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*神威 【かむい】 |ジャンル|シューティング| |対応機種|CD-ROM版:Windows 95~XP&br;Steam版:Windows 2000~8| |発売元|CD-ROM版:MSD-JAPAN&br;Steam版:Nyu Media→Henteko Doujin(2022/7/7にパブリッシャー移行)| |開発元|SITER SKAIN| |発売日|CD-ROM版:2001年1月19日&br;Steam版:2014年12月12日| |定価|CD-ROM版:2,000円(税別)&br;Steam版:798円| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''| |>|CENTER:''The Tale of ALLTYNEXシリーズリンク''&br()''神威'' / [[RefleX]] / [[ALLTYNEX Second]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 同人サークル「SITER SKAIN」が制作し、1999年12月のコミックマーケットで発表された縦STG。~ サークル代表が「SITER SKAIN」名義で活動する前に制作した同人STG『ALLTYNEX』『Reflection』の設定が取り入れられ、~ なおかつ複数の名作STGの影響を受けているゲームシステム、作風が特徴。~ 世界観を共有するシリーズ『The Tale of ALLTYNEX』3作の内の1つであり、第3部に位置する。 当時としても、そして現代から見ても商業STGに匹敵する極めて高い完成度を誇ったことから、同人STG最高峰と言われるほどの評価を受けている作品。~ ''2度((100円ショップダイソーから発売された体験版『神威Light』を含めれば3度。MSD-JAPANから発売されたパッケージ版では「インターネット上で人気度、知名度共にNo.1のシューティング!ついに登場!!」と記載された。))にわたって一般流通販売''されたことからも、その評価の高さを覗うことができる。~ 前述のパッケージ版の生産は全て終了しているが、現在はSteamで配信されているためこちらから入手可能。 **ストーリー >遙か昔から上空に霞んで見える謎の物体。古より人々から神として崇められてきたそれは、文明崩壊以前の旧世界の遺産、衛星軌道上にある巨大な人工建築物「機械神殿」だった。~ そして脳に送り込まれる命令のままに「彼女」は目覚め、機械神殿から対人類の殲滅兵器の鍵となる機動兵器''「神威」''が飛び立った。 (Wikipediaより転載) **特徴 ***基本内容 -全6面構成。周回プレイなし。 -ステージセレクトモードあり。 -難易度は「簡単(Easy)」「普通(Normal)」「脅威(Menace)」の3段階。 -『[[ゼビウス]]』のような高低差の概念あり。 -残機はエクステンドなしの3機で、その場復活制。ただし数回の被弾に耐えられるシールドを持っている。 --ゲーム開始時や復活時はシールドは4つ。アイテムにより8まで増加する。被弾するとしばらく無敵時間が発生する。 -コンティニュー回数は無制限。 ***武器 2ボタンを使用して3種類の武器を使い分ける。~ 各武器を同時発射することはできない。 -通常弾(1ボタン) --一般的なSTGの自動連射ショット。同高度の敵にのみ有効。 --最大8段階までパワーアップする。ミス時は2段階パワーダウン。 -雷撃(2ボタン) --自機より低高度の敵をロックオンして攻撃する雷状誘導兵器。 --時間経過で、画面左下にあるメーターの緑ゲージが徐々に左から溜まっていく。 --ボタンを離すと緑ゲージを全消費し、その分だけ最大16本の雷を発射する。 ---ボタンを押しっぱなしにすることで、緑ゲージが溜まる速度が少し上がる。 --発射後はごく僅かな間だけだが索敵し続けるため、上手くタイミングを合わせれば複数の敵に連続攻撃が可能。 --破壊した敵のスコアには、発射した雷本数と同じ倍率がかかる。 -雷刀(1,2ボタン同時押し) --ボタン同時押ししている間照射される大型ビーム。同高度の敵にのみ有効。 --高威力であり、さらにほとんどの敵の攻撃を掻き消すことが可能。 ---特定の攻撃を掻き消した場合、打ち返し攻撃を発生させて追加ダメージを与えられる。 --照射中は自機の移動速度が低下する。 --照射し続けるとメーターの右から赤ゲージが溜まる。赤ゲージは緑ゲージを上書きしながら溜まっていき、最大になると雷刀と雷撃はどちらも使えなくなる。 ---照射を止めると、赤ゲージが徐々に減少していく。 ***アイテム 決められた種類の空中敵を通常ショットか雷刀で一定数破壊するごとに出現する。~ それぞれのアイテムに関わるレベルが最大の時に回収するとボーナスが加算される。 -パワーアップ(緑色):通常弾のパワーアップ。 -シールド(青色):シールドを1回分回復する。 ***隠し機体 全ての難易度をクリアすると、4面ボス前座として登場する「量産型神威模造機」をプレイヤーとして使用可能になる。~ 総合的に神威より性能は低く、優れている点は雷刀による弾消し能力程度。 -移動速度は神威より遅いが、雷刀を使っても移動速度に変化なし。 -通常弾は最大5段階で、広範囲攻撃できない代わりに連射力が高い。 -雷撃は最大12本まで。 -雷刀は拡散型で広範囲をカバーするため、防御力が高い。しかし威力は非常に低く、打ち返しを除いて攻撃目的にはほとんど役に立たない。 -シールド初期防御回数は2回。 **評価点 ***オマージュ 本作は複数の商業STGを参考にしてまとめられたシステムや作風が特徴で、ゲーム内の随所にその影響を見受けられる。~ また、単なる模倣では終わらず、独自に発展させた点も多いので、オマージュのクオリティは高い((開発者は既存作品の模倣で終わらないように工夫していると発言している。))。