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#contents() ---- *ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~ 【みすてりーと ふかぎゃくせかいのたんていしんし】 |ジャンル|大人向け本格推理&br()アドベンチャーゲーム|&amazon(B0001Y0QOU)| |対応機種|Windows 98~XP|~| |発売・開発元|アーベルソフトウェア|~| |発売日|2004年5月28日&br()2006年5月25日【特別パック】|~| |定価|8,800円(税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |配信|2010年8月27日/2,381円(税別)|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[探偵紳士シリーズ]]''| ---- **概要 『[[不確定世界の探偵紳士]]』に続く、探偵紳士シリーズの第2弾。~ 元々はDC用ソフトとして2000年に発表されたが、延期を繰り返し、最終的にはPCゲームとして発売される事になった。~ 前作の一年後の物語で、舞台となる街も前作と同じだが、主人公は前作の悪行双麻から少年探偵の八十神かおるに交代している。悪行も僅かだが登場する。~ シナリオは前作に続いて菅野ひろゆき。キャラクターデザインはCARNELIANに交代している。 **特徴 -基本は章仕立てのADVゲーム。 --前作のように事件が入り乱れているという事はなく、独立した事件を各話ごとに解決していく。一般的な推理ゲームのように、章スタート→日常パート→事件発生→捜査パート→推理→事件解決で進行する。 -プルーフターゲットシステム --捜査画面では「見る」や「話す」といったコマンド選択後に、いくつかに区切られた画面の中から注目する部分を選択する。 ---『[[YU-NO>この世の果てで恋を唄う少女YU-NO]]』等の画面クリック方式の簡略版と言える。 -ディテクティブ・チャージシステム --事件の情報を入手する毎にゲージがたまっていき、一定値を超えると犯人の追及が可能になる。 --犯人の指摘可能になった後、出来るだけゲージが少ない内に犯人の指摘をする事で評価が上がり、ランクAでクリアする事でサブ案件やおまけが解放される。 --具体的には80に達すると任意で犯人指定が可能になる。100になった時点でまだ犯人を指定しなかった場合は強制的に犯人指名画面に切り替わる。 --尚、この指摘はあくまでプレイヤーの指摘であり、正否に関わらず主人公は事件を解き明かす。 -移動は3Dマップ --操作場所ごとを繋ぐ移動画面は3Dダンジョンゲーのような画面形式になっている。 -主人公のかおるは変装(女装)が得意で、良家のお嬢様、コギャル、美人秘書など各話ごとに異なる格好に変装する。 **評価点 -シナリオ全般 --各話ごとの事件の内容やその真相等、今回も菅野氏の魅力が発揮されている。 --登場人物も多く、皆個性的でキャラが立っている。 --但し、基礎が良いものの、本作のシナリオは色々と問題も多い。詳細は後述する。 -CARNELIAN原画のイラスト --前作から雰囲気が変わったものの、作風に合ったイラストは好評。 -プルーフターゲットシステムは捜査感と遊びやすさの両立に役立っている。 --『YU-NO』等、画面全体を対象としたクリック式のゲームでは、調べる必要のある箇所が非常に小さい場合等、どれだけ画面をクリックしても先へ進めず困る事もあったが、クリック可能な場所を絞り込むことでそれを解消している。 ---また、コマンド選択式と違い、直感的に怪しい場所をクリック出来る為、プレイヤーに捜査感も与えている。 --このシステムは以降も『不確定世界の探偵紳士』『YU-NO』の移植版や『[[十次元立方体サイファー>十次元立方体サイファー ~蒼き月の水底~]]』でも採用された。 **賛否両論点 -一部展開が人を選ぶ。 --「殺人を犯した人間を主人公の独断で赦す」と言った展開が二度ほどある。そこに至るまでの背景や当人の事情などは語られるが、納得できるかどうかは人による。続編で進展やフォローが成される可能性もあるが…。 ---これ以外にも主人公にも一部共感し難い部分もある。