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//文中の「妙な点」の内容が余談に近しいものだったので、総評の後に「余談・ネタ」として移動させました。 //怪作としての判定根拠になる部分なので余談ではありません //判定変更により「おバカ要素」としてバカゲーの判定根拠とします *ヒーローバンク 【ひーろーばんく】 |ジャンル|マネーバトルRPG|&image(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71APUL9FIIL._SL1000_.jpg,https://www.amazon.co.jp/dp/B00ECTGIRO,width=200)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|3DSカード/ダウンロードソフト|~| |発売元|セガ|~| |開発元|デジタルワークスエンターテイメント&br()バレット|~| |発売日|2014年3月20日|~| |定価|パッケージ:5,550円&br;ダウンロード:4,900円(共に税5%込)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |セーブデータ|1個|~| |レーティング|CERO: A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|金が全ての少年向けシナリオ&br()''札束で張り倒すようなえげつないゲーム性''&br()バランスは大味|~| |>|>|CENTER:''ヒーローバンクシリーズ''&br;''1'' - [[2>ヒーローバンク2]] - アーケード| //テンプレによると「CENTER:''シリーズ名''&br;''タイトル1'' / [[タイトル2]] / [[タイトル3]]」という形になっているため表記を元に戻しました。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 セガが打ち出した少年向けヒーローゲーム。漫画・アニメと大々的にコラボレーションし売り出された。~ 一見正統派ヒーローものに見えるが、そこはセガらしく出来上がったのは何やら''異様な雰囲気''を発する作品だった。~ 一言でテーマを言えば「&bold(){金が全てのヒーロー}」である。 ちなみに『金』のインパクトに隠れがちだが、「働く人は誰もがヒーロー」のキャッチコピーなど『職業』も題材にしている。 製作総指揮は『[[龍が如くシリーズ]]』で有名な名越稔洋が務めている。 **ストーリー ある日、とつぜん100億円の借金をすることになってしまった小学5年生の豪勝カイト! その借金は、「ヒーローバトル」の大会で勝利し、賞金を稼いでかえさなければならない!! ネットからダウンロードしたデータ「ヒーロー着」を身につけて戦う新時代のサイバースポーツ、それが「ヒーローバトル」!! カイトは「ヒーローバトル」で勝利し、100億円の借金を返すことができるのか!? バトルとお金をめぐる、熱きドラマが今、はじまる! ([[公式サイト>http://herobank.sega.jp/3ds/index.html]]より) **システム -基本的にはフィールド上を主人公カイトを操って進む普通のRPG。上画面がメインで、下画面がマップになっている。&br;フィールド上は十字キーでも、マップをタッチしてもどちらでも動かせる。 --歩いているとランダムにエンカウントする。またバトルメールというものを用いて能動的にエンカウントすることも可能。 -本作のバトルは「ヒーローバトル」という独自のもの。襲ってくる相手は基本的に&br;ヒーローバトルで戦うのが趣味のごく普通の一般人である(作中では「ファイトレーダー」と呼称)。~ イベント戦闘以外は負けても拠点であるゴールドベースに戻される以外にペナルティはない。 --ヒーローバトルはネット中継されており、試合を通して目立つことが主人公をはじめとしたファイトレーダーたちの目的になる。 #region(ヒーローバトルやヒーロー着の詳細(長くなるので収納)) -バトルフィールドは円形のリング。ここで一対一の真剣勝負が繰り広げられる。&br;上画面では現在の試合の様子、下画面がフィールド全体の様子になる。バトルでは十字キーによる操作はできず、常にタッチ操作になる。 --試合中、観戦者達によりバトル用の金が「おひねり」としてフィールド上にばらまかれる。これの奪い合いが第一の勝負所。 ---おひねりの量は画面上部の「ヒートアップゲージ」により増大する。序盤は心もとないおひねりの量も、試合が白熱するとガンガン増えていく。 ---フィールドの4隅にあるポールに昇ってパフォーマンスをすると、ヒートアップゲージが一気に増大し、おひねりもガッツリもらえる。ただし、この間は完全に無防備。 ---なお、バトル中使用する金とフィールドで使用する金は同じ「円」で呼称されるが別カウントになっている。フィールドで何億円稼ごうが、基本的にバトル開始時には100万円しか持っていない。 --相手の体力を先にゼロにする、もしくはダウンした相手をフォールして3カウント取れば勝利。 ---勝利するとヒートアップゲージなどに応じたファイトマネーと経験値がもらえる。経験値が一定量貯まるとレベルアップ。またヒーロー着のパーツや消耗品がもらえることも。 -試合ではそれぞれのヒーロー着に4種類ずつ設定された技を駆使して戦うことになる。&br;なお、どの技を使えるかはヒーロー着ごとに個別に設定されており(後述)、同じ種類のヒーロー着でも品物が違えば違った技設定になる。 --各技には威力・注目度・射程・消費金額が設定されている。 ---威力の高い技ほど基本的に消費金額も多くなっており、多くのおひねりを集めないと使えない。 ---また、各技には近中遠の射程があり、その技に設定された射程内に相手がいないと技が使えない。 ---注目度の高い技を使うほどヒートアップゲージは多く増大する。そのため、威力は低くても、注目度の高い技を使う戦略もある。 ---特殊な状態異常効果やガード不能・回避不能などの特殊効果付きの技もある。 --技は通常技、必殺技、兆ド級必殺技の3種類に分かれる。 ---通常技は全てのヒーロー着で共有する技。 ---必殺技はそのヒーロー着固有の技。 ---兆ド級必殺技は特殊な演出と共に使用できるそのヒーロー着最大の大技で、威力も消費金額も桁外れ。 -一方でこれらの技を使われた側はディフェンスとなり、各種行動で対処していくことになる。ディフェンス側の取れる行動は以下の通り。 --「ガード」は10万円払って相手の攻撃を確実に軽減する。 --「ふんばる」は相手の攻撃を真正面から受け止め、ヒートアップゲージを増やしボーナスももらえる。資金が足りないとこれしか選べない。 --「かわす」は20万円払って相手の攻撃を回避できる。かわせばノーダメージかつガードでは防げない状態異常も受けずに済む。回避率はそこそこ高いが、失敗すると相手の攻撃が直撃してしまう。 --「ガチンコ」は一試合で使用できる回数が制限された奥の手。ランダムに選ばれたミニゲームで相手と勝負し、負けた方は一定時間気絶して完全に無防備になる。使用回数さえ残っていれば防御側が一方的にガチンコを宣言して攻撃チャンスにできるが、もちろんミニゲームに勝つことが前提。 -ヒーロー着には火・水・風・土・光・闇の6種類の属性が設定されている。このうち光と闇はほとんど所持者のいないレア属性。 --火は風に強く、風は土に強く、土は水に強く、水は火に強い4竦みが基本。光と闇は他属性すべてに強い。 ---有利な属性に対しては、食らうダメージが減る上こちらの与えるダメージは増えるので大幅に優位に立てる。 --また、フィールドも5か所に分割されたそれぞれに属性が設定されている(無属性であることもある)。 ---自分のヒーロー着と同じ属性のエリアにいるとパラメーターがアップする。一方、弱点属性のエリアにいても特に効果はない。 -各ヒーロー着には「変身可能時間」が設定されており、戦闘中は常に減少していく。これがゼロになると、パラメーターが大幅にダウンしてしまい、非常に不利になる。 --そうなる前にストックのヒーロー着に変身し直すのが重要になる。ヒーロー着は5着まで持てる。また相手の属性に合わせて変身することも、戦略的には有効。 ---変身に制限はないが、変身直後は一切の行動がとれず完全に無防備である。 --バトルが終わると体力は回復するが変身可能時間は回復しない。各所に設置されている「ランドリー」で回復させる必要がある。 -ヒーロー着の入手手段は主に3種類ある。 --「レンタル」は格安で使用できるが、''ランドリーで変身可能時間を回復できない''という重大な問題があるため、使い捨てになる。 ---またクローゼットにもしまえず、手元に置いておけない場合消滅してしまう。 ---技の組み合わせはヒーロー着ごとにランダム。 --「購入」はかなり高価だが、普通に変身可能時間を回復できる。 ---こちらも技の組み合わせはヒーロー着ごとにランダム。 --「ヒーロー着スタジオ」は各ヒーロー着に必要な設計図と各部パーツ(ヘッド、ボディ、アーム、レッグ)を集めて自分で組み立てる。もちろん普通に変身可能時間を回復できる。 ---設計図は高価だが何度でも使える。各部パーツもかなり安く購入できる上、該当のヒーロー着の相手を倒した際にもランダムにパーツをもらえるため、コストパフォーマンスが非常に良い。 ---またパーツには技やパラメーター補正が個別に設定されており、それらが完成品に引き継がれるため、強いパーツを厳選すれば強いスーツを作ることも出来る。 ---但し、組み立ての際にジャイロセンサーを用いたミニゲームをする必要があり、失敗するとステータスが下がったヒーロー着になってしまう。 --ヒーロー着には種類ごとに熟練度と人気度が設定されており、そのヒーロー着を使い続けるほど高まっていく。これに関してはレンタルでも問題なく上がる。 ---熟練度が上がると、そのヒーロー着を使用した際のステータスがアップしより強くなる。 ---人気度が上がると、レンタルに設定(後述)した際の儲けが大きくなる。 #endregion() -拠点であるゴールドベースでは、2種類の方法でお金を稼げる。 --2階の「ガッポリジム」でトレーニング機器を設置して会員を集めてお金を稼げる。トレーニング機器は自分で使ってパラメーター向上も可能(実質これがメイン)。 --3階の「サーバールーム」では、使っていないヒーロー着をレンタルに設定することでお金を稼げる。前述の通りそのヒーロー着で大活躍して人気度を上げておくことが重要。 **おバカ要素 基本的には「前時代な少年向けRPG」と言ったところで、あまり語る点はないのだが、セガらしく妙なところに多数のこだわりが感じられる。 -まず、「現金を払ってヒーロースーツを借りてヒーローになる」という基本コンセプトは誰がどう見ても『[[レンタヒーロー]]』のセルフパロディである。本作では購入もできるとはいえ。 -「''現金が舞い降りるなかスーツをまとって¥ポーズ''(というか荒ぶる鷹のポーズ)''を取る主人公''(小学生)」という過去最高に汚らしい(褒め言葉)パッケージ。 --ゲームを起動すると角田信朗が熱唱するテーマソング「かせげ!ジャリンコヒーローズ」が流れる。 ---一見ごく普通の熱いアニソンに見えるが「ジャリンジャリン稼ぐぜ!」「商魂(たましい)」「ビジネスチャンス」など、よくよく聞くとどう考えてもアニソンでは深夜アニメでもない限り絶対使わないワードのオンパレード。またムービー中では''現金風呂に入って大笑いする主人公''(繰り返すが小学生)の姿が。&s(){星のフームたん製作陣もドン引きするのでは?} -「''主人公が100億円の借金を背負いその返済を目指す''」(何度も言うが小学生である((実際にやったら確実に公序良俗違反で無効化される。)))衝撃のシナリオ。「連帯保証人がどーのこーの」など小学生向けとは思えぬ発言も頻発する。とにかくすべてにおいて「金」が第一義になってくる。 --現金の価値が明らかにインフレしており、ファイトマネーが一戦1000万越え、その辺の人の頼みを聞くだけで数百万円などの世界観なので100億も大したことないのかと思いきや、''うまい棒は10円''なのでやはり現実世界並の借金らしい。このあたりの金銭感覚が明らかに矛盾しているのだが…。 ---一応、「うまい棒だけが極端に安い」と解釈はできる。 --世界観だけでなく、ゲームシステムに至るまで徹頭徹尾''「金が全て」''となっている。 ---なんとこのゲーム''試合中に買い物ができる''。しかも一切隙が無い。買えるアイテムも相手を確実に状態異常にしたり使えるお金を増やしたり強力なものばかり。このため、''500万(フィールドのお金)払って50万(バトルのお金)を手に入れる''という端から見ると意味不明な買い物が可能。 ---マップ上で購入できるアイテムも非常に強力。特に極悪なのがリングマット系列。''一切の隙なくフィールド全体を任意の属性にできる''という恐ろしいもので、相手の弱点属性に変身してこれを使えばボス級の敵でもほとんど一方的に倒せる。