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注意:このページでは『SHUFFLE』とコンシューマー逆移植版の『SHUFFLE! Essence+』の内容を含み、逆移植版のファンディスク『SHUFFLE! Love Rainbow』も扱っています。 ---- #contents(fromhere) ---- *SHUFFLE! 【しゃっふる】 |ジャンル|恋愛アドベンチャーゲーム|&amazon(B00028VKAY,image);|&amazon(B000Y2KHVG,image);|&amazon(B000BBEC98,image);|&amazon(B002PK0KZ8,image);| |対応機種|Windows 98~XP|~|~|~|~| |発売・開発元|Navel|~|~|~|~| |発売日|2004年1月30日|~|~|~|~| |定価|8,800円(税別)|~|~|~|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|~|~| |配信|【essence+版】FANZA:2020年5月29日/6,380円|~|~|~|~| |判定|なし|~|~|~|~| |ポイント|期待の新星の初タイトル&br;魅力的なキャラクターたち|~|~|~|~| |>|>|>|>|>|CENTER:''[[Navel作品]]''| ---- **概要 エロゲー、ならびに萌え絵師界を代表する絵師の1人である西又葵が前所属のBasiLのスタッフを引き連れて独立。~ 友人で『あいかぎ』(F&C・FC02)などでブレイクしていた絵師、鈴平ひろも引き抜くなど二大看板で創設時から注目されたブランド「Navel」のデビュー作である。~ 至ってスタンダードな恋愛ADVだが荒削りなりに色々と考えて作られても居る。また、制作者の意向で至って暗くならないように作られている。 また、内容を追加してPS2に移植した『SHUFFLE! ON THE STAGE』、そこから更に内容を追加して逆移植した『SHUFFLE! Essence+』という作品がある。~ その経緯から本ページでは逆移植とそこに含まれる移植部分も合わせて記載する。 ---- **ストーリー >神族が住む神界、魔族が住む魔界、そして人の住む人間界が一つにつながり紆余曲折の末、三種の種族が共存の道を選び、魔族や神族の人間が平気で人間界で暮らすようになった世界。~ 主人公、土見稟(つちみ・りん)は三種族が通う学校「バーベナ学園」に通う学生。幼い頃、事故に遭い両親を失うも、美人で学園のアイドルである幼なじみと一つ屋根の下で暮らしている、という羨ましがられつつも平凡な生活を送っていた。~ しかし、そのささやかな平穏は突如、隣に越してきた2人の美少女とその家族によって破られる。~ やってきたのは神王の娘と魔王の娘。2人は超絶な美少女、幼い頃に稟に出会ったことから思慕の念を抱き、稟の嫁になるべく人間界に降り立ったのだった。~ 彼女らのどちらかを選べば次期王になるという。学園のアイドルに加えて、神王の娘にも魔王の娘にも慕われるという羨まれるにもほどがある状況、こうして「神にも王にも凡人にもなれる男」の波乱に満ちた日常がやってきたのだった。 ---- **キャラクター 主人公と攻略キャラのみ抜粋。なお、登場人物は花や植物関連の名前がつけられている。~ また、ファンディスクが複数出ており、移植や逆移植の際にそこから登場人物が追加されたり攻略ルートが追加されていたりもする。 ***主人公とヒロイン(無印) #region(close,クリックで開閉) -土見 稟(つちみ・りん) --美少女達に慕われる「リア充爆発しろ」という境遇になってしまったキャラクター。 ---しかし、両親を8年前に交通事故で亡くしている過去があり、家族ぐるみで付き合いのあった楓の家に住まわせて貰っている。 ---多くの攻略ヒロインは学校内での人気が凄まじく、熱烈なファンも多いので男のモブキャラから嫉妬故の行動を受けることも多い。 --自分よりも他人が傷つくのが耐えられないという性格。それ故に苦労したり、死にかけたりもするが意図せず数多の女性からモテる結果にもなっている。 ---前の学園では、とある事情からその学園の大半の生徒から敵視され、いきすぎたいじめも度々あったという経緯がある((稟は自身の行動からそうされても仕方ないと覚悟をしていたので問題とは思っていない。))。そのことが登場人物との交流に繋がっていることも多い。 -リシアンサス --明るくて気さくで豪快な神王の娘。通称シア。父親が暴走するとパイプ椅子でドツキ倒すのがお約束。 --立場の割にはスーパーで特売巡りをするなど至って庶民的。楓や亜沙並に料理は得意だが、勉強は苦手。 -ネリネ --至って清楚でお嬢様な魔王の娘。愛称はリン(Nerineというスペルから)。 --お淑やかではあるが家事は壊滅状態。幼い頃、病弱だったことあって運動は苦手。 ---普段はおとなしいが、稟への愛情から、稟に憎しみを向けるような者に対しては容赦なく、魔法で攻撃して消し去ろうとまでする。 --「天使の鐘」と称されるほど歌声の持ち主だが、人前で歌うのを嫌う。 -芙蓉 楓(ふよう・かえで) --メイドさんのように甲斐甲斐しく尽くしてくれる幼なじみ。 ---稟の両親と同じく母を8年前に事故で失っており、父は現在海外出張中なので稟と2人暮らししている。 --容姿端麗、家事抜群、頭脳明晰、その上優しいという好人物だが、稟を優先するあまりドジを踏むことも。 --シアとネリネの転校前から学園のアイドル扱いされており、彼女達の転校後はファンの勢力図が複雑化するがそれでも人気が高い様子が窺える。 --稟が誰ともくっつかなかった場合は彼女のルートに進むため、本作にバッドエンドは存在しない。 #region(ネタバレ、ただしマニュアルに載っている) --幼少期の頃、事故で稟の両親と共に母を失ってしまい落ち込むあまり死にそうになる程無気力になってしまった為、稟が「自分が車を急がせたせいで楓の母親が死んだ」と嘘を言うことで気力が回復した代わりに稟を深く怨んでしまい、稟が死にかけるほどの仕打ちを長年続けた。その誤解は現在解けて本人は反省している。楓が稟に尽くすのはこのことも多大な要因。また、色々な意味で尾を引くことになる。 #endregion //重大なネタバレのためCO //でも、マニュアルの人物紹介を読み返してみたら、恨み全般の事がしっかりと書かれています。重大なネタバレのはずなのにさらりと書けてしまうところが問題なのかも知れませんが。 -時雨 亜沙(しぐれ・あさ) --楓と稟の前の学園から付き合いのある先輩で料理の達人。 --真面目でしっかり者であると同時に元気さとノリの良さも持つ、理想的なお姉さんキャラ。 --神族や魔族への偏見は無いが魔法に対しては激しく嫌っており、口に出しただけでも怒る場合がある。学校の魔法学の授業もまじめに受けていない。 -プリムラ --紫がかった白髪でツインテール、感情をあまり表に出さないロリで愛称はリム。魔界神界通じて最強の魔力(暴走すると都道府県の一つくらい消滅する)を持つ世界規模での重要人物。 ---人工生命体で非常に稀有な存在((この世界において神族や魔族は人間社会では少ないだけで一般的な存在。))なので、神王や魔王からも大切にされているが、その立場から非情な扱いを受けることもある((生活する分には困らず虐待などもない。しかし魔力制御が優先され過ぎていることから教育や育成のための環境はおざなりで感情表現が薄いのはその為。))。 --「ネリネ」を通じて「稟」に興味を持ち、そのまま芙蓉家に居候することになる。 ---自身のルートや逆移植版のルートによってはバーベナ学園の一年生として編入する。 #endregion ***PS2移植版から攻略可能ヒロイン #region(close,クリックで開閉) -麻弓=タイム(まゆみ-) --稟たちのクラスメイトで楓の親友。人間と魔族のハーフでオッドアイが特徴。貧乳がコンプレックス。 --成績は悪いが好奇心旺盛な情報通で様々な場面に首を突っ込む。PS2版から攻略ヒロインに昇格。 ---彼女の大まかな設定・デザインは雑誌公募で決まった。 --後述の樹とは腐れ縁で、樹のいきすぎた行動を抑えていることが多いが仲は良い。 -カレハ --亜沙のクラスメイトで親友の神族の女の子。金髪の美人。 --普段は控え目で大人しい癒し系だがロマンチストで妄想癖があり、よく暴走している。PS2版から攻略ヒロインに昇格し、更に妹が登場した。 --彼女も大まかな設定・デザインは雑誌公募で決まった。 #endregion ***PS2版逆移植から攻略可能ヒロイン #region(close,クリックで開閉) -八重 桜 --楓に焦点を置いたFD『Really? Really!』で初登場したキャラ。 --稟や楓の前の学園での友人だが、夢のためにバーベナ学園とは別の学園に進学しているのでバーベナ学園とは関わっていない数少ないキャラ。 ---人見知りが若干激しい傾向にあるが、成績優秀で人当たりも良くて周囲の空気を読むことにも長けている。しかし自身に対しては若干疎い。 ---前の学園で稟が敵視されていた時に唯一仲良く接しており、稟の事情を唯一知っている(現在は楓も知っている)人物だった。 --ぬいぐるみが好きで夢もぬいぐるみの造形作家になること。学校では手芸部に入り家でもぬいぐるみを作っていることが多い熱烈な努力家である。 -紅薔薇 撫子 --バーベナ学園の先生で稟達の担任。 --クールな美女だが中身は友情・努力・根性と言ったものを好む生徒思いの熱血教師。 --性格の一方で融通も効くほうで生徒としては非情に頼りなる先生で人気が高い。 ---しかし言うことを聞かず叱られてもめげずに問題行動を起こす樹の扱いには困っているようで、監視したり度々制裁を加えることも多い。 --ナンパされた数は多いらしいのだが恋愛経験はゼロ。 -ツボミ --PS2版で初登場したカレハの妹で姉に負けず劣らずの妄想癖がある。 --姉とは反対に行動的な性格。 ---稟達の一つ下の隣町の学園の生徒で、とあることをきっかけにバーベナ学園に稟のストーカーとして出現する。 ---稟が学園に入ったのを見てから自分の学校の始業に間に合う脅威の脚力の持ち主でもある。 -デイジー --『Essence+』から登場した追加ヒロインで神族の少女。稟たちの隣のクラスの同級生。 --神界・魔界から5名ずつしか選ばれない奨学生であり非常に優秀。放送部所属でシアに憧れている。 ---放送部は彼女一人で深刻な部員不足の状態。 ---シアを放送部に誘おうとするが、その際の稟との出会いが最悪だったので稟のことは快く思っておらず、女の子としては珍しく稟に攻撃的。 ---素直で真面目な性格をしているが勢いで行動する癖があるのか空回りしていることも多い。毒舌家でもあるが相手は選んでおり勢いとは裏腹に礼節も弁えている。 --アーケードゲームが好きなのでゲーセンに居ることも多く、たまにメイド服を着てアルバイトもしている。 ---しかし、人付き合いが不得手な上に部活とその勧誘に忙しいこととゲーム好きが高じて友人は居ない。 #endregion ***サブキャラクター #region(close,クリックで開閉) -緑葉 樹 --稟の悪友かつ親友。 --見た目も頭も良いので女子人気は高いが、好きなものは美女で趣味はナンパ。なので常日頃からナンパしていくが稟の知り合いへの成功率は0%。 ---ナンパ自体は割と成功しているらしく、昼の弁当も毎日違う女の子から貰っている模様。 --成績優秀だがたまに面倒くさがって小テストをサボるので度々補習を受けている。日ごろのナンパ癖と相まって撫子を悩ませている。 ---魔力こそ持っていないがその頭脳から力技では解決出来ない時に最も頼りになり、度胸もあるので神王や魔王相手でも物怖じせず交渉する。 --麻弓とは幼馴染で恋愛感情は無いもののかなり気にかけており、さりげなくフォローすることがある。 -神王(名前はユーストマ) --シアの父親で神界を統べる王。 --肉体派ヤクザみたいな風貌をしており、見た目通りの竹を割ったような性格だが立場のことは忘れない。 ---かなりの親馬鹿でシアの願いを叶えるために芙蓉家の隣を買収して和風の豪邸を建て、稟と同じクラスに転入させた。 ---シアとも仲が良い一方で暴走することが多いために度々シアから冷たく(あるいは暴力的に)されてマジへこみすることが多い。 ---神界は一夫多妻制で妻が三人居る。世継ぎの問題など王族という立場からやや複雑な関係だが、神王と妻とシアの家族仲自体は喧嘩することはあるものの良好。 --神王も魔王も稟のことを男として認めているので、立場上冷徹な判断をしないといけない時を除くと気の良いおじさん達である。 -魔王(名前はフォーベシイ) --ネリネの父親で魔界を統べる王。 --優男風の風貌をしており、見た目通りにナンパや女性観察する一方(たまたま出会った樹とすぐに意気投合)で思慮深く思いやりもあるが、立場のことは忘れない。 ---神王とは立場も行動も似通っている親友。 ---かなりの親馬鹿でネリネの願いを叶えるために芙蓉家の隣を買収して洋風の豪邸を建て、稟と同じクラスに転入させた。 ---神王同様に暴走した場合はネリネから冷たくされてマジへこみする。 --趣味は家事でプロ顔負けの仕事ぶりを見せる。しかし妻のセージが元メイドで今もメイドの仕事に誇りを持っているので家事を奪って((二人の間には家事に関する協定があり、主に魔王側が協定を破っている。))はその度に攻撃されている。 -時雨 亜麻 --亜沙の母親で亜沙以上に若い外見をしている脅威の人物。 ---性格や喋り方も幼いところがあるので度々勘違いされているが、母親としてはしっかりしている。 --常に猫耳風の帽子を被っている。 -瑠璃=マツリ --PS2版逆移植で初登場したキャラでデイジーシナリオに関わっている。 --神族と人族のハーフのバーベナ学園三年生でカレハや亜沙とは友人同士。 ---名前は苗字と名前ではなくて父と母それぞれが由来なので「瑠璃」と「まつり」を使い分けることも多い。 --人付き合いが極端に苦手で生徒会長なのに公の場に姿を現すことは稀な上、普段は魔法で他人の気を逸らしている。 --頭脳明晰で運動神経も抜群ながら良くも悪くも真面目で堅物な性格が玉に瑕でドジっ子気味な描写も多い。 -白玉、黒玉、虎玉 --正確にはキャラクターではなく、プリムラの所持している人形で本作のマスコット。 ---虎玉はプリムラが登場時から所持しており、白玉と黒玉は稟からのプレゼント。 --物語に絡むこともあれば、グッズ販売や公式サイトで「白玉ブログ」なるものが開始されたりなど活躍が多岐に渡っている。 #endregion ---- // #regionがこと細かいのが気になったのでまとめています。 **各キャラのネタバレ要素につき、閲覧注意 #region(クリックで開閉) -シアには裏シア(後に稟からキキョウと名付けられた)という生まれてこられなかった双子の妹がおり、そのキキョウの人格が表に出る事もある。 --シアの母は魔族で、キキョウは魔族の血が色濃い(耳の長さは神族)為に神族の王族社会で難しい立場にいるのでシアに遠慮しており、シアも負い目に感じているのでお互いに遠慮しあっている。 --PS2移植版からシアとキキョウが分離して存在出来るようになったエンディングが追加された。 -ネリネは実は幼い頃に稟と会っておらず会っていたのはネリネのクローンで分身というべき存在のリコリス。 --リコリスはネリネと同化する形で消滅したので、リコリスの記憶もネリネも共有することとなった。そしてリコリスを消滅させて生きていることがトラウマになっている。 -プリムラと仲が良かったのはネリネではなくリコリスで稟のことはリコリスから聞いていた。 --リコリスのことを姉のように慕っていて、その死を引きずっている。この経緯からネリネを先に攻略しないとプリムラルートには行けない。 -神界と魔界は元々人界とは安定して繋がっておらず行き来が制限されていた為、安定して繋げるための特別なプロジェクトが進められており、登場人物の一部と深い関わりがある。 --その重要性から人工的に強大な魔力の持ち主を作って安定させるという非道徳的だが(この世界的に)現実的なアプローチを取っている。 ---被験体1号は魔力を人工的に増加させた元々は孤児の魔族だが、無理な実験によって研究所ごと爆発した。公には死亡したと思われているが、亜沙の母親の時雨 亜麻がその正体である。亜麻が異常に若いこと、常に帽子を被っていること、亜沙が魔法を嫌っているのはこのことが大きな原因である。 ---被験体2号は最強の力を持っていたネリネのクローンのリコリス。しかし、クローン技術が未熟であったため無理に魔力を使い続けた結果、命を縮めてしまい願いによってネリネと同化する形で消滅した。 ---被検体3号はプリムラ。1から奇跡的に作り出された人工生命体。 --中止はされていないが資金も犠牲者も多く出しているので王族でも一存で止めたりは出来ない状況(魔王も神王も被験体を不憫に思っているが、重要性からむしろ計画を推進している)。このこともプロジェクト関係者やストーリーに影響を与えている。 -亜沙は上述から分かるように人と魔族とのハーフだがそのことを隠している。