「処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー」(2023/04/30 (日) 11:37:09) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー 【おとめはぼくにこいしてる ふたりのえるだー】 |ジャンル|女装潜入スラップスティックラブコメディ|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/51OCSuPb-eL.jpg,height=160)&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/51CymILD7WL.jpg,height=160)| |対応機種|Windows 2000~7|~| |発売・開発元|キャラメルBOX|~| |発売日|限定版:2010年6月30日&br;通常版:2010年7月30日|~| |定価|限定版:9,500円&br;通常版:8,500円(共に税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |廉価版|キャラメルBOXコレクション&br;単体:2012年5月25日/3,800円&br;1&2パック:2012年5月25日/5,800円(共に税別)|~| |配信|2012年5月25日/3,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|『おとボク』の続編&br;相変わらずの主人公人気&br;焼き直し感ありあり|~| |>|>|CENTER:''処女はお姉さまに恋してるシリーズ''&br;[[1>処女はお姉さまに恋してる]] / ''2人のエルダー'' / 3つのきら星| *乙女はお姉さまに恋してるPortable 2人のエルダー 【おとめはぼくにこいしてるぽーたぶる ふたりのえるだー】 |ジャンル|女装潜入ファンタジー(恋愛アドベンチャー)|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/81%2B0Zn3r0rL._SL1414_.jpg,height=160)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |販売・開発元|アルケミスト|~| |発売元|加賀クリエイト|~| |発売日|2011年4月28日|~| |定価|限定版:8,980円&br;通常版:6,980円(共に税別)|~| |配信|2011年12月1日/5,800円(税別)|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |判定|なし|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 18禁美少女ゲームでの「女装もの」及び「女子校潜入もの」の火付け役となった『[[処女はお姉さまに恋してる]]』、略して『おとボク』の続編として制作された作品。~ 前作から3年後の世界となっており、ファミ通文庫から出版された前作の次年度を描いた公式外伝『櫻の園のエトワール』の影響が端々に見受けられる。~ もっとも、前作から継続して登場しているのは担任兼臨時学院長となった梶浦緋紗子((なぜか担当声優が変わっている。何か事情でもあったのだろうか。))のみなので、知っていれば楽しめるといった程度。~ また、PSP移植版については追加要素自体は悪くないが、その代わりに攻略できるヒロインが2名減ったり一部の仕方なく改変された部分は残念な点。~ Win版の初回限定版はビニールポーチの中に入っており、PSP版の初回限定版にはサウンドトラックが付随する。 **シナリオ 御門千早は双子の姉・千歳が亡くなってから、父と対立。それと時を同じくして、通っていた学校の中でも浮いた存在となってしまい、最近では引きこもっていた。~ それを見かねた母の妙子は千早に対し、女子校である聖應女学院に転入して、1年後無事に卒業できなければ勘当すると命令した。~ 無理矢理女装させられ男であることを隠し、「妃宮千早」として転入した女学院で、以前軟派から助けてくれた七々原薫子をはじめとした少女たちと出会う。~ そして訪れたエルダー選挙では、その薫子と得票数が同数となり、彼女とともに前代未聞の2人の"お姉さま"として、男でありながら全校生徒の憧憬の対象になってしまった。 **キャラクター #region(クリックで展開) &size(15){''妃宮 千早''}~ 主人公。