回復アイテムも当然隙がないので、連続使用で一気に全回復可能。 ---このため、''ひたすら金を稼いでその金で買ったアイテムで一方的な試合展開に持ち込む''という身も蓋もない戦略が全編通して非常に有効になってくる。&br;評価点でも触れた通り、最終的に「主人公が世界中の人から現金を集めてライバルを倒す」という展開なので、とにかくすべてが金で決まることになる。&br;%%ネタとしてはしばしば使われるが、''「地球のみんな!オラに現金を分けてくれ!」''を真面目にやった作品はそうないだろう。%% ---プレイヤーはそんなことはできないが、ゲーム中ではリアルマネーをヒーローバトルに投じ過ぎて危険なことになっている人も登場する。%%昨今の課金ゲーに対する皮肉?いやまさか。%% --このようなゲームデザインはおそらく「わざと」やっている。札束で頬をひっぱたくような戦略が有効なゲームなどそうそうないだろう(特に小学生向けでは)。 -概要にもあるように本作は『職業』も題材にしているが、なぜか実在企業と盛大にコラボし、コラボした企業の広告をバンバン打ち出しコラボヒーロー着も出すという謎の戦略((ただしコラボヒーロー自体は2011年の深夜アニメ『TIGER & BUNNY』が既にやっている(ヒーローのコスチュームに実在する企業の名前がスポーツ選手ばりに書かれている)。))。&br;コラボ先は漫画も連載されたコロコロコミックは当然として、ケンタッキー、ピザハット、くら寿司などのファーストフードチェーン、カラオケチェーンであるビッグエコー、&br;大手カメラメーカーの富士フイルム、スポーツ用品のムーンスター、小学生にも縁の深いショウワノート、果ては公共機関である''警視庁&東京消防庁''とまでコラボしている。 --またコロコロからは怪盗ジョーカー、[[ケシカスくん>ケシカスくん バトルカスティバル]]なども登場している。 --当然のように自社コラボもある。ゲーム内でも「ゲームキピコピコ」というヒーロー着として登場しているが、早期購入特典として「セガリオン」というヒーロー着が使用可能。 ---「頭が[[オパオパ>ファンタジーゾーン]]、背中にセガサターン、胴体がドリキャス」というセガファン感涙物の仕様。&br;使える技も「バーチャガン」「64ビットきゅうパンチ」「メガドライバーパンチ」など。兆ド級必殺技はオパオパに16トンを落としてもらう「オパオパヘビーボム」という謎のこだわり。&br;なお初期から使えることを考えれば破格に強いのだが、欠点としてどの技も強さの割に''やたら注目度が低い''。…[[自虐か?>セガガガ]] ---なお、ストーリー中でも一度だけ対戦する機会がある。しかしそれというのが''敵の大ボスが腕試しとして使う''という悲しい扱い。無意味な敵扱いと言い、やはり自虐なのだろうか? ---ちなみにゲーム中では全くと言っていいほど触れられない(アニメ版で語られる)が、終盤に山ほど登場する雑魚敵「メガリオン((この名前自体ゲーム中には出ないが、デザインと名前からしてメガドライブがモチーフ。))」は「セガリオンのコピー機」という設定になっている。やはりセガの敵はセガなのだろうか。 --特にうまい棒を作っているやおきんは登場人物たちの好物がうまい棒になっているなど、優遇されている。 ---しかしなぜか''やおきんのヒーロー着はない''。…おそらく、[[キャラクターの問題かと思われる>ドラえもんシリーズ]]。 --これ以外にもスポンサー企業間で微妙に扱いに差がある。たとえばムーンスターはサッカー選手のヒーロー着「シノビストライカー」と野球選手のヒーロー着「クンフーバッター」と2種類もある。&br;またくら寿司のヒーロー着が寿司職人、ピザハットのヒーロー着がピザ窯に手足の生えたようなロボット、ショウワノートが先生型とこの辺りは順当なのだが、&br;なぜかケンタッキーのヒーロー着は関連性皆無のボクサー型。もっとも、カーネル・サンダース氏そのものを出すわけにもいかないとも言えるが…。 **評価点 -シンプルながら熱く王道を突っ走るシナリオ。 --「大会での優勝」「幼馴染との友情と確執」「数多のライバル」といった要素をガッツリ盛り込み、終盤までキッチリ盛り上げていく。 ---基本的な構成は王道ながら、終盤、ライバルに対して手も足も出ない主人公が出会ったすべての人々の助けを借りて''9999万円''の資金と共に再びライバルに挑む展開は、非常に胸が熱くなる。 ---登場人物も知的なメガネアドバイザー、気の強い姉と言った定番から100億円の借金を押し付ける破戒僧、「お告げ」という形で次の目的を示してくれる友人などの変わり種まで様々。 -ゲームとしては低学年層がターゲットのためか、あまり難易度は高くない。画面上に常に次の目的地が示される上、マップにはイベントのキーになる人物がわかりやすく表示されている。 --とはいえ、油断するとそこそこ負ける程度には緊張感はある。特にボス級の敵は明らかにワンランク以上の強さなので、相性を考慮しないと非常に厳しい。 -プロレスのような変わり種の戦闘システム。ただ「勝つ」ではなく「魅せて勝つ」ことが重要になってくる。 --アクション要素はおひねりの奪い合いとガチンコの際のミニゲーム程度で、攻防は基本的にコマンド選択式なのでアクションが苦手でも安心。 --ポール上のパフォーマンスなど、それこそプロレスにしか見えない要素もある。 --各技の演出は長すぎず、それでいながらピシリと格好良く個性的で見栄えがよい。 -イベント戦闘では必ず直前にセーブするかどうか聞いてくれる。 --うっかりセーブしないまま長時間プレイしていても、重要な戦闘前に必ずセーブさせてくれる地味に親切でありがたい機能である。 **賛否両論点 -独特なオーラを放つパッケージ。 --「¥」マークの前で¥のポーズを決める主人公、ギラギラ強い金ぴかのカラー、''舞い散る札束とコイン''……間違いなく本作を象徴しているデザインなのだが、押し出し方がキツくもある。 --金に汚いゲームと誤解(?)され、「保護者が引いて買い与える気になれない」「子供も敬遠する」という指摘もあった。実際は正統派な少年漫画的展開だし、お金についても正しく(?)学べる内容なのだが。 --もう少しマイルドな、普通のヒーローものに見えるデザインでもよかったかもしれない。ただ、内容を表す意味では別に間違っていないことに加え、最高のネタ要素ともなっているため判断の難しいところではある。 **問題点 -バランスが非常に大味。 --属性の影響があまりに大きすぎるため、よほどのランク差がないと不利な属性のヒーロー着で勝つのはまず不可能。 ---たとえば『[[ポケモン>ポケットモンスターシリーズ]]』なら同じ「4枠の技で戦いあう」システムでも、さまざまなタイプの技を配置できるので不利な相手でも対処はある程度効くのだが、本作では一つのヒーロー着が持てる技は一つのタイプに統一されているためどうしようもない。 ---結局不利な相手にかち合ったら、有利な属性に変身するしかない。しかし変身したらしたでその隙を突かれる。 ---同じセガが展開していた『[[古代王者 恐竜キング]]』でも超わざが恐竜と属性が一致するものしか使えないという問題点があり、こちらは属性の変更ができない((「属性の影響なし」にする事も出来る。カードが少ないとこの「属性の影響なし」になりやすい。また、こちらは希少価値が高いものの「他の属性全て有利になる」というのもあった。))が、属性による影響は「少し有利不利になる」「戦い方次第では十分に押し切れる」程度になっていた。属性の数もあり「不利な相手にかち合う」というのも少なめだった。 --ストーリー構成的にも疑問を感じる所がある。序盤に主人公専用ヒーロー着「エンター・ザ・ゴールド」(火属性)をもらえるのだが、よりにもよってシナリオ上の次の舞台は水属性使いばかりが集まるので、なかなか活躍させにくい。 --その割には属性ごとの特色のようなものも感じられず(風は足の速いのが多い程度)、弱点を突く以外にあまり面白味のないシステムになっている。 -エンカウント率が高めかつ、一戦が長引きやすい。 --基本的に戦闘でやることは単調なので、何度も戦うと面倒になってくる。しかし降参すると敗北と同じ扱いになってゴールドベースに戻されるので、結局倒すしかない。 ---特に序盤は全体的に火力のしょっぱい通常技の打ち合いになりがちなので余計長引く。終盤強力なヒーロー着が集まってくるとだいぶ楽にはなるのだが。 ---「一切攻撃してこない代わりに体力が非常に高く戦闘にも制限時間付き、倒せれば多大なファイトマネー」というメタルスライム的存在もいるのだが、ひたすらタフな上に攻撃してこないため非常に面倒。特に倒せるだけの火力が自分側にないと結局引き分けにしかならない。もちろん面倒だからといって降参すればゴールドベース行きである。 -メインシナリオは20時間程度とさほど長くはない。 --サブイベントは潤沢だが、大抵が期間限定、かつ報酬も現金か消耗品、よくてレンタルヒーロー着が関の山。&br;限定品はほぼもらえないので、やる意味があまり感じられない。一応レンタルヒーロー着は強めの技構成であることが多いが…。 ---内容は定番のバトルだったりお使いだったり以外にも、限定条件でのバトルや間違い探しなど変わり種も多いのだが。 -サーバールームの管理が異常に面倒。 --最終的に数十あるサーバーそれぞれにヒーロー着を設定しなければならないのはともかく、なぜか''レンタル料回収も一個ずつ調べなければならない''。料金は累積されるのでまとめて回収してもOKなのが救いだが、それでもいざしようとすると恐ろしく手間がかかる(しかも一回ずつメニューが開いてしまう)。 -一見経営要素に見えるサーバールームとガッポリジムだが、ジムは5種類の機器を設置したらあとは放置するだけ、サーバールームも手間はかかるが結局「人気とレア度の高いヒーロー着を置いて放置するだけ」状態になっており、あまり経営している感がない。 --「人気の波があってそれに合わせてヒーロー着のラインナップを変えないと儲からない」と言った要素があっても良かったかもしれない。とはいえ、小学生向けということを考えれば実際にはこの程度が妥当と思われる。 -女性ファイトレーダーがモブ以外では皆無。それどころか顔有りの女性キャラ自体、直接には戦えない3人しかいない。 --少年向け設定ということで、ここに力が入っていないのは仕方のない所かもしれない。 --ただアニメ版では魅力的な女性キャラやファイターもそこそこ登場し好評だったため、そちらからゲームに入ってきたプレイヤーは戸惑うだろう。 **総評 ゲーム自体の出来は「特に言うべき点もない佳作」なのだが、特異なまでの「金」へのこだわりが一種異様な雰囲気を発しており、単なる小学生向けゲームとは一線を画すものがある。~ ゲームバランスを犠牲にしてまで「金を稼ぐこと」に執着したその姿勢は、自虐とも皮肉とも単なるギャグともとれる笑いどころと言える。 同じく「お金稼ぎ」をテーマとしたRPG作品に、[[ゼルダシリーズ>ゼルダの伝説シリーズ]]の脇役チンクルを主人公としたスピンオフ作品『[[もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド]]』があるが、ファンタジー世界ではなく現代的な世界観の中で、その上、小学生を主人公とした作品でこうも現実的かつ生々しい作風を徹底した作品を作り上げたセンスには恐れ入るところ。 名越氏肝いりの企画ということもあり、アニメ・玩具・アーケードゲームなど様々なクロスメディア展開が行われたが、不幸にも同時期に展開された『[[妖怪ウォッチ]]』の社会現象的ヒットに見事に呑み込まれてしまい、セールス的には芳しい評価は得られなかった。~ 売り上げがどうであろうと革新的すぎるゲームシステムや人を選ぶ作風を貫き通した本作もまた、同社の他作品の例に違わず''「セガらしい作品」である''と言えるだろう。 **余談 -本作発売から約半年後の2014年11月に続編である『[[ヒーローバンク2]]』がリリースされた。 -トレーディングカードアーケードゲームとして『ヒーローバンク アーケード』が2014年7月より稼動。しかし2015年7月をもってサービス終了となり、筐体は『[[新甲虫王者ムシキング]]』に流用された。 --一般的な印刷式のTCAGではロール紙を用いて印刷するところ、本作ではカード台紙を使って印刷が行われており、しかもキラカードまで排出できるという何気に凄い機能が搭載されていた。~ しかしながら、悲しいくらい知名度がないため、この凄さはあまり知られていない。 --筐体こそ違うが、セガの『[[艦これ アーケード]]』『けものフレンズ3 プラネットツアーズ』でも本作と同様の印刷方式が採用されている。 //([[参考:アーケード版公式サイト>http://herobank.sega.jp/arcade/]]) -製作総指揮の名越氏は翌年、またしても[[金に物を言わせるゲーム>龍が如く0 誓いの場所]]を生み出す事になる。 --尚、案の定と言うか同作ではシノギ(稼ぎイベント)で主人公が「ジャリンジャリン稼ぐぜ!」と宣う。やはり本作の影響が見て取れる。