麻弓と異なりかなりの魔力を持っているので魔法の使用も可能。 -桜は前の学園に居た時に稟に対して告白しているが稟は誰も選べないと断った。他にも理由はあるが、そんなことを言わせてしまったことに負い目を感じている。 --その後は基本的には自分の恋心を抑えて主に稟と楓の仲を応援する立場を通している。 -デイジーは実はシアの従姉妹で神族の王位継承権を持っている。 --彼女のルートで瑠璃が登場するのは、神王が稟を認めているからというだけではなくこのことが影響している。 -瑠璃はバーベナ学園の生徒会長であると同時に神王家直属の親衛隊の一人でもあり、極秘でシアの護衛も勤めている。 #endregion ---- **評価点 -魅力的なキャラクター達。 --惚れた相手には命がけでも頑張る主人公、けなげで一生懸命な幼なじみ、明るくて気さくな先輩、といった具合に定番ではある主要人物が個性豊かで魅力的に描けている。 --脇を固めるキャラたちも、一筋縄ではいかない連中ばかりで話を盛り上げてくれる。 ---神王と魔王はそのキャラクター造形が凄まじく、特に神王は和服で筋骨隆々の豪快な男(はっきり言ってヤ○ザ)という出で立ちで強烈なインパクトを残す。他にも亜沙先輩の母親ながら''ロリっ娘''の亜麻さんや亜沙先輩の親友であり「まままぁ♪」という口癖とともに妄想を爆裂させるカレハ先輩、稟の悪友で常に誰かを口説きながらもいざと言う時は頼りになる樹など雰囲気を盛り上げてくれるキャラクターが多く、そちらにもファンがついている。 ---その人気で後に発売された家庭用移植版や増補改訂版『Essence+』で攻略ヒロインに昇格したキャラクターも。 --特にプリムラは初期の感情に乏しかった頃と、ルートに入った後のデレの落差が凄まじく北都南氏の演技と相まって、''萌え殺す''ほどの殺傷力がある。 --一部のヒロインたちには共通する過去が存在し、物語後半はこれが暗い影を落とす。しかし、それでも必要以上に重い雰囲気にならないのは偏にキャラクターたちの魅力のお陰と言えよう。 -ゲーム全体を通して感じる明るい雰囲気。 --上記の通り、賑やかなキャラクターたちのやりとりはもちろん、ユーザーインターフェースまで全体的に明るい雰囲気で纏められており、プレイ感はかなり爽やか。 --ウインドウのカラーも暖色系でまとめられているため、画面全体に暖かみがあり物語の雰囲気ともマッチしている。 --全体を通して「矢印」がフィーチャーされているのも特徴。OPムービーや日付表示の際などによく目にするが、これもなかなかスタイリッシュで雰囲気に合っている。 --メニューなどのボタンをまとめたウインドウを自由に移動させられるのも長所。このお陰で自分に合った画面構成にすることが出来る。 ---その他のオプションなども必要なものはしっかり揃っているため、プレイにストレスは感じない。 -世界設定の他にテーマやキャラクター性(名前の由来となった植物)が色々と練られており、考察が好きなプレイヤーだとより楽しみやすい。 --シャッフルというタイトル通り、何かしら混ぜ合わさっている要素が多い。 --本作の登場人物の名前は植物が関わっているが、その多くにキャラクターの性格や展開に対する意味が込められており、それに気づくと少し面白い。 -グラフィック、音楽もクオリティが高い。 --立ち絵の存在しないキャラはおらず、サブキャラクターでも多彩な表情が用意されている。 --音楽面でも明るい雰囲気をしっかり表現し、物語を盛り上げるのに一役買っている。 ---- **問題点 -シナリオ --簡潔に言えば、過去描写を省略している点につきる。 --主人公とヒロインに過去に接点があった、もしくは何らかの事件があったという場合、回想シーンを幾つか設けて話を掘り下げるというのが定石だろう。『[[Kanon]]』はその典型といえる。 --ところが本作は「そんなこともあったなあ」程度で流してしまい、それ以上触れる事は基本的に無い。それ故ストーリーの奥行きに乏しく、話全体が薄いものになってしまっている。キャラやシナリオが現在進行形のみで終始するならばまだしも、思わせぶりに過去をちらつかせた上でこれなので目についてしまう((実際、アニメ版でも回想シーンが追加。幼少期の稟やシア達が登場している。))。 -設定の矛盾 --作っているうちにまとめきれなくなったのか、設定や展開に大小様々な矛盾が生じていることがままある。 --移植を繰り返して後付けが多くなった影響で、更に矛盾が生じている部分もある。 -稟がとある出来事について「原稿用紙数十枚分の展開をすっ飛ばしている」と表現しているが、ゲームに対する皮肉にもなってしまっているのが哀愁を誘う。 //--彼らが芙蓉家の隣を狙うのは当然としても、謎なのは両隣が都合よく空いていた件である。 //↑作中の描写を見ると両隣は移動させられたように思える。 --シアのエピローグでは、直前のシーンで危険な状態だった稟が何事もなく登場しており、明らかに展開が飛んでいる。 -今更な話ではあるが、神界は一夫多妻制なのだからハーレムルートがあっても問題がない、というよりその方が丸く収まるのに実装していない。実質的にシアの設定を作るためにしか活かされていない。 --これは当時「ストーリー重視の恋愛ゲームにハーレムは御法度」というような空気があったことが影響していると思われる。 ---しかし、実際問題メインヒロイン達の好感度が最初からマックスなので彼女達が「妾でも良い」等と言う展開が多い。稟が悪いという訳ではない((彼が女性達に粉をかけて誰を選ぶか迷っているなどではなく、誰かを選ぶまでは受身の姿勢に近い。うじうじ悩んだり時に独善とも取れる行動もしたりするが基本的には好青年である。))がプレイヤー的には複雑な心境になる。 ---なお、神界は一夫多妻制と言う設定は、後に追加されたカレハルート・キキョウED・ツボミルート・桜ルート・デイジールートで活用されている。特にキキョウEDはこの設定があってこそのエンディングである。 -「Essence+」で追加された撫子ルートは異様に短い。その短さはルート突入から1時間もかからないほど。 --本作は各ルートの長さにそれなりの差があるものの、撫子ルートの短さは本当に異常。もはや作る意味があったのか疑問に思ってしまうほど。 #region(ネタバレ) -楓ルートに至っては、稟が告白したところ「過去にひどいことしたから愛される資格なんてない」と断られてしまう。それに対する説明や描写も表面を撫でる程度にしか行われず、プレイヤーにとっては大きな肩透かしである。 --亜沙ルートでは5行程度の描写であっさりと和解し、鍋のなの字すら出てこない。アニメ版から原作を始めた人には唖然することだろう。逆に言えば、数行程度の描写を伝説級のネタに昇華させてしまったことを考えると、好悪は別にしてアニメ版は評価せざるを得ないだろう。 --アニメでは楓の設定が補完、というよりも暴走し過ぎて阿鼻叫喚の域に達してしまった。[[桂言葉>Daysシリーズ]]と肩を並べる、とは行かないまでも後に続くヤンデレキャラと、「家に帰るとカノジョが空の鍋をお玉でかき回していた」というヤンデレ描写定番の迷シーンが生まれたのも、原作が安易に重い設定をつけた上に何のフォローもしなかったためと思われる。 --このため、ストーリーとして見るとかなり物足りない。キャラクターが魅力的なだけに尚更勿体無い。 //-プリムラルートでは、力が使えるようになった事から研究が再開できると判断され、おじさんズによって元いた世界に戻るよう強制されて苦悩するという筋書きになるのだが、「稟と別れるぐらいなら自爆する」と脅すだけで済んでしまう話である。 //--プリムラが自爆すれば広島長崎を超える大破壊になるのは間違い無く、自殺であってもプリムラを再現できる保証がないため元の黙阿弥になる。よって交渉の余地がある。 //--プリムラがいい子すぎて気づけなかった、と言ったらそれまでなのだが、バカだけど切れ者キャラの樹がそのことに気づかないわけがない。←魔王達がその脅迫に応じるほど甘くもないだろう。プリムラが周囲を傷付けるような自爆などできるはずがないことは見抜かれていると考えるのが自然。 -キャラクター背景に起因するトラブルが発生するが、あっさりと解決してしまう。重い雰囲気にならないのはキャラクターの魅力もさることながら、雰囲気に浸る間もないという方が正確かもしれない。その直後にゲームも終了するので、起承転結の転というよりは、オチをつけるための結といった方がいいのもかもしれない。 --ちなみにプレイ時間は初回で1時間から2時間といったところ。2回目以降、既読スキップを使用した場合では1時間を切る(プレイスタイルにもよるが)。 -初期攻略メンバーには重い設定が付与されている。特にシア、ネリネ、楓には「大切な人にひどいことをした(している)のだから、幸せになることは許されない」という十字架を背負わされている。このため、「子供が産めないのだから離婚されてもしかたがない」みたいな理屈で、愛しながらも稟にふられることに納得できてしまえるような空気がある。掘り下げていくと話が重たくなるという副作用があるのだが、「明るく楽しい」がコンセプトのこの作品においてはデメリットになってしまう。重たい背景を背負わせておいて、明るくいこうというコンセプト自体に無理がある。描写が全体的に薄いのもその辺りに背景があるのかもしれない。 #endregion ---- **総評 キャラゲーとしては良作に値する出来となっており、充分に萌えられる。~ しかし、キャラとシナリオをしっかり両立させた良作群と比較するとストーリー面では物足りない所があり、幾つかのキャラルートにおいては見過ごせない穴がある。故にそれらと比肩するとは言いがたく、良作になりきれない惜しい点となっている。~ ただ、キャラの良さを取るか、読み物としての面白さを期待するかによって評価は違ってくるものと思われる。~ 事実、後述する2度のアニメ化やスピンオフ作品の登場、名作揃いの2004年においてアダルトゲーム年間セールスで3位を記録する((ちなみに同年の1位は『Fate/stay night』、2位は『CLANNAD』。この2作品は例年に見ない売上10万本越え。尚、本作はデビュー作でありがなら約5.5万本を記録している。ただし、裏を返せば比較するのがおかしい化け物クラスの作品とはいえ、絵に癖があってシナリオが優れている2作品に売り上げにおいて大差をつけられている。なお『Fate/stay night』と本作は発売日が同じである。))などそのポテンシャルに疑いの余地はなく、同社を一躍スターダムにのし上げるほどの華々しいデビューを飾った作品となった。 ---- **関連作品 -家庭用移植版としてPS2で『SHUFFLE! ON THE STAGE』が発売されている。 --サブキャラクターだった麻弓やカレハが攻略ヒロインに昇格し、新キャラも登場する。 --これにさらに追加を施して18禁化した逆移植版『SHUFFLE! Essence+』も発売された。 --なお、PS2版では18禁シーンの代わりを用意しなかったために話が飛んでしまう部分がある。 ---シアルートが顕著。18禁シーンの中で恋人関係になっているため、それを削除した結果「気づいたら恋人になっていた」と言う展開に。 ---プリムラルートに関しては、そのままだと超展開にもほどがあるためか、ちゃんと代わりのシーンが用意されており、「Essence+」では選択肢で二つのシーンを選ぶようになっている。 -後述の「Love Rainbow」発売までアフターストーリーのなかったシアだが、PS2版で追加された別EDの他、桜やデイジーのルートではシナリオそのものに関わりを見せるなど、やはりメインだけあって優遇されている。 --特にデイジールートは事実上の最終シナリオとなっている中、もう一人のヒロインと言えるほどにシナリオでの出番が多い。 -ファンディスクとして、ネリネルートのその後を描いた『Tick! Tack!』、楓ルートのその後を描いた『[[Really? Really!]]』、『Essence+』版のアフターである『SHUFFLE! Love Rainbow』が発売されている。 --『Really? Really!』のみ家庭用移植されているが、対応機種はDSだったため様々な部分が劣化してしまっている。 -2016年11月23日にSteamで配信開始。 -SHUFFLE!15周年プロジェクト第一弾として、新作『SPIRAL!!』が2019年2月28日に発売。 --初回限定版パッケージには、初代『SHUFFLE!』のゲームが付属する。 -続編『[[SHUFFLE! エピソード2~神にも悪魔にも狙われている男~]]』が2020年5月29日に発売。 --こちらも初回限定版パッケージには、初代『SHUFFLE!』のゲームが付属する。 --また、同日に『SHUFFLE! essence+』がダウンロード販売された。 -定額でエロゲー遊び放題の「GAMES 遊び放題 プラス」に登録されている。 **余談 -本作は2005年にWOWOWにてアニメ化されている((ノンスクランブル放送のため、未契約者でも視聴可能だった。))。ただしこちらは原作の明るい雰囲気とは打って変わって''とにかく暗い''。 --最初の数話は原作と同じような展開になっているのだが、それ以降はほぼ原作とは異なる展開となっている。中盤のプリムラ・ネリネ・シアの三人の話も独自の展開を見せている。 --そして終盤になると、亜沙と楓が稟を取り合う三角関係がこじれ、楓の過去のトラウマなども関係した結果、アニメ史上でも類を見ない程の狂気の展開が発生することとなった。詳細は伏せるが、特に第19話で楓が見せた狂気は「''空鍋事件''」と呼ばれ、ある種の伝説と化している。 ---「ドロドロとした人間関係を排除」という原作のコンセプトに真っ向から反しているが、それこそがキャラの良さよりも物語の面白さを追求した結果だと思われる。 --2007年には、『SHUFFLE! MEMORIES』と題しディレクターズカット版として地上波で再度放送されている。今作オリジナルストーリーも展開された。 -『[[らき☆すた>らき☆すた ~陵桜学園 桜藤祭~]]』のこなたの迷言「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」は本作の麻弓=タイムの発言に由来すると考えられている。 --……しかし知名度の差なのか、後発のこなたの台詞の方が有名になっている。 ---- *SHUFFLE! Love Rainbow! 【しゃっふる らぶ れいんぼう】 |ジャンル|恋愛アドベンチャーゲーム|&amazon(B004NRNQO8,image);| |対応機種|Windows XP~7|~| |発売・開発元|Navel|~| |発売日|2010年4月28日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |判定|なし|~| |ポイント|良くも悪くもファンディスク|~| ---- **概要(FD) 『Essence+』で登場したサブキャラクターの瑠璃=マツリが攻略対象のルートが目玉のファンディスク。~ シア&キキョウ、楓、プリムラのアフターストーリーが個別に収録されており、それらをクリアした後に瑠璃ルートが開放される。~ 各シナリオ内で数多くの今までの登場人物が登場するので世界の狭さは感じないが、値段の割りにボリュームは少なめ。~ 賛否はともかくファンディスクながら単独作品としても十分楽しめる『Tick! Tack!』や『Really? Really!』と異なり、短編集という表現がふさわしい作品。 ---- **本作から攻略可能なヒロイン(FD) -瑠璃=マツリ --時間系列的には原作序盤辺りに逆移植版と似たような流れで稟に接触するが、その後速攻で稟に正体がばれるところから始まる。 ---本作では仕事以外での付き合いが増えた分、よりドジっ子じみた場面が増えている。 --逆移植版と同様の設定だが、立ち絵無しながら声付きで家族も登場する。 ---- **評価点(FD) -各シナリオの出来は悪くはない。 --特にシアとキキョウはメインヒロインの中で唯一FDに恵まれていない事から、ファン待望のシナリオだった。 ---更に今まで設定だけは多かった神界が製品では初めて描写されており、単純に面白みが多い。 --瑠璃シナリオは原作の1ルート分まるまる収録されており、質と量共に肩透かしを喰らうことはない。 ---- **問題点(FD) -値段の割りにボリュームが少ない。 --『Essence+』のFDであって各ヒロインのスピンオフ等ではないのだが、上述の4シナリオ以外の要素はなく他キャラの新規CG等もない。 ---瑠璃シナリオ以外の3シナリオも、内容はともかくボリュームは少ない。 --全ては無理にしても、ぶつ切りでも良いのでもう少しは他キャラのシーンがほしかった所。そうでなければもう少し抑えた価格設定が望ましかった。 ---- **総評(FD) あくまで前二つのFDと違い、一般的なFDで良くも悪くもそれが全てという作品。瑠璃=マツリのシナリオについては良いが、それ以外では不満点も多い。~ クソゲーでこそないが、特別強調して書くような部分も少ない凡作とも言える。 ----