母方の祖母が北欧の出で、そのためか銀の髪を持つ。本名は『御門千早』で、妃宮は母の旧姓。~ 転入にあたり、正体が露見しないように才色兼備、家事万能に加え、人当たりも良いという所謂『完璧な女性』を演じているが、本来は家庭環境のせいもあって人付き合いが苦手。~ しかしそのあまりの完璧さ故に香織理には早々に正体を看破されてしまい、周囲からは尊敬と羨望の眼差しを向けられるようになってしまう。~ 結局、薫子ともども聖應女学院の象徴たる存在『エルダーシスター』として、皆から『お姉さま』と慕われる立場となってしまう((もっとも、エルダーが2人のため、ほとんどの場合名前付きで呼ばれるが…。))。~ そのビジュアルと女性らしさに加え、いざという場面で見せるイケメンぶり、そしてただの完璧超人に留まらない人間味から非常に人気が高く、公式での人気投票では全体の4割もの得票率で堂々の1位となり、挙句の果てにはAmazonで行われたベストオブ美少女キャラ2010で対象の49名中&bold(){2位}の座を獲得。(ちなみに今作からもう一人ノミネートされた薫子は27位)~ したがって、千早も前作での瑞穂同様、本作の主人公、かつメインヒロインである。 &size(15){''七々原 薫子''}~ Win版&PSP版ヒロイン。1年生時の活躍により「騎士(ナイト)の君」の二つ名で呼ばれている。~ 曲がったことが許せない正義感の強い性格で、それゆえに実家の稼業((金融業。昔はグレーなこともやっていたと思われる。))を嫌っている節がある。~ 千早とともにエルダーとして推され、さまざまなことを通じて彼女なりのエルダー像を模索していく。~ PSP版の移植により、彼女のルートでは多少のシナリオ加筆が行われている。 &size(15){''度會 史''}~ Win版&PSP版ヒロイン。千早に仕える侍女だが、関係性としては幼馴染としての側面も持つ。~ 電子機械系統に強く、知人からフォックスハンティングの一式を貸してもらったり、御門邸の監視カメラの管理をしたりしている。~ 気付くと千早は自分で家事をこなす上にその出来栄えが良いのも相まって、侍女の仕事に並々ならぬこだわりがある。~ Win版では全選択肢を総当たりした結果、85%以上の率で彼女のルートに入ることが判明し、そのことからファンの間では「吸引力の変わらないただ一人の侍女」と呼ばれることも((のちにPSP版では攻略ヒロインの差異もあってか緩和されたが、Android版ではバグのために強化されたという逸話もある。))。 &size(15){''ケイリ・グランセリウス''}~ Win版&PSP版ヒロイン。自ら「星の王女」と名乗るブルネットの少女。~ 意外な過去を持っており、彼女のルートではそのシナリオに焦点が置かれる。~ 昨年聖應に編入するまで学校教育というものを受けておらず、そのためか先輩に対してもため口を利くことも((当然だが、敬意を払っていないわけではない。))。~ 占いが得意であり、霊感や第六感に優れていると思しき様子など、前作サブキャラの小鳥遊 圭に似ているところも多く見受けられる。 &size(15){''冷泉 淡雪''}~ Win版&PSP版ヒロイン。華道部所属。千早を越えるべき壁とみなし、特に華道においてはよく千早に突っかかってくる。~ 金髪碧眼なのだが、千早とは違って近しい直系の血縁に外国人がおらず、隔世遺伝かと噂されていることから「謎の金髪」の異名を持つ。~ 本作においては珍しく、彼女のルートは女装ものらしい展開となる。 &size(15){''哘 雅楽乃''}~ Win版ヒロイン。華道部所属であるが、たまに園芸部にも出没することも。~ 「御前」の二つ名を持ち、2年生の間ではご意見番的な立ち位置となっている。~ 学園では極一部の例外を除いて雲の上の存在の様な扱われ方をされているため、甘えられる存在をずっと求めており、ひょんなことから千早に全幅の信頼を寄せる。 &size(15){''神近 香織理''}~ Win版ヒロイン。千早の正体にいち早く気づき、黙っておく代わりに自分の味方をしてほしいと頼む。~ 百合の気があるのか、学内で下級生と肌を重ねることもあることから問題児と見なされており、多くの生徒からは遠ざけられている。~ 非常に頭の回転が早い上に母性的でも有るが、からかうことが好きな茶目っ気も強いので直情的な薫子とは喧嘩友達の様になっている。~ 調香が趣味で、香水を制作することも可能。~ PSPへの移植に伴い、シナリオの変更の影響をもっとも強く受けたキャラクター。 &size(15){''皆瀬 初音''}~ PSP版ヒロイン。学院では生徒会長、寮では寮監を務める。