//文中の「妙な点」の内容が余談に近しいものだったので、総評の後に「余談・ネタ」として移動させました。 //怪作としての判定根拠になる部分なので余談ではありません //判定変更により「おバカ要素」としてバカゲーの判定根拠とします *ヒーローバンク 【ひーろーばんく】 |ジャンル|マネーバトルRPG|&image(https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71APUL9FIIL._SL1000_.jpg,https://www.amazon.co.jp/dp/B00ECTGIRO,width=200)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|3DSカード/ダウンロードソフト|~| |発売元|セガ|~| |開発元|デジタルワークスエンターテイメント&br()バレット|~| |発売日|2014年3月20日|~| |定価|パッケージ:5,550円&br;ダウンロード:4,900円(共に税5%込)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |セーブデータ|1個|~| |レーティング|CERO: A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~| |ポイント|金が全ての少年向けシナリオ&br()''札束で張り倒すようなえげつないゲーム性''&br()バランスは大味|~| |>|>|CENTER:''ヒーローバンクシリーズ''&br;''1'' - [[2>ヒーローバンク2]] - アーケード| //テンプレによると「CENTER:''シリーズ名''&br;''タイトル1'' / [[タイトル2]] / [[タイトル3]]」という形になっているため表記を元に戻しました。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 セガが打ち出した少年向けヒーローゲーム。漫画・アニメと大々的にコラボレーションし売り出された。~ 一見正統派ヒーローものに見えるが、そこはセガらしく出来上がったのは何やら''異様な雰囲気''を発する作品だった。~ 一言でテーマを言えば「&bold(){金が全てのヒーロー}」である。 ちなみに『金』のインパクトに隠れがちだが、「働く人は誰もがヒーロー」のキャッチコピーなど『職業』も題材にしている。 製作総指揮は『[[龍が如くシリーズ]]』で有名な名越稔洋が務めている。 **ストーリー ある日、とつぜん100億円の借金をすることになってしまった小学5年生の豪勝カイト! その借金は、「ヒーローバトル」の大会で勝利し、賞金を稼いでかえさなければならない!! ネットからダウンロードしたデータ「ヒーロー着」を身につけて戦う新時代のサイバースポーツ、それが「ヒーローバトル」!! カイトは「ヒーローバトル」で勝利し、100億円の借金を返すことができるのか!? バトルとお金をめぐる、熱きドラマが今、はじまる! ([[公式サイト>http://herobank.sega.jp/3ds/index.html]]より) **システム -基本的にはフィールド上を主人公カイトを操って進む普通のRPG。上画面がメインで、下画面がマップになっている。&br;フィールド上は十字キーでも、マップをタッチしてもどちらでも動かせる。 --歩いているとランダムにエンカウントする。またバトルメールというものを用いて能動的にエンカウントすることも可能。 -本作のバトルは「ヒーローバトル」という独自のもの。襲ってくる相手は基本的に&br;ヒーローバトルで戦うのが趣味のごく普通の一般人である(作中では「ファイトレーダー」と呼称)。~ イベント戦闘以外は負けても拠点であるゴールドベースに戻される以外にペナルティはない。 --ヒーローバトルはネット中継されており、試合を通して目立つことが主人公をはじめとしたファイトレーダーたちの目的になる。 #region(ヒーローバトルやヒーロー着の詳細(長くなるので収納)) -バトルフィールドは円形のリング。ここで一対一の真剣勝負が繰り広げられる。&br;上画面では現在の試合の様子、下画面がフィールド全体の様子になる。バトルでは十字キーによる操作はできず、常にタッチ操作になる。 --試合中、観戦者達によりバトル用の金が「おひねり」としてフィールド上にばらまかれる。これの奪い合いが第一の勝負所。 ---おひねりの量は画面上部の「ヒートアップゲージ」により増大する。序盤は心もとないおひねりの量も、試合が白熱するとガンガン増えていく。 ---フィールドの4隅にあるポールに昇ってパフォーマンスをすると、ヒートアップゲージが一気に増大し、おひねりもガッツリもらえる。ただし、この間は完全に無防備。 ---なお、バトル中使用する金とフィールドで使用する金は同じ「円」で呼称されるが別カウントになっている。フィールドで何億円稼ごうが、基本的にバトル開始時には100万円しか持っていない。 --相手の体力を先にゼロにする、もしくはダウンした相手をフォールして3カウント取れば勝利。 ---勝利するとヒートアップゲージなどに応じたファイトマネーと経験値がもらえる。経験値が一定量貯まるとレベルアップ。またヒーロー着のパーツや消耗品がもらえることも。 -試合ではそれぞれのヒーロー着に4種類ずつ設定された技を駆使して戦うことになる。&br;なお、どの技を使えるかはヒーロー着ごとに個別に設定されており(後述)、同じ種類のヒーロー着でも品物が違えば違った技設定になる。 --各技には威力・注目度・射程・消費金額が設定されている。 ---威力の高い技ほど基本的に消費金額も多くなっており、多くのおひねりを集めないと使えない。 ---また、各技には近中遠の射程があり、その技に設定された射程内に相手がいないと技が使えない。 ---注目度の高い技を使うほどヒートアップゲージは多く増大する。そのため、威力は低くても、注目度の高い技を使う戦略もある。 ---特殊な状態異常効果やガード不能・回避不能などの特殊効果付きの技もある。 --技は通常技、必殺技、兆ド級必殺技の3種類に分かれる。 ---通常技は全てのヒーロー着で共有する技。 ---必殺技はそのヒーロー着固有の技。 ---兆ド級必殺技は特殊な演出と共に使用できるそのヒーロー着最大の大技で、威力も消費金額も桁外れ。 -一方でこれらの技を使われた側はディフェンスとなり、各種行動で対処していくことになる。ディフェンス側の取れる行動は以下の通り。 --「ガード」は10万円払って相手の攻撃を確実に軽減する。 --「ふんばる」は相手の攻撃を真正面から受け止め、ヒートアップゲージを増やしボーナスももらえる。資金が足りないとこれしか選べない。 --「かわす」は20万円払って相手の攻撃を回避できる。かわせばノーダメージかつガードでは防げない状態異常も受けずに済む。回避率はそこそこ高いが、失敗すると相手の攻撃が直撃してしまう。 --「ガチンコ」は一試合で使用できる回数が制限された奥の手。ランダムに選ばれたミニゲームで相手と勝負し、負けた方は一定時間気絶して完全に無防備になる。使用回数さえ残っていれば防御側が一方的にガチンコを宣言して攻撃チャンスにできるが、もちろんミニゲームに勝つことが前提。 -ヒーロー着には火・水・風・土・光・闇の6種類の属性が設定されている。このうち光と闇はほとんど所持者のいないレア属性。 --火は風に強く、風は土に強く、土は水に強く、水は火に強い4竦みが基本。光と闇は他属性すべてに強い。 ---有利な属性に対しては、食らうダメージが減る上こちらの与えるダメージは増えるので大幅に優位に立てる。 --また、フィールドも5か所に分割されたそれぞれに属性が設定されている(無属性であることもある)。 ---自分のヒーロー着と同じ属性のエリアにいるとパラメーターがアップする。一方、弱点属性のエリアにいても特に効果はない。 -各ヒーロー着には「変身可能時間」が設定されており、戦闘中は常に減少していく。これがゼロになると、パラメーターが大幅にダウンしてしまい、非常に不利になる。 --そうなる前にストックのヒーロー着に変身し直すのが重要になる。ヒーロー着は5着まで持てる。また相手の属性に合わせて変身することも、戦略的には有効。 ---変身に制限はないが、変身直後は一切の行動がとれず完全に無防備である。 --バトルが終わると体力は回復するが変身可能時間は回復しない。各所に設置されている「ランドリー」で回復させる必要がある。 -ヒーロー着の入手手段は主に3種類ある。 --「レンタル」は格安で使用できるが、''ランドリーで変身可能時間を回復できない''という重大な問題があるため、使い捨てになる。 ---またクローゼットにもしまえず、手元に置いておけない場合消滅してしまう。 ---技の組み合わせはヒーロー着ごとにランダム。 --「購入」はかなり高価だが、普通に変身可能時間を回復できる。 ---こちらも技の組み合わせはヒーロー着ごとにランダム。 --「ヒーロー着スタジオ」は各ヒーロー着に必要な設計図と各部パーツ(ヘッド、ボディ、アーム、レッグ)を集めて自分で組み立てる。もちろん普通に変身可能時間を回復できる。 ---設計図は高価だが何度でも使える。各部パーツもかなり安く購入できる上、該当のヒーロー着の相手を倒した際にもランダムにパーツをもらえるため、コストパフォーマンスが非常に良い。 ---またパーツには技やパラメーター補正が個別に設定されており、それらが完成品に引き継がれるため、強いパーツを厳選すれば強いスーツを作ることも出来る。 ---但し、組み立ての際にジャイロセンサーを用いたミニゲームをする必要があり、失敗するとステータスが下がったヒーロー着になってしまう。 --ヒーロー着には種類ごとに熟練度と人気度が設定されており、そのヒーロー着を使い続けるほど高まっていく。これに関してはレンタルでも問題なく上がる。 ---熟練度が上がると、そのヒーロー着を使用した際のステータスがアップしより強くなる。 ---人気度が上がると、レンタルに設定(後述)した際の儲けが大きくなる。 #endregion() -拠点であるゴールドベースでは、2種類の方法でお金を稼げる。 --2階の「ガッポリジム」でトレーニング機器を設置して会員を集めてお金を稼げる。トレーニング機器は自分で使ってパラメーター向上も可能(実質これがメイン)。 --3階の「サーバールーム」では、使っていないヒーロー着をレンタルに設定することでお金を稼げる。前述の通りそのヒーロー着で大活躍して人気度を上げておくことが重要。 **おバカ要素 基本的には「前時代な少年向けRPG」と言ったところで、あまり語る点はないのだが、セガらしく妙なところに多数のこだわりが感じられる。 -まず、「現金を払ってヒーロースーツを借りてヒーローになる」という基本コンセプトは誰がどう見ても『[[レンタヒーロー]]』のセルフパロディである。本作では購入もできるとはいえ。 -「''現金が舞い降りるなかスーツをまとって¥ポーズ''(というか荒ぶる鷹のポーズ)''を取る主人公''(小学生)」という過去最高に汚らしい(褒め言葉)パッケージ。 --ゲームを起動すると角田信朗が熱唱するテーマソング「かせげ!ジャリンコヒーローズ」が流れる。 ---一見ごく普通の熱いアニソンに見えるが「ジャリンジャリン稼ぐぜ!」「商魂(たましい)」「ビジネスチャンス」など、よくよく聞くとどう考えてもアニソンでは深夜アニメでもない限り絶対使わないワードのオンパレード。またムービー中では''現金風呂に入って大笑いする主人公''(繰り返すが小学生)の姿が。&s(){星のフームたん製作陣もドン引きするのでは?} -「''主人公が100億円の借金を背負いその返済を目指す''」(何度も言うが小学生である((実際にやったら確実に公序良俗違反で無効化される。)))衝撃のシナリオ。「連帯保証人がどーのこーの」など小学生向けとは思えぬ発言も頻発する。とにかくすべてにおいて「金」が第一義になってくる。 --現金の価値が明らかにインフレしており、ファイトマネーが一戦1000万越え、その辺の人の頼みを聞くだけで数百万円などの世界観なので100億も大したことないのかと思いきや、''うまい棒は10円''なのでやはり現実世界並の借金らしい。このあたりの金銭感覚が明らかに矛盾しているのだが…。 ---一応、「うまい棒だけが極端に安い」と解釈はできる。 --世界観だけでなく、ゲームシステムに至るまで徹頭徹尾''「金が全て」''となっている。 ---なんとこのゲーム''試合中に買い物ができる''。しかも一切隙が無い。買えるアイテムも相手を確実に状態異常にしたり使えるお金を増やしたり強力なものばかり。このため、''500万(フィールドのお金)払って50万(バトルのお金)を手に入れる''という端から見ると意味不明な買い物が可能。 ---マップ上で購入できるアイテムも非常に強力。特に極悪なのがリングマット系列。''一切の隙なくフィールド全体を任意の属性にできる''という恐ろしいもので、相手の弱点属性に変身してこれを使えばボス級の敵でもほとんど一方的に倒せる。回復アイテムも当然隙がないので、連続使用で一気に全回復可能。 ---このため、''ひたすら金を稼いでその金で買ったアイテムで一方的な試合展開に持ち込む''という身も蓋もない戦略が全編通して非常に有効になってくる。&br;評価点でも触れた通り、最終的に「主人公が世界中の人から現金を集めてライバルを倒す」という展開なので、とにかくすべてが金で決まることになる。&br;%%ネタとしてはしばしば使われるが、''「地球のみんな!オラに現金を分けてくれ!」''を真面目にやった作品はそうないだろう。%% ---プレイヤーはそんなことはできないが、ゲーム中ではリアルマネーをヒーローバトルに投じ過ぎて危険なことになっている人も登場する。%%昨今の課金ゲーに対する皮肉?いやまさか。%% --このようなゲームデザインはおそらく「わざと」やっている。札束で頬をひっぱたくような戦略が有効なゲームなどそうそうないだろう(特に小学生向けでは)。 -概要にもあるように本作は『職業』も題材にしているが、なぜか実在企業と盛大にコラボし、コラボした企業の広告をバンバン打ち出しコラボヒーロー着も出すという謎の戦略((ただしコラボヒーロー自体は2011年の深夜アニメ『TIGER & BUNNY』が既にやっている(ヒーローのコスチュームに実在する企業の名前がスポーツ選手ばりに書かれている)。))。&br;コラボ先は漫画も連載されたコロコロコミックは当然として、ケンタッキー、ピザハット、くら寿司などのファーストフードチェーン、カラオケチェーンであるビッグエコー、&br;大手カメラメーカーの富士フイルム、スポーツ用品のムーンスター、小学生にも縁の深いショウワノート、果ては公共機関である''警視庁&東京消防庁''とまでコラボしている。 --またコロコロからは怪盗ジョーカー、[[ケシカスくん>ケシカスくん バトルカスティバル]]なども登場している。 --当然のように自社コラボもある。ゲーム内でも「ゲームキピコピコ」というヒーロー着として登場しているが、早期購入特典として「セガリオン」というヒーロー着が使用可能。 ---「頭が[[オパオパ>ファンタジーゾーン]]、背中にセガサターン、胴体がドリキャス」というセガファン感涙物の仕様。&br;使える技も「バーチャガン」「64ビットきゅうパンチ」「メガドライバーパンチ」など。兆ド級必殺技はオパオパに16トンを落としてもらう「オパオパヘビーボム」という謎のこだわり。&br;なお初期から使えることを考えれば破格に強いのだが、欠点としてどの技も強さの割に''やたら注目度が低い''。…[[自虐か?>セガガガ]] ---なお、ストーリー中でも一度だけ対戦する機会がある。しかしそれというのが''敵の大ボスが腕試しとして使う''という悲しい扱い。無意味な敵扱いと言い、やはり自虐なのだろうか? ---ちなみにゲーム中では全くと言っていいほど触れられない(アニメ版で語られる)が、終盤に山ほど登場する雑魚敵「メガリオン((この名前自体ゲーム中には出ないが、デザインと名前からしてメガドライブがモチーフ。))」は「セガリオンのコピー機」という設定になっている。やはりセガの敵はセガなのだろうか。 --特にうまい棒を作っているやおきんは登場人物たちの好物がうまい棒になっているなど、優遇されている。 ---しかしなぜか''やおきんのヒーロー着はない''。…おそらく、[[キャラクターの問題かと思われる>ドラえもんシリーズ]]。 --これ以外にもスポンサー企業間で微妙に扱いに差がある。たとえばムーンスターはサッカー選手のヒーロー着「シノビストライカー」と野球選手のヒーロー着「クンフーバッター」と2種類もある。&br;またくら寿司のヒーロー着が寿司職人、ピザハットのヒーロー着がピザ窯に手足の生えたようなロボット、ショウワノートが先生型とこの辺りは順当なのだが、&br;なぜかケンタッキーのヒーロー着は関連性皆無のボクサー型。もっとも、カーネル・サンダース氏そのものを出すわけにもいかないとも言えるが…。 **評価点 -シンプルながら熱く王道を突っ走るシナリオ。 --「大会での優勝」「幼馴染との友情と確執」「数多のライバル」といった要素をガッツリ盛り込み、終盤までキッチリ盛り上げていく。 ---基本的な構成は王道ながら、終盤、ライバルに対して手も足も出ない主人公が出会ったすべての人々の助けを借りて''9999万円''の資金と共に再びライバルに挑む展開は、非常に胸が熱くなる。 ---登場人物も知的なメガネアドバイザー、気の強い姉と言った定番から100億円の借金を押し付ける破戒僧、「お告げ」という形で次の目的を示してくれる友人などの変わり種まで様々。 -ゲームとしては低学年層がターゲットのためか、あまり難易度は高くない。画面上に常に次の目的地が示される上、マップにはイベントのキーになる人物がわかりやすく表示されている。 --とはいえ、油断するとそこそこ負ける程度には緊張感はある。特にボス級の敵は明らかにワンランク以上の強さなので、相性を考慮しないと非常に厳しい。 -プロレスのような変わり種の戦闘システム。ただ「勝つ」ではなく「魅せて勝つ」ことが重要になってくる。 --アクション要素はおひねりの奪い合いとガチンコの際のミニゲーム程度で、攻防は基本的にコマンド選択式なのでアクションが苦手でも安心。 --ポール上のパフォーマンスなど、それこそプロレスにしか見えない要素もある。 --各技の演出は長すぎず、それでいながらピシリと格好良く個性的で見栄えがよい。 -イベント戦闘では必ず直前にセーブするかどうか聞いてくれる。 --うっかりセーブしないまま長時間プレイしていても、重要な戦闘前に必ずセーブさせてくれる地味に親切でありがたい機能である。 **賛否両論点 -独特なオーラを放つパッケージ。 --「¥」マークの前で¥のポーズを決める主人公、ギラギラ強い金ぴかのカラー、''舞い散る札束とコイン''……間違いなく本作を象徴しているデザインなのだが、押し出し方がキツくもある。 --金に汚いゲームと誤解(?)され、「保護者が引いて買い与える気になれない」「子供も敬遠する」という指摘もあった。実際は正統派な少年漫画的展開だし、お金についても正しく(?)学べる内容なのだが。 --もう少しマイルドな、普通のヒーローものに見えるデザインでもよかったかもしれない。ただ、内容を表す意味では別に間違っていないことに加え、最高のネタ要素ともなっているため判断の難しいところではある。 **問題点 -バランスが非常に大味。 --属性の影響があまりに大きすぎるため、よほどのランク差がないと不利な属性のヒーロー着で勝つのはまず不可能。 ---たとえば『[[ポケモン>ポケットモンスターシリーズ]]』なら同じ「4枠の技で戦いあう」システムでも、さまざまなタイプの技を配置できるので不利な相手でも対処はある程度効くのだが、本作では一つのヒーロー着が持てる技は一つのタイプに統一されているためどうしようもない。 ---結局不利な相手にかち合ったら、有利な属性に変身するしかない。しかし変身したらしたでその隙を突かれる。 ---同じセガが展開していた『[[古代王者 恐竜キング]]』でも超わざが恐竜と属性が一致するものしか使えないという問題点があり、こちらは属性の変更ができない((「属性の影響なし」にする事も出来る。カードが少ないとこの「属性の影響なし」になりやすい。また、こちらは希少価値が高いものの「他の属性全て有利になる」というのもあった。))が、属性による影響は「少し有利不利になる」「戦い方次第では十分に押し切れる」程度になっていた。属性の数もあり「不利な相手にかち合う」というのも少なめだった。 --ストーリー構成的にも疑問を感じる所がある。序盤に主人公専用ヒーロー着「エンター・ザ・ゴールド」(火属性)をもらえるのだが、よりにもよってシナリオ上の次の舞台は水属性使いばかりが集まるので、なかなか活躍させにくい。 --その割には属性ごとの特色のようなものも感じられず(風は足の速いのが多い程度)、弱点を突く以外にあまり面白味のないシステムになっている。 -エンカウント率が高めかつ、一戦が長引きやすい。 --基本的に戦闘でやることは単調なので、何度も戦うと面倒になってくる。しかし降参すると敗北と同じ扱いになってゴールドベースに戻されるので、結局倒すしかない。 ---特に序盤は全体的に火力のしょっぱい通常技の打ち合いになりがちなので余計長引く。終盤強力なヒーロー着が集まってくるとだいぶ楽にはなるのだが。 ---「一切攻撃してこない代わりに体力が非常に高く戦闘にも制限時間付き、倒せれば多大なファイトマネー」というメタルスライム的存在もいるのだが、ひたすらタフな上に攻撃してこないため非常に面倒。特に倒せるだけの火力が自分側にないと結局引き分けにしかならない。もちろん面倒だからといって降参すればゴールドベース行きである。 -メインシナリオは20時間程度とさほど長くはない。 --サブイベントは潤沢だが、大抵が期間限定、かつ報酬も現金か消耗品、よくてレンタルヒーロー着が関の山。&br;限定品はほぼもらえないので、やる意味があまり感じられない。一応レンタルヒーロー着は強めの技構成であることが多いが…。 ---内容は定番のバトルだったりお使いだったり以外にも、限定条件でのバトルや間違い探しなど変わり種も多いのだが。 -サーバールームの管理が異常に面倒。 --最終的に数十あるサーバーそれぞれにヒーロー着を設定しなければならないのはともかく、なぜか''レンタル料回収も一個ずつ調べなければならない''。料金は累積されるのでまとめて回収してもOKなのが救いだが、それでもいざしようとすると恐ろしく手間がかかる(しかも一回ずつメニューが開いてしまう)。 -一見経営要素に見えるサーバールームとガッポリジムだが、ジムは5種類の機器を設置したらあとは放置するだけ、サーバールームも手間はかかるが結局「人気とレア度の高いヒーロー着を置いて放置するだけ」状態になっており、あまり経営している感がない。 --「人気の波があってそれに合わせてヒーロー着のラインナップを変えないと儲からない」と言った要素があっても良かったかもしれない。とはいえ、小学生向けということを考えれば実際にはこの程度が妥当と思われる。 -女性ファイトレーダーがモブ以外では皆無。それどころか顔有りの女性キャラ自体、直接には戦えない3人しかいない。 --少年向け設定ということで、ここに力が入っていないのは仕方のない所かもしれない。 --ただアニメ版では魅力的な女性キャラやファイターもそこそこ登場し好評だったため、そちらからゲームに入ってきたプレイヤーは戸惑うだろう。 **総評 ゲーム自体の出来は「特に言うべき点もない佳作」なのだが、特異なまでの「金」へのこだわりが一種異様な雰囲気を発しており、単なる小学生向けゲームとは一線を画すものがある。~ ゲームバランスを犠牲にしてまで「金を稼ぐこと」に執着したその姿勢は、自虐とも皮肉とも単なるギャグともとれる笑いどころと言える。 同じく「お金稼ぎ」をテーマとしたRPG作品に、[[ゼルダシリーズ>ゼルダの伝説シリーズ]]の脇役チンクルを主人公としたスピンオフ作品『[[もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド]]』があるが、ファンタジー世界ではなく現代的な世界観の中で、その上、小学生を主人公とした作品でこうも現実的かつ生々しい作風を徹底した作品を作り上げたセンスには恐れ入るところ。 名越氏肝いりの企画ということもあり、アニメ・玩具・アーケードゲームなど様々なクロスメディア展開が行われたが、不幸にも同時期に展開された『[[妖怪ウォッチ]]』の社会現象的ヒットに見事に呑み込まれてしまい、セールス的には芳しい評価は得られなかった。~ 売り上げがどうであろうと革新的すぎるゲームシステムや人を選ぶ作風を貫き通した本作もまた、同社の他作品の例に違わず''「セガらしい作品」である''と言えるだろう。 **余談 -本作発売から約半年後の2014年11月に続編である『[[ヒーローバンク2]]』がリリースされた。 -トレーディングカードアーケードゲームとして『ヒーローバンク アーケード』が2014年7月より稼動。しかし2015年7月をもってサービス終了となり、筐体は『[[新甲虫王者ムシキング]]』に流用された。 --一般的な印刷式のTCAGではロール紙を用いて印刷するところ、本作ではカード台紙を使って印刷が行われており、しかもキラカードまで排出できるという何気に凄い機能が搭載されていた。~ しかしながら、悲しいくらい知名度がないため、この凄さはあまり知られていない。 --筐体こそ違うが、セガの『[[艦これ アーケード]]』『けものフレンズ3 プラネットツアーズ』でも本作と同様の印刷方式が採用されている。 //([[参考:アーケード版公式サイト>http://herobank.sega.jp/arcade/]]) -製作総指揮の名越氏は翌年、またしても[[金に物を言わせるゲーム>龍が如く0 誓いの場所]]を生み出す事になる。 --尚、案の定と言うか同作ではシノギ(稼ぎイベント)で主人公が「ジャリンジャリン稼ぐぜ!」と宣う。やはり本作の影響が見て取れる。 --本作で仲間の一人である財前ミツオを演じる沢城みゆきもヒロインのマキムラマコト役で出演している。

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