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*ワールド オブ ファイナルファンタジー 【わーるど おぶ ふぁいなるふぁんたじー】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B01GHOL7ZO)&amazon(B01GHOL7U4)| |対応機種|プレイステーション4&br()プレイステーション・ヴィータ&br;Windows(Steam)|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|トーセ|~| |発売日|【PS4/PSV】2016年10月27日&br;【Win】2017年11月22日|~| |定価|【PS4/PSV】5,800円(税別)&br;【Win】4,800円(税別)&br;【PS4/WinDL版改定後】3,400円(税別)((『マキシマ』配信に伴う価格改定。PSV版のみ対象外。))|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|FF版『[[ポケモン>ポケットモンスターシリーズ]]』&br()『ディシディア』と一味違ったクロスオーバー&br()良くも悪くも初心者向けバランス&br()ギャグのセンスは好き嫌いが大きく分かれる所&br()極悪難度のミニゲーム群&br()完全版に対応するDLCあり|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ]]''| ''本項ではPS4/PSV/Win版の無印『ワールド オブ ファイナルファンタジー』について主に解説します。''~ ''グレードアップ版のPS4/Win/One/Switch版『 - マキシマ』については参考記述扱いで後述。'' ---- #contents(fromhere) ---- **概要 失った記憶と母親を探しに不思議な世界「グリモワル」へと旅立ち、「ミラージュ」と呼ばれる歴代FFモンスター達を収集していく双子の姉弟の物語を描いたRPG。~ 明るく元気な少年''ラァン''、その姉でしっかり者の少女''レェン''、案内役である小狐のようなミラージュの''タマ''の3名を中心に、各地を冒険していく。~ 本作における『FF』キャラはFC/SFC時代のチビキャラドット絵をCG化したような2頭身の体型「プリメロ」で描写されており、逆に本作オリジナルのキャラクター達はほとんどが通常のリアル体型「オオビト」で描写されている。 本作は若年層を中心とした「FFシリーズ初心者に向けた作品」というコンセプトが打ち出されており、従来の『FF』シリーズとは趣を異とした内容となっている。 ---- **特徴 -ミラージュ --本作におけるモンスター及び召喚獣の総称。各ミラージュのデザインは出典を踏襲しながらも本作用にデフォルメアレンジが施されている。 --ミラージュは「ミラージュボード」と呼ばれる『[[X>ファイナルファンタジーX]]』におけるスフィア盤によく似た成長システムで成長させていく。 --専用経験値であるSPを消費させることでアビリティの取得が出来る。取得すればするほど、シンクロ率が上昇しステータスも上がっていく。 ---ボードには空きスロットも存在するが、そこには消費アイテムである「アビリティのたね」を使う事で、対応するアビリティを入れて使えるようになる。 ---自由な付け替えは出来ないが、他のたねを使って中身の上書きは可能。 ---全てのアビリティを取得すると★マークが付き、アビリティやステータス向上などのボーナスを取得できる。 --ダンジョン内の障害物を除ける「ボカボカ」など探索用のアビリティもあれば、乗る事で歩行速度がアップする「ノリノリ」や、アイテムを発見してくれるSサイズミラージュを一緒に連れていける「トコトコ」など、戦闘以外で役立つアビリティもある。 -ノセノセプラン --レェンとラァンと各ミラージュとのフォーメーション。 --S・M・Lサイズと基本3サイズに分類されたミラージュとレェンとラァンを組み合わせる事でパーティを組んでいく。 ---各ミラージュはミラージュボードにより、他のミラージュへと変化させる「ヘンシンカ」が出来る。これにより、お気に入りのミラージュを別のサイズにして組み合わせる事も出来る。~ なお、ヘンシンカには一定レベルへの達成の他、「各ミラージュの記憶」など特殊なアイテムを持っている必要もある。 ---ラァンとレェンはMサイズ相当のプリメロとLサイズ相当のオオビトの二通りが選択可能。すなわち、Sサイズミラージュはどちらでも入れられるがM・Lサイズはそれぞれ一体だけしか入れられない。 ---「ファイア」など同じアビリティを取得したミラージュを組み合わせる事で「ファイラ」「ファイガ」へと強力なアビリティを使えるようになっていく。 --EXサイズに分類されるミラージュは「メガミラージュ」と呼ばれる特殊なミラージュで、レェンとラァンの合計AP(本作ではMPに相当)が一定値に達すると呼び出せ、代わりに戦ってくれる。~ 従来の召喚獣のようなポジションと言えば解り易い。 ---メガミラージュのAPが切れるか倒されると撤退する。 --また、敵もノセノセされた状態で出現することがある。 ---こちら側と同じく、単体の時よりも強く、更に後述のジェム化を受け付けない。ダメージは少ないが、崩し効果が高いアビリティでノセノセを崩す、などの戦略も必要となる。 -バトルはATBことアクティブタイムバトルで進行する。 --本作では各ボタンにコマンドを当てた簡易的な「シンプル」、防御やアビリティ一覧など通常通りの「クラシック」の二通りを切り替えていく。 --「ウェイト」「アクティブ」の他、「シンプル」時のみ時間が進行し、「クラシック」でのコマンド選択中のみ敵が行動してこない中間の「セミアクティブ」も存在する。 --オートモードも搭載している。 --APはレェンとラァンの順が回ってきた際に少しづつ溜まっていく。 --ノセノセした状態では安定というパラメータも存在し、攻撃を受けていくにつれ次第にグラグラと揺れだし一定値を超えると強制的にバラバラ状態となる上、一定時間動けなくなってしまう。 ---これを解消するためにアイテム「グラグラ安定剤」や魔法「バランス」を使う必要がある他、適度に防御したり、崩れにくいフォーメーションを組む必要がある。また、敵がノセノセによって強化されている時は、こちらも崩す事を狙っていくなど戦略性も高い。 -ミラストーン --レェンとラァンはミラージュボードによる育成が出来ない代わりに、ミラストーンと呼ばれるアクセサリを装備する事でアビリティなどを取得できる。 ---ミラストーンは宝箱や敵ドロップによる獲得の他、ミラージュボードで取得することができる。 --ミラストーンのスロットは基本的にレベルが一定値に達するなど条件による解放式となっている。 -ジェム --各ミラージュをジェム化するためにそれぞれ個別に設定されている条件を満たす必要があり、これを確認できるライブラが必要不可欠となる。 --ジェム化の条件には普通にHPを減らすものもあれば「回復してあげよう」「毒状態にしよう」「炎属性で攻撃しよう」「防御力を低下させよう」など多種多様。ミラージュの組み合わせや状態異常アイテムの選択が非常に重要となっている。 --一部ミラージュを捕まえるには各ミラージュの種族に合わせたジェムが、「魔震」と呼ばれる機械系のミラージュを捕まえるには「アルトボックス」という消費アイテムが別途必要となる。 -セイヴァーメダル --歴代FFキャラを呼び出すお助け機能。専用のゲージが用意されており、召喚の度に各キャラに合わせたゲージ量を消費する必要がある。 -ココロクエスト・よりみちクエスト --サブイベント。ココロクエストは名もなき少女の部屋で受ける歴代FFキャラにちなんだイベント。よりみちクエストは街の住人から受けるお使いイベント。 --報酬は少女や住人から直接受け取る他、メニュー画面から受け取ることも出来る。 -タマエナ話 --チュートリアルの再確認機能。 -対戦・交換機能、クロスセーブ(PS4/PSV)にも対応している。 --PS4ではWi-Fi通信、PSVではアドホック通信のみ。 -従来同様のCGムービーに加え、『FF』シリーズのゲーム作品では初めてセルアニメムービーも導入している。 ---- **評価点 -ミラージュの組み合わせが楽しい。 --ミラージュをいかに組み合わせるかによって、特定のアビリティが使えたり、属性・状態異常に対する耐性が変わるため、それらを考えながらフォーメーションを組んでいくのが楽しい。 -多種多様なFFモンスター達が登場する。各デザインも出典が準拠となっているが本作独自のデフォルメアレンジが成されており、元と比べてみるのも楽しい。 --中には''『[[アインハンダー]]』((エンディミオンMk-IIが「アインハンダー」名義で登場。アストライアーも登場するが、そちらは店舗別購入特典。))や『[[ゼノギアス]]』((『ゼノギアス』が「XG」名義で登場。本作用アレンジデザインも原典と同じ担当者。))といったスクウェア時代のFF以外のゲームのキャラクターまでもが登場''。ご丁寧に、覚える技やモーションまでも原作準拠。アインハンダーに至ってはアニメムービーにも登場する。 --本作オリジナルのミラージュも多く登場。中には『[[機動戦士ガンダム>ガンダムシリーズ]]』でお馴染み大河原邦男氏が手掛けたミラージュも。 -グラフィックは流石のスクエニ。高クオリティで纏まっている。 --街並みも各FF作品が出典となっているものが多く、原典を上手く踏襲したデザインとなっている。 --デフォルメであることから一見DS版の『FFIV』などのリメイクの様に、テーマとは合わないだろうと想像しがちだが、実際にはむしろ世界観の一部として効果的に使われているといえる。 --また細かくコミカルに動くので、デフォルメだからと敬遠した人も、体験版をやってみると印象が大きく変わるだろう(少なくとも筆者はそうだった)。 ---特にサボテンダー(サボテン車掌)の動きは必見。一部のムービーで、サボテンダーたちがあのポーズのままどうやって走っているのかが明らかに。…そう動くのかよ!※この記述は本編の内容についてであり体験版の内容には含まれていません。念のため。 -フィールドやダンジョンなどでは、歴代シリーズのアレンジBGMが流れる事が多い。 --各セイヴァーを召喚した際に各作品の戦闘BGMのアレンジが流れるが、オプションで通常戦闘のBGMをそれらに変更する事も出来る。 --フィールド上で魔導アーマーにノリノリするとBGMが『[[FFVI>ファイナルファンタジーVI]]』のものとなる。~ 22年越しに魔導アーマーに自由に乗り降りできるという夢を叶えてくれたとしてVIファンからは大好評。雪原も存在しているため自由にVIオープニングごっこが出来る。 -『[[ディシディア>ディシディア ファイナルファンタジー]]』とは一味違ったキャラクター選出。 --基本的に主人公とラスボスの選出がメインだったディシディアと比べて、全体的にサブキャラクターが多く登場している。ファリスやキスティスなど本作で初めて声がついたキャラも多い。 ---エドガー役に三木眞一郎氏など、キャラのイメージにピッタリとしてキャスティング面でも好評を得ている。 --[[リメイク版『III』>ファイナルファンタジーIII (DS)]]からレフィア、『[[クリスタルクロニクルエコーズオブタイム>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム]]』からシェルロッタ、『[[ダージュオブケルベロス>ダージュ オブ ケルベロス ファイナルファンタジーVII]]』からシェルクなど派生作品からの選出も見られている。 ---- **賛否両論点 -前述の通り若年層を意識したためか、ストーリーやテキストのノリは全体的に明るく軽い。カラー的に最も近しいのは『[[ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト]]』や『[[ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム]]』のマルチプレイモード辺りであろうか。 --ダンジョン内ではレェンとラァン、タマを始めとするキャラクターの掛け合いが頻繁に挿入されるのだが、内容は大抵ラァンのボケにレェンが突っ込む展開であり、それがストーリー終盤まで繰り返されるため、緊張感の無さを感じるプレイヤーも少なくない。 ---ラァンのボケ体質な性格もあってか強引な聞き間違いネタが頻出することや、それに対するレェンのツッコミがくどすぎて滑った際のダメージが上乗せされていることもあって、この雰囲気を受け入れられないプレイヤーは冷めてしまいやすい。 ---ボス戦などにおいても、DLCに言及したりとメタ発言も平然と出てきている。 --ストーリー自体についても、姉弟ともに記憶喪失でありながらも基本的に楽観主義者であまり緊張感がなく、裏で敵幹部が暗躍する気配こそあるがずっとグリモワルを一本道でのんびりと探索していき、ようやく終盤になってストーリーが大きく動き出すなど、やや薄め。 ---ただし本筋そのものは暗くシリアス寄りな作風であり、会話に下ネタやネットスラングなどはほぼ無い。そのため、姉弟のゆるい性格や上述の掛け合いもそれらを緩和することを意図したものであることは感じ取れるが、率直に言ってやや滑り気味でありセンスに乏しい。 --これもあってか、多くのプレイヤーからの評判はあまり良くない。尤も、後述する図鑑のテキストに比べればストーリー本編の台詞はまだ可愛い方という意見もある。 --シナリオライターの千葉広樹氏は『ダージュオブケルベロス』『[[シグマ ハーモニクス]]』『[[零式>ファイナルファンタジー零式]]』を手掛けた人物だが、これら過去作は重くシリアスな作品がメインであり、本作のようなノリの軽いシナリオは異例とも言える。 ---一応『シグマ ハーモニクス』に一部あったラブコメ風会話などの例も無くもないものの、氏には不向きなジャンルだったのかもしれない。 -モンスター図鑑の解説テキストは上記以上にネタ要素に全振りした内容で、はっきりと賛否が分かれている。 --大まかに言えば1行目は普通に紹介しているが、2行目以降は完全にネタに走っているスタイル。 --ミミックでは「[[弊社某作品>ドラゴンクエストシリーズ]]の方が有名だと思われますが、別の存在です。はい」と、イフチーでは「[[ねこっぽいあれとは関係ないし、ニャンとも言わない>妖怪ウォッチシリーズ]]」と、どうこびとでは「[[身体は銅で出来ている…と呟いても結界は張れない>Fateシリーズ]]」と言った、他作品のパロディネタ(それもこじつけ気味)も多く出てくる。二行目も真面目に説明しているのはシリーズ召喚獣でもあるマスタークラスのミラージュくらい。 --ラァンとレェンのやり取りと同様、強引なダジャレネタも散見される。 -戦闘バランス調整はかなり緩く良く言えば初心者向け、悪く言えば大雑把。 --全体的にノセノセ前提のバランスとなっており、バラバラ状態だとAPが三分の一になり使えないアビリティが増える、ステータスも大幅に減少する為に全体攻撃であっという間に各ミラージュが沈んでしまう、そもそもバラバラになる為に1ターン消費するなどデメリットが多く、あえてバラバラで行動する必要性が薄い。 ---一方バラバラ状態ならば、頭数が増えることによるアイテムラッシュ((後述の様に戦闘用アイテムが強力である事を活かし、全員でアイテムを使って攻撃と蘇生を行うゾンビアタック。))や、デスによる一発死を回避するなど、ノセノセ状態だと逆に不利になる相手への突破口となる事も有る。 --店売りの戦闘用アイテムがかなり強力。攻撃アイテムがレベル差とステータス差を無視して一定のダメージを与えたり、蘇生アイテムが全体蘇生になっている。ただしこれはとあるマップで発生するミラージュ使用不能イベントに起因するとされる。 --ゲーム序盤こそLサイズのミラージュが希少なためLサイズ相当のオオビトにSサイズとMサイズのミラージュを乗せた方が戦いやすいが、ゲームを進めていくと敵味方共にミラージュが強力になり、Mサイズ相当のプリメロを使えばLサイズの強力なミラージュと組めるため、オオビトをほぼ使わなくなりプリメロ時の組み合わせに依存しがちになる事も。 -アニメムービーは良質なのだが、その使用の必要性に疑問符が浮かぶ。 --作画自体は美麗であり、クオリティ的にもしっかりしたものとなっている。 --だが、本作では従来同様のCGムービーも多く流れるため、あえてアニメで描く必要性が薄く「何故このシーンをわざわざアニメで?」と思う場面も多い。 ---むしろ、アニメの方がCGよりもオオビトとプリメロが一緒に映った際の違和感が大きくなってしまっているという点もある。 --別にアニメシーンがあって困る訳でもなく、特にゲームのイメージを壊すようなものでもないのだが、全体的に見ればやや浮いてしまった形となっている。 ---- **問題点 -ミニゲームの極悪難度 --全体的に出来が悪い上、終盤に唐突に挟まれる他「クリアさせる気がない」と言わしめられる程に理不尽な難易度に仕上がっている。 --後のアップデートにて難易度が下げられているが、「それでもクリアさせる気がない」難易度となっている。 ---このミニゲームの中でも特にフィガロ城のミニゲームのノーミスクリア報酬「マディンの記憶」が、''そのあまりの高難度かつ運要素が強い仕様のせいで非常に入手困難''なことは語り草となっており、大抵のプレイヤーはマディンが入手できない=''ミラージュコンプリートも不可能''という状態に陥ってしまう。 -連れ歩き可能なミラージュの数制限 --ノセノセ編成中のもの含めて一度に連れ歩けるミラージュは全10体。マップの仕掛けを突破するサポートアビリティは''1体につき1個''、しかもダンジョン一つにつきだいたい2つは仕掛けが出てくるため、偏った編成になりやすい。 --新しいミラージュをジェム化して、持ちきれない場合は預かってもらえるのだが、''預けているミラージュには一切経験値が入らない。''さらにジェム化したミラージュは''どれだけ強くてもレベル1からになる。'' --こういった探索・育成面を考慮すると、手持ちミラージュの上限が少ないと言わざるを得ず、せめてストックはもっと多く欲しかったという声も多い。 -レベル差補正 --数レベル差((ノセノセ状態では全員のレベルを平均した値と比べる。))があると、&bold(){ステータスが同じキャラが同じアビリティで攻撃しても半分ほどのダメージしか与えられない}程に顕著なダメージ補正がある。 --前述の控えに経験値が入らない仕様と相まって「このボスにはこのアビリティと耐性を持つこのミラージュが有効だから連れて行こう」と思っても、PTの平均レベルまで上げないと火力面ではろくに貢献できない。 --その割に、本作では敵のステータスを見られる魔法「ライブラ」でも敵のレベルが解らない仕様となっているのも不便。 -一部のダンジョンにただただ道を進んでいくだけのマップ構成が見られている。 -『FF』レジェンドキャラの扱いが、全体的にやっつけ気味。 --基本的に、「ストーリー途中で出会って ⇒ 一時行動を共にしたりお使いをこなしたりして ⇒ 直ぐに別れる」…の繰り返し。細かい描写はサブイベントに回されているのが殆どで、本筋に関わらないキャラも少なくない。 --メインストーリーにおけるキャラの活躍も歴代召喚士キャラの他は『VII』以降のいわゆる「野村FF」に集中している。 ---『[[II>ファイナルファンタジーII]]』『[[XII>ファイナルファンタジーXII]]』『[[XIV>ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア]]』などのキャラが登場しない事も惜しまれた。特に、「帝国対レジスタンス」という本作のストーリーに合致していた『II』『XII』の未出演には多くのプレイヤーが首をかしげる結果となった。 --「ルシ」「ドロー」といったそれぞれの原典作品に登場する専門用語も出てくる上、何の説明もされない。ストーリーに関わる事も無いが。 --何故かティナが召喚士扱い、リュックがトレジャーハンターとして活動しているなど首を傾げるような扱いも少々見られる。 ---ただしティナに関しては確かに某イベントにて他の召喚士達と同じように扱われているが、キャラクター図鑑には「召喚士ではない」と明記されている。~ またその他の「召喚士」と呼ばれているキャラクターも、原作での定義や幻獣との関係にはかなりバラつきがあるところを『ミラージュ使い以外で召喚獣を使役する術士=召喚士』くらい大雑把に一括りにしている感じなので、原作で召喚士であったかそうでなかったかはあまり重視していないのかもしれない。 //---またリュックは『X-2』だとスフィアハンターではあった((本作での衣装も『X-2』のシーフである。))が、トレジャーハンターの立ち位置なら[[ロック>ファイナルファンタジーVI]]がいるのでこちらを出してほしかったところ。 ---ただし、会話などキャラ描写においては、原作からの出典であるネタが非常に多く好評ではある。キャラを必要以上に貶めるような描写も皆無。 -Vita版はボイスデータを別途ダウンロードする必要がある他、Vita TV非対応など制約が多い。 ---- **総評 ライトな作風や大味なバランス取りなど、良くも悪くも初心者向けにウェイトが置かれた内容である。~ 好き嫌いが激しく分かれるギャグ要素のノリや大味なバランス取りなど惜しい部分こそあれ、育成収集RPGとしての出来は決して見劣りするものではない。~ アレンジBGMを始め歴代シリーズファンに向けた描写も多く、続編を願う声など好評意見もまた多い。 製作総指揮を采った橋本真司プロデューサーによると、本作を『ディシディア』『シアトリズム』に続く新たな『FF』クロスオーバーの柱とする意思も見せている。~ ただ、もしも本作の続編を世に出すのであれば、本作からの更なるブラッシュアップが必須となるのは間違いないだろう。 ---- **余談 -本作はオーディン役を務めた小林清志氏が生涯最後に出演したゲームでもある。 --ご存知の通りオーディンの武器は斬鉄剣なので「&bold(){[[斬鉄剣を使う次元>ルパン三世シリーズ]]}」というひときわ珍しい光景が見られる。 -歴代『FF』キャラクターのプリメロデザインは本作に先駆けて、『[[ピクトロジカ ファイナルファンタジー>ピクトロジカ ファイナルファンタジー≒]]』(iOS/Android)でも用いられていた。 --本作には登場していないキャラのプリメロ化した姿も多く見られる。 -2017年に本作のエンディング後の物語を描くスマートフォン向けソーシャルゲームとして『ワールド オブ ファイナルファンタジー メリメロ』も配信されたが、一年弱でサービス終了となっている。 --『メリメロ』初出の要素は後述の『マキシマ』で一部導入されている。 -本作の不評点であるラァンのボケ台詞は開発者の耳にも届いており、完全版である『マキシマ』開発にあたって、彼の台詞を消そうかと考えたものの、実際にやってみたら「とても可哀そうな事になった」との事で結局断念した様子がファミ通インタビューにて語られている。 -発売前にニコニコ生放送などでプロモーションを積極的に行いゲーム内容をアピールするも、それが伝わったとはいい難く結果的にその子供向けな見た目が敬遠され、また本作の後に『FFXV』が控えていた((本来は本作が後に発売する予定だったが、発売延期により本作が先に発売する事になった。))事もあり、初週売り上げは2機種計10万本と振るわないものとなった。~ ---- **ワールド オブ ファイナルファンタジー マキシマ(参考記述) -2018年11月6日に配信された、登場ミラージュやシステムの追加を行った完全版。機種に新たにOne/Switchを迎えたが、ダウンロード版のみの販売となっている。 --PS4/Win版のみ無印版からの有料DLCとして同仕様にアップデートする事が可能。無印版からセーブデータを引き継ぐ事が出来る。 --なお、PSV版はマキシマ非対応。配信に含まれていないのはメモリの限界だったとの事。 -無印版から大きく改善されているのは間違いない。しかしPS4/Win版については無印+DLC別売適用という販売形態を採用しており、ストーリーそれ自体は無印版と変わらないDLCであるにも拘らず強気な価格設定となっている点に対して、一部から批判の声が上がっている。 **追加点(マキシマ) -レェンとラァンが戦闘メンバーから外せるようになった。 --これに伴い、手持ちミラージュも枠が2つ分増えている。 -レェンとラァンのみ使用可能の新システム「アバターチェンジ」 --新アイテムであるセヴァストーンを装備する事で、FFレジェンドキャラに変身し、固有アビリティが使用可能となる。 --変身中は戦闘BGMが歴代シリーズの戦闘BGMのアレンジとなる。 -ノクティスなど、FFレジェンドキャラが追加参戦する他、ミラージュやボス、ダンジョンが追加された。 //-無印で極悪と批判されたミニゲームの難易度が緩和されたとなっているが、&bold(){全然緩和されていない}。 //緩和されていないのならこの一行自体が誤りなのでは -新ミニゲームとして『[[FFXV>ファイナルファンタジーXV]]』をモチーフとした「釣り」が追加。 -周回機能が充実。 --つよくてニューゲーム「つづきのはじめから」と高難易度「ナイトメア級」が追加。 -システム面の調整。 --出現ミラージュのエンカウント率調整、リフレクで跳ね返された一部の魔法が跳ね返されなくなるなど、細かく改善されている。 -当然だがPSV版が存在しないため、PS4 ⇔ PSVのクロスセーブ機能は削除されている。 --なお、PSV版無印からクロスセーブ機能によりPS4版無印へ一旦移し、そのデータをPS4版マキシマに引き継ぐことで、疑似的にPSV版からデータを引き継ぐ事は可能。