~ 大変な早寝で、夜の10時には眠くなってしまう。これを自身の顔がたぬきのようなものであることとともに、気にしている。~ 優雨をお世話役にするが、彼女の身体が身体なため、「櫻の園のエトワール」での逆転姉妹とはまた別の理由で優雨の世話を焼いている。~ PSPへの移植の際に立ち絵の種類が増加している。 &size(15){''栢木 優雨''}~ PSP版ヒロイン。病弱で今までは入退院を繰り返していたが、両親の「生きる希望を見つけてほしい」との希望により聖應へと入学。~ 絵を描くことが好きで、腕前もかなりのもの。そのことが学院で知られてからは、園芸部所属ではあるが美術部への勧誘も受けている。~ 彼女の母親が女優であるからなのか、おまけシナリオでは文化祭で上演される演劇の台本に口を出すシーンが存在する。 #endregion **評価点 -前作同様の設定とシナリオ --前作と舞台を同じくし、聖應女学院の空気感を壊さないままに新しい物語を作り上げることに成功している。 ---画面の比率が16:9になったこと、全体的なキャラクター数が増えたことなどから、華やかさが増した。 --また本作では「家族」をテーマに据え、千早とヒロインたちとの交流が描かれることに。そのせいかシリアスな展開も多い。~ しかし各キャラクターのバックボーンがしっかりしており、それを土台にした心情描写の深さもあって物語にじっくりと引き込ませてくれる。 ---自身の抱える問題と照らし合わせ、彼女たちの問題をともに乗り越えようとする姿には好感が持てる。 ---千早は「お姉さま」としては前作主人公の瑞穂以上に完璧で隙が無く、やや完成され過ぎた感があるが、こういった局面では人間臭い姿を見せることも。行動は前作の瑞穂と似ているが精神的には異なったキャラ付けになっている。 -注釈 --本作からはバックログでの参照も可能になり、見逃したということが少なくなった((製品としてはファンディスクである『やるきばこ2』からだが、作品としてはこれが最初。))。 --1人格として振る舞おうとするのは相変わらず。 -キャラクター --前作に比べて寮での人数が増えたこともあり、多彩さが際立つことに。 ---特に香織理の存在が前作の空気との差異化に一役買っている。彼女とはほぼ対等な関係になるが、察しの良さや出来た人間性から、完璧なお姉さまである千早も彼女には中々頭が上がらない。その一方で影が強いところも目立ち、ヒロインの中ではケイリとは違う方向に異彩を放っている。 -BGM関連 --前作の音楽鑑賞モードで収録されなかった「宝石のワルツ 作品418 ワルツNo.2」と「夕陽の当たる教室 ~ひのあたるへや~」が本作の音楽鑑賞モードには収録された((もっとも、前者は1のサウンドトラックである「maiden's rest」には収録されているのだが。))((しかし、Win版では本作の挿入歌「移りゆく花のように」のインストバージョンが何故か収録されていない。))。 **賛否両論点 -異色なケイリルート --彼女はミステリアスがウリなキャラで、シナリオ自体のアクも香織理ルートと争うほど強くて面白いのだが、彼女のルートのみ完全にオカルトというかファンタジー色に染まっていて非常に浮いている。 ---前作も本作も霊が登場したりと多少のファンタジー色はあるのだが、ケイリルートは色々な意味で別世界と言っても過言ではない。 -雅楽乃との本格的な会合やルートの半分ぐらいは、エロゲーでなければ描写できないものになっていてある意味衝撃的。 --PSP版で彼女のルートが削除されたのは、彼女のシナリオの大半を修正する必要があるためだろう。 ---賛否はともかく、本作の様なゲームでは珍しいユニークなシナリオになっていると言える。 **問題点 -前作の焼き直し感 --作中期間で3年しか経っていないからなのか、イベントの順番などはほぼ同じ。千早の編入時期は4月からなので、話数としては多少のずれはあるが。 ---学外に出る展開を増やすなどある程度の対応は取っているが、学校行事の時期はずらしようがなかったのだろうと思われる。 --また、前作でも留年した前年のエルダー・十条紫苑がおり、本来のエルダーである宮小路瑞穂とともに行動することが多かった。~ そのため、主題であるダブル・エルダーという設定が思ったよりもインパクトや新鮮さに乏しいという指摘もある。 ---後述のようにエルダーの片割れである薫子の活躍シーンが少なく、千早の活躍ばかりが目立つ(=前作の瑞穂と紫苑のそれに近い)のもその印象に拍車をかけている。 --プールでの授業を受ける方法も、幽霊の憑依による女体化をするというもの((と言っても憑依するのは高島一子ではない。