注意:このページでは『SHUFFLE』とコンシューマー逆移植版の『SHUFFLE! Essence+』の内容を含み、逆移植版のファンディスク『SHUFFLE! Love Rainbow』も扱っています。 ---- #contents(fromhere) ---- *SHUFFLE! 【しゃっふる】 |ジャンル|恋愛アドベンチャーゲーム|&amazon(B00028VKAY,image);|&amazon(B000Y2KHVG,image);|&amazon(B000BBEC98,image);|&amazon(B002PK0KZ8,image);| |対応機種|Windows 98~XP|~|~|~|~| |発売・開発元|Navel|~|~|~|~| |発売日|2004年1月30日|~|~|~|~| |定価|8,800円(税別)|~|~|~|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|~|~|~| |配信|【essence+版】FANZA:2020年5月29日/6,380円|~|~|~|~| |判定|なし|~|~|~|~| |ポイント|期待の新星の初タイトル&br;魅力的なキャラクターたち|~|~|~|~| |>|>|>|>|>|CENTER:''[[Navel作品]]''| ---- **概要 エロゲー、ならびに萌え絵師界を代表する絵師の1人である西又葵が前所属のBasiLのスタッフを引き連れて独立。~ 友人で『あいかぎ』(F&C・FC02)などでブレイクしていた絵師、鈴平ひろも引き抜くなど二大看板で創設時から注目されたブランド「Navel」のデビュー作である。~ 至ってスタンダードな恋愛ADVだが荒削りなりに色々と考えて作られても居る。また、制作者の意向で至って暗くならないように作られている。 また、内容を追加してPS2に移植した『SHUFFLE! ON THE STAGE』、そこから更に内容を追加して逆移植した『SHUFFLE! Essence+』という作品がある。~ その経緯から本ページでは逆移植とそこに含まれる移植部分も合わせて記載する。 ---- **ストーリー >神族が住む神界、魔族が住む魔界、そして人の住む人間界が一つにつながり紆余曲折の末、三種の種族が共存の道を選び、魔族や神族の人間が平気で人間界で暮らすようになった世界。~ 主人公、土見稟(つちみ・りん)は三種族が通う学校「バーベナ学園」に通う学生。幼い頃、事故に遭い両親を失うも、美人で学園のアイドルである幼なじみと一つ屋根の下で暮らしている、という羨ましがられつつも平凡な生活を送っていた。~ しかし、そのささやかな平穏は突如、隣に越してきた2人の美少女とその家族によって破られる。~ やってきたのは神王の娘と魔王の娘。2人は超絶な美少女、幼い頃に稟に出会ったことから思慕の念を抱き、稟の嫁になるべく人間界に降り立ったのだった。~ 彼女らのどちらかを選べば次期王になるという。学園のアイドルに加えて、神王の娘にも魔王の娘にも慕われるという羨まれるにもほどがある状況、こうして「神にも王にも凡人にもなれる男」の波乱に満ちた日常がやってきたのだった。 ---- **キャラクター 主人公と攻略キャラのみ抜粋。なお、登場人物は花や植物関連の名前がつけられている。~ また、ファンディスクが複数出ており、移植や逆移植の際にそこから登場人物が追加されたり攻略ルートが追加されていたりもする。 ***主人公とヒロイン(無印) #region(close,クリックで開閉) -土見 稟(つちみ・りん) --美少女達に慕われる「リア充爆発しろ」という境遇になってしまったキャラクター。 ---しかし、両親を8年前に交通事故で亡くしている過去があり、家族ぐるみで付き合いのあった楓の家に住まわせて貰っている。 ---多くの攻略ヒロインは学校内での人気が凄まじく、熱烈なファンも多いので男のモブキャラから嫉妬故の行動を受けることも多い。 --自分よりも他人が傷つくのが耐えられないという性格。それ故に苦労したり、死にかけたりもするが意図せず数多の女性からモテる結果にもなっている。 ---前の学園では、とある事情からその学園の大半の生徒から敵視され、いきすぎたいじめも度々あったという経緯がある((稟は自身の行動からそうされても仕方ないと覚悟をしていたので問題とは思っていない。))。そのことが登場人物との交流に繋がっていることも多い。 -リシアンサス --明るくて気さくで豪快な神王の娘。通称シア。父親が暴走するとパイプ椅子でドツキ倒すのがお約束。 --立場の割にはスーパーで特売巡りをするなど至って庶民的。楓や亜沙並に料理は得意だが、勉強は苦手。 -ネリネ --至って清楚でお嬢様な魔王の娘。愛称はリン(Nerineというスペルから)。 --お淑やかではあるが家事は壊滅状態。幼い頃、病弱だったことあって運動は苦手。 ---普段はおとなしいが、稟への愛情から、稟に憎しみを向けるような者に対しては容赦なく、魔法で攻撃して消し去ろうとまでする。 --「天使の鐘」と称されるほど歌声の持ち主だが、人前で歌うのを嫌う。 -芙蓉 楓(ふよう・かえで) --メイドさんのように甲斐甲斐しく尽くしてくれる幼なじみ。 ---稟の両親と同じく母を8年前に事故で失っており、父は現在海外出張中なので稟と2人暮らししている。 --容姿端麗、家事抜群、頭脳明晰、その上優しいという好人物だが、稟を優先するあまりドジを踏むことも。 --シアとネリネの転校前から学園のアイドル扱いされており、彼女達の転校後はファンの勢力図が複雑化するがそれでも人気が高い様子が窺える。 --稟が誰ともくっつかなかった場合は彼女のルートに進むため、本作にバッドエンドは存在しない。 #region(ネタバレ、ただしマニュアルに載っている) --幼少期の頃、事故で稟の両親と共に母を失ってしまい落ち込むあまり死にそうになる程無気力になってしまった為、稟が「自分が車を急がせたせいで楓の母親が死んだ」と嘘を言うことで気力が回復した代わりに稟を深く怨んでしまい、稟が死にかけるほどの仕打ちを長年続けた。その誤解は現在解けて本人は反省している。楓が稟に尽くすのはこのことも多大な要因。また、色々な意味で尾を引くことになる。 #endregion //重大なネタバレのためCO //でも、マニュアルの人物紹介を読み返してみたら、恨み全般の事がしっかりと書かれています。重大なネタバレのはずなのにさらりと書けてしまうところが問題なのかも知れませんが。 -時雨 亜沙(しぐれ・あさ) --楓と稟の前の学園から付き合いのある先輩で料理の達人。 --真面目でしっかり者であると同時に元気さとノリの良さも持つ、理想的なお姉さんキャラ。 --神族や魔族への偏見は無いが魔法に対しては激しく嫌っており、口に出しただけでも怒る場合がある。学校の魔法学の授業もまじめに受けていない。 -プリムラ --紫がかった白髪でツインテール、感情をあまり表に出さないロリで愛称はリム。魔界神界通じて最強の魔力(暴走すると都道府県の一つくらい消滅する)を持つ世界規模での重要人物。 ---人工生命体で非常に稀有な存在((この世界において神族や魔族は人間社会では少ないだけで一般的な存在。))なので、神王や魔王からも大切にされているが、その立場から非情な扱いを受けることもある((生活する分には困らず虐待などもない。しかし魔力制御が優先され過ぎていることから教育や育成のための環境はおざなりで感情表現が薄いのはその為。))。 --「ネリネ」を通じて「稟」に興味を持ち、そのまま芙蓉家に居候することになる。 ---自身のルートや逆移植版のルートによってはバーベナ学園の一年生として編入する。 #endregion ***PS2移植版から攻略可能ヒロイン #region(close,クリックで開閉) -麻弓=タイム(まゆみ-) --稟たちのクラスメイトで楓の親友。人間と魔族のハーフでオッドアイが特徴。貧乳がコンプレックス。 --成績は悪いが好奇心旺盛な情報通で様々な場面に首を突っ込む。PS2版から攻略ヒロインに昇格。 ---彼女の大まかな設定・デザインは雑誌公募で決まった。 --後述の樹とは腐れ縁で、樹のいきすぎた行動を抑えていることが多いが仲は良い。 -カレハ --亜沙のクラスメイトで親友の神族の女の子。金髪の美人。 --普段は控え目で大人しい癒し系だがロマンチストで妄想癖があり、よく暴走している。PS2版から攻略ヒロインに昇格し、更に妹が登場した。 --彼女も大まかな設定・デザインは雑誌公募で決まった。 #endregion ***PS2版逆移植から攻略可能ヒロイン #region(close,クリックで開閉) -八重 桜 --楓に焦点を置いたFD『Really? Really!』