「能力は優秀だがまだ若く精神的に未熟」というキャラクター像の為、彼の人間的な成長も見所の一つではあるが、それだけにプレイヤーをやきもきさせる事も。 --「男主人公の特技が女装」という点もプレイヤーによっては抵抗があり、好みが分かれる。 **問題点 ''シナリオ面'' -シナリオが未完 --本作の評価を落とす一番の原因。ヒロインの一人の失踪の真相や主人公の最終目的等は解決される事なく、「ミステリート2へ続く」で終わる。 ---失踪したヒロインは本作主人公がイギリスにいた時代のアシスタントであり、大事なパートナーである。日本に来たきっかけは前作主人公である悪行失踪の真相究明を依頼されたのも理由だが、彼女の失踪の解明も目的。また、本作発売前に前作のおまけでも彼女の失踪前の行動が取り上げられている等、かなり重要な案件として注目されていただけに、未解決のまま終わってしまった事には残念な声が多い。 ---菅野氏のゲームが今まで全て単作で完結していた事、事前に発表がなかった事等から、プレイして初めて知る事になり、未完成品とも言われてしまった。 --本作最終章自体も本筋にはあまり関係無い事件であり、盛り上がりに欠ける上に驚きも感動も薄い。一本のゲームとしても今一つクリアした実感が薄く尚更消化不良感がある。「とある事件に巻き込まれて、それを解決したらゲームも終わっていた」という感じ。 ---一応、日本に来た目的の一つである「悪行の行方」は判明するが、かおるとは別視点での話であり、ユーザーには伝わっても''かおるはそれに気づかずに終わる''。 -わざわざ18禁で出した割にはそういうシーンは少ない。 --これも菅野氏のゲームでは相変わらずだが、元がDC用に開発されていた事もあって、本作は特に顕著。 -主人公の特技「変装」にあまり意味がない。 --女装する主人公として前面に押し出し、5種類もの全く異なった変装パターンを用意しておきながらシナリオ上はあまり意味がない。 ---最初の頃はまだ潜入捜査の能力として機能しているが、シナリオが進むにつれてどんどん意義が薄くなっていく。特にあるエピソードの事件発生前の女装はとってつけた感が激しい。 ---作中世界でトップクラスの探偵は何かしら特異な能力((前作主人公の場合は「否応なしに事件に巻き込まれる悪運」。本作中でも超常的な特殊能力を持つ者が登場する。))を持っているのだが、それに比べると無理矢理さ、平凡さが否めない。 ''システム面'' -移動マップが非常に不便 --3D表示での移動は無駄に時間がかかり、背景も似通った場所が多い為、街の移動等は非常に道に迷いやすい。 ---ひたすら不評だったためか、移植版ではマップから移動場所を選択する方式に変更された。 -ディテクティブ・チャージシステムがただのゲーム進行率にしかなっていない --凝った名前でいかにも捜査を盛り上げるかのような説明がされているが、ただ単に話を進めていけば勝手に増えていくだけのゲージで、はっきり言ってゲームを盛り上げるのに役立っているとは言えない。 --また、この評価次第でおまけが解放されるが、シナリオの各話ごとの選択などはできないため、一つだけ評価を落としてしまった場合など、最初からやり直すしかないのも地味に不便。 --そもそも犯人指名を当てようが間違えようがシナリオには一切影響が無く、解決後のプレイヤー評価が変わるだけである。間違えたからゲームオーバー、或いはバッドエンドなどと言う事は無い。 -謎解きゲーではなく暗号解読ゲー --話を進めていく上でプレイヤーを悩ませるのは、事件の真相などではなく、暗号の解読。犯人の指摘は間違えても問題無いにも拘らず、暗号は解かないとゲームを進められない。 ---度々出てくる事になり、特に終盤やサブ案件の謎解きは難しい。 ---ミステリー物として「事件の内容」に悩むならともかく、「暗号というパズル」に悩ませられたのには困ったプレイヤーも多い。 -システムが古臭いままで発売した時代のADVとして色々と不足している --前作に引き続き、原典のPC版ではボイスなし。 ---CS移植版以降に追加される事になる。 --CGモードもない。 ---せっかくのCARNELIANのイラストをのんびり鑑賞する事はできない。 --セーブ・ロードも不便。 ---セーブ可能なのは移動画面のみ。 ---セーブ数は5個と少なく、ロードには一度ゲームをやめてタイトルに戻らなければならない。 --スタッフロールもない。 ---アーベルのPCゲームでは多いが、クリアの余韻もない。 **総評 『不確定世界の探偵紳士』の続編として、ミステリーとしての評価は高いものの、色々な点が足を引っ張ってゲーム全体の評価を落としてしまっている。~ 菅野氏はただのADVではなく、何かしらシステムに凝ったゲームを作る事に拘っているが、本作はその点が悪い方に働いてしまっている。~ PS2やPSPへの移植版では不便なシステムの改善や、おまけシナリオの追加などが行われているので、今遊ぶならそちらがよいだろう。~ とはいえ、そちらでも結局、続編へ続いて完結していないことには変わりないが…。~ ---- *ミステリート ~八十神かおるの事件ファイル~ 【みすてりーと やそがみかおるのじけんふぁいる】 |ジャンル|大人向け本格推理&br()アドベンチャーゲーム|&amazon(B000F04W04)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|イエティ|~| |発売日|2006年5月25日|~| |定価|【限定版】8,800円(税別)&br()【通常版】6,800円(税別)|~| |判定|なし|~| **概要(PS2) 上記、ミステリートのPS2移植版。~ フルボイスが追加された他、CSでの販売に合わせて18禁シーンの削除が行われた。 **評価点(PS2) -移動画面の変更 --不評だった3Dマップは削除され、全体図から移動先を選択する形に変更された。 ---遊びづらいだけの要素だったため、ゲームテンポはかなり改善された。 -フルボイス化 --台詞がフルボイス化された事でストーリーの没入感が増した。ゆかな、根谷美智子と言った有名所も起用している。 --主人公のかおる役は『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ役や、近年では『[[ダンガンロンパ>ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生]]』の苗木誠役で有名な緒方恵美が担当している。 ---通常時と女装時の声の使い分けは、本当に同一人物なのか疑いたくなるほどに見事。 **問題点(PS2) -一部の不自然な描写 --CSでの発売に合わせ一部シナリオが変更されたが、それにより少々不自然な展開になった物も。 ---主人公のかおるが未成年である為、飲酒シーンが変更され、酔いつぶれるシーンは「ウィスキーボンボンの食べ過ぎで酔いつぶれる」というあんまりな展開に。 --アダルトなシーンに関しては当然ながら丸々カットされており、そういう事があったのを匂わせる程度の描写になっている。とはいえ、元がそういう描写が薄かったのでこれについてはそこまで違和感はない。 ---しかし「裸で寝ている」と説明されるのにパジャマ姿が映ったりと、テキストとCGの擦り合わせが上手く出来ていない箇所もある。 **総評(PS2) 不便な移動システムがなくなった事でかなり遊びやすくなった。~ CS移植に伴うシナリオの変更も、元がDC用に開発されていたゲームだけにほとんど影響はなく、元の魅力を残している。 ---- *ミステリートPORTABLE ~八十神かおるの挑戦!~ *ミステリートWindows ~八十神かおるの挑戦!~ 【みすてりーとぽーたぶる やそがみかおるのちょうせん】~ 【みすてりーとうぃんどうず やそがみかおるのちょうせん】 |ジャンル|大人向け本格推理&br()アドベンチャーゲーム|&amazon(B00133GIHC)|&amazon(B001FOPZ1Y)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル&br()Windows 2000/XP/Vista|~|~| |発売・開発元|ヴューズ|~|~| |発売日|【PSP】2008年4月24日&br()【Win】2008年10月31日|~|~| |定価|【PSP】5,800円(税別)&br()【Win】8,800円|~|~| |判定|なし|~|~| ---- **概要(PSP/Win) ミステリートの移植版。~ 「八十神かおるの事件ファイル」というミニシナリオ集(全62問)が追加されている。 **評価点(PSP) -追加要素の「八十神かおるの事件ファイル」の内容 --内容は軽度なミステリーや法律の問題を扱ったちょっとした問題集なのだが、本編で描写不足だった日常的なシーンや、シリーズの別作品のその後なども描かれている。 **問題点(PSP/Win) -「八十神かおるの事件ファイル」の仕様 --1問目から順番にクリアしていく形式で、一つ解決する毎に次の話が解禁されるのだが、''一番の難問が第一問''。 ---選択肢式の問題も多い中、タイピング形式である為に適当に選んでやり直して…という訳にもいかず、序盤から詰まった人も多い。 -読み込みの煩わしさ --フルボイスの為、UMDの読み込みが結構頻繁に入り、プレイしていて邪魔に感じる事が多い。 **総評(PSP/Win) PS2版を元に、ミニシナリオ集が追加された移植版。~ 『不確定世界の探偵紳士』や『十次元立法サイファー』の登場人物がメインの物もあり、何気におまけのサブシナリオとしては豪華である。~ 今ミステリートを遊ぶならPSP版か本作を元にしたWin再移植版がおすすめ。 ---- **その他移植版 ***ミステリート 特別ぱっく(Win) -PS2版及びファンディスク発売に合わせて発売されたリニューアルパッケージ。 --内容はPC版準拠 ***ミステリートWindows ~八十神かおるの挑戦!~(Win再移植版) -PSP版を元に「八十神かおるの事件ファイル」に新規シナリオを追加した逆移植版。 --PSP版準拠の為、レーティングはCOLOR(blue){''CERO:C''}(15歳以上対象)、ソフ倫は通していない。 ---- **余談 -昨今では珍しいマニュアルプロテクトが仕込まれていた。 -前作同様CSやPCへの再移植などが行われたが、その度にタイトルが変更されている。 --その所為で正式名称が定まらず、また『2』が未発売にも拘らず公式サイトでも「ミステリート1作目」などと表記されたり、Wikipediaのページ名も「ミステリート (第1作)」になっていたりする。後者の探偵紳士シリーズの記事での表記に至っては「ミステリート1」である。 -続編であり完結編である『ミステリート2 ~フェアウェル・エンカウンター~』(18禁)が早い段階から発表されていたが、新情報が途絶えたまま一向に発売に至らず、2011年にはシナリオを書いていた菅野ひろゆき氏が死去してしまった。 --その為、続編のリリースは絶望視されていたが、菅野氏が生前に書き溜めていたシナリオを用いて『2』を作り直し、更に『1』のリマスター版をセットにしたリメイク『ミステリートF 探偵たちのカーテンコール』(Xbox One)の開発が2014年に発表された。…が、こちらも長らく情報の更新は止まっていた。 -2017年1月に『ミステリート』『探偵紳士』の版権は「MAGES.」に移り、『F』は開発継続中であることが改めて[[発表>https://twitter.com/DIV8_ASDF/status/825250057561649153]]された。その後、対応ハードがPS4とPS Vitaに変更されたことが発表されている。 --しかしハードの変更はリメイク版『[[YU-NO>この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO#id_fbee9838]]』のDLCで発表されたものである。『F』公式サイトもXbox One版のまま放置されていた。そして2021年には[[開発を一旦中止している>https://dengekionline.com/articles/103848/]]のが明らかとなった。理由は開発会社と縁が切れたり、『2』のシナリオが派生作品と整合性が取れず難儀していたなど色々あった模様。 --ひとまず『F』収録予定だった本作のリメイク版『ミステリート ~八十神かおるの挑戦!~』をXbox Series X/S、Xbox One、PlayStation 4で発売する事が発表された。 -2013年1月18日に発売された『菅野ひろゆき メモリアル』には『不確定世界の探偵紳士』や『[[アザーサイド・オブ・チャーチ>ミステリート ~アザーサイド・オブ・チャーチ~]]』などと共に収録されているが、初版の『不可逆世界の探偵紳士』ではなく再移植版の『八十神かおるの挑戦!』の方である。 --その為、同作収録タイトルの中ではただ一作''全年齢版''となっている。『不確定世界の探偵紳士』と違って18禁版が初版しか出ておらず、その初版はシステム面などの問題が多い為、妥当と言えば妥当だが…。%%尤も、初版も18禁シーン自体が少ない。%% ----