なお、GA文庫から出版されている小説版では違う方法を取っている。))で、前作と全く同じ。 -個別ルートのボリュームが少ない。 --評価点に挙げられる程である共通ルートの描写の深さ、ボリュームの多さとは裏腹に個別ルートでは全体的に展開が駆け足気味で肩透かしを受ける。 --個別ルートそれぞれで見ると評価の高いものもあるが、作品全体としての雰囲気の統一を重視した結果、どのルートでも似たような印象を受け、マンネリ気味になってしまっている。 --その結果、一人目の攻略を終えた段階では満足するが、それからは作業的な印象を受けるという意見も多い。 --ファンタジー色の強いケイリルートはこの問題点をもろに受けており、人によっては超展開気味な印象を受ける。きっちり作りこめば他のルートとは一線を画す独自性をもっと出せたであろう。 -(Win版のみ)初音が攻略対象ではない。 --外伝『櫻の園のエトワール』の登場人物であり、本作発売前から人気のあったキャラクターだったため、この扱いを残念がる意見は多く見られた。 --PSP版では攻略対象に昇格したが、ストーリー展開的にはPC版で攻略対象であっても何ら問題のないもので、全年齢版の都合上香織理と雅楽乃の個別ルートが削除されたことに対して両機種のボリュームのバランスを取るための措置ではないかという推測も見られた。 --PSP版がPC版の発売から1年も経たないうちに発売されたため、(厳密には違うが)露骨な完全版商法的な手法であるという批判も上がった。 ---追加された初音ルート自体の評判は良いことが救い。 -薫子の不遇さ --メインヒロインとしての扱いだけでなく、彼女視点専用のウィンドウが存在するなどもう1人の主人公としても期待されていた。 --しかしふたを開けてみると、彼女の魅力も描かれてはいるが千早の活躍に隠れてしまうことが多く、エルダーとしての見せ場に乏しくなってしまった((千早が何に対してもうまく対処してしまうせいもあるが…。))。 -史ルートへの入り方 --Win版ではとある選択肢を選んだ場合、雅楽乃ルートへのフラグを立てない限り、彼女のルートに突入する。 ---選択肢の名前から「聖さんトラップ」と俗称され、猛威を振るった。 ---キャラクターの項目で述べた「選択肢総当たりによる85%超え」はこの点によるところが大きい。 ---PSP版では、当該選択肢は優雨ルートへのフラグのみとなり、史ルートへのフラグとしては効力をなくした。 --また、前作の一子ルート同様に、他ヒロインのフラグが立たなかった場合には彼女のルートに突入する((他ヒロインは選択肢を選んだ際にSD絵が表示され、誰のフラグを選んだかが分かりやすくなっているが、史にはそれがない。))。 ---もっともきちんとしたシナリオやED曲、後日談は用意されており、開始当初から好感度が最大であったからと見ることもできるので、非難されるほどではないが。 **Win版とPSP版の差異 -攻略ヒロインの違い --上記のとおり、薫子、史、ケイリ、淡雪がどちらでも攻略でき、雅楽乃と香織理はWin版のみ、初音と優雨がPSP版でのみ攻略可能。 --特に香織理はPSP移植の際に彼女の生い立ちの問題で不可能だったとライター兼ディレクターの嵩夜あや氏が述べている。 -シナリオの変更 --香織理ルートが削減されたことに伴い、PSP版における第6話のシナリオはほとんど新規に書き下ろされている。 --また、夏休みイベントやコマンド入力でのみ入れるおまけシナリオなどの加筆がなされている。 ---- **総評 前作からの雰囲気を引き継ぎ、しかしながらまた違うおとボクの一面を見せてくれた一品。~ 新たな設定を完全に生かしきれず、結果的に前作のやり直しのようなシナリオになってしまったこと、Win版とPSP版で差があるなどの問題点はあるが、出来栄え自体は堅実で描写も作りこまれている。~ 業界に大きなインパクトを与えた前作と(当然ながら)比較されることが多く、その意味で辛めの評価を受けてしまった感はある。~ 『櫻の園のエトワール』のその後が見られることなど、ファンアイテムとしては上々。~ 女装バレが早いキャラが多いので女装ものとしての機微はやや薄いが、前作で確立した「おとボク」独自の世界観を求めているならばそれに十分応えうる作品となっている。 ---- **余談 -通常こうした18禁美少女ゲームの発売日は、大抵の場合月末の金曜日が慣例となっているが、本作初回限定版発売日の2010年6月30日は水曜日である。~ これは作中のイベントである「エルダー選挙」の日に引っ掛けたもの。 -2018年2月23日に続編『処女はお姉さまに恋してる 3つのきら星』が発売された。