*ワールド オブ ファイナルファンタジー 【わーるど おぶ ふぁいなるふぁんたじー】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B01GHOL7ZO)&amazon(B01GHOL7U4)| |対応機種|プレイステーション4&br()プレイステーション・ヴィータ&br;Windows(Steam)|~| |発売元|スクウェア・エニックス|~| |開発元|トーセ|~| |発売日|【PS4/PSV】2016年10月27日&br;【Win】2017年11月22日|~| |定価|【PS4/PSV】5,800円(税別)&br;【Win】4,800円(税別)&br;【PS4/WinDL版改定後】3,400円(税別)((『マキシマ』配信に伴う価格改定。PSV版のみ対象外。))|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|FF版『[[ポケモン>ポケットモンスターシリーズ]]』&br()『ディシディア』と一味違ったクロスオーバー&br()良くも悪くも初心者向けバランス&br()ギャグのセンスは好き嫌いが大きく分かれる所&br()極悪難度のミニゲーム群&br()完全版に対応するDLCあり|~| |>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ]]''| ''本項ではPS4/PSV/Win版の無印『ワールド オブ ファイナルファンタジー』について主に解説します。''~ ''グレードアップ版のPS4/Win/One/Switch版『 - マキシマ』については参考記述扱いで後述。'' ---- #contents(fromhere) ---- **概要 失った記憶と母親を探しに不思議な世界「グリモワル」へと旅立ち、「ミラージュ」と呼ばれる歴代FFモンスター達を収集していく双子の姉弟の物語を描いたRPG。~ 明るく元気な少年''ラァン''、その姉でしっかり者の少女''レェン''、案内役である小狐のようなミラージュの''タマ''の3名を中心に、各地を冒険していく。~ 本作における『FF』キャラはFC/SFC時代のチビキャラドット絵をCG化したような2頭身の体型「プリメロ」で描写されており、逆に本作オリジナルのキャラクター達はほとんどが通常のリアル体型「オオビト」で描写されている。 本作は若年層を中心とした「FFシリーズ初心者に向けた作品」というコンセプトが打ち出されており、従来の『FF』シリーズとは趣を異とした内容となっている。 ---- **特徴 -ミラージュ --本作におけるモンスター及び召喚獣の総称。各ミラージュのデザインは出典を踏襲しながらも本作用にデフォルメアレンジが施されている。 --ミラージュは「ミラージュボード」と呼ばれる『[[X>ファイナルファンタジーX]]』におけるスフィア盤によく似た成長システムで成長させていく。 --専用経験値であるSPを消費させることでアビリティの取得が出来る。取得すればするほど、シンクロ率が上昇しステータスも上がっていく。 ---ボードには空きスロットも存在するが、そこには消費アイテムである「アビリティのたね」を使う事で、対応するアビリティを入れて使えるようになる。 ---自由な付け替えは出来ないが、他のたねを使って中身の上書きは可能。 ---全てのアビリティを取得すると★マークが付き、アビリティやステータス向上などのボーナスを取得できる。 --ダンジョン内の障害物を除ける「ボカボカ」など探索用のアビリティもあれば、乗る事で歩行速度がアップする「ノリノリ」や、アイテムを発見してくれるSサイズミラージュを一緒に連れていける「トコトコ」など、戦闘以外で役立つアビリティもある。 -ノセノセプラン --レェンとラァンと各ミラージュとのフォーメーション。 --S・M・Lサイズと基本3サイズに分類されたミラージュとレェンとラァンを組み合わせる事でパーティを組んでいく。 ---各ミラージュはミラージュボードにより、他のミラージュへと変化させる「ヘンシンカ」が出来る。これにより、お気に入りのミラージュを別のサイズにして組み合わせる事も出来る。~ なお、ヘンシンカには一定レベルへの達成の他、「各ミラージュの記憶」など特殊なアイテムを持っている必要もある。 ---ラァンとレェンはMサイズ相当のプリメロとLサイズ相当のオオビトの二通りが選択可能。すなわち、Sサイズミラージュはどちらでも入れられるがM・Lサイズはそれぞれ一体だけしか入れられない。 ---「ファイア」など同じアビリティを取得したミラージュを組み合わせる事で「ファイラ」「ファイガ」へと強力なアビリティを使えるようになっていく。 --EXサイズに分類されるミラージュは「メガミラージュ」と呼ばれる特殊なミラージュで、レェンとラァンの合計AP(本作ではMPに相当)が一定値に達すると呼び出せ、代わりに戦ってくれる。~ 従来の召喚獣のようなポジションと言えば解り易い。 ---メガミラージュのAPが切れるか倒されると撤退する。 --また、敵もノセノセされた状態で出現することがある。 ---こちら側と同じく、単体の時よりも強く、更に後述のジェム化を受け付けない。ダメージは少ないが、崩し効果が高いアビリティでノセノセを崩す、などの戦略も必要となる。 -バトルはATBことアクティブタイムバトルで進行する。 --本作では各ボタンにコマンドを当てた簡易的な「シンプル」、防御やアビリティ一覧など通常通りの「クラシック」の二通りを切り替えていく。 --「ウェイト」「アクティブ」の他、「シンプル」時のみ時間が進行し、「クラシック」でのコマンド選択中のみ敵が行動してこない中間の「セミアクティブ」も存在する。 --オートモードも搭載している。 --APはレェンとラァンの順が回ってきた際に少しづつ溜まっていく。 --ノセノセした状態では安定というパラメータも存在し、攻撃を受けていくにつれ次第にグラグラと揺れだし一定値を超えると強制的にバラバラ状態となる上、一定時間動けなくなってしまう。 ---これを解消するためにアイテム「グラグラ安定剤」や魔法「バランス」を使う必要がある他、適度に防御したり、崩れにくいフォーメーションを組む必要がある。また、敵がノセノセによって強化されている時は、こちらも崩す事を狙っていくなど戦略性も高い。 -ミラストーン --レェンとラァンはミラージュボードによる育成が出来ない代わりに、ミラストーンと呼ばれるアクセサリを装備する事でアビリティなどを取得できる。 ---ミラストーンは宝箱や敵ドロップによる獲得の他、ミラージュボードで取得することができる。 --ミラストーンのスロットは基本的にレベルが一定値に達するなど条件による解放式となっている。 -ジェム --各ミラージュをジェム化するためにそれぞれ個別に設定されている条件を満たす必要があり、これを確認できるライブラが必要不可欠となる。 --ジェム化の条件には普通にHPを減らすものもあれば「回復してあげよう」「毒状態にしよう」「炎属性で攻撃しよう」「防御力を低下させよう」など多種多様。ミラージュの組み合わせや状態異常アイテムの選択が非常に重要となっている。 --一部ミラージュを捕まえるには各ミラージュの種族に合わせたジェムが、「魔震」と呼ばれる機械系のミラージュを捕まえるには「アルトボックス」という消費アイテムが別途必要となる。 -セイヴァーメダル --歴代FFキャラを呼び出すお助け機能。専用のゲージが用意されており、召喚の度に各キャラに合わせたゲージ量を消費する必要がある。 -ココロクエスト・よりみちクエスト --サブイベント。ココロクエストは名もなき少女の部屋で受ける歴代FFキャラにちなんだイベント。よりみちクエストは街の住人から受けるお使いイベント。 --報酬は少女や住人から直接受け取る他、メニュー画面から受け取ることも出来る。 -タマエナ話 --チュートリアルの再確認機能。 -対戦・交換機能、クロスセーブ(PS4/PSV)にも対応している。 --PS4ではWi-Fi通信、PSVではアドホック通信のみ。 -従来同様のCGムービーに加え、『FF』シリーズのゲーム作品では初めてセルアニメムービーも導入している。 ---- **評価点 -ミラージュの組み合わせが楽しい。 --ミラージュをいかに組み合わせるかによって、特定のアビリティが使えたり、属性・状態異常に対する耐性が変わるため、それらを考えながらフォーメーションを組んでいくのが楽しい。 -多種多様なFFモンスター達が登場する。各デザインも出典が準拠となっているが本作独自のデフォルメアレンジが成されており、元と比べてみるのも楽しい。 --中には''『[[アインハンダー]]』((エンディミオンMk-IIが「アインハンダー」名義で登場。アストライアーも登場するが、そちらは店舗別購入特典。))や『[[ゼノギアス]]』((『ゼノギアス』が「XG」名義で登場。本作用アレンジデザインも原典と同じ担当者。))といったスクウェア時代のFF以外のゲームのキャラクターまでもが登場''。ご丁寧に、覚える技やモーションまでも原作準拠。アインハンダーに至ってはアニメムービーにも登場する。 --本作オリジナルのミラージュも多く登場。中には『[[機動戦士ガンダム>ガンダムシリーズ]]』でお馴染み大河原邦男氏が手掛けたミラージュも。 -グラフィックは流石のスクエニ。高クオリティで纏まっている。 --街並みも各FF作品が出典となっているものが多く、原典を上手く踏襲したデザインとなっている。 --デフォルメであることから一見DS版の『FFIV』などのリメイクの様に、テーマとは合わないだろうと想像しがちだが、実際にはむしろ世界観の一部として効果的に使われているといえる。 --また細かくコミカルに動くので、デフォルメだからと敬遠した人も、体験版をやってみると印象が大きく変わるだろう(少なくとも筆者はそうだった)。 ---特にサボテンダー(サボテン車掌)の動きは必見。一部のムービーで、サボテンダーたちがあのポーズのままどうやって走っているのかが明らかに。…そう動くのかよ!※この記述は本編の内容についてであり体験版の内容には含まれていません。念のため。 -フィールドやダンジョンなどでは、歴代シリーズのアレンジBGMが流れる事が多い。 --各セイヴァーを召喚した際に各作品の戦闘BGMのアレンジが流れるが、オプションで通常戦闘のBGMをそれらに変更する事も出来る。 --フィールド上で魔導アーマーにノリノリするとBGMが『[[FFVI>ファイナルファンタジーVI]]』のものとなる。~ 22年越しに魔導アーマーに自由に乗り降りできるという夢を叶えてくれたとしてVIファンからは大好評。雪原も存在しているため自由にVIオープニングごっこが出来る。 -『[[ディシディア>ディシディア ファイナルファンタジー]]』とは一味違ったキャラクター選出。 --基本的に主人公とラスボスの選出がメインだったディシディアと比べて、全体的にサブキャラクターが多く登場している。ファリスやキスティスなど本作で初めて声がついたキャラも多い。 ---エドガー役に三木眞一郎氏など、キャラのイメージにピッタリとしてキャスティング面でも好評を得ている。 --[[リメイク版『III』>ファイナルファンタジーIII (DS)]]からレフィア、『[[クリスタルクロニクルエコーズオブタイム>ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム]]』からシェルロッタ、『[[ダージュオブケルベロス>ダージュ オブ ケルベロス ファイナルファンタジーVII]]』からシェルクなど派生作品からの選出も見られている。 ---- **賛否両論点 -前述の通り若年層を意識したためか、ストーリーやテキストのノリは全体的に明るく軽い。カラー的に最も近しいのは『[[ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト]]』や『[[ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル エコーズ・オブ・タイム]]』のマルチプレイモード辺りであろうか。 --ダンジョン内ではレェンとラァン、タマを始めとするキャラクターの掛け合いが頻繁に挿入されるのだが、内容は大抵ラァンのボケにレェンが突っ込む展開であり、それがストーリー終盤まで繰り返されるため、緊張感の無さを感じるプレイヤーも少なくない。 ---ラァンのボケ体質な性格もあってか強引な聞き間違いネタが頻出することや、それに対するレェンのツッコミがくどすぎて滑った際のダメージが上乗せされていることもあって、この雰囲気を受け入れられないプレイヤーは冷めてしまいやすい。 ---ボス戦などにおいても、DLCに言及したりとメタ発言も平然と出てきている。 --ストーリー自体についても、姉弟ともに記憶喪失でありながらも基本的に楽観主義者であまり緊張感がなく、裏で敵幹部が暗躍する気配こそあるがずっとグリモワルを一本道でのんびりと探索していき、ようやく終盤になってストーリーが大きく動き出すなど、やや薄め。 ---ただし本筋そのものは暗くシリアス寄りな作風であり、会話に下ネタやネットスラングなどはほぼ無い。そのため、姉弟のゆるい性格や上述の掛け合いもそれらを緩和することを意図したものであることは感じ取れるが、率直に言ってやや滑り気味でありセンスに乏しい。 --これもあってか、多くのプレイヤーからの評判はあまり良くない。尤も、後述する図鑑のテキストに比べればストーリー本編の台詞はまだ可愛い方という意見もある。 --シナリオライターの千葉広樹氏は『ダージュオブケルベロス』『[[シグマ ハーモニクス]]』『[[零式>ファイナルファンタジー零式]]』を手掛けた人物だが、これら過去作は重くシリアスな作品がメインであり、本作のようなノリの軽いシナリオは異例とも言える。 ---一応『シグマ ハーモニクス』に一部あったラブコメ風会話などの例も無くもないものの、氏には不向きなジャンルだったのかもしれない。 -モンスター図鑑の解説テキストは上記以上にネタ要素に全振りした内容で、はっきりと賛否が分かれている。 --大まかに言えば1行目は普通に紹介しているが、2行目以降は完全にネタに走っているスタイル。 --ミミックでは「[[弊社某作品>ドラゴンクエストシリーズ]]の方が有名だと思われますが、別の存在です。はい」と、イフチーでは「[[ねこっぽいあれとは関係ないし、ニャンとも言わない>妖怪ウォッチシリーズ]]」と、どうこびとでは「[[身体は銅で出来ている…と呟いても結界は張れない>Fateシリーズ]]」と言った、他作品のパロディネタ(それもこじつけ気味)も多く出てくる。二行目も真面目に説明しているのはシリーズ召喚獣でもあるマスタークラスのミラージュくらい。 --ラァンとレェンのやり取りと同様、強引なダジャレネタも散見される。 -戦闘バランス調整はかなり緩く良く言えば初心者向け、悪く言えば大雑把。 --全体的にノセノセ前提のバランスとなっており、バラバラ状態だとAPが三分の一になり使えないアビリティが増える、ステータスも大幅に減少する為に全体攻撃であっという間に各ミラージュが沈んでしまう、そもそもバラバラになる為に1ターン消費するなどデメリットが多く、あえてバラバラで行動する必要性が薄い。 ---一方バラバラ状態ならば、頭数が増えることによるアイテムラッシュ((後述の様に戦闘用アイテムが強力である事を活かし、全員でアイテムを使って攻撃と蘇生を行うゾンビアタック。))や、デスによる一発死を回避するなど、ノセノセ状態だと逆に不利になる相手への突破口となる事も有る。 --店売りの戦闘用アイテムがかなり強力。攻撃アイテムがレベル差とステータス差を無視して一定のダメージを与えたり、蘇生アイテムが全体蘇生になっている。ただしこれはとあるマップで発生するミラージュ使用不能イベントに起因するとされる。 --ゲーム序盤こそLサイズのミラージュが希少なためLサイズ相当のオオビトにSサイズとMサイズのミラージュを乗せた方が戦いやすいが、ゲームを進めていくと敵味方共にミラージュが強力になり、Mサイズ相当のプリメロを使えばLサイズの強力なミラージュと組めるため、オオビトをほぼ使わなくなりプリメロ時の組み合わせに依存しがちになる事も。 -アニメムービーは良質なのだが、その使用の必要性に疑問符が浮かぶ。 --作画自体は美麗であり、クオリティ的にもしっかりしたものとなっている。 --だが、本作では従来同様のCGムービーも多く流れるため、あえてアニメで描く必要性が薄く「何故このシーンをわざわざアニメで?」と思う場面も多い。 ---むしろ、アニメの方がCGよりもオオビトとプリメロが一緒に映った際の違和感が大きくなってしまっているという点もある。 --別にアニメシーンがあって困る訳でもなく、特にゲームのイメージを壊すようなものでもないのだが、全体的に見ればやや浮いてしまった形となっている。 ---- **問題点 -ミニゲームの極悪難度 --終盤に唐突に挟まれる他、全体的に「クリアさせる気がない」と言わしめられる程に理不尽な難易度に仕上がっている。 --後のアップデートにて難易度が下げられているが、「それでもクリアさせる気がない」難易度となっている。 ---このミニゲームの中でも特にフィガロ城のミニゲームのノーミスクリア報酬「マディンの記憶」が、''そのあまりの高難度かつ運要素が強い仕様のせいで非常に入手困難''なことは語り草となっており、大抵のプレイヤーはマディンが入手できない=''ミラージュコンプリートも不可能''という状態に陥ってしまう。 -連れ歩き可能なミラージュの数制限 --ノセノセ編成中のもの含めて一度に連れ歩けるミラージュは全10体。マップの仕掛けを突破するサポートアビリティは''1体につき1個''、しかもダンジョン一つにつきだいたい2つは仕掛けが出てくるため、偏った編成になりやすい。 --新しいミラージュをジェム化して、持ちきれない場合は預かってもらえるのだが、''預けているミラージュには一切経験値が入らない。''さらにジェム化したミラージュは''どれだけ強くてもレベル1からになる。'' --こういった探索・育成面を考慮すると、手持ちミラージュの上限が少ないと言わざるを得ず、せめてストックはもっと多く欲しかったという声も多い。 -レベル差補正 --数レベル差((ノセノセ状態では全員のレベルを平均した値と比べる。))があると、&bold(){ステータスが同じキャラが同じアビリティで攻撃しても半分ほどのダメージしか与えられない}程に顕著なダメージ補正がある。 --前述の控えに経験値が入らない仕様と相まって「このボスにはこのアビリティと耐性を持つこのミラージュが有効だから連れて行こう」と思っても、PTの平均レベルまで上げないと火力面ではろくに貢献できない。 --その割に、本作では敵のステータスを見られる魔法「ライブラ」でも敵のレベルが解らない仕様となっているのも不便。 -一部のダンジョンにただただ道を進んでいくだけのマップ構成が見られている。 -『FF』レジェンドキャラの扱いが、全体的にやっつけ気味。 --基本的に、「ストーリー途中で出会って ⇒ 一時行動を共にしたりお使いをこなしたりして ⇒ 直ぐに別れる」…の繰り返し。細かい描写はサブイベントに回されているのが殆どで、本筋に関わらないキャラも少なくない。 --メインストーリーにおけるキャラの活躍も歴代召喚士キャラの他は『VII』以降のいわゆる「野村FF」に集中している。 ---『[[II>ファイナルファンタジーII]]』『[[XII>ファイナルファンタジーXII]]』『[[XIV>ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア]]』などのキャラが登場しない事も惜しまれた。特に、「帝国対レジスタンス」という本作のストーリーに合致していた『II』『XII』の未出演には多くのプレイヤーが首をかしげる結果となった。 --「ルシ」「ドロー」といったそれぞれの原典作品に登場する専門用語も出てくる上、何の説明もされない。ストーリーに関わる事も無いが。 --何故かティナが召喚士扱い、リュックがトレジャーハンターとして活動しているなど首を傾げるような扱いも少々見られる。 ---ただしティナに関しては確かに某イベントにて他の召喚士達と同じように扱われているが、キャラクター図鑑には「召喚士ではない」と明記されている。~ またその他の「召喚士」と呼ばれているキャラクターも、原作での定義や幻獣との関係にはかなりバラつきがあるところを『ミラージュ使い以外で召喚獣を使役する術士=召喚士』くらい大雑把に一括りにしている感じなので、原作で召喚士であったかそうでなかったかはあまり重視していないのかもしれない。 //---またリュックは『X-2』だとスフィアハンターではあった((本作での衣装も『X-2』のシーフである。))が、トレジャーハンターの立ち位置なら[[ロック>ファイナルファンタジーVI]]がいるのでこちらを出してほしかったところ。 ---ただし、会話などキャラ描写においては、原作からの出典であるネタが非常に多く好評ではある。キャラを必要以上に貶めるような描写も皆無。 -Vita版はボイスデータを別途ダウンロードする必要がある他、Vita TV非対応など制約が多い。 ---- **総評 ライトな作風や大味なバランス取りなど、良くも悪くも初心者向けにウェイトが置かれた内容である。~ 好き嫌いが激しく分かれるギャグ要素のノリや大味なバランス取りなど惜しい部分こそあれ、育成収集RPGとしての出来は決して見劣りするものではない。~ アレンジBGMを始め歴代シリーズファンに向けた描写も多く、続編を願う声など好評意見もまた多い。 製作総指揮を采った橋本真司プロデューサーによると、本作を『ディシディア』『シアトリズム』に続く新たな『FF』クロスオーバーの柱とする意思も見せている。~ ただ、もしも本作の続編を世に出すのであれば、本作からの更なるブラッシュアップが必須となるのは間違いないだろう。 ---- **余談 -本作はオーディン役を務めた小林清志氏が生涯最後に出演したゲームでもある。 --ご存知の通りオーディンの武器は斬鉄剣なので「&bold(){[[斬鉄剣を使う次元>ルパン三世シリーズ]]}」というひときわ珍しい光景が見られる。 -歴代『FF』キャラクターのプリメロデザインは本作に先駆けて、『[[ピクトロジカ ファイナルファンタジー>ピクトロジカ ファイナルファンタジー≒]]』(iOS/Android)でも用いられていた。 --本作には登場していないキャラのプリメロ化した姿も多く見られる。 -2017年に本作のエンディング後の物語を描くスマートフォン向けソーシャルゲームとして『ワールド オブ ファイナルファンタジー メリメロ』も配信されたが、一年弱でサービス終了となっている。 --『メリメロ』初出の要素は後述の『マキシマ』で一部導入されている。 -本作の不評点であるラァンのボケ台詞は開発者の耳にも届いており、完全版である『マキシマ』開発にあたって、彼の台詞を消そうかと考えたものの、実際にやってみたら「とても可哀そうな事になった」との事で結局断念した様子がファミ通インタビューにて語られている。 -発売前にニコニコ生放送などでプロモーションを積極的に行いゲーム内容をアピールするも、それが伝わったとはいい難く結果的にその子供向けな見た目が敬遠され、また本作の後に『FFXV』が控えていた((本来は本作が後に発売する予定だったが、発売延期により本作が先に発売する事になった。))事もあり、初週売り上げは2機種計10万本と振るわないものとなった。~ ---- **ワールド オブ ファイナルファンタジー マキシマ(参考記述) -2018年11月6日に配信された、登場ミラージュやシステムの追加を行った完全版。機種に新たにOne/Switchを迎えたが、ダウンロード版のみの販売となっている。 --PS4/Win版のみ無印版からの有料DLCとして同仕様にアップデートする事が可能。無印版からセーブデータを引き継ぐ事が出来る。 --なお、PSV版はマキシマ非対応。配信に含まれていないのはメモリの限界だったとの事。 -無印版から大きく改善されているのは間違いない。しかしPS4/Win版については無印+DLC別売適用という販売形態を採用しており、ストーリーそれ自体は無印版と変わらないDLCであるにも拘らず強気な価格設定となっている点に対して、一部から批判の声が上がっている。 **追加点(マキシマ) -レェンとラァンが戦闘メンバーから外せるようになった。 --これに伴い、手持ちミラージュも枠が2つ分増えている。 -レェンとラァンのみ使用可能の新システム「アバターチェンジ」 --新アイテムであるセヴァストーンを装備する事で、FFレジェンドキャラに変身し、固有アビリティが使用可能となる。 --変身中は戦闘BGMが歴代シリーズの戦闘BGMのアレンジとなる。 -ノクティスなど、FFレジェンドキャラが追加参戦する他、ミラージュやボス、ダンジョンが追加された。 //-無印で極悪と批判されたミニゲームの難易度が緩和されたとなっているが、&bold(){全然緩和されていない}。 //緩和されていないのならこの一行自体が誤りなのでは -新ミニゲームとして『[[FFXV>ファイナルファンタジーXV]]』をモチーフとした「釣り」が追加。 -周回機能が充実。 --つよくてニューゲーム「つづきのはじめから」と高難易度「ナイトメア級」が追加。 -システム面の調整。 --出現ミラージュのエンカウント率調整、リフレクで跳ね返された一部の魔法が跳ね返されなくなるなど、細かく改善されている。 -当然だがPSV版が存在しないため、PS4 ⇔ PSVのクロスセーブ機能は削除されている。 --なお、PSV版無印からクロスセーブ機能によりPS4版無印へ一旦移し、そのデータをPS4版マキシマに引き継ぐことで、疑似的にPSV版からデータを引き継ぐ事は可能。

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