~ このため、元になった作品を知っているSTGファンを喜ばせる要素となっている。~ オマージュ元となった作品として、主に以下が挙げられる。 -『[[レイフォース]]』 --''この作品に関しては、参考にしていない部分を探す方が難しいと言えるほどの強い影響を本作に与えている。'' --その象徴と言えるのが自機「神威」であり、デザインが「X-LAY」と瓜二つ。 --ドット絵のみで高低差を表現した疑似3Dグラフィックやそれと大きく関わるロックオン攻撃など、基本的なゲームシステムがよく似ている。 --本作のボスのほとんどがこの作品のボスを元にしているのがすぐ分かる他、雑魚敵にも似たような動きや攻撃をしてくるものが多い。 --「宇宙空間から戦闘開始→敵艦隊を突破して大気圏突入→地下都市を突破→地中奥深くの中枢システムの破壊」と言った一連のゲーム全体の流れが同じ。 ---本作は上記の流れに+αしたような内容になっている。 ---この作品の2面には「倒しきれない数の敵の大艦隊によって味方艦隊が全滅させられる」という名シーンが存在した。本作では「単機で敵艦隊を全滅する」というほぼ逆のことができる。 ---最終面に存在した「地下都市の背景上にいる大量の雑魚敵をロックオン攻撃で一掃しつつボスまで辿り着き、高速スクロールしながらボスと激しい戦闘を繰り広げる」という演出が、本作4面でも見られる。 -『[[蒼穹紅蓮隊]]』 --ステージ開始時、ボス登場時、ボス撃破時に表示される明朝体テロップ演出が本作にも登場する。 ---漢字を多用した長い解説文の後に、片仮名ルビを付けられたステージ名やボス名が大きなフォントで表示されるのも同じ。 ---中でも1面開始時の【衛星軌道上機械神殿対人類殲滅用神双槍&color(red){「神威」}&ruby(キドウ){''起動''}】や6面ボス登場時の【衛星軌道上機械神殿脳融合理論最終型対惑星破壊用究極兵器&ruby(ザフィケル){''裁定者''}】は、それぞれ最初と最後というだけでなく、漢字のみの凄まじく長い肩書きということもあり、インパクトは抜群。 --ロックオン攻撃は「ボタンを押し続けている間索敵し、離すとロックオンした敵を攻撃する」という仕様のため、『レイフォース』のロックオンレーザーよりもこちらのN.A.L.Sに近い。 --自機のジェット噴射音や敵のビームチャージ音など、一部の効果音が共通している。 -『[[サンダーフォースIV]]』 --どちらかというと後述するサンダーフォースVの方がオマージュが多いが、本作はシリーズ唯一の「溜め撃ち」がストーリー的にもゲーム性にも大きく存在感を見せており、その名前は「サンダーソード」と本作の必殺武器の『雷刀』を英訳した名前と同じだが、演出やゲーム性的にはサンダーフォースVのツインショット(orブレイド)のオーバーウェポンに近い。 -『[[サンダーフォースV]]』 --雷刀のエフェクトがツインショットのオーバーウェポンと似ている。「照射直後は扇状に拡散していて、その後素早く直線状に収束し、周囲に電撃が走る」という動きをする。 --本作2面ボス「黒鷹」は「Guardian's Knight」と同様、死に際に巨大ビームを放つという初見殺しを行ってくる。 --本作4面ボス「神威零号機改」は、オーバーテクノロジーで構成されている戦闘機の残骸を改造した大型機動兵器であることや最終形態時に巨大な翼を生やすことなどから、「Vasteel Original」に近い立場といえる。 --ゲームオーバー後のネームエントリー画面がこの作品のものと細かい点で共通している。 ---背景には自機の画像が用いられている。 ---1面から順に各ステージのスコアが表示される。 ---名前入力の方式。左右に回転させながら文字を選ぶもの。 ---ランク外だとそれを伝えるメッセージが表示される。 ***グラフィック・演出 -解像度640*480の256色に詰め込まれたグラフィックはそれまでの商業2DSTGにも匹敵するほど綿密で、キャラクターも背景も細かく描かれている。 -回転・拡大縮小・半透明表示を使った演出が多用されており、オマージュ元の『レイフォース』にも引けを取らないクオリティとなっている。 --攻撃後に離脱行動を取る雑魚敵などに、回転演出をよく見られる。 --画面奥からこちらへ迫ってくる敵機や、発射されて低高度の敵を素早く攻撃する雷撃などは、3Dのような奥行きを感じさせる動き方をする。 --1面の機械神殿、3面の要塞とそれに通じる渓谷、4,5面の地下都市は、特に立体的な演出となっている。 --ボスは複数のパーツで構成されているものがほとんどで、中には拡大縮小を使ったものもいる。 ---3面ボス「黄蜘蛛」の足パーツには特にそれが活かされている他、ボス自体が上昇下降を繰り返すこともあり、本作独自の演出が上手く利用されている。 ---6面ボス「裁定者」は同高度低高度問わず多数のパーツで構成されていて、ラスボスということもあり威圧感がある。 --半透明処理は2面の雲や水、「神威零号機改」の光翼、5面ボス「悩巣」が展開する六角形パネルなどに用いられている。 -''4面ボス戦は本作最大の見所と言えるほど派手な演出がなされている。'' --「量産型神威模造機」 ---高速スクロールに加えてそれぞれの模造機が素早く画面内を動き回るため、戦闘機同士の激しいドッグファイトが見事に表現されている。 ---自機と同様雷撃を持っており、着弾地点にはロックオンマーカーが出現する。 ---模造機は単なる色違いではなく、よく見るとオリジナルの神威とは微妙にデザインが異なる。 --「神威零号機改」 ---先述通り『サンダーフォースV』の「Vasteel Original」のみならず、『レイフォース』の「Con-Human」に相当する立ち位置の片割れをも担うボス。その圧倒的な存在感から『The Tale of ALLTYNEX』内でも主役級の扱いをされている。 ---模造機戦から引き続き行われる高速スクロールや、戦闘途中の装甲パージは正に「Con-Human」を思い起こさせる。 ---変形機構を持っており、大胆な変形が行われるだけでなく、光翼まで展開する。この神々しいデザインと前座の存在によって、サークルメンバーにさえラスボスと誤解されたほど。 ---激しい弾幕、大量の誘導レーザー、オールレンジ兵器、そして連射性能の高い雷撃と自機よりもさらに強力なビーム型雷刀を武器としており、単なる強敵というだけで終わらない強烈な印象を与えるボスになっている。 ***BGM -パイプオルガン、コーラス、ストリングス、ギターなどを再現した音で構成されているのが特徴。神秘的ながらも力強くハイテンポな曲調に仕上がっている。 -物悲しいBGMが多く、本作のストーリー、設定、結末を反映したかのような雰囲気となっている。 -本作代表曲とも言える1面BGM「終焉の時」は、STGの1面BGMらしいアップテンポなBGMというだけでなく、神威出撃時の演出も相まって印象に残りやすい。 -4面までで用いられるボスBGM「高貴なる鷹」は、同サークルの過去作『ALLTYNEX』の「GRIFIS WAVE」のアレンジ。ボス戦独特の緊迫感を前面に押し出した疾走感溢れるBGMであり、その場の展開(特に4面ボス戦)を盛り上げている。 -6面ボスBGM「裁く者」は、イントロのコーラスとパイプオルガン風のメロディによってラスボス戦らしい壮大さを演出している。 ***システム -自機の性能が高く、攻撃面・防御面共に優秀。 --雷撃 ---商業STGのロックオン攻撃で例えるなら「『[[レイストーム]]』のR-GRAY1・R-GRAY2のロックオンレーザーそれぞれの長所を集めたような性能の電撃を放てる、全画面にウェブを張ることが可能なN.A.L.S」と言ったところ。 ---ロックオンは自動で行われるため、照準を合わせるような動作を必要としない。ボタンを連打しているだけで、低高度の敵を次々破壊していける。 ---威力はそれなりに高い。稼ぎを狙わないならば、高耐久の大型雑魚であっても同高度に達する前に雷撃を連射すれば速攻撃破が可能。 --雷刀 ---ビーム兵器ということで見た目が派手なだけでなく、それに見合った非常に高い威力を持つ。 ---弾消しによる防御も兼ねた攻撃であり、小出し使用することで長時間敵の弾幕への対抗手段として役に立つ。 ---連続使用には耐えられないものの、エネルギーは割とすぐに回復するため、ボンバーのように出し惜しみをする必要はほとんどない。 ---切り札に見せかけて、総じて使い所が多く汎用性の高い武器となっている。 --シールド ---縦STGでは被弾そのものに対して一撃死が多い中、本作の自機はある程度の耐久力を持っており、シールドは完璧なフェイルセーフとして機能する。 ---被弾時の無敵時間は少し長め。余程の操作ミスを起こさない限り、連続で削られることは少ない。 -雷撃による稼ぎシステム --緑ゲージを溜めてから発射して一気に敵を倒すことで、最大16倍もの得点となる。 ---まとめて発射された雷撃ならば、どれが敵に当たってもゲージ量に比例した倍率が等しくかかる。 ---雷撃には索敵能力や連続攻撃能力があるため、画面内に残った雷撃が後から出現した敵を追加攻撃して高得点となることもある。 --「ボタンを押し続けて溜められるだけ溜めたら発射」を繰り返すだけなので、稼ぐ上で複雑な操作はさほど必要ではない。一方で、ゲージを溜めるか攻撃に転じるかの駆け引きが重要になってくる。 --一部の敵は、破壊後に極僅かな間だが雷撃で追撃できるチャンスが有る。もちろん成功させればボーナスが入る。 --稼ぎが非常に奥深く研究次第で伸びるため、家庭用ならではのボス戦のみプレイ可能。このため新しいパターンを構築するのにプレイ時間の無駄な手間が省ける(PS2の[[グラディウスIII & IV 復活の神話>デラックスパック(コナミ) シリーズ]]やXboxのパンツァードラグーン オルタなど、後々のコンシューマーゲームでは当然の様に搭載されているシステムだが、90年代でこのクオリティかつ親切システム)。 ***ゲームバランス -爽快感を覚えやすい自機の攻撃能力及び敵の配置・特性。 --本作は全体を通して低耐久の雑魚が大量に出現するため、通常弾や雷撃溜め撃ちによる雑魚敵一掃を|できる場面が多い。 --雷刀を使って大型雑魚の耐久力を一気に削って倒せる場面も多く用意されていて、大量破壊とは異なる面白さがある。 --ボスは厚い弾幕を張って攻撃してくることがあるが、雷刀は弾幕殺しとして機能する武器なので、本来なら避けられないような攻撃に対処できたという実感を持てる。 -繰り返しプレイすることで腕の上達を実感しやすいゲーム構成。 --一部露骨な初見殺し((「黄蜘蛛」のビーム薙ぎ払いや「量産型神威模造機」「神威零号機改」の雷撃など。))は存在するが、明確な対処法があるのでパターン化はしやすい。 --敵の出現パターンを覚えて雷撃または雷刀で先制攻撃することや雷刀の弾消しが重要なため、弾避け技術はあまり重視されず、苦手な人でも安心。 --シールドの存在により、最低でも残機1につき5回の被弾が許容される。攻略重視の場合、ゲーム全体の大まかな攻略法を覚えればノーコンティニューやノーミスクリアはしやすい。 -STGによくあるランクシステムは本作には存在しない。このため部分的にでも稼ぎプレイを楽しみやすく「稼ぎ過ぎると難易度が上がって攻略しにくくなるからあえて稼ぎはしない」というジレンマに煩わされることがない。 -コンティニュー回数自体に制限もないので、エンディングを見ようと思えば初心者でも見られる。 -難易度は「簡単、普通、脅威」の三段階だが3つともほぼ別ゲーム。簡単はSTGが苦手な人でも楽しめ、普通は万人受け、脅威は雷刀が全く足りないほどの恐ろしい弾幕と攻撃パターンが待っているため、アーケードの超高難度弾幕STGが好きな人でも楽しめる。特に難易度脅威では同高度敵が固く、雷刀を効果的に「破壊力のあるショット」と使用しなければならないほどのバランスのため、凄まじい弾避けと考えられた武器管理は当然必須。しかも死ぬとショットの威力が大きく下がるためハイスコアを目指すならノーミスが望ましい。