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*デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団 【でびるさまなー くずのはらいどうたいちょうりきへいだん】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000A85PL6)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|アトラス|~| |発売日|2006年3月2日|~| |価格|7,140円(税込)|~| |廉価版|アトラスベストコレクション&br()2006年12月7日/2,940円(税込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|女神転生突然の異ジャンル|~| |>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『女神転生』シリーズの1つ、デビルサマナーシリーズ3作目。シリーズの過去、架空の時代大正20年が舞台。~ //架空ではあるが明治末期~昭和初期を強く意識しており、この時代をモチーフにした作品は大変珍しい。 //予め書いておくが、別に大正とかの時代をモチーフにした作品はこれが最初ではない。 『女神転生』シリーズは旧作シリーズ、『真・女神転生』シリーズ・『デビルサマナー』シリーズ・『ペルソナ』シリーズと単発世界観で構成されている。~ 『真・女神転生』『デビルサマナー』『ペルソナ』は世界観がほとんど同じだが、『デビルサマナー』と『ペルソナ』は『真・女神転生』の1作目で東京が壊滅しなかった世界の物語である。~ 『女神転生』シリーズは敵である悪魔と交渉し、味方に引き入れて仲魔(なかま)にし、共に悪魔と戦うシステムが特徴。 ---- **システム -前2作が純然たるRPGであったのに対し、本作はアクションRPGとなっている。 //2001年発売の魔剣Xが同社初のアクションRPGなのでは? --通常の探索や移動画面はRPGだが、ランダムエンカウントで戦闘シーンに移行するとアクション戦闘になる。 --アクション戦闘では主人公ライドウを操作する。ライドウは刀と拳銃で武装しており、銃撃・斬撃・ガード・アイテム使用の行動がとれ、それ以外にも仲魔の召喚や簡単な命令も出せる。 ---戦闘画面は敵悪魔とライドウ、仲魔悪魔が入り混じって戦う。 --シリーズでは敵悪魔と交渉をして仲魔にしたが、本作では敵悪魔の弱点を突き、麻痺状態にした相手を「管」に封じる事で仲魔にする。ただしライドウのレベルより高い悪魔やイベントボスは封印出来ない。 --仲魔との合体技が使えるようになった。敵の弱点を突いて仲魔のテンションを上げる事で発動可能。本作における重要なダメージ源となっている。 -『[[真III>真・女神転生III NOCTURNE]]』と同様に、経験を積ませる事で仲魔が成長するようになった。 -悪魔合体システムがマイナーチェンジ。合体は一度に2体までとなり、前作までの種族は管属という新しい体系に置き換えられた。合体法則もそれに伴って変更されている。本作ではこの合体を「バイナリー」と呼ぶ。 --従来の作品の御霊合体は廃止され、悪魔一体を犠牲にして他の悪魔のステータスをアップさせる「サクリファイス」と呼ばれる合体が追加された。 --シリーズにあった悪魔の力を剣に宿らせる剣合体は「シュミット」という名前で継続している。 -忠誠度システム簡略化。戦闘に出して一緒に戦っているだけで忠誠度が上がる様になり、仲魔の性格を考慮する必要は無くなった。 -マップは『真III』の様な第三者視点に変更され、迷う心配が減った。 -仲魔の連れ歩きに関しての変更 --仲魔を召喚する際にマグネタイトを消費する点は変わらないが、召喚したまま移動しても消費しなくなった。 --仲魔に単独で調査させたり障害物を排除したりと、戦闘以外にも活躍の場が出来た。 --フィールドを移動している時も仲魔のビジュアルが表示されるようになり、お気に入りの悪魔を連れまわす楽しみができた。 ---- **評価点 -世界観やシステムこそ異色だが、キャラクターや全体的なノリは従来シリーズを色濃く継承している。