#contents() ---- *ミステリート ~不可逆世界の探偵紳士~ 【みすてりーと ふかぎゃくせかいのたんていしんし】 |ジャンル|大人向け本格推理&br()アドベンチャーゲーム|&amazon(B0001Y0QOU)| |対応機種|Windows 98~XP|~| |発売・開発元|アーベルソフトウェア|~| |発売日|2004年5月28日&br()2006年5月25日【特別パック】|~| |定価|8,800円(税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |配信|2010年8月27日/2,381円(税別)|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[探偵紳士シリーズ]]''| ---- **概要 『[[不確定世界の探偵紳士]]』に続く、探偵紳士シリーズの第2弾。~ 元々はDC用ソフトとして2000年に発表されたが、延期を繰り返し、最終的にはPCゲームとして発売される事になった。~ 前作の一年後の物語で、舞台となる街も前作と同じだが、主人公は前作の悪行双麻から少年探偵の八十神かおるに交代している。悪行も僅かだが登場する。~ シナリオは前作に続いて菅野ひろゆき。キャラクターデザインはCARNELIANに交代している。 **特徴 -基本は章仕立てのADVゲーム。 --前作のように事件が入り乱れているという事はなく、独立した事件を各話ごとに解決していく。一般的な推理ゲームのように、章スタート→日常パート→事件発生→捜査パート→推理→事件解決で進行する。 -プルーフターゲットシステム --捜査画面では「見る」や「話す」といったコマンド選択後に、いくつかに区切られた画面の中から注目する部分を選択する。 ---『[[YU-NO>この世の果てで恋を唄う少女YU-NO]]』等の画面クリック方式の簡略版と言える。 -ディテクティブ・チャージシステム --事件の情報を入手する毎にゲージがたまっていき、一定値を超えると犯人の追及が可能になる。 --犯人の指摘可能になった後、出来るだけゲージが少ない内に犯人の指摘をする事で評価が上がり、ランクAでクリアする事でサブ案件やおまけが解放される。 --具体的には80に達すると任意で犯人指定が可能になる。100になった時点でまだ犯人を指定しなかった場合は強制的に犯人指名画面に切り替わる。 --尚、この指摘はあくまでプレイヤーの指摘であり、正否に関わらず主人公は事件を解き明かす。 -移動は3Dマップ --操作場所ごとを繋ぐ移動画面は3Dダンジョンゲーのような画面形式になっている。 -主人公のかおるは変装(女装)が得意で、良家のお嬢様、コギャル、美人秘書など各話ごとに異なる格好に変装する。 **評価点 -シナリオ全般 --各話ごとの事件の内容やその真相等、今回も菅野氏の魅力が発揮されている。 --登場人物も多く、皆個性的でキャラが立っている。 --但し、基礎が良いものの、本作のシナリオは色々と問題も多い。詳細は後述する。 -CARNELIAN原画のイラスト --前作から雰囲気が変わったものの、作風に合ったイラストは好評。 -プルーフターゲットシステムは捜査感と遊びやすさの両立に役立っている。 --『YU-NO』等、画面全体を対象としたクリック式のゲームでは、調べる必要のある箇所が非常に小さい場合等、どれだけ画面をクリックしても先へ進めず困る事もあったが、クリック可能な場所を絞り込むことでそれを解消している。 ---また、コマンド選択式と違い、直感的に怪しい場所をクリック出来る為、プレイヤーに捜査感も与えている。 --このシステムは以降も『不確定世界の探偵紳士』『YU-NO』の移植版や『[[十次元立方体サイファー>十次元立方体サイファー ~蒼き月の水底~]]』でも採用された。 **賛否両論点 -一部展開が人を選ぶ。 --「殺人を犯した人間を主人公の独断で赦す」と言った展開が二度ほどある。そこに至るまでの背景や当人の事情などは語られるが、納得できるかどうかは人による。続編で進展やフォローが成される可能性もあるが…。 ---これ以外にも主人公にも一部共感し難い部分もある。「能力は優秀だがまだ若く精神的に未熟」というキャラクター像の為、彼の人間的な成長も見所の一つではあるが、それだけにプレイヤーをやきもきさせる事も。 --「男主人公の特技が女装」という点もプレイヤーによっては抵抗があり、好みが分かれる。 **問題点 ''シナリオ面'' -シナリオが未完 --本作の評価を落とす一番の原因。ヒロインの一人の失踪の真相や主人公の最終目的等は解決される事なく、「ミステリート2へ続く」で終わる。 ---失踪したヒロインは本作主人公がイギリスにいた時代のアシスタントであり、大事なパートナーである。日本に来たきっかけは前作主人公である悪行失踪の真相究明を依頼されたのも理由だが、彼女の失踪の解明も目的。また、本作発売前に前作のおまけでも彼女の失踪前の行動が取り上げられている等、かなり重要な案件として注目されていただけに、未解決のまま終わってしまった事には残念な声が多い。 ---菅野氏のゲームが今まで全て単作で完結していた事、事前に発表がなかった事等から、プレイして初めて知る事になり、未完成品とも言われてしまった。 --本作最終章自体も本筋にはあまり関係無い事件であり、盛り上がりに欠ける上に驚きも感動も薄い。一本のゲームとしても今一つクリアした実感が薄く尚更消化不良感がある。「とある事件に巻き込まれて、それを解決したらゲームも終わっていた」という感じ。 ---一応、日本に来た目的の一つである「悪行の行方」は判明するが、かおるとは別視点での話であり、ユーザーには伝わっても''かおるはそれに気づかずに終わる''。 -わざわざ18禁で出した割にはそういうシーンは少ない。 --これも菅野氏のゲームでは相変わらずだが、元がDC用に開発されていた事もあって、本作は特に顕著。 -主人公の特技「変装」にあまり意味がない。 --女装する主人公として前面に押し出し、5種類もの全く異なった変装パターンを用意しておきながらシナリオ上はあまり意味がない。 ---最初の頃はまだ潜入捜査の能力として機能しているが、シナリオが進むにつれてどんどん意義が薄くなっていく。特にあるエピソードの事件発生前の女装はとってつけた感が激しい。 ---作中世界でトップクラスの探偵は何かしら特異な能力((前作主人公の場合は「否応なしに事件に巻き込まれる悪運」。本作中でも超常的な特殊能力を持つ者が登場する。))を持っているのだが、それに比べると無理矢理さ、平凡さが否めない。 ''システム面'' -移動マップが非常に不便 --3D表示での移動は無駄に時間がかかり、背景も似通った場所が多い為、街の移動等は非常に道に迷いやすい。 ---ひたすら不評だったためか、移植版ではマップから移動場所を選択する方式に変更された。 -ディテクティブ・チャージシステムがただのゲーム進行率にしかなっていない --凝った名前でいかにも捜査を盛り上げるかのような説明がされているが、ただ単に話を進めていけば勝手に増えていくだけのゲージで、はっきり言ってゲームを盛り上げるのに役立っているとは言えない。 --また、この評価次第でおまけが解放されるが、シナリオの各話ごとの選択などはできないため、一つだけ評価を落としてしまった場合など、最初からやり直すしかないのも地味に不便。 --そもそも犯人指名を当てようが間違えようがシナリオには一切影響が無く、解決後のプレイヤー評価が変わるだけである。間違えたからゲームオーバー、或いはバッドエンドなどと言う事は無い。 -謎解きゲーではなく暗号解読ゲー --話を進めていく上でプレイヤーを悩ませるのは、事件の真相などではなく、暗号の解読。犯人の指摘は間違えても問題無いにも拘らず、暗号は解かないとゲームを進められない。 ---度々出てくる事になり、特に終盤やサブ案件の謎解きは難しい。 ---ミステリー物として「事件の内容」に悩むならともかく、「暗号というパズル」に悩ませられたのには困ったプレイヤーも多い。 -システムが古臭いままで発売した時代のADVとして色々と不足している --前作に引き続き、原典のPC版ではボイスなし。 ---CS移植版以降に追加される事になる。 --CGモードもない。 ---せっかくのCARNELIANのイラストをのんびり鑑賞する事はできない。 --セーブ・ロードも不便。 ---セーブ可能なのは移動画面のみ。 ---セーブ数は5個と少なく、ロードには一度ゲームをやめてタイトルに戻らなければならない。 --スタッフロールもない。 ---アーベルのPCゲームでは多いが、クリアの余韻もない。 **総評 『不確定世界の探偵紳士』の続編として、ミステリーとしての評価は高いものの、色々な点が足を引っ張ってゲーム全体の評価を落としてしまっている。~ 菅野氏はただのADVではなく、何かしらシステムに凝ったゲームを作る事に拘っているが、本作はその点が悪い方に働いてしまっている。~ PS2やPSPへの移植版では不便なシステムの改善や、おまけシナリオの追加などが行われているので、今遊ぶならそちらがよいだろう。~ とはいえ、そちらでも結局、続編へ続いて完結していないことには変わりないが…。~ ---- *ミステリート ~八十神かおるの事件ファイル~ 【みすてりーと やそがみかおるのじけんふぁいる】 |ジャンル|大人向け本格推理&br()アドベンチャーゲーム|&amazon(B000F04W04)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|イエティ|~| |発売日|2006年5月25日|~| |定価|【限定版】8,800円(税別)&br()【通常版】6,800円(税別)|~| |判定|なし|~| **概要(PS2) 上記、ミステリートのPS2移植版。~ フルボイスが追加された他、CSでの販売に合わせて18禁シーンの削除が行われた。 **評価点(PS2) -移動画面の変更 --不評だった3Dマップは削除され、全体図から移動先を選択する形に変更された。 ---遊びづらいだけの要素だったため、ゲームテンポはかなり改善された。 -フルボイス化 --台詞がフルボイス化された事でストーリーの没入感が増した。ゆかな、根谷美智子と言った有名所も起用している。 --主人公のかおる役は『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジ役や、近年では『[[ダンガンロンパ>ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生]]』の苗木誠役で有名な緒方恵美が担当している。 ---通常時と女装時の声の使い分けは、本当に同一人物なのか疑いたくなるほどに見事。 **問題点(PS2) -一部の不自然な描写 --CSでの発売に合わせ一部シナリオが変更されたが、それにより少々不自然な展開になった物も。 ---主人公のかおるが未成年である為、飲酒シーンが変更され、酔いつぶれるシーンは「ウィスキーボンボンの食べ過ぎで酔いつぶれる」というあんまりな展開に。 --アダルトなシーンに関しては当然ながら丸々カットされており、そういう事があったのを匂わせる程度の描写になっている。とはいえ、元がそういう描写が薄かったのでこれについてはそこまで違和感はない。 ---しかし「裸で寝ている」と説明されるのにパジャマ姿が映ったりと、テキストとCGの擦り合わせが上手く出来ていない箇所もある。 **総評(PS2) 不便な移動システムがなくなった事でかなり遊びやすくなった。~ CS移植に伴うシナリオの変更も、元がDC用に開発されていたゲームだけにほとんど影響はなく、元の魅力を残している。 ---- *ミステリートPORTABLE ~八十神かおるの挑戦!~ *ミステリートWindows ~八十神かおるの挑戦!~ 【みすてりーとぽーたぶる やそがみかおるのちょうせん】~ 【みすてりーとうぃんどうず やそがみかおるのちょうせん】 |ジャンル|大人向け本格推理&br()アドベンチャーゲーム|&amazon(B00133GIHC)|&amazon(B001FOPZ1Y)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル&br()Windows 2000/XP/Vista|~|~| |発売・開発元|ヴューズ|~|~| |発売日|【PSP】2008年4月24日&br()【Win】2008年10月31日|~|~| |定価|【PSP】5,800円(税別)&br()【Win】8,800円|~|~| |判定|なし|~|~| ---- **概要(PSP/Win) ミステリートの移植版。~ 「八十神かおるの事件ファイル」というミニシナリオ集(全62問)が追加されている。 **評価点(PSP) -追加要素の「八十神かおるの事件ファイル」の内容 --内容は軽度なミステリーや法律の問題を扱ったちょっとした問題集なのだが、本編で描写不足だった日常的なシーンや、シリーズの別作品のその後なども描かれている。 **問題点(PSP/Win) -「八十神かおるの事件ファイル」の仕様 --1問目から順番にクリアしていく形式で、一つ解決する毎に次の話が解禁されるのだが、''一番の難問が第一問''。 ---選択肢式の問題も多い中、タイピング形式である為に適当に選んでやり直して…という訳にもいかず、序盤から詰まった人も多い。 -読み込みの煩わしさ --フルボイスの為、UMDの読み込みが結構頻繁に入り、プレイしていて邪魔に感じる事が多い。 **総評(PSP/Win) PS2版を元に、ミニシナリオ集が追加された移植版。~ 『不確定世界の探偵紳士』や『十次元立法サイファー』の登場人物がメインの物もあり、何気におまけのサブシナリオとしては豪華である。~ 今ミステリートを遊ぶならPSP版か本作を元にしたWin再移植版がおすすめ。 ---- **その他移植版 ***ミステリート 特別ぱっく(Win) -PS2版及びファンディスク発売に合わせて発売されたリニューアルパッケージ。 --内容はPC版準拠 ***ミステリートWindows ~八十神かおるの挑戦!~(Win再移植版) -PSP版を元に「八十神かおるの事件ファイル」に新規シナリオを追加した逆移植版。 --PSP版準拠の為、レーティングはCOLOR(blue){''CERO:C''}(15歳以上対象)、ソフ倫は通していない。 ---- **余談 -昨今では珍しいマニュアルプロテクトが仕込まれていた。 -前作同様CSやPCへの再移植などが行われたが、その度にタイトルが変更されている。 --その所為で正式名称が定まらず、また『2』が未発売にも拘らず公式サイトでも「ミステリート1作目」などと表記されたり、Wikipediaのページ名も「ミステリート (第1作)」になっていたりする。後者の探偵紳士シリーズの記事での表記に至っては「ミステリート1」である。 -続編であり完結編である『ミステリート2 ~フェアウェル・エンカウンター~』(18禁)が早い段階から発表されていたが、新情報が途絶えたまま一向に発売に至らず、2011年にはシナリオを書いていた菅野ひろゆき氏が死去してしまった。 --その為、続編のリリースは絶望視されていたが、菅野氏が生前に書き溜めていたシナリオを用いて『2』を作り直し、更に『1』のリマスター版をセットにしたリメイク『ミステリートF 探偵たちのカーテンコール』(Xbox One)の開発が2014年に発表された。…が、こちらも長らく情報の更新は止まっていた。 -2017年1月に『ミステリート』『探偵紳士』の版権は「MAGES.」に移り、『F』は開発継続中であることが改めて[[発表>https://twitter.com/DIV8_ASDF/status/825250057561649153]]された。その後、対応ハードがPS4とPS Vitaに変更されたことが発表されている。 --しかしハードの変更はリメイク版『[[YU-NO>この世の果てで恋を唄う少女YU-NO#id_07373e66]]』のDLCで発表されたものである。『F』公式サイトもXbox One版のまま放置されていた。そして2021年には[[開発を一旦中止している>https://dengekionline.com/articles/103848/]]のが明らかとなった。理由は開発会社と縁が切れたり、『2』のシナリオが派生作品と整合性が取れず難儀していたなど色々あった模様。 --ひとまず『F』収録予定だった本作のリメイク版『ミステリート ~八十神かおるの挑戦!~』をXbox Series X/S、Xbox One、PlayStation 4で発売する事が発表された。 -2013年1月18日に発売された『菅野ひろゆき メモリアル』には『不確定世界の探偵紳士』や『[[アザーサイド・オブ・チャーチ>ミステリート ~アザーサイド・オブ・チャーチ~]]』などと共に収録されているが、初版の『不可逆世界の探偵紳士』ではなく再移植版の『八十神かおるの挑戦!』の方である。 --その為、同作収録タイトルの中ではただ一作''全年齢版''となっている。『不確定世界の探偵紳士』と違って18禁版が初版しか出ておらず、その初版はシステム面などの問題が多い為、妥当と言えば妥当だが…。%%尤も、初版も18禁シーン自体が少ない。%% ----

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