*処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー 【おとめはぼくにこいしてる ふたりのえるだー】 |ジャンル|女装潜入スラップスティックラブコメディ|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/51OCSuPb-eL.jpg,height=160)&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/51CymILD7WL.jpg,height=160)| |対応機種|Windows 2000~7|~| |発売・開発元|キャラメルBOX|~| |発売日|限定版:2010年6月30日&br;通常版:2010年7月30日|~| |定価|限定版:9,500円&br;通常版:8,500円(共に税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |廉価版|キャラメルBOXコレクション&br;単体:2012年5月25日/3,800円&br;1&2パック:2012年5月25日/5,800円(共に税別)|~| |配信|2012年5月25日/3,800円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|『おとボク』の続編&br;相変わらずの主人公人気&br;焼き直し感ありあり|~| |>|>|CENTER:''処女はお姉さまに恋してるシリーズ''&br;[[1>処女はお姉さまに恋してる]] / ''2人のエルダー'' / 3つのきら星| *乙女はお姉さまに恋してるPortable 2人のエルダー 【おとめはぼくにこいしてるぽーたぶる ふたりのえるだー】 |ジャンル|女装潜入ファンタジー(恋愛アドベンチャー)|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/81%2B0Zn3r0rL._SL1414_.jpg,height=160)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |販売・開発元|アルケミスト|~| |発売元|加賀クリエイト|~| |発売日|2011年4月28日|~| |定価|限定版:8,980円&br;通常版:6,980円(共に税別)|~| |配信|2011年12月1日/5,800円(税別)|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |判定|なし|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 18禁美少女ゲームでの「女装もの」及び「女子校潜入もの」の火付け役となった『[[処女はお姉さまに恋してる]]』、略して『おとボク』の続編として制作された作品。~ 前作から3年後の世界となっており、ファミ通文庫から出版された前作の次年度を描いた公式外伝『櫻の園のエトワール』の影響が端々に見受けられる。~ もっとも、前作から継続して登場しているのは担任兼臨時学院長となった梶浦緋紗子((なぜか担当声優が変わっている。何か事情でもあったのだろうか。))のみなので、知っていれば楽しめるといった程度。~ また、PSP移植版については追加要素自体は悪くないが、その代わりに攻略できるヒロインが2名減ったり一部の仕方なく改変された部分は残念な点。~ Win版の初回限定版はビニールポーチの中に入っており、PSP版の初回限定版にはサウンドトラックが付随する。 **シナリオ 御門千早は双子の姉・千歳が亡くなってから、父と対立。それと時を同じくして、通っていた学校の中でも浮いた存在となってしまい、最近では引きこもっていた。~ それを見かねた母の妙子は千早に対し、女子校である聖應女学院に転入して、1年後無事に卒業できなければ勘当すると命令した。~ 無理矢理女装させられ男であることを隠し、「妃宮千早」として転入した女学院で、以前軟派から助けてくれた七々原薫子をはじめとした少女たちと出会う。~ そして訪れたエルダー選挙では、その薫子と得票数が同数となり、彼女とともに前代未聞の2人の"お姉さま"として、男でありながら全校生徒の憧憬の対象になってしまった。 **キャラクター #region(クリックで展開) &size(15){''妃宮 千早''}~ 主人公。母方の祖母が北欧の出で、そのためか銀の髪を持つ。本名は『御門千早』で、妃宮は母の旧姓。