で初登場したキャラ。 --稟や楓の前の学園での友人だが、夢のためにバーベナ学園とは別の学園に進学しているのでバーベナ学園とは関わっていない数少ないキャラ。 ---人見知りが若干激しい傾向にあるが、成績優秀で人当たりも良くて周囲の空気を読むことにも長けている。しかし自身に対しては若干疎い。 ---前の学園で稟が敵視されていた時に唯一仲良く接しており、稟の事情を唯一知っている(現在は楓も知っている)人物だった。 --ぬいぐるみが好きで夢もぬいぐるみの造形作家になること。学校では手芸部に入り家でもぬいぐるみを作っていることが多い熱烈な努力家である。 -紅薔薇 撫子 --バーベナ学園の先生で稟達の担任。 --クールな美女だが中身は友情・努力・根性と言ったものを好む生徒思いの熱血教師。 --性格の一方で融通も効くほうで生徒としては非情に頼りなる先生で人気が高い。 ---しかし言うことを聞かず叱られてもめげずに問題行動を起こす樹の扱いには困っているようで、監視したり度々制裁を加えることも多い。 --ナンパされた数は多いらしいのだが恋愛経験はゼロ。 -ツボミ --PS2版で初登場したカレハの妹で姉に負けず劣らずの妄想癖がある。 --姉とは反対に行動的な性格。 ---稟達の一つ下の隣町の学園の生徒で、とあることをきっかけにバーベナ学園に稟のストーカーとして出現する。 ---稟が学園に入ったのを見てから自分の学校の始業に間に合う脅威の脚力の持ち主でもある。 -デイジー --『Essence+』から登場した追加ヒロインで神族の少女。稟たちの隣のクラスの同級生。 --神界・魔界から5名ずつしか選ばれない奨学生であり非常に優秀。放送部所属でシアに憧れている。 ---放送部は彼女一人で深刻な部員不足の状態。 ---シアを放送部に誘おうとするが、その際の稟との出会いが最悪だったので稟のことは快く思っておらず、女の子としては珍しく稟に攻撃的。 ---素直で真面目な性格をしているが勢いで行動する癖があるのか空回りしていることも多い。毒舌家でもあるが相手は選んでおり勢いとは裏腹に礼節も弁えている。 --アーケードゲームが好きなのでゲーセンに居ることも多く、たまにメイド服を着てアルバイトもしている。 ---しかし、人付き合いが不得手な上に部活とその勧誘に忙しいこととゲーム好きが高じて友人は居ない。 #endregion ***サブキャラクター #region(close,クリックで開閉) -緑葉 樹 --稟の悪友かつ親友。 --見た目も頭も良いので女子人気は高いが、好きなものは美女で趣味はナンパ。なので常日頃からナンパしていくが稟の知り合いへの成功率は0%。 ---ナンパ自体は割と成功しているらしく、昼の弁当も毎日違う女の子から貰っている模様。 --成績優秀だがたまに面倒くさがって小テストをサボるので度々補習を受けている。日ごろのナンパ癖と相まって撫子を悩ませている。 ---魔力こそ持っていないがその頭脳から力技では解決出来ない時に最も頼りになり、度胸もあるので神王や魔王相手でも物怖じせず交渉する。 --麻弓とは幼馴染で恋愛感情は無いもののかなり気にかけており、さりげなくフォローすることがある。 -神王(名前はユーストマ) --シアの父親で神界を統べる王。 --肉体派ヤクザみたいな風貌をしており、見た目通りの竹を割ったような性格だが立場のことは忘れない。 ---かなりの親馬鹿でシアの願いを叶えるために芙蓉家の隣を買収して和風の豪邸を建て、稟と同じクラスに転入させた。 ---シアとも仲が良い一方で暴走することが多いために度々シアから冷たく(あるいは暴力的に)されてマジへこみすることが多い。 ---神界は一夫多妻制で妻が三人居る。世継ぎの問題など王族という立場からやや複雑な関係だが、神王と妻とシアの家族仲自体は喧嘩することはあるものの良好。 --神王も魔王も稟のことを男として認めているので、立場上冷徹な判断をしないといけない時を除くと気の良いおじさん達である。 -魔王(名前はフォーベシイ) --ネリネの父親で魔界を統べる王。 --優男風の風貌をしており、見た目通りにナンパや女性観察する一方(たまたま出会った樹とすぐに意気投合)で思慮深く思いやりもあるが、立場のことは忘れない。 ---神王とは立場も行動も似通っている親友。 ---かなりの親馬鹿でネリネの願いを叶えるために芙蓉家の隣を買収して洋風の豪邸を建て、稟と同じクラスに転入させた。 ---神王同様に暴走した場合はネリネから冷たくされてマジへこみする。 --趣味は家事でプロ顔負けの仕事ぶりを見せる。しかし妻のセージが元メイドで今もメイドの仕事に誇りを持っているので家事を奪って((二人の間には家事に関する協定があり、主に魔王側が協定を破っている。))はその度に攻撃されている。 -時雨 亜麻 --亜沙の母親で亜沙以上に若い外見をしている脅威の人物。 ---性格や喋り方も幼いところがあるので度々勘違いされているが、母親としてはしっかりしている。 --常に猫耳風の帽子を被っている。 -瑠璃=マツリ --PS2版逆移植で初登場したキャラでデイジーシナリオに関わっている。 --神族と人族のハーフのバーベナ学園三年生でカレハや亜沙とは友人同士。 ---名前は苗字と名前ではなくて父と母それぞれが由来なので「瑠璃」と「まつり」を使い分けることも多い。 --人付き合いが極端に苦手で生徒会長なのに公の場に姿を現すことは稀な上、普段は魔法で他人の気を逸らしている。 --頭脳明晰で運動神経も抜群ながら良くも悪くも真面目で堅物な性格が玉に瑕でドジっ子気味な描写も多い。 -白玉、黒玉、虎玉 --正確にはキャラクターではなく、プリムラの所持している人形で本作のマスコット。 ---虎玉はプリムラが登場時から所持しており、白玉と黒玉は稟からのプレゼント。 --物語に絡むこともあれば、グッズ販売や公式サイトで「白玉ブログ」なるものが開始されたりなど活躍が多岐に渡っている。 #endregion ---- // #regionがこと細かいのが気になったのでまとめています。 **各キャラのネタバレ要素につき、閲覧注意 #region(クリックで開閉) -シアには裏シア(後に稟からキキョウと名付けられた)という生まれてこられなかった双子の妹がおり、そのキキョウの人格が表に出る事もある。 --シアの母は魔族で、キキョウは魔族の血が色濃い(耳の長さは神族)為に神族の王族社会で難しい立場にいるのでシアに遠慮しており、シアも負い目に感じているのでお互いに遠慮しあっている。 --PS2移植版からシアとキキョウが分離して存在出来るようになったエンディングが追加された。 -ネリネは実は幼い頃に稟と会っておらず会っていたのはネリネのクローンで分身というべき存在のリコリス。 --リコリスはネリネと同化する形で消滅したので、リコリスの記憶もネリネも共有することとなった。そしてリコリスを消滅させて生きていることがトラウマになっている。 -プリムラと仲が良かったのはネリネではなくリコリスで稟のことはリコリスから聞いていた。 --リコリスのことを姉のように慕っていて、その死を引きずっている。この経緯からネリネを先に攻略しないとプリムラルートには行けない。 -神界と魔界は元々人界とは安定して繋がっておらず行き来が制限されていた為、安定して繋げるための特別なプロジェクトが進められており、登場人物の一部と深い関わりがある。 --その重要性から人工的に強大な魔力の持ち主を作って安定させるという非道徳的だが(この世界的に)現実的なアプローチを取っている。 ---被験体1号は魔力を人工的に増加させた元々は孤児の魔族だが、無理な実験によって研究所ごと爆発した。公には死亡したと思われているが、亜沙の母親の時雨 亜麻がその正体である。亜麻が異常に若いこと、常に帽子を被っていること、亜沙が魔法を嫌っているのはこのことが大きな原因である。 ---被験体2号は最強の力を持っていたネリネのクローンのリコリス。しかし、クローン技術が未熟であったため無理に魔力を使い続けた結果、命を縮めてしまい願いによってネリネと同化する形で消滅した。 ---被検体3号はプリムラ。1から奇跡的に作り出された人工生命体。 --中止はされていないが資金も犠牲者も多く出しているので王族でも一存で止めたりは出来ない状況(魔王も神王も被験体を不憫に思っているが、重要性からむしろ計画を推進している)。このこともプロジェクト関係者やストーリーに影響を与えている。 -亜沙は上述から分かるように人と魔族とのハーフだがそのことを隠している。麻弓と異なりかなりの魔力を持っているので魔法の使用も可能。 -桜は前の学園に居た時に稟に対して告白しているが稟は誰も選べないと断った。他にも理由はあるが、そんなことを言わせてしまったことに負い目を感じている。 --その後は基本的には自分の恋心を抑えて主に稟と楓の仲を応援する立場を通している。 -デイジーは実はシアの従姉妹で神族の王位継承権を持っている。 --彼女のルートで瑠璃が登場するのは、神王が稟を認めているからというだけではなくこのことが影響している。 -瑠璃はバーベナ学園の生徒会長であると同時に神王家直属の親衛隊の一人でもあり、極秘でシアの護衛も勤めている。 #endregion ---- **評価点 -魅力的なキャラクター達。 --惚れた相手には命がけでも頑張る主人公、けなげで一生懸命な幼なじみ、明るくて気さくな先輩、といった具合に定番ではある主要人物が個性豊かで魅力的に描けている。 --脇を固めるキャラたちも、一筋縄ではいかない連中ばかりで話を盛り上げてくれる。 ---神王と魔王はそのキャラクター造形が凄まじく、特に神王は和服で筋骨隆々の豪快な男(はっきり言ってヤ○ザ)という出で立ちで強烈なインパクトを残す。他にも亜沙先輩の母親ながら''ロリっ娘''の亜麻さんや亜沙先輩の親友であり「まままぁ♪」という口癖とともに妄想を爆裂させるカレハ先輩、稟の悪友で常に誰かを口説きながらもいざと言う時は頼りになる樹など雰囲気を盛り上げてくれるキャラクターが多く、そちらにもファンがついている。 ---その人気で後に発売された家庭用移植版や増補改訂版『Essence+』で攻略ヒロインに昇格したキャラクターも。 --特にプリムラは初期の感情に乏しかった頃と、ルートに入った後のデレの落差が凄まじく北都南氏の演技と相まって、''萌え殺す''ほどの殺傷力がある。 --一部のヒロインたちには共通する過去が存在し、物語後半はこれが暗い影を落とす。しかし、それでも必要以上に重い雰囲気にならないのは偏にキャラクターたちの魅力のお陰と言えよう。 -ゲーム全体を通して感じる明るい雰囲気。 --上記の通り、賑やかなキャラクターたちのやりとりはもちろん、ユーザーインターフェースまで全体的に明るい雰囲気で纏められており、プレイ感はかなり爽やか。 --ウインドウのカラーも暖色系でまとめられているため、画面全体に暖かみがあり物語の雰囲気ともマッチしている。 --全体を通して「矢印」がフィーチャーされているのも特徴。OPムービーや日付表示の際などによく目にするが、これもなかなかスタイリッシュで雰囲気に合っている。 --メニューなどのボタンをまとめたウインドウを自由に移動させられるのも長所。このお陰で自分に合った画面構成にすることが出来る。 ---その他のオプションなども必要なものはしっかり揃っているため、プレイにストレスは感じない。 -世界設定の他にテーマやキャラクター性(名前の由来となった植物)が色々と練られており、考察が好きなプレイヤーだとより楽しみやすい。 --シャッフルというタイトル通り、何かしら混ぜ合わさっている要素が多い。 --本作の登場人物の名前は植物が関わっているが、その多くにキャラクターの性格や展開に対する意味が込められており、それに気づくと少し面白い。 -グラフィック、音楽もクオリティが高い。 --立ち絵の存在しないキャラはおらず、サブキャラクターでも多彩な表情が用意されている。 --音楽面でも明るい雰囲気をしっかり表現し、物語を盛り上げるのに一役買っている。 ---- **問題点 -シナリオ --簡潔に言えば、過去描写を省略している点につきる。 --主人公とヒロインに過去に接点があった、もしくは何らかの事件があったという場合、回想シーンを幾つか設けて話を掘り下げるというのが定石だろう。『[[Kanon]]』はその典型といえる。 --ところが本作は「そんなこともあったなあ」程度で流してしまい、それ以上触れる事は基本的に無い。それ故ストーリーの奥行きに乏しく、話全体が薄いものになってしまっている。キャラやシナリオが現在進行形のみで終始するならばまだしも、思わせぶりに過去をちらつかせた上でこれなので目についてしまう((実際、アニメ版でも回想シーンが追加。幼少期の稟やシア達が登場している。))。 -設定の矛盾 --作っているうちにまとめきれなくなったのか、設定や展開に大小様々な矛盾が生じていることがままある。 --移植を繰り返して後付けが多くなった影響で、更に矛盾が生じている部分もある。 -稟がとある出来事について「原稿用紙数十枚分の展開をすっ飛ばしている」と表現しているが、ゲームに対する皮肉にもなってしまっているのが哀愁を誘う。 //--彼らが芙蓉家の隣を狙うのは当然としても、謎なのは両隣が都合よく空いていた件である。 //↑作中の描写を見ると両隣は移動させられたように思える。 --シアのエピローグでは、直前のシーンで危険な状態だった稟が何事もなく登場しており、明らかに展開が飛んでいる。 -今更な話ではあるが、神界は一夫多妻制なのだからハーレムルートがあっても問題がない、というよりその方が丸く収まるのに実装していない。実質的にシアの設定を作るためにしか活かされていない。 --これは当時「ストーリー重視の恋愛ゲームにハーレムは御法度」というような空気があったことが影響していると思われる。 ---しかし、実際問題メインヒロイン達の好感度が最初からマックスなので彼女達が「妾でも良い」等と言う展開が多い。稟が悪いという訳ではない((彼が女性達に粉をかけて誰を選ぶか迷っているなどではなく、誰かを選ぶまでは受身の姿勢に近い。うじうじ悩んだり時に独善とも取れる行動もしたりするが基本的には好青年である。))がプレイヤー的には複雑な心境になる。 ---なお、神界は一夫多妻制と言う設定は、後に追加されたカレハルート・キキョウED・ツボミルート・桜ルート・デイジールートで活用されている。特にキキョウEDはこの設定があってこそのエンディングである。 -「Essence+」で追加された撫子ルートは異様に短い。その短さはルート突入から1時間もかからないほど。 --本作は各ルートの長さにそれなりの差があるものの、撫子ルートの短さは本当に異常。もはや作る意味があったのか疑問に思ってしまうほど。 #region(ネタバレ) -楓ルートに至っては、稟が告白したところ「過去にひどいことしたから愛される資格なんてない」と断られてしまう。それに対する説明や描写も表面を撫でる程度にしか行われず、プレイヤーにとっては大きな肩透かしである。 --亜沙ルートでは5行程度の描写であっさりと和解し、鍋のなの字すら出てこない。アニメ版から原作を始めた人には唖然することだろう。逆に言えば、数行程度の描写を伝説級のネタに昇華させてしまったことを考えると、好悪は別にしてアニメ版は評価せざるを得ないだろう。 --アニメでは楓の設定が補完、というよりも暴走し過ぎて阿鼻叫喚の域に達してしまった。[[桂言葉>Daysシリーズ]]と肩を並べる、とは行かないまでも後に続くヤンデレキャラと、「家に帰るとカノジョが空の鍋をお玉でかき回していた」というヤンデレ描写定番の迷シーンが生まれたのも、原作が安易に重い設定をつけた上に何のフォローもしなかったためと思われる。 --このため、ストーリーとして見るとかなり物足りない。キャラクターが魅力的なだけに尚更勿体無い。 //-プリムラルートでは、力が使えるようになった事から研究が再開できると判断され、おじさんズによって元いた世界に戻るよう強制されて苦悩するという筋書きになるのだが、「稟と別れるぐらいなら自爆する」と脅すだけで済んでしまう話である。 //--プリムラが自爆すれば広島長崎を超える大破壊になるのは間違い無く、自殺であってもプリムラを再現できる保証がないため元の黙阿弥になる。よって交渉の余地がある。 //--プリムラがいい子すぎて気づけなかった、と言ったらそれまでなのだが、バカだけど切れ者キャラの樹がそのことに気づかないわけがない。←魔王達がその脅迫に応じるほど甘くもないだろう。プリムラが周囲を傷付けるような自爆などできるはずがないことは見抜かれていると考えるのが自然。 -キャラクター背景に起因するトラブルが発生するが、あっさりと解決してしまう。重い雰囲気にならないのはキャラクターの魅力もさることながら、雰囲気に浸る間もないという方が正確かもしれない。その直後にゲームも終了するので、起承転結の転というよりは、オチをつけるための結といった方がいいのもかもしれない。 --ちなみにプレイ時間は初回で1時間から2時間といったところ。2回目以降、既読スキップを使用した場合では1時間を切る(プレイスタイルにもよるが)。 -初期攻略メンバーには重い設定が付与されている。