また「スコアランキングのスコアにはの横にはしっかり難易度が表示されている(しかも難易度によって文字の色まで違う)」ため「インチキスコア」は表示されず、かなり広いユーザーが楽しめる作りになっている。 ***その他 -発売当時このクオリティーのゲームをプレイするならば、5000円以上(コンシューマーの当時のソフトの価格)か、アーケードでゴリゴリコインを筐体に突っ込む時代で、1500円しかも体験版で動作チェックやある程度遊べるなど、かなりゲームプレイのハードルが低かった。 -発売直後からサークルに直接連絡して買うことができたので、同人誌即売会というハードルの高いイベントに行かなくても、全国どこに住んでいても製品版を入手できた。 -パソコンというネックも「動作するか」などはハイクオリティーの体験版でチェックできた。 -また驚くべきことに、発売当初の動作環境は「Windows95,98,Me」だけでなく「NT4.0(企業や大学などで使われていたWindows)」までサポートしたことである。無論NT4.0の後継OSのWindows2000はもちろん、NTや2000系と95~Me系を統合したWindowsXPでも当然問題なく動作した。またインストールはデータをコピーするのみでレジストリなどを全く必要とせず、当時主流だったMOディスクなどリムーバブルストレージに入れて外のPCで遊べた。このため「完全版は家のHDDにインストールしておき、会社や大学で『HDDを全く使うことなく遊ぶ』ということができてしまった。もちろん体験版も同様」。そのため神威のパターン構築のために大学や会社の空き時間に・・・なんてことが90年代にできたのだ(上司や教授の目はあるがw)。 -演出面やデータ面でかなり高度であり、発売当時普及してたパソコンでサクサク動作するゲームではまずあり得ないハイレベルの演出のゲームであったにもかかわらず、HDDにインストール(当然この時代にSSDなどない)することなく、ゲームをすることを前提としない遅いPCのMOドライブ(光学ドライブ。スピードはSSDとHDDの差を遥かに凌駕する超遅いメディア)で動かしても当時のトップレベルのハイエンドPCの高速HDDに搭載するのと同様に遊べた脅威のプログラムの軽さ、とパソコンが高額な時代ではあったが、ゲームをしてはいけないような酷い低スペックマシンでもサクサク動く様に作られていた。 **問題点 -爆発に紛れて敵弾が見えにくくなることがある。 -雷刀を単体ボタンに割り当てられない。武器の使い分けを頻繁に行う本作においては不便。 -雷撃の照準システムにやや癖がある。 --発射するまでどの敵をロックオンしているのかは分からない。 --自動照準のため、狙いたい敵を思い通りにロックオンすることはできない。敵が大量に出現する場面((1面後半の艦隊戦など。))で稼ぎを行う際に問題になりやすく、「狙おうと思っていた敵をいつまでもロックオンできずに撃ち漏らす」ということがある。 -アイテムの仕様が不親切。 --一定数の敵を特定方法で倒すと出現する仕様のため、いつアイテムが出るかが分かりにくい。何度かプレイしてパターン化する必要がある。 --アイテムは出現すると、画面上へ一定距離移動したらすぐに画面下へ移動するため、取り逃がしてしまいやすい。 ---パワーアップならあまり問題ではないが、シールドは1個でも逃がすと攻略に大きな支障が出る。 ---画面端で敵を倒した時などは、遠くて回収が間に合わなかったり、そもそもアイテム出現に気付かないという事態もあり得る。 -Steam版はあくまで海外向けのリリースであるせいか英語版限定になってしまっており、本作の魅力の一つでもある『蒼穹紅蓮隊』風の明朝体テロップがなくなっている((ステージ名とボス名のみ漢字表記が使用されていて、英語のルビが付けられている。))。 --しかし2022年7月7日にパブリッシャーがHenteko Doujinに移行した事で、Steam版も日本語対応が完了した。 **参考動画 #region(PV. The Tale of ALLTYNEX) PV. The Tale of ALLTYNEX &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=H-NU6Tl8oes) #endregion **総評 あらゆる観点で見ても当時の個人製作ゲーム(同人サークルとなっているが、実質ほとんど一人で制作されている)とは思えないほど優れた出来栄えであり、一般流通化されたのも頷ける名作STG。~ 初心者から上級者まで視野に入れたゲーム性と、STGとしては人を選ぶ作風ではないことから、興味さえあれば誰でも楽しめるような内容になっている。~ シューターであれば勿論のこと、その中でも上述したシューティング3作のファンには特におすすめできる作品。 **余談 -「神威零号機改」について --開発当初から特別扱いのボスであり、元々はライバル機として複数回登場させる予定だった。 --テストプレイの段階ではあまりに異常な強さであることが判明したため、弱体化を余儀なくされたという。 --本作発表から9年後の『[[RefleX]]』では、当該作の自機が神威零号機改の母体となった戦闘機であるという後付け設定が加えられた。また『RefleX』には2機の神威がボスとして登場。このため両作で、事実上の新旧自機の対決という形になった。 -5面中ボス「天蠍」は『Reflection』からのゲストボス。本作を皮切りに後の『The Tale of ALLTYNEX』作品にも登場し、3部作皆勤となった。 -5面ボス「ALLTYNEXOS搭載型都市管理級汎用管理コンピューター 悩巣」について --『ALLTYNEX』のラスボスである「恒星系管理級汎用管理コンピュータ ALLTNEX」の同型マシンではなく、性能の劣る補助コンピュータという設定。(肩書も管理する規模が大幅に違う) --『ALLTYNEX2nd』の設定では「Problem Nest」、『RefleX』のモノローグでは「脳巣ネットワーク」として言及されている。