~ 転入にあたり、正体が露見しないように才色兼備、家事万能に加え、人当たりも良いという所謂『完璧な女性』を演じているが、本来は家庭環境のせいもあって人付き合いが苦手。~ しかしそのあまりの完璧さ故に香織理には早々に正体を看破されてしまい、周囲からは尊敬と羨望の眼差しを向けられるようになってしまう。~ 結局、薫子ともども聖應女学院の象徴たる存在『エルダーシスター』として、皆から『お姉さま』と慕われる立場となってしまう((もっとも、エルダーが2人のため、ほとんどの場合名前付きで呼ばれるが…。))。~ そのビジュアルと女性らしさに加え、いざという場面で見せるイケメンぶり、そしてただの完璧超人に留まらない人間味から非常に人気が高く、公式での人気投票では全体の4割もの得票率で堂々の1位となり、挙句の果てにはAmazonで行われたベストオブ美少女キャラ2010で対象の49名中&bold(){2位}の座を獲得。(ちなみに今作からもう一人ノミネートされた薫子は27位)~ したがって、千早も前作での瑞穂同様、本作の主人公、かつメインヒロインである。 &size(15){''七々原 薫子''}~ Win版&PSP版ヒロイン。1年生時の活躍により「騎士(ナイト)の君」の二つ名で呼ばれている。~ 曲がったことが許せない正義感の強い性格で、それゆえに実家の稼業((金融業。昔はグレーなこともやっていたと思われる。))を嫌っている節がある。~ 千早とともにエルダーとして推され、さまざまなことを通じて彼女なりのエルダー像を模索していく。~ PSP版の移植により、彼女のルートでは多少のシナリオ加筆が行われている。 &size(15){''度會 史''}~ Win版&PSP版ヒロイン。千早に仕える侍女だが、関係性としては幼馴染としての側面も持つ。~ 電子機械系統に強く、知人からフォックスハンティングの一式を貸してもらったり、御門邸の監視カメラの管理をしたりしている。~ 気付くと千早は自分で家事をこなす上にその出来栄えが良いのも相まって、侍女の仕事に並々ならぬこだわりがある。~ Win版では全選択肢を総当たりした結果、85%以上の率で彼女のルートに入ることが判明し、そのことからファンの間では「吸引力の変わらないただ一人の侍女」と呼ばれることも((のちにPSP版では攻略ヒロインの差異もあってか緩和されたが、Android版ではバグのために強化されたという逸話もある。))。 &size(15){''ケイリ・グランセリウス''}~ Win版&PSP版ヒロイン。自ら「星の王女」と名乗るブルネットの少女。~ 意外な過去を持っており、彼女のルートではそのシナリオに焦点が置かれる。~ 昨年聖應に編入するまで学校教育というものを受けておらず、そのためか先輩に対してもため口を利くことも((当然だが、敬意を払っていないわけではない。))。~ 占いが得意であり、霊感や第六感に優れていると思しき様子など、前作サブキャラの小鳥遊 圭に似ているところも多く見受けられる。 &size(15){''冷泉 淡雪''}~ Win版&PSP版ヒロイン。華道部所属。千早を越えるべき壁とみなし、特に華道においてはよく千早に突っかかってくる。~ 金髪碧眼なのだが、千早とは違って近しい直系の血縁に外国人がおらず、隔世遺伝かと噂されていることから「謎の金髪」の異名を持つ。~ 本作においては珍しく、彼女のルートは女装ものらしい展開となる。 &size(15){''哘 雅楽乃''}~ Win版ヒロイン。華道部所属であるが、たまに園芸部にも出没することも。~ 「御前」の二つ名を持ち、2年生の間ではご意見番的な立ち位置となっている。~ 学園では極一部の例外を除いて雲の上の存在の様な扱われ方をされているため、甘えられる存在をずっと求めており、ひょんなことから千早に全幅の信頼を寄せる。 &size(15){''神近 香織理''}~ Win版ヒロイン。千早の正体にいち早く気づき、黙っておく代わりに自分の味方をしてほしいと頼む。~ 百合の気があるのか、学内で下級生と肌を重ねることもあることから問題児と見なされており、多くの生徒からは遠ざけられている。~ 非常に頭の回転が早い上に母性的でも有るが、からかうことが好きな茶目っ気も強いので直情的な薫子とは喧嘩友達の様になっている。~ 調香が趣味で、香水を制作することも可能。~ PSPへの移植に伴い、シナリオの変更の影響をもっとも強く受けたキャラクター。 &size(15){''皆瀬 初音''}~ PSP版ヒロイン。学院では生徒会長、寮では寮監を務める。~ 大変な早寝で、夜の10時には眠くなってしまう。これを自身の顔がたぬきのようなものであることとともに、気にしている。