特にシア、ネリネ、楓には「大切な人にひどいことをした(している)のだから、幸せになることは許されない」という十字架を背負わされている。このため、「子供が産めないのだから離婚されてもしかたがない」みたいな理屈で、愛しながらも稟にふられることに納得できてしまえるような空気がある。掘り下げていくと話が重たくなるという副作用があるのだが、「明るく楽しい」がコンセプトのこの作品においてはデメリットになってしまう。重たい背景を背負わせておいて、明るくいこうというコンセプト自体に無理がある。描写が全体的に薄いのもその辺りに背景があるのかもしれない。 #endregion ---- **総評 キャラゲーとしては良作に値する出来となっており、充分に萌えられる。~ しかし、キャラとシナリオをしっかり両立させた良作群と比較するとストーリー面では物足りない所があり、幾つかのキャラルートにおいては見過ごせない穴がある。故にそれらと比肩するとは言いがたく、良作になりきれない惜しい点となっている。~ ただ、キャラの良さを取るか、読み物としての面白さを期待するかによって評価は違ってくるものと思われる。~ 事実、後述する2度のアニメ化やスピンオフ作品の登場、名作揃いの2004年においてアダルトゲーム年間セールスで3位を記録する((ちなみに同年の1位は『Fate/stay night』、2位は『CLANNAD』。この2作品は例年に見ない売上10万本越え。尚、本作はデビュー作でありがなら約5.5万本を記録している。ただし、裏を返せば比較するのがおかしい化け物クラスの作品とはいえ、絵に癖があってシナリオが優れている2作品に売り上げにおいて大差をつけられている。なお『Fate/stay night』と本作は発売日が同じである。))などそのポテンシャルに疑いの余地はなく、同社を一躍スターダムにのし上げるほどの華々しいデビューを飾った作品となった。 ---- **関連作品 -家庭用移植版としてPS2で『SHUFFLE! ON THE STAGE』が発売されている。 --サブキャラクターだった麻弓やカレハが攻略ヒロインに昇格し、新キャラも登場する。 --これにさらに追加を施して18禁化した逆移植版『SHUFFLE! Essence+』も発売された。 --なお、PS2版では18禁シーンの代わりを用意しなかったために話が飛んでしまう部分がある。 ---シアルートが顕著。18禁シーンの中で恋人関係になっているため、それを削除した結果「気づいたら恋人になっていた」と言う展開に。 ---プリムラルートに関しては、そのままだと超展開にもほどがあるためか、ちゃんと代わりのシーンが用意されており、「Essence+」では選択肢で二つのシーンを選ぶようになっている。 -後述の「Love Rainbow」発売までアフターストーリーのなかったシアだが、PS2版で追加された別EDの他、桜やデイジーのルートではシナリオそのものに関わりを見せるなど、やはりメインだけあって優遇されている。 --特にデイジールートは事実上の最終シナリオとなっている中、もう一人のヒロインと言えるほどにシナリオでの出番が多い。 -ファンディスクとして、ネリネルートのその後を描いた『Tick! Tack!』、楓ルートのその後を描いた『[[Really? Really!]]』、『Essence+』版のアフターである『SHUFFLE! Love Rainbow』が発売されている。 --『Really? Really!』のみ家庭用移植されているが、対応機種はDSだったため様々な部分が劣化してしまっている。 -2016年11月23日にSteamで配信開始。 -SHUFFLE!15周年プロジェクト第一弾として、新作『SPIRAL!!』が2019年2月28日に発売。 --初回限定版パッケージには、初代『SHUFFLE!』のゲームが付属する。 -続編『[[SHUFFLE! エピソード2~神にも悪魔にも狙われている男~]]』が2020年5月29日に発売。 --こちらも初回限定版パッケージには、初代『SHUFFLE!』のゲームが付属する。 --また、同日に『SHUFFLE! essence+』がダウンロード販売された。 -定額でエロゲー遊び放題の「GAMES 遊び放題 プラス」に登録されている。 **余談 -本作は2005年にWOWOWにてアニメ化されている((ノンスクランブル放送のため、未契約者でも視聴可能だった。))。ただしこちらは原作の明るい雰囲気とは打って変わって''とにかく暗い''。 --最初の数話は原作と同じような展開になっているのだが、それ以降はほぼ原作とは異なる展開となっている。中盤のプリムラ・ネリネ・シアの三人の話も独自の展開を見せている。 --そして終盤になると、亜沙と楓が稟を取り合う三角関係がこじれ、楓の過去のトラウマなども関係した結果、アニメ史上でも類を見ない程の狂気の展開が発生することとなった。詳細は伏せるが、特に第19話で楓が見せた狂気は「''空鍋事件''」と呼ばれ、ある種の伝説と化している。 ---「ドロドロとした人間関係を排除」という原作のコンセプトに真っ向から反しているが、それこそがキャラの良さよりも物語の面白さを追求した結果だと思われる。 --2007年には、『SHUFFLE! MEMORIES』と題しディレクターズカット版として地上波で再度放送されている。今作オリジナルストーリーも展開された。 -『[[らき☆すた>らき☆すた ~陵桜学園 桜藤祭~]]』のこなたの迷言「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」は本作の麻弓=タイムの発言に由来すると考えられている。 --……しかし知名度の差なのか、後発のこなたの台詞の方が有名になっている。 ---- *SHUFFLE! Love Rainbow! 【しゃっふる らぶ れいんぼう】 |ジャンル|恋愛アドベンチャーゲーム|&amazon(B004NRNQO8,image);| |対応機種|Windows XP~7|~| |発売・開発元|Navel|~| |発売日|2010年4月28日|~| |定価|6,800円(税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |判定|なし|~| |ポイント|良くも悪くもファンディスク|~| ---- **概要(FD) 『Essence+』で登場したサブキャラクターの瑠璃=マツリが攻略対象のルートが目玉のファンディスク。~ シア&キキョウ、楓、プリムラのアフターストーリーが個別に収録されており、それらをクリアした後に瑠璃ルートが開放される。~ 各シナリオ内で数多くの今までの登場人物が登場するので世界の狭さは感じないが、値段の割りにボリュームは少なめ。~ 賛否はともかくファンディスクながら単独作品としても十分楽しめる『Tick! Tack!』や『Really? Really!』と異なり、短編集という表現がふさわしい作品。 ---- **本作から攻略可能なヒロイン(FD) -瑠璃=マツリ --時間系列的には原作序盤辺りに逆移植版と似たような流れで稟に接触するが、その後速攻で稟に正体がばれるところから始まる。 ---本作では仕事以外での付き合いが増えた分、よりドジっ子じみた場面が増えている。 --逆移植版と同様の設定だが、立ち絵無しながら声付きで家族も登場する。 ---- **評価点(FD) -各シナリオの出来は悪くはない。 --特にシアとキキョウはメインヒロインの中で唯一FDに恵まれていない事から、ファン待望のシナリオだった。 ---更に今まで設定だけは多かった神界が製品では初めて描写されており、単純に面白みが多い。 --瑠璃シナリオは原作の1ルート分まるまる収録されており、質と量共に肩透かしを喰らうことはない。 ---- **問題点(FD) -値段の割りにボリュームが少ない。 --『Essence+』のFDであって各ヒロインのスピンオフ等ではないのだが、上述の4シナリオ以外の要素はなく他キャラの新規CG等もない。 ---瑠璃シナリオ以外の3シナリオも、内容はともかくボリュームは少ない。 --全ては無理にしても、ぶつ切りでも良いのでもう少しは他キャラのシーンがほしかった所。そうでなければもう少し抑えた価格設定が望ましかった。 ---- **総評(FD) あくまで前二つのFDと違い、一般的なFDで良くも悪くもそれが全てという作品。瑠璃=マツリのシナリオについては良いが、それ以外では不満点も多い。~ クソゲーでこそないが、特別強調して書くような部分も少ない凡作とも言える。 ----

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