*神威 【かむい】 |ジャンル|シューティング| |対応機種|CD-ROM版:Windows 95~XP&br;Steam版:Windows 2000~8| |発売元|CD-ROM版:MSD-JAPAN&br;Steam版:Nyu Media→Henteko Doujin(2022/7/7にパブリッシャー移行)| |開発元|SITER SKAIN| |発売日|CD-ROM版:2001年1月19日&br;Steam版:2014年12月12日| |定価|CD-ROM版:2,000円(税別)&br;Steam版:798円| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''| |>|CENTER:''The Tale of ALLTYNEXシリーズリンク''&br()''神威'' / [[RefleX]] / [[ALLTYNEX Second]]| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 同人サークル「SITER SKAIN」が制作し、1999年12月のコミックマーケットで発表された縦STG。~ サークル代表が「SITER SKAIN」名義で活動する前に制作した同人STG『ALLTYNEX』『Reflection』の設定が取り入れられ、~ なおかつ複数の名作STGの影響を受けているゲームシステム、作風が特徴。~ 世界観を共有するシリーズ『The Tale of ALLTYNEX』3作の内の1つであり、第3部に位置する。 当時としても、そして現代から見ても商業STGに匹敵する極めて高い完成度を誇ったことから、同人STG最高峰と言われるほどの評価を受けている作品。~ ''2度((100円ショップダイソーから発売された体験版『神威Light』を含めれば3度。MSD-JAPANから発売されたパッケージ版では「インターネット上で人気度、知名度共にNo.1のシューティング!ついに登場!!」と記載された。))にわたって一般流通販売''されたことからも、その評価の高さを覗うことができる。~ 前述のパッケージ版の生産は全て終了しているが、現在はSteamで配信されているためこちらから入手可能。 **ストーリー >遙か昔から上空に霞んで見える謎の物体。古より人々から神として崇められてきたそれは、文明崩壊以前の旧世界の遺産、衛星軌道上にある巨大な人工建築物「機械神殿」だった。~ そして脳に送り込まれる命令のままに「彼女」は目覚め、機械神殿から対人類の殲滅兵器の鍵となる機動兵器''「神威」''が飛び立った。 (Wikipediaより転載) **特徴 ***基本内容 -全6面構成。周回プレイなし。 -ステージセレクトモードあり。 -難易度は「簡単(Easy)」「普通(Normal)」「脅威(Menace)」の3段階。 -『[[ゼビウス]]』のような高低差の概念あり。 -残機はエクステンドなしの3機で、その場復活制。ただし数回の被弾に耐えられるシールドを持っている。 --ゲーム開始時や復活時はシールドは4つ。アイテムにより8まで増加する。被弾するとしばらく無敵時間が発生する。 -コンティニュー回数は無制限。 ***武器 2ボタンを使用して3種類の武器を使い分ける。~ 各武器を同時発射することはできない。 -通常弾(1ボタン) --一般的なSTGの自動連射ショット。同高度の敵にのみ有効。 --最大8段階までパワーアップする。ミス時は2段階パワーダウン。 -雷撃(2ボタン) --自機より低高度の敵をロックオンして攻撃する雷状誘導兵器。 --時間経過で、画面左下にあるメーターの緑ゲージが徐々に左から溜まっていく。 --ボタンを離すと緑ゲージを全消費し、その分だけ最大16本の雷を発射する。 ---ボタンを押しっぱなしにすることで、緑ゲージが溜まる速度が少し上がる。 --発射後はごく僅かな間だけだが索敵し続けるため、上手くタイミングを合わせれば複数の敵に連続攻撃が可能。 --破壊した敵のスコアには、発射した雷本数と同じ倍率がかかる。 -雷刀(1,2ボタン同時押し) --ボタン同時押ししている間照射される大型ビーム。同高度の敵にのみ有効。 --高威力であり、さらにほとんどの敵の攻撃を掻き消すことが可能。 ---特定の攻撃を掻き消した場合、打ち返し攻撃を発生させて追加ダメージを与えられる。 --照射中は自機の移動速度が低下する。 --照射し続けるとメーターの右から赤ゲージが溜まる。赤ゲージは緑ゲージを上書きしながら溜まっていき、最大になると雷刀と雷撃はどちらも使えなくなる。 ---照射を止めると、赤ゲージが徐々に減少していく。 ***アイテム 決められた種類の空中敵を通常ショットか雷刀で一定数破壊するごとに出現する。~ それぞれのアイテムに関わるレベルが最大の時に回収するとボーナスが加算される。 -パワーアップ(緑色):通常弾のパワーアップ。 -シールド(青色):シールドを1回分回復する。 ***隠し機体 全ての難易度をクリアすると、4面ボス前座として登場する「量産型神威模造機」をプレイヤーとして使用可能になる。~ 総合的に神威より性能は低く、優れている点は雷刀による弾消し能力程度。 -移動速度は神威より遅いが、雷刀を使っても移動速度に変化なし。 -通常弾は最大5段階で、広範囲攻撃できない代わりに連射力が高い。 -雷撃は最大12本まで。 -雷刀は拡散型で広範囲をカバーするため、防御力が高い。しかし威力は非常に低く、打ち返しを除いて攻撃目的にはほとんど役に立たない。 -シールド初期防御回数は2回。 **評価点 ***オマージュ 本作は複数の商業STGを参考にしてまとめられたシステムや作風が特徴で、ゲーム内の随所にその影響を見受けられる。~ また、単なる模倣では終わらず、独自に発展させた点も多いので、オマージュのクオリティは高い((開発者は既存作品の模倣で終わらないように工夫していると発言している。))。~ このため、元になった作品を知っているSTGファンを喜ばせる要素となっている。~ オマージュ元となった作品として、主に以下が挙げられる。 -『[[レイフォース]]』 --''この作品に関しては、参考にしていない部分を探す方が難しいと言えるほどの強い影響を本作に与えている。'' --その象徴と言えるのが自機「神威」であり、デザインが「X-LAY」と瓜二つ。 --ドット絵のみで高低差を表現した疑似3Dグラフィックやそれと大きく関わるロックオン攻撃など、基本的なゲームシステムがよく似ている。 --本作のボスのほとんどがこの作品のボスを元にしているのがすぐ分かる他、雑魚敵にも似たような動きや攻撃をしてくるものが多い。 --「宇宙空間から戦闘開始→敵艦隊を突破して大気圏突入→地下都市を突破→地中奥深くの中枢システムの破壊」と言った一連のゲーム全体の流れが同じ。 ---本作は上記の流れに+αしたような内容になっている。 ---この作品の2面には「倒しきれない数の敵の大艦隊によって味方艦隊が全滅させられる」という名シーンが存在した。本作では「単機で敵艦隊を全滅する」というほぼ逆のことができる。 ---最終面に存在した「地下都市の背景上にいる大量の雑魚敵をロックオン攻撃で一掃しつつボスまで辿り着き、高速スクロールしながらボスと激しい戦闘を繰り広げる」という演出が、本作4面でも見られる。 -『[[蒼穹紅蓮隊]]』 --ステージ開始時、ボス登場時、ボス撃破時に表示される明朝体テロップ演出が本作にも登場する。 ---漢字を多用した長い解説文の後に、片仮名ルビを付けられたステージ名やボス名が大きなフォントで表示されるのも同じ。 ---中でも1面開始時の【衛星軌道上機械神殿対人類殲滅用神双槍&color(red){「神威」}&ruby(キドウ){''起動''}】や6面ボス登場時の【衛星軌道上機械神殿脳融合理論最終型対惑星破壊用究極兵器&ruby(ザフィケル){''裁定者''}】は、それぞれ最初と最後というだけでなく、漢字のみの凄まじく長い肩書きということもあり、インパクトは抜群。 --ロックオン攻撃は「ボタンを押し続けている間索敵し、離すとロックオンした敵を攻撃する」という仕様のため、『レイフォース』のロックオンレーザーよりもこちらのN.A.L.Sに近い。 --自機のジェット噴射音や敵のビームチャージ音など、一部の効果音が共通している。 -『[[サンダーフォースIV]]』 --どちらかというと後述するサンダーフォースVの方がオマージュが多いが、本作はシリーズ唯一の「溜め撃ち」がストーリー的にもゲーム性にも大きく存在感を見せており、その名前は「サンダーソード」と本作の必殺武器の『雷刀』を英訳した名前と同じだが、演出やゲーム性的にはサンダーフォースVのツインショット(orブレイド)のオーバーウェポンに近い。 -『[[サンダーフォースV]]』 --雷刀のエフェクトがツインショットのオーバーウェポンと似ている。「照射直後は扇状に拡散していて、その後素早く直線状に収束し、周囲に電撃が走る」という動きをする。 --本作2面ボス「黒鷹」は「Guardian's Knight」と同様、死に際に巨大ビームを放つという初見殺しを行ってくる。 --本作4面ボス「神威零号機改」は、オーバーテクノロジーで構成されている戦闘機の残骸を改造した大型機動兵器であることや最終形態時に巨大な翼を生やすことなどから、「Vasteel Original」に近い立場といえる。 --ゲームオーバー後のネームエントリー画面がこの作品のものと細かい点で共通している。 ---背景には自機の画像が用いられている。 ---1面から順に各ステージのスコアが表示される。 ---名前入力の方式。左右に回転させながら文字を選ぶもの。 ---ランク外だとそれを伝えるメッセージが表示される。 ***グラフィック・演出 -解像度640*480の256色に詰め込まれたグラフィックはそれまでの商業2DSTGにも匹敵するほど綿密で、キャラクターも背景も細かく描かれている。 -回転・拡大縮小・半透明表示を使った演出が多用されており、オマージュ元の『レイフォース』にも引けを取らないクオリティとなっている。 --攻撃後に離脱行動を取る雑魚敵などに、回転演出をよく見られる。 --画面奥からこちらへ迫ってくる敵機や、発射されて低高度の敵を素早く攻撃する雷撃などは、3Dのような奥行きを感じさせる動き方をする。 --1面の機械神殿、3面の要塞とそれに通じる渓谷、4,5面の地下都市は、特に立体的な演出となっている。 --ボスは複数のパーツで構成されているものがほとんどで、中には拡大縮小を使ったものもいる。 ---3面ボス「黄蜘蛛」の足パーツには特にそれが活かされている他、ボス自体が上昇下降を繰り返すこともあり、本作独自の演出が上手く利用されている。 ---6面ボス「裁定者」は同高度低高度問わず多数のパーツで構成されていて、ラスボスということもあり威圧感がある。 --半透明処理は2面の雲や水、「神威零号機改」の光翼、5面ボス「悩巣」が展開する六角形パネルなどに用いられている。 -''4面ボス戦は本作最大の見所と言えるほど派手な演出がなされている。'' --「量産型神威模造機」 ---高速スクロールに加えてそれぞれの模造機が素早く画面内を動き回るため、戦闘機同士の激しいドッグファイトが見事に表現されている。 ---自機と同様雷撃を持っており、着弾地点にはロックオンマーカーが出現する。 ---模造機は単なる色違いではなく、よく見るとオリジナルの神威とは微妙にデザインが異なる。 --「神威零号機改」 ---先述通り『サンダーフォースV』の「Vasteel Original」のみならず、『レイフォース』の「Con-Human」に相当する立ち位置の片割れをも担うボス。その圧倒的な存在感から『The Tale of ALLTYNEX』内でも主役級の扱いをされている。 ---模造機戦から引き続き行われる高速スクロールや、戦闘途中の装甲パージは正に「Con-Human」を思い起こさせる。 ---変形機構を持っており、大胆な変形が行われるだけでなく、光翼まで展開する。この神々しいデザインと前座の存在によって、サークルメンバーにさえラスボスと誤解されたほど。 ---激しい弾幕、大量の誘導レーザー、オールレンジ兵器、そして連射性能の高い雷撃と自機よりもさらに強力なビーム型雷刀を武器としており、単なる強敵というだけで終わらない強烈な印象を与えるボスになっている。 ***BGM -パイプオルガン、コーラス、ストリングス、ギターなどを再現した音で構成されているのが特徴。神秘的ながらも力強くハイテンポな曲調に仕上がっている。 -物悲しいBGMが多く、本作のストーリー、設定、結末を反映したかのような雰囲気となっている。 -本作代表曲とも言える1面BGM「終焉の時」は、STGの1面BGMらしいアップテンポなBGMというだけでなく、神威出撃時の演出も相まって印象に残りやすい。 -4面までで用いられるボスBGM「高貴なる鷹」は、同サークルの過去作『ALLTYNEX』の「GRIFIS WAVE」のアレンジ。ボス戦独特の緊迫感を前面に押し出した疾走感溢れるBGMであり、その場の展開(特に4面ボス戦)を盛り上げている。 -6面ボスBGM「裁く者」は、イントロのコーラスとパイプオルガン風のメロディによってラスボス戦らしい壮大さを演出している。 ***システム -自機の性能が高く、攻撃面・防御面共に優秀。 --雷撃 ---商業STGのロックオン攻撃で例えるなら「『[[レイストーム]]』のR-GRAY1・R-GRAY2のロックオンレーザーそれぞれの長所を集めたような性能の電撃を放てる、全画面にウェブを張ることが可能なN.A.L.S」と言ったところ。 ---ロックオンは自動で行われるため、照準を合わせるような動作を必要としない。ボタンを連打しているだけで、低高度の敵を次々破壊していける。 ---威力はそれなりに高い。稼ぎを狙わないならば、高耐久の大型雑魚であっても同高度に達する前に雷撃を連射すれば速攻撃破が可能。 --雷刀 ---ビーム兵器ということで見た目が派手なだけでなく、それに見合った非常に高い威力を持つ。 ---弾消しによる防御も兼ねた攻撃であり、小出し使用することで長時間敵の弾幕への対抗手段として役に立つ。 ---連続使用には耐えられないものの、エネルギーは割とすぐに回復するため、ボンバーのように出し惜しみをする必要はほとんどない。 ---切り札に見せかけて、総じて使い所が多く汎用性の高い武器となっている。 --シールド ---縦STGでは被弾そのものに対して一撃死が多い中、本作の自機はある程度の耐久力を持っており、シールドは完璧なフェイルセーフとして機能する。 ---被弾時の無敵時間は少し長め。余程の操作ミスを起こさない限り、連続で削られることは少ない。 -雷撃による稼ぎシステム --緑ゲージを溜めてから発射して一気に敵を倒すことで、最大16倍もの得点となる。 ---まとめて発射された雷撃ならば、どれが敵に当たってもゲージ量に比例した倍率が等しくかかる。 ---雷撃には索敵能力や連続攻撃能力があるため、画面内に残った雷撃が後から出現した敵を追加攻撃して高得点となることもある。 --「ボタンを押し続けて溜められるだけ溜めたら発射」を繰り返すだけなので、稼ぐ上で複雑な操作はさほど必要ではない。一方で、ゲージを溜めるか攻撃に転じるかの駆け引きが重要になってくる。 --一部の敵は、破壊後に極僅かな間だが雷撃で追撃できるチャンスが有る。もちろん成功させればボーナスが入る。 --稼ぎが非常に奥深く研究次第で伸びるため、家庭用ならではのボス戦のみプレイ可能。このため新しいパターンを構築するのにプレイ時間の無駄な手間が省ける(PS2の[[グラディウスIII & IV 復活の神話>デラックスパック(コナミ) シリーズ]]やXboxのパンツァードラグーン オルタなど、後々のコンシューマーゲームでは当然の様に搭載されているシステムだが、90年代でこのクオリティかつ親切システム)。 ***ゲームバランス -爽快感を覚えやすい自機の攻撃能力及び敵の配置・特性。 --本作は全体を通して低耐久の雑魚が大量に出現するため、通常弾や雷撃溜め撃ちによる雑魚敵一掃を|できる場面が多い。 --雷刀を使って大型雑魚の耐久力を一気に削って倒せる場面も多く用意されていて、大量破壊とは異なる面白さがある。 --ボスは厚い弾幕を張って攻撃してくることがあるが、雷刀は弾幕殺しとして機能する武器なので、本来なら避けられないような攻撃に対処できたという実感を持てる。 -繰り返しプレイすることで腕の上達を実感しやすいゲーム構成。 --一部露骨な初見殺し((「黄蜘蛛」のビーム薙ぎ払いや「量産型神威模造機」「神威零号機改」の雷撃など。))は存在するが、明確な対処法があるのでパターン化はしやすい。 --敵の出現パターンを覚えて雷撃または雷刀で先制攻撃することや雷刀の弾消しが重要なため、弾避け技術はあまり重視されず、苦手な人でも安心。 --シールドの存在により、最低でも残機1につき5回の被弾が許容される。攻略重視の場合、ゲーム全体の大まかな攻略法を覚えればノーコンティニューやノーミスクリアはしやすい。 -STGによくあるランクシステムは本作には存在しない。このため部分的にでも稼ぎプレイを楽しみやすく「稼ぎ過ぎると難易度が上がって攻略しにくくなるからあえて稼ぎはしない」というジレンマに煩わされることがない。 -コンティニュー回数自体に制限もないので、エンディングを見ようと思えば初心者でも見られる。 -難易度は「簡単、普通、脅威」の三段階だが3つともほぼ別ゲーム。簡単はSTGが苦手な人でも楽しめ、普通は万人受け、脅威は雷刀が全く足りないほどの恐ろしい弾幕と攻撃パターンが待っているため、アーケードの超高難度弾幕STGが好きな人でも楽しめる。特に難易度脅威では同高度敵が固く、雷刀を効果的に「破壊力のあるショット」と使用しなければならないほどのバランスのため、凄まじい弾避けと考えられた武器管理は当然必須。しかも死ぬとショットの威力が大きく下がるためハイスコアを目指すならノーミスが望ましい。また「スコアランキングのスコアにはの横にはしっかり難易度が表示されている(しかも難易度によって文字の色まで違う)」ため「インチキスコア」は表示されず、かなり広いユーザーが楽しめる作りになっている。 ***その他 -発売当時このクオリティーのゲームをプレイするならば、5000円以上(コンシューマーの当時のソフトの価格)か、アーケードでゴリゴリコインを筐体に突っ込む時代で、1500円しかも体験版で動作チェックやある程度遊べるなど、かなりゲームプレイのハードルが低かった。 -発売直後からサークルに直接連絡して買うことができたので、同人誌即売会というハードルの高いイベントに行かなくても、全国どこに住んでいても製品版を入手できた。 -パソコンというネックも「動作するか」などはハイクオリティーの体験版でチェックできた。 -また驚くべきことに、発売当初の動作環境は「Windows95,98,Me」だけでなく「NT4.0(企業や大学などで使われていたWindows)」までサポートしたことである。無論NT4.0の後継OSのWindows2000はもちろん、NTや2000系と95~Me系を統合したWindowsXPでも当然問題なく動作した。またインストールはデータをコピーするのみでレジストリなどを全く必要とせず、当時主流だったMOディスクなどリムーバブルストレージに入れて外のPCで遊べた。このため「完全版は家のHDDにインストールしておき、会社や大学で『HDDを全く使うことなく遊ぶ』ということができてしまった。もちろん体験版も同様」。そのため神威のパターン構築のために大学や会社の空き時間に・・・なんてことが90年代にできたのだ(上司や教授の目はあるがw)。 -演出面やデータ面でかなり高度であり、発売当時普及してたパソコンでサクサク動作するゲームではまずあり得ないハイレベルの演出のゲームであったにもかかわらず、HDDにインストール(当然この時代にSSDなどない)することなく、ゲームをすることを前提としない遅いPCのMOドライブ(光学ドライブ。スピードはSSDとHDDの差を遥かに凌駕する超遅いメディア)で動かしても当時のトップレベルのハイエンドPCの高速HDDに搭載するのと同様に遊べた脅威のプログラムの軽さ、とパソコンが高額な時代ではあったが、ゲームをしてはいけないような酷い低スペックマシンでもサクサク動く様に作られていた。 **問題点 -爆発に紛れて敵弾が見えにくくなることがある。 -雷刀を単体ボタンに割り当てられない。武器の使い分けを頻繁に行う本作においては不便。 -雷撃の照準システムにやや癖がある。 --発射するまでどの敵をロックオンしているのかは分からない。 --自動照準のため、狙いたい敵を思い通りにロックオンすることはできない。敵が大量に出現する場面((1面後半の艦隊戦など。))で稼ぎを行う際に問題になりやすく、「狙おうと思っていた敵をいつまでもロックオンできずに撃ち漏らす」ということがある。 -アイテムの仕様が不親切。 --一定数の敵を特定方法で倒すと出現する仕様のため、いつアイテムが出るかが分かりにくい。何度かプレイしてパターン化する必要がある。 --アイテムは出現すると、画面上へ一定距離移動したらすぐに画面下へ移動するため、取り逃がしてしまいやすい。 ---パワーアップならあまり問題ではないが、シールドは1個でも逃がすと攻略に大きな支障が出る。 ---画面端で敵を倒した時などは、遠くて回収が間に合わなかったり、そもそもアイテム出現に気付かないという事態もあり得る。 -Steam版はあくまで海外向けのリリースであるせいか英語版限定になってしまっており、本作の魅力の一つでもある『蒼穹紅蓮隊』風の明朝体テロップがなくなっている((ステージ名とボス名のみ漢字表記が使用されていて、英語のルビが付けられている。))。 --しかし2022年7月7日にパブリッシャーがHenteko Doujinに移行した事で、Steam版も日本語対応が完了した。 **参考動画 #region(PV. The Tale of ALLTYNEX) PV. The Tale of ALLTYNEX &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=H-NU6Tl8oes) #endregion **総評 あらゆる観点で見ても当時の個人製作ゲーム(同人サークルとなっているが、実質ほとんど一人で制作されている)とは思えないほど優れた出来栄えであり、一般流通化されたのも頷ける名作STG。~ 初心者から上級者まで視野に入れたゲーム性と、STGとしては人を選ぶ作風ではないことから、興味さえあれば誰でも楽しめるような内容になっている。~ シューターであれば勿論のこと、その中でも上述したシューティング3作のファンには特におすすめできる作品。 **余談 -「神威零号機改」について --開発当初から特別扱いのボスであり、元々はライバル機として複数回登場させる予定だった。 --テストプレイの段階ではあまりに異常な強さであることが判明したため、弱体化を余儀なくされたという。 --本作発表から9年後の『[[RefleX]]』では、当該作の自機が神威零号機改の母体となった戦闘機であるという後付け設定が加えられた。また『RefleX』には2機の神威がボスとして登場。このため両作で、事実上の新旧自機の対決という形になった。 -5面中ボス「天蠍」は『Reflection』からのゲストボス。本作を皮切りに後の『The Tale of ALLTYNEX』作品にも登場し、3部作皆勤となった。 -5面ボス「ALLTYNEXOS搭載型都市管理級汎用管理コンピューター 悩巣」について --『ALLTYNEX』のラスボスである「恒星系管理級汎用管理コンピュータ ALLTNEX」の同型マシンではなく、性能の劣る補助コンピュータという設定。(肩書も管理する規模が大幅に違う) --『ALLTYNEX2nd』の設定では「Problem Nest」、『RefleX』のモノローグでは「脳巣ネットワーク」として言及されている。

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