~ 優雨をお世話役にするが、彼女の身体が身体なため、「櫻の園のエトワール」での逆転姉妹とはまた別の理由で優雨の世話を焼いている。~ PSPへの移植の際に立ち絵の種類が増加している。 &size(15){''栢木 優雨''}~ PSP版ヒロイン。病弱で今までは入退院を繰り返していたが、両親の「生きる希望を見つけてほしい」との希望により聖應へと入学。~ 絵を描くことが好きで、腕前もかなりのもの。そのことが学院で知られてからは、園芸部所属ではあるが美術部への勧誘も受けている。~ 彼女の母親が女優であるからなのか、おまけシナリオでは文化祭で上演される演劇の台本に口を出すシーンが存在する。 #endregion **評価点 -前作同様の設定とシナリオ --前作と舞台を同じくし、聖應女学院の空気感を壊さないままに新しい物語を作り上げることに成功している。 ---画面の比率が16:9になったこと、全体的なキャラクター数が増えたことなどから、華やかさが増した。 --また本作では「家族」をテーマに据え、千早とヒロインたちとの交流が描かれることに。そのせいかシリアスな展開も多い。~ しかし各キャラクターのバックボーンがしっかりしており、それを土台にした心情描写の深さもあって物語にじっくりと引き込ませてくれる。 ---自身の抱える問題と照らし合わせ、彼女たちの問題をともに乗り越えようとする姿には好感が持てる。 ---千早は「お姉さま」としては前作主人公の瑞穂以上に完璧で隙が無く、やや完成され過ぎた感があるが、こういった局面では人間臭い姿を見せることも。行動は前作の瑞穂と似ているが精神的には異なったキャラ付けになっている。 -注釈 --本作からはバックログでの参照も可能になり、見逃したということが少なくなった((製品としてはファンディスクである『やるきばこ2』からだが、作品としてはこれが最初。))。 --1人格として振る舞おうとするのは相変わらず。 -キャラクター --前作に比べて寮での人数が増えたこともあり、多彩さが際立つことに。 ---特に香織理の存在が前作の空気との差異化に一役買っている。彼女とはほぼ対等な関係になるが、察しの良さや出来た人間性から、完璧なお姉さまである千早も彼女には中々頭が上がらない。その一方で影が強いところも目立ち、ヒロインの中ではケイリとは違う方向に異彩を放っている。 -BGM関連 --前作の音楽鑑賞モードで収録されなかった「宝石のワルツ 作品418 ワルツNo.2」と「夕陽の当たる教室 ~ひのあたるへや~」が本作の音楽鑑賞モードには収録された((もっとも、前者は1のサウンドトラックである「maiden's rest」には収録されているのだが。))((しかし、Win版では本作の挿入歌「移りゆく花のように」のインストバージョンが何故か収録されていない。))。 **賛否両論点 -異色なケイリルート --彼女はミステリアスがウリなキャラで、シナリオ自体のアクも香織理ルートと争うほど強くて面白いのだが、彼女のルートのみ完全にオカルトというかファンタジー色に染まっていて非常に浮いている。 ---前作も本作も霊が登場したりと多少のファンタジー色はあるのだが、ケイリルートは色々な意味で別世界と言っても過言ではない。 -雅楽乃との本格的な会合やルートの半分ぐらいは、エロゲーでなければ描写できないものになっていてある意味衝撃的。 --PSP版で彼女のルートが削除されたのは、彼女のシナリオの大半を修正する必要があるためだろう。 ---賛否はともかく、本作の様なゲームでは珍しいユニークなシナリオになっていると言える。 **問題点 -前作の焼き直し感 --作中期間で3年しか経っていないからなのか、イベントの順番などはほぼ同じ。千早の編入時期は4月からなので、話数としては多少のずれはあるが。 ---学外に出る展開を増やすなどある程度の対応は取っているが、学校行事の時期はずらしようがなかったのだろうと思われる。 --また、前作でも留年した前年のエルダー・十条紫苑がおり、本来のエルダーである宮小路瑞穂とともに行動することが多かった。~ そのため、主題であるダブル・エルダーという設定が思ったよりもインパクトや新鮮さに乏しいという指摘もある。 ---後述のようにエルダーの片割れである薫子の活躍シーンが少なく、千早の活躍ばかりが目立つ(=前作の瑞穂と紫苑のそれに近い)のもその印象に拍車をかけている。 --プールでの授業を受ける方法も、幽霊の憑依による女体化をするというもの((と言っても憑依するのは高島一子ではない。なお、GA文庫から出版されている小説版では違う方法を取っている。))で、前作と全く同じ。 -個別ルートのボリュームが少ない。 --評価点に挙げられる程である共通ルートの描写の深さ、ボリュームの多さとは裏腹に個別ルートでは全体的に展開が駆け足気味で肩透かしを受ける。 --個別ルートそれぞれで見ると評価の高いものもあるが、作品全体としての雰囲気の統一を重視した結果、どのルートでも似たような印象を受け、マンネリ気味になってしまっている。 --その結果、一人目の攻略を終えた段階では満足するが、それからは作業的な印象を受けるという意見も多い。 --ファンタジー色の強いケイリルートはこの問題点をもろに受けており、人によっては超展開気味な印象を受ける。きっちり作りこめば他のルートとは一線を画す独自性をもっと出せたであろう。 -(Win版のみ)初音が攻略対象ではない。 --外伝『櫻の園のエトワール』の登場人物であり、本作発売前から人気のあったキャラクターだったため、この扱いを残念がる意見は多く見られた。 --PSP版では攻略対象に昇格したが、ストーリー展開的にはPC版で攻略対象であっても何ら問題のないもので、全年齢版の都合上香織理と雅楽乃の個別ルートが削除されたことに対して両機種のボリュームのバランスを取るための措置ではないかという推測も見られた。 --PSP版がPC版の発売から1年も経たないうちに発売されたため、(厳密には違うが)露骨な完全版商法的な手法であるという批判も上がった。 ---追加された初音ルート自体の評判は良いことが救い。 -薫子の不遇さ --メインヒロインとしての扱いだけでなく、彼女視点専用のウィンドウが存在するなどもう1人の主人公としても期待されていた。 --しかしふたを開けてみると、彼女の魅力も描かれてはいるが千早の活躍に隠れてしまうことが多く、エルダーとしての見せ場に乏しくなってしまった((千早が何に対してもうまく対処してしまうせいもあるが…。))。 -史ルートへの入り方 --Win版ではとある選択肢を選んだ場合、雅楽乃ルートへのフラグを立てない限り、彼女のルートに突入する。 ---選択肢の名前から「聖さんトラップ」と俗称され、猛威を振るった。 ---キャラクターの項目で述べた「選択肢総当たりによる85%超え」はこの点によるところが大きい。 ---PSP版では、当該選択肢は優雨ルートへのフラグのみとなり、史ルートへのフラグとしては効力をなくした。 --また、前作の一子ルート同様に、他ヒロインのフラグが立たなかった場合には彼女のルートに突入する((他ヒロインは選択肢を選んだ際にSD絵が表示され、誰のフラグを選んだかが分かりやすくなっているが、史にはそれがない。))。 ---もっともきちんとしたシナリオやED曲、後日談は用意されており、開始当初から好感度が最大であったからと見ることもできるので、非難されるほどではないが。 **Win版とPSP版の差異 -攻略ヒロインの違い --上記のとおり、薫子、史、ケイリ、淡雪がどちらでも攻略でき、雅楽乃と香織理はWin版のみ、初音と優雨がPSP版でのみ攻略可能。 --特に香織理はPSP移植の際に彼女の生い立ちの問題で不可能だったとライター兼ディレクターの嵩夜あや氏が述べている。 -シナリオの変更 --香織理ルートが削減されたことに伴い、PSP版における第6話は新規シナリオとなっている。なお、Win版6話の内容はごく一部のみ流用されている。 --また、夏休みイベントやコマンド入力でのみ入れるおまけシナリオなどの加筆がなされている。 ---- **総評 前作からの雰囲気を引き継ぎ、しかしながらまた違うおとボクの一面を見せてくれた一品。~ 新たな設定を完全に生かしきれず、結果的に前作のやり直しのようなシナリオになってしまったこと、Win版とPSP版で差があるなどの問題点はあるが、出来栄え自体は堅実で描写も作りこまれている。~ 業界に大きなインパクトを与えた前作と(当然ながら)比較されることが多く、その意味で辛めの評価を受けてしまった感はある。~ 『櫻の園のエトワール』のその後が見られることなど、ファンアイテムとしては上々。~ 女装バレが早いキャラが多いので女装ものとしての機微はやや薄いが、前作で確立した「おとボク」独自の世界観を求めているならばそれに十分応えうる作品となっている。 ---- **余談 -通常こうした18禁美少女ゲームの発売日は、大抵の場合月末の金曜日が慣例となっているが、本作初回限定版発売日の2010年6月30日は水曜日である。~ これは作中のイベントである「エルダー選挙」の日に引っ掛けたもの。 -2018年2月23日にシリーズ新作『処女はお姉さまに恋してる 3つのきら星』が発売された。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: