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-本作を語るうえで欠かせないのが独自の戦闘システム。主人公のハイン王子は終始一人旅という初代『[[ドラゴンクエスト]]』と同じ状況なのだが、それに対して敵は最大3体で登場する。このため常に多勢に無勢という状態に陥る……と、思いきや''敵サイドは異種族に対して同士討ちを起こす場合がある''という、独自の仕様がある。 --この場合、敵の攻撃目標がハイン王子になるか異種族になるかはランダム。異種族同士で現れた場合、''敵サイドは常時混乱状態''だと思ってもらってよい。 --また、前述した仕様とは別に「他の敵も巻き添えにする」タイプの攻撃を繰り出す敵もいる。 --後述の魔法システムも合わさり、敵サイドは''同士討ちと自爆が平常運航''という非常にカオスな状態になっている。 ---ハイン王子がコムギ(HP回復アイテム)を食べているうちに、勝手に戦闘が終わっているなどよくあることである。 --ただし、このシステムのおかげでハイン側は「敵同士で争っている間に態勢を整える」ことが可能であり、能力強化の魔法で戦闘態勢を整えたり、HP・MP吸収魔法で回復を行ったり、逃げ道を確保したりなど高い戦略性を出すことに成功している。 ---敵が疲弊しきったところでトドメをさすなど漁夫の利を狙うことが基本だが、防御コマンドがないのが難点。 ''妙なテンションのハイン王子''~ -実父に殺されかけたところを落ち延び、祖国は地の底に封じ込まれ、さらに母を失い親の顔も知らぬまま15年も森の奥に潜み生活をしてきた、という暗い過去がある割に''あまりにも陽気すぎる。'' --%%自称%%[[しんのゆうしゃ>シャドウゲイト]]や[[せかいいちふこうなしょうねん>悪魔の招待状]]に似た独特のケムコ節は本作でも健在である。 #region(以下抜粋) -道端に空いてある穴に対して「たたく」コマンドを選択すると、(スカッ)「たたけないよー!」と、''ノリツッコミを披露する。'' -穴に対して「あける」コマンドを選択すると「あいているからあなっていうんだろっ!」とツッこまれる。 -人物に対して「あける」コマンドを選択すると''服を引ん剝こうとする'' -沼地を「たたく」と「げーーっ!!どろがかおじゅうにとびちったぞ!」と激しく後悔する。 -池を「たたく」と''「ひゃあ つめてぇーっ!!」'' -扉がブツブツと言っているという状況において、言葉を聞き取れる道具を使ったあとのリアクションが「こんなとびらがいえにあったら、うるさいだろうなぁ」と、''扉がしゃべるという状況を怪しむ素振りすら見せない。'' -一部の宝箱に対して「たたく」を実行すると、すっきりしたという理由で''HPが回復する'' -ぬかるみを「みる」と足を滑らせて転倒「ぎえ-っ!このぬかるみはそこなしだ!''フンガ!フンガ!''」 -塔の最上階から見える月に対して「たたく」を実行すると「はっ!''つきをたたこうとせのびをしたらあしをすべらせちゃったよーっ!''」 --この際、塔の最上階から落下して''20ポイントのダメージをうける''。しんのゆうしゃならまず死神の世話になっているだろう。 ---勿論ハイン王子もHPが20以下なら力尽きてしまうのだが…。 --因みに腐ったジュースを飲んで腹下しを起こしても''20ポイントのダメージ''。体が強いのか、それとも腹が弱いのかは謎である。%%''コムギは生で食っても大丈夫なのに。''%% -愛をつかさどる魔道士カミュが閉じ込められている塔に入った時の第一声が''「あのうつくしいひとがここにいるんだな…むふふっ!」'' -小人の質問に正解するとキスをされるが''「やったぁーっ!キスされちゃったぞ!これでがぜんげんきがでてきたぞ!!」''と叫び''HPが回復する'' -物語後半で挑む自分の城では、大きくなった時のハイン王子を想像して描かれた肖像画が飾ってあるが、''「ほんもののほうがハンサムだぞ」と自画自賛する。'' --敵に対してやたらビビリ腰なのもしんのゆうしゃと同じであり、行く手にクーガとスケルトンが戦闘をしているのが見えて「ああっ!ちかづいてくるぞ!!ど、どうしよう」と狼狽える。 ---因みにクーガとスケルトンをドラクエに置き換えると''スライムとおおがらすが喧嘩をしているようなもの。'' -探索で魔物が不意に現れると、「ぎゃあー!」「で、でたーーっ!!」など情けない悲鳴を上げる。 ・・・など、言動のおかしさには枚挙に暇がないが、こういった一人漫才を楽しむのも本作の醍醐味であり、一人旅という寂しさを微塵も感じさせない。むしろそうした面白みをあえて狙っている節すらある。 #endregion ''良質なBGM''~ -1ループが短い曲が多いものの、初期GB作品にしては曲数が多く使いまわしも少ない。いずれの曲も雰囲気に合っており、評価は高い。 --聴く機会が多い戦闘BGMは1曲のみであり、いわゆるボス戦BGMなどは存在しないのが難点。その唯一の戦闘BGMも、4小節程度の短さでループするミニマルミュージックであり、少々好みが分かれる。 ''親切設計が多い''~ -移動に若干手間のかかるシステムだが、「テレポット」というMP0の移動手段があるのでそこまで気にならない。戦闘中以外なら、場所を問わずいつでも効果を発揮する。 -敗北した場合はスタート地点に戻される仕様だが、その際のペナルティはほとんど無い。 --HP・MPとも現在値が「初期レベルでの最大値」で復活する。大抵の場合、回復する手間や出費は必要である。 **問題点 ''使い物にならない魔法、もしくは使いどころが難しすぎる魔法が多い'' -本作の攻撃魔法はあまりにも自爆要素が多い。 --攻撃魔法の属性は幾つかあるが、そのうち炎を呼ぶ「ムーフ」、竜巻を起こす「フィー」、雷を落とす「ザグ」は… ---基本形(ムーフ/フィー/ザグ):単体攻撃。対象は''唱えた本人も含めて''誰か一人(ランダム)。 ---デ系(デムーフ/デフィー/デザグ):単体攻撃。対象は敵一体。 ---ボザ系(ボザムーフ/ボザフィー/ボザグ):全体攻撃。''唱えた本人も含め戦場全域を巻き込む''。 ---ガル系(ガルムーフ/ガルフィー/ガルザグ):全体攻撃。対象は敵全体。 --なお氷属性の「グミー」「ガルグミー」には自爆要素は無いが、巨大な炎を呼ぶ「トルネ」はやはり''唱えた本人も含め全体を巻き込む''。「ガルトルネ」なら対象は敵全体になるが…。 -上記のように、攻撃魔法の約半数が自爆要素持ちという危険な代物である。ひどい。 --前述の「敵の自滅」も大半はこれが原因。 ---「自分の魔法による自爆」によるダメージは相手に対してのダメージよりも小さいが、本来無効化や反射が可能な属性でも自爆時は素通りする。なので同じ魔法でも''王子や異種族が唱えると効かないのに、自分自身で唱えた魔法ではダメージを負う''という奇妙な現象が起こる。 --もちろんハイン王子も例外ではない。LV2で「ムーフ」を覚えて、いざ唱えてみたら''自分が被弾して窮地に陥る''という事は誰もが経験した事だろう。 --基本形の呪文の場合、敵が3体いても、4回に1回は自爆する可能性がある。 ---裏を返せば異種族同士の敵が3体いた場合、敵が唱える基本形の魔法が王子に飛んでくる確率は''1/4でしかない。'' --なお、自爆するからといって上位魔法より威力が高い訳でもなく、安全な上位魔法を覚えたら危険な下位魔法はほとんど用済み。 ---ほとんどの攻撃魔法は「自爆なし」より「自爆あり」の方が消費MPが少ないという点はあるが、これだけのためにダメージを受ける旨味はほとんど無い。また、前述した攻撃魔法のうち「ムーフ」と「デムーフ」は消費MPが同じであり、「デムーフ」を覚えたら「ムーフ」を敢えて使う必要は無くなる。 -敵のMPを減らす魔法「ラマジ」が存在するが、''「敵はMP0でも魔法が使える」''というバグが原因で、ハインにとって意味の無い魔法になっている。 -MPを吸収する「ゲトマジ」は、消費MPが3で''吸収量が1~10''なので損する可能性がある。 --''残りMPが9以下の場合、それ以上吸えない''という謎仕様があるため、よけい損する可能性が高い。 -敵の視界を封じる「メッシャー」は、命中率を落とすのではなく''同種族も狙うようになる''と言う仕様。 --このため敵が単体の場合は使っても何の効果もない。また異種族しかいない場合も何の意味もなさない。 -能力強化系魔法(リアプ/リボプ/リゴウ)や能力低下魔法(ラマーテ)の効果が1~10と安定せず使いにくい。 --そもそも''敵の能力を落としてその分自身のステータスを増やす''「ゲトアプ」と「ゲトボブ」があるため強化のみ、低下のみという時点で微妙。 ---しかしゲトアプ&ゲトボブは攻撃魔法扱いで反射や無効化もされるため、ある程度すみわけはできている。特に「リボブ」は効果が不安定ながら、終盤のボスとの戦いでは勝利の鍵を握る。 ''通常攻撃によるダメージのランダム変動幅があまりに大きすぎる''~ -ダメージ計算式に問題があるのか、「攻撃する側の攻撃力」と「攻撃を受ける側の防御力」によほど大きな差でも無い限りダメージが全く安定しない。序盤は目立たないが、中盤以降は敵味方ともに顕著。 --敵味方両方ともありうるケースだが、''通常攻撃で相手に与えるダメージが「たったの1」か「全力の大ダメージ」の間でとんでもなくブレまくる''事が多い。 ---それが理由で''最強の剣でさえ格下以外が相手だと全くアテにならない''有様であり、入手の際に経たイベントの感動が台無し。 ---ちなみに、攻撃魔法など「通常攻撃以外の攻撃手段」は『ドラゴンクエスト』などの大手RPGと同じ「効く相手には必中の固定ダメージ幅」という方式であるため、通常攻撃よりも圧倒的に信頼できる。ある意味、すみわけが出来てはいるが…。 ---ハイン王子にのみクリティカルヒット「急所を貫く」が実装されてはいるが、基本的にはハイン王子が敵より素早くないと発動しない。 -この問題点はケムコ側も認識があったようで、本作のシステムを流用して翌年発売された姉妹作『[[ネコジャラ物語]]』では通常攻撃まわりのバランスが再調整されている。 ''アイテムに対してのヒントが少ない''~ -「使うことで強敵とも有利に戦える道具」に対しての説明が、クリアに必須のものを除いて全く無い。 #region(以下効果のネタバレ) -ハイン王子の母の形見である「ロザリオ」系道具は、あるボス戦で必須(コレでしかダメージを与えられない)でありヒント自体はあるのだが、その情報を得られる場所に目印は無い。 --あるエリアの木に話すことでコレが苦手という話を聴くことができるが、ボスのいるエリアから離れているのでやや不親切。 -「キカンぞう」は道具として使用することで50%の確率で魔法を完全無効化するバリアを張れるが、説明は全く無い。 --後述のマッド戦ではほぼ必須アイテムなのに… -終盤に手に入る「きいろいミ」は道中で使うと「モグ…モグ…モグ…''ハインのMPがへった''」とやたら淡泊な謎の演出が発生してMPが減るので、普通に使うと地雷アイテムと思ってしまう。 --しかし、この「きいろいミ」の正体は無制限に使用可能な戦闘アイテム。戦闘中に使うと''単体に固定ダメージを与えることができる''ため、終盤のボス戦では必須とは言わないまでも、無いと相当困るアイテム。しかし、やはり説明は無い。 #endregion ''ゴールドが255Gしか持てない''~ -消耗品はLvが上がるごとに値上がりするため、この縛りは地味に厄介。LVが高くなるとオオムギや薬草は255Gでは2・3コしか買えないため、Lvが低いときからこまめに買い足す必要があるのは面倒である。 -なお武器を買い換える必要はなく(イベント毎に自動的に強化される)、防具を買い替える機会は2回だけである。 ''フラグ管理が甘い箇所がある''~ -この当時のゲームならよくあることだが、パスワードに宝箱入手のフラグがないため(貴重品を除く)、パスワード再開でアイテムを量産できてしまう。 --有利なものばかりではなく、2番目に強い剣を手に入れるイベントが、最強の剣を持っている状態でも問答無用で起きてしまう(パワーダウン)。戻って最強の剣入手イベントをもう一度発生させればいいが、面倒。 --これ以外にも回復イベントなどはエリアごとで管理をしているようで、一度移動して戻ってくると何度でも使用できてしまう。 ''敵から得られる経験値が全体的に低め''~ -ハイン王子のレベルアップに必要な経験値は「レベルに応じて順当に高くなっていく」が、敵から得られる経験値は低い。 --特に後半はそれが顕著。ボスや終盤のザコ敵は後述するようにとても強く、満を持しての登場なだけに経験値自体はトップクラスではある。だが、その圧倒的な強さを鑑みると、得られる経験値は雀の涙。レベル上げを目的に強い敵と戦うと即座に痛い目を見るか、早々と息切れような不毛な展開に陥りやすい。 ''一部の敵があまりに強すぎる''~ -真っ先に挙がるのは、序盤のイベントで必ず戦うことになる「スラッグ」。こいつは「酸を吹き付ける」という特殊攻撃を行うが、順当に進めて来たら一発で倒されるような威力の防御無視必中の大ダメージ。 --ダメージ幅が大きいので運が良ければ何とかなるが、運が悪ければ序盤にして大きくレベルを上げる必要が生じる。発動されたら、ダメージが最低値付近でとどまることを祈るしかない。 -終盤に現れる「ドルイド」は本作屈指のトラウマモンスターとして語り草である。 --まず防御力がとんでもなく高く、順当に進めてきたのでは最強の剣でもほとんどダメージを与えられない。このため魔法に頼りたくなるが、トルネ系とグミー系以外は効かない上、HPも高い。 --しかもドルイドは物理攻撃を行わず、ゲトラフ(HP吸収)デザグ・デフィーという''敵を確実に攻撃できる魔法で苛烈に攻めてくる''ため「ザグ系やフィー系を反射する別種の敵」に魔法を使わない限りは自滅することが無く、火力が尋常じゃないので悠長にステータス強化も低下も行うことはできない。 --トドメをさすように行動力(素早さ)が高いため逃げにくく、''同種族2~3体で出現することが多いので同士討ちすらしない''という、ほとんど隙がない凶悪モンスター。 ---一応、レベルを上げる、リゴウで一時強化するなど「ハインの行動力がドルイドの行動力以上になる」と必ず逃げる事が可能。しかし、実現するにはかなり高い数値が要求されるため、結局はそこまでレベルが上がっていればさすがにどうにでも対処できる。あまり、救済措置になっているとは言いがたい。 ''ボスは雑魚に輪をかけて激強''~ -中盤で戦う沼の主「マッド」は守備力が高いうえ、中盤において最強の攻撃魔法「トルネ」と「ガルトルネ」を連発してくる。 --キーアイテムの一つで呪文は封じることができるが、成功率が50%なので非常に運任せの戦いを強いられる。自爆呪文でもあるトルネでダメージ蓄積を狙う手もあるが、やはり運任せになる上に、消耗した挙句倒せないこともザラである。 -サファイアを守護する「イエティ」は「吹雪」でこちらの行動力を落としつつ攻撃をしてくる。 --威力が非常に高いうえ行動力が落とされるため後手に回らざるを得なくなるので回復もままならず殺されることが多い。 --クリアレベルを上回るほど鍛えでもしていない限り、''運よく最低値付近のダメージが出ても2発は耐えられない高威力''でどうにもならない。 --しかも特殊行動なので、前述した「キカンぞう」では封じられない。突破方法としては''吹雪が来ないことを祈るしかない''という運ゲーである。 ---倒さなくてもストーリーの進行に影響はないが、最強防具を手に入れるために避けては通れない相手である。 #region(以下、終盤の一部ネタバレ) -長いダンジョンの奥深くで待ち構えるハイン王子の実父「ヘネシー王」 --守備力と行動力が異常に高く、最高レベルでもまともなダメージが期待できないうえすべての魔法を反射してくる。 --そのうえヘネシー王は最強魔法の「ガルトルネ」と、準最強魔法の「ガルグミー」で容赦なく責め立ててくる。通常攻撃も同じ位に痛い。 --ドルイドを筆頭に強敵がひしめく長い長い道中を抜けた先で待ち受ける''攻撃も魔法も効かないボスに圧倒的に倒され強制送還される''という光景に心をへし折られたユーザーは数知れない。 --実は「きいろいミ」というアイテムで固定ダメージを与えることができるので、これを使い続けるのが攻略方法だがノーヒントなので気づかないユーザーのほうが多い。 ---さらに「マタンゴのほうし」という道具を使えば一定確率で眠らせることが可能なので、低レベルでの撃破も一応可能ではある。 ---したがって、ヘネシー王との戦いにおける最も強力な攻略方法は''胞子でトリップした父親に謎の実を与え続けて倒す''という凄まじくシュールな絵面の代物。だからと言って、それ以外の手段となれば、敵の猛攻を耐えながら通常攻撃でまともなダメージが出る事を祈ると言うことになる。 -ラスボス --ラスボス戦は「イベント戦闘」としての趣が強い展開を見せるため、直前までの難度の高い戦闘から一転して難度は下がるが…。 ---ラスボスは最高レベルのハイン王子さえも上回る本作最速の行動力と、本作の敵の中で最強の攻撃力を併せ持つ。最高レベルでも確実に先攻をとられてしまうので、''運が悪いとMPも道具も尽きるまで毎ターン全力で回復し続けるハメになる''可能性あり。 ---また、ラスボスを含めての二連戦となるので、消耗してる状態から戦闘開始時のラスボスの攻撃で何も出来ないまま倒されてスタート地点に戻される事も普通にある。 #endregion **総評 粗は目立つものの、大きなバグもなく、作りこまれた世界観とユニークなテキストで飽きさせない作りであり、よくまとまった作品に仕上がっている。~ 惜しむらくは、2週間前にGB初のRPG作品として世に出た『SaGa』に完全に埋もれてしまったことだろう。~ こちらが先に発売されていたらGBのRPGの礎になっていた……かもしれない。 **続編など -1990年12月、本作のシステムを流用した姉妹作『[[ネコジャラ物語]]』が発売された。詳細は該当ページを参照のこと。 --ストーリーは本作とは関係なく、完全に独立した内容となっている。当時のケムコらしさは、こちらでも健在。 --通常攻撃まわりのバランスが大きく改善されているなど、ゲームバランスは大きく異なる。 --バッテリーバックアップが搭載され、パスワードコンティニューではなくなった。 -1992年9月には本編の続編である『SELECTION・II 暗黒の封印』が発売された。ADV要素を含む今作のシステムをベースに、パーティー制になるなどの変更が加えられている。 --一人旅ではなくなったためか、ケムコ節全快だった王子の一人漫才はすっかりなりを潜めてしまっている。 --コンティニュー形式はバッテリーバックアップによるセーブに改められた。 -1998年5月には『I』と『II』を一つにまとめた『SELECTION I&II』が発売されている。 --バッテリーバックアップ搭載。『I&II』での『I』は電源オフ後もパスワード入力画面にて内容が保持されており、パスワードとセーブの両方が利用可能。 --パッケージに明記されていないものの、スーパーゲームボーイに対応している。城やダンジョンの石壁のようなピクチャーフレームは目を惹く一方で、ゲーム画面の配色は4階調に色を割り振ったのみと最低限の対応となっている。 --パッケージイラストは少年活劇漫画調の『I』とも、設定を引き継ぎつつ絵画調に改められた『II』とも異なる、新規描き下ろしのアニメ漫画テイスト。 ---俯きながら横を向いている人物がハイン王子なのだろうが、美少年キャラになったうえ髪色も変えられているので、&bold(){とても同一人物には見えない。} -2008年にはiモードなどの携帯コンテンツでフルカラーリメイクされた。 --デザインはそのままにカラーで書き下ろされたモンスターなどは一見の価値あり。 --またハイン王子も線の細い耽美系の容姿に書き直されているが、''概要ページの王子はGB版のまま''なので違和感が凄い。 **配信 -現在は『I』『II』、そして姉妹作『[[ネコジャラ物語]]』と、3作揃って3DSのVCで配信されていた。2023年3月28日配信終了。 **余談 -本作の説明書やパッケージ等の公式イラストにおいて、ハイン王子が剣を右手に持っていたり左手に持っていたりするが、これは作画ミスではない。 --作中で理由が語られる。 -''説明書で、ラスボスの名前を思いっきりネタバレしている。'' --なんと、3DSのVCにおける電子説明書でも同様。 -本作の戦闘BGMは、翌年に同社から発売された『[[スヌーピーのマジックショー]]』で、最終面(60面・120面)のBGMとしても使われている。 -同名の[[RPGツクール2000]]用フリーゲーム『SELECTION』とは無関係。検索する際は要注意…? -[[ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]にゲームボーイソフトが追加されることが発表された2023年2月9日にケムコ公式Twitterが「''ゲームボーイタイトル!弊社にも!あります!どうですか任天堂さん!''」と今作を含めたケムコのソフトをアピールする一幕があった。 --現状で配信する予定は無いそうなのでネタ半分の営業レスと思われるが、配信のための条件が折り合うのであればケムコとしてはやりたいようだ。 ----
//初稿の判定は不安定です。 //判定を変更したい場合は以下のリンク先を読んで、手続きをしてください。 //http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/2742.html *SELECTION 選ばれし者 【せれくしょん えらばれしもの】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B000069S70,image);| |対応機種|ゲームボーイ|~| |発売・開発元|ケムコ(コトブキシステム)|~| |発売日|1989年12月28日|~| |定価|3,000円(税別)|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【3DS】2011年12月7日/400円(税5%込)|~| |備考|【3DS】2023年3月28日配信終了|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -『[[魔界塔士Sa・Ga]]』に続くGBのRPGタイトル第二弾。 -平和だった王国が、探求心の強い王「ヘネシー王」が起こした事故により闇の力に支配されてしまう。15歳の誕生日を迎えた主人公「ハイン王子」が、祖国の呪いを解けるのは自分だけだと知り、その為に必要な伝説の剣を求めて東奔西走する……という王道ストーリー。 **特徴 -普通のRPGとは違い、「みる」、「あける」、「たたく」といったコマンドを使いゲームを進めていくアドベンチャー要素が強いのが特徴。~ このため移動方法もコマンドを選択して、行きたい方向を指定して移動していく。 --エンカウントはシンボルエンカウント方式。移動先のカーソルに●がついている場合は敵が道をふさいでおり、そちらに移動すると戦闘が始まる。 ---また、敵シンボルはアドベンチャーコマンドを実行する際に、自発的に移動する場合がある。その為、プレイヤーの移動と同時に敵と正面衝突して戦闘が始まることもある。 -呪いの影響で大多数の国民が森の木に変えられてしまった為、情報収集の多くは「みる」コマンドを「き」に対して実行して得ることになる。 -コンティニュー形式は、平仮名16文字のパスワードコンティニュー。 **評価点 ''あまりにも斬新な戦闘システム''~ -本作を語るうえで欠かせないのが独自の戦闘システム。主人公のハイン王子は終始一人旅という初代『[[ドラゴンクエスト]]』と同じ状況なのだが、それに対して敵は最大3体で登場する。このため常に多勢に無勢という状態に陥る……と、思いきや''敵サイドは異種族に対して同士討ちを起こす場合がある''という、独自の仕様がある。 --この場合、敵の攻撃目標がハイン王子になるか異種族になるかはランダム。異種族同士で現れた場合、''敵サイドは常時混乱状態''だと思ってもらってよい。 --また、前述した仕様とは別に「他の敵も巻き添えにする」タイプの攻撃を繰り出す敵もいる。 --後述の魔法システムも合わさり、敵サイドは''同士討ちと自爆が平常運航''という非常にカオスな状態になっている。 ---ハイン王子がコムギ(HP回復アイテム)を食べているうちに、勝手に戦闘が終わっているなどよくあることである。 --ただし、このシステムのおかげでハイン側は「敵同士で争っている間に態勢を整える」ことが可能であり、能力強化の魔法で戦闘態勢を整えたり、HP・MP吸収魔法で回復を行ったり、逃げ道を確保したりなど高い戦略性を出すことに成功している。 ---敵が疲弊しきったところでトドメをさすなど漁夫の利を狙うことが基本だが、防御コマンドがないのが難点。 ''妙なテンションのハイン王子''~ -実父に殺されかけたところを落ち延び、祖国は地の底に封じ込まれ、さらに母を失い親の顔も知らぬまま15年も森の奥に潜み生活をしてきた、という暗い過去がある割に''あまりにも陽気すぎる。'' --%%自称%%[[しんのゆうしゃ>シャドウゲイト]]や[[せかいいちふこうなしょうねん>悪魔の招待状]]に似た独特のケムコ節は本作でも健在である。 #region(以下抜粋) -道端に空いてある穴に対して「たたく」コマンドを選択すると、(スカッ)「たたけないよー!」と、''ノリツッコミを披露する。'' -穴に対して「あける」コマンドを選択すると「あいているからあなっていうんだろっ!」とツッこまれる。 -人物に対して「あける」コマンドを選択すると''服を引ん剝こうとする'' -沼地を「たたく」と「げーーっ!!どろがかおじゅうにとびちったぞ!」と激しく後悔する。 -池を「たたく」と''「ひゃあ つめてぇーっ!!」'' -扉がブツブツと言っているという状況において、言葉を聞き取れる道具を使ったあとのリアクションが「こんなとびらがいえにあったら、うるさいだろうなぁ」と、''扉がしゃべるという状況を怪しむ素振りすら見せない。'' -一部の宝箱に対して「たたく」を実行すると、すっきりしたという理由で''HPが回復する'' -ぬかるみを「みる」と足を滑らせて転倒「ぎえ-っ!このぬかるみはそこなしだ!''フンガ!フンガ!''」 -塔の最上階から見える月に対して「たたく」を実行すると「はっ!''つきをたたこうとせのびをしたらあしをすべらせちゃったよーっ!''」 --この際、塔の最上階から落下して''20ポイントのダメージをうける''。しんのゆうしゃならまず死神の世話になっているだろう。 ---勿論ハイン王子もHPが20以下なら力尽きてしまうのだが…。 --因みに腐ったジュースを飲んで腹下しを起こしても''20ポイントのダメージ''。体が強いのか、それとも腹が弱いのかは謎である。%%''コムギは生で食っても大丈夫なのに。''%% -愛をつかさどる魔道士カミュが閉じ込められている塔に入った時の第一声が''「あのうつくしいひとがここにいるんだな…むふふっ!」'' -小人の質問に正解するとキスをされるが''「やったぁーっ!キスされちゃったぞ!これでがぜんげんきがでてきたぞ!!」''と叫び''HPが回復する'' -物語後半で挑む自分の城では、大きくなった時のハイン王子を想像して描かれた肖像画が飾ってあるが、''「ほんもののほうがハンサムだぞ」と自画自賛する。'' --敵に対してやたらビビリ腰なのもしんのゆうしゃと同じであり、行く手にクーガとスケルトンが戦闘をしているのが見えて「ああっ!ちかづいてくるぞ!!ど、どうしよう」と狼狽える。 ---因みにクーガとスケルトンをドラクエに置き換えると''スライムとおおがらすが喧嘩をしているようなもの。'' -探索で魔物が不意に現れると、「ぎゃあー!」「で、でたーーっ!!」など情けない悲鳴を上げる。 ・・・など、言動のおかしさには枚挙に暇がないが、こういった一人漫才を楽しむのも本作の醍醐味であり、一人旅という寂しさを微塵も感じさせない。むしろそうした面白みをあえて狙っている節すらある。 #endregion ''良質なBGM''~ -1ループが短い曲が多いものの、初期GB作品にしては曲数が多く使いまわしも少ない。いずれの曲も雰囲気に合っており、評価は高い。 --聴く機会が多い戦闘BGMは1曲のみであり、いわゆるボス戦BGMなどは存在しないのが難点。その唯一の戦闘BGMも、4小節程度の短さでループするミニマルミュージックであり、少々好みが分かれる。 ''親切設計が多い''~ -移動に若干手間のかかるシステムだが、「テレポット」というMP0の移動手段があるのでそこまで気にならない。戦闘中以外なら、場所を問わずいつでも効果を発揮する。 -敗北した場合はスタート地点に戻される仕様だが、その際のペナルティはほとんど無い。 --HP・MPとも現在値が「初期レベルでの最大値」で復活する。大抵の場合、回復する手間や出費は必要である。 **問題点 ''使い物にならない魔法、もしくは使いどころが難しすぎる魔法が多い'' -本作の攻撃魔法はあまりにも自爆要素が多い。 --攻撃魔法の属性は幾つかあるが、そのうち炎を呼ぶ「ムーフ」、竜巻を起こす「フィー」、雷を落とす「ザグ」は… ---基本形(ムーフ/フィー/ザグ):単体攻撃。対象は''唱えた本人も含めて''誰か一人(ランダム)。 ---デ系(デムーフ/デフィー/デザグ):単体攻撃。対象は敵一体。 ---ボザ系(ボザムーフ/ボザフィー/ボザグ):全体攻撃。''唱えた本人も含め戦場全域を巻き込む''。 ---ガル系(ガルムーフ/ガルフィー/ガルザグ):全体攻撃。対象は敵全体。 --なお氷属性の「グミー」「ガルグミー」には自爆要素は無いが、巨大な炎を呼ぶ「トルネ」はやはり''唱えた本人も含め全体を巻き込む''。「ガルトルネ」なら対象は敵全体になるが…。 -上記のように、攻撃魔法の約半数が自爆要素持ちという危険な代物である。ひどい。 --前述の「敵の自滅」も大半はこれが原因。 ---「自分の魔法による自爆」によるダメージは相手に対してのダメージよりも小さいが、本来無効化や反射が可能な属性でも自爆時は素通りする。なので同じ魔法でも''王子や異種族が唱えると効かないのに、自分自身で唱えた魔法ではダメージを負う''という奇妙な現象が起こる。 --もちろんハイン王子も例外ではない。LV2で「ムーフ」を覚えて、いざ唱えてみたら''自分が被弾して窮地に陥る''という事は誰もが経験した事だろう。 --基本形の呪文の場合、敵が3体いても、4回に1回は自爆する可能性がある。 ---裏を返せば異種族同士の敵が3体いた場合、敵が唱える基本形の魔法が王子に飛んでくる確率は''1/4でしかない。'' --なお、自爆するからといって上位魔法より威力が高い訳でもなく、安全な上位魔法を覚えたら危険な下位魔法はほとんど用済み。 ---ほとんどの攻撃魔法は「自爆なし」より「自爆あり」の方が消費MPが少ないという点はあるが、これだけのためにダメージを受ける旨味はほとんど無い。また、前述した攻撃魔法のうち「ムーフ」と「デムーフ」は消費MPが同じであり、「デムーフ」を覚えたら「ムーフ」を敢えて使う必要は無くなる。 -敵のMPを減らす魔法「ラマジ」が存在するが、''「敵はMP0でも魔法が使える」''というバグが原因で、ハインにとって意味の無い魔法になっている。 -MPを吸収する「ゲトマジ」は、消費MPが3で''吸収量が1~10''なので損する可能性がある。 --''残りMPが9以下の場合、それ以上吸えない''という謎仕様があるため、よけい損する可能性が高い。 -敵の視界を封じる「メッシャー」は、命中率を落とすのではなく''同種族も狙うようになる''と言う仕様。 --このため敵が単体の場合は使っても何の効果もない。また異種族しかいない場合も何の意味もなさない。 -能力強化系魔法(リアプ/リボプ/リゴウ)や能力低下魔法(ラマーテ)の効果が1~10と安定せず使いにくい。 --そもそも''敵の能力を落としてその分自身のステータスを増やす''「ゲトアプ」と「ゲトボブ」があるため強化のみ、低下のみという時点で微妙。 ---しかしゲトアプ&ゲトボブは攻撃魔法扱いで反射や無効化もされるため、ある程度すみわけはできている。特に「リボブ」は効果が不安定ながら、終盤のボスとの戦いでは勝利の鍵を握る。 ''通常攻撃によるダメージのランダム変動幅があまりに大きすぎる''~ -ダメージ計算式に問題があるのか、「攻撃する側の攻撃力」と「攻撃を受ける側の防御力」によほど大きな差でも無い限りダメージが全く安定しない。序盤は目立たないが、中盤以降は敵味方ともに顕著。 --敵味方両方ともありうるケースだが、''通常攻撃で相手に与えるダメージが「たったの1」か「全力の大ダメージ」の間でとんでもなくブレまくる''事が多い。 ---それが理由で''最強の剣でさえ格下以外が相手だと全くアテにならない''有様であり、入手の際に経たイベントの感動が台無し。 ---ちなみに、攻撃魔法など「通常攻撃以外の攻撃手段」は『ドラゴンクエスト』などの大手RPGと同じ「効く相手には必中の固定ダメージ幅」という方式であるため、通常攻撃よりも圧倒的に信頼できる。ある意味、すみわけが出来てはいるが…。 ---ハイン王子にのみクリティカルヒット「急所を貫く」が実装されてはいるが、基本的にはハイン王子が敵より素早くないと発動しない。 -この問題点はケムコ側も認識があったようで、本作のシステムを流用して翌年発売された姉妹作『[[ネコジャラ物語]]』では通常攻撃まわりのバランスが再調整されている。 ''アイテムに対してのヒントが少ない''~ -「使うことで強敵とも有利に戦える道具」に対しての説明が、クリアに必須のものを除いて全く無い。 #region(以下効果のネタバレ) -ハイン王子の母の形見である「ロザリオ」系道具は、あるボス戦で必須(コレでしかダメージを与えられない)でありヒント自体はあるのだが、その情報を得られる場所に目印は無い。 --あるエリアの木に話すことでコレが苦手という話を聴くことができるが、ボスのいるエリアから離れているのでやや不親切。 -「キカンぞう」は道具として使用することで50%の確率で魔法を完全無効化するバリアを張れるが、説明は全く無い。 --後述のマッド戦ではほぼ必須アイテムなのに… -終盤に手に入る「きいろいミ」は道中で使うと「モグ…モグ…モグ…''ハインのMPがへった''」とやたら淡泊な謎の演出が発生してMPが減るので、普通に使うと地雷アイテムと思ってしまう。 --しかし、この「きいろいミ」の正体は無制限に使用可能な戦闘アイテム。戦闘中に使うと''単体に固定ダメージを与えることができる''ため、終盤のボス戦では必須とは言わないまでも、無いと相当困るアイテム。しかし、やはり説明は無い。 #endregion ''ゴールドが255Gしか持てない''~ -消耗品はLvが上がるごとに値上がりするため、この縛りは地味に厄介。LVが高くなるとオオムギや薬草は255Gでは2・3コしか買えないため、Lvが低いときからこまめに買い足す必要があるのは面倒である。 -なお武器を買い換える必要はなく(イベント毎に自動的に強化される)、防具を買い替える機会は2回だけである。 ''フラグ管理が甘い箇所がある''~ -この当時のゲームならよくあることだが、パスワードに宝箱入手のフラグがないため(貴重品を除く)、パスワード再開でアイテムを量産できてしまう。 --有利なものばかりではなく、2番目に強い剣を手に入れるイベントが、最強の剣を持っている状態でも問答無用で起きてしまう(パワーダウン)。戻って最強の剣入手イベントをもう一度発生させればいいが、面倒。 --これ以外にも回復イベントなどはエリアごとで管理をしているようで、一度移動して戻ってくると何度でも使用できてしまう。 ''敵から得られる経験値が全体的に低め''~ -ハイン王子のレベルアップに必要な経験値は「レベルに応じて順当に高くなっていく」が、敵から得られる経験値は低い。 --特に後半はそれが顕著。ボスや終盤のザコ敵は後述するようにとても強く、満を持しての登場なだけに経験値自体はトップクラスではある。だが、その圧倒的な強さを鑑みると、得られる経験値は雀の涙。レベル上げを目的に強い敵と戦うと即座に痛い目を見るか、早々と息切れような不毛な展開に陥りやすい。 ''一部の敵があまりに強すぎる''~ -真っ先に挙がるのは、序盤のイベントで必ず戦うことになる「スラッグ」。こいつは「酸を吹き付ける」という特殊攻撃を行うが、順当に進めて来たら一発で倒されるような威力の防御無視必中の大ダメージ。 --ダメージ幅が大きいので運が良ければ何とかなるが、運が悪ければ序盤にして大きくレベルを上げる必要が生じる。発動されたら、ダメージが最低値付近でとどまることを祈るしかない。 -終盤に現れる「ドルイド」は本作屈指のトラウマモンスターとして語り草である。 --まず防御力がとんでもなく高く、順当に進めてきたのでは最強の剣でもほとんどダメージを与えられない。このため魔法に頼りたくなるが、トルネ系とグミー系以外は効かない上、HPも高い。 --しかもドルイドは物理攻撃を行わず、ゲトラフ(HP吸収)・デザグ・デフィーという''敵を確実に攻撃できる魔法で苛烈に攻めてくる''ため「ザグ系やフィー系を反射する別種の敵」に魔法を使わない限りは自滅することが無く、火力が尋常じゃないので悠長にステータス強化も低下も行うことはできない。 --トドメをさすように行動力(素早さ)が高いため逃げにくく、''同種族2~3体で出現することが多いので同士討ちすらしない''という、ほとんど隙がない凶悪モンスター。 ---一応、レベルを上げる、リゴウで一時強化するなど「ハインの行動力がドルイドの行動力以上になる」と必ず逃げる事が可能。しかし、実現するにはかなり高い数値が要求されるため、結局はそこまでレベルが上がっていればさすがにどうにでも対処できる。あまり、救済措置になっているとは言いがたい。 ''ボスは雑魚に輪をかけて激強''~ -中盤で戦う沼の主「マッド」は守備力が高いうえ、中盤において最強の攻撃魔法「トルネ」と「ガルトルネ」を連発してくる。 --キーアイテムの一つで呪文は封じることができるが、成功率が50%なので非常に運任せの戦いを強いられる。自爆呪文でもあるトルネでダメージ蓄積を狙う手もあるが、やはり運任せになる上に、消耗した挙句倒せないこともザラである。 -サファイアを守護する「イエティ」は「吹雪」でこちらの行動力を落としつつ攻撃をしてくる。 --威力が非常に高いうえ行動力が落とされるため後手に回らざるを得なくなるので回復もままならず殺されることが多い。 --クリアレベルを上回るほど鍛えでもしていない限り、''運よく最低値付近のダメージが出ても2発は耐えられない高威力''でどうにもならない。 --しかも特殊行動なので、前述した「キカンぞう」では封じられない。突破方法としては''吹雪が来ないことを祈るしかない''という運ゲーである。 ---倒さなくてもストーリーの進行に影響はないが、最強防具を手に入れるために避けては通れない相手である。 #region(以下、終盤の一部ネタバレ) -長いダンジョンの奥深くで待ち構えるハイン王子の実父「ヘネシー王」 --守備力と行動力が異常に高く、最高レベルでもまともなダメージが期待できないうえすべての魔法を反射してくる。 --そのうえヘネシー王は最強魔法の「ガルトルネ」と、準最強魔法の「ガルグミー」で容赦なく責め立ててくる。通常攻撃も同じ位に痛い。 --ドルイドを筆頭に強敵がひしめく長い長い道中を抜けた先で待ち受ける''攻撃も魔法も効かないボスに圧倒的に倒され強制送還される''という光景に心をへし折られたユーザーは数知れない。 --実は「きいろいミ」というアイテムで固定ダメージを与えることができるので、これを使い続けるのが攻略方法だがノーヒントなので気づかないユーザーのほうが多い。 ---さらに「マタンゴのほうし」という道具を使えば一定確率で眠らせることが可能なので、低レベルでの撃破も一応可能ではある。 ---したがって、ヘネシー王との戦いにおける最も強力な攻略方法は''胞子でトリップした父親に謎の実を与え続けて倒す''という凄まじくシュールな絵面の代物。だからと言って、それ以外の手段となれば、敵の猛攻を耐えながら通常攻撃でまともなダメージが出る事を祈ると言うことになる。 -ラスボス --ラスボス戦は「イベント戦闘」としての趣が強い展開を見せるため、直前までの難度の高い戦闘から一転して難度は下がるが…。 ---ラスボスは最高レベルのハイン王子さえも上回る本作最速の行動力と、本作の敵の中で最強の攻撃力を併せ持つ。最高レベルでも確実に先攻をとられてしまうので、''運が悪いとMPも道具も尽きるまで毎ターン全力で回復し続けるハメになる''可能性あり。 ---また、ラスボスを含めての二連戦となるので、消耗してる状態から戦闘開始時のラスボスの攻撃で何も出来ないまま倒されてスタート地点に戻される事も普通にある。 #endregion **総評 粗は目立つものの、大きなバグもなく、作りこまれた世界観とユニークなテキストで飽きさせない作りであり、よくまとまった作品に仕上がっている。~ 惜しむらくは、2週間前にGB初のRPG作品として世に出た『SaGa』に完全に埋もれてしまったことだろう。~ こちらが先に発売されていたらGBのRPGの礎になっていた……かもしれない。 **続編など -1990年12月、本作のシステムを流用した姉妹作『[[ネコジャラ物語]]』が発売された。詳細は該当ページを参照のこと。 --ストーリーは本作とは関係なく、完全に独立した内容となっている。当時のケムコらしさは、こちらでも健在。 --通常攻撃まわりのバランスが大きく改善されているなど、ゲームバランスは大きく異なる。 --バッテリーバックアップが搭載され、パスワードコンティニューではなくなった。 -1992年9月には本編の続編である『SELECTION・II 暗黒の封印』が発売された。ADV要素を含む今作のシステムをベースに、パーティー制になるなどの変更が加えられている。 --一人旅ではなくなったためか、ケムコ節全快だった王子の一人漫才はすっかりなりを潜めてしまっている。 --コンティニュー形式はバッテリーバックアップによるセーブに改められた。 -1998年5月には『I』と『II』を一つにまとめた『SELECTION I&II』が発売されている。 --バッテリーバックアップ搭載。『I&II』での『I』は電源オフ後もパスワード入力画面にて内容が保持されており、パスワードとセーブの両方が利用可能。 --パッケージに明記されていないものの、スーパーゲームボーイに対応している。城やダンジョンの石壁のようなピクチャーフレームは目を惹く一方で、ゲーム画面の配色は4階調に色を割り振ったのみと最低限の対応となっている。 --パッケージイラストは少年活劇漫画調の『I』とも、設定を引き継ぎつつ絵画調に改められた『II』とも異なる、新規描き下ろしのアニメ漫画テイスト。 ---俯きながら横を向いている人物がハイン王子なのだろうが、美少年キャラになったうえ髪色も変えられているので、&bold(){とても同一人物には見えない。} -2008年にはiモードなどの携帯コンテンツでフルカラーリメイクされた。 --デザインはそのままにカラーで書き下ろされたモンスターなどは一見の価値あり。 --またハイン王子も線の細い耽美系の容姿に書き直されているが、''概要ページの王子はGB版のまま''なので違和感が凄い。 **配信 -現在は『I』『II』、そして姉妹作『[[ネコジャラ物語]]』と、3作揃って3DSのVCで配信されていた。2023年3月28日配信終了。 **余談 -本作の説明書やパッケージ等の公式イラストにおいて、ハイン王子が剣を右手に持っていたり左手に持っていたりするが、これは作画ミスではない。 --作中で理由が語られる。 -''説明書で、ラスボスの名前を思いっきりネタバレしている。'' --なんと、3DSのVCにおける電子説明書でも同様。 -本作の戦闘BGMは、翌年に同社から発売された『[[スヌーピーのマジックショー]]』で、最終面(60面・120面)のBGMとしても使われている。 -同名の[[RPGツクール2000]]用フリーゲーム『SELECTION』とは無関係。検索する際は要注意…? -[[ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]にゲームボーイソフトが追加されることが発表された2023年2月9日にケムコ公式Twitterが「''ゲームボーイタイトル!弊社にも!あります!どうですか任天堂さん!''」と今作を含めたケムコのソフトをアピールする一幕があった。 --現状で配信する予定は無いそうなのでネタ半分の営業レスと思われるが、配信のための条件が折り合うのであればケムコとしてはやりたいようだ。 ----

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