更に真・女神転生やデビルサマナーシリーズのキャラクターやネタが登場しており、割合好評価だった。 --過去の話なので、新規プレイヤーでも十分楽しめるように仕上がっている。 //-ライドウやゴウトを始めとした登場キャラの人気は高い。pixiv等のサイトでも多数の二次創作が見られる。 -移動時や事件捜査など戦闘以外でも仲魔が役立つようになり、単なる戦力ではなくなった。 --ライドウの後ろを付いて来る仲魔の姿は新鮮。コミカルだったり愛らしかったり。''ウコバクがこんなに可愛かったのか''とメロメロになる人が続出。 --『真III』で無くなっていた戦闘時のちょっとした台詞が復活。人気のヒーホー口調やガインくん口調も健在。マッド口調のイッポンダタラが似合いすぎて、ある意味ウラのマスコットキャラだという人も。 ---一方で口調のバリエーションが乏しく、おばさん口調のパールヴァティなどイメージにそぐわないものもある。((『真III』の「タラララン~」が本人が声を当てていると言われる程似合っていたボイスだったために、余計「おばちゃん口調」に違和感を抱く、という声も。)) ---パールヴァティを含めこの問題は続編で改善されている。 -仲魔との合体技が強力に設定されているため、上手く敵の弱点を突けるとかなり有利に戦える。この辺りは『真III』で好評を博したプレスターンバトルに似ている。 -目黒将司氏が手掛けたBGMの評価は高い。((サントラはプレミア化しているので、CDにこだわりが無ければitunes等で買うのが吉。)) -2周目以降にプレイ可能になる高難易度モード「超・葛葉ライドウモード」がやり込み派プレイヤーに嬉しい。 --被ダメージ4倍、与ダメージ1/2、物価3倍、デビルカルテ((『真III』の悪魔全書に相当))の呼び出し料金7倍、等々。相当な難易度となっているが、それだけにクリアした時の感慨もひとしお。 -充実したチュートリアル等、初心者向けの配慮が随所に見て取れる。 -FC版『[[II>デジタル・デビル物語 女神転生II]]』以来の「特定の仲魔を使っての謎解き」が一箇所ある。 --ロケットの中での悪魔だけの戦闘で厳密には特定ではないが、「とある悪魔」でないと攻略は困難。攻略サイト等を見ないでやろうとすると、相当な吟味をしないと突破は難しい。 ---- **賛否両論点 -前作や前々作の舞台は現代でそのノリが好きなファンも結構いたため、何故舞台を大正に?と疑問視する声は時折あがる。 --ただし女神転生シリーズが終末論を扱っていたり、アドルフ・ヒトラーやハーケンクロイツが描かれたキャラクターを登場させた同社作品があり、大正20年を昭和6年(1931年)((世界恐慌を引き金にした終末思想の流行や、ナチ党が台頭を始めた時期。))に換算すると時代背景に関連性がないとも言い切れない。 -一部シナリオ面 --ヒーローものを意識したタイトルロゴをはじめ、ギャグシーンが多かったり、仲間や友人と協力して道を開く展開なども賛否が分かれている。 ---開発者曰く「制作時には暗いニュースが多かったので、元気が出るようなゲームにしたかった」とのこと。決してシナリオの質が悪いという訳ではないが、『女神転生』の雰囲気に合っているかは疑問。 --無理に正伝である真・女神転生シリーズに繋げようとした部分があり、古くからのファンからは受けが悪かった。 //↑ここから上全部、本当に難点か。ただの難癖ではないだろうか? //↑下記の悪魔交渉の件と合わせて、賛否両論点として分けた方が良さげ? ---女神転生から大幅に変える訳にはいかないのだが、視覚上『真・女神転生』本編の前日談とみられても仕方ないデザインになっている。せめて『ソウルハッカーズ』の様に仕上げを副島成記氏が行っていれば雰囲気が和らいだのでは?の声も。 #region(ストーリーの結末についてネタバレ注意) -本作のラスボスの正体は『[[真・女神転生II]]』の時代からやってきた未来人であり、歴史改変を行うことで荒廃しディストピアと化した真Ⅱの世界を変えるという目的で動いている。 --結果的に見ればライドウ(プレイヤー)は歴史改変を阻止した形となる。阻止できなかった場合は『真・女神転生』シリーズの歴史の消失を意味しているが、阻止した場合も荒廃した世界の到来を確固たるものにしてしまったことになり、万事解決したとは言い難い結末になっている。 ---作中では「自分の出来る範囲でやるべきことをやらなければならない」「奴らは取るべき手段を間違えただけ」と主人公側の正当性も語られてはいるが、明るいヒーロー的な作風で始まったのにもかかわらずラストがこれというのもチグハグ感がある。 --大破壊が起きなかったデビルサマナーの世界に分岐すると考えれば辻褄が合わなくもないが、特にそのような流れになる理由は本作では語られない。 ---作中である人物が「大正20年?大正は15年間のはず。君たちがやってきた世界は正史ではないのか?」という台詞を述べるため、もともと大破壊が起きない『デビルサマナー』の世界だという解釈も出来るが、だとすればラスボスは過去の時代ではなく別の世界に移動していることになり、そもそも目的が前提から破綻することになる。 --そもそも時間旅行と歴史改変というギミック自体が『女神転生』シリーズの「創造神」の存在を小さくしてしまうことになる(過去干渉という方法で世界を変えられてしまう)。この辺りは並行世界の概念を登場させた後の真4でも同じ問題が指摘されている。 #endregion ---- **問題点 -戦闘画面でのライドウの操作性が悪い点は一様に不評だった。 --銃を撃つと動きが止まる。刀を振ると止まる。ガードしても止まる。アイテムを使ったり仲魔に命令する時にはいちいちメニュー画面を出して操作せねばならず、面倒。2006年のアクションRPGとしてはやたら動きが硬くもっさりしており、アクション好きな人間には苦痛でしかない。 ---攻撃モーションに関しては『[[モンスターハンター]]』のように意図的に設けられた隙と考えられなくも無いが、仲魔への命令変更は面倒。 --この体たらくなのに発売前のメーカーのコメントが''「スムーズ感をユーザーの皆様に保証します」'' である。 -仲魔のAIがおバカ。一例として、行動判断を仲魔に任せた場合、HPが1でも減ると回復魔法を使うため簡単にMPを使い切ってしまう。 --細かく指示を出せば良いのだが、前述の通りそのための操作が煩わしい。 --回復手段としてディアオーラ((一定時間の間HPが時間と共に徐々に回復。))を使うのが良いが、他の回復魔法の使用指示は戦闘中は非実用的ということである。 //---この例の場合の回避法としてはディアオーラ((一定時間の間HPが時間と共に徐々に回復。))をメインの回復手段として使うという方法が有る。逆を言えばそういったゲームシステム仕様を活用したノウハウを用いないと仲魔が非効率行動を採ってしまうのを防げないと言う事でもある。 -一度に一体しか仲魔を召喚できない。このため、『真III』の時のように個々の弱点をパーティーメンバーの組み合わせでカバーするような戦術は取れなくなった。 --オープニングのムービーでは両手の指と指の間に管を一本づつ持ち、''合計8本もの管から召喚する場面''があるのにあんまりである。これは[[次回作>デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王]]では2体と、なんとか1体増えている。 -悪魔との交渉要素がない。 //-細かなネタこそ仕込んでいるが、メガテンでおなじみの悪魔との交渉ができないこと、そもそも悪魔の数自体が少ない((シリーズではおなじみのピクシーやクー・フーリンも不在))などファンにとってネタを仕込む以前に解決すべき問題が散見される。←さすがに主観に偏り過ぎではないだろうか --交渉が無い代わりにボタン連打だが、PS2コントローラに通常は連射装置は無いため、指に負担がかかる。ちなみに、「連射装置使ってる?」と言いながらクダに吸い込まれる仲魔もいる。 -悪魔合体が全体的に不自由 --忠誠度をMAXにしないと合体素材に使えない。野良悪魔を捕まえて合体させようにも、その都度忠誠度上げの作業をする羽目に。 --新しい合体法則も「合体技術が未成熟」感を出すには良いが、試行錯誤の面白みが少し減っている。 --スキル継承は[[前作>デビルサマナー ソウルハッカーズ]]と同様に優先度順に固定(例外アリ)。綿密な合体計画を立てればある程度は思い通りのスキル構成にできるが、『真III』ではスキル継承の自由度が高かっただけに歯がゆく感じる面も。逆にキャンセルを繰り返す作業にならなくていいという意見もある。 -他のシリーズと違い、合体する時の吟味するための表の表示が一画面ではなくスクロールさせる必要がある。 --仲魔所有制限のマックスがナンバリングタイトル等より多いために表にされた時に大変見づらい。またスクロールの必要があることに気づけなかったもいう声も。 ---管システムで「戦闘で呼び出せるのは一体だけ」の不自由なところを所有制限を大幅に増やす事で取っ替え引っ替えでカバー出来てはいるが、所有数が増えると画面に入りきらないのは目に見えていた筈である。これは次回作でも改善されていない。 -ライドウは探偵(見習い)なのに、推理・謎解きは主に猫のゴウトがやる --シナリオの進行に合わせてヒントを出してくれるのだが、そのヒントが強制かつ懇切丁寧なため、プレイヤーが考える余地が残らない。ほとんど「猫の言うとおりに進むだけ」と化している。 ---非常に不評だったようで、次回作『アバドン王』の冒頭で「口を出しすぎた」とゴウトが謝罪するほど。 ---マイナス点の多いおしゃべりゴウトだったが、キャラクターとして十分な爪跡を残して続編や『真IIIマニクロ』では''ゴウト先生''と愛されている。 --また、本職の探偵である鳴海がろくに動かない。登場人物がサボりコントロールするキャラクターが行動する例は他にもあるが、他の登場人物も総じてライドウをあっちこっちに振り回している。 -剣にしても銃にしても音が軽く、ダメージを与えている感が薄い。 -テクスチャが粗い。人によっては『真III』の方が綺麗と思えるかもしれない。 -回復ポイント(ナキサワメ)の費用が法外 --設置されている場所毎に固定料金なのだが、序盤ですら使用を躊躇する金額であり、終盤では完全にぼったくりとしか言えない額を請求される。 --業魔殿では良心価格で回復が可能なため、ナキサワメを利用する価値はほとんどない。 ---ちなみに続編では「前みたいに高額ではないから利用して」という謝罪が入る。 ---- **総評 シナリオに関しては賛否が大きく分かれている。過去作と余りにも違う世界観や、重さやシリアスさが減少した明るいシナリオは旧作のファンからは批判される一方、大正ロマン溢れる世界観が好きだ、明るいシナリオが良いと評価するプレイヤーも居て評価は一定していない。 システムに関しては今までになかったアクションとコマンドRPGを上手く織り交ぜた新機軸のゲームであり、オリジナリティや新鮮なプレイ感のゲーム性は評価される一方、入力の手間が多い命令コマンド、もっさりな戦闘、微妙な戦闘の操作性は批判されておりこちらも賛否が分かれている((多くの欠点は次回作『アバドン王』で改善されているので本作の問題は特に目立つ。))。 全体的に見ればアトラス製のゲームらしく絶妙かつ手応えのある難易度バランス、良質な音楽、練り込まれたシナリオ等、ゲームの質そのものは決して悪く無い。~ だが、システムは一部問題、シナリオは賛否あり、世界観やゲーム性は旧作から大変化と、受け手によって評価が分かれる作品となっている。 ---- **余談 -麻雀に関連するアイテムを複数揃えると、作中に登場するキャラクター「鳴海」と持ち金を賭けた賭け麻雀ができる。 --面子が足りないので悪魔2体含めて4人打ち麻雀をするのだが、鳴海は当たり前のようにイカサマをして和了っていく。このため基本的に持ち金を奪われるイベントにしかなっていない。 ---一時期2ちゃんねるに「鳴海に国士無双されたらageるスレ」というのがあった程。割合長い間このスレッドはあったようだ。 --金稼ぎをするつもりならセーブ&リセットは必須。それでも戦闘で稼ぐよりは効率は良い。 -ゲーム中でねこじゃらしというアイテムが手に入る。これをゴウトに使うと、最初の頃こそ動じないが、いくつも入手して使っていくと……。 -海外版のタイトルは『Shin Megami Tensei:Devil Summoner:Raidou Kuzunoha vs. The Soulless Army』で、最も長いゲーム名として賞を貰っている((残念ながらギネスでは無く、ゲームサイトでの賞。))。 -人気作であるが、本作ではなぜかPS4/Switch版によるHDリマスターの発売は未だに未定であるため、実機でのプレイのハードルが高い。
*デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団 【でびるさまなー くずのはらいどうたいちょうりきへいだん】 |ジャンル|アクションRPG|&amazon(B000A85PL6)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|アトラス|~| |発売日|2006年3月2日|~| |価格|7,140円(税込)|~| |廉価版|アトラスベストコレクション&br()2006年12月7日/2,940円(税込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|女神転生突然の異ジャンル|~| |>|>|CENTER:''[[女神転生シリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『女神転生』シリーズの1つ、デビルサマナーシリーズ3作目。シリーズの過去、架空の時代大正20年が舞台。~ //架空ではあるが明治末期~昭和初期を強く意識しており、この時代をモチーフにした作品は大変珍しい。 //予め書いておくが、別に大正とかの時代をモチーフにした作品はこれが最初ではない。 『女神転生』シリーズは旧作シリーズ、『真・女神転生』シリーズ・『デビルサマナー』シリーズ・『ペルソナ』シリーズと単発世界観で構成されている。~ 『真・女神転生』『デビルサマナー』『ペルソナ』は世界観がほとんど同じだが、『デビルサマナー』と『ペルソナ』は『真・女神転生』の1作目で東京が壊滅しなかった世界の物語である。~ 『女神転生』シリーズは敵である悪魔と交渉し、味方に引き入れて仲魔(なかま)にし、共に悪魔と戦うシステムが特徴。 ---- **システム -前2作が純然たるRPGであったのに対し、本作はアクションRPGとなっている。 //2001年発売の魔剣Xが同社初のアクションRPGなのでは? --通常の探索や移動画面はRPGだが、ランダムエンカウントで戦闘シーンに移行するとアクション戦闘になる。 --アクション戦闘では主人公ライドウを操作する。ライドウは刀と拳銃で武装しており、銃撃・斬撃・ガード・アイテム使用の行動がとれ、それ以外にも仲魔の召喚や簡単な命令も出せる。 ---戦闘画面は敵悪魔とライドウ、仲魔悪魔が入り混じって戦う。 --シリーズでは敵悪魔と交渉をして仲魔にしたが、本作では敵悪魔の弱点を突き、麻痺状態にした相手を「管」に封じる事で仲魔にする。ただしライドウのレベルより高い悪魔やイベントボスは封印出来ない。 --仲魔との合体技が使えるようになった。敵の弱点を突いて仲魔のテンションを上げる事で発動可能。本作における重要なダメージ源となっている。 -『[[真III>真・女神転生III NOCTURNE]]』と同様に、経験を積ませる事で仲魔が成長するようになった。 -悪魔合体システムがマイナーチェンジ。合体は一度に2体までとなり、前作までの種族は管属という新しい体系に置き換えられた。合体法則もそれに伴って変更されている。本作ではこの合体を「バイナリー」と呼ぶ。 --従来の作品の御霊合体は廃止され、悪魔一体を犠牲にして他の悪魔のステータスをアップさせる「サクリファイス」と呼ばれる合体が追加された。 --シリーズにあった悪魔の力を剣に宿らせる剣合体は「シュミット」という名前で継続している。 -忠誠度システム簡略化。戦闘に出して一緒に戦っているだけで忠誠度が上がる様になり、仲魔の性格を考慮する必要は無くなった。 -マップは『真III』の様な第三者視点に変更され、迷う心配が減った。 -仲魔の連れ歩きに関しての変更 --仲魔を召喚する際にマグネタイトを消費する点は変わらないが、召喚したまま移動しても消費しなくなった。 --仲魔に単独で調査させたり障害物を排除したりと、戦闘以外にも活躍の場が出来た。 --フィールドを移動している時も仲魔のビジュアルが表示されるようになり、お気に入りの悪魔を連れまわす楽しみができた。 ---- **評価点 -世界観やシステムこそ異色だが、キャラクターや全体的なノリは従来シリーズを色濃く継承している。更に真・女神転生やデビルサマナーシリーズのキャラクターやネタが登場しており、割合好評価だった。 --過去の話なので、新規プレイヤーでも十分楽しめるように仕上がっている。 //-ライドウやゴウトを始めとした登場キャラの人気は高い。pixiv等のサイトでも多数の二次創作が見られる。 -移動時や事件捜査など戦闘以外でも仲魔が役立つようになり、単なる戦力ではなくなった。 --ライドウの後ろを付いて来る仲魔の姿は新鮮。コミカルだったり愛らしかったり。''ウコバクがこんなに可愛かったのか''とメロメロになる人が続出。 --『真III』で無くなっていた戦闘時のちょっとした台詞が復活。人気のヒーホー口調やガインくん口調も健在。マッド口調のイッポンダタラが似合いすぎて、ある意味ウラのマスコットキャラだという人も。 ---一方で口調のバリエーションが乏しく、おばさん口調のパールヴァティなどイメージにそぐわないものもある。((『真III』の「タラララン~」が本人が声を当てていると言われる程似合っていたボイスだったために、余計「おばちゃん口調」に違和感を抱く、という声も。)) ---パールヴァティを含めこの問題は続編で改善されている。 -仲魔との合体技が強力に設定されているため、上手く敵の弱点を突けるとかなり有利に戦える。この辺りは『真III』で好評を博したプレスターンバトルに似ている。 -目黒将司氏が手掛けたBGMの評価は高い。((サントラはプレミア化しているので、CDにこだわりが無ければitunes等で買うのが吉。)) -2周目以降にプレイ可能になる高難易度モード「超・葛葉ライドウモード」がやり込み派プレイヤーに嬉しい。 --被ダメージ4倍、与ダメージ1/2、物価3倍、デビルカルテ((『真III』の悪魔全書に相当))の呼び出し料金7倍、等々。相当な難易度となっているが、それだけにクリアした時の感慨もひとしお。 -充実したチュートリアル等、初心者向けの配慮が随所に見て取れる。 -FC版『[[II>デジタル・デビル物語 女神転生II]]』以来の「特定の仲魔を使っての謎解き」が一箇所ある。 --ロケットの中での悪魔だけの戦闘で厳密には特定ではないが、「とある悪魔」でないと攻略は困難。攻略サイト等を見ないでやろうとすると、相当な吟味をしないと突破は難しい。 ---- **賛否両論点 -前作や前々作の舞台は現代でそのノリが好きなファンも結構いたため、何故舞台を大正に?と疑問視する声は時折あがる。 --ただし女神転生シリーズが終末論を扱っていたり、アドルフ・ヒトラーやハーケンクロイツが描かれたキャラクターを登場させた同社作品があり、大正20年を昭和6年(1931年)((世界恐慌を引き金にした終末思想の流行や、ナチ党が台頭を始めた時期。))に換算すると時代背景に関連性がないとも言い切れない。 -一部シナリオ面 --ヒーローものを意識したタイトルロゴをはじめ、ギャグシーンが多かったり、仲間や友人と協力して道を開く展開なども賛否が分かれている。 ---開発者曰く「制作時には暗いニュースが多かったので、元気が出るようなゲームにしたかった」とのこと。決してシナリオの質が悪いという訳ではないが、『女神転生』の雰囲気に合っているかは疑問。 --無理に正伝である真・女神転生シリーズに繋げようとした部分があり、古くからのファンからは受けが悪かった。 //↑ここから上全部、本当に難点か。ただの難癖ではないだろうか? //↑下記の悪魔交渉の件と合わせて、賛否両論点として分けた方が良さげ? ---女神転生から大幅に変える訳にはいかないのだが、視覚上『真・女神転生』本編の前日談とみられても仕方ないデザインになっている。せめて『ソウルハッカーズ』の様に仕上げを副島成記氏が行っていれば雰囲気が和らいだのでは?の声も。 #region(ストーリーの結末についてネタバレ注意) -本作のラスボスの正体は『[[真・女神転生II]]』の時代からやってきた未来人であり、歴史改変を行うことで荒廃しディストピアと化した真Ⅱの世界を変えるという目的で動いている。 --結果的に見ればライドウ(プレイヤー)は歴史改変を阻止した形となる。阻止できなかった場合は『真・女神転生』シリーズの歴史の消失を意味しているが、阻止した場合も荒廃した世界の到来を確固たるものにしてしまったことになり、万事解決したとは言い難い結末になっている。 ---作中では「自分の出来る範囲でやるべきことをやらなければならない」「奴らは取るべき手段を間違えただけ」と主人公側の正当性も語られてはいるが、明るいヒーロー的な作風で始まったのにもかかわらずラストがこれというのもチグハグ感がある。 --大破壊が起きなかったデビルサマナーの世界に分岐すると考えれば辻褄が合わなくもないが、特にそのような流れになる理由は本作では語られない。 ---作中である人物が「大正20年?大正は15年間のはず。君たちがやってきた世界は正史ではないのか?」という台詞を述べるため、もともと大破壊が起きない『デビルサマナー』の世界だという解釈も出来るが、だとすればラスボスは過去の時代ではなく別の世界に移動していることになり、そもそも目的が前提から破綻することになる。 --そもそも時間旅行と歴史改変というギミック自体が『女神転生』シリーズの「創造神」の存在を小さくしてしまうことになる(過去干渉という方法で世界を変えられてしまう)。この辺りは並行世界の概念を登場させた後の真4でも同じ問題が指摘されている。 #endregion ---- **問題点 -戦闘画面でのライドウの操作性が悪い点は一様に不評だった。 --銃を撃つと動きが止まる。刀を振ると止まる。ガードしても止まる。アイテムを使ったり仲魔に命令する時にはいちいちメニュー画面を出して操作せねばならず、面倒。2006年のアクションRPGとしてはやたら動きが硬くもっさりしており、アクション好きな人間には苦痛でしかない。 ---攻撃モーションに関しては『[[モンスターハンター]]』のように意図的に設けられた隙と考えられなくも無いが、仲魔への命令変更は面倒。 --この体たらくなのに発売前のメーカーのコメントが''「スムーズ感をユーザーの皆様に保証します」'' である。 -仲魔のAIがおバカ。一例として、行動判断を仲魔に任せた場合、HPが1でも減ると回復魔法を使うため簡単にMPを使い切ってしまう。 --細かく指示を出せば良いのだが、前述の通りそのための操作が煩わしい。 --回復手段としてディアオーラ((一定時間の間HPが時間と共に徐々に回復。))を使うのが良いが、他の回復魔法の使用指示は戦闘中は非実用的ということである。 //---この例の場合の回避法としてはディアオーラ((一定時間の間HPが時間と共に徐々に回復。))をメインの回復手段として使うという方法が有る。逆を言えばそういったゲームシステム仕様を活用したノウハウを用いないと仲魔が非効率行動を採ってしまうのを防げないと言う事でもある。 -一度に一体しか仲魔を召喚できない。このため、『真III』の時のように個々の弱点をパーティーメンバーの組み合わせでカバーするような戦術は取れなくなった。 --オープニングのムービーでは両手の指と指の間に管を一本づつ持ち、''合計8本もの管から召喚する場面''があるのにあんまりである。これは[[次回作>デビルサマナー 葛葉ライドウ対アバドン王]]では2体と、なんとか1体増えている。 -悪魔との交渉要素がない。 //-細かなネタこそ仕込んでいるが、メガテンでおなじみの悪魔との交渉ができないこと、そもそも悪魔の数自体が少ない((シリーズではおなじみのピクシーやクー・フーリンも不在))などファンにとってネタを仕込む以前に解決すべき問題が散見される。←さすがに主観に偏り過ぎではないだろうか --交渉が無い代わりにボタン連打だが、PS2コントローラに通常は連射装置は無いため、指に負担がかかる。ちなみに、「連射装置使ってる?」と言いながらクダに吸い込まれる仲魔もいる。 -悪魔合体が全体的に不自由 --忠誠度をMAXにしないと合体素材に使えない。野良悪魔を捕まえて合体させようにも、その都度忠誠度上げの作業をする羽目に。 --新しい合体法則も「合体技術が未成熟」感を出すには良いが、試行錯誤の面白みが少し減っている。 --スキル継承は[[前作>デビルサマナー ソウルハッカーズ]]と同様に優先度順に固定(例外アリ)。綿密な合体計画を立てればある程度は思い通りのスキル構成にできるが、『真III』ではスキル継承の自由度が高かっただけに歯がゆく感じる面も。逆にキャンセルを繰り返す作業にならなくていいという意見もある。 -他のシリーズと違い、合体する時の吟味するための表の表示が一画面ではなくスクロールさせる必要がある。 --仲魔所有制限のマックスがナンバリングタイトル等より多いために表にされた時に大変見づらい。またスクロールの必要があることに気づけなかったもいう声も。 ---管システムで「戦闘で呼び出せるのは一体だけ」の不自由なところを所有制限を大幅に増やす事で取っ替え引っ替えでカバー出来てはいるが、所有数が増えると画面に入りきらないのは目に見えていた筈である。これは次回作でも改善されていない。 -ライドウは探偵(見習い)なのに、推理・謎解きは主に猫のゴウトがやる --シナリオの進行に合わせてヒントを出してくれるのだが、そのヒントが強制かつ懇切丁寧なため、プレイヤーが考える余地が残らない。ほとんど「猫の言うとおりに進むだけ」と化している。 ---非常に不評だったようで、次回作『アバドン王』の冒頭で「口を出しすぎた」とゴウトが謝罪するほど。 ---マイナス点の多いおしゃべりゴウトだったが、キャラクターとして十分な爪跡を残して続編や『真IIIマニクロ』では''ゴウト先生''と愛されている。 --また、本職の探偵である鳴海がろくに動かない。登場人物がサボりコントロールするキャラクターが行動する例は他にもあるが、他の登場人物も総じてライドウをあっちこっちに振り回している。 -剣にしても銃にしても音が軽く、ダメージを与えている感が薄い。 -テクスチャが粗い。人によっては『真III』の方が綺麗と思えるかもしれない。 -回復ポイント(ナキサワメ)の費用が法外 --設置されている場所毎に固定料金なのだが、序盤ですら使用を躊躇する金額であり、終盤では完全にぼったくりとしか言えない額を請求される。 --業魔殿では良心価格で回復が可能なため、ナキサワメを利用する価値はほとんどない。 ---ちなみに続編では「前みたいに高額ではないから利用して」という謝罪が入る。 ---- **総評 シナリオに関しては賛否が大きく分かれている。過去作と余りにも違う世界観や、重さやシリアスさが減少した明るいシナリオは旧作のファンからは批判される一方、大正ロマン溢れる世界観が好きだ、明るいシナリオが良いと評価するプレイヤーも居て評価は一定していない。 システムに関しては今までになかったアクションとコマンドRPGを上手く織り交ぜた新機軸のゲームであり、オリジナリティや新鮮なプレイ感のゲーム性は評価される一方、入力の手間が多い命令コマンド、もっさりな戦闘、微妙な戦闘の操作性は批判されておりこちらも賛否が分かれている((多くの欠点は次回作『アバドン王』で改善されているので本作の問題は特に目立つ。))。 全体的に見ればアトラス製のゲームらしく絶妙かつ手応えのある難易度バランス、良質な音楽、練り込まれたシナリオ等、ゲームの質そのものは決して悪く無い。~ だが、システムは一部問題、シナリオは賛否あり、世界観やゲーム性は旧作から大変化と、受け手によって評価が分かれる作品となっている。 ---- **余談 -麻雀に関連するアイテムを複数揃えると、作中に登場するキャラクター「鳴海」と持ち金を賭けた賭け麻雀ができる。 --面子が足りないので悪魔2体含めて4人打ち麻雀をするのだが、鳴海は当たり前のようにイカサマをして和了っていく。このため基本的に持ち金を奪われるイベントにしかなっていない。 ---一時期2ちゃんねるに「鳴海に国士無双されたらageるスレ」というのがあった程。割合長い間このスレッドはあったようだ。 --金稼ぎをするつもりならセーブ&リセットは必須。それでも戦闘で稼ぐよりは効率は良い。 -ゲーム中でねこじゃらしというアイテムが手に入る。これをゴウトに使うと、最初の頃こそ動じないが、いくつも入手して使っていくと……。 -海外版のタイトルは『Shin Megami Tensei:Devil Summoner:Raidou Kuzunoha vs. The Soulless Army』で、最も長いゲーム名として賞を貰っている((残念ながらギネスでは無く、ゲームサイトでの賞。))。 -人気作であるが、本作ではなぜかPS4/Switch版によるHDリマスターの発売は未だに未定であるため、実機でのプレイのハードルが高い。

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