行うことも可能。 --1人プレイ時にも、ステージ内のあるアイテムを入手することで、協力プレイ時と同じように他キャラクターとの合体攻撃が出来る。 --合体攻撃の特徴としては下記の通り。 ---ドラえもんとドラミちゃんは「帯電スーツ」による''操作キャラ頭部=合体側キャラ周辺に高威力の攻撃判定''を出現させる。 ---ジャイアンと静香はそれぞれの趣味である(原作においては騒音扱いされている)音楽による''画面全体攻撃''。 ---のび太とスネ夫は''プレイヤーが操作可能な誘導武器''(ペンシルミサイル・ナゲーなげなわ、後者はアイテムに触れるとプレイヤーが触れて入手したのと同じ扱いになる)。 -マップシステムの導入。本編には関係ないサブステージも有り。 --ボスステージ以外のステージは何度でもプレイすることが可能。 -HP固定。従来SFCシリーズと異なりHPの上限を増やすことは不可。 -使用キャラクターによる固有ルート制の導入。 --具体例としてドラえもんがプレイヤーキャラクターの時には仕切りがエリア移動の為の「どこでもドア」に通じるルートを遮っているが、のび太がプレイヤーキャラの時にはその仕切りが振動し、触れると消滅して先に進める様になるというもの。 ---共通ルートも存在するのでどのキャラクターでもステージクリアは可能。 -パスワードが「ひみつ道具」の名前に変更。 --唯一サウンドテストモードに移行するパスワードのみが道具名と異なる。 -敵を攻撃する為の手段はステージ内の各所に配置されたひみつ道具で、その道具由来の多様な攻撃手段が用意されている。 --武器の中には使用キャラ6名の得意武器もあり、後半のステージになるとそれらを扱うことが得意なキャラが使用した際に大幅に性能が強化される。 --武器以外にも無敵化や残機・HP回復やHPを強制的に1にするアイテムなど、『時の宝玉』程ではないが中々にマニアックなひみつ道具もあり、多様性に富んでいる。 **評価点 -2人プレイシステムによる協力、合体攻撃 --キャラクターの組み合わせによる多様なステージ攻略ルートやボス対策などが行える。 --上記の様に強力な合体攻撃を用いての状況打破と言った手段も可能。 ---しかしゲームのシステム上、後述の諸問題も発生。 -マップ制によるボスステージ以外の全ステージに何度も挑戦が可能。 --間違えてステージに入った場合でも、近くにある脱出用のどこでもドアに入ることでステージ選択に戻ることが可能。 -キャラ別固有ルートによる多様な攻略ルート --ひとつのステージでも、共通ルートと2~3種類の固有ルートが用意されている面が多く、ひとつのルートを極めたなら別のルートに挑むと言った楽しみ方を行う事も出来る。 ---しかしこれに関しても後述する問題点がある。 -パスワードの簡略化 --従来のSFC作品は意味のない文字列や「5・7・5・7・7」の長いパスワードが要求されていたが、今作ではドラえもん読者・アニメ視聴者に馴染みのあるひみつ道具がパスワードになっている。 --パスワードの中には、こんなものもあったなと思うようなマニアックなひみつ道具もあり、ファンの心をくすぐる。 -攻撃手段の多様性 --敵を攻撃する為のひみつ道具だけでも18種類あり、当然性能も千差万別である。 --簡単に攻略したいなら強力な武器・操作キャラの得意武器を使う、アクセントを加えたいなら変わり種の武器を使うなどと言ったプレイヤーに応じた選択をとることが出来る。 -メインキャラ6人のボイスが豊富 --アクションパートのボイスは『時の宝玉』でもあったが、本作では会話パートの一部台詞にもボイスが付いた。 --もちろん、入手した武器(ひみつ道具)の名前をドラえもんが喋る機能も続投。 **賛否両論点 -サブステージの多くがスコアポイント、どら焼き(残機)収集に偏っている。そのためステージテーマ自体は多様であっても、結局の所、時間対効果の良いサブステージが選ばれる傾向にある。 --一部サブステージではミニゲームを遊ぶことが出来るが、そのミニゲームが遊べるエリアに設置する内容としては少々微妙なもの。 -合体攻撃のキャラ固有の攻撃法の格差 --上記の通り、キャラ別の性格付けと言った面があり設定とすれば妥当なものではあるが、静香やジャイアンの全体攻撃は非常に強力である一方、ドラえもん・ドラミちゃんは聊か使い勝手が悪い。 --これらの問題は特に1人プレイ時の合体攻撃に体感することになる(ひみつ道具で召喚される合体キャラはランダムなため)。 **問題点 新システム関連の不具合や調整不足が特に目立つ。 -武器システム --上記の通り本作で使える武器ひみつ道具の中には各キャラ得意な武器があり(ドラえもんなら空気砲・のび太なら空気ピストル等)、ゲームを進めて後半ステージに行くほど得意武器が強力になっていく…''のだが''。 --本作では[[スーパーマリオワールド]]の様に一度クリアしたステージをボス含めて何度もチャレンジ出来るのだが、過去ステージに戻ると''武器のパワーアップが元に戻ってしまう''。 ---要するに武器のパワーアップの進行度がゲームの進行度ではなく''各ステージに対応してしまっている''ということである。具体的に言うと、最終ステージであるステージ4まで進めてからステージ1の面をプレイすると、得意武器でも一番弱いレベルになる。これは少々…というか、かなりざっくりすぎるゲームデザインである。 ---武器の強化ぶりも、ステージ2でいきなり最強になるものやステージ4まで殆ど変わらないものもあり、あまり綺麗な武器強化とは言えない。 --また共通武器のバランスも悪い。最強クラスの空気砲を凌駕する連射力のショックガンや、''画面全域を攻撃できる上に連打可能なパワーつるはし''なんていうのもあれば、リーチが短く当たり判定の小さいチャンピオングローブなどの弱武器もある。ステージ間で持ち越せないのが幸いか。 -協力プレイ時のHP共有 --本来はゲームの上手なプレイヤー側がゲームが苦手なプレイヤーのサポートをするためのシステムであるが、''HP上限が8固定''と言う少なさが足を引っ張りあっという間にHPが尽きてしまう。 ---特に強制スクロールの即死は生き残っている側の即死にもつながる為、大幅に難易度を上げてしまう傾向にある((なお、二人プレイの場合は落下で即死にはならず、HPが半減した上でもう一人のプレイヤーの現在位置に復帰する。当然二人とも落下すれば即死になる。))。 -障害物ブロックに対する不具合 --本作のステージ内にはキャラクターの通行を妨害する為にキャラクターが密着して攻撃する(手で殴る)or物理的な衝撃を有する一部のひみつ道具で攻撃することで壊れるブロックがあるのだか、これに対する判定がかなりシビア。 ---スモールライト等物理的な衝撃を与えない道具の場合、攻撃エフェクトが当たっても壊れることが無く貫通してしまい一個一個素手で殴って壊していくことになり非常にストレスが溜まる。 ---更にタケコプターを使った強制スクロールステージの場合、操作キャラの下半身に相当する部分に殴り判定が発生しない。このため、物理武器が無い状態でブロック密集地帯の下部を破壊していると最下層が壊れず、画面に挟まれて即死することも。 -ゲーム難易度が両極端 --ゲーム序盤から高速で移動する強制スクロール面や落下地点が多く難易度を大きく引き上げる要因となっている。後者に関してはドラミちゃんの固有能力で救済用の足場が出現するなどの緩和手段もあるが、一方でただ歩いているだけで終わってしまう中盤・終盤ステージもある。 -UI周りの不具合 --ステージ内の移動の際にどこでもドアを用いることは先述の通りだが、次エリアに移動するものとマップから出るための脱出用、先程入って来た側と目的側の見分けがつかないと言った場面が多々ある。 --キャラ固有ルートを塞ぐ仕切りとギミックを用いて解除する仕切りも見分けがつかないという不具合もあり、二度手間になることが非常に多い。また、キャラ固有ルートを確認する手段は該当キャラの有無による仕切りの振動しかない。 ---キャラ固有ルートの中に更に「二人プレイ前提の別キャラ用固定ルート」というものもある場合があり、この確認に関しても仕切りの振動の有無しか手段がない。 -ステージ内トラップの非常に短い攻撃判定発生頻度 --床や天井に設置されている電撃発生装置や刃等、アクションゲームの障害物としてはお馴染みのものであるが、本作では絶え間なく上下運動や電撃を発生させており、猶予時間が非常に短い。その為ダメージ覚悟で突っ込むことを要求される場面が多々ある。 ---後半になると、ジャンプもできない狭い通路・硬い雑魚敵の配置なども相まってストレスの溜まりやすいステージが一気に増えてくる。 -ステージに合わない敵対オブジェクトやBGM --シリアスな場面のすぐ後に場違いなまでの明るい曲調、神秘的な設定のエリアでも愉快な曲調と世界観を損なっている場面がちらほらと存在している。&br()また、脈絡も無く無人島に野良犬がいたり無骨な鉄球や火炎放射器などが大量に設置されるといった、シナリオ的にミスマッチなステージもある。 -被弾時のリアクションが簡素になった --6キャラ全員の被弾ボイスが削除され、ビープ音のような効果音に統一された。また、被弾グラフィックの表示時間が短い、合体時に上側キャラがリアクションしない等も相まって、『時の宝玉』に比べると味気ない。 -ちぐはぐなストーリー構成 --怪鳥に取られたしずかちゃんのブローチ「月のしずく」を取り戻しに行く事から冒険は始まるのだが、ゲームを進めると本作のゲストである月の王国の住人・ディアナから、「月のしずく」は月の王国の故障した人工太陽の修復に必要な制御装置である事を知らされる。 ---しずかちゃんは冒頭で「月のしずく」をおばあちゃんから貰った旨を説明しているが、何故そんな物をおばあちゃんが持っていたのかは一切説明されない。''そもそも、原作にしずかちゃんのおばあちゃんは登場しない''のだが。 --その後、ディアナを向かわせてた月の王国の国王・アル王がラスボスの差し向けた偽者である事が判明するが、EDに出てくる本物と比べて''まるで顔が違う''のは子供向け作品のお約束にしても、ステージ3のボスとして戦う時に''上半身だけで空中浮遊しながらビームを撃ってくる''。それを倒してようやくアル王が偽者のロボットである事が判明する。流石にそこは気付こうよ… #region(ラストのネタバレ) -ラスボスを狂わせた元凶が結局判明せず投げっぱなし --本作の後半シナリオではラスボスが「月の王国」を支配する為に人工太陽を狂わせ、その人工太陽を修復する為の「月のしずく」を手中に収めんとしたことが騒動の原因と判明する。そして、ドラえもん達と本作のゲストキャラクターによって無力化された際、ラスボスに対して''外部から「思考回路を狂わせる装置」が付け加えられていた''ことが暴走の原因であると言及される。しかし、その装置を取り付けた存在についての情報が作中一切無く投げっぱなしな設定となっている。 ---結局、「月のしずく」を用いて人工太陽の修復と居なくなった人々の安否については解決するのだが、設定としては何事もなかったかのようにストーリーが進んでエンディングとなる。第三の悪者の存在が仄めかされたまま終わってしまうだけに、手放しで喜べるとも言い難い展開である。 //-エンディングスタッフロール後のBGMが余韻を壊す //--スタッフロール自体は当時のドラえもんアニメのED曲「あしたも♥ともだち」(原文ママ)のアレンジで余韻に浸る為の曲としては十分なのだが、スタッフロールの最後のエポック社からのメッセージが表示されると一転してポップな曲調になり余韻を壊してしまう。 #endregion ---- **総評 着眼点としては、これまでのSFCドラえもんシリーズで培ってきた要素を踏襲しつつ新要素を絡めようとした意欲作ととらえることもできる。~ アクションゲームとしての配分はともかく、サブステージを含めればシンプルながらも中々にボリュームがある。 だが、全体的な調整・UI回りの不具合が新要素関連に大きなデメリットを植え付けてしまった感は否めない。~ 仮に本作の調整が完全になされていたならば、魅力的なキャラクター達の個性を生かした「複数人で遊ぶドラえもんゲーム」としての礎になり得たかもしれない。 //その後、複数人で遊べるドラえもんのゲームは、5年後の『[[ドラえもん3 のび太の町SOS!]]』まで待つことになる。

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