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*サモンナイト6 失われた境界たち 【さもんないとしっくす うしなわれたきょうかいたち】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&amazon(B019MKKES6)&amazon(B019MKKEZO)| |対応機種|プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~| |発売元|バンダイナムコエンターテインメント|~| |開発元|メディア・ビジョン|~| |発売日|2016年3月10日|~| |定価|【PS4】7,200円&br;【PSV】通常版:6,800円&br;サモンナイト15周年記念豪華パック:9,800円&br;(全て税別)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |廉価版|Welcome Price!!:2017年3月30日&br;【PS4】3,800円&br;【PSV】2,800円(各税別)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|ナンバリングされているがお祭りゲー&br;シリーズ未経験者お断りシナリオ&br;パートボイス仕様を初めとした手抜きの多さ&br;開発チームもシリーズ未経験?|~| |>|>|CENTER:''[[サモンナイトシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『サモンナイト』シリーズ15周年を記念して製作された、約3年振りの完全新作。ナンバリング作品としては初めて副題が付いている。~ 据置機での発売は外伝の『グランテーゼ』以来6年振り(ナンバリングに限るとPS2版『[[4>サモンナイト4]]』以来約10年振り)。~ PS4/PSVでは初のシリーズ作で、2種類の機種での同時発売も初めて。PS4⇔PSV間のクロスセーブに対応している。 「歴代キャラクターが多数共演」というシリーズファンにとっては夢のような内容((PSP版『3』『4』でも、傀儡かつフリーバトルの会話限定とはいえそういった要素はあった。))である一方、同じコンセプトだったソーシャルゲーム『サモンナイト メモリーズ』がキャラ改悪などで評価が散々だったこと((システム面の不便さや、運営による低評価レビューの削除など他の悪因も重なり、わずか9か月でサービス終了となってしまった。))もあり、期待と不安が入り混じる中での発売となった…。 本記事には''『1』~『5』(以下「原作」と表記する場合あり)のネタバレも含まれる''ので、各原作を未プレイの人は閲覧に注意。 ---- **特徴 -本作の舞台は、シリーズ御馴染みの異世界リィンバウムではなく、「繭世界フィルージャ」と呼ばれる新しい世界。 --世界観や登場人物などを変え過ぎて賛否両論となった『5』に反省してか、歴代ナンバリングタイトルの主役級キャラクター達が大挙して登場する。 --様々な世界軸・時間軸のリィンバウムからフィルージャに召喚され、フィルージャの住人である主人公らと共に元の世界に帰る方法を探していく。 ***新要素 ''アクティブターンバトル'' -バトルシステムが従来のターン制からアクティブターン制に変更。敵味方全てのユニットに行動順が設定され、手番が回ってきたキャラクターのみ操作可能になる。 -このシステム変更に伴い、ステータスのTEC(器用さ)がSPD(素早さ)に変更。SPDが高いほどより早く行動順が回ってくるようになる。 ''サモナイトリーフ'' -フィルージャでは『4』までの召喚術が使用できない設定で、その代替物がサモナイトリーフ。 -召喚獣のサモナイトリーフは、特定のキャラクターが仲間になると増える他、一部バトルの宝箱からも入手できる。『[[5>サモンナイト5]]』の召喚盟友同様、入手するだけで対象の属性に適応した全てのキャラクターが使用できるようになる。 --サモンマテリアルなどの無属性の召喚術は過去作同様、得意属性に関係なく誰でも使用可能だが、本作にはこれらにも使用可能ランクが設定されている。 -外伝を含むシリーズキャラクターのサモナイトリーフは、一部バトルの宝箱・ミニゲームの釣り・派遣クエスト(後述)などで入手できる。そのキャラクターの概要がギャラリーで確認できるようになるほか、パーティスキル(パーティ能力)の獲得条件にもなっている。 --本作に登場するキャラの概要は本作で登場する際の設定に沿ったものとなっている。 ''サモンバースト'' -シナリオを進めると使えるようになる新たな召喚術。一定範囲内の2人のキャラクターが協力することで強力な召喚獣を呼び出すことができる。 --2人のMPが75%以上残っていることが条件でその分MPを消費するが、広範囲・高威力・敵の能力ダウンか状態異常付与または使用者2人の能力アップと高性能。 ''連携攻撃'' -通常攻撃を行った後、一定確率で対象の敵に攻撃が届く味方一人(複数いる場合はランダムで選ばれる)が追撃をかけてくれるようになった。連携攻撃発動時は反撃を受けない。 ''コネクト'' -正式に自軍に加入した全てのキャラクターが習得可能な新スキル(ゲストユニットは習得していない)。隣接するキャラクター1人を同時に移動させることができる。 --行動順が遅い味方も、行動順が速い味方に付いて行かせればより早く前線に辿り着くことができる。 ''戦闘のオートモード'' -戦闘中に味方キャラクターの行動をCPUに任せることができるようになった。任意で通常の操作に戻すことも可能。 -行動基準は全キャラクター共通で、「通常攻撃」「召喚攻撃」「回復召喚と通常攻撃」「憑依召喚と通常攻撃」の4パターンから選択できる。 -難易度の低いバトルで稼ぎをする時などは便利だが、問題点もある(後述)。 ''戦績評価'' -派遣クエストを含むバトル終了後、リザルト画面にS~Dの5段階でバトル内容が評価され、評価が高いと報酬が増える。 -敵からの被ダメージやアイテム使用回数、スキルの使用状況などが戦績に影響する。 ''派遣クエスト'' -3人のキャラクターを選択して派遣し、オートで戦闘が行われるクエスト。クリアすると通常のバトルほどではないが経験値や資金、アイテムなどを貰える。 -戦闘自体はオートで進むが、進行で溜まるBPを消費して、キャラクターに設定された特殊能力を任意のタイミングで使用することができる。 -連続で同じキャラクターを派遣させると調子が下がり敵に倒されやすくなってしまう。通常のバトルを挟むと調子が元に戻る。現在の調子はキャラクター一覧で確認可能。 ''様々なシチュエーションのBGMの変更機能'' -ギャラリーでタイトル画面やマップ、戦闘時などのBGMを登録済みのBGMから変更可能になった。 --魔王ハヤトなど一部名有りキャラとの戦闘時は変更できず固定となっている。 ''フィルージャ住人の固有スキル'' -ラージュ・アム・イストは敵を倒すことで溜まるポイントを消費して固有のスキルを使用できる。シナリオが進むにつれ更に効果が高いスキルが使用できるようになる他、固有スキルを一定数使うことで解放されるクラスが存在する。 --ラージュの固有スキル「シュペル・スレイグ」は、''一定回数連続行動ができ、その間は移動時の高低差制限が無くなる''という強力な性能。おまけに「体に負担がかかりしばらく動けなくなる」等の''デメリットは一切無い。''槍などで一方的に連続攻撃したり、コネクトで特定のキャラを一気に先に進めたりと汎用性が高いため、このスキルのおかげでラージュが本作最強キャラの一角となっている。 --アムの固有スキル「トラン・スレイグ」は他の味方の能力を一定期間アップさせるが、その間アム自身が行動不能になるため、他の二人とは違い使いどころを考える必要がある。 --イストの固有スキル「ヴァイア・スレイグ」は対象にダメージを与えつつ行動順を下げる。 --ラージュまたはアムのスキルが発動している間はBGMが専用のものに切り替わる。上記のBGM変更機能にも対応している。 ***過去作からの変更点 ''ブレイブクリア'' -本作のイベントバトルにおけるブレイブクリアの条件は2~3個と少なくなっており、ブレイブクリアの上限レベルや回復アイテムの使用回数などの制限が撤廃されている。 -一部バトル(主に新キャラ登場時)では条件が初期状態で「???」となっており、バトルの途中で初めて条件が開示される。 ''戦闘難易度の切り替え'' -PSP版『[[3>サモンナイト3]]』『4』『5』ではゲームを最初から始める時にのみ難易度を選択できたが、本作ではコンフィグから戦闘難易度をEASY・NORMAL・HARDのいずれかに自由に切り替えることができるようになった。 --戦闘に入るとその戦闘が終わるまで難易度の切り替えはできない。 ''バトル時の撤退'' -イベントバトルでも撤退ができるようになった。連戦の途中で撤退した場合、その連戦の最初からやり直す必要がある。 -『4』までと違い、撤退した場合は経験値の割り振り画面に移行しなくなり、撤退前に入手した経験値や資金、アイテムは入手できなくなった。 ''キャラクターのボーナスポイント'' -キャラクターをレベルアップさせると、能力値を強化するためのボーナスポイント(以下、BP)が数ポイント得られる。本作では加入直後のキャラクターの能力値には一切BPが割り振られていない代わりに、一度レベルアップするとそれまでのレベルで本来獲得している分を含めたBPを纏めて割り振ることができるようになった。 --これにより、加入直後にレベルドレインで一度レベルを下げてからBPを振り直すという手間が不要になった。ちなみに、本作のレベルドレインはお代となるアイテム無しで何度でも実行できる。 ''戦闘中のキャラクターの交代'' -戦闘中、出撃していない控えの味方キャラクターと無条件で交代できるようになった。 --『5』ではパーティ能力『交代』をセットしないと交代できなかった。 ''主人公・パートナーの選択'' -本作ではゲーム開始時ではなく、ラージュ ⇒ アム ⇒ イストと数話ずつ主人公を切り替えつつ、中盤で3パーティが合流した際にそれ以降の主人公をラージュかアムのどちらかから選択する。 --選ばなかった方も引き続き自軍に所属し、サブ主人公的立場でストーリーに関わっていく事になる。勿論、主人公同士で夜会話や個別のエンディングを迎える事も可能。 --イストは合流前の僅かな期間のみ主人公となる。また、その期間中は彼自身は戦闘に参加せず、合流後に仲間になる形で参戦する。極めて限定的だが、イスト視点での夜会話もある。 -パートナーはそれぞれパッチ・キルト・リンネというマスコットがあらかじめ存在しているので選択肢は存在しない。 ''好感度・仲間友好度'' -本作のキャラクター同士の関係は、主人公を主体とした他キャラクターへの好感度と、主人公以外のキャラクター同士の仲間友好度の2種類が存在する。 -本作では従来通り夜会話などによって上げられる他、一緒に出撃し、上記のコネクトやサモンアシストなどを使用したりすることでも上昇するようになった。 -好感度・仲間友好度が高いと、サモンバーストの条件と消費MP低下・サモンアシストの効果上昇・自由行動時の会話の増加などの恩恵がある。 ''夜会話'' -夜会話の直前にセーブが行えるようになった。 -一部夜会話には選択肢が現れるようになり、選択肢の内容によってはキャラの好感度が上がることがある。 -本作の夜会話はシナリオごとに固定の内容ではなく、同じキャラクターを選び続けることで内容が変わっていく。 -最後の夜会話に選べる(=エンディングを迎えられる)キャラクターはその周回で全ての夜会話を見たキャラクターのみ。上記の通り好感度を上げやすくなったためか、従来と違い好感度は一切影響しない。 ''ミニゲームの釣り'' -シリーズおなじみのミニゲーム。本作では魚がかかった時にタイミング良くボタンを押すとクリティカルとなり、ボタンを連打する必要なく釣れるようになった。 -「釣りオーダー」という一種のコンプリート要素が設定されており、条件を満たすと歴代キャラクターのサモナイトリーフやレシピ・釣りアイテムなどが入手できる。 ''鍛冶による武器・召喚獣の強化'' -『5』同様各キャラクターが装備する武器は固定となっており、素材と資金を消費して強化する仕様になっている。 -召喚獣も同様に資材と資金を消費し、召喚魔法を強化したり新しい召喚魔法を習得させることができるようになった。『5』では響友のみ対象で召喚盟友は強化できなかったが、本作は全ての召喚獣が強化可能になっている。 -どちらの場合もアクセサリーを一つ消費して特殊な能力を追加することができる。 -武器の全項目を最大まで鍛えると特別な魔法攻撃が追加されるようになった。 ''カルマ値の撤廃'' -主人公らしくない選択をしたり(『5』以外)、仲間が戦闘中に倒されると増加し、一定以上溜まるとバッドエンド(カルマエンド)になる「カルマ値」が廃止された。 --『3』では「碧の賢帝」で抜剣覚醒を行うことでもカルマ値が上昇するが、本作の抜剣覚醒はどの魔剣でもターン制限の追加・1戦闘につき1回しか使えない事以外にデメリットは存在しない。 -カルマエンド自体は存在するのだが、詳細は問題点の項を参照。 ''スキルポイントの取得制限の撤廃'' -PSP版『3』『4』と同様、キャラクターのスキルは敵を倒すなどして獲得したスキルポイントを消費して習得するが、味方キャラが一定以上レベルの低い敵を倒しても、敵を倒した時のスキルポイントを獲得できるように変更された。 ---- **評価点 ''歴代キャラクターのやり取り'' -本作では本来両立して存在し得ない主人公同士・パートナー同士が出会うなど、世界軸・時間軸が異なるキャラクターが交流を行う様子はシリーズファンなら楽しめるだろう。 --上記の通りキャラクターの好感度次第で自由行動時の会話が増えていくので、様々なキャラクターを使っていくと意外な組み合わせでの会話も見られる。 ''自由会話'' -本作の自由会話は一部を除きシナリオを進めても、未消化の場合蓄積される仕様となっている。 -キャラ加入のサブイベントも未消化ならば次シナリオ以降に持ち越される為、間違ってシナリオを進めてしまった場合でも後からイベントを発生させることが可能となり、前のシナリオからやり直す必要がなくなった。 -この仕様を利用し自由会話未消化のまま中盤と終盤セーブを作成すれば、未だギャラリー機能のない自由会話の簡易ギャラリーにすることも可能。 ''主人公の程良い存在感'' -男性主人公のラージュは陽気で無邪気な性格、女性主人公のアムは不愛想な態度を取りつつも困っている人は見捨てられない性格。歴代の個性的なキャラクター達とはまた違った個性を与えられており、彼らに埋もれない存在感を出している。 -当然この二人が主体のエピソードもあり物語の根幹に密接に関わっているが、歴代キャラを出し抜いて悪目立ちをするようなこともあまりない。 -主人公選択後も、選ばなかった方もストーリーに深く絡む為、実質はダブル主人公状態となる。 ''『1』のバノッサ・カノン、『5』のエルストが味方として使用可能'' -原作で救済措置が無かった敵キャラクターである彼らを味方ユニットとして使えるようになった。ただしエルストはシステムアップデートが必須となる。 --特にバノッサはユニットとして優秀で、若干打たれ弱いものの前衛としてはSPDがそこそこ高く、敵の物理ダメージ半減スキルを無効化するスキル「斬鉄の一撃」を習得可能。本作は物理ダメージ半減スキルを持つ蜘蛛型の敵と戦う機会が多いので非常に有用。初期だとランクは低いが回復重視の霊属性の召喚術も使用できる。更にクラスチェンジによって打たれ弱さという弱点も改善が望める。 ''BGM関連'' -本作のBGMはこれまでのシリーズと同様株式会社ピュアサウンドが担当。『1』~『5』までのBGMがあちこちで使用されており、一種のファンサービスと言える。勿論新規BGMも良質なものが多い。 ''引き継ぎ要素の増加'' -クリア時のレベルや武器の強化段階、ブレイブオーダーの達成状況などこれまで周回引継ぎ対象外だった要素が引き継げるようになった。 --本作で夜会話とエンディングのコンプリートを目指す場合、非常に多くの周回を行う必要があるため、レベルを含めたキャラクターの強化段階を引き継げるのはサクサク進めるために有難い。 ''戦闘時のボイスのバリエーションの増加'' -本作ではキャラクターの行動開始時・ダメージを受けた時・攻撃を回避した時・倒された時にもボイスが出るようになり、よりキャラクターの個性が映えるようになった。 -一方でライザーなどのユニット召喚獣はボイス無しになっている。 ''『4』の女性主人公フェアに初めてボイスが付いた'' -フェアはナンバリングシリーズの主人公の中で唯一これまでボイスが付く機会が無かったが、本作では東城日沙子氏がフェア役を担当している。 --勝ち気な性格のフェアを違和感なく演じており、ファンからは概ね好意的に受け入れられている。 ''『1』主人公ハヤトのボイスについて'' -DS版『1』の予約特典アニメで一度声優が変更されたハヤトは、担当が『2』番外編で担当した森川智之氏に戻った。『2』出演時は童顔気味の顔に合わない野太い声で否寄りの意見が多かったが、本作では少年らしい雰囲気の演技になっており、『2』の頃よりは違和感を覚えにくくなっている。 --本作のハヤトは『1』における魔王エンド後の存在であり、魔王に体を支配されているが、『1』と違い魔王側の声も森川氏が担当している((『1』ではどの主人公でも、魔王側の声は檜山修之氏が担当していた。))。こちらは顔の凄味に負けないドスの効いた声になっており、いい意味で通常時とのギャップが激しい。 ---- **賛否両論点 ''一部声優の変更や演技'' -本作の声優の配役は基本的に各原作と同じだが、上記の魔王ハヤトのほかに『1』のパートナーであるソル・カシス・キール・クラレットの担当声優が変更されている((一方本作の『1』主人公は、『2』番外編同様『1』における同性別同性格のパートナーの本来の声優が担当している。))。 --『1』のパートナー達の声に思い入れがある人からは不満の声が上がっているが、新声優の演技自体は問題ない。 -『5』の明るくはきはきした喋り方から一転して気の抜けた声になったルエリィ、頻繁に発言内に吐息が混ざるアム、媚びた感じの演技になっているアティやハサハなどについても、人によって好みが分かれやすい。 //明らかに賛寄りのフェアとハヤトを評価点に、否寄りのトリス・ライを問題点に移動 ''DLC・アップデート関連'' -4つあるDLCのサブシナリオ(ハサハ・バルレル・クノン・ソノラ)は、バンナムとしては珍しく無料となっている。それぞれサブシナリオをクリアすることでユニットとして出撃できるキャラクターが1人追加されるが、夜会話・エンディングは追加されない。 --サブシナリオは一貫して「対象のキャラクターが繭世界に召喚された際に失った力を取り戻した」という内容になっているが、クリアしてもメインシナリオの内容には一切反映されず、一部会話に矛盾が生じる。 -2016/4/7に行われたアップデートでは、メインシナリオで登場する4人のキャラクター(メルギトス・スカーレル・エニシア・エルスト)のユニット化((メルギトスのみ最終話で、他の3人は22話でイベントが解放される。))と夜会話・エンディングの追加、特定キャラのエンディングルートの追加が行われた。 -これらの要素はそのキャラクター達のファンにとっては嬉しい追加だが、全員が初期状態で本編中に登場しているキャラであり、わざわざ本編ソフトに内包せずに間を空けて配信するほどのものかと言われると微妙である。 --ただしアップデート後の追加エンディングに関しては、通常ルートよりも更に強いラスボスと戦えるというこれまでのシリーズにはなかった展開も存在している。 ''キャラクターの3Dモデルの出来'' -本作の会話パートでは戦闘パートと同様3Dモデルが使用されており、発言の度にキャラクターが大きく動作を取るようになった。キャラクター同士が抱き着くシーンなども存在しており、会話シーンが「紙芝居」と揶揄されることもあった過去作から改善されている。 -ただ3Dモデル自体の出来は(特に歴代キャラは飯塚氏のものでないイラストを元にしていることもあって)賛否が分かれるものがある。また剣戟のシーンでは片方が棒立ちになっていることが多く迫力が薄い。 --細かい所では、本来バノッサや抜剣覚醒時の抜剣者等に匹敵するほどの美白であるイオスの肌の色が原作と異なっている。 -初期はキャラクターが喋っているのに口パクをしなかったり、逆にテキストと合っていない口パクをするなど動作の調整が雑だったが、これについてはアップデートで改善されている。 ''ダメージ予測'' -PSP版『3』『4』『5』では表示されていた攻撃時のダメージ・回復量が数値で表示されなくなった。 --行動決定前にどの程度増減するかはゲージ反映されるが、「数字の方が分かりやすい」という声もある。 ''バランスブレイカー級のキャラクターの存在'' -主人公の1人であるラージュは、特徴項で述べた専用スキル「シュペル・スレイグ」がターン制の根幹を覆すような壊れ性能を誇っており、不在時を除けば戦闘メンバーから外す理由が無い。 -ラージュと同列に扱われるのが『4』のギアン。こちらも専用スキルでMPが行動開始前に大幅に回復するため、強力な召喚術を連発させやすい。 --PSP版『4』ではおまけとして使用できる存在だったためさほど問題にはならなかったが、本作では中盤で必ず仲間になる。 ''過去作との大幅な仕様変更'' -本作は新規獲得よりも従来のファンに向けた内容にもかかわらず、昔ながらの作りではなく大幅改変した作りのゲームとして売り出したのはファン内でも疑問の声が上がっている。 --従来のサモンナイトシリーズはゲーム開始前に主人公を選び、作中でパートナーを選ぶ方式が伝統だったが、本作ではどちらも撤廃されている。 ---これに関しては一方で一部のファンの「折角なら主人公は一度に全員登場させて欲しい」という、作品の仕様的に少々無理のある要望に応える形になっている。 --バトルシステムがこれまでのターン制からアクティブターン制になったことについても、「新鮮だ」「従来のシステムで歴代キャラを操作したかった」など賛否両論。 ''お祭りゲーム仕様'' -「サモンナイトのお祭りゲーム」というコンセプト自体は良いのだが、それを外伝扱いではなくナンバリングタイトルにしたことについてはファン内でも賛否が分かれてしまった。 --最新の技術で歴代キャラクター達や見覚えのあるMAPなどを見られる点は好評。 --「過去作に頼りすぎている」「人気でキャラクターを選別するのはよくない」「新キャラ少な過ぎ」などの批判もある。 ''恋愛描写'' -基本的には薄いのだが、歴代キャラクター同士でフラグらしきものがチラホラする事もあり((本作におけるマグナとアメルはサモナイトリーフ内ではっきり「恋仲」と書かれている。一応、『2』の後日談を描いたドラマCDではそういった描写がされている。))、それが好みのペアだった人は喜ぶだろうがそうでない人にとっては辛いものがある。 --サモンナイトシリーズはプレイヤーが主人公と好みの相手と会話させて個別エンディングを迎える事が出来る作品なので、ナンバリングタイトルでその組み合わせを限定するのはファンサービスとは言い難いものである((『2』のフォルテとケイナなど原作時点で既にそういう描写があるペアは別として。))。 -女性主人公・アムで歴代男性キャラクターの一部と夜会話を続けると恋愛が発生するものがある。各ナンバリングのマルチエンディングの一環として歴代女性主人公と恋愛ルートがある男性キャラクターもアムと恋愛になる為、物議を醸している。 #region(アムと恋愛ルートとなった歴代男性キャラクターの例。) -本作では兄妹弟子以上恋愛一歩前のように描かれているトリスとネスティだが、ネスティの方はアムとの夜会話でアムに恋心の様なものを感じた事を告白するという、作中でのトリスとのやり取りを薄っぺらにするキャラクターにされている。 -本作で「海賊は恋愛しない」と宣言しているカイルが、夜会話において『3』本編にもあるカイル一家の掟の話でアムに告白し、アムを海賊にして共に海を旅する約束をしている。 --アムに告白として告げた掟は「惚れた相手は守り抜け」なのだが、「海賊は恋愛しない」宣言との矛盾が生じてしまい、カイルのキャラクターがブレてしまっている。そもそも「海賊は恋愛しない」宣言自体原作には存在せず蛇足だったと言える。 ---ちなみにこの掟の話は『3』で主人公がアティの場合かつカイルの好感度が高かった場合の台詞で、レックスが主人公の場合だとこちらも好感度が高い時のみソノラからも聞ける台詞である。 -セイロンは『4』では己の使命の為に私情を捨てているキャラクターで、恋愛に関しても例外ではなかったが、本作では夜会話で「アムを嫁にしたい」と発言している。こちらもカイル同様キャラクターがブレる結果となった。 #endregion -一方で男性主人公であるラージュの方は、彼の無邪気な性格もあってか明確な恋愛描写はほとんど無い(せいぜい異性にドキッとする位のもの)。 ''BGM関連'' -何度も戦う名有りキャラの内、魔王ハヤトや冥土に浸食されたエルストは原作にあったテーマ曲をベースにした新曲が使用されているが、3人の伐剣者は『3』のラスボス戦の曲がそのまま使用されている。後者は良曲とはいえ「さすがに最終局面の曲を安売りしすぎている」という意見もある。 -サウンドモードでは従来と違い何故かフェードインしてから曲が始まるようになっている。 ---- **問題点 ***演出・設定面 ''シナリオの問題点'' -「リィンバウムからフィルージャに召喚された人達を助ける」というシナリオがメインになるため、「キャラクターを発見→敵に襲われているので助けるor謎の糸に操られているので元に戻すために戦う」といった同じことを繰り返す展開が多く、よくあるお祭りゲーム的なシナリオではあるもののストーリーの進みが非常に遅い。 --フィルージャという世界やそこで暮らしている主人公達の謎について突っ込んでいく話も勿論あるもののぶつ切り感が強く、印象に残りづらい。 -シリーズ初見者のためのフォローも無いわけではないが十分とは言い難く、事前にある程度歴代キャラクターの情報や関係性について知っておかないと置いてけぼりを喰らいやすい。 -ラージュを基本にテキストが作られているのか、アムが主人公の状態でもシナリオや夜会話においてラージュのような振る舞いになっている事も((『1』の主人公達も四者四様であるにもかかわらず原作でこういった問題はあった。『2』~『5』の主人公達の場合は、男女の差や微妙な個性の違いはあっても基本的な性格が同じなので、原作でテキストが似通っても然程大きな問題は無かった。))。ラージュとアムは評価点の通り明らかに性格差をつけているので、折角の違いが勿体無い。 -本シリーズはタイトル通り「召喚術」が戦闘システムやシナリオ上でも大きな役割を持っているのだが、本作では便利な魔法程度の扱いでしかなく、そこから生じる物語性が薄い。 --ネタバレになるので詳細は省くが、サモナイトリーフによる召喚術は召喚獣を召喚しているわけではなく、歴代キャラクターも当初は召喚されたと思われていたが物語後半で別の事実が判明するなど、召喚術の扱いが軽視されている。 #region(フィルージャに召喚された歴代キャラクターの一部が弱体化した理由に関する齟齬) -フィルージャにおいて歴代キャラクターの一部に戦闘力の差が生まれたのは、本作の黒幕に力を喰われた度合いの差が原因だと語られている。アヤの発言によると、黒幕に力を喰われていても戦闘能力を残しているキャラクターはより強い力を持ち合わせているらしい。 --しかし本作で戦えずにNPC扱いとなっているキャラクターの中には、シリーズでもトップクラスの力を持つ「至竜」である竜の子達や霊界のエルゴの代理を務める護界召喚師(『1』のパートナー)などがいるにも拘らず、まだまだ発展途上のリシェルやルエリィはNPCではなくユニットとして戦えているため、非常に胡散臭い設定となってしまっている。 #endregion ''会話の問題点'' -夜会話は回数制になった影響でシナリオの流れとズレた内容になるものもあり、章が進んでいるのに初対面の様な会話になる事もある。 -「魂に刻まれた想い」や「俺(私)達、友達(仲間)だよね」といった発言が多用されている。過去作ではここぞという時にしか使われていなかった台詞であるが、本作では少々安い言葉になってしまっている。 -自由会話について --意外なキャラクター達が会話するという面白みはあるものの、起承転結に欠けている内容が多い為にインパクトのある会話は然程多くはなく、良く言えば無難で、悪く言えば味気無いものが多い。 --女性陣がお互いにスタイルや服装を気にするセクハラ的な内容や、レシィを男の娘扱いする、アティが『3』本編でもそこまで言われない程容姿やスタイルを褒めちぎられるなど、人を選ぶ自由会話がいくつかある((PSP版『3』『4』のフリーバトル会話にも無かったわけではないが…。))。こうした内容から「公式アンソロジーや二次創作を見ているようだ」と評する人も。 --予め別の場所の自由会話を見たことが前提の自由会話が存在したり、他の自由会話や夜会話などと矛盾が発生している内容もある。 --メインシナリオが緊迫した流れになった時でも、自由会話では何も起きていないかのような平和な会話になる事もある。評価点にある自由会話蓄積がこの点では弊害にもなる。 ''エンディング関係'' -ネタバレになるため詳しくは述べないが、歴代キャラクターとのエンディングは多少の差異はあれど概ね同じ展開になる。ギャラリーをすべて埋めたい人にとってはかなりの根気が必要。 --極一部のキャラクターのエンディングで意外な結末になる点は一定の評価があるものの、その方向性を他の大多数のキャラにも取り入れてほしかったところ。 -エンディングの背景は、例えば対象が森にいたキャラならどこの森にいても全部同じグラフィックを使用…といった具合で使い回されている。 #region(その中でも特に酷い例。) -海辺のシーンだからといって港のグラフィックを使い回した結果、''『3』の忘れられた島に整備された港がある''という、原作無視も甚だしい事態が発生している。 -『1』の主人公達、バノッサとカノン、ギアンとエニシアなどの個別エンドで登場する部屋が''それぞれ別の場所と部屋なのに全員同じ部屋(忘れじの面影亭の個室)のグラフィックの使い回し。'' #endregion -本作はカルマ値が撤廃された代わりに、特定のキャラと最後まで夜会話を行う((アップデート後はさらに最後の夜会話中の選択肢で上のものを選ぶ。))とカルマエンドとなるが、完全に初見殺しである。 --詳細は伏せるが内容も唐突な展開である上に非常に後味が悪く、歴代キャラが多数集うお祭りゲーでやるようなものではない。 --ギャラリーには登録されないが、トロフィーをコンプリートするためには一度見る必要がある。 ''シナリオ会話・夜会話のパートボイス化'' -容量の都合か声優の作業量の問題かは不明だが、本作では一部シナリオ会話・夜会話と全ての自由行動時の会話でキャラクターのボイスが無い。~ サモンナイトのナンバリングシリーズはDS版の『[[1>サモンナイト]]』『[[2>サモンナイト2]]』を除きキャラクターがフルボイスで喋るのが特徴で、かつDS版の評価が低い要因だったのに、何故中途半端な仕様にしたのか…。 --例えば第1話ではイベント戦闘前まではフルボイスで会話していたのが、戦闘が終わった途端ボイス無しになっている。 ''アニメーションについて'' -本作のオープニングアニメは過去作と比べるとスライドや一枚絵が多用されており、一シーンに大勢のキャラがいるという場面もほとんど無いため、手抜き感が拭えない。 -本作ではアニメイラストを使った一枚絵やアニメーション等のイベントシーンがあるが、イベント終了と同時にBGMのフェードアウトなどもなく中途半端にぶつ切れになるなど、非常に雑な作り。 ''歴代キャラクターの扱い'' -さすがに全キャラクターを平等に扱うということは無理だとしても、一部キャラクターには露骨な扱いの差が存在している。 --仲間が増える後半に向かう程、影が薄くなるキャラクターも数多く存在する。 -各原作の設定から考えるとおかしな点も見られる。本作は平行世界の存在があるものの、その部分を活かしたフォローがされないことも多い。 --詳細は下記に記すが、一部キャラクターは得意な召喚属性が原作と異なっており、元の設定と矛盾しているキャラもいる。 --『メモリーズ』程のキャラ改悪はあまり無いものの、キャラ被りを防ぐためか元の個性を強調したり、独自のキャラ作りがなされている為、違和感が出ているキャラクターもいる。 --キャラクターの一人称((ルヴァイドの一人称が「俺」だったり「私」だったりと安定せず、相手によって使い分けている訳でもないのにバラバラになっている。本作の新キャラクターであるイストでさえ同じ場面で「僕」と「私」の両方を使うことも。))や敬称((アティがスカーレルを「スカーレルさん」と、イスラを「イスラ君」と呼ぶなど(前者は召喚された時期の時点で既に呼び捨てにしており、後者はそもそも呼び捨てか「さん」付けでしか呼んだ事がない)。また同じキャラ同士のやり取りでも、会話によっては敬称付きだったり呼び捨てだったりと安定していない場合もある。))の間違いも多数見られる。 --なかなか心を開かなかったり改心することのないようなキャラクター達が、出会って間もないラージュやアムとの夜会話で歴代主人公にも簡単には話さない悩みやコンプレックスをあっさり打ち明けて気持ちを新たにするなど、良い面ではあるものの歴代主人公達の立場を微妙にもしてしまっている。 -以下に各原作キャラの扱いについて列挙する。原作に関するネタバレも含まれるため注意。 #region(『サモンナイト』の扱い) -『1』主人公の中で唯一時間軸的に序盤~中盤程度の立ち位置におり、アムの親友的ポジションになるナツミは比較的早く仲間になるため、出番も多い。~ 一方ナツミ以外の3人は複雑な諸事情を抱えている為損な役回りになる事がある。スポット参戦はあるものの、本格的な合流が全25話中21~22話と非常に遅い。その割に他のキャラより突出して強いというわけでもないため、思い入れが無い限りは主戦力にしづらい。 --ナツミはナツミで、アム編の初登場時点で泣き虫キャラのようなキャラ付けがされている。原作では力不足に悔し涙を浮かべることはあれど(これは全主人公共通)、派手に泣きわめくような展開はなかった。 -『1』では自らの生い立ちからくるコンプレックスから主人公達と徹底抗戦を続けるバノッサが、本作では角の取れた性格になっており、喋り方が荒々しいのは変わらないが仲間へ激励や仲裁を行うキャラクターへの改変がなされている。またコンプレックスの原因である召喚術を得意とする面子に囲まれていても、ストーリー上では特に気にする素振りを見せない(一応夜会話で召喚師嫌いである事は聞ける)。状況が状況であるため周りとの壁を作るわけにはいかないとはいえ、流石に変わりすぎである。 #endregion #region(『サモンナイト2』の扱い) -『2』の護衛獣の内、ハサハとバルレルは『2』主人公やパートナーと一緒に召喚された設定。さらに下記のDLCシナリオでユニットとして使えるようになるなど優遇されている。~ しかしレオルドとレシィは一人ぼっちで召喚され、ユニット化の措置なども無い。確かに前者2人と後者2人で人気の差はあるものの、公式でここまで露骨に差別すべきではない。 -ネスティが素性の知れないフィルージャの住民であるアムを疑っているにもかかわらず彼女の拠点にちゃっかり居座ったり、操られているキャラクターに遭遇する度に助けることはあまり考えず「始末するしかない」と極端な行動に出ようとするなど、過剰なキャラ付けになっている。主人公がアムの場合における夜会話・エンディングも問題がある(後述)。 -アップデートによってユニット化できるメルギトスは霊属性と機属性の召喚術を扱えるが、その内最も得意とする属性が出身の霊属性ではなく機属性。機界出身のライル家の血識を吸収していることと原作終盤の展開を意識した設定なのかもしれないが、本作のメルギトスは『2』の設定と異なる時間軸の存在であるためやや違和感がある。合流時期(こちらは最終話)と強さが噛みあっていないのもナツミ以外の誓約者と同じ。 #endregion #region(『サモンナイト3』の扱い) -レックスは「果てしなき蒼」と、アティは「碧の賢帝」と時系列や魔剣のパワーアップの違いを付けている((追加クラスもレックスは「蒼き~」、アティは「碧き~」と異なっている(読みはどちらも「あおき」)。))が、その違いを生かす描写はなく魔剣は単なる変身アイテムのような扱い。 --『3』本編では早い段階で「碧の賢帝」の危険性を認識している((原作ではシナリオ・バトル共に『切り札』的存在として扱われているが、「碧の賢帝」で抜剣覚醒するとシナリオ上では徐々に精神を蝕まれるなどの問題が起き、バトルではカルマ値が上昇するというデメリットがある。「果てしなき蒼」ではこれらのデメリットが解消されている。))にもかかわらず、一部自由会話でアティが安易に抜剣覚醒するものがある。 ---これについてはアティが客演した『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』でもしょうもない理由で「碧の賢帝」で抜剣する会話が存在しており、問題視された。 --フィルージャでも「碧の賢帝」による抜剣は危険である事を示唆する会話はあるものの、シナリオ・システム共に実際に問題にされることはない。 -''「果てしなき蒼」を持った伐剣者レックス''が敵として登場するが、本来は魔剣が「果てしなき蒼」へと変貌してからは伐剣者にはなり得ない。単純にインパクト重視で「碧の賢帝」の伐剣者アティと対にしたかっただけなのだろう。 --『3』エンディング後の展開を描いた小説版では敵の策略により「果てしなき蒼」の特性を悪用されて暴走しているが、これは伐剣者になった状態とは異なる。 -レックスもアティも『3』本編のような争いを好まない性格は鳴りを潜めてしまっている((終盤に少しは話し合いの余地がありそうな場面で、レックスが問答無用で押し通るような発言をするなど。))。 -アティは『3』の中盤あたりから呼ばれていて、何でも自分で背負い込みがちになり始めている時期にもかかわらず、「元軍人のおっとり教師」という側面が強調されている。 --前述のセクハラ的な会話に加え、戦闘中にアティで最後の敵を倒した後のリザルト表示で何故かセクシーポーズをとるなど、本作のスタッフはアティをエロ担当としてしか見ていない節がある。 -自分のいた時代から300年後の人間であるフォルス達から「元いた世界では釣り仲間である」と聞かされても、アティは特に気にしていない。「300年後も自分が生きている」と聞かされれば、普通は疑問に思うなど何らかのリアクションは取ってもよさそうなものだが…。 -『3』本編でクノンを召喚した人物がアルディラという事になっている((実際は別のとある人物がリィンバウムの環境に適さないアルディラの体調管理の為にクノンを召喚している。))、『3』本編の時間軸から召喚されたカイルがまだ経験していないはずの出来事を回想する((『2』に登場した姪のモーリンと一緒にいた時の出来事で、『3』番外編ではモーリンがこの事を『2』主人公に話すイベントがあった。しかし『3』本編は『2』本編の20年ほど前であり、『2』本編時点でモーリンは19歳(攻略本情報)であるため、『3』本編の時点ではモーリンは生まれてすらいない。))、帝国軍と決着がついていない状況のアティ・カイル・ソノラがスカーレルの過去をすでに知っている((原作では12話で帝国軍と決着がつき、13話で無色の派閥と戦う直前にスカーレルの過去が判明する…という流れ。))など、原作設定との相違点が多い。 -本作のイスラの装備品の一つに剣があり、『3』での専用武器である「叫喚の剣」を装備しているのだが、戦闘中の剣のグラフィックは「紅の暴君」になっている。 -『5』のダイスは繭世界で最初に出会ったイスラを友達だと認識しており、イスラもダイスには気を許している雰囲気だったのだが、イスラが仲間になった後の自由会話でハサハと会話した際に彼女の事を「はじめての友達」と認識している。ずっとイスラの身を案じていたダイスがあまりにも不憫。 -本作のアズリアは、元いた世界で原作通りの展開を辿ったと考えると弟であるイスラと既に決別したに等しい状態となっているはずだが、あろうことかイスラに対して「口が悪くて手のかかる弟」くらいの扱いで、普通に接している。 #endregion #region(『サモンナイト4』の扱い) -『4』の女性主人公フェアは本来の設定上獣属性の召喚術が最も得意になるのだが、本作では''全く関係の無い機・霊属性の召喚術しか使えない''。本作における原作設定無視の最たる例。~ 同じ『4』男性主人公であるライは設定通り獣属性の召喚術が使える上に鬼属性の召喚術も使えるようになっているが、安直な対称化だけを目的として既存の設定を無視するのは本末転倒である。 -コーラルが自分を男であるかのような発言をしているが、元々コーラルは性別不明である。元の世界での親代わりだったライ(本作のライとは世界軸違いの別人)の受け売りなのかもしれないが…。 #endregion #region(『サモンナイト5』の扱い) -『5』の主人公であるフォルスとアルカは良くも悪くも「他者に頼り頼られる事を是とする」というキャラクターなのだが、本作ではそういった傾向が失われており、本来の大きな特徴を無くしてしまっている。 --一方で『5』原作で垣間見られた、だらしない・自分に甘い一面も見られなくなっており、多少性格は改善されている。 -『5』は『2』の護衛獣同様一人ぼっちで呼ばれた響友の内、スピネルの扱いがよろしくない。 --同じ境遇のダイスがシナリオ上でそこそこ良い出番を貰っている一方、スピネルは悪魔達との絡みにおけるコメディ要員のような扱いをされている。それもちょっかいを掛けられた末に気絶させられるような事態になるなど、人によっては不快に感じるだろう。 -ラディリアが驚いた時の「えひゃい!」というセリフは原作だと一度しか発していないが、本作では通常の会話や派遣クエストの説明文などで驚く度に一々使われているため、少々間抜けに見えてしまう。 -本作ではエルストを冥土化から救う事ができるのだが、エルストが元に戻っても彼と融合していたはずの響友ガウディがどうなったのかは触れられない。「ガウディは消滅してエルストだけが助かった」などの具体的な説明はなく、エルストにもガウディのことを気にする素振りは見られない。『5』における響友の設定は非常に重要なもので、エルストとガウディの絆を蔑ろにしたといえる。 -ガウディだけではなく、ルエリィの響友プリモとトルクの響友アンヴィルも本編中は全く登場しない((プリモはルエリィのエンディングの一枚絵にのみ登場。))。 -冥土の浄化にはフォルスやアルカの響友の力が必要なのだが、繭世界で力を失っているはずの響友達がなぜか冥土の浄化の場面だけは能力を発揮出来ている。『5』主人公の響友は特別な出自があるとはいえ、ここ一番で力を発揮できた理由は明確にされず、ご都合展開が過ぎる。 -カゲロウと響友のアルカが、初対面のダイスを浄化の光の使い手と見抜き、ペリエと響友のフォルスと共に浄化の光を使うように指示するシーンがある。しかし何故アルカ達が初対面のフォルス達に浄化の光を扱う能力があると見抜けたのかが明確にされない。 --またカゲロウと同じ立ち位置であるペリエにはその時点では能力を使えないと判断された理由も詳しく説明されない。 --なおペリエの代わりにダイスがフォルスと一緒に浄化を行うのだが、本作のフォルスとダイスは世界軸違いではあっても響友なので、浄化の光を使える事自体は問題ない。 -トルクは原作だと武器の修理を行った際に礼を言われても素っ気なく返答するなど自身の仕事に対してストイックだが、本作では「ルチルに煽てられて調子に乗りただ働きをさせられる」という、原作ではまずありえない会話が存在する。 #endregion ''不明瞭な歴代キャラ選別'' -オールスターと銘打っても歴代主人公以外は中途半端な参戦をしているケースもあり、原作での人物同士の関係性は若干重要視されていない。 --『3』以外のシリーズからは主人公のパートナーや護衛獣などが全員登場しているが、『3』だけはそれらに該当するはずの生徒が一人も登場していない。レックスやアティとの会話で触れられる程度である。ちなみに『3』は「先生と生徒の絆」がシナリオの主軸の一つでもある作品。 --生徒の代わりと言ってよいのかは不明だがカイル一家が登場するものの、ヤードだけ不参戦である。客人という立場ではあるが、作品内ではヤードもカイル一家の一員扱いである。ヤードについては別の観点でも疑問視されている。 #region(本作のシナリオの根幹に関わる理由付けと、それに関する問題。こちらも原作のネタバレ注意。) -「''リィンバウムの歴史に影響をもたらす人物''が繭世界に召喚される」という設定となっている。 --しかし、シリーズ跨ぎで暗躍するオルドレイク、『5』の警察騎士団の元となる自由騎士団の創設者となったシャムロック、後のセイヴァール響界学園となる青空学校の貢献者で抜剣者誕生の切っ掛けを生んだヤード、『5』主人公と深い因縁を持ち『5』の騒動の原因となったギフト、『クラフトソード』シリーズの主人公等、この設定に該当するにもかかわらず登場しないキャラが多い。 //「小説でも大活躍だったミニス、」→ミニスに関しては、少なくとも現時点では他の面々と違ってゲーム中のシナリオやリィンバウムの歴史に大きく影響を及ぼしたとは言えないので削除 #endregion ''バックログの未実装'' -発売当初の公式サイト上の説明書では会話中にバックログが閲覧できるように書かれていたが実際には実装されておらず、後に公式サイトで記述修正と謝罪が行われた。 --バックログはDS版『1』からずっと導入されてきたものだが、何故本作で削除されたのかは不明。 ''サモナイトリーフの記述ミス'' -『1』のパートナーが『[[クラフトソード物語>サモンナイト クラフトソード物語]]』にも出演したことになっている((『クラフトソード物語』本編に登場したのは『1』主人公のみで、パートナーは後日談の小説にしか出ていない。))、『2』のカラウスのサモナイトリーフでの名前が「カウラス」になっている((『2』のフリップのサモナイトリーフ内での説明では正しい表記になっている。))、『4』のポムニットの記述が本作での描写と矛盾している((本作のシナリオではエニシアを「姫様」と呼んでいるがこれは『4』本編で条件を満たさず離反した時のものであり、一方でサモナイトリーフでの記述は逆に離反しなかった時のものになっている。))、などのミスが存在する。 -サモナイトリーフを集める事によって開示される年代表では『[[クラフトソード物語2>サモンナイト クラフトソード物語2]]』に登場するリョウガを「リュウガ」と誤植している。 ''歴代キャラクターデザインの変更'' -ナンバリングタイトルでキャラクターデザインを担当する飯塚武史(黒星紅白)氏のイラストがサモンナイトシリーズの売りの一つでもある。しかし本作では新キャラクターのラージュ・アム・イストのデザイン・イラストのみの関わり。 -歴代キャラクターのデザインは森岡聖人氏が担当している。飯塚氏の画風に似せてはいるものの、一部のキャラクターは直近の飯塚氏担当のイラストに似ておらず別人のような出来になっている。 --『5』でもライジンなど一部キャラクターは飯塚氏以外のデザイナーが担当していたが、あくまでサブキャラクターのみの担当だった。 ''トリスとライの声優について'' -『2』の女性主人公トリスはドラマCD以来の木村郁絵氏が担当している。2007年公開のアニメ映画『キディ・グレイド 劇場版三部作』以来約9年ぶりの声優復帰だが、ブランクが長すぎたためか棒読みが多く、演技が全体的に稚拙。 --トリス役の担当声優は『クラフトソード物語2』とDS版『2』予約特典アニメで浅野真澄氏に変更されており、浅野氏はトリス担当以降も現役の声優として活動している。本作における再交代の理由は不明。 -『4』の男性主人公ライはドラマCDで担当した泰勇気氏が続投。トリスとは逆に演技に問題はないものの、声質が少年の外観に合っていない。精神的に老成している部分もあるとはいえ、声まで老け気味にする必要はないのだが…。 --この点はドラマCDの時点で指摘されており、評価点で挙げたハヤトと違って本作でも改善されていない点に不満が上がった。 ***戦闘面 ''戦闘マップの見づらさ・やりづらさ'' -本作の戦闘マップではキャラクター視点に近い奥行きのある視点(以下、奥行き視点)と従来通り上から見下ろした視点(以下、俯瞰視点)を切り替えることができるが、前者だと非常にやりづらい。戦闘開始時やロード後は奥行き視点で開始するため、一々切り替える必要がある。 --『5』のペリエ役で本作にも出演している声優の本多真梨子氏が[[公式動画>https://www.youtube.com/watch?v=_xy9ZL72svI&t=279s]]で本作をプレイした際も、「マスが分かりやすい方がいい」と即行で俯瞰視点に変更している。氏は本シリーズの大ファンとしても知られており、ある意味シリーズプレイヤー視点での意見といえるのだが、アップデートでの改善はされなかった。 -召喚術を使用した際の範囲表示の色と召喚術の射程表示の色が似ており若干分かりにくい。 -『3』以降戦闘マップが360度回転できるようになったが、本作では45度程度しか回転することができない。上記の召喚術の仕様も相まって、広範囲の召喚術に味方を巻き込んでいないかの確認もやりづらい。 ''移動周りの不便さ'' -戦闘時に味方のキャラクターを移動させる際、キャラクターはプレイヤーの操作に追従して移動するようになった。直感的にキャラクターを操作できるようになっているが、実際は従来通りマス目単位にしか移動できないためほとんど意味が無く、むしろマスの角などに引っかかって操作しづらくなるなどのデメリットが強い。 --「コネクト」との兼ね合いなのかもしれないが、カーソルをマス目単位で動かしてキャラクターをそれに追従させるなどもっとうまい方法は無かったのだろうか? -「コネクト」を使用しての移動も、よく使うスキルなのに一々スキルメニューから選ぶ必要があったり、キャラクターが2人とも止まらないと行動メニューを出せない点でテンポが悪い。 --そもそも「コネクト」は「一緒に移動してもらう」というだけの内容なので、わざわざスキルにする程のものではない。システムの一部としてワンボタンで使えるようにするなど他にやり方はあったはずである。 --またゲストキャラは「コネクト」を覚えていないため、意識しないと進行が他の自軍キャラよりやや遅れ気味になる。 -移動の際のボタン操作の割り振りも煩雑。慣れない内は必要ない時にステータス画面を開いてしまうなど誤操作を起こしやすい。 -一部マップには上に乗ると特殊な効果(大抵はプレイヤー側に不利なもの)が起こる特殊なフィールドが存在するが、流砂や糸の層など移動力が下がる上に広範囲に及ぶフィールドは敵味方共に進軍が遅くなりがちになり、プレイの快適さを損なわせている。 --PSP版の『3』~『5』では最終的に移動力が4以上になるキャラが多かったが、本作ではコネクト前提なのかほとんどのキャラの移動力が3、最大でも4止まりなのも、進行速度の遅さに輪をかけている。 --さらに本作の敵はザコ、ボス問わずこちらのユニットが一定の距離まで近付かなければ動かない仕様なので、戦闘の流れも悪い。敵の行動キャンセルを延々と見ながら遅い進軍を行うのは結構な苦痛である。 ''必殺技について'' -『2』以降一部キャラは専用の必殺技を習得するようになったが、本作の必殺技は武器の種類ごとに固有となり、キャラの個性が薄れてしまっている。アズリアの「秘剣・紫電絶華」などキャラの代名詞と言える技が使えないのはお祭りゲーとして問題がある。 -他に装備キャラがいない双剣(バノッサ)・鎖(アトシュ)・糸(イスト)は実質そのキャラ専用といえる。ただアトシュに関しても原作の必殺技とは異なっているのだが…。 ''サモンバーストの手抜き感'' -サモンバーストで現れる召喚獣は基本的に外観や色を一部変えただけのそっくりさんが多く、エフェクト自体は派手だがあまり変わり映えのしないものが大半。 -2人の協力によるものであるにもかかわらず、発動時のボイスは使用側が一方的に喋るだけで、非常に味気ない。サモンアシストのように簡単な相槌などを入れる余裕は無かったのだろうか。 -キャラクターによっては一言目の台詞が長すぎるため、早送りを一切しなくても二言目の台詞が再生されない事態も起こる。 ''戦闘時のキャラクターのモーション・台詞'' -召喚術を使う際キャラクターのアップから始まるモーションが挿入されるが、笑顔の状態で「はあっ!」「やあっ!」などと気合を入れたり、最初の台詞が回復魔法と攻撃魔法で共通なため回復魔法で攻撃的な台詞を吐いたりとミスマッチが起こるキャラが多い。 -過去作にあった攻撃回避時のモーションが撤廃され、通常時の状態で微動だにしないまま攻撃回避のエフェクトとボイスが出るようになってしまっている。どう見ても攻撃が体を貫通しているのに「当たらないよ!」などと言われても違和感しかない。 ''オートモードの頭の悪さ'' -「隣接した敵に攻撃できない弓を装備したユニットが、わざわざ敵に隣接して何もせず行動終了する」「複数の敵を攻撃する槍や召喚術で味方を巻き込むことがある」「高ランク(≒MP消費大)の召喚術を無駄に乱発する」などの問題行動をとることがある。 --本作では過去シリーズにあった「味方が味方に通常攻撃した時ダメージが1になる」という仕様が削除されているため、武器熟練度をマスターして範囲内全てのユニットを攻撃できるようになった槍使いをオートで戦わせる場合は注意したい。 --召喚術のフレンドリーファイアに関しては、使用者がスキルの「召喚災害保険」をマスターしている場合、味方へのダメージが無くなる(キャラクターによっては習得できないクラスもあるが)。 --高ランク召喚術の乱発は、『5』同様一度入手した召喚術は全キャラクターで共有し任意に使用可能・不可能を変更できない仕様なのでどうしようもない。 -特徴項の通りオートモード時の行動は全キャラクター共通で個別に設定できないので、召喚師キャラまで物理攻撃を行ってしまいかえって効率が悪くなることもある。もっとも、召喚師キャラでも物理攻撃一撃で倒せる程レベルを上げていれば問題はないが…。 ''戦績評価の不親切さ'' -評価に影響する要素は上述する通り様々だが、「どの要素がどれだけ評価に貢献しているか」といった詳細を確認することができない。 --「ノーダメージだったのに評価A」「ブレイブオーダーを全て無視しても評価S」といった事態が起こり得る。 --場合によっては「敵に一切行動をさせないで全滅させる」「回避行動すらマイナス評価」「スレイグ系の技を使わないとマイナス評価」など条件の提示がなければこなせないような内容や、戦略すら放棄した条件で戦闘評価を判定しているものもある。 --PS2版『4』のクリア時の評価のように、要素ごとの評価と総合評価を明確に分けて表示した方が分かりやすかっただろう。 ''周回で引き継がない要素'' -過去作と比べると引継ぎ要素は格段に増えているが、好感度は今作も引き継がない。 -今作では好感度を上げることで上位のサモンバーストを使用できる他、サモンアシストの効果も好感度に依存している等影響力が大きい為、これを引き継がないことを残念に思う声は多い。 ***その他 ''BGM関連'' -バノッサ戦・ルヴァイド戦・イオス戦・アトシュ戦において、一度(イオスのみ2回)しか戦う機会がないとはいえ原作で戦う時のBGMが使用されない。これらのBGMを本作で聴くにはPSV限定版付属の「サウンドエディションデータ」が必要で、''PSVの通常版・廉価版やPS4版では聴くことすらできない''。 --サウンドエディションデータ自体はPS4版にも対応しているが、現時点で別途配信などはされていないため、PS4版でサウンドエディションデータを使いたい場合はわざわざVita限定版も購入する必要があった。現在はサウンドエディションデータのプロダクトコードの使用期限が切れているためこの方法も使えない。 ''シリーズでおなじみだった要素の少なさ'' -『5』と同様、ミニゲームが釣りしか存在せず、特別なシナリオが遊べる番外編も撤廃されている。 ---- **総評 これまでのシリーズ作品とは異なり、本来共存する事がない歴代キャラ達が同時に登場し、舞台もリィンバウムではなくなった本作。 キャラクターデザインは秀逸なのでシリーズ未プレイの人でも過去作に興味を持つきっかけになれるが、本作自体のシナリオ・会話を理解する場合は優しくない内容。~ 一方でシリーズを経験してきたプレイヤーから見ると、キャラクターの待遇の差や特定のカップリングの扱いなどで賛否が分かれる。~ また会話パートのパートボイス化・シナリオや過去作設定の不備等、過去作からの劣化点も足を引っ張ってしまう。~ 大幅に手が加えられた戦闘システムも、過去作でできた事ができなくなっていたり、まともにテストプレイをしていれば気付くはずの不便な点が多い等、大小様々な粗が目立つ。 クソゲーと呼べる程酷くはないものの、上記の通りシリーズプレイ済み・初プレイどちらの視点でも見過ごせない問題点が多い。~ 「サモンナイトシリーズ15周年記念」という名目で発売された割にその意気込みが全く感じられない、残念な作品となってしまった。~ 雲行きが怪しい状況が続くシリーズに更なるダメージを与えてしまったことで、シリーズの未来やファンの期待まで失われたといっても過言ではないだろう。 ---- **余談 -初回特典として、『4』に登場するミントの護衛獣である「オヤカタ」のサモナイトリーフと、好感度が上がりやすくなるアクセサリー「ミント菜園の野菜」が付属していた。なおミント本人は本編には登場しない。 --オヤカタは獣属性だが、得意属性に関係なく全てのキャラクターが使用可能。序盤のお助け用なので性能はそれなり。 -『5』で開発担当だったフェリステラは、本作では制作協力という立場になっている。 -本作のシナリオは「株式会社エッジワークス」が担当している。 --『[[ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-]]』『[[Myself;Yourself]]』『[[ダン←ダム]]』など過去にシナリオを担当した多くのゲームで酷評されており、本作のシナリオ・会話の質の低さもむべなるかな。 -シリーズでシナリオ(『1』~『4』)や監修(『5』)を担当している都月景氏は、本作では世界観設定・シナリオ原案・監修を担当。 --ただその割には問題点で挙げた通り過去作設定との矛盾などが散見される。&s(){[[「有名人の監修」とは名ばかりで実際はその有名人が客寄せパンダ的扱いだったゲーム>ジーコ サッカー]]もあるわけだし、}監修といってもあまり深い部分には関わっていなかったのだろうか? --なお氏は本作発売後に刊行された『サモンナイトU:X』最終巻の後書きでシリーズから離脱することを明言している。「シリーズで伝えたかったことの多くを伝えきれたため」と述べているが、[[本作のプロデューサーを忌避していることが原因と取れる発言もしている。>https://twitter.com/z_miyako/status/1547959405387612160]] --なお[[本作の仕事の受注時には外伝として説明を受けていたが、ナンバリングに変更されてしまった>https://note.com/rezondeum0216/n/n67dd9bb794c4]]という経緯があったらしい。 -テーマ曲について --オープニングテーマの「TO BE ALIVE」はアム役の小倉唯氏がボーカルを担当している。シリーズの主題歌やBGMでおなじみの藤田千章氏は[[関わっていない>https://twitter.com/chiaki_slt/status/1302882969355386885]]。 --本作にはエンディングテーマが存在せず、エンドロールでは専用のBGMが流れる。これもナンバリングシリーズとしては異例。 --従来のナンバリングシリーズのオープニングテーマとエンディングテーマはカップリングされ本編のキャラクターがプリントされたCDが発売されていたが、本作のオープニングテーマは別のメイン曲のおまけといった扱いでCDに収録されている。 -体験版の配布・限定パックの販売はVita版のみ。 -15周年記念豪華パックは画集・サントラCD・サウンドエディションデータ・PSV用テーマ・前述のオヤカタのサモナイトリーフとアクセサリー「ミント菜園の野菜」のデータ・ラージュとアムのラバーストラップとその名の通り豪華な特典が付属している。 --サウンドエディションデータは『1』~『5』の一部BGM・『1』~『6』のオープニングテーマ(フルではなく1番の部分がループする仕様)がギャラリーに追加され、上記のBGM変更にも使用可能になる。PSP版で使用されなかった『1』『2』のBGMはPS版の流用ではなく本作用に新規に作成されている。 --サントラCDには本作の新規BGMの他、バノッサのテーマ「DESPERADO」がボーナストラックとして収録されている。 -本作における『1』の主人公とパートナーの組み合わせは『1』では実際に不可能なものになっている。発売前に悪い意味で反響が大きかったのか、[[都月氏が「度忘れではなく意図したものである」と言及している。>https://twitter.com/z_miyako/status/663034906205749248]] --2001年に発売された設定資料集『サモンナイトコレクション』((同名のソーシャルゲーム(2015年に終了済み)とは無関係。))では、『1』主人公とパートナーの不可能な組み合わせの件について「同じ性格・性別のキャラ同士を組ませた場合、思考や行動原理が似通っているためストーリーが上手く回らなくなる危険があったので、あえて組み合わせられないようにした」とのコメントが掲載されている。本作では主役ではないためようやく組ませてもらえた、ということか。 //--ただ、ナツミとカシスが友情を確かめ合うシーンや、ハヤトとソルの絆を描くシーンを入れられても、原作プレイヤーはあまりピンと来ないものだが。 //↑かといって原作の特定の組み合わせで固定しても必ず不満は出るものだし、仕方ないのでは? -本作の公式ホームページ内の記述に、スタッフが本シリーズを理解しているのか疑わしい記述が存在している。そのため警戒するファンもおり、実際予感が的中してしまった。 --『1』主人公の一人であるアヤは、キャラクター紹介で「ある意味で''腹黒''」と書かれ、物議を醸した。「おとなしいキャラが実は腹黒」という設定自体は一次創作・二次創作問わずよくあるものだが、『1』『2』や本作のアヤに腹黒呼ばわりされるような展開はほぼなく、ありもしないキャラ傾向を紹介文に入れられた形となった。 ---本作のアヤは「物語開始時点でほとんどの真実を把握しているが、敢えて口を噤んで独自に行動し続けている」という位置付けであり、仲間という名目で監視役を置いたりギリギリまで真実を伏せたりと言った点を指して「腹黒」と表現しているのかもしれない。 ---しかし位置付け云々はともかく、これらは全て世界を救う為と仲間達を思っての事で、本人もその重圧に苦しんでいたと作中で描かれている。立場上その役に就かざるを得なかったのであって個人の性格ではないし、何よりこういったキャラを腹黒とは普通は言わない。原作に反しているのも問題だが、本作そのものにも反しているのはどういう事だろうか。 --他にも基本用語の誤植(例:シャルトス ⇒ シャル''ド''ス、黒の旅団 ⇒ 黒''い''旅団)が存在した時期があった。アヤの記述と違いこちらは修正済み。 -上記のDLCの内、バルレルとクノンの配信開始日が入れ替わりになっている(バルレルが2016年3月24日 ⇒ 3月17日、クノンが2016年3月17日 ⇒ 3月24日)。シナリオではバルレルの方が主人公に合流するタイミングが早いため、本来の配信開始予定日が間違っていたのかもしれない。 -本作発売前に、『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』のプロデューサーである寺田貴信氏に[[本作を体験してもらう企画>https://www.youtube.com/watch?v=wTlOUg9skEo]]が行われた。 --動画内で寺田Pが言及している通り、サモンナイトシリーズとは「当時バンプレストで展開されていたSRPG」という共通点がある。 -[[女神転生シリーズ]]などで有名な株式会社アトラスが2017年2月3日~2月7日に実施した[[オンラインアンケート>http://p-ch.jp/enquete2017/]]の中に未発売ゲームに関する質問があったが、開催期間内で既に発売済みの本作も何故かその質問の選択肢中に含まれていた。アンケート後の2017年3月30日に発売されたWelcome Price!!版を勘違いしたのだろうか? -悪評が祟ったのか、通販サイトのAmazonなどでは通常版の価格が早期に値崩れし、1年経たずに後日発売のWelcome Price!!版の定価を下回った。 //「PSV版は発売後約3か月・PS4版は発売後約6か月で」→確認用のサイトが運用終了していて確認不可なので、消さずにコメントで残しておく -本作発売以降、シリーズの動きが一切無くなってしまい、''シリーズ生誕20周年を迎えた2020年1月6日にすら公式側の反応が殆ど無かった''という、ファンにとっては希望が失われたに等しい状況となってしまっている。 --強いて挙げるなら、都月氏が[[ファンの記念ツイートに反応し、小説『サモンナイトU:X』の最終巻をいまだ執筆中であることをほのめかすツイートを行った>https://twitter.com/z_miyako/status/1214369689205297158]]程度。なお最終巻は約1年後の2021年3月18日に発売された。 ---ちなみにこのツイートの「大きな案件」とは、氏がシナリオを担当した『[[MAGLAM LORD]]』のことだと思われる。こちらも『U:X』の最終巻と同じ日に発売された。 --また公式サイトの方も、時期は不明だが一部作品の紹介ページにアクセスできなくなり、2022年3月21日頃に公式サイト自体が消滅してしまった(バンナムの公式サイトにリダイレクトされる)。
*サモンナイト6 失われた境界たち 【さもんないとしっくす うしなわれたきょうかいたち】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&amazon(B019MKKES6)&amazon(B019MKKEZO)| |対応機種|プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~| |発売元|バンダイナムコエンターテインメント|~| |開発元|メディア・ビジョン|~| |発売日|2016年3月10日|~| |定価|【PS4】7,200円&br;【PSV】通常版:6,800円&br;サモンナイト15周年記念豪華パック:9,800円&br;(全て税別)|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |廉価版|Welcome Price!!:2017年3月30日&br;【PS4】3,800円&br;【PSV】2,800円(各税別)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~| |ポイント|ナンバリングされているがお祭りゲー&br;シリーズ未経験者お断りシナリオ&br;パートボイス仕様を初めとした手抜きの多さ&br;開発チームもシリーズ未経験?|~| |>|>|CENTER:''[[サモンナイトシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『サモンナイト』シリーズ15周年を記念して製作された、約3年振りの完全新作。ナンバリング作品としては初めて副題が付いている。~ 据置機での発売は外伝の『グランテーゼ』以来6年振り(ナンバリングに限るとPS2版『[[4>サモンナイト4]]』以来約10年振り)。~ PS4/PSVでは初のシリーズ作で、2種類の機種での同時発売も初めて。PS4⇔PSV間のクロスセーブに対応している。 「歴代キャラクターが多数共演」というシリーズファンにとっては夢のような内容((PSP版『3』『4』でも、傀儡かつフリーバトルの会話限定とはいえそういった要素はあった。))である一方、同じコンセプトだったソーシャルゲーム『サモンナイト メモリーズ』がキャラ改悪などで評価が散々だったこと((システム面の不便さや、運営による低評価レビューの削除など他の悪因も重なり、わずか9か月でサービス終了となってしまった。))もあり、期待と不安が入り混じる中での発売となった…。 本記事には''『1』~『5』(以下「原作」と表記する場合あり)のネタバレも含まれる''ので、各原作を未プレイの人は閲覧に注意。 ---- **特徴 -本作の舞台は、シリーズ御馴染みの異世界リィンバウムではなく、「繭世界フィルージャ」と呼ばれる新しい世界。 --世界観や登場人物などを変え過ぎて賛否両論となった『5』に反省してか、歴代ナンバリングタイトルの主役級キャラクター達が大挙して登場する。 --様々な世界軸・時間軸のリィンバウムからフィルージャに召喚され、フィルージャの住人である主人公らと共に元の世界に帰る方法を探していく。 ***新要素 ''アクティブターンバトル'' -バトルシステムが従来のターン制からアクティブターン制に変更。敵味方全てのユニットに行動順が設定され、手番が回ってきたキャラクターのみ操作可能になる。 -このシステム変更に伴い、ステータスのTEC(器用さ)がSPD(素早さ)に変更。SPDが高いほどより早く行動順が回ってくるようになる。 ''サモナイトリーフ'' -フィルージャでは『4』までの召喚術が使用できない設定で、その代替物がサモナイトリーフ。 -召喚獣のサモナイトリーフは、特定のキャラクターが仲間になると増える他、一部バトルの宝箱からも入手できる。『[[5>サモンナイト5]]』の召喚盟友同様、入手するだけで対象の属性に適応した全てのキャラクターが使用できるようになる。 --サモンマテリアルなどの無属性の召喚術は過去作同様、得意属性に関係なく誰でも使用可能だが、本作にはこれらにも使用可能ランクが設定されている。 -外伝を含むシリーズキャラクターのサモナイトリーフは、一部バトルの宝箱・ミニゲームの釣り・派遣クエスト(後述)などで入手できる。そのキャラクターの概要がギャラリーで確認できるようになるほか、パーティスキル(パーティ能力)の獲得条件にもなっている。 --本作に登場するキャラの概要は本作で登場する際の設定に沿ったものとなっている。 ''サモンバースト'' -シナリオを進めると使えるようになる新たな召喚術。一定範囲内の2人のキャラクターが協力することで強力な召喚獣を呼び出すことができる。 --2人のMPが75%以上残っていることが条件でその分MPを消費するが、広範囲・高威力・敵の能力ダウンか状態異常付与または使用者2人の能力アップと高性能。 ''連携攻撃'' -通常攻撃を行った後、一定確率で対象の敵に攻撃が届く味方一人(複数いる場合はランダムで選ばれる)が追撃をかけてくれるようになった。連携攻撃発動時は反撃を受けない。 ''コネクト'' -正式に自軍に加入した全てのキャラクターが習得可能な新スキル(ゲストユニットは習得していない)。隣接するキャラクター1人を同時に移動させることができる。 --行動順が遅い味方も、行動順が速い味方に付いて行かせればより早く前線に辿り着くことができる。 ''戦闘のオートモード'' -戦闘中に味方キャラクターの行動をCPUに任せることができるようになった。任意で通常の操作に戻すことも可能。 -行動基準は全キャラクター共通で、「通常攻撃」「召喚攻撃」「回復召喚と通常攻撃」「憑依召喚と通常攻撃」の4パターンから選択できる。 -難易度の低いバトルで稼ぎをする時などは便利だが、問題点もある(後述)。 ''戦績評価'' -派遣クエストを含むバトル終了後、リザルト画面にS~Dの5段階でバトル内容が評価され、評価が高いと報酬が増える。 -敵からの被ダメージやアイテム使用回数、スキルの使用状況などが戦績に影響する。 ''派遣クエスト'' -3人のキャラクターを選択して派遣し、オートで戦闘が行われるクエスト。クリアすると通常のバトルほどではないが経験値や資金、アイテムなどを貰える。 -戦闘自体はオートで進むが、進行で溜まるBPを消費して、キャラクターに設定された特殊能力を任意のタイミングで使用することができる。 -連続で同じキャラクターを派遣させると調子が下がり敵に倒されやすくなってしまう。通常のバトルを挟むと調子が元に戻る。現在の調子はキャラクター一覧で確認可能。 ''様々なシチュエーションのBGMの変更機能'' -ギャラリーでタイトル画面やマップ、戦闘時などのBGMを登録済みのBGMから変更可能になった。 --魔王ハヤトなど一部名有りキャラとの戦闘時は変更できず固定となっている。 ''フィルージャ住人の固有スキル'' -ラージュ・アム・イストは敵を倒すことで溜まるポイントを消費して固有のスキルを使用できる。シナリオが進むにつれ更に効果が高いスキルが使用できるようになる他、固有スキルを一定数使うことで解放されるクラスが存在する。 --ラージュの固有スキル「シュペル・スレイグ」は、''一定回数連続行動ができ、その間は移動時の高低差制限が無くなる''という強力な性能。おまけに「体に負担がかかりしばらく動けなくなる」等の''デメリットは一切無い。''槍などで一方的に連続攻撃したり、コネクトで特定のキャラを一気に先に進めたりと汎用性が高いため、このスキルのおかげでラージュが本作最強キャラの一角となっている。 --アムの固有スキル「トラン・スレイグ」は他の味方の能力を一定期間アップさせるが、その間アム自身が行動不能になるため、他の二人とは違い使いどころを考える必要がある。 --イストの固有スキル「ヴァイア・スレイグ」は対象にダメージを与えつつ行動順を下げる。 --ラージュまたはアムのスキルが発動している間はBGMが専用のものに切り替わる。上記のBGM変更機能にも対応している。 ***過去作からの変更点 ''ブレイブクリア'' -本作のイベントバトルにおけるブレイブクリアの条件は2~3個と少なくなっており、ブレイブクリアの上限レベルや回復アイテムの使用回数などの制限が撤廃されている。 -一部バトル(主に新キャラ登場時)では条件が初期状態で「???」となっており、バトルの途中で初めて条件が開示される。 ''戦闘難易度の切り替え'' -PSP版『[[3>サモンナイト3]]』『4』『5』ではゲームを最初から始める時にのみ難易度を選択できたが、本作ではコンフィグから戦闘難易度をEASY・NORMAL・HARDのいずれかに自由に切り替えることができるようになった。 --戦闘に入るとその戦闘が終わるまで難易度の切り替えはできない。 ''バトル時の撤退'' -イベントバトルでも撤退ができるようになった。連戦の途中で撤退した場合、その連戦の最初からやり直す必要がある。 -『4』までと違い、撤退した場合は経験値の割り振り画面に移行しなくなり、撤退前に入手した経験値や資金、アイテムは入手できなくなった。 ''キャラクターのボーナスポイント'' -キャラクターをレベルアップさせると、能力値を強化するためのボーナスポイント(以下、BP)が数ポイント得られる。本作では加入直後のキャラクターの能力値には一切BPが割り振られていない代わりに、一度レベルアップするとそれまでのレベルで本来獲得している分を含めたBPを纏めて割り振ることができるようになった。 --これにより、加入直後にレベルドレインで一度レベルを下げてからBPを振り直すという手間が不要になった。ちなみに、本作のレベルドレインはお代となるアイテム無しで何度でも実行できる。 ''戦闘中のキャラクターの交代'' -戦闘中、出撃していない控えの味方キャラクターと無条件で交代できるようになった。 --『5』ではパーティ能力『交代』をセットしないと交代できなかった。 ''主人公・パートナーの選択'' -本作ではゲーム開始時ではなく、ラージュ ⇒ アム ⇒ イストと数話ずつ主人公を切り替えつつ、中盤で3パーティが合流した際にそれ以降の主人公をラージュかアムのどちらかから選択する。 --選ばなかった方も引き続き自軍に所属し、サブ主人公的立場でストーリーに関わっていく事になる。勿論、主人公同士で夜会話や個別のエンディングを迎える事も可能。 --イストは合流前の僅かな期間のみ主人公となる。また、その期間中は彼自身は戦闘に参加せず、合流後に仲間になる形で参戦する。極めて限定的だが、イスト視点での夜会話もある。 -パートナーはそれぞれパッチ・キルト・リンネというマスコットがあらかじめ存在しているので選択肢は存在しない。 ''好感度・仲間友好度'' -本作のキャラクター同士の関係は、主人公を主体とした他キャラクターへの好感度と、主人公以外のキャラクター同士の仲間友好度の2種類が存在する。 -本作では従来通り夜会話などによって上げられる他、一緒に出撃し、上記のコネクトやサモンアシストなどを使用したりすることでも上昇するようになった。 -好感度・仲間友好度が高いと、サモンバーストの条件と消費MP低下・サモンアシストの効果上昇・自由行動時の会話の増加などの恩恵がある。 ''夜会話'' -夜会話の直前にセーブが行えるようになった。 -一部夜会話には選択肢が現れるようになり、選択肢の内容によってはキャラの好感度が上がることがある。 -本作の夜会話はシナリオごとに固定の内容ではなく、同じキャラクターを選び続けることで内容が変わっていく。 -最後の夜会話に選べる(=エンディングを迎えられる)キャラクターはその周回で全ての夜会話を見たキャラクターのみ。上記の通り好感度を上げやすくなったためか、従来と違い好感度は一切影響しない。 ''ミニゲームの釣り'' -シリーズおなじみのミニゲーム。本作では魚がかかった時にタイミング良くボタンを押すとクリティカルとなり、ボタンを連打する必要なく釣れるようになった。 -「釣りオーダー」という一種のコンプリート要素が設定されており、条件を満たすと歴代キャラクターのサモナイトリーフやレシピ・釣りアイテムなどが入手できる。 ''鍛冶による武器・召喚獣の強化'' -『5』同様各キャラクターが装備する武器は固定となっており、素材と資金を消費して強化する仕様になっている。 -召喚獣も同様に資材と資金を消費し、召喚魔法を強化したり新しい召喚魔法を習得させることができるようになった。『5』では響友のみ対象で召喚盟友は強化できなかったが、本作は全ての召喚獣が強化可能になっている。 -どちらの場合もアクセサリーを一つ消費して特殊な能力を追加することができる。 -武器の全項目を最大まで鍛えると特別な魔法攻撃が追加されるようになった。 ''カルマ値の撤廃'' -主人公らしくない選択をしたり(『5』以外)、仲間が戦闘中に倒されると増加し、一定以上溜まるとバッドエンド(カルマエンド)になる「カルマ値」が廃止された。 --『3』では「碧の賢帝」で抜剣覚醒を行うことでもカルマ値が上昇するが、本作の抜剣覚醒はどの魔剣でもターン制限の追加・1戦闘につき1回しか使えない事以外にデメリットは存在しない。 -カルマエンド自体は存在するのだが、詳細は問題点の項を参照。 ''スキルポイントの取得制限の撤廃'' -PSP版『3』『4』と同様、キャラクターのスキルは敵を倒すなどして獲得したスキルポイントを消費して習得するが、味方キャラが一定以上レベルの低い敵を倒しても、敵を倒した時のスキルポイントを獲得できるように変更された。 ---- **評価点 ''歴代キャラクターのやり取り'' -本作では本来両立して存在し得ない主人公同士・パートナー同士が出会うなど、世界軸・時間軸が異なるキャラクターが交流を行う様子はシリーズファンなら楽しめるだろう。 --上記の通りキャラクターの好感度次第で自由行動時の会話が増えていくので、様々なキャラクターを使っていくと意外な組み合わせでの会話も見られる。 ''自由会話'' -本作の自由会話は一部を除きシナリオを進めても、未消化の場合蓄積される仕様となっている。 -キャラ加入のサブイベントも未消化ならば次シナリオ以降に持ち越される為、間違ってシナリオを進めてしまった場合でも後からイベントを発生させることが可能となり、前のシナリオからやり直す必要がなくなった。 -この仕様を利用し自由会話未消化のまま中盤と終盤セーブを作成すれば、未だギャラリー機能のない自由会話の簡易ギャラリーにすることも可能。 ''主人公の程良い存在感'' -男性主人公のラージュは陽気で無邪気な性格、女性主人公のアムは不愛想な態度を取りつつも困っている人は見捨てられない性格。歴代の個性的なキャラクター達とはまた違った個性を与えられており、彼らに埋もれない存在感を出している。 -当然この二人が主体のエピソードもあり物語の根幹に密接に関わっているが、歴代キャラを出し抜いて悪目立ちをするようなこともあまりない。 -主人公選択後も、選ばなかった方もストーリーに深く絡む為、実質はダブル主人公状態となる。 ''『1』のバノッサ・カノン、『5』のエルストが味方として使用可能'' -原作で救済措置が無かった敵キャラクターである彼らを味方ユニットとして使えるようになった。ただしエルストはシステムアップデートが必須となる。 --特にバノッサはユニットとして優秀で、若干打たれ弱いものの前衛としてはSPDがそこそこ高く、敵の物理ダメージ半減スキルを無効化するスキル「斬鉄の一撃」を習得可能。本作は物理ダメージ半減スキルを持つ蜘蛛型の敵と戦う機会が多いので非常に有用。初期だとランクは低いが回復重視の霊属性の召喚術も使用できる。更にクラスチェンジによって打たれ弱さという弱点も改善が望める。 ''BGM関連'' -本作のBGMはこれまでのシリーズと同様株式会社ピュアサウンドが担当。『1』~『5』までのBGMがあちこちで使用されており、一種のファンサービスと言える。勿論新規BGMも良質なものが多い。 ''引き継ぎ要素の増加'' -クリア時のレベルや武器の強化段階、ブレイブオーダーの達成状況などこれまで周回引継ぎ対象外だった要素が引き継げるようになった。 --本作で夜会話とエンディングのコンプリートを目指す場合、非常に多くの周回を行う必要があるため、レベルを含めたキャラクターの強化段階を引き継げるのはサクサク進めるために有難い。 ''戦闘時のボイスのバリエーションの増加'' -本作ではキャラクターの行動開始時・ダメージを受けた時・攻撃を回避した時・倒された時にもボイスが出るようになり、よりキャラクターの個性が映えるようになった。 -一方でライザーなどのユニット召喚獣はボイス無しになっている。 ''『4』の女性主人公フェアに初めてボイスが付いた'' -フェアはナンバリングシリーズの主人公の中で唯一これまでボイスが付く機会が無かったが、本作では東城日沙子氏がフェア役を担当している。 --勝ち気な性格のフェアを違和感なく演じており、ファンからは概ね好意的に受け入れられている。 ''『1』主人公ハヤトのボイスについて'' -DS版『1』の予約特典アニメで一度声優が変更されたハヤトは、担当が『2』番外編で担当した森川智之氏に戻った。『2』出演時は童顔気味の顔に合わない野太い声で否寄りの意見が多かったが、本作では少年らしい雰囲気の演技になっており、『2』の頃よりは違和感を覚えにくくなっている。 --本作のハヤトは『1』における魔王エンド後の存在であり、魔王に体を支配されているが、『1』と違い魔王側の声も森川氏が担当している((『1』ではどの主人公でも、魔王側の声は檜山修之氏が担当していた。))。こちらは顔の凄味に負けないドスの効いた声になっており、いい意味で通常時とのギャップが激しい。 ---- **賛否両論点 ''一部声優の変更や演技'' -本作の声優の配役は基本的に各原作と同じだが、上記の魔王ハヤトのほかに『1』のパートナーであるソル・カシス・キール・クラレットの担当声優が変更されている((一方本作の『1』主人公は、『2』番外編同様『1』における同性別同性格のパートナーの本来の声優が担当している。))。 --『1』のパートナー達の声に思い入れがある人からは不満の声が上がっているが、新声優の演技自体は問題ない。 -『5』の明るくはきはきした喋り方から一転して気の抜けた声になったルエリィ、頻繁に発言内に吐息が混ざるアム、媚びた感じの演技になっているアティやハサハなどについても、人によって好みが分かれやすい。 //明らかに賛寄りのフェアとハヤトを評価点に、否寄りのトリス・ライを問題点に移動 ''DLC・アップデート関連'' -4つあるDLCのサブシナリオ(ハサハ・バルレル・クノン・ソノラ)は、バンナムとしては珍しく無料となっている。それぞれサブシナリオをクリアすることでユニットとして出撃できるキャラクターが1人追加されるが、夜会話・エンディングは追加されない。 --サブシナリオは一貫して「対象のキャラクターが繭世界に召喚された際に失った力を取り戻した」という内容になっているが、クリアしてもメインシナリオの内容には一切反映されず、一部会話に矛盾が生じる。 -2016/4/7に行われたアップデートでは、メインシナリオで登場する4人のキャラクター(メルギトス・スカーレル・エニシア・エルスト)のユニット化((メルギトスのみ最終話で、他の3人は22話でイベントが解放される。))と夜会話・エンディングの追加、特定キャラのエンディングルートの追加が行われた。 -これらの要素はそのキャラクター達のファンにとっては嬉しい追加だが、全員が初期状態で本編中に登場しているキャラであり、わざわざ本編ソフトに内包せずに間を空けて配信するほどのものかと言われると微妙である。 --ただしアップデート後の追加エンディングに関しては、通常ルートよりも更に強いラスボスと戦えるというこれまでのシリーズにはなかった展開も存在している。 ''キャラクターの3Dモデルの出来'' -本作の会話パートでは戦闘パートと同様3Dモデルが使用されており、発言の度にキャラクターが大きく動作を取るようになった。キャラクター同士が抱き着くシーンなども存在しており、会話シーンが「紙芝居」と揶揄されることもあった過去作から改善されている。 -ただ3Dモデル自体の出来は(特に歴代キャラは飯塚氏のものでないイラストを元にしていることもあって)賛否が分かれるものがある。また剣戟のシーンでは片方が棒立ちになっていることが多く迫力が薄い。 --細かい所では、本来バノッサや抜剣覚醒時の抜剣者等に匹敵するほどの美白であるイオスの肌の色が原作と異なっている。 -初期はキャラクターが喋っているのに口パクをしなかったり、逆にテキストと合っていない口パクをするなど動作の調整が雑だったが、これについてはアップデートで改善されている。 ''ダメージ予測'' -PSP版『3』『4』『5』では表示されていた攻撃時のダメージ・回復量が数値で表示されなくなった。 --行動決定前にどの程度増減するかはゲージ反映されるが、「数字の方が分かりやすい」という声もある。 ''バランスブレイカー級のキャラクターの存在'' -主人公の1人であるラージュは、特徴項で述べた専用スキル「シュペル・スレイグ」がターン制の根幹を覆すような壊れ性能を誇っており、不在時を除けば戦闘メンバーから外す理由が無い。 -ラージュと同列に扱われるのが『4』のギアン。こちらも専用スキルでMPが行動開始前に大幅に回復するため、強力な召喚術を連発させやすい。 --PSP版『4』ではおまけとして使用できる存在だったためさほど問題にはならなかったが、本作では中盤で必ず仲間になる。 ''過去作との大幅な仕様変更'' -本作は新規獲得よりも従来のファンに向けた内容にもかかわらず、昔ながらの作りではなく大幅改変した作りのゲームとして売り出したのはファン内でも疑問の声が上がっている。 --従来のサモンナイトシリーズはゲーム開始前に主人公を選び、作中でパートナーを選ぶ方式が伝統だったが、本作ではどちらも撤廃されている。 ---これに関しては一方で一部のファンの「折角なら主人公は一度に全員登場させて欲しい」という、作品の仕様的に少々無理のある要望に応える形になっている。 --バトルシステムがこれまでのターン制からアクティブターン制になったことについても、「新鮮だ」「従来のシステムで歴代キャラを操作したかった」など賛否両論。 ''お祭りゲーム仕様'' -「サモンナイトのお祭りゲーム」というコンセプト自体は良いのだが、それを外伝扱いではなくナンバリングタイトルにしたことについてはファン内でも賛否が分かれてしまった。 --最新の技術で歴代キャラクター達や見覚えのあるMAPなどを見られる点は好評。 --「過去作に頼りすぎている」「人気でキャラクターを選別するのはよくない」「新キャラ少な過ぎ」などの批判もある。 ''恋愛描写'' -基本的には薄いのだが、歴代キャラクター同士でフラグらしきものがチラホラする事もあり((本作におけるマグナとアメルはサモナイトリーフ内ではっきり「恋仲」と書かれている。一応、『2』の後日談を描いたドラマCDではそういった描写がされている。))、それが好みのペアだった人は喜ぶだろうがそうでない人にとっては辛いものがある。 --サモンナイトシリーズはプレイヤーが主人公と好みの相手と会話させて個別エンディングを迎える事が出来る作品なので、ナンバリングタイトルでその組み合わせを限定するのはファンサービスとは言い難いものである((『2』のフォルテとケイナなど原作時点で既にそういう描写があるペアは別として。))。 -女性主人公・アムで歴代男性キャラクターの一部と夜会話を続けると恋愛が発生するものがある。各ナンバリングのマルチエンディングの一環として歴代女性主人公と恋愛ルートがある男性キャラクターもアムと恋愛になる為、物議を醸している。 #region(アムと恋愛ルートとなった歴代男性キャラクターの例。) -本作では兄妹弟子以上恋愛一歩前のように描かれているトリスとネスティだが、ネスティの方はアムとの夜会話でアムに恋心の様なものを感じた事を告白するという、作中でのトリスとのやり取りを薄っぺらにするキャラクターにされている。 -本作で「海賊は恋愛しない」と宣言しているカイルが、夜会話において『3』本編にもあるカイル一家の掟の話でアムに告白し、アムを海賊にして共に海を旅する約束をしている。 --アムに告白として告げた掟は「惚れた相手は守り抜け」なのだが、「海賊は恋愛しない」宣言との矛盾が生じてしまい、カイルのキャラクターがブレてしまっている。そもそも「海賊は恋愛しない」宣言自体原作には存在せず蛇足だったと言える。 ---ちなみにこの掟の話は『3』で主人公がアティの場合かつカイルの好感度が高かった場合の台詞で、レックスが主人公の場合だとこちらも好感度が高い時のみソノラからも聞ける台詞である。 -セイロンは『4』では己の使命の為に私情を捨てているキャラクターで、恋愛に関しても例外ではなかったが、本作では夜会話で「アムを嫁にしたい」と発言している。こちらもカイル同様キャラクターがブレる結果となった。 #endregion -一方で男性主人公であるラージュの方は、彼の無邪気な性格もあってか明確な恋愛描写はほとんど無い(せいぜい異性にドキッとする位のもの)。 ''BGM関連'' -何度も戦う名有りキャラの内、魔王ハヤトや冥土に浸食されたエルストは原作にあったテーマ曲をベースにした新曲が使用されているが、3人の伐剣者は『3』のラスボス戦の曲がそのまま使用されている。後者は良曲とはいえ「さすがに最終局面の曲を安売りしすぎている」という意見もある。 -サウンドモードでは従来と違い何故かフェードインしてから曲が始まるようになっている。 ---- **問題点 ***演出・設定面 ''シナリオの問題点'' -「リィンバウムからフィルージャに召喚された人達を助ける」というシナリオがメインになるため、「キャラクターを発見→敵に襲われているので助けるor謎の糸に操られているので元に戻すために戦う」といった同じことを繰り返す展開が多く、よくあるお祭りゲーム的なシナリオではあるもののストーリーの進みが非常に遅い。 --フィルージャという世界やそこで暮らしている主人公達の謎について突っ込んでいく話も勿論あるもののぶつ切り感が強く、印象に残りづらい。 -シリーズ初見者のためのフォローも無いわけではないが十分とは言い難く、事前にある程度歴代キャラクターの情報や関係性について知っておかないと置いてけぼりを喰らいやすい。 -ラージュを基本にテキストが作られているのか、アムが主人公の状態でもシナリオや夜会話においてラージュのような振る舞いになっている事も((『1』の主人公達も四者四様であるにもかかわらず原作でこういった問題はあった。『2』~『5』の主人公達の場合は、男女の差や微妙な個性の違いはあっても基本的な性格が同じなので、原作でテキストが似通っても然程大きな問題は無かった。))。ラージュとアムは評価点の通り明らかに性格差をつけているので、折角の違いが勿体無い。 -本シリーズはタイトル通り「召喚術」が戦闘システムやシナリオ上でも大きな役割を持っているのだが、本作では便利な魔法程度の扱いでしかなく、そこから生じる物語性が薄い。 --ネタバレになるので詳細は省くが、サモナイトリーフによる召喚術は召喚獣を召喚しているわけではなく、歴代キャラクターも当初は召喚されたと思われていたが物語後半で別の事実が判明するなど、召喚術の扱いが軽視されている。 #region(フィルージャに召喚された歴代キャラクターの一部が弱体化した理由に関する齟齬) -フィルージャにおいて歴代キャラクターの一部に戦闘力の差が生まれたのは、本作の黒幕に力を喰われた度合いの差が原因だと語られている。アヤの発言によると、黒幕に力を喰われていても戦闘能力を残しているキャラクターはより強い力を持ち合わせているらしい。 --しかし本作で戦えずにNPC扱いとなっているキャラクターの中には、シリーズでもトップクラスの力を持つ「至竜」である竜の子達や霊界のエルゴの代理を務める護界召喚師(『1』のパートナー)などがいるにも拘らず、まだまだ発展途上のリシェルやルエリィはNPCではなくユニットとして戦えているため、非常に胡散臭い設定となってしまっている。 #endregion ''会話の問題点'' -夜会話は回数制になった影響でシナリオの流れとズレた内容になるものもあり、章が進んでいるのに初対面の様な会話になる事もある。 -「魂に刻まれた想い」や「俺(私)達、友達(仲間)だよね」といった発言が多用されている。過去作ではここぞという時にしか使われていなかった台詞であるが、本作では少々安い言葉になってしまっている。 -自由会話について --意外なキャラクター達が会話するという面白みはあるものの、起承転結に欠けている内容が多い為にインパクトのある会話は然程多くはなく、良く言えば無難で、悪く言えば味気無いものが多い。 --女性陣がお互いにスタイルや服装を気にするセクハラ的な内容や、レシィを男の娘扱いする、アティが『3』本編でもそこまで言われない程容姿やスタイルを褒めちぎられるなど、人を選ぶ自由会話がいくつかある((PSP版『3』『4』のフリーバトル会話にも無かったわけではないが…。))。こうした内容から「公式アンソロジーや二次創作を見ているようだ」と評する人も。 --予め別の場所の自由会話を見たことが前提の自由会話が存在したり、他の自由会話や夜会話などと矛盾が発生している内容もある。 --メインシナリオが緊迫した流れになった時でも、自由会話では何も起きていないかのような平和な会話になる事もある。評価点にある自由会話蓄積がこの点では弊害にもなる。 ''エンディング関係'' -ネタバレになるため詳しくは述べないが、歴代キャラクターとのエンディングは多少の差異はあれど概ね同じ展開になる。ギャラリーをすべて埋めたい人にとってはかなりの根気が必要。 --極一部のキャラクターのエンディングで意外な結末になる点は一定の評価があるものの、その方向性を他の大多数のキャラにも取り入れてほしかったところ。 -エンディングの背景は、例えば対象が森にいたキャラならどこの森にいても全部同じグラフィックを使用…といった具合で使い回されている。 #region(その中でも特に酷い例。) -海辺のシーンだからといって港のグラフィックを使い回した結果、''『3』の忘れられた島に整備された港がある''という、原作無視も甚だしい事態が発生している。 -『1』の主人公達、バノッサとカノン、ギアンとエニシアなどの個別エンドで登場する部屋が''それぞれ別の場所と部屋なのに全員同じ部屋(忘れじの面影亭の個室)のグラフィックの使い回し。'' #endregion -本作はカルマ値が撤廃された代わりに、特定のキャラと最後まで夜会話を行う((アップデート後はさらに最後の夜会話中の選択肢で上のものを選ぶ。))とカルマエンドとなるが、完全に初見殺しである。 --詳細は伏せるが内容も唐突な展開である上に非常に後味が悪く、歴代キャラが多数集うお祭りゲーでやるようなものではない。 --ギャラリーには登録されないが、トロフィーをコンプリートするためには一度見る必要がある。 ''シナリオ会話・夜会話のパートボイス化'' -容量の都合か声優の作業量の問題かは不明だが、本作では一部シナリオ会話・夜会話と全ての自由行動時の会話でキャラクターのボイスが無い。~ サモンナイトのナンバリングシリーズはDS版の『[[1>サモンナイト]]』『[[2>サモンナイト2]]』を除きキャラクターがフルボイスで喋るのが特徴で、かつDS版の評価が低い要因だったのに、何故中途半端な仕様にしたのか…。 --例えば第1話ではイベント戦闘前まではフルボイスで会話していたのが、戦闘が終わった途端ボイス無しになっている。 ''アニメーションについて'' -本作のオープニングアニメは過去作と比べるとスライドや一枚絵が多用されており、一シーンに大勢のキャラがいるという場面もほとんど無いため、手抜き感が拭えない。 -本作ではアニメイラストを使った一枚絵やアニメーション等のイベントシーンがあるが、イベント終了と同時にBGMのフェードアウトなどもなく中途半端にぶつ切れになるなど、非常に雑な作り。 ''歴代キャラクターの扱い'' -さすがに全キャラクターを平等に扱うということは無理だとしても、一部キャラクターには露骨な扱いの差が存在している。 --仲間が増える後半に向かう程、影が薄くなるキャラクターも数多く存在する。 -各原作の設定から考えるとおかしな点も見られる。本作は平行世界の存在があるものの、その部分を活かしたフォローがされないことも多い。 --詳細は下記に記すが、一部キャラクターは得意な召喚属性が原作と異なっており、元の設定と矛盾しているキャラもいる。 --『メモリーズ』程のキャラ改悪はあまり無いものの、キャラ被りを防ぐためか元の個性を強調したり、独自のキャラ作りがなされている為、違和感が出ているキャラクターもいる。 --キャラクターの一人称((ルヴァイドの一人称が「俺」だったり「私」だったりと安定せず、相手によって使い分けている訳でもないのにバラバラになっている。本作の新キャラクターであるイストでさえ同じ場面で「僕」と「私」の両方を使うことも。))や敬称((アティがスカーレルを「スカーレルさん」と、イスラを「イスラ君」と呼ぶなど(前者は召喚された時期の時点で既に呼び捨てにしており、後者はそもそも呼び捨てか「さん」付けでしか呼んだ事がない)。また同じキャラ同士のやり取りでも、会話によっては敬称付きだったり呼び捨てだったりと安定していない場合もある。))の間違いも多数見られる。 --なかなか心を開かなかったり改心することのないようなキャラクター達が、出会って間もないラージュやアムとの夜会話で歴代主人公にも簡単には話さない悩みやコンプレックスをあっさり打ち明けて気持ちを新たにするなど、良い面ではあるものの歴代主人公達の立場を微妙にもしてしまっている。 -以下に各原作キャラの扱いについて列挙する。原作に関するネタバレも含まれるため注意。 #region(『サモンナイト』の扱い) -『1』主人公の中で唯一時間軸的に序盤~中盤程度の立ち位置におり、アムの親友的ポジションになるナツミは比較的早く仲間になるため、出番も多い。~ 一方ナツミ以外の3人は複雑な諸事情を抱えている為損な役回りになる事がある。スポット参戦はあるものの、本格的な合流が全25話中21~22話と非常に遅い。その割に他のキャラより突出して強いというわけでもないため、思い入れが無い限りは主戦力にしづらい。 --ナツミはナツミで、アム編の初登場時点で泣き虫キャラのようなキャラ付けがされている。原作では力不足に悔し涙を浮かべることはあれど(これは全主人公共通)、派手に泣きわめくような展開はなかった。 -『1』では自らの生い立ちからくるコンプレックスから主人公達と徹底抗戦を続けるバノッサが、本作では角の取れた性格になっており、喋り方が荒々しいのは変わらないが仲間へ激励や仲裁を行うキャラクターへの改変がなされている。またコンプレックスの原因である召喚術を得意とする面子に囲まれていても、ストーリー上では特に気にする素振りを見せない(一応夜会話で召喚師嫌いである事は聞ける)。状況が状況であるため周りとの壁を作るわけにはいかないとはいえ、流石に変わりすぎである。 #endregion #region(『サモンナイト2』の扱い) -『2』の護衛獣の内、ハサハとバルレルは『2』主人公やパートナーと一緒に召喚された設定。さらに下記のDLCシナリオでユニットとして使えるようになるなど優遇されている。~ しかしレオルドとレシィは一人ぼっちで召喚され、ユニット化の措置なども無い。確かに前者2人と後者2人で人気の差はあるものの、公式でここまで露骨に差別すべきではない。 -ネスティが素性の知れないフィルージャの住民であるアムを疑っているにもかかわらず彼女の拠点にちゃっかり居座ったり、操られているキャラクターに遭遇する度に助けることはあまり考えず「始末するしかない」と極端な行動に出ようとするなど、過剰なキャラ付けになっている。主人公がアムの場合における夜会話・エンディングも問題がある(後述)。 -アップデートによってユニット化できるメルギトスは霊属性と機属性の召喚術を扱えるが、その内最も得意とする属性が出身の霊属性ではなく機属性。機界出身のライル家の血識を吸収していることと原作終盤の展開を意識した設定なのかもしれないが、本作のメルギトスは『2』の設定と異なる時間軸の存在であるためやや違和感がある。合流時期(こちらは最終話)と強さが噛みあっていないのもナツミ以外の誓約者と同じ。 #endregion #region(『サモンナイト3』の扱い) -レックスは「果てしなき蒼」と、アティは「碧の賢帝」と時系列や魔剣のパワーアップの違いを付けている((追加クラスもレックスは「蒼き~」、アティは「碧き~」と異なっている(読みはどちらも「あおき」)。))が、その違いを生かす描写はなく魔剣は単なる変身アイテムのような扱い。 --『3』本編では早い段階で「碧の賢帝」の危険性を認識している((原作ではシナリオ・バトル共に『切り札』的存在として扱われているが、「碧の賢帝」で抜剣覚醒するとシナリオ上では徐々に精神を蝕まれるなどの問題が起き、バトルではカルマ値が上昇するというデメリットがある。「果てしなき蒼」ではこれらのデメリットが解消されている。))にもかかわらず、一部自由会話でアティが安易に抜剣覚醒するものがある。 ---これについてはアティが客演した『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』でもしょうもない理由で「碧の賢帝」で抜剣する会話が存在しており、問題視された。 --フィルージャでも「碧の賢帝」による抜剣は危険である事を示唆する会話はあるものの、シナリオ・システム共に実際に問題にされることはない。 -''「果てしなき蒼」を持った伐剣者レックス''が敵として登場するが、本来は魔剣が「果てしなき蒼」へと変貌してからは伐剣者にはなり得ない。単純にインパクト重視で「碧の賢帝」の伐剣者アティと対にしたかっただけなのだろう。 --『3』エンディング後の展開を描いた小説版では敵の策略により「果てしなき蒼」の特性を悪用されて暴走しているが、これは伐剣者になった状態とは異なる。 -レックスもアティも『3』本編のような争いを好まない性格は鳴りを潜めてしまっている((終盤に少しは話し合いの余地がありそうな場面で、レックスが問答無用で押し通るような発言をするなど。))。 -アティは『3』の中盤あたりから呼ばれていて、何でも自分で背負い込みがちになり始めている時期にもかかわらず、「元軍人のおっとり教師」という側面が強調されている。 --前述のセクハラ的な会話に加え、戦闘中にアティで最後の敵を倒した後のリザルト表示で何故かセクシーポーズをとるなど、本作のスタッフはアティをエロ担当としてしか見ていない節がある。 -自分のいた時代から300年後の人間であるフォルス達から「元いた世界では釣り仲間である」と聞かされても、アティは特に気にしていない。「300年後も自分が生きている」と聞かされれば、普通は疑問に思うなど何らかのリアクションは取ってもよさそうなものだが…。 -『3』本編でクノンを召喚した人物がアルディラという事になっている((実際は別のとある人物がリィンバウムの環境に適さないアルディラの体調管理の為にクノンを召喚している。))、『3』本編の時間軸から召喚されたカイルがまだ経験していないはずの出来事を回想する((『2』に登場した姪のモーリンと一緒にいた時の出来事で、『3』番外編ではモーリンがこの事を『2』主人公に話すイベントがあった。しかし『3』本編は『2』本編の20年ほど前であり、『2』本編時点でモーリンは19歳(攻略本情報)であるため、『3』本編の時点ではモーリンは生まれてすらいない。))、帝国軍と決着がついていない状況のアティ・カイル・ソノラがスカーレルの過去をすでに知っている((原作では12話で帝国軍と決着がつき、13話で無色の派閥と戦う直前にスカーレルの過去が判明する…という流れ。))など、原作設定との相違点が多い。 -本作のイスラの装備品の一つに剣があり、『3』での専用武器である「叫喚の剣」を装備しているのだが、戦闘中の剣のグラフィックは「紅の暴君」になっている。 -『5』のダイスは繭世界で最初に出会ったイスラを友達だと認識しており、イスラもダイスには気を許している雰囲気だったのだが、イスラが仲間になった後の自由会話でハサハと会話した際に彼女の事を「はじめての友達」と認識している。ずっとイスラの身を案じていたダイスがあまりにも不憫。 -本作のアズリアは、元いた世界で原作通りの展開を辿ったと考えると弟であるイスラと既に決別したに等しい状態となっているはずだが、あろうことかイスラに対して「口が悪くて手のかかる弟」くらいの扱いで、普通に接している。 #endregion #region(『サモンナイト4』の扱い) -『4』の女性主人公フェアは本来の設定上獣属性の召喚術が最も得意になるのだが、本作では''全く関係の無い機・霊属性の召喚術しか使えない''。本作における原作設定無視の最たる例。~ 同じ『4』男性主人公であるライは設定通り獣属性の召喚術が使える上に鬼属性の召喚術も使えるようになっているが、安直な対称化だけを目的として既存の設定を無視するのは本末転倒である。 -コーラルが自分を男であるかのような発言をしているが、元々コーラルは性別不明である。元の世界での親代わりだったライ(本作のライとは世界軸違いの別人)の受け売りなのかもしれないが…。 #endregion #region(『サモンナイト5』の扱い) -『5』の主人公であるフォルスとアルカは良くも悪くも「他者に頼り頼られる事を是とする」というキャラクターなのだが、本作ではそういった傾向が失われており、本来の大きな特徴を無くしてしまっている。 --一方で『5』原作で垣間見られた、だらしない・自分に甘い一面も見られなくなっており、多少性格は改善されている。 -『5』は『2』の護衛獣同様一人ぼっちで呼ばれた響友の内、スピネルの扱いがよろしくない。 --同じ境遇のダイスがシナリオ上でそこそこ良い出番を貰っている一方、スピネルは悪魔達との絡みにおけるコメディ要員のような扱いをされている。それもちょっかいを掛けられた末に気絶させられるような事態になるなど、人によっては不快に感じるだろう。 -ラディリアが驚いた時の「えひゃい!」というセリフは原作だと一度しか発していないが、本作では通常の会話や派遣クエストの説明文などで驚く度に一々使われているため、少々間抜けに見えてしまう。 -本作ではエルストを冥土化から救う事ができるのだが、エルストが元に戻っても彼と融合していたはずの響友ガウディがどうなったのかは触れられない。「ガウディは消滅してエルストだけが助かった」などの具体的な説明はなく、エルストにもガウディのことを気にする素振りは見られない。『5』における響友の設定は非常に重要なもので、エルストとガウディの絆を蔑ろにしたといえる。 -ガウディだけではなく、ルエリィの響友プリモとトルクの響友アンヴィルも本編中は全く登場しない((プリモはルエリィのエンディングの一枚絵にのみ登場。))。 -冥土の浄化にはフォルスやアルカの響友の力が必要なのだが、繭世界で力を失っているはずの響友達がなぜか冥土の浄化の場面だけは能力を発揮出来ている。『5』主人公の響友は特別な出自があるとはいえ、ここ一番で力を発揮できた理由は明確にされず、ご都合展開が過ぎる。 -カゲロウと響友のアルカが、初対面のダイスを浄化の光の使い手と見抜き、ペリエと響友のフォルスと共に浄化の光を使うように指示するシーンがある。しかし何故アルカ達が初対面のフォルス達に浄化の光を扱う能力があると見抜けたのかが明確にされない。 --またカゲロウと同じ立ち位置であるペリエにはその時点では能力を使えないと判断された理由も詳しく説明されない。 --なおペリエの代わりにダイスがフォルスと一緒に浄化を行うのだが、本作のフォルスとダイスは世界軸違いではあっても響友なので、浄化の光を使える事自体は問題ない。 -トルクは原作だと武器の修理を行った際に礼を言われても素っ気なく返答するなど自身の仕事に対してストイックだが、本作では「ルチルに煽てられて調子に乗りただ働きをさせられる」という、原作ではまずありえない会話が存在する。 #endregion ''不明瞭な歴代キャラ選別'' -オールスターと銘打っても歴代主人公以外は中途半端な参戦をしているケースもあり、原作での人物同士の関係性は若干重要視されていない。 --『3』以外のシリーズからは主人公のパートナーや護衛獣などが全員登場しているが、『3』だけはそれらに該当するはずの生徒が一人も登場していない。レックスやアティとの会話で触れられる程度である。ちなみに『3』は「先生と生徒の絆」がシナリオの主軸の一つでもある作品。 --生徒の代わりと言ってよいのかは不明だがカイル一家が登場するものの、ヤードだけ不参戦である。客人という立場ではあるが、作品内ではヤードもカイル一家の一員扱いである。ヤードについては別の観点でも疑問視されている。 #region(本作のシナリオの根幹に関わる理由付けと、それに関する問題。こちらも原作のネタバレ注意。) -「''リィンバウムの歴史に影響をもたらす人物''が繭世界に召喚される」という設定となっている。 --しかし、シリーズ跨ぎで暗躍するオルドレイク、『5』の警察騎士団の元となる自由騎士団の創設者となったシャムロック、後のセイヴァール響界学園となる青空学校の貢献者で抜剣者誕生の切っ掛けを生んだヤード、『5』主人公と深い因縁を持ち『5』の騒動の原因となったギフト、『クラフトソード』シリーズの主人公等、この設定に該当するにもかかわらず登場しないキャラが多い。 //「小説でも大活躍だったミニス、」→ミニスに関しては、少なくとも現時点では他の面々と違ってゲーム中のシナリオやリィンバウムの歴史に大きく影響を及ぼしたとは言えないので削除 #endregion ''バックログの未実装'' -発売当初の公式サイト上の説明書では会話中にバックログが閲覧できるように書かれていたが実際には実装されておらず、後に公式サイトで記述修正と謝罪が行われた。 --バックログはDS版『1』からずっと導入されてきたものだが、何故本作で削除されたのかは不明。 ''サモナイトリーフの記述ミス'' -『1』のパートナーが『[[クラフトソード物語>サモンナイト クラフトソード物語]]』にも出演したことになっている((『クラフトソード物語』本編に登場したのは『1』主人公のみで、パートナーは後日談の小説にしか出ていない。))、『2』のカラウスのサモナイトリーフでの名前が「カウラス」になっている((『2』のフリップのサモナイトリーフ内での説明では正しい表記になっている。))、『4』のポムニットの記述が本作での描写と矛盾している((本作のシナリオではエニシアを「姫様」と呼んでいるがこれは『4』本編で条件を満たさず離反した時のものであり、一方でサモナイトリーフでの記述は逆に離反しなかった時のものになっている。))、などのミスが存在する。 -サモナイトリーフを集める事によって開示される年代表では『[[クラフトソード物語2>サモンナイト クラフトソード物語2]]』に登場するリョウガを「リュウガ」と誤植している。 ''歴代キャラクターデザインの変更'' -ナンバリングタイトルでキャラクターデザインを担当する飯塚武史(黒星紅白)氏のイラストがサモンナイトシリーズの売りの一つでもある。しかし本作では新キャラクターのラージュ・アム・イストのデザイン・イラストのみの関わり。 -歴代キャラクターのデザインは森岡聖人氏が担当している。飯塚氏の画風に似せてはいるものの、一部のキャラクターは直近の飯塚氏担当のイラストに似ておらず別人のような出来になっている。 --『5』でもライジンなど一部キャラクターは飯塚氏以外のデザイナーが担当していたが、あくまでサブキャラクターのみの担当だった。 ''トリスとライの声優について'' -『2』の女性主人公トリスはドラマCD以来の木村郁絵氏が担当している。2007年公開のアニメ映画『キディ・グレイド 劇場版三部作』以来約9年ぶりの声優復帰だが、ブランクが長すぎたためか棒読みが多く、演技が全体的に稚拙。 --トリス役の担当声優は『クラフトソード物語2』とDS版『2』予約特典アニメで浅野真澄氏に変更されており、浅野氏はトリス担当以降も現役の声優として活動している。本作における再交代の理由は不明。 -『4』の男性主人公ライはドラマCDで担当した泰勇気氏が続投。トリスとは逆に演技に問題はないものの、声質が少年の外観に合っていない。精神的に老成している部分もあるとはいえ、声まで老け気味にする必要はないのだが…。 --この点はドラマCDの時点で指摘されており、評価点で挙げたハヤトと違って本作でも改善されていない点に不満が上がった。 ***戦闘面 ''戦闘マップの見づらさ・やりづらさ'' -本作の戦闘マップではキャラクター視点に近い奥行きのある視点(以下、奥行き視点)と従来通り上から見下ろした視点(以下、俯瞰視点)を切り替えることができるが、前者だと非常にやりづらい。戦闘開始時やロード後は奥行き視点で開始するため、一々切り替える必要がある。 --『5』のペリエ役で本作にも出演している声優の本多真梨子氏が[[公式動画>https://www.youtube.com/watch?v=_xy9ZL72svI&t=279s]]で本作をプレイした際も、「マスが分かりやすい方がいい」と即行で俯瞰視点に変更している。氏は本シリーズの大ファンとしても知られており、ある意味シリーズプレイヤー視点での意見といえるのだが、アップデートでの改善はされなかった。 -召喚術を使用した際の範囲表示の色と召喚術の射程表示の色が似ており若干分かりにくい。 -『3』以降戦闘マップが360度回転できるようになったが、本作では45度程度しか回転することができない。上記の召喚術の仕様も相まって、広範囲の召喚術に味方を巻き込んでいないかの確認もやりづらい。 ''移動周りの不便さ'' -戦闘時に味方のキャラクターを移動させる際、キャラクターはプレイヤーの操作に追従して移動するようになった。直感的にキャラクターを操作できるようになっているが、実際は従来通りマス目単位にしか移動できないためほとんど意味が無く、むしろマスの角などに引っかかって操作しづらくなるなどのデメリットが強い。 --「コネクト」との兼ね合いなのかもしれないが、カーソルをマス目単位で動かしてキャラクターをそれに追従させるなどもっとうまい方法は無かったのだろうか? -「コネクト」を使用しての移動も、よく使うスキルなのに一々スキルメニューから選ぶ必要があったり、キャラクターが2人とも止まらないと行動メニューを出せない点でテンポが悪い。 --そもそも「コネクト」は「一緒に移動してもらう」というだけの内容なので、わざわざスキルにする程のものではない。システムの一部としてワンボタンで使えるようにするなど他にやり方はあったはずである。 --またゲストキャラは「コネクト」を覚えていないため、意識しないと進行が他の自軍キャラよりやや遅れ気味になる。 -移動の際のボタン操作の割り振りも煩雑。慣れない内は必要ない時にステータス画面を開いてしまうなど誤操作を起こしやすい。 -一部マップには上に乗ると特殊な効果(大抵はプレイヤー側に不利なもの)が起こる特殊なフィールドが存在するが、流砂や糸の層など移動力が下がる上に広範囲に及ぶフィールドは敵味方共に進軍が遅くなりがちになり、プレイの快適さを損なわせている。 --PSP版の『3』~『5』では最終的に移動力が4以上になるキャラが多かったが、本作ではコネクト前提なのかほとんどのキャラの移動力が3、最大でも4止まりなのも、進行速度の遅さに輪をかけている。 --さらに本作の敵はザコ、ボス問わずこちらのユニットが一定の距離まで近付かなければ動かない仕様なので、戦闘の流れも悪い。敵の行動キャンセルを延々と見ながら遅い進軍を行うのは結構な苦痛である。 ''必殺技について'' -『2』以降一部キャラは専用の必殺技を習得するようになったが、本作の必殺技は武器の種類ごとに固有となり、キャラの個性が薄れてしまっている。アズリアの「秘剣・紫電絶華」などキャラの代名詞と言える技が使えないのはお祭りゲーとして問題がある。 -他に装備キャラがいない双剣(バノッサ)・鎖(アトシュ)・糸(イスト)は実質そのキャラ専用といえる。ただアトシュに関しても原作の必殺技とは異なっているのだが…。 ''サモンバーストの手抜き感'' -サモンバーストで現れる召喚獣は基本的に外観や色を一部変えただけのそっくりさんが多く、エフェクト自体は派手だがあまり変わり映えのしないものが大半。 -2人の協力によるものであるにもかかわらず、発動時のボイスは使用側が一方的に喋るだけで、非常に味気ない。サモンアシストのように簡単な相槌などを入れる余裕は無かったのだろうか。 -キャラクターによっては一言目の台詞が長すぎるため、早送りを一切しなくても二言目の台詞が再生されない事態も起こる。 ''戦闘時のキャラクターのモーション・台詞'' -召喚術を使う際キャラクターのアップから始まるモーションが挿入されるが、笑顔の状態で「はあっ!」「やあっ!」などと気合を入れたり、最初の台詞が回復魔法と攻撃魔法で共通なため回復魔法で攻撃的な台詞を吐いたりとミスマッチが起こるキャラが多い。 -過去作にあった攻撃回避時のモーションが撤廃され、通常時の状態で微動だにしないまま攻撃回避のエフェクトとボイスが出るようになってしまっている。どう見ても攻撃が体を貫通しているのに「当たらないよ!」などと言われても違和感しかない。 ''オートモードの頭の悪さ'' -「隣接した敵に攻撃できない弓を装備したユニットが、わざわざ敵に隣接して何もせず行動終了する」「複数の敵を攻撃する槍や召喚術で味方を巻き込むことがある」「高ランク(≒MP消費大)の召喚術を無駄に乱発する」などの問題行動をとることがある。 --本作では過去シリーズにあった「味方が味方に通常攻撃した時ダメージが1になる」という仕様が削除されているため、武器熟練度をマスターして範囲内全てのユニットを攻撃できるようになった槍使いをオートで戦わせる場合は注意したい。 --召喚術のフレンドリーファイアに関しては、使用者がスキルの「召喚災害保険」をマスターしている場合、味方へのダメージが無くなる(キャラクターによっては習得できないクラスもあるが)。 --高ランク召喚術の乱発は、『5』同様一度入手した召喚術は全キャラクターで共有し任意に使用可能・不可能を変更できない仕様なのでどうしようもない。 -特徴項の通りオートモード時の行動は全キャラクター共通で個別に設定できないので、召喚師キャラまで物理攻撃を行ってしまいかえって効率が悪くなることもある。もっとも、召喚師キャラでも物理攻撃一撃で倒せる程レベルを上げていれば問題はないが…。 ''戦績評価の不親切さ'' -評価に影響する要素は上述する通り様々だが、「どの要素がどれだけ評価に貢献しているか」といった詳細を確認することができない。 --「ノーダメージだったのに評価A」「ブレイブオーダーを全て無視しても評価S」といった事態が起こり得る。 --場合によっては「敵に一切行動をさせないで全滅させる」「回避行動すらマイナス評価」「スレイグ系の技を使わないとマイナス評価」など条件の提示がなければこなせないような内容や、戦略すら放棄した条件で戦闘評価を判定しているものもある。 --PS2版『4』のクリア時の評価のように、要素ごとの評価と総合評価を明確に分けて表示した方が分かりやすかっただろう。 ''周回で引き継がない要素'' -過去作と比べると引継ぎ要素は格段に増えているが、好感度は今作も引き継がない。 -今作では好感度を上げることで上位のサモンバーストを使用できる他、サモンアシストの効果も好感度に依存している等影響力が大きい為、これを引き継がないことを残念に思う声は多い。 ***その他 ''BGM関連'' -バノッサ戦・ルヴァイド戦・イオス戦・アトシュ戦において、一度(イオスのみ2回)しか戦う機会がないとはいえ原作で戦う時のBGMが使用されない。これらのBGMを本作で聴くにはPSV限定版付属の「サウンドエディションデータ」が必要で、''PSVの通常版・廉価版やPS4版では聴くことすらできない''。 --サウンドエディションデータ自体はPS4版にも対応しているが、現時点で別途配信などはされていないため、PS4版でサウンドエディションデータを使いたい場合はわざわざVita限定版も購入する必要があった。現在はサウンドエディションデータのプロダクトコードの使用期限が切れているためこの方法も使えない。 ''シリーズでおなじみだった要素の少なさ'' -『5』と同様、ミニゲームが釣りしか存在せず、特別なシナリオが遊べる番外編も撤廃されている。 ---- **総評 これまでのシリーズ作品とは異なり、本来共存する事がない歴代キャラ達が同時に登場し、舞台もリィンバウムではなくなった本作。 キャラクターデザインは秀逸なのでシリーズ未プレイの人でも過去作に興味を持つきっかけになれるが、本作自体のシナリオ・会話を理解する場合は優しくない内容。~ 一方でシリーズを経験してきたプレイヤーから見ると、キャラクターの待遇の差や特定のカップリングの扱いなどで賛否が分かれる。~ また会話パートのパートボイス化・シナリオや過去作設定の不備等、過去作からの劣化点も足を引っ張ってしまう。~ 大幅に手が加えられた戦闘システムも、過去作でできた事ができなくなっていたり、まともにテストプレイをしていれば気付くはずの不便な点が多い等、大小様々な粗が目立つ。 クソゲーと呼べる程酷くはないものの、上記の通りシリーズプレイ済み・初プレイどちらの視点でも見過ごせない問題点が多い。~ 「サモンナイトシリーズ15周年記念」という名目で発売された割にその意気込みが全く感じられない、残念な作品となってしまった。~ 雲行きが怪しい状況が続くシリーズに更なるダメージを与えてしまったことで、シリーズの未来やファンの期待まで失われたといっても過言ではないだろう。 ---- **余談 -初回特典として、『4』に登場するミントの護衛獣である「オヤカタ」のサモナイトリーフと、好感度が上がりやすくなるアクセサリー「ミント菜園の野菜」が付属していた。なおミント本人は本編には登場しない。 --オヤカタは獣属性だが、得意属性に関係なく全てのキャラクターが使用可能。序盤のお助け用なので性能はそれなり。 -『5』で開発担当だったフェリステラは、本作では制作協力という立場になっている。 -本作のシナリオは「株式会社エッジワークス」が担当している。 --『[[ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-]]』『[[Myself;Yourself]]』『[[ダン←ダム]]』など過去にシナリオを担当した多くのゲームで酷評されており、本作のシナリオ・会話の質の低さもむべなるかな。 -シリーズでシナリオ(『1』~『4』)や監修(『5』)を担当している都月景氏は、本作では世界観設定・シナリオ原案・監修を担当。 --ただその割には問題点で挙げた通り過去作設定との矛盾などが散見される。&s(){[[「有名人の監修」とは名ばかりで実際はその有名人が客寄せパンダ的扱いだったゲーム>ジーコ サッカー]]もあるわけだし、}監修といってもあまり深い部分には関わっていなかったのだろうか? --なお氏は本作発売後に刊行された『サモンナイトU:X』最終巻の後書きでシリーズから離脱することを明言している。「シリーズで伝えたかったことの多くを伝えきれたため」と述べているが、[[本作のプロデューサーを忌避していることが原因と取れる発言もしている。>https://twitter.com/z_miyako/status/1547959405387612160]] --なお[[本作の仕事の受注時には外伝として説明を受けていたが、ナンバリングに変更されてしまった>https://note.com/rezondeum0216/n/n67dd9bb794c4]]という経緯があったらしい。 -テーマ曲について --オープニングテーマの「TO BE ALIVE」はアム役の小倉唯氏がボーカルを担当している。シリーズの主題歌やBGMでおなじみの藤田千章氏は[[関わっていない>https://twitter.com/chiaki_slt/status/1302882969355386885]]。 --本作にはエンディングテーマが存在せず、エンドロールでは専用のBGMが流れる。これもナンバリングシリーズとしては異例。 --従来のナンバリングシリーズのオープニングテーマとエンディングテーマはカップリングされ本編のキャラクターがプリントされたCDが発売されていたが、本作のオープニングテーマは別のメイン曲のおまけといった扱いでCDに収録されている。 -体験版の配布・限定パックの販売はVita版のみ。 -15周年記念豪華パックは画集・サントラCD・サウンドエディションデータ・PSV用テーマ・前述のオヤカタのサモナイトリーフとアクセサリー「ミント菜園の野菜」のデータ・ラージュとアムのラバーストラップとその名の通り豪華な特典が付属している。 --サウンドエディションデータは『1』~『5』の一部BGM・『1』~『6』のオープニングテーマ(フルではなく1番の部分がループする仕様)がギャラリーに追加され、上記のBGM変更にも使用可能になる。PSP版で使用されなかった『1』『2』のBGMはPS版の流用ではなく本作用に新規に作成されている。 --サントラCDには本作の新規BGMの他、バノッサのテーマ「DESPERADO」がボーナストラックとして収録されている。 -本作における『1』の主人公とパートナーの組み合わせは『1』では実際に不可能なものになっている。発売前に悪い意味で反響が大きかったのか、[[都月氏が「度忘れではなく意図したものである」と言及している。>https://twitter.com/z_miyako/status/663034906205749248]] --2001年に発売された設定資料集『サモンナイトコレクション』((同名のソーシャルゲーム(2015年に終了済み)とは無関係。))では、『1』主人公とパートナーの不可能な組み合わせの件について「同じ性格・性別のキャラ同士を組ませた場合、思考や行動原理が似通っているためストーリーが上手く回らなくなる危険があったので、あえて組み合わせられないようにした」とのコメントが掲載されている。本作では主役ではないためようやく組ませてもらえた、ということか。 //--ただ、ナツミとカシスが友情を確かめ合うシーンや、ハヤトとソルの絆を描くシーンを入れられても、原作プレイヤーはあまりピンと来ないものだが。 //↑かといって原作の特定の組み合わせで固定しても必ず不満は出るものだし、仕方ないのでは? -本作の公式ホームページ内の記述に、スタッフが本シリーズを理解しているのか疑わしい記述が存在している。そのため警戒するファンもおり、実際予感が的中してしまった。 --『1』主人公の一人であるアヤは、[[キャラクター紹介>https://web.archive.org/web/20211228150630/https://www.summonnight.net/sn6/character/07.html]](Web Archiveへのリンク)で「ある意味で''腹黒''」と書かれ、物議を醸した。「おとなしいキャラが実は腹黒」という設定自体は一次創作・二次創作問わずよくあるものだが、『1』『2』や本作のアヤに腹黒呼ばわりされるような展開はほぼなく、ありもしないキャラ傾向を紹介文に入れられた形となった。 ---「腹黒」の直前には「穏やかな顔で大胆不敵なことをしてのける度胸を身につけている」と書かれている。文脈からおそらくこの度胸の強さを「腹黒」と説明していると思われるが、意味が噛み合っていない(どちらかと言えば「芯が強い」と呼ぶべきだろう。一応キャラ説明の冒頭には入っている)。 //---本作のアヤは「物語開始時点でほとんどの真実を把握しているが、敢えて口を噤んで独自に行動し続けている」という位置付けであり、仲間という名目で監視役を置いたりギリギリまで真実を伏せたりと言った点を指して「腹黒」と表現しているのかもしれない。 //---しかし位置付け云々はともかく、これらは全て世界を救う為と仲間達を思っての事で、本人もその重圧に苦しんでいたと作中で描かれている。立場上その役に就かざるを得なかったのであって個人の性格ではないし、何よりこういったキャラを腹黒とは普通は言わない。原作に反しているのも問題だが、本作そのものにも反しているのはどういう事だろうか。 --他にも基本用語の誤植(例:シャルトス ⇒ シャル''ド''ス、黒の旅団 ⇒ 黒''い''旅団)が存在した時期があった。アヤの記述と違いこちらは修正済み。 -上記のDLCの内、バルレルとクノンの配信開始日が入れ替わりになっている(バルレルが2016年3月24日 ⇒ 3月17日、クノンが2016年3月17日 ⇒ 3月24日)。シナリオではバルレルの方が主人公に合流するタイミングが早いため、本来の配信開始予定日が間違っていたのかもしれない。 -本作発売前に、『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』のプロデューサーである寺田貴信氏に[[本作を体験してもらう企画>https://www.youtube.com/watch?v=wTlOUg9skEo]]が行われた。 --動画内で寺田Pが言及している通り、サモンナイトシリーズとは「当時バンプレストで展開されていたSRPG」という共通点がある。 -[[女神転生シリーズ]]などで有名な株式会社アトラスが2017年2月3日~2月7日に実施した[[オンラインアンケート>http://p-ch.jp/enquete2017/]]の中に未発売ゲームに関する質問があったが、開催期間内で既に発売済みの本作も何故かその質問の選択肢中に含まれていた。アンケート後の2017年3月30日に発売されたWelcome Price!!版を勘違いしたのだろうか? -悪評が祟ったのか、通販サイトのAmazonなどでは通常版の価格が早期に値崩れし、1年経たずに後日発売のWelcome Price!!版の定価を下回った。 //「PSV版は発売後約3か月・PS4版は発売後約6か月で」→確認用のサイトが運用終了していて確認不可なので、消さずにコメントで残しておく -本作発売以降、シリーズの動きが一切無くなってしまい、''シリーズ生誕20周年を迎えた2020年1月6日にすら公式側の反応が殆ど無かった''という、ファンにとっては希望が失われたに等しい状況となってしまっている。 --強いて挙げるなら、都月氏が[[ファンの記念ツイートに反応し、小説『サモンナイトU:X』の最終巻をいまだ執筆中であることをほのめかすツイートを行った>https://twitter.com/z_miyako/status/1214369689205297158]]程度。なお最終巻は約1年後の2021年3月18日に発売された。 ---ちなみにこのツイートの「大きな案件」とは、氏がシナリオを担当した『[[MAGLAM LORD]]』のことだと思われる。こちらも『U:X』の最終巻と同じ日に発売された。 --また公式サイトの方も、時期は不明だが一部作品の紹介ページにアクセスできなくなり、2022年3月21日頃に公式サイト自体が消滅してしまった(バンナムの公式サイトにリダイレクトされる)。

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